JP2000266619A - トルクセンサ及びステアリングシャフトのトルク検出装置 - Google Patents

トルクセンサ及びステアリングシャフトのトルク検出装置

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JP2000266619A
JP2000266619A JP7410699A JP7410699A JP2000266619A JP 2000266619 A JP2000266619 A JP 2000266619A JP 7410699 A JP7410699 A JP 7410699A JP 7410699 A JP7410699 A JP 7410699A JP 2000266619 A JP2000266619 A JP 2000266619A
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shaft
torque
detection
excitation
cores
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JP7410699A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Wakiwaka
弘之 脇若
Kazunari Sakano
一成 坂野
Hiroyuki Muramatsu
宏行 村松
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Jtekt Column Systems Corp
Original Assignee
Fuji Kiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャフトに対して非接触のもので構成し、同
シャフトに何らの加工も施すことなく即座にトルクを検
出することのできるトルクセンサ及びこのトルクセンサ
を用いたステアリングシャフトのトルク検出装置を提供
することを課題としている。 【解決手段】 シャフトSの外周面Saにおける軸線C
方向及び周方向のいずれか一方に一対の励振コア11、
12、他方に一対の検出コア13、14を設け、シャフ
トSにトルクTが作用した際に、励振コア11、12か
ら発した磁束がシャフトSを介して検出コア13、14
に流れることを利用して、シャフトSのトルクTを検出
するものである。従って、シャフトSに何らの加工も必
要ないので、即座にトルクを検出することができる。ま
た、脱磁コイル3でシャフトSを脱磁することにより、
トルク感度αtを向上させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シャフトに加わ
るトルクを検出するための非接触方式のトルクセンサ及
びこのトルクセンサを用いたステアリングシャフトのト
ルク検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トルクセンサとしては、通常、トルクを
検出するシャフトに対して接触式のものと非接触式のも
のとがある。接触式のものは、トルクセンサ及びシャフ
トに摩耗部が存在することになり、耐久性の点で問題が
ある。非接触式のものとしては、例えばシャフトの外周
面(Sa)に磁歪膜を蒸着したものや、溝を加工したも
の等がある。しかし、このような非接触式のものにあっ
ては、測定対象であるシャフトに磁歪膜の蒸着や溝加工
が必要であり、即座にトルクを測定することができない
という欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑みてなされたものであり、シャフトに対して非接触
のもので構成し、同シャフトに何らの加工も施すことな
く即座にトルクを検出することのできるトルクセンサ及
びこのトルクセンサを用いたステアリングシャフトのト
ルク検出装置を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、軸線(C)に対して同心円
状の外周面(Sa)を有するシャフト(S)にかかる前
記軸線(C)回りのトルク(T)を検出するためのトル
クセンサであって、前記シャフト(S)の外周面(S
a)における軸線(C)方向及び周方向のいずれか一方
の方向に所定の間隔をおいて配置され、先端面(11
a、12a)をシャフト(S)の外周面(Sa)に対向
させるようにして同外周面(Sa)から半径方向外側に
延在するように設けられた一対の励振コア(11、1
2)と、これらの励振コア(11、12)の基端部を連
結する励振ヨークと、前記励振コア(11、12)に巻
回された励振コイル(15)と、前記シャフト(S)の
外周面(Sa)における前記一対の励振コア(11、1
2)を結ぶ線(L1)を挟んでその両側に配置され、か
つ前記外周面(Sa)に沿って各励振コア(11、1
2)の位置から前記線(L1)に対して直交する線上
(C)に配置された一対の検出コア(13、14)と、
これらの検出コア(13、14)の基端部を連結する検
出ヨークと、前記検出コア(13、14)に巻回された
検出コイル(16)と、前記シャフト(S)の外周面
(Sa)を囲むように巻回された脱磁コイル(3)と、
前記シャフト(S)に対してその外周面(Sa)から所
定の間隔を隔てて同心円状に配置される円筒部(41)
及びこの円筒部(41)の軸線(C)方向の各端部から
シャフト(S)の外周面(Sa)に対向するように延び
る一対の端面部(42、43)を有し、前記シャフト
(S)の外周面(Sa)の部分、一方の端面部(4
2)、円筒部(41)及び他方の端面部(43)によっ
て前記脱磁コイル(3)で発生する磁束の閉回路を構成
する脱磁ヨーク(4)とを備えていることを特徴として
いる。
【0005】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、一対の励振コア(11、12)、励振ヨー
ク、励振コイル(15)、一対の検出コア(13、1
4)、検出ヨーク、検出コイル(16)を備えたトルク
検出極(10)を、シャフト(S)の軸線(C)に対し
て対称となる位置に少なくとも一対設けるように構成し
たことを特徴としている。
【0006】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の発明において、励振ヨーク及び検出ヨークは、シャ
フト(S)に同心円状に配置される円筒ヨーク(2)に
よって一体に形成されていることを特徴としている。
【0007】請求項4記載の発明は、請求項1、2又は
3記載のトルクセンサにおける被測定体としてのシャフ
ト(S)としてステアリングシャフトを用い、このステ
アリングシャフトのトルク(T)を検出するように構成
したことを特徴としている。
【0008】そして、上記のように構成された請求項1
に係る発明においては、トルク(T)の測定対象である
シャフト(S)を脱磁ヨーク(4)の各端面部(42、
43)の部分を通すように挿入すれば、励振コア(1
1、12)及び検出コア(13、14)の先端面(11
a、12a、13a、14a)がシャフト(S)の外周
面(Sa)に対向した状態になり、シャフト(S)のト
ルク(T)を検出することができる状態になる。従っ
て、シャフト(S)に何らの加工も施す必要がないの
で、即座にトルクを検出することができる。
【0009】トルク(T)を検出する際には、励振コイ
ル(15)に所定の周波数の例えば正弦波の電流を供給
する。この際、シャフト(S)にトルク(T)が作用し
ていなければ、励振コイル(15)で発生した磁束は、
例えば一方の励振コア(11)からシャフト(S)の外
周面(Sa)の部分、他方の励振コア(12)及び励振
ヨークを通って再び一方の励振コア(11)に戻る閉回
路を流れることになり、検出コア(13、14)の検出
コイル(16)に電圧を誘起させることがない。
【0010】即ち、一方の励振コア(11)と他方の励
振コア(12)との間に一対の検出コア(13、14)
が配置された状態になっていることから、シャフト
(S)の外周面(Sa)の部分には、一方の励振コア
(11)、一方の検出コア(13)及び他方の励振コア
(12)の各位置を通る第1の磁路(Sa1)と、一方
の励振コア(11)、他方の検出コア(14)、他方の
励振コア(12)の各位置を通る第2の磁路(Sa2)
とが存在する。そして、シャフト(S)にトルク(T)
が作用していないときには、第1の磁路(Sa1)及び
第2の磁路(Sa2)の各磁気抵抗が等しいために、一
方の励振コア(11)からシャフト(S)の外周面(S
a)の部分、他方の励振コア(12)及び円筒ヨーク
(2)を通って再び一方の励振コア(11)に戻る閉回
路を流れることになり、各検出コア(13、14)に磁
束が流入することがなく、よって検出コイル(16)に
電圧が誘起させることがない。
【0011】一方、シャフト(S)にトルク(T)が作
用すると、シャフト(S)の外周面(Sa)の部分に
は、軸線(C)に対して45度の方向に引張又は圧縮の
応力が発生する。即ち、軸線(C)に対して例えば+4
5度の角度(θ1 )方向に引張応力が発生するとすれ
ば、−45度の角度(θ2 )方向には圧縮応力が発生す
ることになる。このため、例えば第1の磁路(Sa1)
における一方の励振コア(11)と一方の検出コア(1
3)との間(第1の磁気抵抗部(R1))に引張応力が
発生するとすれば、一方の検出コア(13)と他方の励
振コア(12)との間(第2の磁気抵抗部(R2))に
は圧縮応力が発生し、一方の励振コア(11)と他方の
検出コア(14)との間(第3の磁気抵抗部(R3))
には圧縮応力が発生し、他方の検出コア(14)と他方
の励振コア(12)との間(第4の磁気抵抗部(R
4))には引張応力が発生することになる。
【0012】シャフト(S)として例えば低炭素鋼のよ
うな磁歪定数が正の材料を用いれば、引張応力が作用す
る部分では比透磁率が増加して磁気抵抗が減少し、圧縮
応力が作用する部分では比透磁率が減少して磁気抵抗が
増加することになることから、上記のような応力状態に
なると、シャフト(S)における第1及び第4の磁気抵
抗部(R1、R4)では磁気抵抗が小さくなり、第2及
び第3の磁気抵抗部(R2、R3)では磁気抵抗が大き
くなる。このため、磁束は、第1の磁気抵抗部(R
1)、一方の検出コア(13)、検出ヨーク、他方の検
出コア(14)及び第4の磁気抵抗部(R4)を通るこ
とになる。即ち、各検出コア(13、14)に磁束が流
れ込むことになり、検出コイル(16)に電圧が誘起さ
れることになる。
【0013】この電圧は、上記応力の大きさ、即ちトル
ク(T)の大きさと一定の関係がある。従って、検出コ
イル(16)に誘起される電圧を測定することによっ
て、シャフト(S)に作用するトルク(T)を検出する
ことができる。その場合、励振コア(11、12)や検
出コア(13、14)に対してシャフト(S)が回転し
ていたり、軸線(C)方向に移動していたりするような
状態でも、トルク(T)の検出が可能である。
【0014】また、上述のようなトルク(T)は、所定
の時間間隔をおいて測定することになるが、その測定の
間に脱磁コイル(3)に所定の周波数の電流を流すこと
によって、生じたシャフト(S)の外周面(Sa)部分
の脱磁をすることができる。このような脱磁をすること
によって、トルク(T)と、検出コア(13、14)に
生じる出力電圧(Vo)との関係が安定し、一定の関係
が得られるようになるので、トルク(T)の検出精度が
向上すると共に、出力電圧(Vo)からトルク(T)へ
の換算が容易になる。しかも、所定のトルク(T)に対
する電圧(Vo)の出力値が大きくなるので、即ちトル
ク感度(αt)が大きくなるので、トルク(T)の検出
精度をより向上させることができる。
【0015】更に、脱磁コイル(3)によって生じた磁
束は、シャフト(S)の外周面(Sa)の部分、脱磁ヨ
ーク(4)における一方の端面部(42)、円筒部(4
1)、他方の端面部(43)からなる閉回路を流れるこ
とになる。従って、きわめて効率良くシャフト(S)の
脱磁をすることができる。しかも、トルクセンサに対し
てシャフト(S)が回転していたり、軸線(C)方向に
移動していたりするような場合でも、シャフト(S)の
脱磁をすることができる。
【0016】請求項2記載の発明においては、トルク検
出極(10)をシャフト(S)の軸線(C)に対して対
称となる位置に配置しているので、これらの対称位置に
ある検出コイル(16)からの出力電圧(Vo)を検出
することにより、各トルク検出極(10)における励振
コア(11、12)及び検出コア(13、14)の先端
面(11a、12a、13a、14a)とシャフト
(S)の外周面(Sa)との間のギャップ(隙間)
(g)の変動による影響を除去することができる。
【0017】請求項3記載の発明においては、励振ヨー
ク及び検出ヨークを円筒ヨーク(2)として一体に形成
しているので、部品点数の低減を図ることができる。し
かも、複数のトルク検出極(10)を容易に構成するこ
とができるという利点がある。
【0018】請求項4記載の発明においては、ステアリ
ングシャフト(S)の周囲にトルクセンサを嵌合するだ
けで、ステアリングシャフト(S)にかかるトルク
(T)を検出することができる。このため、最小限の設
計変更によりステアリングシャフトに作用するトルク
(T)を検出することができる。従って、市場の要求を
満足する製品を最小限のコストで提供することができ
る。なお、例えば自動車におけるステアリングシャフト
のトルク検出値は、電動や油圧等のパワーステアリング
を装備した際に、アシスト制御のためのデータとして使
用されることになる。
【0019】また、トルクセンサが非接触であることか
ら耐久性に全く問題がなく、パワーステアリングにおけ
る信頼性の向上を図ることができる。しかも、トルクセ
ンサを部品点数の少ない小型のもので構成することがで
きることから、自動車におけるステアリングシャフトの
トルク(T)検出にきわめて有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を実
施例に基づき、図1〜図6を参照して説明する。
【0021】この実施例で示すトルクセンサTSは、図
1〜図6に示すように、軸線Cに対して同心円状の外周
面Saを有するシャフトSにかかる軸線C回りのトルク
Tを検出するためのものであって、4組みのトルク検出
極10と、円筒ヨーク2と、脱磁コイル3と、脱磁ヨー
ク4とを備えた構成になっている。
【0022】トルク検出極10は、一対の励振コア1
1、12と、一対の検出コア13、14と、励振コイル
15と、検出コイル16を備えた構成になっている。
【0023】励振コア11、12は、シャフトSの外周
面Saにおける周方向(軸線Cに直交する方向)に所定
の間隔をおいて配置され、先端面11a、12aをシャ
フトSの外周面Saに対向させるようにして同外周面S
aから半径方向外側に延在するように設けられている。
【0024】検出コア13、14は、シャフトSの外周
面Sa上における一対の励振コア11、12を結ぶ周方
向線(一方の方向の線)L1(図5参照)に対し直交す
る線上(軸線C上)に配置されており、各励振コア1
1、12の中心に対応する外周面Sa上の位置P1から
周方向線L1に対して45度の角度θで互いに接近する
ように延在する外周面Sa上の傾斜線L2の交点位置P
2に配置され、先端面13a、14aをシャフトSの外
周面Saに対向させるようにして同外周面Saから半径
方向外側に延在するように設けられている。各検出コア
13、14は、その先端面13a、14aの中心が交点
位置P2に対応している。
【0025】励振コイル15は、ボビン15aを介し
て、一対の励振コア11、12の双方に巻回されてい
る。また、検出コイル16は、ボビン16aを介して、
一対の検出コア13、14の双方に巻回されている。
【0026】そして、上記トルク検出極10は、シャフ
トSの軸線Cに対して対称となる位置に2対(合計で4
組)設けられた構成になっている。即ち、トルク検出極
10は、軸線Cの回りに4等分した位置、即ち、0、9
0、180、270度の各位置に配置されている。ま
た、4極に限定されることはなく、検出極10は複数設
けられていれば良い。
【0027】円筒ヨーク2は、励振コア11、12の基
端部を連結する励振ヨークの機能と、検出コア13、1
4の基端部を連結する検出ヨークの機能とを備えたもの
となっている。即ち、円筒ヨーク2は、各トルク検出極
10における励振ヨーク及び検出ヨークを一体に形成し
たものとなっている。この円筒ヨーク2は、後述する脱
磁ヨーク4における円筒部41の内側にあって、同円筒
部41と同心円状に配置されている。なお、円筒ヨーク
2を用いないで、励振ヨーク及び検出ヨークを用いた場
合には、これらの励振ヨーク及び検出ヨークは各トルク
検出極10の構成要件となる。
【0028】脱磁コイル3は、ボビン3aを介して、シ
ャフトSの外周面Saを囲むように巻回されている。こ
の実施例では、脱磁コイル3を軸線Cの方向に所定の間
隔をおいて2つ設けている。
【0029】脱磁ヨーク4は、シャフトSに対してその
外周面Saから所定の間隔を隔てて同心円状に配置され
る円筒部41及びこの円筒部41の軸線C方向の各端部
からシャフトSの外周面Saに対向するように延びる一
対の端面部42、43を有しており、シャフトSの外周
面Saの部分、一方の端面部42、円筒部41及び他方
の端面部43によって脱磁コイル3で発生する磁束(図
中矢印)の閉回路を構成するようになっている。
【0030】各端面部42、43は、円板状に形成され
たものであり、その中心位置には、シャフトSの外周面
Saに対して所定の隙間(例えば0.5mm程度)を空
けた状態で、同シャフトSに嵌合する円形の貫通孔42
a、43aが形成されている。この端面部42、43
は、例えばネジによって円筒部41の端面に固定される
ようになっている。また、上記ボビン3aは、円筒部4
1の内面に嵌合することにより、貫通孔42a、43a
と同心円状に保持され、かつ円筒ヨーク2の各端部と各
端面部42、43とで挟持されることにより、軸線C方
向の所定の位置に保持されるようになっている。更に、
上記円筒ヨーク2は、樹脂等の非磁性体、例えばステン
レスで形成された円筒状のスペーサ5によって、円筒部
41と同心円状に保持されている。
【0031】そして、端面部42、43の貫通孔42
a、43aを基準にした場合、この貫通孔42a、43
aと、円筒部41、円筒ヨーク2、励振コア11、12
の先端面11a、12a、検出コア13、14の先端面
13a、14aとが同心円状に配置された状態になって
いる。
【0032】また、励振コア11、12、検出コア1
3、14、円筒ヨーク2、脱磁ヨーク4は、ケイ素鋼を
用いており、シャフトSは、低炭素鋼による冷間引抜材
を用いている。即ち、シャフトSは、磁歪定数が正の材
料で構成されている。
【0033】励振コイル15は、一方の励振コア11に
設けられたものと、他方の励振コア12に設けられてお
り、一方の励振コア11からシャフトSの外周面Saの
部分、他方の励振コア12、円筒ヨーク2を通って再び
一方の励振コア11に戻る磁束の閉回路において、同一
方向の磁束の流れを生じるように、各励振コア11、1
2に巻回されている。そして、この励振コイル15に
は、図5に示すように、発振器61が接続されている。
発振器61は、例えば正弦波の電流を励振コイル15に
供給するようになっている。
【0034】また、検出コイル16は、一方の検出コア
13に設けられたものと、他方の検出コア14に設けら
れており、各検出コア13、14に巻回されている。そ
して、検出コイル16には、アンプ(AMP)62が接
続されている。アンプ62は、各検出コア13、14に
流入する磁束によって、検出コイル16に誘起される電
圧を増幅するようになっている。
【0035】アンプ62から出力された電圧は、図6に
示すように、位相検波器(PSD)63、ローパスフィ
ルタ(LPF)64を通して、アナログ出力されるよう
になっている。位相検波器63は、発振器61から励振
コイル15に供給する電圧と、アンプ62から出力され
る電圧との位相の違いにより、後述するトルクTの方向
を検知するようになっている。
【0036】次に、上記のように構成されたトルクセン
サTSの作用、効果について説明する。脱磁ヨーク4の
貫通孔42a、43aにシャフトSを挿入し、これによ
ってシャフトSの軸線C方向における所定位置にトルク
センサTSを設置する。この際、トルクセンサTSを図
示しない固定手段に固定することによって、シャフトS
の軸線Cに、貫通孔42a、43aの軸心を一致させ
る。なお、シャフトSとして自動車のステアリングシャ
フト(図示せず)を用いる場合には、脱磁ヨーク4の部
分を車体側に固定する。
【0037】このようにしてトルクセンサTSをシャフ
トSの所定位置に設置すると、各トルク検出極10にお
ける励振コア11、12及び検出コア13、14の先端
面11a、12a、13a、14aがシャフトSの外周
面Saに所定寸法のギャップg(隙間)を隔てて対向し
た状態になり、シャフトSに作用するトルクTを検出す
ることができる状態になる。従って、トルクセンサTS
の設置の際に、シャフトSに何らの加工も必要ないの
で、即座にトルクTを検出することができる。
【0038】実際にトルクTを検出する際には、発振器
61から励振コイル15に例えば1kHzの正弦波の電
流を供給する。この際、シャフトSにトルクTが作用し
ていなければ、励振コイル15で発生した磁束は、図5
における例えば一方の励振コア11からシャフトSの外
周面Saの部分、他方の励振コア12及び円筒ヨーク2
を通って再び一方の励振コア11に戻る閉回路を流れる
ことになり、検出コア13、14の検出コイル16に電
圧が誘起されることがない。
【0039】この点についてさらに説明すると、一方の
励振コア11と他方の励振コア12との間には一対の検
出コア13、14が配置されていることから、シャフト
Sの外周面Saの部分には、一方の励振コア11、一方
の検出コア13及び他方の励振コア12を通る第1の磁
路Sa1と、一方の励振コア11、他方の検出コア1
4、他方の励振コア12を通る第2の磁路Sa2とが存
在する。そして、シャフトSにトルクTが作用していな
いときには、第1の磁路Sa1及び第2の磁路Sa2の
各磁気抵抗が等しいために、検出コア13、14に磁束
が流入することがなく、検出コイル16に電圧が誘起さ
せることがない。
【0040】しかし、シャフトSにトルクTが作用する
と、シャフトSの外周面Saの部分には、軸線Cに対し
て45度の角度θの方向に引張又は圧縮の応力が発生す
る。即ち、軸線Cに対して例えば+45度方向に引張応
力が発生するとすれば、−45度方向には圧縮応力が発
生することになる。
【0041】このため、例えば第1の磁路Sa1におけ
る一方の励振コア11と一方の検出コア13との間(第
1の磁気抵抗部R1)に引張応力が発生するとすれば、
一方の検出コア13と他方の励振コア12との間(第2
の磁気抵抗部R2)には圧縮応力が発生し、第2の磁路
Sa2における一方の励振コア11と他方の検出コア1
4との間(第3の磁気抵抗部R3)には圧縮応力が発生
し、他方の検出コア14と他方の励振コア12との間
(第4の磁気抵抗部R4)には引張応力が発生すること
になる。
【0042】そして、上記材質のシャフトSにおいて
は、引張応力が発生する部分では比透磁率が増加して磁
気抵抗が減少し、圧縮応力が作用する部分では比透磁率
が減少して磁気抵抗が増加することになることから、上
記のような応力状態になると、外周面Saの部分におけ
る第1及び第4の磁気抵抗部R1、R4では磁気抵抗が
小さくなり、第2及び第3の磁気抵抗部R2、R3では
磁気抵抗が大きくなる。このため、励振コイル15に発
生した磁束は、磁気抵抗の小さな部分を選んで流れるよ
うになる。即ち、上記のような応力を生じさせる方向の
トルクT(図5の矢印方向)が作用すると、励振コイル
15に発生した磁束は、第1の磁気抵抗部R1、一方の
検出コア13、円筒ヨーク2における一方の検出コア1
3と他方の検出コア14との間(第5の磁気抵抗部R
5:円筒ヨーク2)、他方の検出コア14及び第4の磁
気抵抗部R4を通ることになる。即ち、検出コア13、
14に磁束が流れ込むことになり、検出コイル16に電
圧が誘起されることになる。
【0043】また、図5の矢印で示す方向とは反対の方
向にトルクTが作用した場合には、上記と全く反対の応
力状態になる。従って、励振コイル15に発生した磁束
は、第3の磁気抵抗部R3、他方の検出コア14、第5
の磁気抵抗部R5(円筒ヨーク2)、一方の検出コア1
3及び第2の磁気抵抗部R2を通ることになる。この場
合も、検出コア13、14に磁束が流れ込むことになる
ので、検出コイル16に電圧が誘起することになる。
【0044】この電圧は、上述した応力の大きさ、即ち
トルクTの大きさと一定の関係がある。従って、検出コ
イル16に誘起される電圧を測定することによって、シ
ャフトSに作用するトルクTを検出することができる。
その場合、トルクセンサTSに対してシャフトSが回転
していたり、軸線C方向に移動していたりするような状
態でも、トルクTの検出が可能である。また、トルクT
の方向は、発振器61から励振コイル15に出力される
電圧の位相と、アンプ62から出力される電圧の位相と
の違いを位相検波器63で検出することによって、判断
することができる。
【0045】なお、検出コイル16に誘起される出力電
圧Voは、比透磁率μ、応力σ、トルクTと、次ぎの式
(数1〜3)で示す関係がある。
【0046】
【数1】Vo=Κμ(μ1−μ2)
【数2】Vo=Κσ(σ1−σ2)
【数3】Vo=αt・T 上式において、Κμは出力電圧の比透磁率に対する感度
(V)、μ1,μ2は引張・圧縮方向の比透磁率
(−)、Κσは出力電圧の応力の差に対する感度(V/
Pa)、σ1,σ2は引張・圧縮応力(Pa)、αtは
トルク感度(V/(N・m))、Tはトルク(N・m)
である。
【0047】また、上述のようなトルクTは、所定の時
間間隔をおいて測定することになる。そして、そのトル
クTの測定の合間に、脱磁コイル3に所定の周波数の電
流を流すことによって、シャフトSの脱磁をすることが
できる。このような脱磁をすることによって、トルクT
と、検出コイル16に生じる出力電圧Voとの関係が安
定し、一定の関係で表示できるようになる。従って、ト
ルクTの検出精度が向上すると共に、出力電圧Voから
トルクTへの換算が容易になる。しかも、所定のトルク
Tに対する出力電圧Voの出力値が大きくなる。即ちト
ルク感度αtが大きくなるので、トルクTの検出精度を
より向上させることができる。
【0048】更に、脱磁コイル3によって生じた磁束
は、シャフトS、脱磁ヨーク4における一方の端面部4
2、円筒部41、他方の端面部43からなる閉回路を流
れることになる。従って、きわめて効率良くシャフトS
の脱磁ができる。しかも、トルクセンサTSに対してシ
ャフトSが回転していたり、軸線C方向に移動していた
りするような場合でも、シャフトSの脱磁をすることが
できる。
【0049】そして更に、トルク検出極10をシャフト
Sの軸線Cに対して対称となる位置に配置しているの
で、これらの対称位置にある検出コイル16からの出力
電圧を検出することにより、各トルク検出極10におけ
る励振コア11、12及び検出コア13、14の先端面
11a、12a、13a、14aとシャフトSの外周面
Saとの間のギャップgの変動による影響を除去するこ
とができる。
【0050】更にまた、励振ヨーク及び検出ヨークを円
筒ヨーク2によって一体に形成しているので、部品点数
の低減を図ることができる。しかも、この円筒ヨーク2
は、複数のトルク検出極10を設置する上でも有効であ
る。即ち、円筒ヨーク2を設けることにより、複数のト
ルク検出極10をシャフトSの周囲に容易に設置するこ
とができる。
【0051】一方、例えば自動車のステアリングシャフ
トのトルクTを測定する際には、このステアリングシャ
フトの周囲にトルクセンサTSを嵌合し、同トルクセン
サTSを車体側の部材に取り付けるだけでよい。このた
め、最小限の設計変更によりステアリングシャフトに作
用するトルクTを検出することができるようになる。従
って、市場の要求により、例えばパワーステアリングを
装備するような場合でも、その際のコストを最小限に抑
えることができる。なお、ステアリングシャフトのトル
クTは、電動や油圧等のパワーステアリングを装備した
場合に、アシスト制御用のデータとして使われることに
なる。
【0052】そして、トルクセンサTSがステアリング
シャフトに対して非接触であることから耐久性に関して
全く問題がないので、パワーステアリングにおける信頼
性の向上を図ることができる。しかも、トルクセンサT
Sを部品点数の少ない小型のもので構成することができ
るので、自動車のステアリングシャフトにも容易に取り
付けることができる。
【0053】次に、上記実施例で示したトルクセンサT
Sの実験例を図7〜図13を参照して説明する。実験に
用いた励振コア11、12、検出コア13、14、円筒
ヨーク2、脱磁ヨーク4は、1%ケイ素鋼である。励振
コイル15は、700回巻×2個、検出コイル16は、
600回巻×2個、脱磁コイル3は、300回巻×2個
とした。
【0054】シャフトSは、炭素含有量が0.25%以
下の低炭素鋼を冷間引抜により円筒状に形成したもので
あり、具体的には機械構造用炭素鋼鋼管STKM13B
を用いている。このSTKM13Bの鉄以外の含有量
は、表1の通りである。また、シャフトSは、直径が2
5.4mm、厚さが2.3mmである。なお、脱磁ヨー
ク4の直径(=円筒部41の外径)が91mmであり、
同脱磁ヨーク4の軸方向の長さ(端面部42、43の外
側面間の距離)が48mmである。
【0055】
【表1】 また、実験条件を表2に示した。
【0056】
【表2】 トルク検出極10は、シャフトSの真上の1極のみを用
い、入力電流10mA、励磁周波数1kHzの正弦波
を、発振器61から励振コイル15に常時入力し、シャ
フトSの周方向に常時励磁した。
【0057】図7は、シャフトSに加えた脱磁磁界の概
念波形を示したものである。これは、図示しない脱磁装
置によって、周波数60Hzの正弦波の振幅が立上り時
間1秒、減衰時間6.5秒の線形減衰の三角波状に変調
された磁界であり、励振コア11、12による励振磁界
と同時にシャフトSに加えている。脱磁磁界の最大値は
1.2kA/mとした。尚、線形減衰に限らず指数減衰
でも良い。
【0058】図8は、シャフトSの直流ヒステリシスル
ープ(実験結果)を示したものである。本シャフトSの
保磁力は0.17kA/mであった。図9は、シャフト
Sの60Hz、1kHzの交流常規磁化特性(実験結
果)を示したものである。一般的に交流脱磁に必要な磁
界は、保磁力の2〜10倍である。今回の脱磁は、商用
周波数の60Hzを用いて行った。脱磁磁界の最大値
は、1.2kA/mとし、保磁力の7.1倍であり、十
分にシャフトSの脱磁が行える値とした。また、励振コ
ア11、12による1kHzの励振磁界の最大値は、ギ
ャップg=0μmにおいて、0.13kA/mとなり、
保磁力以内である。ただし、ギャップgは、励振コア1
1、12及び検出コア13、14の各先端面11a、1
2a、13a、14aと、シャフトSの外周面Saとの
間の半径方向(図3のX方向)の寸法である。
【0059】次に、上述した磁歪式のトルクセンサTS
の適応性について実験結果を参照しながら説明する。ま
ず、特性評価法について説明する。図10には、トルク
Tに対する出力電圧Voの概念図を示した。出力電圧−
トルク特性の評価方法として、トルク感度αt、ヒステ
リシスεhを用いた。トルク感度αtは、次に示す数4
の式で表され、出力電圧Voの最大値と最小値を結ぶ直
線の傾きで示し、値が大きいほど良い特性である。ま
た、ヒステリシスεhは、数5の式で表され、特性全体
の出力電圧差と、出力電圧−トルク特性のヒステリシス
による出力電圧差の最大値との割合で示し、値が低いほ
ど良い特性である。
【0060】
【数4】αt=Vs/Ts
【数5】εh=(Vhmax/Vs)×100% 上記式において、Vsは最大出力電圧差(V)、Tsは
最大印加トルク(=98N・m)、Vhはあるトルクに
おける出力電圧差(V)、VhmaxはVhの最大値
(V)である。
【0061】次に、上記評価方法を用いて、今回の実験
結果について考察する。図11は、ギャップg=0μm
における脱磁の有無のトルクTに対する出力電圧Voの
特性(実験結果)を示したものである。脱磁コイル3に
よる脱磁の有無に関わらず、ヒステリシスεhはトルク
Tの変化の一周期に対し反時計回りの特性となった。脱
磁を行うことにより、ヒステリシスεhが大幅に減少
し、出力電圧Voの最大値も増加した。
【0062】表3に、脱磁の有無におけるトルク感度α
t、ヒステリシスεhの比較をまとめた。脱磁を行うこ
とにより、トルク感度αtは、2.37倍に増加し、ヒ
ステリシスεhは、1/14倍へと大幅に減少した。そ
のため、溝掘等の加工の施していないシャフトSにおい
て、脱磁を行うことにより、トルクTを精度良くかつ簡
単に測定できることがわかる。
【0063】
【表3】 図12は、脱磁有りの場合において、ギャップgをパラ
メータとして変化させた際のトルクTに対する出力電圧
Voの特性(実験結果)を示したものである。ギャップ
g=250μm時の特性は、ギャップg=0μmと比較
して大幅に出力電圧Voの最大値が減少したものの、ト
ルクTに対して線形な出力が可能であった。即ち、シャ
フトSを脱磁する場合には、ギャップgが増加しても、
トルクTと出力電圧Voの直線関係が保たれることがわ
かった。
【0064】図13は、脱磁有りの場合において、ギャ
ップgに対する、トルク感度αt、ヒステリシスεh、
ヒステリシスによる出力電圧差Vhについて、その実験
結果をまとめたものである。トルク感度αtは、ギャッ
プgの増加と共に減少し、ギャップ250μmにおいて
16.0mV/(N・m)となり、ギャップg=0μm
の1/7.81倍に減少した。また、ギャップg=25
0μm付近で飽和傾向を示した。ヒステリシスεhは、
ギャップg=187.5μmにおいて最小値の1.62
%となり、ギャップ187.5μm以内においては、約
4%以内となった。ギャップg=250μmでのヒステ
リシスεhは、7.28%と大きい値となった。
【0065】以上、実施例、実験例によって、トルクセ
ンサTSの構成、シャフトSについての脱磁の有効性、
が明らかになった。そして、これらをまとめると次のよ
うになる。
【0066】(1)トルクセンサTSの構成としては、
ギャップ補償が行えるよう4極分ある励振コア11、1
2及び検出コア13、14の構造のものを示した。ま
た、脱磁の磁束は、センサ部の外周を回るように流れ、
さらに脱磁コイル3がシャフトSを囲む形状のため、シ
ャフトSが回転している状態においても、シャフトSに
おけるトルク(応力、比透磁率)測定位置の脱磁が可能
である。
【0067】(2)シャフトSについて脱磁を行うこと
により、トルク感度αtは2.37倍に増加し、ヒステ
リシスεhは1/14倍へと大幅に減少した。従って、
シャフトSの脱磁を行うことにより、トルクTを精度良
くかつ容易に測定することができることが確認できた。
【0068】(3)ギャップgを増加させることにより
トルク感度αtは減少した。ギャップg=250μmに
おいてもトルクTの検出は可能であり、ヒステリシスε
hはギャップg=187.5μm以内において、約4%
以内と良好な特性となったが、ギャップgにより出力電
圧Voが変化する。ただし、この出力電圧Voの変化
は、上述したギャップ補償により、解決することができ
る。
【0069】(4)シャフトSの脱磁については、立上
り時間1秒、減衰時間6.5秒の合計7.5秒の時間を
要しているが、脱磁磁界の周波数、脱磁磁界の強さ、脱
磁磁界の立上り波形や減衰波形の包絡線の形状等を検討
することによって、脱磁をきわめて短時間で行うことが
できるように改善することができる。即ち、パワーステ
アリングのアシスト制御を目的としてトルクセンサTS
を使用する場合でも、そのトルクを測定する所定の時間
間隔以内でステアリングシャフトの脱磁を行うことが可
能である。
【0070】以上、本トルクセンサTSは、低炭素鋼の
シャフトSを用い、特にシャフトSの脱磁を行うことに
より、シャフトSに対して非接触の状態で、そのシャフ
トSに作用するトルクTを精度良くかつ簡単に測定する
ことができることが明らかになった。
【0071】なお、上記実施例においては、励振コア1
1、12をシャフトSの周方向に配置し、検出コア1
3、14をシャフトSの軸線C方向に配置するように構
成したが、励振コア11、12をシャフトSの軸線C方
向に配置し、検出コア13、14をシャフトSの周方向
に配置してもよい。そして、この場合も、上記脱磁コイ
ル3等によりシャフトSの脱磁を行うことができる。
【0072】また、脱磁コイル3を各端面部42、43
の内側面に密着するように2つ設けたが、図14に示す
ように、ボビン30aを介して円筒ヨーク2の外周面を
囲むように巻回する脱磁コイル30で構成してもよい。
この場合、ボビン30aが円筒部41と円筒ヨーク2と
の間の円筒状のスペーサを兼ねたものとなる。従って、
図14に示すトルクセンサTSは、上記実施例に示した
ものに対して、2つの脱磁コイル3及びボビン3aに相
当する分だけ小型化を図ることができる。
【0073】更に、シャフトSを円筒状のもの、即ち中
空状のもので構成したが、このシャフトSは、円柱状の
もの、即ち中実状のもので構成してもよい。
【0074】また、シャフトSは低炭素鋼で構成した
が、これに限らず正の磁歪定数をもつ材料で構成されて
いれば良い。
【0075】
【発明の効果】請求項1に係る発明においては、トルク
(T)の測定対象であるシャフト(S)を脱磁ヨーク
(4)の各端面部(42、43)の部分を通すように挿
入すれば、励振コア(11、12)及び検出コア(1
3、14)の先端面(11a、12a、13a、14
a)がシャフト(S)の外周面(Sa)に対向した状態
になり、シャフト(S)のトルク(T)を検出すること
ができる状態になる。従って、シャフト(S)に何らの
加工も施す必要がないので、即座にトルクを検出するこ
とができる。
【0076】トルク(T)を検出する際には、励振コイ
ル(15)に所定の周波数の例えば正弦波の電流を供給
する。この際、シャフト(S)にトルク(T)が作用し
ていなければ、励振コイル(15)で発生した磁束は、
例えば一方の励振コア(11)からシャフト(S)の外
周面(Sa)の部分、他方の励振コア(12)及び励振
ヨークを通って再び一方の励振コア(11)に戻る閉回
路を流れることになり、検出コア(13、14)の検出
コイル(16)に電圧を誘起させることがない。
【0077】即ち、一方の励振コア(11)と他方の励
振コア(12)との間に一対の検出コア(13、14)
が配置された状態になっていることから、シャフト
(S)の外周面(Sa)の部分には、一方の励振コア
(11)、一方の検出コア(13)及び他方の励振コア
(12)の各位置を通る第1の磁路(Sa1)と、一方
の励振コア(11)、他方の検出コア(14)、他方の
励振コア(12)の各位置を通る第2の磁路(Sa2)
とが存在する。そして、シャフト(S)にトルク(T)
が作用していないときには、第1の磁路(Sa1)及び
第2の磁路(Sa2)の各磁気抵抗が等しいために、各
検出コア(13、14)に磁束が流入することがなく、
よって検出コイル(16)に電圧が誘起させることがな
い。
【0078】一方、シャフト(S)にトルク(T)が作
用すると、シャフト(S)の外周面(Sa)の部分に
は、軸線(C)に対して45度の方向に引張又は圧縮の
応力が発生する。即ち、軸線(C)に対して例えば+4
5度の角度(θ)方向に引張応力が発生するとすれば、
−45度の角度(θ)方向には圧縮応力が発生すること
になる。このため、例えば第1の磁路(Sa1)におけ
る一方の励振コア(11)と一方の検出コア(13)と
の間(第1の磁気抵抗部(R1))に引張応力が発生す
るとすれば、一方の検出コア(13)と他方の励振コア
(12)との間(第2の磁気抵抗部(R2))には圧縮
応力が発生し、一方の励振コア(11)と他方の検出コ
ア(14)との間(第3の磁気抵抗部(R3))には圧
縮応力が発生し、他方の検出コア(14)と他方の励振
コア(12)との間(第4の磁気抵抗部(R4))には
引張応力が発生することになる。
【0079】シャフト(S)として例えば低炭素鋼のよ
うな磁歪定数が正の材料を用いれば、引張応力が作用す
る部分では比透磁率が増加して磁気抵抗が減少し、圧縮
応力が作用する部分では比透磁率が減少して磁気抵抗が
増加することになることから、上記のような応力状態に
なると、シャフト(S)における第1及び第4の磁気抵
抗部(R1、R4)では磁気抵抗が小さくなり、第2及
び第3の磁気抵抗部(R2、R3)では磁気抵抗が大き
くなる。このため、磁束は、第1の磁気抵抗部(R
1)、一方の検出コア(13)、検出ヨーク、他方の検
出コア(14)及び第4の磁気抵抗部(R4)を通るこ
とになる。即ち、各検出コア(13、14)に磁束が流
れ込むことになり、検出コイル(16)に電圧が誘起さ
れることになる。
【0080】この電圧は、上記応力の大きさ、即ちトル
ク(T)の大きさと一定の関係がある。従って、検出コ
イル(16)に誘起される電圧を測定することによっ
て、シャフト(S)に作用するトルク(T)を検出する
ことができる。その場合、励振コア(11、12)や検
出コア(13、14)に対してシャフト(S)が回転し
ていたり、軸線(C)方向に移動していたりするような
状態でも、トルク(T)の検出が可能である。
【0081】また、上述のようなトルク(T)は、所定
の時間間隔をおいて測定することになるが、その測定の
間に脱磁コイル(3)に所定の周波数の電流を流すこと
によって、シャフト(S)の外周面(Sa)部分の脱磁
をすることができる。このような脱磁することによっ
て、トルク(T)と、検出コア(13、14)に生じる
出力電圧(Vo)との関係が安定し、一定の関係が得ら
れるようになるので、トルク(T)の検出精度が向上す
ると共に、出力電圧(Vo)からトルク(T)への換算
が容易になる。しかも、所定のトルク(T)に対する電
圧(Vo)の出力値が大きくなるので、即ちトルク感度
(αt)が大きくなるので、トルク(T)の検出精度を
より向上させることができる。
【0082】更に、脱磁コイル(3)によって生じた磁
束は、シャフト(S)の外周面(Sa)の部分、脱磁ヨ
ーク(4)における一方の端面部(42)、円筒部(4
1)、他方の端面部(43)からなる閉回路を流れるこ
とになる。従って、きわめて効率良くシャフト(S)の
脱磁をすることができる。しかも、トルクセンサに対し
てシャフト(S)が回転していたり、軸線(C)方向に
移動していたりするような場合でも、シャフト(S)の
脱磁をすることができる。
【0083】請求項2記載の発明においては、トルク検
出極(10)をシャフト(S)の軸線(C)に対して対
称となる位置に配置しているので、これらの対称位置に
ある検出コイル(16)からの出力電圧(Vo)を検出
することにより、各トルク検出極(10)における励振
コア(11、12)及び検出コア(13、14)の先端
面(11a、12a、13a、14a)とシャフト
(S)の外周面(Sa)との間のギャップ(g)の変動
による影響を除去することができる。
【0084】請求項3記載の発明においては、励振ヨー
ク及び検出ヨークを円筒ヨーク(2)として一体に形成
しているので、部品点数の低減を図ることができる。し
かも、複数のトルク検出極(10)を容易に構成するこ
とができるという利点がある。
【0085】請求項4記載の発明においては、ステアリ
ングシャフト(S)の周囲にトルクセンサを嵌合するだ
けで、ステアリングシャフト(S)にかかるトルク
(T)を検出することができる。このため、最小限の設
計変更によりハンドルに作用するトルク(T)を検出す
ることができる。従って、市場の要求を満足する製品を
最小限のコストで提供することができる。なお、例えば
自動車におけるステアリングシャフトのトルク検出値
は、電動や油圧等のパワーステアリングを装備した際
に、アシスト制御のためのデータとして使用されことに
なる。
【0086】また、トルクセンサが非接触であることか
ら耐久性に全く問題がなく、パワーステアリングにおけ
る信頼性の向上を図ることができる。しかも、トルクセ
ンサを部品点数の少ない小型のもので構成することがで
きることから、自動車におけるステアリングシャフトの
トルク(T)検出にきわめて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例として示したトルクセンサ
の斜視図である。
【図2】同トルクセンサにおける軸線に直交する方向の
断面図である。
【図3】同トルクセンサにおける軸線に沿う方向の断面
図であって、検出コア及び脱磁コイルの部分を示す断面
図である。
【図4】同トルクセンサにおける軸線に沿う方向の断面
図であって、励振コア及び脱磁コイルの部分を示す断面
図である。
【図5】同トルクセンサにおける励振コア及び検出コア
を示す平面図である。
【図6】同トルクセンサのトルク測定装置を示すブロッ
ク図である。
【図7】同トルクセンサの実験例で示した図であって、
シャフトに加えた脱磁磁界の概念波形を示す図である。
【図8】同トルクセンサの実験例で示した図であって、
シャフトを磁化させた際のヒステリシスループ(実験結
果)を示す図である。
【図9】同トルクセンサの実験例で示した図であって、
シャフトについての交流常規磁化特性(実験結果)を示
す図である。
【図10】同トルクセンサの実験例で示した図であっ
て、トルクTに対する出力電圧Voの概念図である。
【図11】同トルクセンサの実験例で示した図であっ
て、ギャップg=0μmにおける脱磁の有無のトルクT
に対する出力電圧Voの特性(実験結果)を示す図であ
る。
【図12】同トルクセンサの実験例で示した図であっ
て、ギャップgをパラメータとして変化させた際のトル
クTに対する出力電圧Voの特性(実験結果)を示す図
である。
【図13】同トルクセンサの実験例で示した図であっ
て、ギャップgに対する、トルク感度αt、ヒステリシ
スεh、ヒステリシスによる出力電圧差Vhについての
実験結果を示す図である。
【図14】同トルクセンサにおける脱磁コイルの他の例
を示す断面図である。
【符号の説明】
10 トルク検出極 11、12 励振コア 11a、12a 先端面 13、14 検出コア 13a、14a 先端面 15 励振コイル 16 検出コイル 2 円筒ヨーク(励振ヨーク、検出ヨーク) 3 脱磁コイル 4 脱磁ヨーク 41 円筒部 42、43 端面部 C 軸線 L1 周方向線(一方の方向の線) L2 傾斜線 P2 交点部 S シャフト Sa 外周面 TS トルクセンサ θ 角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂野 一成 長野県長野市栗田715−40 東邦ハイツ栗 田307号室 (72)発明者 村松 宏行 静岡県湖西市鷲津2028番地 富士機工株式 会社鷲津工場内 Fターム(参考) 2F051 AA01 AB05 BA03 3D033 CA28 DB05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線(C)に対して同心円状の外周面
    (Sa)を有するシャフト(S)にかかる前記軸線
    (C)回りのトルク(T)を検出するためのトルクセン
    サであって、 前記シャフト(S)の外周面(Sa)における軸線
    (C)方向及び周方向のいずれか一方の方向に所定の間
    隔をおいて配置され、先端面(11a、12a)をシャ
    フト(S)の外周面(Sa)に対向させるようにして同
    外周面(Sa)から半径方向外側に延在するように設け
    られた一対の励振コア(11、12)と、 これらの励振コア(11、12)の基端部を連結する励
    振ヨークと、 前記励振コア(11、12)に巻回された励振コイル
    (15)と、 前記シャフト(S)の外周面(Sa)における前記一対
    の励振コア(11、12)を結ぶ線(L1)を挟んでそ
    の両側に配置され、かつ前記外周面(Sa)に沿って各
    励振コア(11、12)の位置から前記線(L1)に対
    して直交する線上(C)に配置された一対の検出コア
    (13、14)と、 これらの検出コア(13、14)の基端部を連結する検
    出ヨークと、 前記検出コア(13、14)に巻回された検出コイル
    (16)と、 前記シャフト(S)の外周面(Sa)を囲むように巻回
    された脱磁コイル(3)と、 前記シャフト(S)に対してその外周面(Sa)から所
    定の間隔を隔てて同心円状に配置される円筒部(41)
    及びこの円筒部(41)の軸線(C)方向の各端部から
    シャフト(S)の外周面(Sa)に対向するように延び
    る一対の端面部(42、43)を有し、前記シャフト
    (S)の外周面(Sa)の部分、一方の端面部(4
    2)、円筒部(41)及び他方の端面部(43)によっ
    て前記脱磁コイル(3)で発生する磁束の閉回路を構成
    する脱磁ヨーク(4)とを備えていることを特徴とする
    トルクセンサ。
  2. 【請求項2】 一対の励振コア(11、12)、励振ヨ
    ーク、励振コイル(15)、一対の検出コア(13、1
    4)、検出ヨーク、検出コイル(16)を備えたトルク
    検出極(10)を、シャフト(S)の軸線(C)に対し
    て対称となる位置に少なくとも一対設けるように構成し
    たことを特徴とする請求項1記載のトルクセンサ。
  3. 【請求項3】 励振ヨーク及び検出ヨークは、シャフト
    (S)に同心円状に配置される円筒ヨーク(2)によっ
    て一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は
    2記載のトルクセンサ。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のトルクセンサ
    における被測定体としてのシャフト(S)としてステア
    リングシャフトを用い、このステアリングシャフトのト
    ルク(T)を検出するように構成したことを特徴とする
    ステアリングシャフトのトルク検出装置。
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