JP2000265153A - 光硬化性剥離剤およびそれを用いたセパレータ - Google Patents

光硬化性剥離剤およびそれを用いたセパレータ

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JP2000265153A
JP2000265153A JP11070519A JP7051999A JP2000265153A JP 2000265153 A JP2000265153 A JP 2000265153A JP 11070519 A JP11070519 A JP 11070519A JP 7051999 A JP7051999 A JP 7051999A JP 2000265153 A JP2000265153 A JP 2000265153A
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Shinya Moriyama
真也 護山
Takashi Kobayashi
敬司 小林
Yutaka Sasaki
裕 佐々木
Akira Kuriyama
晃 栗山
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Toagosei Co Ltd
Momentive Performance Materials Japan LLC
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Toagosei Co Ltd
GE Toshiba Silicones Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗工性、硬化性、密着性、被膜形成性および
剥離特性に優れ、ジッピングを生じない光硬化性シリコ
ーン剥離剤;ならびにそれを用いたセパレータを提供す
る。 【解決手段】 (A)オキセタン環およびオキシラン環
を有し、ケイ素原子数が平均10〜1,000のポリオ
ルガノシロキサン;または(C)1分子中に少なくとも
2個のオキセタン環を有する同様のポリオルガノシロキ
サンと、(D)1分子中に少なくとも2個のオキシラン
環を有する同様のポリオルガノシロキサンとの組合せ;
および(B)触媒量のオニウム塩光反応開始剤を含むこ
とを特徴とする光硬化性剥離剤;ならびにそれを用いた
セパレータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な光硬化性剥
離剤に関し、さらに詳しくは、硬化速度および剥離特性
に優れた光硬化性シリコーン剥離剤に関する。また、本
発明は、そのような剥離剤を用いたセパレータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオルガノシロキサンを主成分とする
組成物を、各種の紙、合成フィルム、繊維などの基材の
表面で硬化させて被膜を形成することにより、粘着性物
質に対する剥離性を付与することは、よく知られてい
る。
【0003】このようなシリコーン剥離剤には、縮合反
応により硬化するもの(特開昭47−34447号公報
など参照)や、付加反応により硬化するもの(特公昭5
2−40918号公報など参照)が知られている。しか
し、これらの硬化反応を行うには加熱する必要があるた
め、硬化温度に耐える基材でないと適用できないという
欠点がある。
【0004】加熱硬化型シリコーン剥離剤のこのような
欠点を克服するため、各種の紫外線硬化型シリコーン組
成物が開発されている(特開昭56−166224号、
特開昭58−213024号、特開昭60−47064
号、特開昭60−84329号、特開昭61−2932
68号、特開平1−297421号、特開平1−311
103号各公報参照)。紫外線照射装置は、幅射線照射
装置の1種であるが、経済的に入手でき、保守が容易で
あり、かつ使用者への危険が少ないために、最も広く使
用されている。この方法では、通常、硬化時間が短くて
すみ、また熱エネルギーによって損傷を受けるような基
材でも、塗工後に加熱することはなく、紫外線照射によ
り硬化させることができるという利点がある。
【0005】従来の紫外線硬化型シリコーンは、硬化形
態により、およそ次の4種に分類される。 (1)ケイ素原子に結合したビニル基とヒドロシリル基
を、白金系触媒の存在下に、紫外線による反応で硬化さ
せるタイプ。 (2)(メタ)アクリル基含有ポリオルガノシロキサン
を、ラジカル開裂型光反応触媒の存在下に、紫外線によ
る反応で硬化させるタイプ。 (3)ケイ素原子に結合したビニル基と、炭素鎖を介し
てケイ素原子に結合したメルカプト基を、ラジカル開裂
型光反応触媒の存在下に、紫外線による反応で硬化させ
るタイプ。 (4)分子中にエポキシ基または炭素官能性ビニルエー
テル構造を有するポリオルガノシロキサンを、カオチン
発生型触媒の存在下に、紫外線による反応で硬化させる
タイプ。
【0006】上記(1)のタイプは、高価な触媒を多量
に使用することが必要であり、経済的に好ましくない。
【0007】(2)のタイプは、硬化は速いが、酸素に
よる硬化阻害があるため、不活性ガス雰囲気下で反応さ
せる必要がある。それゆえ、装置上の工夫を要するう
え、不活性ガスのランニングコストがかかるという欠点
がある。
【0008】(3)のタイプは、酸素による硬化阻害が
少なく、硬化性に優れているが、メルカプト基を含有す
るため、不快臭が強くて作業者にとり好ましくない。そ
のうえ組成物の安定性が悪く、シェルフライフが短いと
いう欠点を有する。
【0009】(4)のタイプは、紫外線により硬化し、
酸素による硬化阻害もなく、不快臭もない点で、優れた
硬化機構である。しかしながら、グリシドキシ、3,4
−エポキシシクロヘキシルのようなオキシラン環の官能
性による従来の紫外線硬化性剥離剤は、軽い剥離力を示
す硬化被膜が得られず、また粘着剤層から剥離剤層を剥
がす際に、剥離音(ジッピング)を生じやすく、実用
上、障害になることがある。特にグリシドキシ基による
場合は、硬化速度が十分でないので、生産性のために硬
化速度を上げるという最近の要望には、十分に対応でき
ない。また、ビニルエーテル官能性によるものは、光反
応性ポリマーの合成が煩雑であり、コスト的に好ましく
ない。
【0010】特開平6−16804号公報には、オキセ
タン化合物の光反応を利用した光硬化性組成物が、紫外
線によって優れた硬化速度が得られることが開示されて
おり、そのようなオキセタン化合物として、直鎖状また
は分岐状ポリオルガノシロキサンにオキセタン環含有基
を導入したものが開示されている。しかしながら、この
硬化機構によって剥離性被膜を形成することは、同公報
には開示されていない。
【0011】一般に、紫外線によって硬化するポリオル
ガノシロキサン組成物を剥離剤として用いる場合、塗工
性、被膜形成性、剥離特性など、剥離剤として必要な諸
特性を満足させるために、光反応性ポリマーの分子構造
や分子量などの検討が必要である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の紫外線硬化型シリコーン剥離剤が有する各種の制約を
受けず、塗工性、硬化性、密着性、被膜形成性および剥
離特性に優れ、ジッピングを生じない光硬化性シリコー
ン剥離剤;ならびにそれを用いたセパレータを提供する
ことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために検討を重ねた結果、分子中に少なく
とも1個のオキセタン環および少なくとも1個のオキシ
ラン環を含有するポリオルガノシロキサンを光反応性ポ
リマーとして用い、または分子中に少なくとも2個のオ
キセタン環を含有するポリオルガノシロキサンと、分子
中に少なくとも2個のオキシラン環を含有するポリオル
ガノシロキサンとを光反応性ポリマーとして併用するこ
とにより、その目的を達成しうることを見出して、本発
明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明の光硬化性剥離剤は、
(A)平均単位式: (R1)a(R2)b(R3)c SiO(4-a-b-c)/2 (I) (式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよ
い、オキセタン環およびオキシラン環をもたない置換ま
たは非置換の1価の炭化水素基を表し、一部は水素原
子、水酸基または炭素数1〜4のアルコキシル基でもよ
く;R2 は、一般式:
【化3】 (式中、R4 は、水素原子、置換もしくは非置換の1価
の炭化水素基またはハロゲン原子を表し;R5 は、炭素
数1〜6の2価の炭化水素基を表し;Zは酸素原子また
は硫黄原子を表す)で示されるオキセタン環含有基を表
し;R3 は、その炭素原子がケイ素原子に結合したオキ
シラン環含有基を表し;aは、a+b+cの合計が1.
2〜2.2になる数であり;bは、0.0002〜1.
0であり;cは、0.0002〜1.0である)で示さ
れ、分子中に少なくとも1個の該オキセタン環含有基お
よび少なくとも1個の該オキシラン環含有基を有する、
ケイ素原子数が10〜1,000のポリオルガノシロキ
サン;ならびに(B)触媒量のオニウム塩光反応開始剤
を含むことを特徴とする。
【0015】本発明のもう一つのタイプの光硬化性剥離
剤は、(C)平均単位式: (R1)a(R2)b SiO(4-a-b)/2 (II) (式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよ
い、オキセタン環およびオキシラン環をもたない置換ま
たは非置換の1価の炭化水素基を表し、一部は水素原
子、水酸基または炭素数1〜4のアルコキシル基でもよ
く;R2 は、一般式:
【化4】 (式中、R4 は、水素原子、置換もしくは非置換の1価
の炭化水素基またはハロゲン原子を表し;R5 は、炭素
数1〜6の2価の炭化水素基を表し;Zは酸素原子また
は硫黄原子を表す)で示されるオキセタン環含有基を表
し;aは、a+bの合計が1.2〜2.2になる数であ
り;bは、0.0004〜1.0である)で示され、分
子中に少なくとも2個の該オキセタン環含有基を有す
る、ケイ素原子数が10〜1,000のオキセタン環含
有ポリオルガノシロキサン; (D)平均単位式: (R1)a(R3)c SiO(4-a-c)/2 (III) (式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよ
い、オキセタン環およびオキシラン環をもたない置換ま
たは非置換の1価の炭化水素基を表し、一部は水素原
子、水酸基または炭素数1〜4のアルコキシル基でもよ
く;R3 は、その炭素原子がケイ素原子に結合したオキ
シラン環含有基を表し;aは、a+cの合計が1.2〜
2.2になる数であり;cは、0.0004〜1.0で
ある)で示され、分子中に少なくとも2個の該オキセタ
ン環含有基および該オキシラン環含有基を有する、ケイ
素原子数が10〜1,000のオキシラン環含有ポリオ
ルガノシロキサン;ならびに(B)触媒量のオニウム塩
光反応開始剤を含むことを特徴とする。
【0016】また、本発明のセパレータは、上述の本発
明のいずれかの光硬化性剥離剤を基材に塗工し、紫外線
によって硬化させて、基材表面に硬化剥離剤層を形成さ
せたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、剥離剤の光反応
性ポリマーとして用いられるポリオルガノシロキサン
に、光硬化性官能基を有する有機基として、オキセタン
環含有基R2 およびオキシラン環含有基R3 を有するこ
とである。R2 とR3 は、上記の(A)成分のように同
じポリオルガノシロキサンに導入してもよく、そのこと
によって、(A)成分を単独で光反応性ポリマーとして
用いることができる。一方、R2とR3 は、それぞれを
上記の(C)成分および(D)成分のように別途のポリ
オルガノシロキサンに導入し、両者を光反応性ポリマー
として併用してもよい。また、必要に応じて、(A)成
分を(C)成分および/または(D)成分と併用しても
差支えない。
【0018】(A)成分は、本発明の剥離剤に単独で使
用できる光反応性ポリマーであり、1分子中に少なくと
も1個のオキセタン環含有基と、少なくとも1個のオキ
シラン環含有基を有するポリオルガノシロキサンであ
り、1種でも、2種以上でもよく、一般式: (R1)a(R2)b(R3)c SiO(4-a-b-c)/2 (I) (式中、R1 、R2 、R3 、a、bおよびcは前述のと
おりである)で示されるシロキサン単位から構成され
る。そのシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよ
く、また分子全体としてもしくは部分的に、環状や網状
のシロキサン骨格を形成していてもよい。硬化した剥離
剤が優れた物性を示すことから、直鎖状または分岐状の
ものが好ましい。
【0019】R1 は、ケイ素原子に結合し、オキセタン
環およびオキシラン環を含まない基であって、たがいに
同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の
炭化水素基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、
ドデシルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;シ
クロヘキシルのようなシクロアルキル基;ビニル、アリ
ルのようなアルケニル基;フェニル、トリルのようなア
リール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル
のようなアラルキル基が例示され;さらにこれらの炭化
水素基の水素原子の一部が他の原子または基で置換され
たもの、すなわちクロロメチル、3−クロロプロピル、
3,3,3−トリフルオロプロピルのようなハロゲン化
アルキル基;3−シアノプロピルのようなシアノアルキ
ル基などの置換炭化水素基が例示される。これらのう
ち、合成が容易で、(A)成分が分子量の割に低い粘度
を有し、硬化前の剥離剤に良好な作業性を与えること
と、硬化後の剥離剤に良好な剥離性を与えることから、
全R1 の85%以上がメチル基であることが好ましく、
実質的にすべてのR1 がメチル基であることが特に好ま
しい。また、R1 の一部は、水素原子;水酸基;および
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシのような炭
素数1〜4のアルコキシル基から選ばれるケイ素官能性
基でもよい。これらのケイ素官能性基は、分子末端など
に意図的に導入されたり、(A)成分を合成する際に不
可避的に生じたり、または(A)成分にR2 および/ま
たはR3 を導入する際に残存したものである。
【0020】R2 は、たがいに同一でも異なっていても
よく、一般式:
【化5】 で示されるオキセタン環含有基である。R4 は、たがい
に同一でも異なっていてもよく、水素原子のほか;メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルの
ような直鎖または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル
のようなシクロアルキル基;ビニル、アリルのようなア
ルケニル基;フェニル、トリルのようなアリール基など
の1価の炭化水素基;炭素数1〜6のフッ化アルキル、
塩化アルキルのようなハロゲン化炭化水素などの1価の
置換炭化水素基;ならびにフッ素、塩素のようなハロゲ
ン原子が例示され、未硬化状態での(A)成分の粘度が
低く、硬化後に優れた剥離性が得られることからメチ
ル、エチル、プロピルのような低級アルキル基が好まし
く、エチル基が特に好ましい。
【0021】R5 としては、メチレン、トリメチレン、
2−メチルトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチ
レン、ヘキサメチレンのような直鎖状または分岐状のア
ルキレン基;シクロヘキシレン基およびフェニレン基が
例示され、(A)成分および剥離剤の安定性や物性が優
れていることからメチレン基およびトリメチレン基が好
ましく、中でも(A)成分の合成が容易なことからトリ
メチレン基が特に好ましい。
【0022】Zは酸素原子または硫黄原子であり、合成
が容易なことから、酸素原子が好ましい。
【0023】R3 は、たがいに同一でも異なっていても
よい、その炭素原子がケイ素原子に結合したオキシラン
環含有基である。R3 としては、2−(3,4−オキシ
シクロヘキシル)エチルのような、環炭素原子がオキシ
ラン酸素原子によって置換されたアラルキル基;7,8
−オキシオクチル基のような、オキシラン酸素原子によ
って置換されたアルキル基;3−グリシドキシプロピ
ル、4−グリシドキシブチルのようなグリシジル基含有
基などが例示され、優れた硬化性および剥離性が得られ
ることから、2−(3,4−オキシシクロヘキシル)エ
チル基が好ましい。
【0024】R1 、R2 およびR3 は、分子中の任意の
ケイ素原子に結合していてもよいが、合成が容易で、か
つR2 およびR3 が光硬化反応に有効に寄与するには、
2とR3 は、たがいに、またそれぞれが複数個存在す
る場合は相互に、別個のケイ素原子に結合していること
が好ましい。すなわち、本発明のポリオルガノシロキサ
ンを構成する個々のシロキサン単位は、一般式: (R1)k(R2)m(R3)n SiO(4-k-m-n)/2 (Ia) (式中、R1 、R2 、R3 は前述のとおり;k、m、n
はそれぞれ独立して0〜3で、k+m+nもまた0〜3
である)で示されるが、m+nは0または1であること
が好ましい。
【0025】ポリオルガノシロキサン全体としての平均
単位式は、前述の式(I)で示され、aはa+b+cの
合計が1.2〜2.2になる数である。この数が1.2
末端のものは優れた剥離性が得られず、また2.2を越
えても剥離性の硬化被膜が得られない。bは0.000
2〜1.0、cは0.0002〜1.0であり、好まし
くはb+cの合計が0.001〜0.4の範囲である。
bとcの比、すなわち分子中のR2 とR3 の比は、硬化
後の組成に、ジッピングのない良好な剥離特性を与え、
かつ密着性に優れた剥離面を与えることから、(A)成
分全体として1:100〜100:1の範囲が好まし
く、1:20〜20:1がさらに好ましい。
【0026】(A)成分が紫外線によって網状構造を形
成することにより、剥離剤が優れた硬化性を示し、かつ
基材表面に優れた剥離性を有する硬化被膜を形成するた
めに、1分子中のオキセタン環含有基R2 およびオキシ
ラン環含有基R3 の数は、前述のようにそれぞれ少なく
とも1個である。硬化被膜が軽い剥離力を示すには、R
2 またはR3 を有するシロキサン単位は、(A)成分の
全シロキサン単位に対して80モル%以下が好ましい。
【0027】このようなシロキサン単位の組合せからな
る(A)成分のケイ素原子数は、重量平均で10〜1,
000であり、10〜500の範囲が好ましい。ケイ素
原子数が平均10未満では、剥離性の硬化被膜が得られ
ない。一方、1,000を越えるものは、剥離剤の粘度
が上昇して、無溶媒における塗工が困難になるばかりで
なく、得られた硬化被膜の剥離性と移行性が劣る。
【0028】また、(A)成分の25℃における粘度
は、無溶媒における塗工が容易で、光硬化反応中にゲル
状物を形成せず、良好な剥離性被膜を形成できることか
ら、20〜500,000cPの範囲が好ましく、20〜
100,000cPの範囲がさらに好ましい。
【0029】このような(A)成分は、たとえば次のよ
うにして合成される。すなわち、オキセタン環含有基お
よびオキシラン環含有基を導入したいシロキサン単位に
ケイ素原子に結合した水素原子を有する、平均単位式: (R1)ab+c SiO(4-a-b-c)/2 (IV) (式中、R1 、a、bおよびcは前述のとおり)で示さ
れ、目的物であるポリオルガノシロキサンと同様のシロ
キサン骨格を有するポリオルガノハイドロジェンシロキ
サンを合成する。これに、たとえば炭素−炭素脂肪族不
飽和結合を有するオキセタン環含有化合物、および同様
な結合を有するオキシラン環含有化合物を、ヒドロシリ
ル化触媒の存在下に反応させる。
【0030】上記のオキセタン環含有化合物としては、
代表的には、下記の一般式:
【化6】 (式中、R4 およびZは前述のとおりであり;R6 は炭
素数3〜6のアルケニル基を表す)で示されるアルケニ
ル基含有オキセタン化合物を、白金系触媒の存在下にヒ
ドロシリル化反応させる。R6 としては、アリル、1−
ブテニル、1−ペンテニルおよび1−ヘキセニルが挙げ
られ、アリル基が好ましい。このような化合物として
は、3−アリルオキシメチルオキセタン、3−メチル−
3−アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−
アリルオキシメチルオキセタン、3−プロピル−3−ア
リルオキシメチルオキセタン、3−ブチル−3−アリル
オキシメチルオキセタン、3−シクロヘキシル−3−ア
リルオキシメチルオキセタン、3−フェニル−3−アリ
ルオキシメチルオキセタン、3−クロロメチル−3−ア
リルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アリル
オキシエチルオキセタンなどが例示される。
【0031】また、オキシラン環含有化合物としては、
4−ビニルシクロヘキセンオキシド、7,8−オキシ−
1−オクテン、アリルグリシジルエ−テル、1−ブテニ
ルグリシジルエ−テルなどが例示される。
【0032】ヒドロシリル化触媒としては、塩化白金
酸、塩化白金酸とアルコールを加熱して得られる白金錯
体、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯
体、ロジウム−ホスフィン錯体、ロジウム−スルフィド
錯体、パラジウム−ホスフィン錯体のような、分子中に
白金族元素を有する化合物が例示され、副反応を起こさ
ずにヒドロシリル化反応を有効に行いうることから、ロ
ジウム−スルフィド錯体が好ましい。ヒドロシリル化触
媒の量は、白金族金属原子に換算して、ポリオルガノハ
イドロジェンシロキサンの単位量あたり0.1〜100
ppm の範囲で十分である。反応は、触媒の種類と量に応
じて、常温から150℃までの温度で行うことができ
る。少量の触媒によって反応を円滑に進行させるため
に、トルエン、キシレンのような溶媒を用いてもよい。
【0033】上記のオキセタン環含有化合物とオキシラ
ン環含有化合物は、あらかじめ両者を混合しておいて、
混合物をポリオルガノハイドロジェンシロキサンに添加
して、同時にヒドロシリル化反応させてもよく、また別
個に添加して段階的にヒドロシリル化反応させてもよい
が、ポリオルガノシロキサンに導入されるオキセタン環
とオキシラン環の比率を正確に制御するには、どちらか
一方を先に添加して反応させ、反応終了後に他方を添加
して反応させることが好ましい。反応の順序は、どちら
を先にしてもよい。ヒドロシリル化触媒は、両方の不飽
和化合物のヒドロシリル化反応に共通に用いることがで
きるので、段階的なヒドロシリル化反応の間に、新たに
触媒を加える必要はない。
【0034】あるいは、上述のポリオルガノハイドロジ
ェンシロキサンに、ビニル基のようなアルケニル基を含
有するポリオルガノシロキサンを付加反応させて予備架
橋体を形成させた後、残存するSi−H結合に上述のア
ルケニル基含有オキタセン化合物およびアルケニル基含
有オキシラン化合物を反応させてもよい。反応はいずれ
もヒドロシリル化反応であり、同様の白金系触媒と反応
条件を用いることができる。得られるオキタセン環とオ
キシラン環とを含有するポリオルガノシロキサンは、分
子中に一部のシルアルキレン鎖を有するが、本発明の
(A)成分と同様に光硬化反応に用いることができ、本
発明の(A)成分に包含される。
【0035】本発明においては、光反応性ポリマーとし
て用いるポリオルガノシロキサンに、オキセタン環とオ
キシラン環とを導入するために、上記の(A)成分を用
いる代わりに、(C)成分と(D)成分を併用してもよ
い。
【0036】(C)成分は、分子中にオキシラン環含有
基を含まない以外は(A)成分と同様のオキセタン環含
有ポリオルガノシロキサンであり、1種でも、2種以上
でもよい。(C)成分においては、1分子中に少なくと
も2個のオキセタン環含有基R2 を有し、bが0.00
04〜1.0である以外は、(A)成分と同様である。
このような(C)成分は、たとえば(A)成分の合成法
に準じて、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとア
ルケニル基含有オキセタン化合物を、分子中に白金族元
素を有する化合物である触媒の存在下に、付加反応させ
ることによって合成できる。
【0037】(D)成分は、分子中にオキセタン環含有
基を含まない以外は、(A)成分と同様のオキシラン環
含有ポリオルガノシロキサンであり、1種でも2種以上
でもよい。(D)成分においては、1分子中に少なくと
も2個のオキシラン環含有基R3 を有し、cが0.00
04〜1.0である以外は、(A)成分と同様である。
このような(D)成分は、たとえば(A)成分の合成法
に準じて、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとア
ルケニル基含有オキシラン化合物を、分子中に白金族金
属を有する化合物である触媒の存在下に、付加反応させ
ることによって合成できる。
【0038】(C)成分と(D)成分の配合比は、
(A)成分について述べたのと同様の理由から、(C)
成分中のR2 と(D)成分中のR3 の比が1:100〜
100:1の範囲になるような比が好ましく、1:20
〜20:1になるような比がさらに好ましい。
【0039】(B)成分は、紫外線によって励起される
光反応性ポリマーの光硬化反応の開始剤として寄与する
成分であり、(A)成分に、または(C)成分と(D)
成分との混合物に溶解し、紫外線によってオキセタン環
およびオキシラン環を開環させるものであれば、特に限
定されない。
【0040】本発明に用いられる(B)成分としては、
光開始剤として優れた触媒能があり、(A)成分への溶
解性も優れていることから、一般式: (R6)x+ ・Y- (式中、R6 はたがいに同一でも異なっていてもよい置
換または非置換の、(i)芳香環炭素原子がEに直接結
合している芳香族炭素環式基、および(ii)ピリジル、
チオフェニル、ピラニルのような芳香族複素環基から選
ばれる1価の基を表し;EはI、S、SeまたはPから
選ばれる中心元素を表し;Y- はBF4 -、PF6 -、As
6 -、SbF6 -、HSO4 -、ClO4 -およびB(C6
5)4 -から選ばれる非塩基性かつ非求核性の陰イオンを表
し;xはEがIのとき2、EがSまたはSeのとき3、
EがPのとき4である)で示されるオニウム塩が好まし
い。
【0041】上記(i)としては、フェニル、ナフチル
のような1価の芳香族炭素環基のほか、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、
ドデシルのようなアルキル基;メトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ、ブトキシ、デシルオキシのようなアルコキシ
ル基;塩素原子、臭素原子のようなハロゲン原子;シア
ノ基;メルカプト、チオフェニルのような硫黄含有基お
よびカルボキシル基から選ばれる基によって置換された
1価の芳香族炭素環基が例示される。置換基の数は通常
4個までであり、R6 の炭素数が6〜20のものが好ま
しい。
【0042】(B)成分の配合量は、光反応開始剤とし
ての有効量であって、特に限定されないが、適度な硬化
速度をあたえることと経済性から、(A)成分または
(C)、(D)成分である光反応性ポリマー100重量
部に対し、0.5〜6重量部が好ましい。
【0043】本発明の剥離剤には、上記(A)成分また
は(C)、(D)成分および(B)成分の他に、必要に
応じて、煙霧質シリカ、沈殿シリカ、ポリメチルシルセ
スキオキサン球状粒子のような粉体;ペンゾフェノン、
チオキサントン、アミノキサントン、ベンゾフラビン、
9,10−ジエチルアントラセン、アクリジンオレン
ジ、アクリジンイエロー、ホスフィンRのような増感剤
などを配合することができる。
【0044】本発明の剥離剤は、無溶剤で使用されるも
のであるが、場合により、溶媒で希釈して用いることが
できる。溶媒としては、トルエン、キシレンのような炭
化水素系溶媒;イソプロピルアルコール、ブチルアルコ
ールのようなアルコール系溶媒などが例示され、溶解性
および塗工性が優れていることから、アルコール系溶媒
が望ましい。
【0045】光反応性ポリマーとして(A)成分を用
い、または(C)成分と(D)成分を併用した本発明の
剥離剤を、基材の表面に塗工し、紫外線を照射して硬化
させることにより、表面に硬化剥離剤層を有するセパレ
ータを作製できる。ここでセパレータとは、基材の両面
または片面にこのような剥離剤層を形成させ、剥離すべ
き物質の間に挿入して使用するもの、基材の片面に剥離
剤層を形成させ、接着剤層を有するシートの接着剤層と
対向させて用いるものなど、任意の使用形態のものを包
含する。基材としては、クラフト紙、グラシン紙、パー
チメント紙のような紙;ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンテレフタレートのようなプラスチック
フィルム;およびポリエチレンラミネート紙のような両
者の積層体が用いられる。塗工は、本発明の剥離剤を無
溶媒で、または必要に応じて前述の溶媒に溶解した溶液
として、グラビア、ロールコーター、ナイフコーター、
メイヤーバーその他、任意の器具を用いる方法で行うこ
とができる。
【0046】紫外線は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタ
ルハライドランプなどの光源から照射する、通常の方法
で行うことができる。
【0047】
【発明の効果】本発明によって、光反応性ポリマーのポ
リオルガノシロキサンに、官能基としてオキセタン環と
オキシラン環の両者を導入することにより、紫外線硬化
性に優れた剥離剤が得られる。これを用いたセパレータ
は、優れた剥離特性を示す。特に本発明の剥離剤は、同
じ官能基量のオキシラン環のみを有する、従来のポリオ
ルガノシロキサンを光反応性ポリマーとして用いる剥離
剤に比べて、格段に軽い剥離力を示すとともにジッピン
グの低減を図ることができる。また、同じ官能基量のオ
キセタン環のみを有するポリオルガノシロキサンを光反
応性ポリマーとして用いる剥離剤に比べて、優れた硬化
性と、基材に対する密着性を示す。本発明のセパレータ
は、優れた硬化性と軽い剥離力を必要とする用途に、特
に有用である。
【0048】
【実施例】以下、合成例、実施例および比較例によっ
て、本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの
実施例によって限定されるものではない。なお、これら
の例において、部はすべて重量部を表し、粘度は25℃
における値である。また、これらの例において用いら
れ、または合成されたポリオルガノシロキサンの構成単
位式において、シロキサン単位は、表1に示す記号で表
した。なお、合成例3で用いられたジシロキサン以外
は、すべて平均式である。また、2種以上の中間単位を
有するポリオルガノシロキサンの構成単位式は、ブロッ
ク共重合体を意味せず、各シロキサン単位はランダムに
存在する。また、直鎖状シロキサン骨格を有するポリオ
ルガノシロキサンにおいて、末端シロキサン単位である
OXEPの数は、いずれも分子中の平均値を両末端に割
り振って示したものである。
【0049】
【表1】
【0050】合成例1 平均式MDH 1088Mで示されるポリメチルハイドロジ
ェンシロキサン100部をトルエン80部に溶解し、こ
れにトリクロロトリス(ジブチルスルフィド)ロジウム
(III)を、ポリメチルハイドロジェンシロキサンに対し
てロジウム原子換算5ppm となるように添加し、撹拌し
ながら130℃まで昇温した。このものに、3−エチル
−3−アリルオキシメチルオキセタン25.7部を滴下
し、加熱撹拌を2時間続けることにより、付加反応させ
た。その後、10Torr以下まで減圧し、130℃におい
て3時間加熱撹拌することにより、トルエンおよび未反
応物を留去して、反応生成物を得た。
【0051】得られた反応生成物をフーリエ変換赤外分
光分析にかけたところ、2160cm-1のSi−Hの吸収
は完全に消失していた。反応生成物の 1H−NMRスペ
クトルは、Si−CH3 による0.08ppm およびオキ
セタン環による3.07〜3.17ppm のピークを示し
た。これらの結果から、該反応生成物が、オキセタン環
を有するポリオルガノシロキサンであることを確認し
た。
【0052】合成例2〜4 合成例1と同様のポリメチルハイドロジェンシロキサン
を用い、表2に示す量比で、まず3−エチル−3−アリ
ルオキシメチルオキセタンを滴下し、ついで4−ビニル
シクロヘキセンオキシドを滴下した後、加熱撹拌を2時
間続けた以外は合成例1と同様にして、反応生成物を得
た。IRスペクトルは、2160cm-1のSi−Hの吸収
の完全な消失を示し、 1H−NMRスペクトルから、該
反応生成物が、それぞれ滴下したオキセタン化合物とオ
キシラン化合物のモル比に応じて、オキセタン環および
オキシラン環を有するポリオルガノシロキサンであるこ
とを確認した。
【0053】合成例5 3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタンの代わ
りに4−ビニルシクロヘキセンオキシド20.4部を用
いた以外は合成例1と同様にして、反応生成物を得た。
IRおよび 1H−NMRスペクトルから、該反応生成物
が、オキシラン環含有ポリオルガノシロキサンであるこ
とを確認した。
【0054】合成例6〜10 表2に示すように、各種のポリメチルハイドロジェンシ
ロキサンを用いて、合成例3と同様に、3−エチル−3
−アリルオキシメチルオキセタンと、ついで4−ビニル
シクロヘキセンオキシドを滴下した。ただし、合成例7
では、4−ビニルシクロヘキセンオキシドのみを滴下に
用いた。以下、合成例1と同様にして、それぞれの反応
生成物を得た。ただし、合成例9では、加熱撹拌を7時
間行った。IRスペクトルおよび 1H−NMRスペクト
ルから、各反応生成物が目的の官能基を有するポリオル
ガノシロキサンであることを確認した。
【0055】合成例11 表2に示すように、平均式MDH 1088Mで示される直
鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン70部、およ
び平均式MH 5DQ8 で示される分岐状ポリメチルハイド
ロジェンシロキサン30部を、トルエン70部に溶解
し、これにトリクロロトリス(ジブチルスルフィド)ロ
ジウム(III)を、全ポリメチルハイドロジェンシロキサ
ンに対してロジウム原子換算5ppm となるように添加
し、撹拌しながら130℃まで昇温した。これに、3−
エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン51.2部
および4−ビニルシクロヘキセンオキシド48.9部を
滴下し、2時間反応させた。ついで10Torr以下まで減
圧し、130℃で3時間加熱撹拌し、トルエンおよび未
反応物を留去して反応生成物を得た。該反応生成物をフ
ーリエ変換赤外分光分析にかけたところ、2160cm-1
のSi−Hの吸収は完全に消失していた。
【0056】これらの合成例で得られたオキセタン環お
よび/またはオキシラン環を含有するポリオルガノシロ
キサンの外観、粘度およびSi−H結合の残存は、表2
に示すとおりであり、該ポリオルガノシロキサンの平均
式は、表3に示すとおりであった。以下、これらのポリ
オルガノシロキサンを、表3に示すように略称する。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】実施例1〜8、比較例1〜5 合成例1〜11で得られた、オキセタン環および/また
はオキシラン環を含有するポリオルガノシロキサン、あ
るいはそれらから調製して得られた混合シロキサンの各
100部に、ビス(ドデシルフェニルヨードニウム)ヘ
キサフルオロアンチモン塩を各0.5部添加して均一に
混合することにより、実施例1〜8の剥離剤、ならびに
官能基としてオキセタン環のみを有するポリオルガノシ
ロキサンを用いた比較例1、オキシラン環のみを有する
ポリオルガノシロキサンを用いた比較例2および3、オ
キセタン環とオキシラン環の両方を有するジシロキサン
を用いた比較例4、同様に両方の光官能基を有し、重合
度1,900のポリオルガノシロキサンを用いた比較例
5の剥離剤を調製した。これらの剥離剤について、次の
ような方法で供試体を作製し、評価した。
【0060】供試体の作成 各実施例および比較例で調製した剥離剤を、それぞれポ
リエチレンラミネート紙(75g/m2)に1.3g/m2の厚
さで塗工し、80W/cmの高圧水銀灯1灯を10cmの高さ
に設置した硬化帯域を、速度5m/min のコンベアに乗せ
て通すことにより、剥離剤を硬化させた。硬化後、室温
で1日養生した後、以下の試験に供した。
【0061】剥離力の測定 養生後の硬化被膜面に、粘着剤BPS8170(東洋イ
ンキ(株)製、商品名)を厚さ0.13mm(5mil)に湿
式塗工し、100℃で5分間乾燥した後、上質紙(65
g/m2)を貼付して、25℃で1日養生した。これを18
0°の方向に0.3m/min の速度で引き剥がして、剥離
力を求めた。
【0062】残留接着率の測定 養生後の硬化被膜面に、ニットー31Bテープ(2.5
cm幅、日東電工(株)製、商品名)を貼り付け、20g/
cm2 の荷重をかけて、70℃で20時間放置した後、テ
ープを剥がし、剥がしたテープをステンレス板(JIS
C2107)に貼り付けて、2kgゴムローラーで圧着
し、25℃で3時間エージングさせた。エージング後、
180°の方向に引張り、剥離力(f)を測定した。一
方、ブランク試料として、ポリテトラフルオロエチレン
フィルムに、ニットー31Bテープ(日東電工(株)
製、商品名)を貼り付け、同様の操作により剥離力(f
0)を測定した。残留接着率(%)は、次の式によって算
出した。 残留接着率(%)=(f/f0)×100
【0063】移行性 養生後の硬化被膜面に、厚さ25μm のポリエチレンテ
レフタレートフィルムを合わせ、室温で10kg/cm2の荷
重をかけて1時間圧着した後、マジックインキでポリエ
チレンテレフタレートフィルムに線を引き、インキのは
じき具合を評価した。 ○・・・はじきなし △・・・ややはじきあり ×・・・はじきあり
【0064】密着性 UV照射の直後に、硬化被膜を指で強くこすり、被膜の
脱落の程度を評価した。 ○・・・脱落なし △・・・やや脱落あり ×・・・脱落が大きい
【0065】ジッピング 養生後の硬化被膜に、ニットー31Bテープを貼り付
け、20g/cm2 の荷重をかけて、70℃で20時間放置
した後、テープを素早く剥がし、その時の剥離音の大き
さについて評価した。 ◎・・・剥離音なし ○・・・剥離音ややあり △・・・剥離音あり ×・・・剥離音が大きい
【0066】これらの評価結果は、表4に示すとおりで
あった。
【0067】
【表4】
【0068】ケイ素原子数が平均10〜1,000の、
(A)オキセタン環およびオキシラン環を含有するポリ
オルガノシロキサンを光反応性ポリマーとして用い;ま
たは(C)オキセタン環含有ポリオルガノシロキサンと
(D)オキシラン環含有ポリオルガノシロキサンを光反
応性ポリマーとして併用する剥離剤から、短時間の紫外
線照射によって、硬化性および剥離特性に優れ、かつジ
ッピングを生じない、優れたセパレータが得られること
が明らかになった。特に軽い剥離力を有するセパレータ
は、分子末端にMox単位およびMEP単位を有する、直鎖
状または若干の分岐を含むポリオルガノシロキサンから
得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 敬司 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内 (72)発明者 佐々木 裕 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 栗山 晃 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 Fターム(参考) 4F100 AH02H AH05H AH08H AK04 AK52A AL05A AT00B BA02 CA30A DG10 GB90 JA07A JB14A JK06 JL00 JL08A JL08H JL14A YY00A 4J002 CP051 CP081 EB026 EV296 EW176 EY006 EY016 EY026 FD010 FD206 GH00 GP03 4J038 DL051 JC17 JC29 KA04 PA17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)平均単位式: (R1)a(R2)b(R3)c SiO(4-a-b-c)/2 (I) (式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよ
    い、オキセタン環およびオキシラン環をもたない置換ま
    たは非置換の1価の炭化水素基を表し、一部は水素原
    子、水酸基または炭素数1〜4のアルコキシル基でもよ
    く;R2 は、一般式: 【化1】 (式中、R4 は、水素原子、置換もしくは非置換の1価
    の炭化水素基またはハロゲン原子を表し;R5 は、炭素
    数1〜6の2価の炭化水素基を表し;Zは酸素原子また
    は硫黄原子を表す)で示されるオキセタン環含有基を表
    し;R3 は、その炭素原子がケイ素原子に結合したオキ
    シラン環含有基を表し;aは、a+b+cの合計が1.
    2〜2.2になる数であり;bは、0.0002〜1.
    0であり;cは、0.0002〜1.0である)で示さ
    れ、分子中に少なくとも1個の該オキセタン環含有基お
    よび少なくとも1個の該オキシラン環含有基を有する、
    ケイ素原子数が10〜1,000のポリオルガノシロキ
    サン;ならびに (B)触媒量のオニウム塩光反応開始剤を含むことを特
    徴とする光硬化性剥離剤。
  2. 【請求項2】 (C)平均単位式: (R1)a(R2)b SiO(4-a-b)/2 (II) (式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよ
    い、オキセタン環およびオキシラン環をもたない置換ま
    たは非置換の1価の炭化水素基を表し、一部は水素原
    子、水酸基または炭素数1〜4のアルコキシル基でもよ
    く;R2 は、一般式: 【化2】 (式中、R4 は、水素原子、置換もしくは非置換の1価
    の炭化水素基またはハロゲン原子を表し;R5 は、炭素
    数1〜6の2価の炭化水素基を表し;Zは酸素原子また
    は硫黄原子を表す)で示されるオキセタン環含有基を表
    し;aは、a+bの合計が1.2〜2.2になる数であ
    り;bは、0.0004〜1.0である)で示され、分
    子中に少なくとも2個の該オキセタン環含有基を有す
    る、ケイ素原子数が10〜1,000のオキセタン環含
    有ポリオルガノシロキサン; (D)平均単位式: (R1)a(R3)c SiO(4-a-c)/2 (III) (式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよ
    い、オキセタン環およびオキシラン環をもたない置換ま
    たは非置換の1価の炭化水素基を表し、一部は水素原
    子、水酸基または炭素数1〜4のアルコキシル基でもよ
    く;R3 は、その炭素原子がケイ素原子に結合したオキ
    シラン環含有基を表し;aは、a+cの合計が1.2〜
    2.2になる数であり;cは、0.0004〜1.0で
    ある)で示され、分子中に少なくとも2個の該オキセタ
    ン環含有基および該オキシラン環含有基を有する、ケイ
    素原子数が10〜1,000のポリオルガノシロキサ
    ン;ならびに(B)触媒量のオニウム塩光反応開始剤を
    含むことを特徴とする光硬化性剥離剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光硬化性剥離剤
    を基材表面に塗工し、紫外線によって硬化させたセパレ
    ータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6881765B2 (en) 2003-03-10 2005-04-19 Toagosei Co., Ltd. Curable release agent and separator using same
JP2006131848A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Toagosei Co Ltd ポリオルガノシロキサン及びその製造方法、並びにポリオルガノシロキサンを含有する硬化性組成物

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US6881765B2 (en) 2003-03-10 2005-04-19 Toagosei Co., Ltd. Curable release agent and separator using same
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