JP2000263416A - ドレッシング装置及び該ドレッシング装置を備えたポリッシング装置 - Google Patents

ドレッシング装置及び該ドレッシング装置を備えたポリッシング装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドレッサー本体の姿勢を電磁気力によって制
御しながらターンテーブルの研磨面のドレッシングを行
うことにより、ターンテーブルの研磨面の平坦度を高め
ることができるドレッシング装置及び該ドレッシング装
置を備えたポリッシング装置を提供する。 【解決手段】 ポリッシング対象物と摺接するターンテ
ーブル1上の研磨面のドレッシングを行うドレッシング
装置5において、研磨面に接触して研磨面のドレッシン
グを行うドレッサー本体9と、ドレッサー本体9をター
ンテーブル1の研磨面に対して押圧する押圧手段22
と、ドレッサー本体9の姿勢を電磁気力によって制御す
る姿勢制御手段11とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ表
面、特に半導体ウエハの上面に形成されたデバイスパタ
ーンを研磨クロス面に接触させて研磨して平坦化するポ
リッシング装置に係り、特にポリッシング装置における
ターンテーブルに貼付られた研磨クロスのドレッシング
を行うドレッシング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイスの高集積化が進む
につれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭く
なりつつある。特に0.5μm以下の光リソグラフィの
場合、焦点深度が浅くなるためステッパの結像面の平坦
度を必要とする。そこで、半導体ウエハの表面を平坦化
することが必要となるが、この平坦化の一手段として所
定成分の研磨液を供給しながら機械的研磨を行なう化学
的機械的研磨処理(CMP)など処理方法が実用化され
ている。
【0003】半導体ウエハ表面、特に半導体ウエハの上
面に形成されたデバイスパターンを研磨し平坦化するポ
リッシング装置においては、ターンテーブル上面に貼付
られた研磨クロスには、従来、不織布からなる研磨クロ
スを用いていた。しかしながら、近年、ICやLSIの
集積度が高くなるに従って、研磨後の研磨面の段差がよ
り小さいことが要望されている。この段差の小さい研磨
の要望に応えるため、研磨クロスに硬い材質のもの、例
えば発泡ポリウレタンからなる研磨クロスを用いるよう
になってきた。
【0004】研磨クロスに半導体ウエハを接触させて、
ターンテーブルを回転することによりポリッシングを行
うと、研磨クロスには砥粒や研磨くずが付着し、また、
研磨クロスの特性が変化して研磨性能が劣化してくる。
このため、同一の研磨クロスを用いて半導体ウエハの研
磨を繰り返すと研磨速度が低下し、また、研磨ムラが生
じる等の問題がある。そこで、半導体ウエハの研磨の前
後、または最中に研磨クロス面の表面状態を回復するド
レッシングと称されるコンディショニングが行われてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】発泡ポリウレタン等か
らなる硬い研磨クロスをドレッシングする場合、通常、
ダイヤモンド等の硬度の高い材質の工具を具備したドレ
ッサーによって研磨クロスの表面をドレッシングしてい
る。例えば、ダイヤモンドのドレッサーを使用する場
合、研磨クロスはドレッシングのたびに削られていく。
例えばIC1000(ロデール社製)などの発泡ポリウ
レタン製の研磨クロスは、毎回1μm以下の精度を要求
されながら削られていく。このときの削られた研磨クロ
スの上面の形状(即ち、研磨面の形状)と、ポリッシン
グを行ったときの被研磨物の削れ形状には相関があり、
研磨クロスが平坦な研磨面を形成していれば被研磨物は
均一性よく研磨されていく。ところが、ドレッサーの姿
勢が悪い場合や、ドレッサーから研磨クロスに加わる押
圧力の分布が不均一の場合は研磨クロスが平坦に削られ
ず、被研磨物が均一性よく研磨されないという問題があ
った。
【0006】上述のダイヤモンドのドレッサーで研磨ク
ロスをドレッシングする場合、ドレッサーを研磨クロス
に押付ける押圧力を小さくするほど研磨クロスの削れ量
が小さくなり、研磨クロスの寿命の点から好ましいこと
が知られている。しかしながら、ドレッサーの押圧力を
小さくするとドレッサーの姿勢が不安定になり、研磨ク
ロスが平坦に削られず、研磨面にうねりが形成されると
いう問題点があった。本発明は、上述の事情に鑑みなさ
れたもので、ドレッサー本体の姿勢を電磁気力によって
制御しながらターンテーブルの研磨面のドレッシングを
行うことにより、ターンテーブルの研磨面の平坦度を高
めることができるドレッシング装置及び該ドレッシング
装置を備えたポリッシング装置を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明のドレッシング装置は、ポリッシング対象
物と摺接するターンテーブル上の研磨面のドレッシング
を行うドレッシング装置において、前記研磨面に接触し
て研磨面のドレッシングを行うドレッサー本体と、該ド
レッサー本体をターンテーブルの研磨面に対して押圧す
る押圧手段と、前記ドレッサー本体の姿勢を電磁気力に
よって制御する姿勢制御手段とを設けたことを特徴とす
るものである。
【0008】また本発明のポリッシング装置は、ポリッ
シング対象物と摺接する研磨面を有するターンテーブル
と、前記研磨面のドレッシングを行うドレッシング装置
とを備えたポリッシング装置において、前記研磨面に接
触して研磨面のドレッシングを行うドレッサー本体と、
該ドレッサー本体をターンテーブルの研磨面に対して押
圧する押圧手段と、前記ドレッサー本体の姿勢を電磁気
力によって制御する姿勢制御手段とを設けたことを特徴
とするものである。
【0009】本発明によれば、電磁気力を応用して研磨
クロスの上面等の研磨面をドレッシングするドレッサー
の姿勢を制御することにより、ドレッサーから研磨面に
加わる押圧力の面圧分布を最適の状態にしてドレッシン
グを行い、平坦度の高い研磨面を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るドレッシング
装置およびポリッシング装置の実施の形態を図1乃至図
11を参照して説明する。図1はポリッシング装置の第
1の実施形態の全体構成を示す縦断面図であり、図2は
ドレッシング装置の要部断面図である。図1および図2
に示すように、ポリッシング装置は、上面に研磨クロス
2を貼ったターンテーブル1と、研磨クロス2のドレッ
シングを行うためのドレッシング装置5とを備えてい
る。ドレッシング装置5は、研磨クロス2のドレッシン
グをするためのドレッサー6と、ドレッサー6を支持し
かつドレッサー6に押圧力と回転駆動力とを与えるドレ
ッサー駆動軸7と、ドレッサー駆動軸7からドレッサー
6へ互いの傾動を許容しつつ押圧力を伝達する自在継手
部8と、ドレッサー6の姿勢を制御する姿勢制御装置1
1とから構成されている。また、ターンテーブル1の上
方にはドレッシング液供給ノズル60が設置されてお
り、ドレッシング液供給ノズル60によってターンテー
ブル1上の研磨クロス2上にドレッシング液が供給され
るようになっている。研磨クロス2の上面は半導体ウエ
ハの被研磨面と摺接する研磨面を構成している。
【0011】ドレッサー6は、図2に示すように、下部
の保持板9Aと上部の上部板9Bとからなるドレッサー
本体9と、ドレッサー本体9の下面の凸部に形成された
ダイヤモンド電着リング10とからなっている。
【0012】前記ドレッサー駆動軸7は、図1に示すよ
うに、ドレッサーヘッド21に固定されたドレッサー用
エアシリンダ22に連結されており、このドレッサー用
エアシリンダ22によってドレッサー駆動軸7は上下動
し、ドレッサー6の下端面のダイヤモンド電着リング1
0をターンテーブル1に押圧するようになっている。
【0013】また、ドレッサー駆動軸7はキー(図示せ
ず)を介して回転筒23に連結されており、この回転筒
23はその外周部にタイミングプーリ24を有してい
る。そして、タイミングプーリ24は、タイミングベル
ト25を介して、ドレッサーヘッド21に固定されたド
レッサー用モータ26に設けられたタイミングプーリ2
7に接続されている。したがって、ドレッサー用モータ
26を回転駆動することによってタイミングプーリ2
7、タイミングベルト25およびタイミングプーリ24
を介して回転筒23およびドレッサー駆動軸7が一体に
回転し、ドレッサー6が回転する。ドレッサーヘッド2
1は、フレームに固定支持されたドレッサーヘッドシャ
フト29によって支持されている。
【0014】一方、ドレッサー駆動軸7からドレッサー
6へ互いの傾動を許容しつつ押圧力を伝達する自在継手
部8は、ドレッサー6とドレッサー駆動軸7の互いの傾
動を可能とする球面軸受機構40と、ドレッサー駆動軸
7の回転をドレッサー本体9に伝達する回転伝達機構4
5とを有している。球面軸受機構40は、ドレッサー駆
動軸7の下端に固定された駆動フランジ41の下面の中
央に形成された球面状凹部41aと、上部板9Bの上面
の中央に形成された球面状凹部9aと、両凹部41a,
9a間に介装されたセラミックスのような高硬度材料か
らなるベアリングボール42とから構成されている。
【0015】回転伝達機構45は、駆動フランジ41に
固定された駆動ピン(図示せず)と上部板9Bに固定さ
れた被駆動ピン(図示せず)とから構成され、ドレッサ
ー本体9が傾いても、被駆動ピンと駆動ピンは相対的に
上下方向に移動可能であるため、互いの接触点をずらし
て係合し、ドレッサー駆動軸7の回転トルクをドレッサ
ー本体9に確実に伝達する。
【0016】次に、ドレッサー6の姿勢を制御する姿勢
制御装置11を図2乃至図6を参照して説明する。図2
は前述したようにドレッシング装置の要部断面図であ
り、図3は図2のIII−III線矢視図であり、図4は図3
のIV−IV線断面図である。図2および図3に示すよう
に、姿勢制御装置11は、ドレッサーヘッド21に固定
された電磁石コア12と、電磁石コア12より半径方向
の外方に向けて突出する4つの磁極12a,12b,1
2c,12dと、これら磁極12a〜12dに巻装され
た4つの電磁コイル13a,13b,13c,13d
と、磁極12a〜12dにギャップを有して対向した円
筒状のターゲット14とから構成されている。ターゲッ
ト14はドレッサー本体9に固定されている。
【0017】図4に示すように、各磁極12a〜12d
は、コ字形断面を有し、コ字形部の上部側に電磁コイル
13a〜13dが巻装されている。磁極12a〜12d
およびターゲット14はパーマロイ等の磁性材によって
構成されている。図3に示すように、電磁コイル13a
はX軸正方向側に配置され、電磁コイル13bはX軸負
方向側に配置されている。また電磁コイル13cはY軸
正方向側に配置され、電磁コイル13dはY軸負方向側
に配置されている。またX軸およびY軸に対して45゜
傾いた2つの軸P,Q上には、上下2個の変位センサが
対となった4対の変位センサ15a,15a;15
,15b;15c,15c;15d,15
が配置されている。各変位センサ対は、センサホル
ダ17により保持されている。
【0018】図5は、姿勢制御装置11を制御する制御
部の機能構成を示すブロック図である。図示するよう
に、制御部は、減算器30及びコントローラ31を具備
し、該減算器30にはドレッサーの姿勢の目標値と、セ
ンサ(変位センサ15a,15a;15b,15
;15c,15c;15d,15d)15
で検出され、座標変換部35で変換された制御対象(ド
レッサー6)の変位値α,βが入力され、その差が誤差
信号eα,eβとしてコントローラ31に入力される。
ここでα,βはそれぞれ図6に示すように,X軸回りの
傾き、Y軸回りの傾きを示す。X軸、Y軸は水平面内に
位置している。この場合、ドレッサー6はベアリングボ
ール42を中心としてX軸回りの傾動およびY軸回りの
傾動の複合運動となる。
【0019】誤差信号eα,eβ はPID+局部位相
進み処理部31−1で傾き制御及び減衰処理を受け、さ
らに振動除去のためノッチフィルタ31−2を通って電
圧指令信号Vα,Vβ に変換される。そして座標変換
部31−3で姿勢制御装置用の制御信号Vxu,Vyu
に変換されて駆動部32に供給される。
【0020】駆動部32は電磁コイル13a,13b,
13c,13dとこれらを励磁する駆動回路24で構成
されている。上記信号Vxu,Vyuのそれぞれは各駆
動回路24に供給され、該各駆動回路24でターゲット
14を図3に示すX,Y軸の正負の方向へ変位させるた
めの励磁電流Ixu+,Ixu−,Iyu+,Iyu
に変換され、電磁コイル13a,13b,13c,13
dに供給され、制御対象物(ドレッサー6)の姿勢を制
御する。この場合、ドレッサー6の回転中心(ベアリン
グボール42)と図3に示すターゲット14のX,Y軸
とは所定の高さ(L)離間しているため、ターゲット1
4を図3に示すX,Y軸の正負の方向に変位させると、
ドレッサー本体9、すなわちドレッサー6はベアリング
ボール42を中心として水平面に対して任意の方向に傾
動することができる。
【0021】図7はドレッサー本体9の詳細構造を示す
図であり、図7(a)は底面図、図7(b)はa−a断
面図、図7(c)はb部分の拡大図である。ドレッサー
本体9は円板状で下面の周端部に所定の幅で微粒のダイ
ヤモンドを電着させる帯状の凸部9aが形成されてな
り、該凸部9aの表面に微粒のダイヤモンドを電着させ
て形成したダイヤモンド電着リング10が設けられてい
る。
【0022】次に、図1乃至図7に示すように構成され
たポリッシング装置の作用を説明する。従来のポリッシ
ング装置と同様にトップリング(図示せず)の下面に半
導体ウエハ(図示せず)を保持させ、トップリングを回
転しているターンテーブル1に向かって押圧し、回転し
ているターンテーブル1の上面の研磨クロス2に半導体
ウエハを押圧する。一方、砥液供給ノズル(図示せず)
から研磨砥液を流すことにより、研磨クロス2に研磨砥
液が保持されており、半導体ウエハの被研磨面(下面)
と研磨クロス2の間に研磨砥液が存在した状態でポリッ
シングが行われる。このポリッシング作業を所定時間継
続すると、研磨クロスには砥粒や研磨くずが付着し、ま
た、研磨クロスの特性が変化して研磨性能が劣化してい
る。このため、半導体ウエハの研磨の前後、または最中
に研磨クロス2の上面、即ち研磨面の状態を回復するド
レッシングをドレッシング装置5を用いて行う。即ち、
ターンテーブル1およびドレッサー6を回転させ、さら
に純水等のドレッシング液をドレッシング液供給ノズル
60から研磨クロス2の略回転中心部分に向かって供給
させた状態で、ダイヤモンド電着リング面を研磨クロス
面に当接させて、研磨クロス表面を薄く削り取りドレッ
シングを行う。ダイヤモンド電着リング10は凸部9a
の表面に微粒のダイヤモンドを付着させ、ダイヤモンド
付着部にニッケルメッキを施すことにより、ニッケルメ
ッキ層により微粒のダイヤモンドを固着した構造であ
る。
【0023】本ドレッサー6の寸法構成は、一例として
ドレッサー本体9の直径が250mmで、その下面の周
端部に幅6mmのダイヤモンド電着リング10を形成し
た構成である。また、ダイヤモンド電着リング10は複
数個(図では8個)に分割して形成している。ドレッサ
ー本体9の直径は、研磨対象物である半導体ウエハの直
径に対して大きくなっており、半導体ウエハの研磨時に
は研磨クロスのドレスアップされた面が半導体ウエハの
研磨面に対して、テーブルの半径方向の内周側及び外周
側に余裕を持つようになっている。なお、ダイヤモンド
電着リングからなるダイヤモンドドレッサーに代えて複
数のSiCセクターからなるリングを使用したSiCド
レッサーとしてもよい。この場合、SiCドレッサー
は、図7に示す構造と同様のものであり、表面に数十μ
mの角錐状の多数の突起を有したものからなっている。
【0024】上記ドレッシング中に、ドレッサー本体9
の姿勢を姿勢制御装置11により制御する。この場合、
上述したように、ドレッサー本体9の傾きを変位センサ
15(15a,15a;15b,15b;15
,15c;15d,15d)の出力を処理し
て検知し、ドレッサー本体9の傾きを水平面に合致させ
るか、又は水平面に対して任意の方向に任意の角度に制
御することができ、ドレッサー本体9のドレッシング
面、即ちダイヤモンド電着リング10の下面と研磨クロ
ス2の上面、即ち研磨面との平行度を維持し、ドレッシ
ングを行うことができる。
【0025】本実施形態によれば、ドレッサー本体9を
ターンテーブル1の研磨面に対して押し付ける押圧力
は、エアシリンダの押圧力をそのままドレッサー6に伝
達することにより得るようにしている。そして、ドレッ
サー6の傾きの制御のみを電磁気力を用いた姿勢制御装
置11により行うようにしている。そのため、姿勢制御
装置11が小型になり、簡易な構造になる。ドレッサー
6の姿勢を制御する際には、予めターンテーブル1の上
面の研磨面の状態(うねり等)を計測してコントローラ
に入力しておき、この入力値に基づきドレッサー6の最
適な姿勢を求めておく。そして、変位センサ15により
ドレッサー6の姿勢を検知しつつ、姿勢制御装置11に
より、ドレッサー6の姿勢を最適な状態に制御する。
【0026】次に、本発明のドレッシング装置及びポリ
ッシング装置の第2の実施の形態を図8乃至図11を参
照して説明する。図8はポリッシング装置の縦断面図で
あり、図9は図8のIX−IX線断面図であり、図10は図
9のX−X線断面図である。第2の実施形態において
は、ドレッサー6および姿勢制御装置11を含むドレッ
サーユニットの構成は第1の実施形態と同一であるが、
ターンテーブルの構成、即ちターンテーブルの姿勢を制
御することができるようになっている点が異なってい
る。
【0027】図8に示すように、研磨クロス2を上面に
有したターンテーブル101とモータ(図示せず)の回
転軸102とは、上下のカップリング部材103,10
4を介して連結されている。下部カップリング部材10
4はモータの回転軸102の上端に固定され、上部カッ
プリング部材103はターンテーブル101の下面に固
定されている。そして、下部カップリング部材104と
上部カップリング部材103との間には自動調芯ころ軸
受105が配設されており、ターンテーブル101と上
部カップリング部材103とが自動調芯ころ軸受105
を中心として下部カップリング部材104に対して全方
向に傾くことができるようになっている。また下部カッ
プリング部材104には短柱状のピン106が植設され
ており、このピン106は上部カップリング部材103
の係合孔103aに係合してターンテーブル101が回
転するようになっている。なお係合孔103aとピン1
06との間には、ターンテーブル101の傾きを吸収で
きるように所定の隙間が形成されるようになっている。
【0028】本実施の形態においては、ターンテーブル
101の姿勢を制御する姿勢制御装置111が設けられ
ている。姿勢制御装置111は、フレーム28に固定さ
れた電磁石コア112と、電磁石コア112に設けられ
た4つの磁極112a,112b,112c,112d
と、これら磁極112a〜112dに巻装された4つの
電磁コイル113a,113b,113c,113d
と、磁極112a〜112dにギャップを有して対向し
た環状でかつ円盤状のターゲット114とから構成され
ている。ターゲット114はターンテーブル101に固
定されている。
【0029】図10に示すように、各磁極112a〜1
12dは、逆U字形断面を有し、逆U字形部の内部側に
電磁コイル113a〜113dが巻装されている。磁極
112a〜112dおよびターゲット114はパーマロ
イ等の磁性材によって構成されている。図9に示すよう
に、電磁コイル113aはX軸正方向側に配置され、電
磁コイル113bはX軸負方向側に配置されている。ま
た電磁コイル113cはY軸正方向側に配置され、電磁
コイル113dはY軸負方向側に配置されている。また
X軸およびY軸に対して45゜傾いた2つの軸R,S上
には、4個の変位センサ115a,115b,115
c,115dが配置されている。
【0030】図11は、姿勢制御装置111を制御する
制御部の機能構成を示すブロック図である。図示するよ
うに、ターンテーブル、ドレッサーそれぞれの制御部は
図5に示す制御部と同様の構成であり、両者の信号を入
力し両者の相対位置を精密に出すための演算部が付加さ
れた構成となっている。図11に示すようにドレッサー
の制御部は、減算器30及びコントローラ31を具備
し、減算器30には、ドレッサーの姿勢の目標値と、セ
ンサ15で検出され、座標変換器35で変換され、さら
に演算器36によりターンテーブルの傾き情報により修
正された制御対象の変位値α,βとが入力され、その差
が誤差信号eα,eβとしてコントローラ31に入力さ
れる。
【0031】一方、ターンテーブルの制御部では減算器
30’及びコントローラ31’を具備し、減算器30’
には、ターンテーブルの姿勢の目標値と、センサ115
(変位センサ115a,115b,115c,115
d)で検出され座標変換器35’で変換され、さらに演
算器36によりドレッサーの傾き情報により修正された
制御対象の変位値α’,β’とが入力され、その差が誤
差信号eα’,eβ’としてコントローラ31’に入力
される。
【0032】演算器36では、ドレッサー、ターンテー
ブルの傾き情報から相対的な誤差を演算し、それぞれの
目標値を修正することにより精度の高い制御が可能とな
る。通常はターンテーブルの傾きを基準としてドレッサ
ーの目標位置を修正することで精度を上げられるため、
ドレッサーへのフィードバックR1は省略できる。もち
ろん、演算器がない構成でもそれぞれの制御は可能であ
る。ここでα’,β’はそれぞれ図9において、X軸回
りの傾き、Y軸回りの傾きを示す。この場合、ターンテ
ーブル101は自動調芯ころ軸受105を中心としてX
軸回りの傾動およびY軸回りの傾動の複合運動となる。
【0033】誤差信号eα’,eβ’はPID+局部位
相進み処理部31’−1で傾き制御及び減衰処理を受
け、さらに振動除去のためノッチフィルタ31’−2を
通って電圧指令信号Vα’,Vβ’に変換される。そし
て座標変換部31’−3で姿勢制御装置用の制御信号V
x1,Vy1 に変換されて駆動部32’に供給され
る。
【0034】駆動部32’は電磁コイル113a,11
3b,113c,113dとこれらを励磁する駆動回路
24’で構成されている。上記信号Vx1,Vy1のそ
れぞれは各駆動回路24’に供給され、該各駆動回路2
4’でターゲット114を図8に示すX,Y軸の正負の
方向へ変位させるための励磁電流Ix1+,Ix1−,
y1+,Iy1−に変換され、電磁コイル113a,
113b,113c,113dに供給され、制御対象物
(ターンテーブル101)33’の姿勢を制御する。
【0035】図8乃至図11に示す実施形態によれば、
ドレッサー6の姿勢制御に加え、ターンテーブル101
の姿勢制御をすることができる。従って、ドレッサー本
体9のドレッシング面とターンテーブル101上の研磨
面との両者を最適な状態に維持して研磨面のドレッシン
グを行うことができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電磁気力を応用してドレッサーの姿勢を制御することに
より、ドレッサーから研磨面に加わる面圧分布を最適の
状態にしてドレッシングを行い、平坦度の高い研磨面を
得ることができる。また本発明によれば、ドレッサー本
体のドレッシング面をターンテーブルの研磨面に対して
押し付ける押圧力は、エアシリンダの押圧力をそのまま
ドレッサーに伝達することにより得るようにしている。
そして、ドレッサーの傾きの制御のみを電磁力を用いた
姿勢制御装置により行うようにしている。そのため、姿
勢制御装置が小型になり、簡易な構造になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリッシング装置の第1実施形態
の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るドレッシング装置の要部断面図で
ある。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】ドレッサーの姿勢制御装置を制御する制御部の
機能構成を示すブロック図である。
【図6】ドレッサーのX軸回りの傾きα、Y軸回りの傾
きβの関係を説明する図である。
【図7】ドレッサー本体の詳細構造を示す図であり、図
7(a)は底面図、図7(b)はa−a断面図、図7
(c)はb部分の拡大図である。
【図8】本発明に係るポリッシング装置の第2実施形態
の全体構成を示す縦断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】ターンテーブルの姿勢制御装置を制御する制
御部の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,56,101 ターンテーブル 2,57 研磨クロス 5 ドレッシング装置 6 ドレッサー 7 ドレッサー駆動軸 8 自在継手部 9 ドレッサー本体 10 ダイヤモンド電着リング 11,111 姿勢制御装置 12,112 電磁石コア 12a,12b,12c,12d,112a,112
b,112c,112d磁極 13a,13b,13c,13d,113a,113
b,113c,113d電磁コイル 14,114 ターゲット 15,15a,15a;15b,15b;15
,15c;15d,15d,115a,11
5b,115c,115d 変位センサ 21 ドレッサーヘッド 22 ドレッサー用エアシリンダ 23 回転筒 24 タイミングプーリ、駆動回路 25 タイミングベルト 26 ドレッサー用モータ 27 タイミングプーリ 29 ドレッサーヘッドシャフト 30 減算器 31 コントローラ 31−1 処理部 31−2 ノッチフィルタ 31−3 座標変換部 32 駆動部 40 球面軸受機構 41 フランジ 42 ベアリングボール 60 ドレッシング液供給ノズル 102 回転軸 103 下部カップリング部材 104 上部カップリング部材 104a 係合孔 105 自動調芯ころ軸受 106 ピン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリッシング対象物と摺接するターンテ
    ーブル上の研磨面のドレッシングを行うドレッシング装
    置において、 前記研磨面に接触して研磨面のドレッシングを行うドレ
    ッサー本体と、該ドレッサー本体をターンテーブルの研
    磨面に対して押圧する押圧手段と、前記ドレッサー本体
    の姿勢を電磁気力によって制御する姿勢制御手段とを設
    けたことを特徴とするドレッシング装置。
  2. 【請求項2】 前記姿勢制御手段は、前記ターンテーブ
    ルの走行方向に沿った研磨面に対する前記ドレッサー本
    体下面のドレッシング面の傾斜角度を制御することを特
    徴とする請求項1に記載のドレッシング装置。
  3. 【請求項3】 ポリッシング対象物と摺接する研磨面を
    有するターンテーブルと、前記研磨面のドレッシングを
    行うドレッシング装置とを備えたポリッシング装置にお
    いて、 前記研磨面に接触して研磨面のドレッシングを行うドレ
    ッサー本体と、該ドレッサー本体をターンテーブルの研
    磨面に対して押圧する押圧手段と、前記ドレッサー本体
    の姿勢を電磁気力によって制御する姿勢制御手段とを設
    けたことを特徴とするポリッシング装置。
  4. 【請求項4】 前記姿勢制御手段は、前記ターンテーブ
    ルの走行方向に沿った研磨面に対する前記ドレッサー本
    体下面のドレッシング面の傾斜角度を制御することを特
    徴とする請求項3に記載のポリッシング装置。
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