JP3649560B2 - 直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体 - Google Patents
直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体に係り、特に、直交周波数分割多重された多重化信号に、複数のデータを独立に変調して伝送することに好適な、直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル通信の変調方式として、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM。以下、OFDMという。)方式の実用化が進められている。
【0003】
OFDMが適用される方式として、例えば、EUREKA−147 SYSTEMが挙げられる。これは、一般に、DAB(Digital Audio Broadcasting)、ユーレカ147DABシステムなどと呼ばれている。以下、ユーレカ147DABシステムという。ユーレカ147DABシステムは、1994年11月にITU−RでSystem−Aとして認められ、国際規格になっている。この規格は、「ETS 300401」として発行されている。
【0004】
OFDM方式では、互いに直交する複数のサブキャリヤーに分割多重化してデーターが伝送される。各サブキャリヤーの周波数は、ベースバンドにおいて、ある基本周波数の整数倍となるように選ばれる。基本周波数の1周期を有効シンボル期間とすると、相異なるサブキャリヤー同士の積は、有効シンボル期間における積分が0となる。これをサブキャリヤー同士が直交するという。
【0005】
OFDM方式では、送信側と受信側との間に周波数差が生じると、復調に際して、サブキャリヤー同士の直交性が崩れる。これは、サブキャリヤー相互の干渉を引き起こし、復調されるデーターに誤りが生じる原因となる。上記周波数差が生じる原因としては、例えば、送信側、受信側のそれぞれにおける基準発振器の発振周波数の誤差や変動、送信側と受信側との相対運動によるドップラーシフトなどが挙げられる。より具体的には、例えば、発振子の製作精度、組立調整の精度などが不足することに伴う周波数誤差、使用環境の温度変化と、温度特性とによって生じる周波数変動、自動車等に搭載された場合のドップラー効果などを原因として周波数ずれが起きることがある。
【0006】
周波数差が生じた場合でも誤りが少ない復調データーを得るために、周波数同期方式が検討されている。例えば、「OFDMにおけるガード期間を利用した新しい周波数同期方式の検討」(テレビジョン学会技術報告 Vol.19,No.38,pp.13〜18 )に記載される周波数同期方式がある。この周波数同期方式は、有効シンボル期間の信号波形が巡回的に繰り返される、ガード期間(Guard Interval)を利用している。
【0007】
すなわち、受信信号を直交検波回路によりベースバンドに変換し、さらにFFT回路により各キャリヤー成分を復調する。図12の(1)は、直交検波器の同相軸出力を示す。ここで、n番目のOFDMシンボルは、ガード部Gn(サンプル数Ng)と、有効シンボル部Sn(サンプル数Ns)とで構成され、ガード期間の信号Gnには、有効シンボルの一部であるGn’が複写されている。図12の(2)は、図12の(1)の信号を有効シンボル期間だけ遅延したものである。図12の(3)は、(1)と(2)との信号を乗算して、ガード期間幅(Ngサンプル)の移動平均を求めることにより、2つの信号の相関を求めた結果である。GnとGn’とは同じ信号波形であるので、図12の(3)に示すように相関出力は、シンボルの境界でピークを示す。
【0008】
同相軸データーと、有効シンボル期間だけ遅延された同相軸データーとの相関のピーク値をSiiとし、同相軸データーと、有効シンボル期間だけ遅延された直交軸データーとの相関のピーク値をSiqとすると、
周波数誤差δは、
【0009】
【数1】
【0010】
により求めることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した逆正接関数を用いて周波数誤差を求める方法では、サブキャリヤー間隔で正規化された周波数オフセットと、上述のようにして求められた誤差信号δとの関係は、図13に示すようにサブキャリヤー間隔を1周期とする周期性を有している。このため、誤差信号δに対応する周波数オフセットが、どの周期にあるかは区別されない。例えば、図13において、δ1の誤差信号が得られた場合、点Aの他に、点B、点Cなども対応する。従って、真の正規化周波数オフセットが、OAであっても、これを、オフセットOB、OCなどと区別することはできない。このため、サブキャリヤー間隔の1/2以上の偏差が生じ得る場合には、その周波数オフセットを特定することは困難であり、オフセットの向きを逆向きに誤ることもあり得る。
【0012】
ところが、一般に、OFDMでは、サブキャリヤー同士の間隔は狭く設定されるため、この間隔の1/2以下に周波数差を抑えることは困難である。
【0013】
例えば、ユーレカ147DABシステムのモードIでは、中心周波数は、230MHz、サブキャリヤー間隔は、1kHzと定められている。すなわち、サブキャリヤー間隔の1/2に相当する周波数は、500Hzであり、これは、約2.2PPMの周波数精度となる。しかし、送信周波数と受信周波数における周波数差を2.2PPM以内に抑えることは容易ではない。この精度を達成するには、例えば、発振器のコスト増を伴い、実際的ではない。
【0014】
また、送信側と受信側との相対距離が変化する場合、例えば、移動体に設置された受信装置における放送の受信などの場合は、ドップラー効果による周波数の偏移(ドップラーシフト)が生ずる。従って、送信側と受信側との相対速度が、上記ドップラーシフトがサブキャリヤー間隔の1/2以内となる場合に制限されるという問題がある。
【0015】
また、上記の方法では、適用対象が、ガード期間を含むOFDM信号に限られ、ガード期間が設けられていない場合は、周波数偏移を検知することが困難であるという問題がある。
【0016】
本発明は、OFDM信号のサブキャリヤーの周波数間隔の数倍にもわたる周波数ずれを、受信側において容易にかつ精度よく検出することに好適なOFDM信号を送信することができる、直交周波数分割多重信号発生装置、送信装置および方法、通信装置および方法を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、OFDM信号のサブキャリヤーの周波数間隔の数倍にもわたる周波数ずれを容易に検出し周波数同期することができる周波数制御装置および方法、受信装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様によれば、
データを伝送するための複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
発生すべき多重化信号のパワースペクトルのエンベロープが指定された周波数依存性を有するように、前記データを伝送するための複数のサブキャリヤーのパワー分布を変化させるためのパワー変換手段を備えること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置が提供される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、
複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
伝送すべきデーターを、上記複数のサブキャリヤーの各々に相当する複数列のデーター列に直列/並列変換するためのデーター列変換手段と、
上記直列/並列変換された各データー列を、当該データー列が示すパワーが列ごとに定められた比率で変化するように、変換するためのパワー変換手段と、
上記変換された複数列のデーター列の各々を周波数領域で直交関係にあるサブキャリヤーとして含む、互いに直交する実数軸信号および虚数軸信号の時間軸波形を生成するための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により生成された実数軸信号および虚数軸信号を直交変調して合成するための直交変調手段とを有すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置が提供される。
【0020】
ここで、上記第1の態様および第2の態様において、
上記パワー変換手段は、例えば、パワースペクトルのエンベロープのエンベロープが、その分布中心に近づくほどパワーが増加する形状(山形の形状)、または、分布中心に近づくほどパワーが現象する形状(谷形の形状)となるように、各サブキャリヤーのパワーを変化させる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、
複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号に周波数同期するための周波数制御装置において、
上記多重化信号を直交検波して、互いに直交する第1の検波軸信号および第2の検波軸信号を得るための直交検波手段と、
上記2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、かつ、これら標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、周波数領域に分布する複数のメトリックスを求めるための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められたメトリックスの分布のエンベロープにおける周波数依存性を検知するための周波数依存性検知手段と
上記エンベロープにおける周波数依存性に基づいて、上記多重化信号の中心周波数の、予め定められた基準周波数に対する周波数差を求め、この周波数差に応じた周波数変化の指示を生成するための演算制御手段と、
上記離散フーリエ変換手段に入力される信号の周波数を、上記演算制御手段により生成された指示に従って変化させるための周波数変化手段とを有すること
を特徴とする周波数制御装置が提供される。
【0022】
ここで、第3の形態において、例えば、上記演算手段は、メトリックのパワー分布の重心に相当する周波数と、予め定められた基準周波数との周波数差が小さくなるように、周波数を変化させる指示を、上記周波数変換手段に与える。より具体的には、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワーの総和と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワーの総和との差を求め、上記求めた差が小さくなるように周波数を変化させる指示を、上記周波数変化手段に与える。
【0023】
また、上記演算制御手段における処理の他の態様として、
上記離散フーリエ変換手段により得られたメトリックの分布に基づいてパワースペクトルを求め、
上記パワー変換手段に予め定められたパワースペクトルの分布から、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワー変化率と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワー変化率とを求め、上記求めた変化率に従って、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワーのエンベロープを近似する第1の近似線と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワーのエンベロープを近似する第2の近似線とから、その交点を推定中心周波数とし、
上記求めた推定中心周波数と、予め定められた基準周波数との差が小さくなるように周波数を変化させる指示を、上記周波数変化手段に与えることができる。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、
直交周波数分割多重された多重化信号を受信するための受信装置において、
多重化信号を含む高周波信号を受け付け、受け付けた高周波信号から予め定められた周波数帯域を選択するためのバンドパスフィルター部と、
上記周波数変換された信号を再生キャリヤーを用いて直交検波し、離散フーリエ変換すると共に、上記再生キャリヤーの周波数を操作して周波数同期するための周波数制御部と、
上記離散フーリエ変換されたデーターを復調するための復調部と、
上記復調された信号を出力するための出力部とを有し、
上記周波数制御部は、上記第3の態様における周波数制御装置を用いて構成されること
を特徴とする受信装置が提供される。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、
直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて通信するための通信装置において、
入力される信号が示すデーターで、搬送波を直交周波数分割多重変調して多重化信号を送出するための送信部と、
受け付けた信号を直交周波数分割多重復調して変調データーを検出し、変調データーが示す信号を出力するための受信部とを有し、
上記送信部は、上記第1の態様および第2の態様のいずれかにおける直交周波数分割多重信号発生装置を用いて構成され、
上記受信部は、上記第4の態様における受信装置を用いて構成されること
を特徴とする通信装置が提供される。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、
データを伝送するための複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を用いる通信方法において、
上記多重化信号を送信するに際し、当該多重化信号の周波数軸上における位置を示す周波数指標情報を、多重化信号のパワースペクトルのエンベロープにおける周波数依存性を用いて送出し、
上記多重化信号を受信するに際し、当該多重化信号のパワースペクトルにおけるエンベロープから周波数指標情報を取得し、当該取得した周波数指標情報を用いて周波数同期すること
を特徴とする通信方法が提供される。
【0027】
本発明の第7の態様によれば、
データを伝送するための複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて情報を送信するための送信方法において、
上記多重化信号を送信するに際し、当該多重化信号の周波数軸上における位置を示す周波数指標情報を、多重化信号のパワースペクトルのエンベロープにおける周波数依存性を用いて送信すること
を特徴とする送信方法が提供される。
【0028】
本発明の第8の態様によれば、
複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号に周波数同期するための周波数制御方法において、
受け付けた多重化信号の時間軸波形を周波数領域に変換し、
上記周波数領域に変換された多重化信号のスペクトル分布のエンベロープから、上記スペクトル分布の中心の周波数を求め、
上記スペクトル分布の中心の周波数と、予め定められた基準周波数との差が小さくなるように、上記周波数領域に変換される前の多重化信号の周波数を変化させること
を特徴とする周波数制御方法が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
まず、図1から図3を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0031】
図1において、本実施の形態における直交周波数分割多重信号発生装置10000は、データー列変換部10100と、パワー変換部10200と、逆離散フーリエ変換部10300と、直交変調部10400とを有して構成される。
【0032】
上記データー列変換部10100は、シリアル(直列の状態)で与えられるデーター列を、OFDM信号のサブキャリヤーの数に相当する列数のデーター列に変換するためのものである。例えば、ユーレカ147DABのモードIの場合、OFDM信号が1536本のサブキャリヤーを有するため、シリアルのデーター列を1536列のデーター列に変換する。データー列変換部10100は、例えば、シリアル/パラレル変換器を用いて構成することができる。
【0033】
OFDM信号における各サブキャリヤーには、同相軸データーと直交軸データーとの2つのデーターが含まれる。このため、各サブキャリヤーには、2ビットのデーターが割り当てられる。従って、各シンボルごとに3072ビットのデーターを伝送することができる。
【0034】
上記パワー変換部10200は、上記データー列変換部10100により並列データー列に変換された各々の複素データーのパワーを予め定められた比率で変換するためのものである。例えば、上述したユーレカ147DABのモードIの場合には、上記1536組の同相軸データーおよび直交軸データーからなる複素データーのパワーを予め定められた比率で変換する。より具体的には、例えば、図3に示すように、中心周波数に近づくほどそのサブキャリヤーのパワーが大きくなるように、複素データーのパワーを変換する。例えば、中心から最も離れた両端のサブキャリヤーのパワーを1(100%)として、各サブキャリヤーのパワーを1%ずつ増加させる。このとき、中心周波数に隣接したサブキャリヤーにおけるパワーの増加は768%となる。
【0035】
上記逆離散フーリエ変換部10300は、複数のサブキャリヤーを時間軸波形に合成するためのものである。逆離散フーリエ変換部10300は、複素データーを逆離散フーリエ変換するためのDFT(Discrete Fourier Transform;離散フーリエ変換)回路10310と、上記逆離散フーリエ変換された複素データーの同相軸データーおよび直交軸データーをそれぞれアナログ波形に変換して、互いに直交する実数軸信号および虚数軸信号を生成するためのD/A(Digital to
Analog)変換部10320,10330とを有して構成される。
【0036】
上記直交変調部10400は、上記実数軸信号および虚数軸信号を用いて搬送波を直交変調するためのものである。直交変調部10400は、90度の位相差を有する2つの信号を生成するための発振部10410と、これら2つの信号の一方の信号および上記実数軸信号、また、他方の信号および上記虚数軸信号をそれぞれ乗算するための2の乗算器10320,10330と、乗算して得られた2つの信号を互いに加算するための加算器10440とを有して構成される。
【0037】
上記発振部10410は、例えば、搬送波となる周波数の信号を発振するための局部発振器10412と、発振された信号を2つに分配するための分配器10414と、分配された信号の一方に90度の位相遅延を与えるための移相器10416とを備える構成とすることができる。なお、発振部10410は、90度の位相差で発振する2つの発振器を備える構成としてもよい。
【0038】
上述のようにして、サブキャリヤーのパワー分布を変化させたOFDM信号は、図2に示す受信装置にて受信される。
【0039】
なお、上述の説明では、パワー変換部10200が、データー列変換部10100と逆離散フーリエ変換部10300との間に設けられ、上記逆離散フーリエ変換部10300に入力される各複素データーのパワーを変換してサブキャリヤーのパワー分布を変化させる構成について説明したが、本発明におけるパワースペクトルのエンベロープの形状を操作する態様はこれに限らない。例えば、直交変調部10400の後段にパワー変換部を備え、これにより、直交変調された信号波形の周波数依存性を変化させて、パワースペクトルのエンベロープの形状を操作してもよい。このようなパワー変換部としては、例えば、減衰特性の周波数依存性が予め定められた形状となるフィルタ回路、増幅率の周波数依存性が予め定められた形状となる増幅回路などを用いて構成することができる。これにより、パワー変換部を簡易な構成とし、また、パワー変換のための処理速度を容易に向上することができる。この場合には、逆離散フーリエ変換部10300に入力される複素データーのパワーを予め定められた値に規格化しておくことにより、パワー変換部を、パワースペクトルのエンベロープの形状パワースペクトルのエンベロープの形状に相当する周波数依存性を有する構成とすることができる。これにより、エンベロープの形状の周波数依存性を容易に検証し、パワー変換部の調整の見通しをよくすることができる。
【0040】
図2において、周波数制御装置1000は、直交検波部1100と、離散フーリエ変換部1200と、周波数偏差検知部1300とを有して構成される。
【0041】
上記直交検波部1100は、OFDM信号を受け付け、再生キャリヤーを用いて、互いに直交する2つの検波軸信号を得るためのものである。2つの検波軸は、例えば、受け付けた信号と同相の同相軸(I相軸)、および、受け付けた信号に直交する直交軸(Q相軸)に選ぶことができる。なお、2つの検波軸は、互いに直交する関係にあれば、これらの位相に限らない。例えば、受けた信号に対して、+45度の位相の検波軸、および、−45度の位相の検波軸に選んでもよい。
【0042】
直交検波部1100は、例えば、受け付けた信号を2つに分配するための分配器1150と、90度の位相差がある2つの再生キャリヤーX,Yを発振するための再生キャリヤー生成器1119と、上記分配された2つの信号に、上記再生キャリヤーXおよびYをそれぞれ乗算するための2つの乗算器1107A,1107Bとを用いて構成することができる。
【0043】
上記再生キャリヤー生成器1119は、例えば、発振周波数を変更可能な周波数可変発振器1160と、発振された信号を2つに分配するための分岐回路1180と、分配された信号の一方に90度の位相遅延を与えるための移相器1170とを用いて構成することができる。このように構成された再生キャリヤー生成器1119を用いて、再生キャリヤーを生成することができる。また、上記周波数可変発振器1160は、上記周波数偏移検知部1300から与えられるAFC信号に従って、その発振周波数を変化させることができる。
【0044】
上記離散フーリエ変換部1200は、OFDM信号に含まれるサブキャリヤー数より多い数のサンプリングポイントで、上記I相軸信号およびQ相軸信号をそれぞれサンプリングし、これらを離散フーリエ変換するためのものである。上記離散フーリエ変換部1200は、例えば、2つのA/D(Analog to Digital)変換器1208A,1208Bと、離散フーリエ変換処理を実行するためのDFT回路1209とを有して構成される。DFT回路1209において、離散フーリエ変換を実行するための計算のアルゴリズムとしては、例えば、DFTの定義式に従って計算を実行してもよいし、高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)などを用いてもよい。FFTを用いて計算することにより、DFTの計算を高速に行うことができる。DFT回路1209は、例えば、専用のハードロジックで構成される。なお、DFT処理を実行するためのプログラムを搭載した汎用の演算装置を用いて構成してもよい。
【0045】
上記周波数偏差検知部1300は、上記離散フーリエ変換部1200で得られたメトリックスを受け付け、受け付けたOFDM信号との周波数差を求め、求めた周波数差を小さくするように周波数同期を行うための演算制御を行うためのものである。上記周波数偏差検知部1300は、例えば、周波数差を求める演算処理を行うための演算処理部1322と、演算処理部1322が求めた周波数差に応じたAFC(Automatic Frequency Control;自動周波数制御)信号を生成するための制御信号生成部1350とを有して構成される。
【0046】
上記制御信号生成部1350は、例えば、演算結果に応じた電圧を有する信号を生成するD/A(Digital to Analog)変換器を用いることができる。また、上記直交検波部1100における再生キャリヤー生成器1119として数値制御発振器が用いられている場合には、制御信号生成部1350を省略して、演算結果が示す信号を直接与えてもよい。このようにして、上記演算結果に応じた周波数の変化量を指示するAFC信号を生成することができる。
【0047】
なお、AFC信号が示す変化量の大きさを一定値とし、変化の有無、および、その向きを上記演算結果に応じて変更してもよい。変化量の大きさを一定値とすることにより、制御信号生成部1350、および、直交検波部1100における再生キャリヤー生成器1119を簡易に構成することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、直交検波部1100における再生キャリヤーの周波数を変化させることによって、DFT回路1209に入力される信号の周波数を変化させる態様について説明したが、DFT回路1209に入力される信号の周波数を変化させる態様はこれに限らない。例えば、図11に示すように、受け付けられたOFDM信号を中間周波数に変換するための周波数変換部3000が、直交検波部1100の前段に設けられる場合、AFC信号を上記周波数変換部3000に与え、当該周波数変換部3000で周波数が変換される変換量を変化させることができる。
【0049】
次に、図2、図3および図4を参照して、上述のように構成される周波数制御装置の動作について説明する。
【0050】
まず、図4を参照して、周波数制御装置に与えられるOFDM信号について説明する。
【0051】
図4に示すように、OFDM信号のベースバンドは、互いに周波数が異なる複数のサブキャリヤーが重畳された時間軸波形となる。図4には、24のサブキャリヤーに分離多重化されたOFDM信号が描かれているが、サブキャリヤーの数がこれに限らないことは勿論である。また、各サブキャリヤーは、上述のように送信装置10000のパワー変換部10200において、中心周波数に近づくほどパワーが大きくなるように予め定められた比率でパワー変換されているとする。
【0052】
上記OFDM信号のベースバンドは、周波数領域で示すと、図3に示すスペクトルとなる。これは、図4に示す時間軸波形のフーリエ変換に相当する。図3において、複数のサブキャリヤーが周波数軸上に並び、各サブキャリヤーは、変調による側波帯成分を含んでいる。
【0053】
次に、図2を参照して、本実施の形態の周波数制御装置の動作について説明する。
【0054】
まず、直交検波部1100において、OFDM信号が受け付けられ、互いに直交するI相軸信号およびQ相軸信号が取得される。
【0055】
そして、離散フーリエ変換部1200において、上記2つの検波軸の信号(I相軸信号、Q相軸信号)が、それぞれ時間軸波形をサンプリング(標本化)される。本実施の形態における離散フーリエ変換部1200(図2参照)では、サブキャリヤー数より多いサンプリングポイントでサンプリングし、サンプリングされたデーターについて離散フーリエ変換の計算を行っている。
【0056】
すなわち、サンプリングされたI相軸データーおよびQ相軸データーが、複素量として(例えば、I相軸信号の標本値を実部、Q相軸信号の標本値を虚部として)離散フーリエ変換される。離散フーリエ変換により、メトリックス(複素計量)Zが、サンプリングポイント(標本化点)の数NSに相当する数の周波数スロットのそれぞれに対応して求められる。上記NS個のメトリックスZのうちには、サブキャリヤーの数NCに相当する有効メトリックスに加えて、サブキャリヤーの数をサンプリングポイント数が超過した数NOS(=NS−NC)に相当する無効メトリックスが含まれている。無効メトリックスは、ノイズ、および、各サブキャリヤーからの漏れなどによる成分である。離散フーリエ変換の結果得られるメトリックス分布としては、例えば、NC個の有効メトリックスが連続して並び、この両側に、(NOS/2)個の無効メトリックスが並ぶ場合がある。
【0057】
ここで、虚数単位をj、メトリックスが得られる周波数スロットを示すサフィックスをiとすると、各メトリックスZiは、(ai+jbi)と表される。上記離散フーリエ変換の演算の結果、サンプリングポイント数NSのメトリックス{Zi}(i=1,2,3,…,NS)を示す、2系列のデーター{ai}、{bi}が得られる。
【0058】
例えば、上記ユーレカ147DABシステムにおけるモードIのOFDM信号は、1536のサブキャリヤーを有する。このような信号について、本実施の形態における周波数制御装置1000では、上記1536よりも多い2048(2の10乗)のサンプリングポイントでサンプリングを行っている。この場合、図3に示すように、1536の有効メトリックスおよび512の無効メトリックスが得られる。
【0059】
なお、2のべき乗の数のサンプリングポイントでサンプリングを行うことにより、DFT演算がFFTにより高速化される効果を向上させることができる。
【0060】
次に、周波数偏差検知部1300において、上記離散フーリエ変換部1200で取得されたメトリックスの分布{ai+jbi}と、予め定められた分布との差を求める演算処理が行われ、この演算処理の結果に応じてAFC信号が生成される。
【0061】
本実施の形態では、受け付けたOFDM信号から得られたメトリックスのパワー分布の重心が、予め定められた基準周波数に近づくように、再生キャリヤーの周波数を変化させて、周波数同期を行う。すなわち、周波数偏差検知部1300において、メトリックスのパワー分布の重心を求め、この重心の周波数と、予め定められた基準周波数とを比較する。そして、上記重心の周波数と上記基準周波数との周波数差を求め、これが小さくなるように再生キャリヤーの周波数を変化させる指示を上記直交検波部1100(図2参照)に与える。
【0062】
上記重心の周波数と基準周波数との周波数差を求める演算としては、例えば、メトリックス分布{zi}から、そのパワー分布{Pi}の重心に相当する周波数と、予め定められた基準周波数との周波数差を求めることができる。
【0063】
上記パワーPは、例えば、Zの複素共役をZ*として、
と定義することができる。すなわち、メトリックスZが、
Z=(a+jb)
であるとき、このメトリックスのパワーは、
と与えられる。
【0064】
以下に、上記演算処理部1322(図2参照)で行われる演算処理の詳細について説明する。
【0065】
まず、離散フーリエ変換部1200(図2参照)で取得されたNS個のメトリックスの分布{Ai+jBi}(i|1,2,3,…,NS)について、予め定められた基準周波数に相当する周波数スロットCより低い周波数の周波数スロット(1〜C)に属するメトリックスのパワーの総和WLと、上記基準周波数に相当する周波数スロットより高い周波数の周波数スロット(C〜NS)に属するメトリックスのパワーの総和WHとをそれぞれ求める。上記基準周波数としては、例えば、標本化周波数に等しい周波数の信号が受け付けられたときに、理論的に予想される有効メトリックスのパワー分布の中心周波数を選ぶことができる。このとき、基準周波数に相当する周波数スロットCは、C=NS/2となる。
【0066】
そして、上記求めた総和WLと総和WHとを比較し、これらの総和の差δWから周波数差を求める。総和の差δWは、例えば、次式に従って実行することができる。
【0067】
【数2】
【0068】
この式では、取得されたメトリックスの全てを用いてパワー分布の重心を求めているが、理論的に予想される有効メトリックスの範囲について計算を行ってもよい。また、基準周波数Cについては、同じ計算が重複して行われるのでこれを省略することができる。すなわち、理論的に予想される基準周波数Cについて、
【0069】
【数3】
【0070】
に従って、総和の差を求めることができる。この式に従って演算すると、C番目とC+1番目のスロットを境として、スペクトルパワーの分布がどちらに偏っているかが算出できる。基準周波数Cは、理論的な周波数の設定に従って選ぶことができる。例えば、標本化点が2048であるとき、基準周波数Cを、
と選ぶことができる。
【0071】
また、パワー分布が既知である信号を用いて伝送路の影響を避けることができる。すなわち、ヌルシンボル期間に取得されるOFDM信号についてのメトリックス{Ani+jBni}と、信号シンボル期間のメトリックス{Asi+jBsi}とから、
【0072】
【数4】
【0073】
を求め、このメトリックスを計算に用いる。
【0074】
また、メトリックスのパワーの全周波数スロットについての総和Wtを求め、これによって上記総和の差δWを規格化することができる。すなわち、全周波数スロットについてのパワーの総和Wtは、
【0075】
【数5】
【0076】
によって求められ、これを用いて規格化された総和の差δW/Wtを求めることができる。これを周波数の偏移量として制御信号生成部1350(図2参照)に与える。これによって、到来するOFDM信号のパワーが変動する場合であっても、この影響を低減することができる。
【0077】
次に、図5および図6を参照して、規格化されたメトリックスを用いる場合の計算手順の一例について説明する。
【0078】
まず、図6のステップS121において、シンボル期間ごとに、受け付けた信号をFFTを用いて離散フーリエ変換を行う。
【0079】
そして、ステップS122において、ヌルシンボルから得られるメトリックスで、シンボル期間のメトリックスを規格化する。
【0080】
次に、ステップS123において、上記ステップS122で規格化されたメトリックスを、基準周波数を境に2つの領域に分割し、それぞれの領域におけるパワーの総和を計算する。そして、上記2つの領域によるパワーの総和の差を求める。
【0081】
このとき、周波数差がない場合には、分割された2つの領域が対称となり、図5の(a)に示すように、基準周波数より低周波側の領域における総和WLと、高周波側の領域における総和WHとが相等しくなる。また、周波数差がある場合、2つの領域が非対称となる。例えば、低周波側に偏移した信号が受信された場合には、図5の(b)に示すように、基準周波数より低周波側の領域における総和WLが、高周波側の領域における総和WHより大きくなる。
【0082】
また、受信された信号がフェージングなどの影響を受けている場合は、ステップS124において周波数の偏移を補正する。
【0083】
再生キャリヤーの周波数を、上述のようにして求められた周波数差が減少するように変化させることにより、周波数同期を行うことができる。
【0084】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0085】
本実施の形態では、送信装置は、第1の実施の形態と同様に構成されるが、周波数制御装置における中心周波数の推定方法において相違する。以下に相違点を中心に説明する。
【0086】
本実施の形態では、受け付けたOFDM信号から得られたメトリックスのパワー分布は、予め送信装置で定められたように、中心から最も離れた両端のサブキャリヤーのパワーを1として、各サブキャリヤーのパワーを1%ずつ増加させてあるから、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワーの変化率と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワーの変化率とは、それぞれ単調な1次線形分布となることを利用して、周波数偏移を検知する。
【0087】
すなわち、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワーのエンベロープを近似する第1の近似線と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワーのエンベロープを近似する第2の近似線とから、その交点を推定中心周波数とする。
【0088】
上述のようにして求めた推定中心周波数と、上記基準周波数との差が小さくなるように、再生キャリヤーの周波数を変化させる指示を上記直交検波部1100(図2参照)に与える。
【0089】
以下に、上記演算処理部1322(図2参照)で行われる演算処理の詳細について説明する。
【0090】
まず、離散フーリエ変換部1200(図2参照)で取得されたNS個のメトリックスの分布{Ai+jBi}(i|1,2,3,…,NS)について、全ての周波数スロット(1〜NS)に属するメトリックスのパワーをそれぞれ求める。上記基準周波数としては、例えば、標本化周波数に等しい周波数の信号が受け付けられたときに、理論的に予想される有効メトリックスのパワー分布の中心周波数を選ぶことができる。このとき、基準周波数は、C=NS/2となる。例えば、標本化点が2048であるとき、
と選ぶことができる。
【0091】
上記第1の近似線は、例えば、起こり得る周波数誤差範囲を十分考慮して、予め定められた基準周波数より少なくとも8kHz以上高い周波数のサブキャリヤーから、最も高い周波数のサブキャリヤーより少なくとも8kHz以上低い周波数のサブキャリヤーまでの、各メトリックスのパワーに対して、最小2乗法により1次直線の線形近似で近似できる(図7参照)。
【0092】
また、上記第2の近似線も同様に、例えば、起こり得る周波数誤差範囲を十分考慮して、予め定められた基準周波数より少なくとも8kHz以上低い周波数のサブキャリヤーから、最も低い周波数のサブキャリヤーより少なくとも8kHz以上高い周波数のサブキャリヤーまでの、各メトリックスのパワーに対して、最小2乗法により1次直線の線形近似で近似できる(図7参照)。
【0093】
上記推定中心周波数Eは、上記第1の近似線および第2の近似線をそれぞれ延長したときに交差する点での周波数の値とすればよい。従って、第1の近似線を、
P=α1・i+β1 …(201)
とし、また、第2の近似線を、
P=α2・i+β2 …(202)
とすれば、
α1・i+β1=α2・i+β2 …(203)
を満たすiにより、容易にEを求めることができる。すなわち、Eは、
【0094】
【数6】
【0095】
と求まる。
【0096】
そして、上記求めた推定中心周波数と基準周波数とを比較し、これらの差δfから周波数差を求める。周波数差δfは、例えば、次式に従って求めることができる(図7参照)。
【0097】
δf=E−C …(205)
また、パワー分布が既知である信号を用いて伝送路の影響を避けることができる。すなわち、ヌルシンボル期間に取得されるOFDM信号についてのメトリックス{Ani+jBni}と、信号シンボル期間のメトリックス{Asi+jBsi}とから、
【0098】
【数7】
【0099】
を求め、このメトリックス{Ai+jBi}を計算に用いる。
【0100】
次に、図7および図8を参照して、規格化されたメトリックスを用いる場合の計算手順の一例について説明する。
【0101】
まず、ステップS221において、シンボル期間ごとの受け付けた信号についてFFTを用いて離散フーリエ変換を行う。
【0102】
ヌルシンボルから得られるメトリックスで、シンボル期間のメトリックスを規格化する(S222)。
【0103】
ステップS223において、上記ステップS222で規格化されたすべての周波数スロットにおけるメトリックスに対して、パワーを計算する。このとき、周波数差がない場合には、図7の(a)に示すように基準周波数Cに対して対称となる。また、周波数差がある場合、例えば、低周波側に偏移した信号が受信された場合には、図7の(b)に示すように非対称となる。
【0104】
次に、ステップS224では、高周波側の有効メトリックスに対するパワーのエンベロープを線形近似する。線形近似には、例えば、本実施の形態のように、各メトリックスのパワー値から、最小2乗法にて1次直線に近似する方法がある。計算された第1の近似線は、以下の式で表される。
【0105】
【数8】
【0106】
上記第1の近似線は、例えば、起こり得る周波数誤差範囲を十分考慮して、予め定められた基準周波数Cより少なくとも8kHz以上高い周波数のサブキャリヤー(i=1032)から、最も高い周波数のサブキャリヤーより少なくとも8kHz以上低い周波数のサブキャリヤー(i=1784)までの、各メトリックスのパワーに対して、最小2乗法による1次直線の線形近似を実行している。
【0107】
また、ステップS225では、低周波側の有効メトリックスに対するパワーのエンベロープを、ステップS224と同様にして線形近似する。計算された第1の近似線は、次式で表される。
【0108】
【数9】
【0109】
上記第2の近似線は、例えば、起こり得る周波数誤差範囲を十分考慮して、予め定められた基準周波数Cより少なくとも8kHz以上低い周波数のサブキャリヤー(i=1016)から、最も低い周波数のサブキャリヤーより少なくとも8kHz以上高い周波数のサブキャリヤー(i=264)までの、各メトリックスのパワーに対して、最小2乗法による1次直線の線形近似を実行している。
【0110】
ステップS226では、上記ステップS225およびステップS226で求めた2つの近似線が交わる交点を求め、この交点に対応する周波数スロットを推定中心周波数Eとする。従って、推定中心周波数Eは、次式により求められる。
【0111】
【数10】
【0112】
ステップS227では、上記ステップS226で求めた推定中心周波数Eと、予め定められた基準周波数Cとの差を求め周波数の偏移差δfとする。すなわち、
δf=E−C …(209)
このようにして求められた周波数差が減少するように、再生キャリヤーの周波数を変化させることにより周波数同期を行うことができる。
【0113】
なお、上述した第1および第2の実施の形態では、直交周波数分割多重化信号のパワースペクトルのエンベロープが、図3に示されるように、パワースペクトルのエンベロープが、その分布中心に近づくほどパワーが増加する形状、すなわち、山形のエンベロープ形状である場合について説明したが、エンベロープの形状は、これに限らない。例えば、パワースペクトルのエンベロープが、その分布中心に近づくほどパワーが減少する形状、すなわち、谷形のエンベロープ形状であってもよい。ただし、第1の実施の形態における周波数制御を行うためには、山形のエンベロープ形状の場合に、周波数差を検知する感度をより向上させることができる。
【0114】
また、予め定められたサブキャリヤーと、当該サブキャリヤーに隣接するサブキャリヤーとのパワー比が、予め定められた値より大きくなるように、各サブキャリヤーのパワーを変化させてもよい。例えば、中心周波数の近傍のサブキャリヤーのパワーを大きくして、予め定められた閾値を越えるパワーのサブキャリヤーを検知し、その検知された周波数を、予め定められた周波数と比較することもできる。
【0115】
さらに、通信に際し送信側から送信されるべき直交周波数分割多重化信号のパワースペクトルのエンベロープ形状を予め定められた形状と定め、受信側において、受け付けた直交周波数分割多重化信号を離散フーリエ変換して得られた形状と、上記予め定められた形状とを比較することにより、周波数同期することができる。
【0116】
例えば、送信されるべきエンベロープ形状と逆形状の減衰特性を有するフィルターを介して得られる直交周波数分割多重化信号のパワースペクトルの平坦度が最大となるように、離散フーリエ変換部1200(図2参照)に入力される信号の周波数を変換して周波数同期することができる。また、送信されるべきエンベロープ形状と、受け付けた信号のエンベロープ形状との相関係数が最大となるように、離散フーリエ変換部1200(図2参照)に入力される信号の周波数を変換して周波数同期してもよい。このようにして周波数同期を行う場合には、直交周波数分割多重化信号のパワースペクトルのエンベロープ形状は、送信側と受信側とに共通に指定されていればよく、その形状は自由に定めることができる。また、このエンベロープ形状は、送信側と受信側とに、予め固定的に指定されるものであってもよいし、また、外部からの指示によって指定されるものであってもよい。
【0117】
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1および第2のいずれかの実施形態で説明した演算処理を用いて周波数同期を行う、OFDM受信装置である。
【0118】
図9において、受信装置200は、入力端子1と、バンドパスフィルター2と、増幅器3と、乗算器4と、SAW(Surface Acoustic Wave;弾性表面波)フィルター5と、中間周波増幅器6と、乗算器7A,7Bと、A/D変換器8A,8Bと、FFT回路9と、AGC回路10と、同期検出回路11と、差動復調回路12と、第1局部発振器18と、第2局部発振器19と、第1基準発振器20Aと、第2基準発振器20Bと、タイミング回路21と、周波数誤差演算回路22と、時間軸検出回路23と、位相誤差検出回路24とを有して構成される。上記乗算器7A,7Bと、第2局部発振器19とは、直交検波回路を構成している。
【0119】
上記受信装置200において、入力端子1に加えられたRF信号は、バンドパスフィルター2により、所定の帯域外の雑音が除去された後、増幅器3で増幅され、乗算器4で第1局部発振器18からの局部発振信号と乗算され中間周波信号に変換される。変換された中間周波信号は、SAWフィルター5により帯域制限され、次に、中間周波増幅器6により、所定のレベルまで増幅された後、2系統の乗算器7A、7Bに導かれる。
【0120】
乗算器7A、7Bは、第2局部発振器19から、90度の位相差を有する2相の局発信号を入力し、もう一方の入力である中間周波信号とそれぞれ乗算することにより直交検波回路を構成している。乗算器7A、7Bの出力は、A/D変換器8A、8Bによりディジタルデーターに変換された後、ガード期間を除き、有効データー期間をFFT回路9に取り込みFFT処理を行う。
【0121】
FFT処理後、差動復調されて、最終的に音声信号へ変換される。この処理の詳細については説明を省略する。
【0122】
一方、FFT回路9の出力は、そのメトリックスを周波数誤差演算回路22へ入力し、ここで、先に説明した演算を行い周波数差成分をAFC信号として第1基準発振器20Aへ供給する。また、必要に応じて、差動復調回路12の出力信号からは、位相誤差検出回路24で検出した位相誤差からサブキャリヤー間隔の±1/2以内の制御を行うAFC信号も併せて第1基準発振器20Aへ供給される。
【0123】
本実施の形態によれば、サブキャリヤー間隔の1/2以上の周波数差が生じても、周波数同期を行うことができる。この受信装置200は、例えば、ユーレカ147DABシステムにおけるディジタル音声放送の受信に用いることができる。
【0124】
次に、図10を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、OFDM信号を用いて通信を行うための通信装置の例である。
【0125】
図10において、通信装置9001は、到来するOFDM信号を受け付け、OFDM信号が示す情報を出力するための受信部9002と、送信すべき情報を受け付けこれをOFDM信号として送出するための送信部4とを有して構成される。
【0126】
上記受信部9002は、到来する電磁波から予め定められた帯域の信号を選択するためのフィルター部2000と、帯域を選択した信号を中間周波数に変換するための周波数変換部3000と、検波および周波数同期を行うための周波数制御部1000と、検波された信号を復調するための復調部4000と、復調された信号が示す情報を出力するための出力部5000とを有して構成される。
【0127】
上記周波数制御部3000は、例えば、上記第1から第4の実施の形態における周波数制御装置と同様に構成することができる。例えば、同相検波軸信号(I相軸信号)および直交検波軸信号(Q相軸信号)を取得するための直交検波部1100と、I相信号およびQ相信号を離散フーリエ変換するための離散フーリエ変換部1200と、離散フーリエ変換された信号を用いて周波数偏差を検知するための周波数偏差検知部1300とを有する構成とすることができる。
【0128】
上記出力部5000としては、例えば、音声情報を出力するための音声出力装置、画像を表示するための画像出力装置、データーを出力するためのデーター出力装置などが挙げられる。
【0129】
上記音声出力装置は、例えば、アンプ、スピーカなどを用いて構成することができる。
【0130】
上記画像出力装置は、例えば、画像表示回路、および、ディスプレイ装置を用いて構成することができる。
【0131】
上記データー出力装置は、例えば、インタフェース回路、バッファ回路、信号変換回路などを用いて構成することができる。
【0132】
また、上記受信部9002において、フィルター部2000と、周波数変換部3000と、周波数制御部1000と、復調部4000とを1つの筐体に構成し、これをチューナー部9003としてもよい。これにより、情報が出力される態様に対応して、出力装置の組み合わせを変更したり、情報を表示する品質の好みに対応することなどができる。
【0133】
上記送信部9004は、情報を受け付け、これを信号に変換するための入力部6000と、上記変換された信号で、搬送波を変調するための変調部7000と、変調された搬送波を送出するためのRF送出部8000とを有して構成される。変調部7000は、上述した第1の実施の形態または第2の実施の形態における直交周波数分割多重信号発生装置を用いて構成される。
【0134】
また、通信装置9001は、OFDM信号を送受するためのインタフェース部9005に接続された他の機器と通信を行う。インタフェース部9005は、例えば、通信装置9001が接続される形態に応じて例えば、アンテナ、光/電気変換器、電気信号コネクタなどを用いることができる。なお、インタフェース部9005は、図示される例のように、外付けされる態様であってもよいし、通信装置9001に内蔵される態様であってもよい。
【0135】
本実施の形態によれば、送信側と受信側とで周波数差が生じる状態であっても、周波数同期して通信することができる。
【0136】
【発明の効果】
本発明によれば、送信すべきOFDM信号のスペクトル分布のエンベロープ形状を用いて周波数同期するための情報を伝送することができる。このため、OFDM信号を受信する際に、そのスペクトル分布のエンベロープ形状を検知することにより、その信号に周波数同期するための情報を取得することができる。
【0137】
例えば、同相軸データーおよび直交軸データーからなる複素データーを複数列有するOFDM信号について、中心周波数に近づくほど複素データーのパワーが大きくなるように、予め定められた比率でパワーを変化させるパワー変換部を備える送信装置が提供される。このような送信装置から送出されるOFDM信号を受信する受信装置では、受信したOFDM信号を復調するための同期検波周波数の周波数ズレをスペクトル分布の重心に相当する周波数を検知するための演算の精度を向上することができる。従って、受信信号をFFT処理して得た多重キャリヤーの周波数間隔の数倍にもおよぶ周波数ずれを起こしても、精度の高い周波数制御信号を生成して基準発振器を周波数制御できる。従って、実用に適した周波数制御を行うことができ、OFDM信号を安定した状態で受信することができる。
【0138】
また、受信したOFDM信号を復調するための同期検波周波数の周波数ズレを、スペクトルのエンベロープを近似する高周波側および低周波側の2つの近似線の交点から求めることができる。この場合も、多重キャリヤーの周波数間隔の数倍にもおよぶ周波数ずれを起こしても、精度の高い周波数制御信号を生成して基準発振器を周波数制御できることは同様である。
【0139】
また、本発明によれば、受け付けたOFDM信号を復調するための同期検波周波数が、受信信号を離散フーリエ処理して得た多重キャリヤーの周波数間隔の数倍にもおよぶ周波数差が生じても周波数同期を行うことができる周波数制御装置が提供される。
【0140】
これによって、送信側の基準周波数と受信側の基準周波数とに偏差が生じている場合であっても、情報を伝送することができる。また、送信側と受信側との相対運動によりドップラーシフトが生じても周波数同期を行うことができる周波数制御装置が提供される。
【0141】
また、上記周波数制御装置が搭載された受信装置を構成することができ、安定してOFDM信号による放送を受信することができる受信装置を提供することができる。このような放送としては、例えば、ユーレカ145システムDABの放送などが挙げられる。
【0142】
また、上記周波数制御装置が搭載された通信装置を構成することができる。これによって、ディジタル電話などにおける周波数同期を安定なものにすることができる。OFDM方式の適用が容易になり、このため、画像信号を含む信号を通信を行うテレビ電話などのように、伝送情報量が大きい通信に対応することができる。また、周波数同期可能な周波数差が大きくとれるため、各機器における基準周波数の管理が容易になる。さらに、移動体による通信において、ドップラーシフトにより周波数差が生じる場合であっても、周波数同期した状態で通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の直交周波数分割多重信号発生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明が適用されるOFDM信号のメトリックスの周波数領域におけるパワー分布を示す説明図である。
【図4】 OFDM信号メトリックスの周波数領域の構造を示す波形図である。
【図5】 2つの領域に分割されたメトリックスのパワー分布を模式的に示す説明図であって、(a)周波数差がないときの分布、(b)周波数差があるときの分布である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態における演算手順を示すフロー図である。
【図7】 メトリックスのパワー分布におけるエンベロープと近似線とを示す説明図であって、(a)周波数差がないときのパワー分布についての説明図、(b)周波数差があるときのパワー分布についての説明図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態における演算手順を示すフロー図である。
【図9】 本発明を適用した受信装置を示すブロック図である。
【図10】 本発明を適用した通信装置を示すブロック図である。
【図11】 本発明を適用した通信装置の他の態様を示すブロック図である。
【図12】 従来の周波数制御方法で周波数差検出に用いられる信号の相関を示す説明図である。
【図13】 従来の周波数制御方法における、相関信号と周波数オフセットとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…入力端子、2…バンドパスフィルター、3…増幅器、4…乗算器、5…SAWフィルター、6…中間周波増幅器、7A,7B…乗算器、8A,8B…A/D変換器と、9…FFT回路、10…AGC回路、11…同期検出回路、12…差動復調回路、18…第1局部発振器、19…第2局部発振器、20A…第1基準発振器、20B…第2基準発振器、21…タイミング回路、22…周波数誤差演算回路、23…時間軸検出回路、24…位相誤差検出回路、200…受信装置、1000…周波数制御装置、1100…直交検波部、1107A,1107B…乗算器、1150…分配器、1119…再生キャリヤー生成器、1160…周波数可変発振器、1170…移相器、1180…分岐回路、1200…離散フーリエ変換部、1208A,1208B…A/D変換器、1209…DFT回路、1300…周波数偏差検知部、1322…演算処理部、1350…制御信号生成部、2000…フィルター部、3000…周波数変換部、3010…乗算器、3020…周波数可変発振器、4000…復調部、5000…出力部、6000…入力部、7000…変調部、8000…RF送出部、9001…通信装置、9002…受信部、9003…チューナー部、9004…送信部、9005…インタフェース部、10000…直交周波数分割多重信号発生装置、10100…データー列変換部、10200…パワー変換部、10300…逆離散フーリエ変換部、10310…DFT回路、10320,10330…D/A変換部、10400…直交変調部、10410…発振部、10412…局部発振器、10414…分配器、10416…移相器、10420,10430…乗算器、10440…加算器。
Claims (16)
- 複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
伝送すべきデーターを、上記複数のサブキャリヤーの各々に相当する複数列のデーター列に直列/並列変換するためのデーター列変換手段と、
上記直列/並列変換された各データー列を、当該データー列が示すパワーが列ごとに定められた比率で変化するように、変換するためのパワー変換手段と、
上記変換された複数列のデーター列の各々を互いに直交関係にあるサブキャリヤーとして含む時間軸波形を示す、互いに直交する実数軸信号および虚数軸信号を生成するための逆離散フーリエ変換手段と、
上記逆離散フーリエ変換手段により生成された実数軸信号および虚数軸信号を直交変調して合成するための直交変調手段とを有すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項1に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記パワー変換手段は、パワースペクトルのエンベロープが、その分布中心に近づくほどパワーが増加または減少する形状となるように、各サブキャリヤーのパワーを変化させること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項1に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記パワー変換手段は、
特定のサブキャリヤーと、そのサブキャリヤーに隣接するサブキャリヤーとのパワー比が、予め定められた値より大きくなるように、各サブキャリヤーのパワーを変化させること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号に周波数同期するための周波数制御装置において、
上記多重化信号を直交検波して、互いに直交する第1の検波軸信号および第2の検波軸信号を得るための直交検波手段と、
上記2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、かつ、これら標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、周波数領域に分布する複数のメトリックスを求めるための逆離散フーリエ変換手段と、
上記逆離散フーリエ変換手段により求められたメトリックスの分布のエンベロープにおける周波数依存性を検知するための周波数依存性検知手段と
上記エンベロープにおける周波数依存性に基づいて、上記多重化信号の中心周波数の、予め定められた基準周波数に対する周波数差を求め、この周波数差に応じた周波数変化の指示を生成するための演算制御手段と、
上記逆離散フーリエ変換手段に入力される信号の周波数を、上記演算制御手段により生成された指示に従って変化させるための周波数変化手段とを有すること
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4に記載の周波数制御装置において、
上記演算制御手段は、
予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワーの総和と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワーの総和との差を求め、
上記求めた差が小さくなるように周波数を変化させる指示を、上記周波数変化手段に与えること
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4に記載の周波数制御装置において、
上記演算制御手段は、
上記逆離散フーリエ変換手段により得られたメトリックの分布に基づいてパワースペクトルを求め、
上記パワー変換手段に予め定められたパワースペクトルの分布から、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワー変化率と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワー変化率とを求め、 上記求めた変化率に従って、予め定められた基準周波数より高い周波数のメトリックスについてのパワーのエンベロープを近似する第1の近似線と、上記基準周波数より低い周波数のメトリックスについてのパワーのエンベロープを近似する第2の近似線とから、その交点を求めて推定中心周波数とし、
上記推定中心周波数と、予め定められた基準周波数との差が小さくなるように周波数を変化させる指示を、上記周波数変化手段に与えること
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4乃至6のいずれか一項に記載の周波数制御装置において、
上記周波数変化手段は、上記直交検波手段において直交検波に用いられる再生キャリヤーの周波数を変化させて、上記逆離散フーリエ変換手段に入力される信号の周波数を変化させること
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4乃至6のいずれか一項に記載の周波数制御装置において、
上記周波数制御装置の前段には、上記直交検波手段に入力される多重化信号の周波数を変換するための周波数変換手段が設けられ、
上記周波数変化手段は、上記周波数変換手段が周波数を変換すべき変換量を変化させて、上記逆離散フーリエ変換手段に入力される信号の周波数を変化させること
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4乃至8のいずれか一項に記載の周波数制御装置において、
上記逆離散フーリエ変換手段は、上記2つの検波軸信号のそれぞれを、上記多重化されたサブキャリヤーの数より多い数の標本化点で標本化すること
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4乃至9のいずれか一項に記載の周波数制御装置において、
上記逆離散フーリエ変換手段は、上記標本化を、上記複数のサブキャリヤーのうち最低次のサブキャリヤーのキャリヤー周波数の1周期に相当する期間を含む期間について行うこと
を特徴とする周波数制御装置。 - 請求項4乃至10のいずれか一項に記載の周波数制御装置において、
上記演算制御手段は、
上記逆離散フーリエ変換手段により得られたメトリックスの分布に基づいてパワースペクトルを求め、
該パワースペクトルの分布中心が予め定められた基準周波数に近づくように周波数を変化させる指示を、上記周波数変化手段に与えること
を特徴とする周波数制御装置。 - 直交周波数分割多重された多重化信号を受信するための受信装置において、
多重化信号を含む高周波信号を受け付け、受け付けた高周波信号から予め定められた周波数帯域を選択するためのバンドパスフィルター部と、
上記周波数変換された信号を再生キャリヤーを用いて直交検波し、離散フーリエ変換すると共に、上記再生キャリヤーの周波数を操作して周波数同期するための周波数制御部と、
上記離散フーリエ変換されたデーターを復調するための復調部と、
上記復調された信号を出力するための出力部とを有し、
上記周波数制御部は、請求項4乃至11のいずれか一項に記載の周波数制御装置を用いて構成されること
を特徴とする受信装置。 - 直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて通信するための通信装置において、
入力される信号が示すデーターで、搬送波を直交周波数分割多重変調して多重化信号を送出するための送信部と、
受け付けた信号を直交周波数分割多重復調して変調データーを検出し、変調データーが示す信号を出力するための受信部とを有し、
上記送信部は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置を用いて構成され、
上記受信部は、請求項12に記載の受信装置を用いて構成されること
を特徴とする通信装置。 - データを伝送するための複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を用いる通信方法において、
上記多重化信号を送信するに際し、当該多重化信号の周波数軸上における位置を示す周波数指標情報を、多重化信号のパワースペクトルのエンベロープにおける周波数依存性を用いて送出し、
上記多重化信号を受信するに際し、当該多重化信号のパワースペクトルにおけるエンベロープから周波数指標情報を取得し、当該取得した周波数指標情報を用いて周波数同期すること
を特徴とする通信方法。 - データを伝送するための複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて情報を送信するための送信方法において、
上記多重化信号を送信するに際し、当該多重化信号の周波数軸上における位置を示す周波数指標情報を、多重化信号のパワースペクトルのエンベロープにおける周波数依存性を用いて送信すること
を特徴とする送信方法。 - 複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号に周波数同期するための周波数制御方法において、
受け付けた多重化信号の時間軸波形を周波数領域に変換し、
上記周波数領域に変換された多重化信号のスペクトル分布のエンベロープから、上記スペクトル分布の中心の周波数を求め、
上記スペクトル分布の中心の周波数と、予め定められた基準周波数との差が小さくなるように、上記周波数領域に変換される前の多重化信号の周波数を変化させること
を特徴とする周波数制御方法。
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