JP2000260298A - 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置 - Google Patents

冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置

Info

Publication number
JP2000260298A
JP2000260298A JP5895699A JP5895699A JP2000260298A JP 2000260298 A JP2000260298 A JP 2000260298A JP 5895699 A JP5895699 A JP 5895699A JP 5895699 A JP5895699 A JP 5895699A JP 2000260298 A JP2000260298 A JP 2000260298A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electron
field emission
opening
electron emission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5895699A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Okita
昌海 沖田
Satoshi Nakada
諭 中田
Eisuke Negishi
英輔 根岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP5895699A priority Critical patent/JP2000260298A/ja
Publication of JP2000260298A publication Critical patent/JP2000260298A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】平面型の電界放出素子の消費電力を低減し、表
示画面の輝度を向上させる。 【解決手段】電界放出素子の構成を、電子放出層11
と、絶縁層13と、ゲート電極15とがこの順に支持体
10上に設けられ、ゲート電極15と絶縁層13には開
口部14が設けられ、開口部14の底部に露出した電子
放出層11の部分の表面に微小凹凸12が形成された構
成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出効率に優
れた冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並び
に、かかる冷陰極電界電子放出素子が組み込まれた冷陰
極電界電子放出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在主流の陰極線管(CRT)に代わる
画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の
表示装置が種々検討されている。このような平面型の表
示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロル
ミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置
(PDP)を例示することができる。また、熱的励起に
よらず固体から真空中に電子を放出することが可能な冷
陰極電界電子放出表示装置、所謂フィールドエミッショ
ンディスプレイ(FED)も提案されており、画面の明
るさ及び低消費電力の観点から注目を集めている。
【0003】冷陰極電界電子放出表示装置(以下、単
に、表示装置と称する場合がある)は、一般に、2次元
マトリクス状に配列された各画素に対応して電子放出部
を有するカソードパネルと、この電子放出部から放出さ
れた電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層を
有するアノードパネルとが、真空層を介して対向配置さ
れた構成を有する。カソードパネル上の各画素において
は、通常、複数の電子放出部が形成され、更に、電子放
出部から電子を引き出すためのゲート電極も形成されて
いる。この電子放出部とゲート電極を有する部分が冷陰
極電界電子放出素子であり、以下、単に電界放出素子と
称する。
【0004】かかる表示装置の構成において、低い駆動
電圧で大きな放出電子電流を得るためには、例えば、電
界放出素子の電子放出部の先端形状を鋭く尖らせた形状
とすること、個々の電子放出部を微細化して、1画素に
対応する区画内における電子放出部の存在密度を高める
こと、電子放出部の先端部とゲート電極との距離を短縮
することが必要である。従って、これらを実現するため
に、従来より様々な構成を有する電界放出素子が提案さ
れている。
【0005】かかる従来の電界放出素子の代表例の1つ
として、電子放出部を円錐形の導電体で構成した、所謂
スピント(Spindt)型電界放出素子が知られてい
る。このスピント型電界放出素子(以下、スピント型素
子と称する)を組み込んだ表示装置の概念図を、図13
に示す。スピント型素子のカソードパネル400は、支
持体40上に形成されたカソード電極41と、絶縁層4
2と、絶縁層42上に形成されたゲート電極44と、ゲ
ート電極44及び絶縁層42に設けられた開口部43内
に形成された円錐形の電子放出部45から構成されてい
る。電子放出部45が所定数、2次元マトリクス状に配
列されて1画素が形成される。一方、アノードパネル5
00は、基板50上に所定のパターンにより蛍光体層5
1が形成され、この蛍光体層51がアノード電極52で
覆われた構造を有する。
【0006】電子放出部45とゲート電極44との間に
電圧を印加すると、その結果生じた電界によって電子放
出部45の先端から電子が引き出される。この電子は、
アノードパネル500側のアノード電極52に引き付け
られ、アノード電極52と基板50との間に形成された
発光体層である蛍光体層51に衝突する。この結果、蛍
光体層51が励起されて発光し、所望の画像を得ること
ができる。この電界放出素子の動作は、基本的にゲート
電極44に印加される信号電圧によって制御される。
【0007】かかるスピント型素子の製造方法の概要
を、以下、図14及び図15を参照して説明する。この
製造方法は、基本的には、円錐形の電子放出部45を金
属材料の垂直蒸着により形成する方法である。即ち、開
口部43に対して蒸着粒子は垂直に入射するが、開口端
部付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮
蔽効果を利用して、開口部43の底部に到達する蒸着粒
子の量を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出部4
5を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバー
ハング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電
極44上に剥離層46を予め形成しておく方法について
説明する。
【0008】[工程−10]先ず、図14の(A)に示
すように、例えばガラス基板から成る支持体40の上に
ニオブ(Nb)から成るカソード電極41を形成した
後、その上にSiO2から成る絶縁層42、導電材料か
ら成るゲート電極44を順次製膜し、次に、このゲート
電極44と絶縁層42をパターニングすることにより開
口部43を形成する。
【0009】[工程−20]次に、図14の(B)に示
すように、基体に対してアルミニウムを斜め蒸着するこ
とにより、剥離層46を形成する。このとき、基体の法
線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択するこ
とにより、開口部43の底部にアルミニウムを殆ど堆積
させることなく、ゲート電極44の上に剥離層46を形
成することができる。この剥離層46は、開口部43の
開口端部から庇状に張り出しており、これにより開口部
43が実質的に縮径される。
【0010】[工程−30]次に、この基体の全面に例
えばモリブデン(Mo)を垂直蒸着する。このとき、図
15の(A)に示すように、剥離層46上でオーバーハ
ング形状を有する金属層45Aが成長するに伴い、開口
部43の実質的な直径が次第に縮小されるので、開口部
43の底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に
開口部43の中央付近を通過するものに限られるように
なる。この結果、開口部43の底部には円錐形の堆積物
が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部45とな
る。
【0011】[工程−40]その後、図15の(B)に
示すように、電気化学的プロセス及び湿式プロセスによ
って剥離層46をゲート電極44の表面から剥離し、ゲ
ート電極44の上方の金属層45Aを選択的に除去す
る。
【0012】ところで、図15の(B)に示した構造を
有する電界放出素子の電子放出特性は、開口部43の上
端部を成すゲート電極44の縁部43Aから電子放出部
45の先端部までの距離に大きく依存する。そして、こ
の距離は、開口部43の形状の加工精度や直径の寸法精
度、[工程−30]において製膜される金属層45Aの
膜厚精度、更にはその下地となる剥離層46の形状精度
に大きく依存する。
【0013】しかしながら、実際に大面積の基体の全体
に亙って均一な膜厚を有する金属層45Aを垂直蒸着に
より形成したり、均一な寸法の庇形状を有する剥離層4
6を斜め蒸着により形成することは、極めて困難であ
り、何らかの面内ばらつきやロット間ばらつきは避けら
れない。このばらつきにより、表示装置の画像表示特
性、例えば光輝点の明るさにばらつきが生じる。しか
も、大型の蒸着装置が必要とされること、スループット
が低下すること、大面積に亙って形成された剥離層46
を除去する際に剥離層46の残渣がゲート電極44と電
子放出部45を短絡させると、電子放出部45が過熱に
より破壊されること、等の問題もある。また、電子放出
部45から放出された電子は、等電位面に直交する軌道
を描くが、スピント型素子ではこの等電位面が円錐形の
電子放出部45の表面に沿って湾曲しているために、蛍
光体層の近傍で軌道が発散してしまう。カラー表示を想
定した場合、かかる軌道の発散は電子のミスランディン
グにつながり、隣接画素間の色濁りの原因となる虞れが
大きい。
【0014】一方、スピント型素子のこれらの欠点を解
消し得る電界放出素子として、様々なタイプの所謂平面
型素子が提案されている。例えば、本願出願人が特開平
8−115654号公報に開示した平面型素子を、本明
細書の図16に転載する。この素子は、カソード電極6
3とゲート電極64とを絶縁層65を介して互いに対向
して設け、ゲート電極64と絶縁層65を貫通する開口
部67を形成し、カソード電極63とゲート電極64と
の間に電圧を印加することによって、電子をカソード電
極63側から開口部67を通して放出するように構成さ
れている。この素子においては、電子放出物質から成る
薄膜66が、開口部67内に露出して設けれられること
により、開口部67内の等電位面Emが薄膜66の面に
沿ってほぼフラットに形成される。このため、開口部6
7から放出された電子の軌道が大きく振れることがな
く、電子は目的の蛍光体層70に到達することが可能と
なる。また、薄膜66の上面位置が、絶縁層65の下面
位置よりも深い位置に存在しているので、開口部67の
中心部に近いほど大きな電界が薄膜66に印加されるこ
とになる。この結果、開口部67の中心部に近いほど、
高い放出電流密度が得られる。
【0015】上述のような平面型素子において、薄膜6
6はスピント型素子の電子放出部に相当する部材であ
る。平面型素子では、電子放出部とゲート電極64との
間の距離を絶縁層65の厚さでほぼ決定することができ
るため、この距離の制御はスピント型素子に比べて遥か
に容易である。従って、大面積の支持体上でも電子放出
層の電子放出特性を均一化することが容易となり、表示
装置の画像の明るさも均一化され得る。また、平面型素
子では電子放出部に相当する薄膜66とゲート電極64
との間の距離がスピント型素子に比べて十分に大きいの
で、例えば薄膜66の形成にリフトオフ法が採用され、
薄膜66の残渣が発生したとしても、薄膜66とゲート
電極64とが残渣によって短絡することは、まず無い。
従って、平面型素子はスピント型素子に比べて製造歩留
まりや動作信頼性を大幅に改善することが可能である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、平面型
素子においては、電子放出層の形状が、スピント型素子
のように先鋭な「点」ではなく「面」であり、しかも、
電子放出部とゲート電極との間の距離が長いために、電
子放出部近傍の電界強度はスピント型素子に比べて弱
く、更に、開口部の寸法もスピント型素子に比べて大き
いために、開口部の内部における電界の閉じ込め効果が
弱くなり、電子放出層の近傍において電界集中が生じ難
い。換言すれば、平面型素子はスピント型素子と比較し
て電子放出効率が低く、スピント型素子と同等の放出電
子電流を得るためにはより高いゲート電圧を要するの
で、駆動電圧の低減、ひいては消費電力の低減が困難で
ある。
【0017】そこで、本発明は、電子放出効率を向上さ
せることができ、しかも、製造が比較的容易な平面型の
冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と称す
る)及びその製造方法、並びに、かかる電界放出素子を
組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装
置と称する)を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの本発明の電界放出素子は、電子放出層と、絶縁層
と、ゲート電極とがこの順に支持体上に設けられ、ゲー
ト電極と絶縁層には開口部が設けられ、開口部の底部に
露出した電子放出層の部分の表面には、微小凹凸が形成
されていることを特徴とする。
【0019】電界は、一般に面積の小さい部位ほど多く
集中する。本発明の電界放出素子においては、微小凹凸
の凸部に電界が多く集中し、この凸部の一つ一つが電子
を放出する部位として機能するので、開口部の底部に露
出した電子放出層の表面が平滑であった従来の電界放出
素子に比べ、電子放出効率が向上する。このことは、ゲ
ート電圧の低減を可能とし、更には、この電界放出素子
が表示装置に組み込まれた場合の消費電力の低減につな
がる。また、1個の開口部内に円錐形の電子放出部が1
個だけ設けられているスピント型素子と異なり、本発明
の電界放出素子では1個の開口部内に電子を放出する微
小な部位が多数存在する。従って、例えば表示装置内の
残留ガスのイオンによるスパッタ作用に起因して凸部が
摩耗する等、電子を放出する部位の一部で電子放出効率
が劣化しても、残部で電子放出を担うことができ、電界
放出素子の長寿命化を図ることができる。
【0020】ここで、微小凹凸の「微小」とは、開口部
の開口寸法に対して小さく、開口部の底部に露出した電
子放出層の部分の表面に複数の凸部と凹部を発生させ得
るような寸法を表す。通常、平面型の電界放出素子にお
ける開口部の開口寸法は、開口部が円形である場合には
直径0.5〜10μmのオーダーとされ、また、開口部
がスリット状である場合には幅数〜数十μmのオーダー
とされるので、微小凹凸を構成する個々の凸部及び凹部
の寸法は、これらの開口寸法よりも小さいことになる。
支持体に対して垂直な面に沿った微小凹凸の断面形状
は、階段状、波状、不規則形状のいずれであってもよ
い。個々の凸部の頂部は、先鋭であることが最も好まし
いが、丸みを帯びていてもよく、また、頂部の面積が開
口部の底面積に比べて十分に小さい限りにおいては、平
坦であってもよい。また、微小凹凸を構成する個々の凸
部と凹部の配列様式は、一方向に延びる畝状、格子状、
不規則のいずれであってもよい。
【0021】ところで、電子放出層は、通常の薄膜形成
技術による形成を想定した場合、単結晶化あるいはアモ
ルファス化を進行させるような特別な操作を行わない限
りは多結晶構造を有し、従って、構成材料や形成方法に
依存した結晶粒径を有する。そこで、好ましいケースと
して、微小凹凸が電子放出層の結晶粒の形状及び/又は
寸法を反映して形成されたケースが挙げられる。例えば
異方性エッチングによって微小凹凸を形成すると、結晶
粒そのものよりも、エッチング種の作用を受け易い粒界
においてエッチングがより速く進行する結果、粒界に沿
って凹部が形成され、凹部に囲まれた領域は、結晶粒の
形状及び/又は寸法を反映した凸部となる。尚、電子放
出層の中で電子を放出する部位として機能するのは、開
口部の底部に露出した部分のみであるから、微小凹凸も
開口部の底部に露出した部分のみに形成されていれば、
本発明の目的は達成される。しかし、後述する製造方法
によっては、電子放出層の全面に微小凹凸が形成される
こともある。
【0022】本発明の電界放出素子においては、微小凹
凸の先端部の平均高さ位置が、絶縁層の下面位置よりも
支持体側に存在している(即ち、下がっている)ことが
一層好適である。かかる構成により、開口部の中央近傍
ほど電子放出層の近傍における電界強度を高めることが
できる。しかも、本発明の電界放出素子は平面型の構成
を有し、開口部内の等電位面はほぼフラットであるか
ら、電子放出層の中央部からはアノード電極に向かって
ほぼ真っ直ぐに、且つ、高い密度で電子が放出される。
微小凹凸の先端部の平均高さ位置が絶縁層の下面位置よ
りもどの程度下がっていればよいかは、開口部の寸法、
絶縁層の厚さ、電子放出層の厚さ、アノードパネルとカ
ソードパネルとの間の距離等の諸条件にもよるが、概ね
数十〜数百nmあれば十分である。尚、微小凹凸の先端
部の最高位置が絶縁層の下面位置よりも下がっているこ
とが、より一層好ましい。また、微小凹凸が電子放出層
の全面に形成されている場合は、絶縁層と電子放出層の
界面が平坦ではなくなる。このような場合には、絶縁層
の下面の平均高さ位置に比べて、開口部内の微小凹凸の
先端部の平均高さ位置が下がっていればよい。
【0023】本発明の電界放出素子においては、少なく
とも開口部の底部に位置する電子放出層の部分の表面
に、該電子放出層を構成する材料よりも仕事関数Φの小
さい材料から成る被覆層が、微小凹凸を反映して形成さ
れていてもよい。電子放出層の中で電子を放出する部位
として機能する部分は、開口部の底部に位置する部分の
みであるから、被覆層も開口部の底部に露出した部分の
みに形成されていれば、本発明の目的は達成される。即
ち、被覆層の形成領域は、開口部の底面に一致した領域
であっても、あるいは開口部の底面とその周囲近傍とを
含む領域であっても良い。また、開口部の底面の必ずし
も全面に被覆層が形成されている必要はない。更に、後
述する製造方法によっては、電子放出層の全面に被覆層
が形成されることもある。
【0024】被覆層は、電子放出層を構成する材料より
も仕事関数Φの小さい材料から構成されるが、どの材料
を選択するかは、電子放出層の構成材料の仕事関数、ゲ
ート電極と電子放出層との間の電位差、及び所望の放出
電子電流密度の大きさに依存する。通常の電界放出素子
における電子放出層の代表的な構成材料としては、タン
グステン(Φ=4.55eV)、ニオブ(Φ=4.02
〜4.87eV)、モリブデン(Φ=4.53〜4.9
5eV)、アルミニウム(Φ=4.28)、銅(Φ=
4.6)、タンタル(Φ=4.3)、クロム(Φ=4.
5eV)、シリコン(Φ=4.9)を例示することがで
きる。被覆層は、これらの構成材料よりも小さな仕事関
数を有している必要があり、その値は概ね3eV以下で
あることが好ましい。かかる構成材料として、ダイヤモ
ンド(Φ<1)、セシウム(Φ=2.14)、LaB6
(Φ=2.66〜2.76)、BaO(Φ=1.6〜
2.7eV)、SrO(Φ=1.25〜1.6eV)、
23(Φ=2.0eV)、CaO(Φ=1.6〜1.
86eV)、BaS(Φ=2.05eV)、TiN(Φ
=2.92eV)、ZrN(Φ=2.92eV)を例示
することができる。仕事関数Φが2eV以下である構成
材料は、一層好ましい。
【0025】特に好ましい被覆層の構成材料として、ダ
イヤモンド、中でもアモルファスダイヤモンドを挙げる
ことができる。被覆層をアモルファスダイヤモンドを用
いて構成した場合には、5×107V/m以下の電界強
度にて、通常の表示装置に必要な放出電子電流密度を得
ることができる。また、アモルファスダイヤモンドは電
気抵抗体であるため、各開口部から得られる放出電子電
流を均一化することができ、よって、表示装置に組み込
まれた場合の輝度ばらつきの抑制が可能となる。更に、
アモルファスダイヤモンドは、表示装置内の残留ガスの
イオンによるスパッタ作用に対して極めて高い耐性を有
するので、電界放出素子の長寿命化を図ることができ
る。
【0026】被覆層の厚さは、微小凹凸を反映し得る程
度に選択する。これは、被覆層によって微小凹凸の凹部
が埋め込まれ、電子放出層の表面が平滑化されてしまっ
ては、微小凹凸を設けた意味が無くなるからである。従
って、微小凹凸の寸法にも依るが、例えば微小凹凸が電
子放出層の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層の厚さを概ね30〜100nm程度に選択す
ることが好ましい。また、微小凹凸の先端部の平均高さ
位置を絶縁層の下面位置あるいは絶縁層の平均高さ位置
よりも下げる場合には、厳密には、被覆層の先端部の平
均高さ位置を絶縁層の下面位置あるいは絶縁層の平均高
さ位置よりも下げることが、一層好ましい。
【0027】上述の目的を達成するための本発明の電界
放出素子の製造方法は、開口部の形成後に電子放出層に
微小凹凸を形成する方法(以下、第1の態様と称する)
と、開口部の形成前に微小凹凸を有する電子放出層を形
成する方法(以下、第2の態様と称する)とに大別する
ことができる。
【0028】即ち、本発明の第1の態様に係る電界放出
素子の製造方法は、(イ)支持体上に電子放出層を形成
する工程と、(ロ)電子放出層上を含む支持体上に、絶
縁層とゲート電極とをこの順に形成する工程と、(ハ)
底部に電子放出層が露出した開口部を、少なくとも絶縁
層に形成する工程と、(ニ)開口部の底部に露出した電
子放出層の部分の表面に微小凹凸を形成する工程、から
成ることを特徴とする。尚、工程(ハ)において開口部
を、「少なくとも」絶縁層に形成すると表現したのは、
ゲート電極が初めから何らかの貫通孔を有する所定の形
状にパターニングされており、この貫通孔の内部におい
て、絶縁層だけに開口部を形成すれば済む場合もあり得
るからである。絶縁層に開口部を形成する典型的な手法
としては、マスクパターンを介したエッチングを挙げる
ことができる。
【0029】第1の態様に係る電界放出素子の製造方法
において、電子放出層が多結晶構造を有する場合には、
工程(ニ)では微小凹凸をエッチング法により形成する
ことができる。特に、異方的なエッチング条件を採用
し、且つ、結晶粒のエッチング速度と粒界のエッチング
速度の差が大きくなるように該エッチング条件を最適化
すれば、結晶粒の形状及び/又は寸法を反映した微小凹
凸を簡便に形成することが可能である。但し、微小凹凸
の形成方法はエッチングに限られず、結晶粒と粒界のエ
ッチング速度の差が大きく確保できる限りにおいて、ス
パッタ法やイオンミリング法等の物理的手法を採用して
も構わない。このように微小凹凸をエッチング法により
形成する場合、エッチングの継続時間を制御することに
より、微小凹凸の先端部の平均高さ位置を、絶縁層の下
面位置よりも支持体側へ下げることができる。尚、エッ
チングは公知のプラズマエッチング装置を用いて行うこ
とができ、かかるプラズマエッチング装置としては、平
行平板型RIE(反応性イオンエッチング)装置、マグ
ネトロンRIE装置、有磁場マイクロ波プラズマエッチ
ング装置、ヘリコン波プラズマエッチング装置、誘導結
合プラズマエッチング装置を例示することができる。
【0030】第1の態様に係る電界放出素子の製造方法
は、工程(ニ)の後に、(ホ)開口部の底部に位置する
電子放出層の部分の表面に、該電子放出層を構成する材
料よりも仕事関数の小さい材料から成る被覆層を、微小
凹凸を反映して形成する工程、を有していてもよい。被
覆層の形成は、スパッタ法、CVD法、イオンプレーテ
ィング法、レーザーアブレーション法、カソードアーク
法、蒸着法、電解めっき法、無電解めっき法等の方法に
よって可能である。開口部の底部に露出した電子放出層
の部分の表面のみに、被覆層を選択的に形成できるプロ
セスが最も好ましいが、選択形成が困難である場合に
は、レジスト層を用いたリフトオフ法を採用することが
簡便である。被覆層を構成する材料層のうち、レジスト
層上に付着した部分は不要部としてレジスト層と共に除
去される。従来のスピント型素子の製造方法において
は、この不要部が残渣となり、電子放出部とゲート電極
とを短絡させる不具合が発生していたが、本発明の第1
の態様に係る電界放出素子の製造方法によって製造され
る電界放出素子は平面型であって、電子を放出する部位
とゲート電極との間の距離がスピント型素子に比べて大
きいため、このような不具合を回避できる。尚、被覆層
は、微小凹凸の先端部の平均高さ位置を、絶縁層の下面
位置よりも支持体側へ下げた後に、電子放出層の表面に
形成してもよい。
【0031】本発明の第2の態様に係る電界放出素子の
製造方法は、(イ)微小凹凸を表面に有する電子放出層
を支持体上に形成する工程と、(ロ)電子放出層上を含
む支持体上に、絶縁層とゲート電極とをこの順に形成す
る工程と、(ハ)底部に電子放出層が露出した開口部
を、少なくとも絶縁層に形成する工程、から成ることを
特徴とする。尚、工程(ハ)において開口部を、「少な
くとも」絶縁層に形成すると表現したのは、ゲート電極
が初めから何らかの貫通孔を有する所定の形状にパター
ニングされており、この貫通孔の内部において、絶縁層
だけに開口部を形成すれば済む場合もあり得るからであ
る。絶縁層に開口部を形成する典型的な手法としては、
マスクパターンを介したエッチングを挙げることができ
る。
【0032】第2の態様に係る電界放出素子の製造方法
では、工程(イ)において、公知の薄膜形成技術により
電子放出層が製膜される過程で微小凹凸が自然に形成さ
れれば、勿論、好都合である。しかし、そうでない場合
には、製膜された電子放出層に対し、何らかの手法を用
いて微小凹凸を形成する必要がある。この手法は、本発
明の第1の態様に係る電界放出素子の製造方法で述べた
エッチング法やスパッタ法であっても構わないが、第2
の態様に係る電界放出素子の製造方法では、この他、電
子放出層を構成する材料にも依るが、サンドブラスト
法、レーザーアブレーション法、光ディスクの製造に採
用されているスタンパーを用いた型押し、あるいは、液
晶パネルの配向処理に採用されているラビング法を適用
することができる。サンドブラスト法によれば、使用す
る研磨剤粒子の粒径に応じた不規則形状を有する微小凹
凸を形成することができる。レーザーアブレーション法
によれば、レーザー光のビーム径に応じた寸法を有し、
且つ、レーザー光の走査様式に応じた規則的あるいは不
規則パターンを有する微小凹凸を形成することができ
る。スタンパーを用いた型押し法によれば、スタンパー
に予め形成されているドット状あるいは溝状のパターン
が転写され、不規則形状あるいは規則形状を有する微小
凹凸を形成することができる。更に、ラビング法によれ
ば、使用する研磨布の表面粗さに応じた溝状のパターン
を有する微小凹凸を形成することができる。
【0033】第2の態様に係る電界放出素子の製造方法
においても、電子放出層を構成する材料よりも仕事関数
の小さい材料から成る被覆層を、電子放出層の表面に微
小凹凸を反映して形成することができ、開口部の形成前
に被覆層を形成する方法(以下、第2Aの態様と称す
る)と、開口部の形成後に被覆層を形成する方法(以
下、第2Bの態様と称する)とに大別することができ
る。
【0034】即ち、本発明の第2Aの態様に係る電界放
出素子の製造方法は、工程(イ)において、電子放出層
を構成する材料よりも仕事関数の小さい材料から成る被
覆層が微小凹凸を反映して表面に形成されて成る電子放
出層を形成することを特徴とする。被覆層は、電子放出
層上に選択成長させることが可能であれば、電子放出層
のパターニング後に電子放出層上に形成することができ
る。しかし、選択成長が困難である場合には、微小凹凸
を表面に有する電子放出層を支持体の全面に形成し、こ
の電子放出層の全面に被覆層を形成し、しかる後に被覆
層と電子放出層とを共通のパターンによりパターニング
することが簡便である。尚、第2Aの態様に係る電界放
出素子の製造方法においては、絶縁層に開口部を形成す
る際の加工の下地が被覆層となる。従って、開口部の形
成を例えばエッチングにより行う場合には、被覆層がこ
のエッチングのエッチング種に対して十分に高いエッチ
ング耐性を有していることが、特に好適である。つま
り、被覆層の構成材料が、電子放出層の表面の微小凹凸
の形状を維持するための一種の保護層として機能するこ
とができれば、一層好ましい。
【0035】本発明の第2Bの態様に係る電界放出素子
の製造方法は、工程(ハ)の後に、(ニ)開口部の底部
に位置する電子放出層の部分の表面に、該電子放出層を
構成する材料よりも仕事関数の小さい材料から成る被覆
層を、微小凹凸を反映して形成する工程、を有すること
を特徴とする。この工程(ニ)は、本発明の第1の態様
に係る電界放出素子の製造方法における工程(ホ)と同
様に行うことができる。
【0036】本発明の電界放出素子の複数個と、これら
に対向して基板上に設けられたアノード電極並びに蛍光
体層で1画素を構成し、更に、この画素を複数集合させ
ると、本発明の表示装置を構成することができる。即
ち、上述の目的を達成するための本発明の表示装置は、
複数の画素から構成され、各画素は、複数の冷陰極電界
電子放出素子と、複数の冷陰極電界電子放出素子に対向
して基板上に設けられたアノード電極及び蛍光体層から
構成された冷陰極電界電子放出表示装置であって、各冷
陰極電界電子放出素子は、電子放出層と、絶縁層と、ゲ
ート電極とがこの順に支持体上に設けられて成り、ゲー
ト電極と絶縁層には開口部が設けられ、開口部の底部に
露出した電子放出層の部分の表面には微小凹凸が形成さ
れていることを特徴とする。
【0037】本発明の電界放出素子及びその製造方法、
並びに、表示装置において、開口部の形状は、円、楕
円、n角形(但し、nは3以上の整数)等、いかなる平
面形状を有していてもよい。n角形は、正n角形でなく
てもよく、また、その頂点は丸みを帯びていてもよい。
開口部においては、開口部を構成する絶縁層の側壁面が
ゲート電極の開口端部よりも後退していること、換言す
れば、ゲート電極が開口部の入り口に庇状に張り出して
いることが、開口部内の電界強度を増大させる観点から
好ましい。絶縁層をゲート電極の開口端部よりも後退さ
せるには、開口部の形成時に等方的な条件で絶縁層をエ
ッチングすればよい。等方的なエッチングは、典型的に
は、ウェットエッチング、あるいはラジカルが主エッチ
ング種となるドライエッチング条件下で行うことができ
る。このときのゲート電極の突出長さ、即ち、絶縁層の
側壁の後退量は、エッチング時間の長短により制御する
ことができる。
【0038】本発明の電界放出素子及び表示装置におい
ては、開口部から放出される電子の軌道を収束させるた
めの収束電極を設けてもよい。収束電極は、アノード電
極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向
上や隣接画素間の色濁りの防止を可能とするための電極
であり、カソードパネルとアノードパネルとの間の距離
が比較的長い表示装置を想定した場合に、特に有効な部
材である。収束電極は、必ずしも各電界放出素子ごとに
設けられている必要はなく、例えば、電界放出素子の所
定の配列方向に沿って延在されることにより、複数の電
界放出素子に共通の収束効果を及ぼすこともできる。収
束電極を設ける場合には、ゲート電極上を含む絶縁層上
に第2絶縁層及び収束電極をこの順に形成し、この第2
絶縁層に、開口部と連通する第2開口部を形成すればよ
い。第2開口部の平面形状は、一般的には開口部の平面
形状と合同又は相似とされるが、異なっていても構わな
い。
【0039】本発明の電界放出素子及び表示装置におい
て、支持体は、少なくとも表面が絶縁性部材より構成さ
れていればよく、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成され
たガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石
英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げる
ことができる。また、本発明の電界放出素子及び表示装
置において、基板も支持体と同様に構成することができ
る。
【0040】電子放出層及び収束電極は、タングステン
(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデ
ン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、
銅(Cu)等の金属、これらの金属元素を含む合金層、
あるいはシリコン(Si)等の半導体を用いて形成する
ことができる。電子放出層及び収束電極の形成方法とし
ては、蒸着、スパッタリング、CVD、イオンプレーテ
ィング等、通常の薄膜作製プロセスを利用できる。電子
放出層を構成する材料は、ゲート電極を構成する材料と
同じであっても、異なっていてもよい。
【0041】ゲート電極は、典型的には、タングステン
(W)やタンタル(Ta)等の高融点金属材料、あるい
はダイヤモンド等の半導体を用いて形成される。厚さ
は、おおよそ0.05〜0.5μm、好ましくは0.1
〜0.3μmの範囲とすることが望ましいが、かかる範
囲に限定するものではない。
【0042】絶縁層あるいは第2絶縁層の構成材料とし
ては、SiO2、SiN、SiONを単独あるいは適宜
組み合わせて使用することができる。絶縁層あるいは第
2絶縁層の形成には、CVD、塗布、スパッタリング等
の公知のプロセスが利用できる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本
発明を説明する。
【0044】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の電界放出素子の最も基本的な構成例、及びこの電界放
出素子を組み込んで構成された表示装置、並びに、第1
の態様にかかる電界放出素子の製造方法に関する。電界
放出素子の概念図を図1に示し、かかる電界放出素子を
組み込んで構成された表示装置の概念図を図2に示し、
かかる表示装置の一部を拡大した模式的な分解斜視図を
図3に示す。更に、実施の形態1の電界放出素子の製造
方法の工程図を図4乃至図6に示し、この電界放出素子
の変形例を図7に示す。
【0045】図1に、実施の形態1に係る電界放出素子
の概念図を示す。この電界放出素子においては、1方向
にストライプに延びる電子放出層11と、絶縁層13
と、電子放出層11とは直交する方向にストライプ状に
延びるゲート電極15とがこの順に支持体10上に設け
られ、ゲート電極15と絶縁層13には開口部14が設
けられ、開口部14の底部に露出した電子放出層11の
部分には、微小凹凸12が形成されている。各部の構成
例を挙げると、支持体10はガラス基板、電子放出層1
1は厚さ約0.3μmのタングステン層、絶縁層13は
厚さ約1μmのSiO2層、ゲート電極15は厚さ約
0.2μmのタングステン層である。開口部14の平面
形状は円形であり、その開口端における直径は約5μm
である。微小凹凸12の個々の凸部は近似的には錐体で
あり、その平均寸法、即ち錐体の底面の直径又は対角寸
法は、タングステン層の結晶粒径を反映している。絶縁
層13には、開口部14の形成領域に隣接する領域にお
いて、電子放出層11に所定の電圧を供給するための電
気的接続部となる孔部16が形成されている。
【0046】図2に、実施の形態1の封止パネル装置を
表示装置に適用した例を示す。また、図3には表示装置
の一部分を拡大して示す。アノードパネル300は、基
板30、並びに、基板30上に形成された蛍光体層31
及びアノード電極32から成る。図2では、1個の開口
部14と1個の蛍光体層31とを対向配置した表現を用
いたが、実際のカラー表示用の表示装置は、図3に示す
ように、3原色の蛍光体層31R,31G,31Bを有
する。個々の蛍光体層31R,31G,31Bは、一例
としてストライプ形状を有しており、所定の規則的なパ
ターンに従って配列されている。隣接する蛍光体層31
R,31G,31Bの間は、カーボン等の光吸収性材料
から成るブラック・マトリクス35で埋め込まれ、表示
画像のコントラスト向上が図られている。尚、図示は省
略するが、蛍光体層31R,31G,31Bとアノード
電極32の間には、表示画面の輝度を高める目的でアル
ミニウムの蒸着膜、所謂メタルバック膜が設けられてい
てもよい。また、図2及び図3では、基板30上におい
て蛍光体層31R,31G,31Bとアノード電極32
とがこの順に積層されているが、積層順を逆にしても構
わない。但し、積層順を逆とした場合には、表示装置の
観察面側から見てアノード電極32が蛍光体層31の手
前に来るため、アノード電極32をITO(インジウム
・錫酸化物)等の透明導電材料にて構成する必要があ
る。
【0047】カソードパネル100は、図1に示した電
界放出素子が多数集合して成る。1画素には多くの場
合、図3に示すように、複数の開口部14が形成され
る。図3では、1画素の領域内に開口部14が16個形
成されているが、勿論これは例示に過ぎず、実際には数
千個にも及ぶ場合がある。また、アノード電極32と電
子放出層11とゲート電極15の形成方向や、開口部1
4の形状も任意である。カソードパネル100とアノー
ドパネル300とは、周縁部において図示されない枠体
を介して互いに接着され、両パネル間の空間は高真空に
維持される。
【0048】電子放出層11には相対的に負電圧が印加
され、ゲート電極15には相対的に正電圧が印加され、
アノード電極32にはゲート電極15よりも更に高い正
電圧が印加される。表示装置において表示を行う場合、
電子放出層11には走査回路(図示せず)から走査信号
が入力され、ゲート電極15には制御回路(図示せず)
からビデオ信号が入力される。電子放出層11とゲート
電極15とに電圧を印加した際に生ずる電界により、電
子放出層11、特に微小凹凸12の凸部から電子が放出
され、この電子がアノード電極32に引き付けられて蛍
光体層31あるいは蛍光体層31R,31G,31Bに
衝突し、発光が得られる。この表示装置の動作は、基本
的にゲート電極15及び電子放出層11に印加される電
圧によって制御される。
【0049】以下、上述した電界放出素子の製造方法に
ついて、図4乃至図6を参照しながら説明する。
【0050】[工程−100]先ず、一例としてガラス
基板から成る支持体10の上に、スパッタリング法によ
り厚さ約0.2μmのタングステン層を製膜し、通常の
手順に従ってこのタングステン層をストライプ状にパタ
ーニングし、電子放出層11を形成する。次に、電子放
出層11上を含む支持体10上に絶縁層13を形成す
る。ここでは一例としてTEOS(テトラエトキシシラ
ン)原料ガスとして用いるCVD法により、SiO2
を約1μmの厚さに形成する。更に、この絶縁層13の
上に、例えば厚さ約0.2μmのタングステン層を製膜
し、ストライプ状にパターニングしてゲート電極15を
形成する。ここまでのプロセスが終了した状態を、図4
の(A)に示す。
【0051】[工程−110]次に、図4の(B)に示
すように、絶縁層13のパターニングを行い、電子放出
層11に所定の電圧を供給するための電気的接続部とな
る孔部16を形成する。孔部16の形成は、例えばRI
E(反応性イオンエッチング)法によって行うことがで
きる。
【0052】[工程−120]次に、全面にレジスト層
17を形成し、更にこのレジスト層17に、ゲート電極
15の表面を一部露出させるようにレジスト開口部17
Aを形成する。レジスト開口部17Aの平面形状は、直
径約5μmの円形である。続いて、レジスト開口部17
Aの底部に露出したゲート電極15を例えばRIE法に
より異方的にエッチングする。ここではゲート電極15
をタングステンを用いて構成しているので、SF6ガス
を用いたエッチングを行うことができる。ここまでのプ
ロセスが終了した状態を、図5の(A)に示す。
【0053】[工程−130]次に、図5の(B)に示
すように、レジスト開口部17Aの内部に露出した絶縁
層13を等方的にエッチングし、開口部14を形成す
る。ここでは、絶縁層13をSiO2を用いて形成して
いるので、緩衝化フッ酸水溶液を用いたウェットエッチ
ングを行う。絶縁層13の壁面は、ゲート電極15の先
端部よりも後退するが、このときの後退量はエッチング
時間の長短により制御することができる。
【0054】[工程−140]次に、図6に示すよう
に、開口部14の底部に露出した電子放出層11の部分
に、微小凹凸12を形成する。微小凹凸12の形成に際
しては、エッチングガスとしてSF6を用い、電子放出
層11を構成するタングステンの結晶粒と粒界との間で
エッチング速度の差が大きくなるような条件を設定して
RIEを行う。この結果、タングステンの結晶粒径をほ
ぼ反映した寸法を有する微小凹凸12が形成される。
【0055】かかる電界放出素子の構成においては、電
子放出層11の微小凹凸12、より具体的には該微小凹
凸12の凸部に、ゲート電極15から大きな電界が加わ
る。このとき凸部に集中する電界は、電子放出層11の
表面が平滑である場合に比べて大きいため、該凸部から
は量子トンネル効果によって電子が効率良く放出され
る。従って、開口部14の底部に単に平滑な電子放出層
11が露出していた従来の電界放出素子に比べて、表示
装置に組み込まれた場合の輝度の向上が期待できる。従
って、本発明の電界放出素子によれば、電子放出層11
に印加する電圧が比較的低くても、十分な放出電子電流
密度を得ることができ、表示画面の高輝度化が達成され
る。あるいは、本発明の電界放出素子は、同じ輝度を達
成するために必要なゲート電圧が低くて済み、以て、低
消費電力化を達成することが可能である。
【0056】尚、上述の例では、絶縁層13を等方的に
エッチングすることによって開口部14を形成し、しか
る後にRIEを行って電子放出層11に微小凹凸を形成
したが、開口部14を形成するためのエッチングによっ
て、微小凹凸12を同時に形成することも可能である。
即ち、絶縁層13をエッチングする際に、ある程度のイ
オンスパッタ作用が期待できる異方的なエッチング条件
を採用し、垂直壁を有する開口部14が形成された後も
エッチングを継続することにより、開口部14の底部に
露出した電子放出層11の部分に微小凹凸12を形成す
ることができる。その後、絶縁層13の等方性エッチン
グを行えば、絶縁層13の壁面を後退させ、ゲート電極
15の先端を開口部14内へ突出させることができる。
【0057】図7には、上述した電界放出素子の変形例
を示す。図7の(A)は、変形例にかかる電界放出素子
の概念図である。図7の(B)は、この電界放出素子の
開口部近傍の拡大図であるが、図7の(A)におけるレ
ジスト層17は省略してある。この電界放出素子におい
ては、微小凹凸12の先端部の平均高さ位置が、絶縁層
13の下面位置よりも支持体10側に存在している(即
ち、下がっている)。かかる電界放出素子を形成するに
は、[工程−140]におけるドライエッチングの継続
時間を延長すればよい。このような構成によれば、開口
部14の中央部近傍の電界強度を高めることができ、電
子放出層11の中央部からアノード電極に向かってほぼ
真っ直ぐに、且つ、高い密度で電子を放出させることが
可能となる。図7に示した電界放出素子を用いても、同
様に表示装置を構成することができる。
【0058】(実施の形態2)実施の形態2は、被覆層
を備えた電界放出素子と、かかる電界放出素子を製造す
るための、本発明の第1の態様に係る電界放出素子の製
造方法に関する。図8に、かかる電界放出素子の製造方
法の工程図を示す。
【0059】実施の形態2に係る電界放出素子において
は、図8の(B)に示すように、開口部14の底部に位
置する電子放出層11の部分の表面に、微小凹凸12を
反映して被覆層18Aが形成されている。被覆層18A
を構成するダイヤモンドは、電子放出層11を構成する
タングステンに比べて仕事関数が小さいため、かかる構
成を有する電界放出素子においては、被覆層18Aを持
たない電界放出素子に比べて電子放出効率が一層改善さ
れる。実施の形態2の電界放出素子を用いた表示装置
も、実施の形態1で述べたごとく構成することができ
る。実施の形態2に係る電界放出素子は、以下のように
製造することができる。
【0060】[工程−200]先ず、[工程−140]
までを実施の形態1と同様に行い、続いて、全面に例え
ばCVD法によりアモルファスダイヤモンド層を形成す
る。尚、アモルファスダイヤモンド層はレジスト層17
の上面にも堆積するが、この堆積部分は不要部18Bで
ある。上記CVD法では、原料ガスとして例えばCH4
/H2混合ガスや、CO/H2混合ガスを使用することが
でき、それぞれ炭素を含む化合物の熱分解によってアモ
ルファスダイヤモンド層が形成される。
【0061】[工程−210]次に、図8の(B)に示
すように、レジスト層17を除去すると、該レジスト層
17の上に堆積した不要部18Bが同時に除去され、電
子放出層11上の被覆層18Aのみが残る。この電界放
出素子の開口部14の近傍の拡大図を、図9の(A)に
示す。
【0062】尚、実施の形態2の電界放出素子において
は、変形例として、図9の(B)に示すように、微小凹
凸12の先端部の平均高さ位置が、絶縁層13の下面位
置よりも支持体10側に存在して(即ち、下がって)い
てもよい。このとき、被覆層18Aの先端部の平均高さ
位置が絶縁層13の下面位置よりも下がっていれば、一
層好ましい。被覆層18Aの厚さは、電子放出層11の
厚さに比べて薄く選択することができるが、被覆層18
Aを形成する前に、電子放出層11の先端部の平均高さ
位置を予め十分に大きく下げておくことが好ましい。図
9の(B)に示した電界放出素子を用いても、同様に表
示装置を構成することができる。
【0063】(実施の形態3)実施の形態3は、微小凹
凸が電子放出層の上面の全体に亙って形成された電界放
出素子と、かかる電界放出素子を製造するための本発明
の第2の態様に係る電界放出素子の製造方法に関する。
図10に、かかる電界放出素子の製造方法の工程図を示
す。尚、図10の参照符号は図1と一部共通であり、共
通部分については詳しい説明を省略する。
【0064】実施の形態3に係る電界放出素子において
は、図10の(C)に示すように、開口部14の底部に
露出した電子放出層21の部分のみならず、該電子放出
層21の上面の全体に亙って微小凹凸22が形成されて
いる。電子放出層21の構成材料は、実施の形態1の電
界放出素子の電子放出層11と同じとすることができ
る。微小凹凸22の形状や寸法は、電子放出層21の構
成材料の結晶粒の形状及び/又は寸法を反映していても
よいが、より人為的に制御することも可能である。人為
的な制御については後述する。実施の形態3の電界放出
素子を用いた表示装置も、実施の形態1で述べたごとく
構成することができる。実施の形態3に係る電界放出素
子は、以下のように製造することができる。
【0065】[工程−300]先ず、一例としてガラス
基板から成る支持体10の全面に、例えばスパッタリン
グ法により厚さ約0.2μmのタングステン層を形成す
る。次に、タングステン層の表面に対してSF6ガスを
用いたRIEを行うことにより、該タングステン層の結
晶粒の形状及び/又は寸法を反映した微小凹凸22を形
成する。この後、通常の手順に従ってフォトリソグラフ
ィ及びドライエッチングによりタングステン層をストラ
イプ状にパターニングし、電子放出層21を形成する。
図10の(A)には、ここまでのプロセスが終了した状
態を示す。尚、微小凹凸22の形成に際し、RIE以外
にも、使用する電子放出層21の構成材料によってはサ
ンドブラスト法、レーザーアブレーション法、スタンパ
ーを用いた型押し法、あるいはラビング法を採用するこ
とができる。更に、タングステン層をストライプ状にパ
ターニングした後に、微小凹凸22を形成することも可
能である。
【0066】[工程−310]続いて、絶縁層13の形
成、孔部16の形成、ゲート電極15の形成、レジスト
層17の形成を実施の形態1の同様に行う。次に、実施
の形態1と同様にゲート電極15と絶縁層13のドライ
エッチングを行い、図10の(B)に示すように、開口
部14を形成する。このように、実施の形態3の電界放
出素子の製造方法においては、開口部14が形成された
時点で、既に微小凹凸22が形成された電子放出層21
が底面に露出する。
【0067】[工程−320]続いて、レジスト層17
を除去すると、図10の(C)に示す電界放出素子が得
られる。
【0068】(実施の形態4)実施の形態4は、微小凹
凸及び被覆層が全面に亙って形成された電子放出層を備
えた電界放出素子と、かかる電界放出素子を製造するた
めの本発明の第2Aの態様に係る電界放出素子の製造方
法に関する。図11に、かかる電界放出素子の製造方法
の工程図を示す。尚、図11の参照符号は図10と一部
共通であり、共通部分については詳しい説明を省略す
る。
【0069】実施の形態4に係る電界放出素子において
は、図11の(C)に示すように、開口部14の底部に
露出した電子放出層21の部分のみならず、該電子放出
層21の上面の全体に亙って微小凹凸22が形成され、
更に、微小凹凸22の全面に亙って被覆層23が形成さ
れている。電子放出層21や被覆層23の構成材料は、
実施の形態2の電界放出素子の電子放出層11及び被覆
層18Aと同じとすることができる。微小凹凸22の形
状や寸法は、実施の形態3と同様とすることができる。
実施の形態4の電界放出素子を用いた表示装置も、実施
の形態1で述べたと同様に構成することができる。実施
の形態4に係る電界放出素子は、以下のように製造する
ことができる。
【0070】[工程−400]先ず、一例としてガラス
基板から成る支持体10の全面に、例えばスパッタリン
グ法により厚さ約0.2μmのタングステン層を形成す
る。次に、タングステン層に対してSF6ガスを用いた
RIEを行うことにより、該タングステン層の結晶粒の
形状及び/又は寸法を反映した微小凹凸22を形成す
る。次に、タングステン層の全面に例えばCVD法によ
りアモルファスダイヤモンド層を形成する。続いて、こ
のアモルファスダイヤモンド層とタングステン層とを、
例えば共通のレジスト層(図示せず)をマスクとしてパ
ターニングすることにより、図11の(A)に示すよう
に、被覆層23が全面に形成された電子放出層21を形
成する。尚、微小凹凸22の形成方法のバリエーション
や、微小凹凸22の形成とタングステン層のパターニン
グとの前後関係については、実施の形態3で前述した通
りである。更に、アモルファスダイヤモンド層のパター
ニングをタングステン層のパターニングと別プロセスで
行うことも可能である。
【0071】[工程−410]次に、絶縁層13の形
成、孔部16の形成、ゲート電極15の形成、レジスト
層17の形成を実施の形態1の同様に行う。更に、実施
の形態1と同様にゲート電極15と絶縁層13のドライ
エッチングを行い、図11の(B)に示すように、開口
部14を形成する。このように、実施の形態4の電界放
出素子の製造方法においては、開口部14が形成された
時点で、被覆層23が底面に露出する。
【0072】[工程−420]続いて、レジスト層17
を除去すると、図11の(C)に示す電界放出素子が得
られる。
【0073】(実施の形態5)実施の形態5は、実施の
形態4の変形例であり、微小凹凸が全面に亙って形成さ
れ、且つ、被覆層18Aが一部に形成された電子放出層
21を備えた電界放出素子と、かかる電界放出素子を製
造するための本発明の第2Bの態様に係る電界放出素子
の製造方法に関する。図12の(A)に、かかる電界放
出素子の開口部14の近傍の拡大図を示す。尚、図12
の参照符号は図11と一部共通であり、共通部分につい
ては詳しい説明を省略する。
【0074】実施の形態5の電界放出素子が実施の形態
4の電界放出素子と異なるところは、開口部14の底部
に露出した電子放出層21の部分のみに被覆層18Aが
形成されているところである。電子放出層21や被覆層
23の構成材料、微小凹凸22の形状や寸法は、実施の
形態4と同様とすることができる。また、実施の形態5
の電界放出素子を製造するには、[工程−310]まで
を実施の形態3と同様に行った後、実施の形態2の[工
程−200]を同様に行えばよい。尚、図12の(B)
に示すように、開口部14内における微小凹凸22の先
端部の平均高さ位置を、絶縁層13の下面の平均高さ位
置より下げた変形例も可能である。この場合、被覆層1
8Aの先端部の平均高さ位置が、絶縁層13の下面の平
均高さ位置よりも下がっていることが、一層好ましい。
実施の形態5の電界放出素子及びその変形例を用いた表
示装置も、実施の形態1で述べたごとく構成することが
できる。
【0075】以上、発明の実施の形態に基づき本発明を
説明したが、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定さ
れるものではない。電界放出素子の構造の細部、電界放
出素子を適用した表示装置の構造の細部は例示であり、
適宜変更、選択、組合せが可能である。その他、電界放
出素子の構造の細部、製造方法における加工条件や使用
した材料等の詳細事項に関しても、適宜変更、選択、組
合せが可能である。
【0076】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の電界放出素子においては、開口部の底部に露出した
電子放出層の部分の表面に微小凹凸が形成されているの
で、電子放出層が平滑である場合に比べて電子放出層に
電界を大きく集中させることができる。また、微小凹凸
の先端部の平均高さ位置を絶縁層の下面位置よりも下げ
れば、開口部の中央部における電界強度を高めることが
でき、また、電子放出層の表面に被覆層を設ければ、電
子放出効率を高めることができる。従って、低いゲート
電圧にて高い放出電子電流を得ることが可能となる。か
かる電界放出素子を組み込んだ表示装置においては、低
消費電力であるにも拘わらず、高輝度、高画質を達成す
ることができる。また、本発明の電界放出素子の製造方
法は、従来のスピント型素子の製造方法に比べて再現性
や均一性に優れており、表示画面の大面積化にも対応す
る上で極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の電界放出素子の構成を示す概念
図である。
【図2】実施の形態1の電界放出素子を用いて構成され
た表示装置を示す概念図である。
【図3】図2の表示装置の一部を拡大して示す分解斜視
図である。
【図4】実施の形態1の電界放出素子の製造方法を示す
工程図である。
【図5】図4に引き続き、実施の形態1の電界放出素子
の製造方法を示す工程図である。
【図6】図5に引き続き、実施の形態1の電界放出素子
の製造方法を示す工程図である。
【図7】実施の形態1の電界放出素子の変形例を示す概
念図である。
【図8】実施の形態2の電界放出素子の製造方法を示す
工程図である。
【図9】実施の形態2の電界放出素子及びその変形例を
拡大して示す概念図である。
【図10】実施の形態3の電界放出素子の製造方法を示
す工程図である。
【図11】実施の形態4の電界放出素子の製造方法を示
す工程図である。
【図12】実施の形態5の電界放出素子及びその変形例
を拡大して示す概念図である。
【図13】従来のスピント型の電界放出素子の構成例を
示す模式的断面図である。
【図14】従来のスピント型の電界放出素子の製造方法
の工程図である。
【図15】図14に引き続き従来のスピント型の電界放
出素子の製造方法の一例を説明するための工程図であ
る。
【図16】従来の平面型の電界放出素子の一構成例を示
す模式的斜視図である。
【符号の説明】
10・・・支持体、11,21・・・電子放出層、1
2,22・・・微小凹凸、13・・・絶縁層、14・・
・開口部、15・・・ゲート電極、18A,23・・・
被覆層、30・・・基板、31,31R,31G,31
B・・・蛍光体層、32・・・アノード電極、100・
・・カソードパネル、300・・・アノードパネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根岸 英輔 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5C031 DD09 DD17 DD19 5C036 EE01 EE14 EE16 EF01 EF06 EF09 EG12 EH01 EH08 EH11

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子放出層と、絶縁層と、ゲート電極とが
    この順に支持体上に設けられ、 ゲート電極と絶縁層には開口部が設けられ、 開口部の底部に露出した電子放出層の部分の表面には、
    微小凹凸が形成されていることを特徴とする冷陰極電界
    電子放出素子。
  2. 【請求項2】電子放出層は多結晶構造を有し、微小凹凸
    は、電子放出層の結晶粒の形状及び/又は寸法を反映し
    て形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷
    陰極電界電子放出素子。
  3. 【請求項3】微小凹凸の先端部の平均高さ位置が、絶縁
    層の下面位置よりも支持体側に存在することを特徴とす
    る請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子。
  4. 【請求項4】少なくとも開口部の底部に位置する電子放
    出層の部分の表面に、該電子放出層を構成する材料より
    も仕事関数の小さい材料から成る被覆層が、微小凹凸を
    反映して形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の冷陰極電界電子放出素子。
  5. 【請求項5】被覆層は、ダイヤモンド層であることを特
    徴とする請求項4に記載の冷陰極電界電子放出素子。
  6. 【請求項6】(イ)支持体上に電子放出層を形成する工
    程と、 (ロ)電子放出層上を含む支持体上に、絶縁層とゲート
    電極とをこの順に形成する工程と、 (ハ)底部に電子放出層が露出した開口部を、少なくと
    も絶縁層に形成する工程と、 (ニ)開口部の底部に露出した電子放出層の部分の表面
    に微小凹凸を形成する工程、から成ることを特徴とする
    冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】工程(ニ)では、微小凹凸をエッチング法
    により形成することを特徴とする請求項6に記載の冷陰
    極電界電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】エッチングの継続時間を制御することによ
    り、微小凹凸の先端部の平均高さ位置を、絶縁層の下面
    位置よりも支持体側へ下げることを特徴とする請求項7
    に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】工程(ニ)の後に、 (ホ)開口部の底部に位置する電子放出層の部分の表面
    に、該電子放出層を構成する材料よりも仕事関数の小さ
    い材料から成る被覆層を、微小凹凸を反映して形成する
    工程、を有することを特徴とする請求項6に記載の冷陰
    極電界電子放出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】(イ)微小凹凸を表面に有する電子放出
    層を支持体上に形成する工程と、 (ロ)電子放出層上を含む支持体上に、絶縁層とゲート
    電極とをこの順に形成する工程と、 (ハ)底部に電子放出層が露出した開口部を、少なくと
    も絶縁層に形成する工程、から成ることを特徴とする冷
    陰極電界電子放出素子の製造方法。
  11. 【請求項11】工程(イ)では、微小凹凸をエッチング
    法により形成することを特徴とする請求項10に記載の
    冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  12. 【請求項12】工程(イ)では、電子放出層を構成する
    材料よりも仕事関数の小さい材料から成る被覆層が微小
    凹凸を反映して表面に形成されて成る電子放出層を形成
    することを特徴とする請求項10に記載の冷陰極電界電
    子放出素子の製造方法。
  13. 【請求項13】工程(ハ)の後に、 (ニ)開口部の底部に位置する電子放出層の部分の表面
    に、該電子放出層を構成する材料よりも仕事関数の小さ
    い材料から成る被覆層を、微小凹凸を反映して形成する
    工程、を有することを特徴とする請求項10に記載の冷
    陰極電界電子放出素子の製造方法。
  14. 【請求項14】複数の画素から構成され、 各画素は、複数の冷陰極電界電子放出素子と、複数の冷
    陰極電界電子放出素子に対向して基板上に設けられたア
    ノード電極及び蛍光体層から構成された冷陰極電界電子
    放出表示装置であって、 各冷陰極電界電子放出素子は、電子放出層と、絶縁層
    と、ゲート電極とがこの順に支持体上に設けられて成
    り、 ゲート電極と絶縁層には開口部が設けられ、 開口部の底部に露出した電子放出層の部分の表面には微
    小凹凸が形成されていることを特徴とする冷陰極電界電
    子放出表示装置。
JP5895699A 1999-03-05 1999-03-05 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置 Pending JP2000260298A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5895699A JP2000260298A (ja) 1999-03-05 1999-03-05 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5895699A JP2000260298A (ja) 1999-03-05 1999-03-05 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000260298A true JP2000260298A (ja) 2000-09-22

Family

ID=13099303

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5895699A Pending JP2000260298A (ja) 1999-03-05 1999-03-05 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000260298A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008537998A (ja) * 2005-03-04 2008-10-02 インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 真空計
US7736209B2 (en) 2004-09-10 2010-06-15 Applied Nanotech Holdings, Inc. Enhanced electron field emission from carbon nanotubes without activation

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7736209B2 (en) 2004-09-10 2010-06-15 Applied Nanotech Holdings, Inc. Enhanced electron field emission from carbon nanotubes without activation
JP2008537998A (ja) * 2005-03-04 2008-10-02 インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 真空計

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002150922A (ja) 電子放出装置、冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置及びその製造方法
EP1011123A2 (en) Cold cathode field emission device, process for the production thereof, and cold cathode field emission display
US6489710B1 (en) Electron emitting apparatus, manufacturing method therefor and method of operating electron emitting apparatus
JP2000100315A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出表示装置
JP2969081B2 (ja) 水平電界効果を有する電子放出素子及びその製造方法
JPH0636682A (ja) 電界放出型冷陰極の製造方法、それを用いた電界放出型冷陰極、および平板型画像表示装置
EP1073085A2 (en) Method of manufacturing cold cathode field emission device and method of manufacturing cold cathode field emission display
JP2000260298A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2000331596A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出表示装置
JP4193294B2 (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2003115259A (ja) 電子放出装置及びその製造方法、冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、冷陰極電界電子放出表示装置及びその製造方法、並びに、薄膜のエッチング方法
JP2000357448A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2000251617A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2001043789A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2000173512A (ja) 電界イオン放出方式表示装置及びその駆動方法
JP2000323013A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2000123714A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
JP2000348601A (ja) 電子放出源及びその製造方法、並びにその電子放出源を用いたディスプレイ装置
JP4217933B2 (ja) 電子放出源及びその製造方法、並びにその電子放出源を用いたディスプレイ装置
KR100280881B1 (ko) 전계 방출 소자의 제조방법
JP2001035359A (ja) 電子放出源の製造方法および電子放出源ならびにディスプレイ装置
JP2003016918A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2008294000A (ja) 冷陰極電界電子放出素子及びその製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置
KR100343206B1 (ko) 수평전계효과전자방출소자및그제조방법
KR100343225B1 (ko) 전계방출소자의제조방법