JP3639106B2 - 拡散変調信号受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡散変調信号受信装置に係わり、特に、ベースバンド拡散変調信号を参照信号で除算して得られた正規化信号に含まれる雑音成分を除去することにより、正規化信号中の主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能で分離判別することを可能にした拡散変調信号受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定領域内を適宜移動する移動体の現在位置を追尾するために、電波を利用した移動体追尾方式が知られている。この移動体追尾方式は、移動体が電波を送信する送信機を携帯し、送信機から放射された電波を受ける複数のアンテナを備えた基地局を所要領域の近傍に配置しているもので、基地局において、受信電波に含まれる信号の中で最も早く到達する主信号成分を抽出して、その到来方向等を解析することにより、移動体の現在位置を知るようにしたものである。この移動体追尾方式においては、移動体が携帯する送信機と基地局との間で送受信される信号変調方式に、種々の信号変調方式が用いられているが、その信号変調方式の中の1つにPN符号を用いた拡散変調方式がある。
【0003】
ところで、通常のPN符号を用いた拡散変調方式は、送信側において、送信データによってPSK(パルスシフトキーイング)等の1次変調信号を形成した後、この1次変調信号にPN(疑似ランダムノイズ)符号を乗算してベースバンド拡散変調信号(2次変調信号)を形成し、さらに、この拡散変調信号を周波数変換手段によって送信信号に変換し、信号電波として送信するものである。また、受信側において、アンテナで受信した信号電波を周波数変換手段に供給して、ベースバンド拡散変調信号を抽出し、このベースバンド拡散変調信号と送信側で乗算したPN符号と同じ符号との積和をとって相関信号を発生する。この相関信号を参照して、相関値が最大となる時間においてデータを判別するというようなPSK復調をすると、送信データに対応した受信データを再生することができる。
【0004】
ここで、図11は、前記既知のPN符号を用いた拡散変調方式に用いられる信号波形の一例を示す信号波形図であって、曲線イは1次(PSK)変調信号を示すものであり、曲線ロはPN符号を示し、曲線ハは曲線イと曲線ロの波形を乗算して得られる拡散変調信号を示している。
【0005】
図11に示されるように、1次(PSK)変調信号とPN符号との関係は、1次(PSK)変調信号のそれぞれのビット区間TにPN符号の複数のチップ区間Tcが割り当てられるもので、通常、T≫Tcになるように選ばれる。
【0006】
また、図12は、前記PN符号を用いた拡散変調方式に用いられる信号の周波数スペクトラムを示す特性図である。ここで、曲線イは信号1次(PSK)変調信号と拡散変調信号の周波数スペクトラム分布を示し、曲線ロは拡散変調信号の周波数スペクトラムを示す。
【0007】
図12に示されるように、1次(PSK)変調信号と拡散変調信号との周波数スペクトラム分布関係は、1次(PSK)変調信号の周波数スペクトラムは比較的狭い周波数範囲内に分布するのに対して、拡散変調信号の周波数スペクトラムは広い周波数範囲にわたって分布する。
【0008】
このような拡散変調信号の周波数スペクトラムが、妨害を与えるようなときには、図12の曲線ロに示す周波数スペクトラムを、曲線ハに示すように周波数帯域の制限を行う。このとき、図11の曲線ハに示される拡散変調信号は、帯域制限により、曲線ニに示すような信号波形となる。
【0009】
次いで、図13は、PN符号を用いた拡散変調方式を移動体追尾方式に適用した場合の既知の拡散変調信号受信装置において、受信信号の主信号成分と遅延信号成分とに分離するために必要な要部構成の一例を示すブロック図である。なお、図13に図示された拡散変調受信装置は、基地局に複数個設置されるアンテナの中で、1系統分のアンテナに関する箇所を示しているものである。
【0010】
図13に示されるように、拡散変調信号受信装置は、受信部41と、第1フーリエ変換部42と、第1フィルタ手段43と、参照信号発生部44と、第2フーリエ変換部45と、第2フィルタ手段46と、除算部47と、高分解能信号処理部48と、制御部49と、アンテナ50と、信号出力端子51とからなっている。また、受信部41は、ベースバンド拡散変調信号を発生するベースバンド信号発生部52と、アナログ−ディジタル(A/D)変換部53と、メモリ54とからなっている。この場合、高分解能信号処理部48は、多重遅延信号を高い時間分解能で分離する信号処理部であって、例えば、R、O、Schmidtによる「Multiple emitter location and signal parameter estimation](IEEE、vol.AP−34、no.3、pp276−280、1986年3月)に開示されている「マルチプル・シグナル・クラシフィケーション(MUSIC)」法による高分解能信号処理部が用いられる。また、ベースバンド信号発生部52は、受信した信号電波を、周波数変換手段及び信号フィルタ手段を用いてベースバンド拡散変調信号に変換するものである。
【0011】
そして、受信部41は、入力端がアンテナ50に接続され、出力端が第1フーリエ変換部42の入力端に接続される。第1フィルタ手段43は、入力端が第1フーリエ変換部42の出力端に接続され、出力端が除算部47の第1入力端に接続される。参照信号発生部44は、出力端が第2フーリエ変換部45の入力端に接続される。第2フィルタ手段45は、入力端が第2フーリエ変換部45の出力端に接続され、出力端が除算部47の第2入力端に接続される。高分解能信号処理部48は、入力端が除算部47の出力端に接続され、出力端が信号出力端子51に接続される。制御部49は、受信部41、第1フーリエ変換部42、参照信号発生部44、第2フーリエ変換部45、除算部47、高分解能信号処理部48に各々接続される。また、受信部41において、ベースバンド信号発生部52は、入力端が受信部41の入力端に接続され、出力端がA/D変換部53の入力端に接続される。メモリ54は、入力端がA/D変換部53の出力端に接続され、出力端が受信部41の出力端に接続される。
【0012】
ここにおいて、図2は、送信機側で用いられるPN符号の一例を示す信号波形図であり、図3は、受信部41が出力するベースバンド拡散変調信号の一例を示す信号波形図であり、図4は、図3に図示のベースバンド拡散変調信号を、第1フーリエ変換部42においてフーリエ変換した後に得られる変換信号の特性図である。この変換信号は、第1フィルタ手段43において、周波数帯域A内の有効周波数帯域、この例では−1/2Tcから1/2Tcまでの周波数帯域内の信号が抽出され、除算部47に供給される。この場合、ベースバンド拡散変調信号は、主信号と、主信号に対して時間的に0.25チップ(0.25Tc)だけ遅延した遅延信号の2つの波を含み、さらに雑音も含まれている。また、図5は、参照信号発生部44が出力する参照信号の一例を示す信号波形図であり、図6は、図5に図示された参照信号を第2フーリエ変換部45においてフーリエ変換した後に得られる変換信号の特性図である。この変換信号は、第2フィルタ手段46において、周波数帯域A’内の有効周波数帯域、この例では−1/2Tcから1/2Tcまでの周波数帯域内の信号が抽出され、除算部47に供給される。図7は、除算部47において、第1フィルタ手段43から図4に示される周波数帯域A内の信号が入力され、かつ、第2ィルタ手段46から図6に示される周波数帯域A’内の信号が入力されたときに、出力される正規化信号を示す特性図であり、図14は、高分解能信号処理部48が出力する相関計量信号を示す特性図である。なお、図14において、曲線イで示される相関計量信号の中の計量値が一定値以上ある箇所を拡大したものが曲線ロである。
【0013】
ここで、前記構成による拡散変調信号受信装置の動作を説明すると、概略、次のとおりである。
【0014】
まず、送信機側において、送信データが図2に示すようなPN符号で拡散変調された後、帯域制限された信号となり、この信号が信号電波として送信される。
【0015】
拡散変調信号受信装置は、送信機から送信された信号電波がアンテナ50で捉えられると、その信号は受信信号として受信部41に供給される。受信部41において、始めに、ベースバンド信号発生部52は、よく知られているように受信信号の増幅及び周波数変換等の処理を行ってアナログ形式のベースバンド拡散変調信号をA/D変換部53に供給する。次に、A/D変換部53は、ベースバンド拡散変調信号をA/D変換し、図3に示されるようなベースバンド拡散変調信号をメモリ54に一時的に記憶する。
【0016】
メモリ54から読み出されたベースバンド拡散変調信号は、第1フーリエ変換部42においてフーリエ変換が行われ、図4に示されるような周波数領域受信信号に変換され、第1フィルタ手段43において周波数帯域が制限された後、除算部47の第1入力端に供給される。一方、参照信号発生部44から図5に示すような参照信号が発生され、第2フーリエ変換部45においてフーリエ変換が行われて周波数領域参照信号に変換され、第2フィルタ手段46において周波数帯域が制限された後、除算部47の第2入力端に供給される。この場合、参照信号発生部44が発生する参照信号は、送信機側で拡散変調を行うのに用いた図2に示されるようなPN符号を帯域制限した信号であって、その特性は送信機側で拡散変調信号に周波数帯域制限を行った信号の特性と同一である。除算部47は、第1フィルタ手段43から供給された周波数領域受信信号を、第2フィルタ手段45から供給された周波数領域参照信号で割ることにより、各周波数成分の比を算出して図7に示されるような正規化信号を発生させ、この正規化信号が高分解能信号処理部48に供給される。
【0017】
ここで、正規化信号は、参照信号が有する占有周波数帯域の中で、有効周波数帯域における演算が行われ、得られたものである。高分解能信号処理部48は、例えば、MUSIC法を用いて、供給された正規化信号に含まれている主信号成分と遅延信号成分とを分離判別するような信号処理を行って、参照信号に対する相関の程度を示す図14に示されるような相関計量信号が信号出力端子51から導出される。このとき、図14の曲線イに示されるように、所定以上の相関計量値がある時間領域を1箇所観測することができ、その時間領域の近傍を拡大表示した曲線ロを見たとき、真の相関計量値のピークが1つであるので、この場合、到来波信号の数が1つであると判別される。なお、拡散変調信号受信装置におけるこれらの一連の動作は、制御部49の制御の基に実行される。
【0018】
なお、図示されていないが、送信機を携帯している移動体の現在位置を求めるためには、次のような動作過程を経ることによって求められる。
【0019】
前記拡散変調信号受信装置は、基地局に設けられた複数のアンテナのそれぞれにおいて移動体から送信される信号電波を受信し、受信した信号電波に基づいて得られた前述の相関計量信号が信号出力端子51に出力されたとき、相関計量信号を参照し、計量値が一定以上あり、かつ、一定以上の計量値の中のピーク値が得られる時刻を探索するという処理を行い、主信号及び遅延信号の各到来遅延時間を算出する。続いて、この遅延時間に起因する信号位相の変化分をメモリ54に記憶されているベースバンド拡散変調信号に対して補正を行い、主信号成分を抽出する。複数のアンテナ毎に得られる主信号成分は、基地局のアンテナの構成と信号電波の到来方向に依存するので、アンテナ毎に得られる主信号成分の振幅・位相を比較して、主信号成分のみを含む信号電波の到来方向を算出する。これにより主信号成分のみを含む信号電波を送信する移動体の現在位置が求められる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記構成による既知の拡散変調信号受信装置は、除算部47から出力された正規化信号を高分解能信号処理部48に供給し、正規化信号中の主信号成分及び遅延信号成分を高い時間分解能で分離処理する際に、正規化信号に多くの雑音成分が重畳されていた場合、主信号成分と遅延信号成分との間に到来時間差が存在するにも係わらず、高分解能信号処理部48において演算した結果、図14の拡大波形図で示されるように、主信号成分と遅延信号成分とが時間的に重なり合ってしまい、それらを正確に分離することができないという問題を有するものである。
【0021】
本発明は、このような問題点を解決するもので、その目的は、正規化信号に雑音成分が重畳されていても、高分解能信号処理部で主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能で分離判別可能にした拡散変調信号受信装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による拡散変調信号受信装置は、ベースバンド拡散変調信号を発生する受信部、参照信号を発生する参照信号発生部、ベースバンド拡散変調信号及び参照信号をフーリエ変換する第1及び第2フーリエ変換部、フーリエ変換したベースバンド拡散変調信号をフーリエ変換した参照信号で除算し、正規化信号を発生する除算部、正規化信号の中の主信号成分と遅延信号成分を分離判別する高分解能信号処理部を備え、除算部と高分解能信号処理部の間に、雑音成分が重畳された正規化信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、スレッシュホールドレベル以下の雑音成分を除去する雑音除去部と、雑音成分を除去した信号を雑音成分を除去した正規化信号に変換する逆フーリエ変換部とからなるフィルタ部を設けた手段を具備する。
【0023】
前記手段によれば、除算部から出力された正規化信号をフィルタ部に供給し、有効周波数領域内に存在する雑音成分を除去した後、高分解能信号処理部に供給しているので、高分解能信号処理部に供給される正規化信号が雑音成分の影響を受けることがなくなり、高分解能信号処理部において主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能によって正確に分離判別できるようになる。この場合、フィルタ部の構成として、正規化信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、フーリエ変換した正規化信号を時間領域内で雑音成分を除去する雑音除去部と、雑音成分を除去を行ったフーリエ変換した正規化信号を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部とからなるものを用いれば、正規化信号中の雑音成分の除去を比較的容易に行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態において、拡散変調信号受信装置は、PN符号で拡散変調した拡散変調信号を含む電波を受信し、ベースバンド拡散変調信号を発生する受信部と、PN符号と相関がある参照信号を発生する参照信号発生部と、ベースバンド拡散変調信号及び参照信号をフーリエ変換する第1及び第2フーリエ変換部と、フーリエ変換したベースバンド拡散変調信号をフーリエ変換した参照信号で除算し、正規化信号を発生する除算部と、正規化信号の中の主信号成分と遅延信号成分を分離判別する高分解能信号処理部を備え、除算部と高分解能信号処理部の間に、雑音成分が重畳された正規化信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、スレッシュホールドレベル以下の雑音成分を除去する雑音除去部と、雑音成分を除去した信号を雑音成分を除去した正規化信号に変換する逆フーリエ変換部とからなるフィルタ部を設けたものである。
【0026】
これらの本発明の実施の形態によれば、ベースバンド拡散変調信号をフーリエ変換した周波数領域受信信号と参照信号をフーリエ変換した周波数領域参照信号を除算部に供給し、除算部から周波数領域参照信号と周波数領域参照信号との比で求まる正規化信号が出力された際に、この正規化信号をフィルタ部に供給し、有効周波数領域内の雑音成分を除去した後で、高分解能信号処理部に供給するようにしたので、高分解能信号処理部に供給される正規化信号は、雑音成分による影響を受けることがなくなり、その結果、高分解能信号処理部においては、正規化信号の中の主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能により正確に分離判別することが可能になる。
【0027】
また、これらの本発明の実施の形態によれば、フィルタ部の構成として、周波数領域信号の正規化信号をフーリエ変換して時間領域信号に変換するフーリエ変換部と、得られた時間領域信号を時間領域内において雑音成分を除去する雑音除去部と、雑音成分を除去した時間領域信号を逆フーリエ変換して周波数領域信号に変換する逆フーリエ変換部とを用いるようにすれば、正規化信号中の雑音成分を容易に除去することができ、雑音成分を含まない正規化信号を高分解能信号処理部に供給し、正規化信号の中の主信号成分と遅延信号成分とを高い時間分解能により正確に分離判別することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明による拡散変調信号受信装置の一実施例の構成を示すブロック構成図であって、PN符号を用いた拡散変調方式を移動体追尾方式に適用した場合の拡散変調信号受信装置において、受信信号の主信号成分と遅延信号成分とに分離するために必要な要部構成の一例を示すものである。
【0030】
なお、図1に図示されている拡散変調信号受信装置においては、基地局に設置される複数のアンテナの中の1系統分のアンテナに関連する構成部分だけを示している。
【0031】
図1に示されるように、本実施例の拡散変調信号受信装置は、受信部1と、第1フーリエ変換部2と、第1フィルタ手段3と、参照信号発生部4と、第2フーリエ変換部5と、第2フィルタ手段6と、除算部7と、フィルタ部8と、高分解能信号処理部9と、制御部10と、アンテナ11と、信号出力端子12とからなっている。また、受信部1は、ベースバンド信号発生部13と、アナログ−ディジタル(A/D)変換部14と、メモリ15とを備えており、フィルタ部8は、フーリエ変換部16と、雑音除去部17と、逆フーリエ変換部18とを備えている。
【0032】
そして、受信部1は、入力端がアンテナ11に接続され、出力端が第1フーリエ変換部2の入力端に接続されている。第1フィルタ手段3は、入力端が第1フーリエ変換部2の出力端に接続され、出力端が除算部7の第1入力端に接続されている。参照信号発生部4は、出力端が第2フーリエ変換部5の入力端に接続されている。第2フィルタ手段6は、入力端が第2フーリエ変換部5の出力端に接続され、出力端が除算部7の第2入力端に接続されている。フィルタ部8は、入力端が除算部7の出力端に接続され、出力端が高分解能信号処理部9の入力端に接続されている。高分解能信号処理部9は、出力端が信号出力端子12に接続されている。制御部10は、受信部1、第1フーリエ変換部2、参照信号発生部4、第2フーリエ変換部5、除算部7、フィルタ部8、高分解能信号処理部9にそれぞれ接続されている。
【0033】
受信部1において、ベースバンド信号発生部13は、入力端が受信部1の入力端に接続され、出力端がA/D変換部14の入力端に接続されている。メモリ15は、入力端がA/D変換部13の出力端に接続され、出力端が受信部1の出力端に接続されている。また、フィルタ部8において、フーリエ変換部16は、入力端がフィルタ部8の入力端に接続され、出力端が雑音除去部17の入力端に接続されている。逆フーリエ変換部18は、入力端が雑音除去部17の出力端に接続され、出力端がフィルタ部8の出力端に接続されている。
【0034】
前記構成による本実施例の拡散変調信号受信装置の動作を、図2乃至図10を併用して説明する。
【0035】
ここで、前述の場合には、図3乃至図7に示された信号波形図または特性図がそれぞれ受信部41、第1フーリエ変換部42、参照信号発生部43、第2フーリエ変換部44、除算部45から出力される信号に対するものであったが、この動作説明においては、図3乃至図7に示された信号波形図または特性図が受信部1、第1フーリエ変換部2、参照信号発生部4、第2フーリエ変換部6、除算部7から出力される信号に対するものであるとして説明する。
【0036】
また、図8は、除算部7から図7に示される正規化信号が出力されたときに、フィルタ部8のフーリエ変換部16から出力される時間領域信号と、その時間領域信号に対して雑音除去部17において使用される各種の信号レベルを示した信号波形図である。
【0037】
さらに、図9は、フィルタ部8にで雑音成分が除去された正規化信号を示す特性図である。
【0038】
また、図10は、高分解能信号処理部9が図9に示されるような正規化信号を入力した場合に出力される相関計量信号を示す特性図であって、曲線イは相関計量信号全体の特性図であり、曲線ロは相関計量信号の中の計量値が一定値以上ある箇所を拡大して示した特性図である。
【0039】
始めに、送信機側においては、送信データを図2に示されるようなPN符号で拡散変調し、その拡散変調信号を周波数帯域を制限した後、信号電波として送信される。拡散変調信号受信装置においては、送信機から送信された信号電波がアンテナ11で捉えられると、その信号は受信信号として受信部1に供給される。このとき、受信部1において、ベースバンド信号発生部13は、よく知られているように、受信信号の増幅及び周波数変換等の処理を行い、アナログ形式のベースバンド拡散変調信号を発生し、A/D変換部14に供給する。次に、A/D変換部14は、アナログ信号形式のベースバンド拡散変調信号をA/D変換し、図3に示されるようなディジタル形式のベースバンド拡散変調信号に変換する。次いで、メモリ13は、このベースバンド拡散変調信号を一時的に記憶する。
【0040】
続いて、メモリ13から読み出されたベースバンド拡散変調信号は、第1フーリエ変換部2でフーリエ変換を行い、図4に示されような周波数領域受信信号に変換する。周波数領域受信信号は、第1フィルタ手段3に入力され、図4の周波数帯域A内の有効周波数帯域、ここでは−1/2Tcから1/2Tcまでの周波数範囲内の信号からなる周波数帯域制限受信信号を抽出し、除算部7の第1入力端に供給する。
【0041】
一方、参照信号発生部4は、図5に示すような参照信号を発生し、第2フーリエ変換部5に供給する。参照信号は、第2フーリエ変換部5でフーリエ変換を行い、図6に示すような周波数領域参照信号に変換する。周波数領域参照信号は、第2フィルタ手段6に入力され、図6の周波数帯域A’内の有効周波数帯域、ここでは−1/2Tcから1/2Tcまでの周波数範囲内の信号からなる周波数帯域制限参照信号を抽出し、除算部7の第2入力端に供給する。この場合も、参照信号発生部4が発生する参照信号は、送信機側で拡散変調に用いた図2に示されるようなPN符号を周波数帯域制限した信号であり、その特性は送信機側で拡散変調信号に対して周波数帯域の制限を行ったときの特性と同一のものである。
【0042】
除算部7は、第1フィルタ手段3から供給された周波数帯域制限受信信号を、第2フィルタ手段6から供給された周波数帯域制限参照信号で除算し、各周波数成分毎にそれらの比を算出し、図7に示されるような雑音信号が重畳された正規化信号が発生し、フィルタ部8に供給する。
【0043】
次に、フィルタ部8において、フーリエ変換部16は、入力された正規化信号、即ち、周波数領域信号である雑音成分が重畳された信号をフーリエ変換し、図8に示すような時間領域信号に変換する。次に、雑音除去部17は、時間領域信号を、図8に図示されるようなスレッシュホールドレベルLtを用いて時間領域内で雑音成分の除去を行い、スレッシュホールドレベルLt以下のレベルの雑音成分を除去する。この場合、スレッシュホールドレベルLtは、時間領域信号における平均雑音レベルLnに一定のレベルマージンMを加えた形で設定を行う。次いで、逆フーリエ変換部18は、雑音成分を除去した時間領域信号を逆フーリエ変換し、図9に示されるような雑音成分を除去した正規化信号を出力する。
【0044】
続いて、高分解能信号処理部9は、図9に示されるような雑音成分を除去した正規化信号を高分解能処理手段、例えば、MUSIC法によって高い時間分解能で処理し、正規化信号中に含まれている主信号成分と遅延信号成分とを分離判別する処理を行う。この処理によって、高分解能信号処理部9は、図10に示されるような相関計量信号を出力し、信号出力端子10に供給する。この相関計量信号においては、図10に図示されるように曲線イの一部に所定値以上の相関計量値を有する時間領域が1箇所観測でき、その時間領域の近傍を拡大表示した曲線ロを見たとき、今度、真の相関計量値のピークを2つ有していることから、到来信号電波の数が2つであると判別することができる。また、図10に図示されている曲線ロから判るように、主信号成分と遅延信号成分は、時間差が0.25チップあるもので、明白に分離された形になっている。
【0045】
なお、本実施例の拡散変調信号受信装置において、送信機を携帯する移動体の現在位置を求める動作過程は、既に説明した既知の拡散変調信号受信装置におけるこの種の動作過程と同じである。
【0046】
このように、本実施例の拡散変調信号受信装置は、除算部7から出力された正規化信号をフィルタ部8供給し、重畳されている雑音成分の除去を行った後で、高分解能信号処理部9に供給するようにしたので、高分解能信号処理部9に供給される正規化信号は、雑音成分によって影響を受けることがなく、高分解能信号処理部9において、主信号成分と遅延信号成分とを正確に分離判別することが可能になる。
【0047】
また、本実施例の拡散変調信号受信装置は、フィルタ部8を、周波数領域信号である正規化信号をフーリエ変換し、時間領域信号に変換するフーリエ変換部16と、時間領域信号を時間領域内で雑音成分を除去する雑音除去部17と、雑音成分を除去した時間領域信号を逆フーリエ変換し、周波数領域信号に変換する逆フーリエ変換部16によって構成しているので、正規化信号中の雑音成分の除去が容易である。
【0048】
さらに、本実施例の拡散変調信号受信装置は、参照信号発生部4が発生する参照信号を、送信機側で拡散変調に用いたPN符号を周波数帯域制限した信号とし、さらにその周波数帯域制限の特性を送信機側で得られた拡散変調信号に周波数帯域制限を行ったものと同一の特性にしているが、本発明による参照信号はこのようなものに限られるものでなく、例えば、送信機側でPN符号で拡散変調した拡散変調信号が周波数帯域制限されていない場合、参照信号は送信機側で用いたPN符号と同一の符号のものを選べばよい。このように、本発明による参照信号は、送信機側で得られた拡散変調信号と極めて相関が高い参照信号が選択されるものである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ベースバンド拡散変調信号をフーリエ変換した周波数領域受信信号と参照信号をフーリエ変換した周波数領域参照信号を除算部に供給し、除算部において各周波数成分毎に周波数領域受信信号を周波数領域参照信号で除算して正規化信号を得ている。そして、この正規化信号は、フィルタ部に供給され、そこで雑音成分を除去した後、高分解能信号処理部に供給するようにしたので、高分解能信号処理部に供給される正規化信号は、雑音成分によって影響を受けることがなく、正規化信号中の主信号成分と遅延信号成分とを正確に分離判別することが可能になるという効果がある。
【0050】
また、本発明によれば、フィルタ部を、周波数領域信号である正規化信号をフーリエ変換し、時間領域信号に変換するフーリエ変換部と、得られた時間領域信号を時間領域内で雑音成分を除去する雑音除去部と、雑音成分を除去した時間領域信号を逆フーリエ変換し、周波数領域信号に変換する逆フーリエ変換部とにより構成したので、正規化信号中の雑音成分の除去が容易であり、有効的に雑音成分を除去した正規化信号を高分解能信号処理部に供給できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による拡散変調信号受信装置の一実施例の構成を示すブロック構成図である。
【図2】送信機側で拡散変調を行うときに用いられるPN符号の一例を示す波形図である。
【図3】受信部が出力するベースバンド拡散変調信号の一例を示す波形図である。
【図4】ベースバンド拡散変調信号を第1フーリエ変換部にてフーリエ変換した後に得られる変換信号の特性図である。
【図5】参照信号発生部から出力される参照信号の一例を示す波形図である。
【図6】参照信号を第2フーリエ変換部にてフーリエ変換した後に得られる変換信号の特性図である。
【図7】除算部から出力される正規化信号を示す特性図である。
【図8】除算部から正規化信号が出力されたとき、フーリエ変換部が出力する時間領域信号と雑音除去部にて使用される信号レベルとを合わせて示した波形図である。
【図9】フィルタ部で雑音成分が除去された正規化信号を示す特性図である。
【図10】高分解能信号処理部に正規化信号を入力した場合に出力される相関計量信号である。
【図11】既知のPN符号を用いた拡散変調方式に用いられる信号波形の一例を示す波形図である。
【図12】PN符号を用いた拡散変調方式に用いられる信号の周波数スペクトラムを示す特性図である。
【図13】PN符号を用いた拡散変調方式を移動体追尾方式に適用した場合の既知の拡散変調信号受信装置において主信号成分と遅延信号成分とに分離する要部構成の一例を示すブロック図である。
【図14】図13に図示の既知の拡散変調信号受信装置において高分解能信号処理部から出力される相関計量信号である。
【符号の説明】
1 受信部
2 第1フーリエ変換部
3 第1フィルタ手段
4 参照信号発生部
5 第2フーリエ変換部
6 第2フィルタ手段
7 除算部
8 フィルタ部
9 高分解能信号処理部
10 制御部
11 アンテナ
12 信号出力端子
13 ベースバンド信号発生部
14 アナログ−ディジタル(A/D)変換部
15 メモリ
16 フーリエ変換部
17 雑音除去部
18 逆フーリエ変換部
Claims (1)
- PN符号で拡散変調した拡散変調信号を含む電波を受信し、ベースバンド拡散変調信号を発生する受信部と、前記PN符号と相関がある参照信号を発生する参照信号発生部と、前記ベースバンド拡散変調信号及び前記参照信号をフーリエ変換する第1及び第2フーリエ変換部と、前記フーリエ変換したベースバンド拡散変調信号を前記フーリエ変換した参照信号で除算し、正規化信号を発生する除算部と、前記正規化信号の中の主信号成分と遅延信号成分を分離判別する高分解能信号処理部とを備え、前記除算部と前記高分解能信号処理部の間に、雑音成分が重畳された正規化信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、スレッシュホールドレベル以下の雑音成分を除去する雑音除去部と、雑音成分を除去した信号を雑音成分を除去した正規化信号に変換する逆フーリエ変換部とからなるフィルタ部を設けたことを特徴とする拡散変調信号受信装置。
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