JP2000261410A - 拡散変調信号受信装置 - Google Patents

拡散変調信号受信装置

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JP2000261410A
JP2000261410A JP5743399A JP5743399A JP2000261410A JP 2000261410 A JP2000261410 A JP 2000261410A JP 5743399 A JP5743399 A JP 5743399A JP 5743399 A JP5743399 A JP 5743399A JP 2000261410 A JP2000261410 A JP 2000261410A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正規化信号に窓関数を乗除算し、正規化信号
中の雑音を時間領域で除去する際、窓関数の乗除算によ
る無効分をなくし、高分解能信号処理部9で主信号成分
と遅延信号成分を高時間分解能で正確に分離判別する拡
散変調信号受信装置を提供する。 【解決手段】 ベースバンド(BB)拡散変調信号を発
生する受信部1、参照信号を発生する参照信号発生部
4、各フーリエ変換したBB拡散変調信号と参照信号の
帯域幅を制限する第1及び第2フィルタ3、6、第1フ
ィルタ3の出力を第2フィルタ6の出力で除算して正規
化信号を発生する除算部7、第3フィルタ21を含み、
正規化信号中の雑音を除去するフィルタ部8、高分解能
信号処理部9を備え、フィルタ部8は、正規化信号に対
し、窓関数の乗算、フーリエ変換、雑音除去、信号波形
の補正、逆フーリエ変換、帯域幅の制限、窓関数の除算
を行う。第1及び第2フィルタ3、6は正規化信号の有
効帯域幅より広い帯域幅を有し、第3フィルタ21は正
規化信号の有効帯域幅に等しい帯域幅を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拡散変調信号受信
装置に係わり、特に、ベースバンド拡散変調信号を参照
信号で除算して得られた正規化信号に含まれる雑音成分
を、周波数領域における窓関数の利用によって除去し、
正規化信号中の主信号成分と遅延信号成分とを高い時間
分解能で分離判別することを可能にした拡散変調信号受
信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、移動体追尾方式は、所定領域内
を適宜移動する移動体の現在位置を電波を利用して追尾
するものであって、移動体が電波を送信する送信機を携
帯し、送信機から放射された電波を受信する複数のアン
テナを備えた基地局を所要領域の近傍に配置したもので
ある。そして、基地局は、受信電波に含まれる複数の信
号成分から最も早く到達する主信号成分を抽出し、主信
号成分の到来方向等を解析することによって、移動体の
現在位置を知ることができるものである。
【0003】この移動体追尾方式においては、移動体が
携帯する送信機と基地局との間で送受信する信号変調方
式に種々の信号変調方式が採用されているが、その信号
変調方式の中の1つにPN符号を用いた拡散変調方式が
ある。
【0004】ところで、PN符号を用いた拡散変調方式
は、通常、送信側において、送信データによりPSK
(位相シフトキーイング)等の1次変調信号を形成した
後、1次変調信号にPN(疑似ランダムノイズ)符号を
乗算してベースバンド拡散変調信号(2次変調信号)を
形成し、さらに、ベースバンド拡散変調信号を周波数変
換手段により送信信号に周波数変換し、信号電波として
送信するものである。また、受信側において、アンテナ
で受信した信号電波を周波数変換手段に供給してベース
バンド拡散変調信号を抽出し、得られたベースバンド拡
散変調信号と送信側で乗算したPN符号と同じ符号との
積和をとった相関信号を得た後、この相関信号を参照
し、相関値が最大となる時間においてデータを判別する
というPSK復調を行えば、送信データに対応した受信
データを再生することができる。
【0005】図26(イ)乃至(ニ)は、前記既知のP
N符号を用いた拡散変調方式に用いられる拡散変調信号
波形の一例を示す信号波形図であって、(イ)は1次変
調(PSK)信号、(ロ)はPN符号、(ハ)は1次変
調(PSK)信号とPN符号を乗算して得られる拡散変
調信号、(ニ)は周波数帯域が制限された拡散変調信号
の各波形を示すものである。
【0006】図26(イ)、(ロ)に示されるように、
1次変調(PSK)信号とPN符号との関係は、1次変
調(PSK)信号のそれぞれのビット間隔TにPN符号
の複数のチップ間隔Tcを割り当てているもので、通
常、T≫Tcになるように選ばれる。
【0007】次に、図27は、PN符号を用いた拡散変
調方式に用いられる拡散変調信号の周波数スペクトラム
を示す特性図である。
【0008】図27において、曲線(a)は1次変調
(PSK)信号の周波数スペクトラム、曲線(b)は拡
散変調信号の周波数スペクトラム、(c)は周波数帯域
が制限された拡散変調信号の周波数スペクトラムをそれ
ぞれ示す。
【0009】図27の曲線(a)、(b)に示されるよ
うに、1次変調(PSK)信号と拡散変調信号との周波
数スペクトラム分布関係を見た場合、1次変調(PS
K)信号の周波数スペクトラムは比較的狭い周波数範囲
に集中分布しているのに対し、拡散変調信号の周波数ス
ペクトラムは広い周波数範囲にわたって分布している。
【0010】なお、拡散変調信号の周波数スペクトラム
がその周波数に隣接する他の信号に対して妨害を与える
ときは、曲線(b)に示す周波数スペクトラムを曲線
(c)に示す周波数スペクトラムに周波数帯域の制限を
行う。そして、周波数帯域が制限された拡散変調信号
は、図26(ニ)に示されるように、信号振幅の変化が
滑らかな信号波形になる。
【0011】次いで、図12は、PN符号を用いた拡散
変調方式を移動体追尾方式に適用した既に開発されてい
る拡散変調信号受信装置の一例の要部構成を示すブロッ
ク図であって、本発明の先行技術に該当するものであ
る。
【0012】図12に図示の拡散変調信号受信装置は、
1系統のアンテナで受信した信号を処理し、主信号成分
と遅延信号成分とに分離する構成部分を示しているもの
である。そして、基地局は、通常、複数系統のアンテナ
を配置した構成を採用しているので、複数系統のアンテ
ナのそれぞれに対して同じ構成の拡散変調信号受信装置
が用いられる。
【0013】図12に示されるように、先行技術に係る
拡散変調信号受信装置は、受信部31と、第1フーリエ
変換部32と、第1フィルタ手段33と、参照信号発生
部34と、第2フーリエ変換部35と、第2フィルタ手
段36と、除算部37と、フィルタ部38と、高分解能
信号処理部39と、制御部40と、アンテナ41と、信
号出力端子42とからなっている。受信部31は、ベー
スバンド信号発生部43と、アナログ−ディジタル(A
/D)変換部44と、メモリ45とからなっている。ま
た、フィルタ部38は、周波数窓乗算部46と、フーリ
エ変換部47と、雑音除去部48と、信号波形補正部4
9と、逆フーリエ変換部50と、周波数窓除算部51と
からなっている。
【0014】この場合、高分解能信号処理部39は、多
重遅延信号を高い時間分解能で分離する信号処理部であ
って、例えば、R、O、Schmidtによる「Mul
tiple emitter location an
d signal parameter estima
tion](IEEE、vol.AP−34、no.
3、pp276−280、1986年3月)に開示され
ている「マルチプル・シグナル・クラシフィケーション
(MUSIC)」法による高分解能信号処理が用いられ
る。また、受信部31のベースバンド信号発生部43
は、アンテナ41で受信した信号電波を、周波数変換手
段及び信号フィルタ手段を用いてベースバンド拡散変調
信号に変換するものである。
【0015】そして、受信部31は、入力端がアンテナ
41に接続され、出力端が第1フーリエ変換部32の入
力端に接続される。第1フィルタ手段33は、入力端が
第1フーリエ変換部32の出力端に接続され、出力端が
除算部37の第1入力端に接続される。参照信号発生部
34は、出力端が第2フーリエ変換部35の入力端に接
続される。第2フィルタ手段36は、入力端が第2フー
リエ変換部35の出力端に接続され、出力端が除算部3
7の第2入力端に接続される。フィルタ部38は、入力
端が除算部37の出力端に接続され、出力端が高分解能
信号処理部39の入力端に接続される。高分解能信号処
理部39は、出力端が信号出力端子42に接続される。
制御部40は、受信部31、第1フーリエ変換部32、
参照信号発生部34、第2フーリエ変換部35、除算部
37、フィルタ部38、高分解能信号処理部39に各々
接続される。
【0016】また、受信部31において、ベースバンド
信号発生部43は、入力端が受信部31の入力端に接続
され、出力端がA/D変換部44の入力端に接続され
る。メモリ45は、入力端がA/D変換部44の出力端
に接続され、出力端が受信部31の出力端に接続され
る。フィルタ部38において、周波数窓乗算部46は、
入力端がフィルタ部38の入力端に接続され、出力端が
フーリエ変換部47の入力端に接続される。雑音除去部
48は、入力端がフーリエ変換部47の出力端に接続さ
れ、出力端が信号波形補正部49の入力端に接続され
る。逆フーリエ変換部50は、入力端が信号波形補正部
49の出力端に接続され、出力端が周波数窓除算部51
に接続される。周波数窓除算部51は、出力端がフィル
タ部38の出力端に接続される。
【0017】ここで、図21は、この種の拡散変調信号
受信装置において、送信側で用いられるPN符号の一例
を示す信号波形図である。また、図22は、同拡散変調
信号受信装置において、受信部31から出力されるベー
スバンド拡散変調信号の一例を示す信号波形図である。
なお、この例では、受信部1から出力されるベースバン
ド拡散変調信号が主信号成分と、主信号成分に対して時
間的に0.31チップ(0.31Tc)だけ遅延した遅
延信号成分の2つの信号波を含み、さらに雑音も含んで
いるものとしている。図23は、図22に図示されたベ
ースバンド拡散変調信号を、第1フーリエ変換部32で
フーリエ変換した後に得られる変換信号(周波数領域受
信信号)の周波数特性の一例を示す特性図であり、図2
4は、参照信号発生部34が出力する参照信号の一例を
示す信号波形図であり、図25は、図24に図示された
参照信号を、第2フーリエ変換部35でフーリエ変換し
た後に得られる変換信号(周波数領域参照信号)の周波
数特性の一例を示す特性図である。
【0018】続く、図13は、除算部37から出力され
る周波数領域の正規化信号の一例を示す特性図であり、
図14は、周波数窓乗算部46で乗算される周波数窓関
数の周波数特性の一例を示す特性図である。また、図1
5は、周波数窓乗算部46から出力される周波数窓乗算
正規化信号の周波数特性の一例を示す特性図であり、図
16は、雑音除去部48及び信号波形補正部48により
雑音除去と信号波形補正が行われる前後の時間領域正規
化信号の各一例を示す信号波形図である。さらに、図1
7は、逆フーリエ変換部50から出力された雑音除去後
の周波数領域の正規化信号の周波数特性の一例を示す特
性図であり、図18は、周波数窓除算部51で用いられ
る周波数窓関数の周波数特性の一例を示す特性図であ
る。また、図19は、周波数窓除算部51から出力され
た雑音除去後の正規化信号の周波数特性の一例を示す特
性図であり、図20は、高分解能信号処理部39が雑音
成分除去後の正規化信号を入力した場合に出力される相
関計量信号の一例を示す特性図である。
【0019】前記先行技術に係る拡散変調信号受信装置
の概略の動作を、図13乃至図25及び図27を用いて
説明すると、次のとおりである。
【0020】送信機側においては、送信データを図21
に示されるようなPN符号によって拡散変調し、図27
(b)に示されるような周波数帯域を持つ拡散変調信号
を形成し、この拡散変調信号を周波数帯域の制限をして
図27(c)に示されるような狭い周波数帯域を持つ拡
散変調信号を形成した後、周波数変換を行って送信信号
に変換し、この送信信号が信号電波として送信機から送
信される。
【0021】拡散変調信号受信装置側においては、送信
機から送信された信号電波をアンテナ41で捉え、受信
信号として受信部31に供給される。受信部31は、ベ
ースバンド信号発生部43が受信信号の増幅及び周波数
変換等の処理を行ってアナログ信号形式のベースバンド
拡散変調信号を形成し、A/D変換部44に供給する。
A/D変換部44は、アナログ信号形式のベースバンド
拡散変調信号をアナログ−ディジタル変換(A/D変
換)し、図22に示されるようなディジタル信号形式の
ベースバンド拡散変調信号に変換し、得られたディジタ
ル信号形式のベースバンド拡散変調信号は、メモリ45
に一時的に記憶される。
【0022】次に、メモリ45から読み出されたベース
バンド拡散変調信号は、第1フーリエ変換部32でフー
リエ変換され、図23に示されるような周波数領域受信
信号が形成され、第1フィルタ手段33に供給される。
第1フィルタ手段33は、周波数通過帯域幅がベースバ
ンド拡散変調信号の有効帯域幅Dに等しくなるように、
すなわち、周波数通過帯域が−0.5/Tcから0.5
/Tcまでの範囲内にあるように構成されているもの
で、周波数領域受信信号は、第1フィルタ手段33で周
波数帯域D内にある周波数領域受信信号が抽出され、除
算部37の第1入力端に供給される。
【0023】一方、参照信号発生部34から出力される
図24に示されるような参照信号は、第2フーリエ変換
部35でフーリエ変換され、図25に示されるような周
波数領域参照信号が形成され、第2フィルタ手段36に
供給される。第2フィルタ手段36は、周波数通過帯域
幅がベースバンド拡散変調信号の有効帯域幅Dに等しく
なるように、すなわち、周波数通過帯域が−0.5/T
cから0.5/Tcまでの範囲内にあるように構成され
ているもので、周波数領域参照信号は、第2フィルタ手
段36で周波数帯域D内にある周波数領域参照信号が抽
出され、除算部37の第2入力端に供給される。この場
合、参照信号発生部34が発生する参照信号は、図21
に示されるようなPN符号の周波数帯域を制限した信号
波形と同じものである。
【0024】除算部37は、第1フィルタ手段33から
供給された周波数領域受信信号を、第2フィルタ手段3
6から供給された周波数領域参照信号で割ることによっ
て各周波数成分の比を算出し、図13に示されるような
有効帯域幅Aを有する周波数領域の正規化信号、すなわ
ち、周波数帯域がベースバンド拡散変調信号の有効帯域
幅Dと同じ−0.5/Tcから0.5/Tcまでの範囲
内(A=D)にある正規化信号を発生し、フィルタ部3
8に供給される。
【0025】フィルタ部38は、周波数窓乗算部46に
おいて、供給された正規化信号にハニング窓を周波数窓
関数として乗算して周波数窓乗算正規化信号を形成し、
フーリエ変換部47に供給する。この場合、ハニング窓
の周波数特性は、図14に示されるように帯域幅がC
で、有効帯域幅がBのもの、すなわち、帯域幅Cが−
0.5/Tcから0.5/Tcまでの範囲内にあり、有
効帯域幅Bが略−0.3/Tcから0.3/Tcまでの
範囲内にあるものである。また、周波数窓乗算正規化信
号は、図15に示されるように周波数窓の乗算前におけ
る正規化信号の帯域幅(有効帯域幅)Aと同じ帯域幅、
すなわち、帯域幅が−0.5/Tcから0.5/Tcま
での範囲内にあるものである。
【0026】次に、フーリエ変換部47は、供給された
周波数窓乗算正規化信号をフーリエ変換し、図16に黒
色菱形で図示の曲線(a)に示されるような時間領域正
規化信号に変換し、雑音除去部48に供給する。この場
合、時間領域正規化信号は、振幅の突出した領域内に主
信号成分と遅延信号成分とを含んでおり、振幅の略平坦
な領域内に雑音成分だけを含んでいるものである。
【0027】次いで、雑音除去部48は、供給された図
16の曲線(a)に示されるような時間領域正規化信号
に対して、その平均雑音成分レベルLM よりもマージン
Mだけ大きいスレッシュホールドレベルLT が設定され
ており、このスレッシュホールドレベルLT を用い、ス
レッシュホールドレベルLT よりも大きい時間領域正規
化信号を抽出するとともに、スレッシュホールドレベル
T 以下の雑音成分を除去し、抽出した時間領域正規化
信号を信号波形補正部49に供給する。
【0028】続いて、信号波形補正部49は、雑音成分
を除去した時間領域正規化信号の裾部分を補正し、図1
6に白色菱形で図示の曲線(b)に示されるような時間
領域正規化信号を再生して逆フーリエ変換部50に供給
される。時間領域正規化信号の裾部分の補正は、主信号
成分と遅延信号成分とが時間的に近接している場合、時
間領域正規化信号を、周波数窓乗算部46で用いている
周波数窓をフーリエ変換した窓スペクトラムで近似でき
ることを利用しているものである。この場合、抽出した
時間領域正規化信号における中心時間の左右両側の時間
領域に対して、ハニング窓のスペクトラムを当て嵌め、
近似曲線を形成する。次に、近似されたハニング窓のス
ペクトラムの裾部分の領域において、サンプル点毎に時
間窓の値を計算し、裾部分の領域を補正する。
【0029】続く、逆フーリエ変換部50は、供給され
た時間領域正規化信号を逆フーリエ変換し、図17に示
されるような雑音成分を除去した周波数領域正規化信号
を形成し、周波数窓除算部51に供給する。この場合、
得られる周波数領域正規化信号は、周波数窓の乗算前に
おける正規化信号の帯域幅(有効帯域幅)Aと同じ帯域
幅を有するもの、すなわち、帯域幅が−0.5/Tcか
ら0.5/Tcまでの範囲内にあるものである。
【0030】次いで、周波数窓除算部51において、供
給された周波数領域正規化信号を図14に示されるよう
なハニング窓の周波数窓で割り、図19に示されるよう
にニング窓の影響を補正した周波数領域正規化信号を形
成する。これは、いいかえると、図18に示されるよう
なハニング窓の周波数特性と逆の特性を持つ周波数窓を
乗算するのと同じである。このようにして得られた周波
数領域正規化信号をフィルタ部38から高分解能信号処
理部39に供給する。この場合、図18に示されるハニ
ング窓の周波数特性の逆特性は、帯域幅がCで、有効帯
域幅がBのもの、すなわち、帯域幅Cが−0.5/Tc
から0.5/Tcまでの範囲内にあり、有効帯域幅Bが
略−0.3/Tcから0.3/Tcまでの範囲内にある
ものである。ここで、周波数窓除算部51において、図
18に図示の有効帯域幅B以外の窓関数値を乗算する
と、周波数領域正規化信号には演算誤差が多く含まれ、
また乗算によりオーバーフローを発生することがある。
そこで、周波数領域正規化信号を算出するときに、例外
処理として、図18に図示の有効帯域幅B以外の窓関数
値を無効とし、無効領域に該当する周波数領域正規化信
号を出力しないようにする。この結果、周波数窓除算部
51から出力される周波数領域正規化信号は、有効帯域
幅Bを有するものである。
【0031】さらに、高分解能信号処理部39は、供給
された周波数領域正規化信号を高分解能処理手段、例え
ば、MUSIC法を用いて高い時間分解能によって処理
し、周波数領域正規化信号に含まれている主信号成分と
遅延信号成分とを分離判別する。この分離判別処理によ
って、高分解能信号処理部39は、図20の曲線(a)
に示されるような相関計量信号を発生する。このとき、
相関計量信号からは、図20の曲線(a)に図示される
ように、一部に所定値以上の相関計量値を有する時間領
域が1箇所あることが観測されるもので、その時間領域
の近傍を拡大表示しても、図20の曲線(b)に示され
るように、相関計量値のピークが1つであるので、到来
波信号の数が1つであると判別される。
【0032】なお、図示していないが、送信機を携帯し
ている移動体の現在位置を求めるためには、次のような
動作過程を経て求めることができる。
【0033】基地局に設けられた複数系統のアンテナの
それぞれに個別に結合された複数の拡散変調信号受信装
置は、移動体から送信される信号電波を受信し、信号電
波の受信によって得られた前述の相関計量信号が信号出
力端子42から出力されたとき、この相関計量信号を参
照して、相関計量値が一定以上あり、かつ、一定以上の
相関計量値の中のピーク値が得られる時刻を探索するこ
とにより、主信号成分及び遅延信号成分の各到来遅延時
間を算出する。続いて、メモリ45に記憶されているベ
ースバンド拡散変調信号に対して、到来遅延時間に起因
する信号位相の変化分を補正し、主信号成分を抽出す
る。複数系統のアンテナ毎に各拡散変調信号受信装置で
得られる主信号成分は、基地局のアンテナの配置と信号
電波の到来方向に依存するので、各拡散変調信号受信装
置で得られる主信号成分の振幅・位相を比較し、主信号
成分のみを含んだ信号電波の到来方向を算出する。この
ような算出処理を行うことによって、主信号成分のみを
含んだ信号電波を送信する移動体の現在位置が求められ
る。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記先行技
術に係る拡散変調信号受信装置においては、フィルタ部
38の周波数窓乗算部46において、除算部37から出
力された正規化信号に周波数窓(ハニング窓)を乗算
し、また、周波数窓除算部51において、前に乗算した
周波数窓(ハニング窓)の影響を補正するために、逆フ
ーリエ変換部50から出力された周波数領域正規化信号
を周波数窓(ハニング窓)で除算している。そして、こ
の周波数窓(ハニング窓)による除算時に、周波数窓
(ハニング窓)のすそ部の領域では周波数領域正規化信
号が小さい値の周波数窓値で除算され、有限語長で演算
する場合に誤差が発生するので、周波数窓除算部51か
ら出力される周波数領域正規化信号は、周波数窓(ハニ
ング窓)のすそ部を除いた周波数領域、すなわち、周波
数窓(ハニング窓)の有効帯域幅Bにおいてのみ有効な
信号になる。この場合、有効帯域幅Bは、周波数窓(ハ
ニング窓)の帯域幅Cに対して、C>Bの関係があり、
演算時の有限語長に依存したものである。
【0035】また、前記先行技術に係る拡散変調信号受
信装置においては、除算部37から出力された正規化信
号の周波数帯域幅Aを、ベースバンド拡散変調信号の有
効帯域幅Dや第1フィルタ手段33の通過帯域幅または
第2フィルタ手段36の通過帯域幅と同じ帯域幅になる
ように選び、また、帯域幅Aを、周波数窓(ハニング
窓)の帯域幅Cに等しく(A=C)なるように選んでい
るので、除算部37から出力された正規化信号をフィル
タ部38において雑音除去する場合に、雑音除去した後
の周波数領域正規化信号の帯域幅が前述のように周波数
窓(ハニング窓)の有効帯域幅B(B<A=C)にな
り、高分解能信号処理部39に入力される周波数領域正
規化信号の帯域幅が除算部37から出力された正規化信
号の帯域幅に比べてかなり減少したものになる。
【0036】このように、前記先行技術に係る拡散変調
信号受信装置においては、高分解能信号処理部39に入
力される周波数領域正規化信号の帯域幅が減少したもの
であるため、高分解能信号処理部39において時間的に
近接した複数の信号を分離することが難しくなり、図2
0に示されるように、主信号成分と遅延信号成分との正
確な分離を行うことができないことがある。
【0037】本発明は、このような技術的背景に鑑みて
なされたもので、その目的は、正規化信号に対して窓関
数の乗除算を行い、正規化信号中の雑音成分を時間領域
で除去する際に、窓関数の乗除算時による正規化信号の
無効分をなくすことにより、高分解能信号処理部で主信
号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能で正確に分離
判別可能にした拡散変調信号受信装置を提供することに
ある。
【0038】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明による拡散変調信号受信装置は、第1及び第
2フィルタ手段によって帯域幅を制限したベースバンド
拡散変調信号及び参照信号を周波数除算部に供給し、周
波数除算部から出力されるベースバンド拡散変調信号を
参照信号で除算した周波数領域正規化信号に対して、順
次、窓関数の乗算、フーリエ変換、雑音成分の除去、窓
関数のスペクトラムを用いた信号波形の補正、逆フーリ
エ変換、第3フィルタ手段を用いた周波数帯域幅の制
限、窓関数の除算を行っているものであって、第1及び
第2フィルタ手段が周波数領域正規化信号の有効帯域幅
Aより広い帯域幅Cを有し、第3フィルタ手段が正規化
信号の有効帯域幅Aに等しい帯域幅を有する手段を具備
している。
【0039】前記手段によれば、第1及び第2フィルタ
手段において、それらの帯域幅Cを周波数領域正規化信
号の有効帯域幅Aよりも広くなるように選ぶことによ
り、除算部から出力される周波数領域正規化信号が若干
の無効帯域の信号を含む帯域幅Cに等しくし、フィルタ
部において、供給された帯域幅Cの周波数領域正規化信
号に対して、順次、窓関数の乗算、フーリエ変換、雑音
成分の除去、窓関数のスペクトラムを用いた信号波形の
補正、逆フーリエ変換、周波数領域正規化信号の有効帯
域幅Aに等しい帯域幅を持つ第3フィルタ手段による周
波数帯域幅の制限、窓関数の除算を行って、雑音成分や
不要な成分を含まない周波数領域正規化信号を形成して
いる。ここで、窓関数の帯域幅は前述の帯域幅Cと同じ
である。このようにして得られた周波数領域正規化信号
の帯域幅はその有効帯域幅Aに等しいものになるので、
高分解能信号処理部における分解能を向上させることが
できるだけでなく、雑音成分や不要な成分の影響を受け
ずに、かつ、窓関数の乗除算時における周波数領域正規
化信号の無効分を含まない状態で、主信号成分と遅延信
号成分とを高い時間分解能によって極めて正確に分離判
別することができる。
【0040】ここで、周波数領域正規化信号の有効帯域
幅Aと第1及び第2フィルタ手段の帯域幅Cとの関係を
見ると、帯域幅Cを順次拡げて行った場合、フィルタ部
に周波数領域正規化信号の無効帯域の信号成分が必要以
上に取り込まれるので、結果的に高分解能信号処理部に
おける到来信号の分離検出精度が低下するようになる。
一方、帯域幅Cを順次狭めて行った場合、フィルタ部か
ら出力される周波数領域正規化信号の有効周波数帯域が
狭くなってしまうので、この場合にも高分解能信号処理
部における到来信号の分離検出精度が低下する。
【0041】このように、帯域幅Cは、周波数領域正規
化信号の有効帯域幅Aに対して適当な範囲内にあるよう
に、すなわち、0.7≧(A/C)≧0.6を満たすよ
うに選んでいる。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態において、拡
散変調信号受信装置は、PN符号で拡散変調した拡散変
調信号を含む電波を受信し、ベースバンド拡散変調信号
を発生する受信部と、PN符号と相関がある参照信号を
発生する参照信号発生部と、ベースバンド拡散変調信号
及び参照信号をフーリエ変換する第1及び第2フーリエ
変換部と、フーリエ変換したベースバンド拡散変調信号
及び参照信号の帯域幅を制限する第1及び第2フィルタ
手段と、第1フィルタ手段から出力されるベースバンド
拡散変調信号を第2フィルタ手段から出力された参照信
号で除算して正規化信号を発生する除算部と、第3フィ
ルタ手段を含み、正規化信号に重畳した雑音成分を除去
するフィルタ部と、正規化信号中の主信号成分と遅延信
号成分とを分離判別する高分解能信号処理部とを備え、
フィルタ部は、正規化信号に対して、順次、窓関数の乗
算、フーリエ変換、雑音成分の除去、窓関数のスペクト
ラムを用いた信号波形の補正、逆フーリエ変換、第3フ
ィルタ手段を用いた周波数帯域幅の制限、窓関数の除算
を行うものであり、第1及び第2フィルタ手段は、正規
化信号の有効帯域幅よりも広い帯域幅を有し、第3フィ
ルタ手段は、正規化信号の有効帯域幅に等しい帯域幅を
有しているものである。
【0043】本発明の実施の形態の好適例において、拡
散変調信号受信装置は、正規化信号の有効帯域幅をA、
窓関数における周波数窓の有効帯域幅をB、窓関数にお
ける周波数窓の帯域幅をCとしたとき、各帯域幅A、
B、Cの間に、C>B≧Aの関係を有し、かつ、両帯域
幅A、Cの比(A/C)が、0.7≧(A/C)≧0.
6を満たすように選択されているものである。
【0044】本発明の実施の形態の一具体例において、
拡散変調信号受信装置は、第1及び第2フィルタ手段が
周波数窓の帯域幅Cに等しい通過帯域幅を有しているも
のである。
【0045】これらの本発明の実施の形態によれば、第
1及び第2フィルタ手段における通過帯域幅Cを周波数
領域正規化信号の有効帯域幅Aよりも若干広くなるよう
に選び、帯域幅Cのベースバンド拡散変調信号と帯域幅
Cの参照信号を除算部に供給し、除算部から出力される
周波数領域正規化信号中に若干の無効帯域の信号を含む
帯域幅Cにしており、また、フィルタ部においては、供
給された帯域幅Cの周波数領域正規化信号に対して、順
次、窓関数の乗算、フーリエ変換、雑音成分の除去、窓
関数のスペクトラムを用いた信号波形の補正、逆フーリ
エ変換、周波数領域正規化信号の有効帯域幅Aに等しい
帯域幅を持つ第3フィルタ手段による周波数帯域幅の制
限、窓関数の除算を行い、雑音成分や不要な成分を含ま
ない周波数領域正規化信号を得ている。得られた周波数
領域正規化信号の帯域幅は、第3フィルタ手段の通過帯
域幅によって規制された周波数領域正規化信号の有効帯
域幅Aに等しいものになり、有効帯域幅Aの周波数領域
正規化信号として高分解能信号処理部に供給される。こ
のように、高分解能信号処理部においては、供給される
周波数領域正規化信号の帯域幅が広くなったため分解能
を向上させることができるだけでなく、雑音成分や不要
な成分の影響を受けることがなく、かつ、窓関数の乗除
算時において発生する正規化信号の無効帯域信号成分を
含まない有効帯域幅Aの周波数領域正規化信号が供給さ
れるため、主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解
能によって正確に分離判別することが可能になる。
【0046】この場合、本発明の実施の形態において、
正規化信号の有効帯域幅A、窓関数における周波数窓の
有効帯域幅B、窓関数における周波数窓の帯域幅との間
において、C>B≧A、かつ、0.7≧(A/C)≧
0.6を満たすように選択した場合、高分解能信号処理
部における主信号成分と遅延信号成分とを高い分離検出
精度によって極めて正確に分離判別することが可能にな
る。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0048】図1は、本発明による拡散変調信号受信装
置の一実施例の構成を示すブロック図であって、PN符
号を用いた拡散変調方式を移動体追尾方式に適用した拡
散変調信号受信装置における受信信号の主信号成分と遅
延信号成分とに分離するのに必要な要部構成の一例を示
すものである。
【0049】この場合、図1に図示された拡散変調信号
受信装置は、基地局における1系統のアンテナに対応し
た構成部分を示すものであり、実際には、基地局に複数
系統のアンテナが立設され、各系統のアンテナに対して
それぞれ個別に拡散変調信号受信装置が用いられる。
【0050】図1に示されるように、本実施例の拡散変
調信号受信装置は、受信部1と、第1フーリエ変換部2
と、第1フィルタ手段3と、参照信号発生部4と、第2
フーリエ変換部5と、第2フィルタ手段6と、除算部7
と、フィルタ部8と、高分解能信号処理部9と、制御部
10と、アンテナ11と、信号出力端子12とからなっ
ている。また、受信部1は、ベースバンド信号発生部1
3と、アナログ−ディジタル(A/D)変換部14と、
メモリ15とを備えており、フィルタ部8は、周波数窓
乗算部16と、フーリエ変換部17と、雑音除去部18
と、信号波形補正部19と、逆フーリエ変換部20と、
第3フィルタ手段21と、周波数窓除算部22とを備え
ている。
【0051】そして、受信部1は、入力端がアンテナ1
1に接続され、出力端が第1フーリエ変換部2の入力端
に接続されている。第1フィルタ手段3は、入力端が第
1フーリエ変換部2の出力端に接続され、出力端が除算
部7の第1入力端に接続されている。参照信号発生部4
は、出力端が第2フーリエ変換部5の入力端に接続され
ている。第2フィルタ手段6は、入力端が第2フーリエ
変換部5の出力端に接続され、出力端が除算部7の第2
入力端に接続されている。
【0052】フィルタ部8は、入力端が除算部7の出力
端に接続され、出力端が高分解能信号処理部9の入力端
に接続されている。高分解能信号処理部9は、出力端が
信号出力端子12に接続されている。制御部10は、受
信部1、第1フーリエ変換部2、参照信号発生部4、第
2フーリエ変換部5、除算部7、フィルタ部8、高分解
能信号処理部9にそれぞれ接続されている。
【0053】受信部1において、ベースバンド信号発生
部13は、入力端が受信部1の入力端に接続され、出力
端がA/D変換部14の入力端に接続されている。メモ
リ15は、入力端がA/D変換部14の出力端に接続さ
れ、出力端が受信部1の出力端に接続されている。ま
た、フィルタ部8において、周波数窓乗算部16は、入
力端がフィルタ部8の入力端に接続され、出力端がフー
リエ変換部17の入力端に接続されている。雑音除去部
18は、入力端がフーリエ変換部17の出力端に接続さ
れ、出力端が信号波形補正部19の入力端に接続されて
いる。逆フーリエ変換部20は、入力端が信号波形補正
部19の出力端に接続され、出力端が第3フィルタ手段
21の入力端に接続されている。周波数窓除算部22
は、入力端がフィルタ手段21の出力端に接続され、出
力端がフィルタ部8の出力端に接続されている。
【0054】この場合、第1フィルタ手段3及び第2フ
ィルタ手段6は、ベースバンド拡散変調信号の有効帯域
幅D及び除算部7から出力される周波数領域正規化信号
の有効帯域幅Aよりも若干広い通過帯域幅Cを持つもの
であり(ただし、A=D)、第3フィルタ手段21は、
周波数領域正規化信号の有効帯域幅Aに等しい通過帯域
幅Aを持つものである。
【0055】ここで、図2は、除算部7から出力される
周波数領域正規化信号の一例を示す特性図であり、図3
は、周波数窓乗算部16で乗算される周波数窓(ハニン
グ窓)関数の周波数特性の一例を示す特性図である。ま
た、図4は、周波数窓乗算部16から出力される周波数
窓乗算正規化信号の周波数特性の一例を示す特性図であ
り、図5は、雑音除去部18及び信号波形補正部19に
より雑音除去と信号波形補正が行われる前後の時間領域
正規化信号の各一例を示す信号波形図である。さらに、
図6は、逆フーリエ変換部20から出力された雑音除去
後の周波数領域正規化信号の周波数特性の一例を示す特
性図であり、図7は、周波数窓除算部22で用いられる
周波数窓(ハニング窓)関数の周波数特性の一例を示す
特性図であり、図8は、周波数窓除算部22から出力さ
れた雑音除去後の周波数領域正規化信号の周波数特性の
一例を示す特性図である。また、図9、図10、図11
は、高分解能信号処理部9が雑音成分除去後の周波数領
域正規化信号を入力した場合に出力される相関計量信号
の各一例を示す特性図であって、図9は、周波数領域正
規化信号の有効帯域幅Aと窓関数における周波数窓(ハ
ニング窓)の帯域幅Cとの比(A/C)が0.64であ
る場合、図10は、同有効帯域幅Aと同周波数窓(ハニ
ング窓)の帯域幅Cとの比(A/C)が0.7である場
合、図11は同有効帯域幅Aと同周波数窓(ハニング
窓)の帯域幅Cとの比(A/C)が0.6である場合を
示す。
【0056】また、本実施例の拡散変調信号受信装置
は、先行技術に係る拡散変調信号受信装置と同様に、送
信側で図21に示されるような信号波形を有するPN符
号が用いられている。また、ベースバンド信号発生部1
3では、図22に示されるような信号波形を有するベー
スバンド拡散変調信号が出力され、第1フーリエ変換部
2では、図23に示されるような信号波形を有する周波
数領域受信信号が出力される。さらに、参照信号発生部
4では、図24に示されるような信号波形を有する参照
信号が出力され、第2フーリエ変換部5では、図25に
示されるような信号波形を有する周波数領域参照信号が
出力される。
【0057】なお、本実施例においても、受信部1から
出力されるベースバンド拡散変調信号が主信号成分と、
主信号成分に対して時間的に0.31チップ(0.31
Tc)だけ遅延した遅延信号成分の2つの信号波を含
み、さらに雑音も含んでいるものとしている。
【0058】前記構成による本実施例の拡散変調信号受
信装置の動作を、図2乃至図11及び図21乃至図25
を用いて説明する。
【0059】まず、送信機側の動作は、先行技術に係る
拡散変調信号受信装置の送信機側の動作と同様で、送信
データが図21に示されるようなPN符号で拡散変調さ
れ、得られた拡散変調信号に対して周波数帯域が制限さ
れた後、周波数変換して送信信号が形成され、この送信
信号が信号電波として送信される。
【0060】次に、拡散変調信号受信装置側の動作は、
送信機から送信された信号電波がアンテナ11で捉えら
れると、受信信号として受信部1に供給される。このと
き、ベースバンド信号発生部13は、受信信号の増幅及
び周波数変換等の処理を行って、アナログ信号形式のベ
ースバンド拡散変調信号を発生し、A/D変換部14に
供給する。A/D変換部14は、アナログ信号形式のベ
ースバンド拡散変調信号をアナログ−ディジタル変換
(A/D変換)し、図22に示されるようなディジタル
信号形式のベースバンド拡散変調信号に形成し、ディジ
タル信号形式のベースバンド拡散変調信号をメモリ15
に供給し、そこに一時的に記憶する。
【0061】次いで、メモリ15から読み出されたベー
スバンド拡散変調信号は、第1フーリエ変換部2におい
て図23に示されるような周波数領域受信信号にフーリ
エ変換され、第1フィルタ手段3に供給される。第1フ
ィルタ手段3は、ベースバンド拡散変調信号の有効帯域
幅Dよりも若干広い帯域幅C(後述するハニング窓の帯
域幅Cに等しい帯域幅)を持ち、供給された周波数領域
受信信号の帯域幅C内の周波数領域受信信号、例えば、
−0.7/Tcから0.7/Tcまでの範囲内にある周
波数領域受信信号を抽出し、除算部7の第1入力端に供
給する。
【0062】一方、参照信号発生部4から発生された図
24に示されるような参照信号は、第2フーリエ変換部
5において図25に示されるような周波数領域参照信号
にフーリエ変換され、第2フィルタ手段6に供給され
る。第2フィルタ手段6は、第1フィルタ手段3と同じ
ようにベースバンド拡散変調信号の有効帯域幅Dよりも
若干広い帯域幅C(後述するハニング窓の帯域幅に等し
い帯域幅Cに等しい帯域幅)を持ち、供給された周波数
領域参照信号の帯域幅C内の周波数領域参照信号、例え
ば、−0.7/Tcから0.7/Tcまでの範囲内にあ
る周波数領域参照信号を抽出し、除算部7の第2入力端
に供給する。
【0063】除算部7は、第1フィルタ手段3から供給
された周波数領域受信信号を第2フィルタ手段6から供
給された周波数領域参照信号で割ることによって各周波
数成分の比を算出し、図2に示されるような周波数領域
正規化信号を形成し、フィルタ部8に供給する。この周
波数領域正規化信号は、その有効帯域幅Aがベースバン
ド拡散変調信号の有効帯域幅Dと同じであって(A=
D)、その有効帯域幅Aよりも若干広い帯域幅C(後述
するハニング窓の帯域幅Cに等しい帯域幅)を有してい
る。
【0064】次に、周波数窓乗算部16は、供給された
周波数領域正規化信号に、図3に示されるように周波数
領域正規化信号の有効帯域幅Aにほぼ等しい有効帯域幅
Bを有し、周波数領域正規化信号の有効帯域幅Aと帯域
幅Cとの比(A/C)が0.64に選ばれているハニン
グ窓(周波数窓)を窓関数として乗算し、図4に示され
るように帯域幅Cを有する周波数窓乗算正規化信号を形
成し、フーリエ変換部17に供給する。
【0065】次いで、フーリエ変換部17は、供給され
た周波数窓乗算正規化信号をフーリエ変換し、図5に黒
色菱形で図示の曲線(a)に示されるような時間領域正
規化信号に形成し、雑音除去部18に供給する。この時
間領域正規化信号は、振幅レベルが突出した部分の時間
領域内に主信号成分と遅延信号成分とを含んでおり、振
幅レベルが略平坦になっている時間領域内に雑音成分だ
けを含んでいるものである。
【0066】続いて、雑音除去部18は、供給された図
5の曲線(a)に示されるような時間領域正規化信号に
対し、その平均雑音レベルLM よりもマージンMだけ大
きいスレッシュホールドレベルLT を設定しているもの
で、このスレッシュホールドレベルLT により、スレッ
シュホールドレベルLT よりも大きいレベルの時間領域
正規化信号を抽出するとともに、スレッシュホールドレ
ベルLT 以下の雑音成分を除去し、抽出した雑音成分を
含まない時間領域正規化信号を信号波形補正部19に供
給する。
【0067】続く、信号波形補正部19は、供給された
雑音成分を含まない時間領域正規化信号に対し、雑音除
去部18で除去された信号波形のすそ部を補正する。時
間領域正規化信号波形におけるすそ部の補正は、主信号
成分と遅延信号成分の到来が時間的に接近している場合
に、時間領域正規化信号が、周波数窓乗算部16で用い
ている帯域幅Cを有するハニング窓(周波数窓)をフー
リエ変換した窓スペクトラムで近似できることを利用し
たもので、雑音除去部18で抽出した時間領域正規化信
号成分における中心時間の左右両側の時間領域に対し
て、ハニング窓(周波数窓)をフーリエ変換した窓スペ
クトラムを当て嵌め、その近似曲線を形成する。次い
で、近似したハニング窓(周波数窓)をフーリエ変換し
た窓スペクトラムのすそ部領域において、サンプル点毎
に時間窓の値を計算し、図5の曲線(a)の領域に連な
ったすそ部領域を再生する。このような再生経緯を経る
ことにより、信号波形補正部19から出力される時間領
域正規化信号は、図5に白色菱形で図示の曲線(b)に
示されるように時間領域正規化信号のすそ部が補正され
たものになる。このようにして得られた雑音成分を含ま
ない時間領域正規化信号は、信号波形補正部19から逆
フーリエ変換部20に供給される。
【0068】次いで、逆フーリエ変換部20は、雑音成
分を含まない時間領域正規化信号を逆フーリエ変換し、
図6に示されるように帯域幅Cを有する雑音成分を含ま
ない周波数領域正規化信号を形成し、第3フィルタ手段
21に供給する。
【0069】続いて、第3フィルタ手段21は、ベース
バンド拡散変調信号の有効帯域幅Aに等しい帯域幅を持
ち、供給された雑音成分を含まない周波数領域正規化信
号の帯域幅A内の雑音成分を含まない周波数領域正規化
信号、すなわち、−0.5/Tcから0.5/Tcまで
の範囲内にある雑音成分を含まない周波数領域正規化信
号を抽出し、周波数窓除算部22に供給する。
【0070】周波数窓除算部21は、供給された雑音成
分を含まない周波数領域正規化信号を、図7に示される
ように周波数領域正規化信号の有効帯域幅Aに等しい有
効帯域幅Bを有し、周波数領域正規化信号の有効帯域幅
Aと帯域幅Cとの比(A/C)が0.64に選ばれてい
るハニング窓(周波数窓)で割り、ハニング窓(周波数
窓)の影響を補正し、図8に示されるように帯域幅Aを
有する雑音成分を含まない周波数領域正規化信号を形成
する。この雑音成分を含まない周波数領域正規化信号
は、周波数窓除算部21から高分解能信号処理部9に供
給される。
【0071】高分解能信号処理部9は、先行技術に係る
拡散変調信号受信装置に用いられている高分解能信号処
理部39を同じもので、図8に示されるような帯域幅A
を有する雑音成分を含まない周波数領域正規化信号を高
分解能処理手段、例えば、MUSIC法による高い時間
分解能によって処理し、その周波数領域正規化信号に含
まれている主信号成分と遅延信号成分とを分離判別す
る。
【0072】このように、本実施例においては、第1フ
ィルタ手段3及び第2フィルタ手段6にハニング窓(周
波数窓)の帯域幅Cに等しい帯域幅を有するもの、第3
フィルタ手段21に周波数領域正規化信号の有効帯域幅
Aに等しい帯域幅を有するものをそれぞれ用い、かつ、
周波数窓乗算部16及び周波数窓除算部22における窓
関数となるハニング窓(周波数窓)に、ハニング窓(周
波数窓)のすそ部を除いた有効帯域幅Bが周波数領域正
規化信号の有効帯域幅Aより若干大きく、周波数領域正
規化信号の有効帯域幅Aとハニング窓(周波数窓)の帯
域幅Cとの比(A/C)が0.64になる窓関数特性を
有するハニング窓(周波数窓)を用いている。このた
め、高分解能信号処理部9に供給される周波数領域正規
化信号の帯域幅を、先行技術に係る拡散変調信号受信装
置における同周波数領域正規化信号の帯域幅よりも広い
周波数領域正規化信号の有効帯域幅Aに等しくすること
ができるので、高分解能信号処理部9における分解能を
高めることができ、しかも、周波数領域正規化信号への
窓関数の乗算時及び除算時における周波数領域正規化信
号の無効信号成分を完全になくすことができ、高分解能
信号処理部9における主信号成分と遅延信号成分との分
離を高精度で正確に行うことが可能になる。
【0073】そして、高分解能信号処理部9におけるこ
のような分離判別処理によって、高分解能信号処理部9
から図9の曲線(a)に示されるような相関計量信号が
出力される。この相関計量信号は、図9の曲線(a)に
示されるように、一部に所定値以上の相関計量値を有す
る時間領域が1個所あり、その時間領域の近傍を拡大表
示した場合、図9の曲線(b)に示されるように、現実
の相関計量値のピークが所期に設定した遅延時間、即
ち、0.30Tc(0.30チップ)の遅延時間をもっ
て生じていることが判り、主信号成分と遅延信号成分と
の2つの信号成分をほぼ所期の時間遅延差をもって明瞭
にかつ確実に分離判別することができる。
【0074】なお、本実施例においては、参照信号発生
部4が発生する参照信号を、送信機側で拡散変調に用い
たPN符号の周波数帯域を制限した信号と同じものに
し、さらにその周波数帯域制限の特性を送信機側で得ら
れた拡散変調信号に周波数帯域制限を行ったものと同一
の特性のものにしているが、本発明においては参照信号
がこのような特性のものに限られず、例えば、送信機側
でPN符号で拡散変調した拡散変調信号が周波数帯域制
限されていない場合、参照信号として送信機側で用いた
PN符号と同一の符号のものを選べばよいものであり、
本発明による参照信号については、送信機側で得られた
拡散変調信号と極めて相関が高い参照信号が選択される
ものである。
【0075】また、本実施例においては、周波数窓乗算
部16及び周波数窓除算部22に用いられる、窓関数と
なるハニング窓(周波数窓)として、ハニング窓(周波
数窓)のすそ部を除いた有効帯域幅Bが周波数領域正規
化信号の有効帯域幅Aより若干大きく、かつ、周波数領
域正規化信号の有効帯域幅Aとハニング窓(周波数窓)
の帯域幅Cとの比(A/C)が0.64になる例を挙げ
て説明したが、本発明においては前記比(A/C)が
0.64になるものに限られず、前記比(A/C)が
0.7乃至0.6の範囲内にあれば、前記比(A/C)
が0.64になる場合とほぼ同様の作用効果を達成させ
ることが可能である。
【0076】すなわち、図10の曲線(a)、(b)
は、前記比(A/C)が0.7であるときの特性であ
り、また、図11の曲線(a)、(b)は、前記比(A
/C)が0.6であるときの特性であって、いずれの特
性においても、曲線(b)に示されるように、主信号成
分と遅延信号成分との2つの信号成分を所期の遅延時間
差をもって明瞭にかつ確実に分離判別することができ
る。そして、前記比(A/C)が0.7より大きくなっ
た場合、または、前記比(A/C)が0.6より小さく
なった場合には、主信号成分と遅延信号成分との2つの
信号成分を示すピーク値の存在が不明確になることがあ
るので、前記比(A/C)は、0.7≧(A/C)≧
0.6を満たすように選ぶことが好ましい。
【0077】さらに、本実施例においては、周波数窓乗
算部16及び周波数窓除算部22に用いられる、窓関数
となるハニング窓(周波数窓)として、その有効帯域幅
Bが周波数領域正規化信号の有効帯域幅Aより若干大き
い場合を例に挙げて説明したが、本発明においてはハニ
ング窓(周波数窓)の有効帯域幅Bが周波数領域正規化
信号の有効帯域幅Aより大きくなるものに限られず、ハ
ニング窓(周波数窓)の有効帯域幅Bは、ハニング窓
(周波数窓)の帯域幅Cよりも小さく、周波数領域正規
化信号の有効帯域幅Aに一致するものであってもよい。
すなわち、C>B≧Aを満たすように選べばよい。
【0078】なお、本実施例の拡散変調信号受信装置に
おける送信機を携帯する移動体の現在位置を求める動作
過程は、既に説明した先行技術に係る拡散変調信号受信
装置等におけるこの種の動作過程と同じであるので、そ
の動作過程についての説明は省略する。
【0079】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、第1及
び第2フィルタ手段の通過帯域幅Cを周波数領域正規化
信号の有効帯域幅Aよりも広くなるように選ぶことによ
り、除算部から出力される周波数領域正規化信号が若干
の無効帯域の信号を含む帯域幅Cに等しくなるように
し、フィルタ部において、供給された帯域幅Cの周波数
領域正規化信号に対して、順次、窓関数の乗算、フーリ
エ変換、雑音成分の除去、窓関数のスペクトラムを用い
た信号波形の補正、逆フーリエ変換、周波数領域正規化
信号の有効帯域幅Aに等しい帯域幅を持つ第3フィルタ
手段による周波数帯域幅の制限、窓関数の除算を行っ
て、雑音成分や不要な成分を含まない周波数領域正規化
信号を形成し、このとき得られた周波数領域正規化信号
の帯域幅をその有効帯域幅Aに等しいものにしたので、
高分解能信号処理部における分解能を向上させることが
できるだけでなく、雑音成分や不要な成分の影響を受け
ずに、しかも、窓関数の乗除算時における正規化信号の
無効分をなくした状態で、主信号成分と遅延信号成分と
を高い時間分解能によって極めて正確に分離判別できる
いう効果がある。
【0080】また、本発明によれば、正規化信号の有効
帯域幅をA、窓関数における周波数窓の有効帯域幅を
B、窓関数における周波数窓の帯域幅をCとしたとき、
各帯域幅A、B、Cの間に、C>B≧Aの関係を有し、
かつ、両帯域幅A、Cの比(A/C)が、0.7≧(A
/C)≧0.6を満たすように選択することによって、
主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能により極
めて正確に分離判別することができるいう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる拡散変調信号受信装置の一実施
例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に図示の拡散変調信号受信装置において除
算部から出力される周波数領域正規化信号の一例を示す
特性図である。
【図3】図1に図示の拡散変調信号受信装置において周
波数窓乗算部で乗算される周波数窓(ハニング窓)関数
の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図4】図1に図示の拡散変調信号受信装置において周
波数窓乗算部から出力される周波数窓乗算正規化信号の
周波数特性の一例を示す特性図である。
【図5】図1に図示の拡散変調信号受信装置において雑
音除去部及び信号波形補正部により雑音除去と信号波形
補正が行われる前後の時間領域正規化信号の各一例を示
す信号波形図である。
【図6】図1に図示の拡散変調信号受信装置において逆
フーリエ変換部から出力された雑音除去後の周波数領域
正規化信号の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図7】図1に図示の拡散変調信号受信装置において周
波数窓除算部で用いられる周波数窓(ハニング窓)関数
の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図8】図1に図示の拡散変調信号受信装置において周
波数窓除算部から出力された雑音除去後の周波数領域正
規化信号の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図9】図1に図示の拡散変調信号受信装置において高
分解能信号処理部が雑音成分除去後の周波数領域正規化
信号を入力した場合に出力される相関計量信号の一例を
示す特性図で、比(A/C)が0.64である場合を示
すものである。
【図10】図1に図示の拡散変調信号受信装置において
高分解能信号処理部が雑音成分除去後の周波数領域正規
化信号を入力した場合に出力される相関計量信号の一例
を示す特性図で、比(A/C)が0.7である場合を示
すものである。
【図11】図1に図示の拡散変調信号受信装置において
高分解能信号処理部が雑音成分除去後の周波数領域正規
化信号を入力した場合に出力される相関計量信号の一例
を示す特性図で、比(A/C)が0.6である場合を示
すものである。
【図12】PN符号を用いた拡散変調方式を移動体追尾
方式に適用した先行技術に係る拡散変調信号受信装置の
一例の要部構成を示すブロック図である。
【図13】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て除算部から出力される周波数領域の正規化信号の一例
を示す特性図である。
【図14】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て周波数窓乗算部で乗算される周波数窓関数の周波数特
性の一例を示す特性図である。
【図15】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て周波数窓乗算部から出力される周波数窓乗算正規化信
号の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図16】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て雑音除去部及び信号波形補正部で雑音除去と信号波形
補正が行われる前後の時間領域正規化信号の各一例を示
す信号波形図である。
【図17】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て逆フーリエ変換部から出力された雑音除去後の周波数
領域正規化信号の周波数特性の一例を示す特性図であ
る。
【図18】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て周波数窓除算部で用いられる周波数窓関数の周波数特
性の一例を示す特性図である。
【図19】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て周波数窓除算部から出力された雑音除去後の正規化信
号の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図20】図12に図示の拡散変調信号受信装置におい
て高分解能信号処理部が雑音成分除去後の正規化信号を
入力した場合に出力される相関計量信号の一例を示す特
性図である。
【図21】既知の拡散変調信号受信装置において送信側
で用いられるPN符号の一例を示す信号波形図である。
【図22】既知の拡散変調信号受信装置において受信部
から出力されるベースバンド拡散変調信号の一例を示す
信号波形図である。
【図23】既知の拡散変調信号受信装置において参照信
号発生部が出力する参照信号の一例を示す信号波形図で
ある。
【図24】既知の拡散変調信号受信装置において参照信
号を第2フーリエ変換部でフーリエ変換した周波数領域
参照信号の周波数特性の一例を示す特性図である。
【図25】既知の拡散変調信号受信装置において高分解
能信号処理部から出力される相関計量信号の一例を示す
特性図である。
【図26】既知の拡散変調信号受信装置においてPN符
号を用いた拡散変調方式に用いられる拡散変調信号波形
の一例を示す信号波形図である。
【図27】既知の拡散変調信号受信装置においてPN符
号を用いた拡散変調方式に用いられる拡散変調信号の周
波数スペクトラムを示す特性図である。
【符号の説明】
1 受信部 2 第1フーリエ変換部 3 第1フィルタ手段 4 参照信号発生部 5 第2フーリエ変換部 6 第2フィルタ手段 7 除算部 8 フィルタ部 9 高分解能信号処理部 10 制御部 11 アンテナ 12 信号出力端子 13 ベースバンド信号発生部 14 アナログ−ディジタル(A/D)変換部 15 メモリ 16 周波数窓乗算部 17 フーリエ変換部 18 雑音除去部 19 信号波形補正部 20 逆フーリエ変換部 21 第3フィルタ手段 22 周波数窓除算部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PN符号で拡散変調した拡散変調信号を
    含む電波を受信し、ベースバンド拡散変調信号を発生す
    る受信部と、前記PN符号と相関がある参照信号を発生
    する参照信号発生部と、前記ベースバンド拡散変調信号
    及び前記参照信号をフーリエ変換する第1及び第2フー
    リエ変換部と、前記フーリエ変換したベースバンド拡散
    変調信号及び参照信号の帯域幅を制限する第1及び第2
    フィルタ手段と、前記第1フィルタ手段から出力される
    ベースバンド拡散変調信号を前記第2フィルタ手段から
    出力された参照信号で除算して正規化信号を発生する除
    算部と、第3フィルタ手段を含み前記正規化信号に重畳
    した雑音成分を除去するフィルタ部と、前記正規化信号
    中の主信号成分と遅延信号成分とを分離判別する高分解
    能信号処理部とを備え、前記フィルタ部は、前記正規化
    信号に対して、順次、窓関数の乗算、フーリエ変換、雑
    音成分の除去、前記窓関数のスペクトラムを用いた信号
    波形の補正、逆フーリエ変換、前記第3フィルタ手段を
    用いた周波数帯域幅の制限、前記窓関数の除算を行うも
    のであり、前記第1及び第2フィルタ手段は、前記正規
    化信号の有効帯域幅よりも広い帯域幅を有し、前記第3
    フィルタ手段は、前記正規化信号の有効帯域幅に等しい
    帯域幅を有していることを特徴とする拡散変調信号受信
    装置。
  2. 【請求項2】 前記正規化信号の有効帯域幅をA、前記
    窓関数における周波数窓の有効帯域幅をB、前記窓関数
    における周波数窓の帯域幅をCとしたとき、各帯域幅
    A、B、Cの間に、C>B≧Aの関係を有し、かつ、両
    帯域幅A、Cの比(A/C)が、0.7≧(A/C)≧
    0.6を満たすように選択されていることを特徴とする
    請求項1に記載の拡散変調信号受信装置。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2フィルタ手段は、前記
    周波数窓の帯域幅Cに等しい帯域幅を有していることを
    特徴とする請求項1または2に記載の拡散変調信号受信
    装置。
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