JP2000257184A - 防音ハウス - Google Patents

防音ハウス

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JP2000257184A
JP2000257184A JP5988099A JP5988099A JP2000257184A JP 2000257184 A JP2000257184 A JP 2000257184A JP 5988099 A JP5988099 A JP 5988099A JP 5988099 A JP5988099 A JP 5988099A JP 2000257184 A JP2000257184 A JP 2000257184A
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house
air layer
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JP5988099A
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Shigetaka Takada
重隆 高田
Tsuyoshi Inoue
堅 井上
Akio Oe
章雄 大江
Kenji Matsumoto
健次 松本
Hidefumi Sumiyoshi
秀文 住吉
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NIPPON SHEET GLASS KANKYO AMEN
NIPPON SHEET GLASS KANKYO AMENITY KK
Kuraray Co Ltd
Takashima and Co Ltd
Original Assignee
NIPPON SHEET GLASS KANKYO AMEN
NIPPON SHEET GLASS KANKYO AMENITY KK
Kuraray Co Ltd
Takashima and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で、取り扱い性に優れ、簡単に且つ安全
に設置できる、防音効果に優れる簡易な防音ハウスの提
供。 【解決手段】 壁部及び/又は屋根が、複数の防音層を
有し且つ各防音層間に空気層を介在させた防音構造を有
する防音ハウスであって、該複数の防音層のうちの1つ
の防音層をA1とし、それに隣り合う別の防音層をA2
し、防音層A1と防音層A2の間の空気層をBとしたとき
に、空気層Bの厚さ(Bd)が、周波数250Hzにおい
て、数式;ΔS/(ΔSA1+ΔSA2)≧0.6[式中、
ΔSは防音層A1と空気層Bと防音層A2を通過した音の
音響透過損失値(dB)、ΔSA1は防音層A1のみを通
過した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA2は防音層A
2のみを通過した音の音響透過損失値(dB)を示
す。]を満足する厚さである防音ハウスおよびその構築
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防音ハウスおよびそ
の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、軽量
で、取り扱い性に優れ、しかも簡単に且つ安全に設置す
ることのできる、防音効果に優れる簡易な防音ハウスに
関するものである。本発明の防音ハウスは、地下鉄工
事、下水道や上水道工事、共同溝工事、トンネル工事な
どを行う場合、特に市街地や民家への隣接区域で前記し
た工事を行う場合に、騒音を発生する建設機械などの騒
音源を全面に囲うことによって、騒音の低減を図り、環
境保存に役立てることができる。
【0002】
【従来の技術】住宅が密集する地域や市街地で建設工事
や土木工事などを行う場合に、工事音が近隣住民の生活
の音環境に影響を与えることが多い。影響の度合いは工
事の長期化や昼夜連続工事によって一層大きくなる。工
事音が環境に影響を及ぼす場合に、伝播音の低減策とし
て、防音壁の建設、防音建屋の設置などの処置が講じら
れている。しかし、屋根を持たない防音壁の建設は、近
年の住環境の高層化に伴い十分な効果が得られないこと
が多く、そのような場合には、工事現場全体を防音ハウ
スで包囲する方策が採られている。防音ハウスとして
は、高度な防音対策が必要か否かに拘わらず、鉄筋構造
を構築し、それに鉄板/吸音材/パンチングメタルの積
層体などからなる高遮音性の防音パネル(通常音響透過
損失値25〜35dB)を取り付けてなる高コストの防
音ハウスが一般に使用されており、軽度な防音対策です
む場合には大きな無駄を生じている。
【0003】しかも、前記した従来の防音ハウスは、建
設機械や重機を用いて鉄骨を現地で組み立て、組み立て
完了後に前記した防音パネルをボルト、クランプ、紐な
どによって取り付ける工法によって構築されるため、防
音ハウスの設置に長期間を要し、特に道路への設置や道
路に接する用地に設置する場合は、その占有期間の長期
化によって交通に支障をきたす場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、軽量
で、曲面性に富み、取り扱い性に優れ、工事現場で短期
間に簡単に且つ安全に構築することができ、狭小な面積
でもスライド方式などを採用して簡単に設置することが
でき、しかも防音効果、吸音効果に優れる、簡易な防音
ハウスを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、防音ハ
ウスの壁部および屋根の少なくとも一方、好ましくは両
方(防音ハウス全体)を、複数の防音層を空気層を介し
て配置した構造とし、且つその際に該空気層の厚さ(隣
り合う防音層の間隔)を所定の厚さにすると、面密度の
小さい比較的軽量な防音材を用いて、高い防音効果を有
する防音ハウスを、短期間に、簡単に且つ安全に構築で
きることを見出した。すなわち、本発明者らは、複数の
防音層を空気層を介して配置させ、その際に空気層の厚
さを特定の厚さにすることによって、[空気層を挟んで
位置する一方の防音層]と[空気層]と[もう一方の防
音層]を通過した音の音響透過損失値が、該一方の防音
層およびもう一方の防音層の各々を通過した音の音響透
過損失の合計値の0.6倍以上になるようにすることが
でき、防音ハウスの防音性能が極めて良好になり、騒音
の外部への漏れを効果的に防げることを見出した。
【0006】さらに、本発明者らは、前記の防音ハウス
において、空気層を介して配置する複数の防音層を、合
成樹脂および/またはゴムシートからなる遮音シートを
用いて形成し、それを軽量パイプなどの骨材で構築した
トラス構造のハウスの内外に取り付けると、狭小な工事
現場でも、極めて短い期間で、良好な作業性で、防音効
果に優れる防音ハウスを簡単に且つ安全に設置できるこ
とを見出した。また、本発明者らは、その際に、空気層
内に多孔質吸音材を充填するか、および/または防音ハ
ウスの少なくとも内側に位置する防音層に吸音材を更に
設けると、防音・吸音効果が相俟って、防音ハウス内で
の騒音の低減並びに防音ハウス外での騒音の低減を一層
効果的に行えること、さらに吸音材上に拡散層(補強
層)を設けると、吸音層の損傷や防音材からの剥離など
を防止できることを見出した。また、本発明者らは、上
記した遮音シート、或いは遮音シートに吸音層または吸
音層と拡散層を取り付けたものを用いて所定の形状およ
び寸法を有する防音パネルを予め製造しておき、複数の
前記防音パネルを使用して現場施工により防音ハウスを
形成すると、防音ハウスを短期間に簡単に製造できるこ
とを見出し、それらの種々の知見に基づいて、本発明を
完成した。
【0007】すなわち、本発明は、 (1) 壁部および/または屋根が、複数の防音層を有
し且つ各防音層間に空気層を介在させた防音構造を有す
る防音ハウスであって、該複数の防音層のうちの1つの
防音層をA1とし、それに隣り合う別の防音層をA2
し、防音層A1と防音層A2の間の空気層をBとしたとき
に、空気層Bの厚さ(Bd)が、100〜4000Hz
の周波数域において、下記の数式(1);
【0008】
【数2】 ΔS/(ΔSA1+ΔSA2)≧0.6 (1) [式中、ΔSは防音層A1と空気層Bと防音層A2を通過
した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA1は防音層A1
のみを通過した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA2
防音層A2のみを通過した音の音響透過損失値(dB)
を示す。]を満足する厚さであることを特徴とする防音
ハウスである。
【0009】そして、本発明は、 (2) 壁部および/または屋根を、2個または3個以
上の防音層と(n−1)個の空気層(式中nは防音層の
数)により形成してなる上記(1)の防音ハウス; (3) 空気層Bの厚さ(Bd)が100mm以上であ
る上記(1)または(2)の防音ハウス; (4) 防音層が、無機材料を含有する合成樹脂および
/またはゴムよりなる可撓性遮音シートからなる上記
(1)〜(3)のいずれかの防音ハウス; (5) 軽量パイプによりトラス構造のハウス骨格を形
成し、該ハウス骨格の内側と外側に空気層Bを介して可
撓性防音シートからなる複数の防音層を取り付けてなる
上記(1)〜(4)のいずれかの防音ハウス; (6) 空気層内に多孔質吸音材を充填してある上記
(1)〜(5)のいずれかの防音ハウス; (7) 少なくとも室内側に吸音層を更に有する前記
(1)〜(6)のいずれかの防音ハウス; (8) 吸音層が拡散層により防音ハウスの内側に固定
・保護されている前記した(7)の防音ハウス; (9) 空気層内に充填してある多孔質吸音材、または
少なくとも室内側に設ける吸音層が、合成樹脂発泡体、
ゴム発泡体、合成繊維および/または天然繊維よりなる
不織布、ウエブおよび不織無機繊維の少なくとも1種か
らなっている前記した(6)〜(8)のいずれかの防音
ハウス;および、 (10) 拡散層が合成樹脂製メッシュシートまたは繊
維製メッシュシートである前記(8)または(9)の防
音ハウス; (11) 遮音シート、或いは遮音シートに吸音層また
は吸音層と拡散層を取り付けたものを用いて形成した所
定の形状および寸法を有する複数の防音パネルを使用し
て形成されている前記(1)〜(11)のいずれかの防
音ハウス;を好ましい態様として包含する。さらに、本
発明は、 (12) 遮音シート、或いは遮音シートに吸音層また
は吸音層と拡散層を取り付けたものを用いて形成した所
定の形状および寸法を有する複数の防音パネルを使用し
て、現場施工によって前記(1)〜(11)のいずれか
の防音ハウスを製造する方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。前川純一著「建築・環境音響学」(共立出版株式
会社発行)(1990)の「5・3 単層壁の遮音に関
する質量則」によると、遮音シートによる音響透過損失
(減音量)の値は下記の数式(2)で表される値になる
とされている。
【0011】
【数3】 音響透過損失値(dB)=20×log(f・m)−43 (2) [式中、fは周波数(Hz)、mは遮音シートの面密度
(kg/m2)を示す。]
【0012】そのため、面密度の異なる2種類の遮音シ
ートを用いる場合であっても、両者を密着積層して用い
る場合は、その音響透過損失は、2種類の遮音シートの
各々の音響透過損失の合計値よりも低い値となり、2種
類の遮音シートを併用したことによる防音効果が十分に
発揮されない。
【0013】従来の防音対策では、防音材の面密度を大
きくして防音効果を高めるために、減音目標数値に対し
て、面密度の大きい遮音材(例えば前記した鉄板/吸音
材/パンチングメタルの積層体など)を用いて騒音発生
源を囲う防音ハウスを設置していた。しかしながら、上
述のように、過剰品質となったり、硬く曲面加工が困難
なため、取り扱い性、工事性に劣り、費用や工期などの
点でも無駄が多く、しかも遮音材の重量が大きいために
防音ハウスの構築時に作業者に重労働を強いていた。
【0014】本発明による場合は、比較的軽量な複数層
の遮音材(防音層)を用いて、その音響透過損失値が、
該複数の防音層の各々の音響透過損失の合計値の0.6
倍以上となるようにして2つ以上の防音層を空気層を介
して個々に配置することによって、それぞれの防音層の
防音効果を十分に発揮させることが可能になり、従来使
用されていた上記したような重量が大きくて(面密度の
大きく)、曲面加工の困難な硬質の遮音材を使用するこ
となく、防音効果に優れる防音ハウスを、短期間に簡単
に且つ安全に設置できる。
【0015】本発明の防音ハウスでは、壁部および屋根
の少なくとも一方を、複数の防音層からなり且つ隣り合
う防音層間に空気層が介在する防音構造とする。本発明
の防音ハウスでは、壁部を前記した防音構造とし屋根を
前記以外の防音構造または通常の構造としても、屋根を
前記した防音構造とし壁部を前記以外の防音構造または
それ以外の構造としても、或いは壁部および屋根の両方
を前記した防音構造としてもよい。そのうちでも、壁部
と屋根の両方(すなわち床面、出入口、窓部分などを除
く防音ハウスのほぼ全体)を前記した防音構造とするこ
とが、防音特性、簡便性、組み立て容易性などの点から
好ましい。
【0016】本発明の防音ハウスは、2つ以上の防音層
を有し、防音層の数をn個とする(但しnは2以上)
と、各防音層の間に空気層が介在することから、空気層
の数はn−1個となる。具体的には、防音層をA1
2、A3、・・・・、空気層をB1、B2、B3、・・・
・とすると、本発明の防音ハウスにおける壁部および/
または屋根は、2個の防音層を有しそれらの間に空気層
が存在するA1/B1/A2からなる構造を有していても
よいし、3個の防音層を有しそれらの間に空気層が存在
するA1/B1/A2/B2/A3からなる構造を有してい
てもよいし、または4個以上の防音層とそれより1個少
ない空気層が各防音層間に存在する構造であってもよ
い。しかしながら、防音層の数が多くなり過ぎると、防
音壁および/または防音屋根全体の厚さが大きくなり、
防音ハウスの設置面積が大きくなったり、屋根の重量増
などを生ずるので、防音層が2層または3層である防音
構造、すなわちA1/B1/A2またはA1/B1/A2/B
2/A3の防音構造であることが好ましい。その場合に、
3つの防音層を有する後者の方が防音効果が一層高くな
る。しかしながら、床面積を低減できる点(防音壁の厚
さを薄くできる点)および施工性の点からは、A1/B1
/A1のように2つの防音層からなる防音構造とするの
がより好ましい。
【0017】本発明の防音ハウスでは、複数の防音層の
うちの1つの防音層をA1とし、それに隣り合う別の防
音層をA2とし、防音層A1と防音層A2との間の空気層
をBとしたときに、空気層Bの厚さ(Bd)が、周波数
250Hzにおいて、下記の数式(1);
【0018】
【数4】 ΔS/(ΔSA1+ΔSA2)≧0.6 (1) [式中、ΔSは防音層A1と空気層Bと防音層A2を通過
した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA1は防音層A1
のみを通過した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA2
防音層A2のみを通過した音の音響透過損失値(dB)
を示す。]を満足する厚さであることが必要である。そ
のうちでも、空気層Bの厚さ(Bd)は、ΔS/(ΔS
A1+ΔSA2)の値が0.8以上であるような厚さである
ことが好ましく、0.9以上であるような厚さであるこ
とがより好ましく、1.0以上であるような厚さである
ことが更に好ましい。
【0019】空気層Bの厚さ(Bd)が、前記の数式
(1)を満足しない場合は、高い防音効果を得ることが
できない。ΔS/(ΔSA1+ΔSA2)の上限値は特に制
限されないが、あまり大きいと空気層Bの厚さをより大
きくすることが必要になり、防音ハウスの設置スペース
が大きくなるので、ΔS/(ΔSA1+ΔSA2)の値の上
限値は1.2程度であることが好ましい。また、空気層
Bの厚さをあまり大きくしても、所定以上の防音効果が
得られないことが多い。
【0020】周波数250Hzにおいて、上記の数式
(1)を満足する空気層Bの厚さ(Bd)は、次のように
して求めることができる。すなわち、周波数250Hz
の音を用いて該音が防音層A1のみを通過したときの音
響透過損失値ΔSA1(dB)および防音層A2のみを通
過したときの音響透過損失ΔSA2(dB)を測定して、
両者の合計値を求めておく。一方、防音層A1と防音層
2の間に介在させる空気層Bの厚さ(Bd)を色々変え
て、周波数250Hzの音が、防音層A1と空気層Bと
防音層A2を通過したときの音響透過損失値ΔS(d
B)を測定し、該ΔSが、ΔSA1+ΔSA2の0.6倍以
上、好ましくは0.8倍以上となる空気層Bの厚さ(B
d)を選び出すことにより求めることができる。その場
合に、空気層(B)の厚さ(Bd)を、500〜400
0Hzの周波数域においても上記の数式(1)を満足す
る厚さとすることが、防音特性が一層良好になる点から
より好ましい。
【0021】防音層を3個以上設ける場合は、上記の数
式(1)を満足する空気層の厚さ(Bd)を隣り合う2
つの防音層について、上記した方法に準じて次々に求め
て、所定の空気層の厚さ(Bd)を決めればよい。具体
的には、例えば、防音層A1/空気層B1/防音層A2
空気層B2/防音層A3からなる防音構造の場合には、防
音層A1と空気層B1と防音層A2を通過した音の音響透
過損失ΔS(dB)がΔSA1+ΔSA2の0.6倍以上、
好ましくは0.8倍以上となるようにして空気層B1
厚さ(Bd)を決め、さらに防音層A2と空気層B2と防
音層A3を通過した音の音響透過損失ΔP(dB)がΔ
A2+ΔSA3(防音層A3のみを通過した音の音響透過
損失)の0.6倍以上、好ましくは0.8倍以上となる
ようにして空気層B2の厚さ(Bd)を決めればよい。
【0022】上記の数式(1)を満足する空気層の厚さ
(Bd)は、該空気層を挟んで位置する2つの防音層の
防音特性(面密度、材質など)に応じて種々異なり得る
が、一般的には、空気層の厚さ(Bd)を100mm以
上にすると、上記の数式(1)を満足する防音構造を得
ることができる。防音効果の点からは空気層の厚さ(B
d)を200mm以上とすることが好ましく、300m
m以上とすることががより好ましい。一方、限定される
ものではないが、床面積の低減(防音壁の厚さを薄くす
る)点からは、空気層の(Bd)を600mm以下、特
に500mm以下にするのが好ましい。
【0023】防音層を構成する防音材(遮音材)として
は、従来既知の防音材(遮音材)のいずれもが使用でき
るが、軽量性、加工性、取り扱い性、防音ハウスの組み
立て容易性などの点から、合成樹脂、ゴムまたは合成樹
脂とゴムのブレンド物からなる遮音シート、特に可撓性
の遮音シートが好ましく用いられる。可撓性の遮音シー
トを形成する合成樹脂およびゴムとしては、防音および
遮音の目的で従来から用いられている合成樹脂およびゴ
ムのいずれもが使用でき、具体例としては、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリエステル、ポ
リアミド、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ポリクロロ
プレンゴム、天然ゴム、熱可塑性ポリウレタンやその他
各種の熱可塑性エラストマーなどを挙げることができ
る。そのうちでも、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体が、取り扱い性、加工性、遮音性、経済性
などの点から好ましく用いられる。
【0024】可撓性の遮音シートは、シートの面密度を
高くして防音効果を向上させるために、比較的比重の高
い無機粒子を配合した前記の合成樹脂および/またはゴ
ムから形成されていることが好ましい。その際の無機粒
子としては、各種金属粒子、金属酸化物、金属炭酸塩、
金属硫酸塩、金属水酸化物の粒子などを挙げることがで
きる。そのうちでも、合成樹脂およびゴム中への均一分
散性に優れていることから、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウムおよび水酸化アルミニウムの1種または2種以上が
好ましく用いられる。遮音シート中における無機粒子の
配合量は、合成樹脂および/またはゴムの重量に基づい
て、40重量%以上であることが好ましく、50〜60
重量%であることがより好ましい。無機粒子の配合量が
40重量%未満であるとシートを薄くしたときに遮音効
果が十分にならないことがある。
【0025】遮音シートの厚さは、厚いほど遮音効果が
高くなるが、軽量性、取り扱い性、防音ハウスに取り付
ける際の加工性、コストなどの点から、一般に1〜3m
m程度であるのが好ましい。また、遮音シートの面密度
は0.5〜3kg/m2、特に1〜2kg/m2であるの
が、遮音性、取り扱い性、加工性、軽量性などの点から
好ましい。
【0026】本発明の防音ハウスでは、壁部および/ま
たは屋根の前記した防音構造を形成する複数の防音層
は、材質、厚さ、面密度などを等しくする同一の防音材
(遮音シート等)を用いて形成しても、または材質、厚
さ、面密度などを異にする別々の防音材(遮音シート
等)を用いて形成してもよい。一般には、室内側(音源
に近い側)に位置する防音層を面密度の高い防音材(遮
音シート等)から形成し、屋外側(音源に遠い側)に位
置する防音層をそれよりも面密度の低い防音材(遮音シ
ート等)から形成すると、防音材に要するコストの低減
を図りながら、高い防音効果を得ることができる。
【0027】本発明の防音ハウスは、複数の防音層を有
し且つ隣り合う各防音層間に特定厚さの空気層が存在す
る前記した防音構造を有することによって、外部への騒
音の漏れを効果的に低減できるが、その一方で騒音源を
防音ハウスで全体に包囲している関係で、音圧上昇が起
こり、室内騒音が大きくなる傾向がある。そのため、外
部に漏れる騒音の低減と共に室内騒音をも低減して防音
ハウス内での作業環境を良好にし、更には外部への騒音
の漏れをより低減するために、空気層内に多孔質吸音材
を充填するか、および/または防音ハウスの少なくとも
室内側、すなわち防音ハウスの室内側、または室内側と
前記した防音構造部分の途中に吸音層を更に設けること
が好ましい。空気層内に充填した多孔質吸音材、室内側
または室内側と防音構造の途中に設けた吸音層は、音源
から発生した音を吸収して音圧上昇を抑え、室内騒音を
低減し、且つ外部に放出される音を低減する。吸音層を
防音ハウスの室内側と防音構造の途中に設ける場合は、
最も内側にある防音層の内側と共に、前記防音構造にお
ける途中の防音層(例えば防音層が3個ある場合の中間
の防音層)における内側面(内側の空気層側)および/
または前記防音構造における最外層をなす防音層の内側
面(空気層側)に吸音層を設けるのがよい。吸音層が音
源に近い程、吸音効果が大きくなる。
【0028】空気層内に充填する多孔質吸音材および少
なくとも室内側に設ける吸音層は、従来から既知の吸音
材のいずれを用いて形成してもよく、例えば、ポリウレ
タン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレンな
どの合成樹脂の発泡体や各種ゴムの発泡体(好ましくは
独立気泡を有する発泡体)、各種有機合成繊維や有機天
然繊維からなる不織布やウエブ、グラスウール、ロック
ウールなどの不織無機繊維などの吸音材の1種または2
種以上を用いて形成することができる。合成樹脂発泡体
やゴム発泡体からなる吸音材では、遮音シート中に配合
される上記した炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化
アルミニウムやその他の無機粒子を発泡体中に含有させ
ておくと、吸音効果と併せて遮音効果をも発揮させるこ
とができる。また、前記吸音層の厚さは吸音特性の点か
ら25mm以上であることが望ましい。
【0029】空気層内に多孔質吸音材を充填する場合
は、防音ハウスの構築時に多孔質吸音材の空気層内に同
時に充填することが作業性、工程性などの点から好まし
い。また、防音ハウス内への吸音層の取り付け方として
は、室内側の防音層を構成する防音材(遮音シートな
ど)に吸音材を予め取り付けておき、吸音材を取り付け
てなる防音材を用いて防音ハウスを構築する方法、また
は防音材(遮音シートなど)をハウス骨格に取り付けた
後に室内側に位置する防音層に吸音材を取り付ける方法
のいずれでもよい。吸音材を遮音シートなどの防音材に
予め取り付けておく場合は、遮音シートの取り扱い性な
どの点から、吸音材の厚さを25〜100mm程度にし
ておくことが好ましく、40〜60mm程度にしておく
ことがより好ましい。また、遮音シートに吸音材を予め
取り付ける際の遮音シートへの吸音材の取り付け方法は
特に制限されず、遮音シートおよび吸音材の材質などに
応じて、溶着、接着剤による接着、縫い止め、カレンダ
ー加工や押出成形などの一体成形、その他の結合手段に
よる結合などによる方法を採用することができる。特
に、合成樹脂および/またはゴムからなる遮音シートに
合成樹脂および/またはゴムの発泡体からなる吸音材を
取り付ける場合は、予め製造された遮音シートと発泡体
を溶着、接着剤による接着などによって積層一体化する
方法、遮音シートおよび発泡体を押出成形、カレンダー
成形、プレス成形などによって製造すると同時に積層す
る方法などを採用することができる。
【0030】また、本発明では、上記した吸音材の表面
に、吸音材の破損防止や固定の目的で、吸音作用の妨げ
にならない拡散層(補強層)を設けてもよく、そのよう
な拡散層(補強層)としては、合成樹脂のメッシュシー
ト、合成繊維および/または天然繊維よりなるメッシュ
状織物などを挙げることができる。拡散層の取り付け方
も特に制限されず、室内側の防音層を構成する防音材
(遮音シートなど)に吸音材を予め取り付けた後にその
上に拡散層を更に取り付ける方法、防音材(遮音シート
など)をハウス骨格に取り付けた後に内側に位置する防
音層に吸音材を取り付け、その上に拡散層を更に取り付
ける方法などを採用することができる。防音材に遮音シ
ートを予め取り付けておく場合は、拡散層を該吸音材上
に取り付けて吸音層を拡散層で保護しておくことが望ま
しく、それによって防音材の搬送時や防音ハウスの構築
時に吸音層が破損したり、吸音層が遮音シートから分離
するのを防止することができる。しかし、それに限定さ
れるものではなく、防音材、吸音材および拡散層用材を
そのまま重ねた状態にし、必要に応じて部分的に縫い止
めなどを行って、それを布帛やフィルム製の袋に収容
し、現場で袋から取り出して使用してもよい。
【0031】本発明の防音ハウスの構築方法は特に制限
されず、壁部および/または屋根が、複数の防音層と隣
り合う各防音層との間に空気層が存在し且つ該空気層の
厚さ(Bd)が上記の数式(1)を満足する厚さをなす
防音構造を有する防音ハウス、また必要に応じて室内側
に更に吸音層または吸音層と拡散層を有する防音ハウス
を構築できる方法であれば、いずれの方法を採用して構
築してもよい。そのうちでも、防音材として合成樹脂お
よび/またはゴム製の上記した遮音シートを用いて、該
遮音シート或いは該遮音シートに吸音層または吸音層と
拡散層を取り付けたものを一定形状の枠体に取り付けて
防音パネルを予め製作しておき、その防音パネルを、ス
ライド方式やその他の方式により、骨材を使用して形成
したトラス構造へと移送して、各種ファスナー、ロー
ブ、ビスなどにてそれをトラス骨格に取り付ける方法を
採用すると、本発明の防音ハウスを、極めて短い期間
で、簡単に且つ安全に構築することができ、しかも狭小
な場所でも円滑に構築できる。
【0032】上記工法において、防音パネルを構成する
骨材としては、鉄筋を用いても構わないが、軽量性の点
からは軽量パイプが好ましく使用される。また防音ハウ
スはトラス構造以外の構造を有していても構わないが、
安定性、耐久性などの点からはトラス構造であるのが好
ましい。このときに、防音ハウスを構成するトラス骨格
を挟んで2つの防音層を設置することにより、2つの防
音層の間に空気層を有する防音構造を容易に構築するこ
とができる。施工性、形態安定性などの点からは空気層
とトラス骨格の厚さを等しくするのが好ましい。これに
より、所望の空気層を効率的に形成させることができ、
しかも床面積を小さくできる(防音壁の厚さを薄くでき
る)のでより優れた効果が得られる。施工性の点から
は、前述のように、複数の防音パネルを接合して防音ハ
ウスを構築するのが好ましく、その場合に1つの防音パ
ネルの面積は1〜20m2程度としておくことが取り扱
い性などの点から好ましく、2〜10m2にしておくこ
とがより好ましい。防音パネルの接合方法は特に限定さ
れず、例えば、熱圧着、縫製、クギ打ち、接着剤、面フ
ァスナー、そのたの取付具などを用いて接合すればよ
い。
【0033】しかしながら、防音パネルを用いる上記の
工法に限定されるわけではなく、防音ハウスの構築現場
にて、予め所定の寸法に切断しておいたパネル状になっ
ていない防音材(遮音シートなど)を、防音層と防音層
との間に上記した数式(1)を満足する厚さ(Bd)を
有する空気層が形成されるようにして逐次取り付けて防
音ハウスを構築してもよい。
【0034】本発明の防音ハウスの構築場所は特に制限
されず、例えば、地下鉄工事、下水道、上水道工事、共
同溝工事、トンネル工事などの何らの騒音対策の必要な
工事現場に構築することができる。また、本発明の防音
ハウスの規模や形状は特に制限されず、それぞれの現場
の状況に合わせて選択することができ、例えば、中高の
傾斜屋根を有する防音ハウス、平坦な屋根を有する箱型
の防音ハウス、円筒形の防音ハウスなどの種々の形状に
することができる。さらに、本発明の防音ハウスでは、
出入口、窓、換気扇などの設備を必要な数、必要な規模
で、必要な位置に設けることができる。
【0035】
【実施例】以下に実施例により本発明について具体的に
説明するが、本発明は以下の例により何ら制限されな
い。以下の例において、音源の音圧レベルおよび音響透
過損失値の測定は次のようにして測定した。
【0036】[音源の音圧レベルの測定]JIS A
1416に準じ、音源として全帯域周波数(63Hz〜
16000Hz)の雑音発生装置(B&K社製2113
型)を使用し、周波数分析器を備えた音圧レベル測定装
置により音源の音圧レベル(dB)を測定した。
【0037】[音響透過損失値の測定]JIS A 1
416に準じて行った。
【0038】《実施例1》 ○実験:遮音シートA1として、無機粒子(炭酸カル
シウム)を45重量%含有するポリ塩化ビニルシート
(厚さ1.3mm、面密度2.0kg/m2)を準備
し、この遮音シートA1の各周波数における音響透過損
失値を上記(i)に記載した方法で測定したところ、下
記の表1に示すとおりであった。 ○実験:遮音シートA2として、無機粒子(酸化鉄)
を45重量%含有するポリ塩化ビニルシート(厚さ1.
0mm、面密度1.0kg/m2)を準備し、この遮音
シートA2の各周波数における音響透過損失値を上記
(i)に記載した方法で測定したところ、下記の表1に
示すとおりであった。
【0039】○実験:図1に示すように、音源(音発
生装置)側に前記した遮音シートA1を配置し、次に空
気層Bの厚さ(Bd)(幅)を100mmとし、更に前
記した遮音シートA2を配置して、遮音シートA1/空気
層B/遮音シートA2よりなる防音構造を形成し、上記
(ii)に記載した方法にて、遮音シートA1/空気層B
/遮音シートA2を通った各周波数の音の音響透過損失
値を測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。 ○実験:空気層Bの厚さ(Bd)を200mmにした
以外は実験と同様にして、遮音シートA1/空気層B
/遮音シートA2よりなる防音構造を形成し、前記防音
構造を通った各周波数の音の音響透過損失値を測定した
ところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0040】○実験:空気層Bの厚さ(Bd)を40
0mmにした以外は実験と同様にして、遮音シートA
1/空気層B/遮音シートA2よりなる防音構造を形成
し、前記防音構造を通った各周波数の音の音響透過損失
値を測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。 ○実験:空気層Bの厚さ(Bd)を800mmにした
以外は実験と同様にして、遮音シートA1/空気層B
/遮音シートA2よりなる防音構造を形成し、前記防音
構造を通った各周波数の音の音響透過損失値を測定した
ところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0041】《実施例2》 (1) 図2に示すように、音源(音発生装置)側に実
施例1で用いたのと同じ遮音シートA1を配置し、次に
厚さ(Bd)が200mmの空気層B1、前記遮音シート
1、厚さ(Bd)が200mmの空気層B2および実施
例1で用いたのと同じ遮音シートA2を順次配置して、
遮音シートA1/空気層B1/遮音シートA1/空気層B2
/遮音シートA2よりなる防音構造を形成した(以下
「実験」という)。 (2) 上記(1)で形成した防音構造における、遮音
シートA1/空気層B1/遮音シートA1/空気層B2/遮
音シートA2を通った各周波数の音の音響透過損失値を
上記(iii)の方法で測定したところ測定したところ、
下記の表1に示すとおりであった。
【0042】《実施例3》 (1) 図3に示すように、音源(音発生装置)側か
ら、実施例1で用いたのと同じ遮音シートA1の内側
(室内側)に吸音層C(撥水性グラスウール層、厚さ5
0mm、面密度32kg/m2)を取り付け且つさらに
その上を株式会社クラレ製メッシュ状織物D(目付13
0g/m2)で覆ってなる防音・吸音層E、厚さ(Bd
が200mmの空気層B1、前記防音・吸音層E、厚さ
(Bd)が200mmの空気層B2、および実施例1で使
用したのと同じ遮音シートA2を順次配置して、防音・
吸音層E/空気層B1/防音・吸音層E/空気層B2/遮
音シートA2よりなる防音構造を形成した(以下「実験
」という)。 (2) 上記(1)で形成した防音構造における、防音
・吸音層E/空気層B1/防音・吸音層E/空気層B2
遮音シートA2を通った各周波数の音の音響透過損失値
を上記(iii)の方法で測定したところ測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0043】また、参考のために、遮音シートA1単独
の音響透過損失価と遮音シートA2単独の音響透過損失
値の合計、遮音シートA1および遮音シートA2を接触し
て積層したとき(面密度が両者の合計の3.0kg/m
2である1枚の遮音シートとしたとき)の上記の数式
(2)の質量則から計算される音響透過損失値、遮音シ
ートA1、遮音シートA1および遮音シートA2接触して
積層したとき(面密度が3者の合計の5.0kg/m2
である1枚の遮音シートとしたとき)の上記の数式
(2)の質量則から計算される音響透過損失値を表1に
併記する。
【0044】
【表1】
【0045】上記の表1の結果から、遮音シートA1
遮音シートA2との間に空気層Bを介在させ且つその際
に空気層Bの厚さ(Bd)をそれぞれ100mm、20
0mm、400mmおよび800mmにした実験、実
験、実験および実験では、125〜4000Hz
の周波数域において、遮音シートA1/空気層B/遮音
シートA2を通った音の音響透過損失値が、遮音シート
1を通過した音の音響透過損失値(dB)と遮音シー
トA2を通過した音の音響透過損失値(dB)との合計
の0.6倍以上となり防音効果に優れること、特に遮音
シートA1/空気層B/遮音シートA2を通った音の音響
透過損失値が、遮音シートA1を通過した音の音響透過
損失値(dB)と遮音シートA2を通過した音の音響透
過損失値(dB)との合計の0.8倍以上である実験
、実験および実験では高い防音効果を有すること
がわかる。そして、上記の表1の結果から、遮音シート
1および遮音シートA2を単独で配置した場合(実験
と実験の場合)には、十分に高い防音効果が得られな
いことがわかる。
【0046】さらに、上記の表1の結果から、2つの遮
音シートA1と1つの遮音シートA1との合計3個の防音
層を設け且つ各々の遮音シート(防音層)の間に上記の
数式(1)を満足する厚さ(Bd)を有する空気層B1
よびB2を介在させた実験(実施例2)および実験
(実施例3)の防音構造による場合は、その音響透過損
失値が一層大きく、防音効果が一層高いことがわかる。
しかも、上記表1の実験(実施例3)の結果から、防
音構造を構成する防音層の音源側(室内側)に吸音層を
設けると、吸音効果が発揮されて、その防音効果が一層
向上することがわかる。
【0047】《実施例4》 (1) 地面に、軽量鉄パイプを用いて、図4に示す、
縦10m、横10m、壁部高さ5.5m、屋根内側高さ
6.5m、および内側骨格と外側骨格との間の距離(空
気層厚さ)400mmの鉄骨トラス骨格を有する建屋を
構築した。なお、図4の(a)は、防音ハウス全体の概
略的な縦断面図を示し、(b)は防音ハウスの概略的な
横断面図を示す。 (2) また、実施例1で用いたのと同じ遮音シートA
1を、縦×横=200cm×50cmの枠体に取り付け
て防音パネルを予め作製した。 (3) 前記(1)の鉄骨トラス骨格よりなる建屋の内
側に、出入口および窓の部分を除いて、上記(2)で作
製した防音パネルをクランプにより次々とその端部同士
を接合しながら取り付けて、防音パネル間の空気層の厚
さが200mmである防音壁を形成し、その内側に実施
例3で用いたのと同じ吸音層C(撥水性グラスウール
層)およびメッシュ状織物Dを取り付けた。さらに、前
記(1)の鉄骨トラス骨格よりなる建屋の外側を、出入
口および窓の部分を除いて、実施例1で使用したのと同
じ遮音シートA2で全面的に覆って取り付けて、防音ハ
ウス1を構築した。 (3) 上記(2)の防音ハウス1の構築に当たって
は、軽量鉄パイプを用いて鉄骨トラス構造を構築し、そ
こに、上記(2)で作製した防音パネルを取り付け、そ
の上に吸音層Cとメッシュ状織物Dを取り付けるだけで
よいため、防音ハウスの構築が簡単で且つ安全性に優れ
ており、しかも防音ハウス1の構築に要した日数が延べ
約4日と極めて短期間であった。
【0048】(4) 上記(2)で構築した防音ハウス
1の床面(地面)中央部にラウンドスピーカー2(ボー
ズ社製「802シリーズII」)を置き、該ラウドスピー
カー2からホワイトノイズを発生させて、図4の位置3
の壁部での音量(dB)、位置4の屋根での音量(d
B)、並びに各周波数における前記位置3および位置4
での音圧レベル差(dB)を測定した。なお、位置3お
よび位置4での音圧レベル差(dB)は、実時間周波数
分析器(リオン株式会社製「SA−27」)を使用し
て、1/3オクターブバンド中心周波数100〜100
00Hzの各バンドレベル毎に求めた。上記の結果を下
記の表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】上記の表2の結果から、複数の防音層の間
に上記の数式(1)を満足する空気層を介在させた防音
構造を有する本発明の防音ハウスは、極めて短期間で簡
単に且つ安全に構築でき、しかも良好な防音効果を有す
ることがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明では、複数の防音層を空気層を介
して配置させ、その際に空気層の厚さ上記の数式(1)
を満足する厚さの防音構造を採用することによって、防
音効果に優れる防音ハウスを、軽量な防音材を用いて、
短い工期で簡単に且つ安全に構築することができる。さ
らに、本発明の防音ハウスは、軽量パイプなどの骨材で
構築したトラス構造やその他の構造を有するハウスの内
外に、現場で、合成樹脂および/またはゴムシートから
なる遮音シートをそのまま取り付けるか、或いは該遮音
シートまたは該遮音シート上に吸音層または吸音層と拡
散層を取り付けたものを用いて予め作製しておいた防音
パネルを取り付けることによって構築できるため、狭小
な工事現場でも、極めて短い期間で、良好な作業性で、
防音効果に優れる防音ハウスを簡単に設置することがで
きる。
【0052】そして、本発明の防音ハウスにおいて、空
気層内の多孔質吸音材を充填するかおよび/または防音
ハウスの少なくとも内側に位置する防音層に吸音材を更
に設けたものでは、防音・吸音効果が相俟って、防音ハ
ウス内での騒音の低減並びに防音ハウス外での騒音の低
減を一層効果的に行うことができる。また、前記吸音材
上に拡散層(補強層)を設けると、吸音層の損傷や防音
材からの剥離などを防止することができる。本発明の防
音ハウスは、前記した特性を活かして、地下鉄工事、下
水道、上水道工事、共同溝工事、トンネル工事などの何
らの騒音対策の必要な工事現場に、たとえ該工事現場が
狭小であっても、簡便に且つ低コストで設置でき、良好
な防音効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の実験〜実験の防音構造を示す図
である。
【図2】実施例2(実験)の防音構造を示す図であ
る。
【図3】実施例3(実験)の防音構造を示す図であ
る。
【図4】実施例4の防音ハウスの概略図を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 遮音シート A2 遮音シート A3 遮音シート B 空気層 B1 空気層 B2 空気層 C 吸音層 D 拡散層 E 防音・吸音層 1 防音ハウス 2 ラウドスピーカー 3 音量測定位置(壁部) 4 音量測定位置(屋根部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 重隆 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番90 日 本板硝子環境アメニティ株式会社内 (72)発明者 井上 堅 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番90 日 本板硝子環境アメニティ株式会社内 (72)発明者 大江 章雄 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番90 日 本板硝子環境アメニティ株式会社内 (72)発明者 松本 健次 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 住吉 秀文 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 2E001 DF05 FA03 FA16 FA29 GA24 GA28 GA32 GA82 HA22 HD01 HD11 HD13 HE01 HE07 JA22 JA25 JB01 JC08 KA01 LA04 LA05 LA13 LA15

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁部および/または屋根が、複数の防音
    層を有し且つ各防音層間に空気層を介在させた防音構造
    を有する防音ハウスであって、該複数の防音層のうちの
    1つの防音層をA1とし、それに隣り合う別の防音層を
    2とし、防音層A1と防音層A2の間の空気層をBとし
    たときに、空気層Bの厚さ(Bd)が、周波数250H
    zにおいて、下記の数式(1); 【数1】 ΔS/(ΔSA1+ΔSA2)≧0.6 (1) [式中、ΔSは防音層A1と空気層Bと防音層A2を通過
    した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA1は防音層A1
    のみを通過した音の音響透過損失値(dB)、ΔSA2
    防音層A2のみを通過した音の音響透過損失値(dB)
    を示す。]を満足する厚さであることを特徴とする防音
    ハウス。
  2. 【請求項2】 壁部および/または屋根を、2個または
    3個以上の防音層と(n−1)個の空気層(式中nは防
    音層の数)により形成してなる請求項1に記載の防音ハ
    ウス。
  3. 【請求項3】 空気層Bの厚さ(Bd)が100mm以
    上である請求項1または2に記載の防音ハウス。
  4. 【請求項4】 防音層が、無機粒子を含有する合成樹脂
    および/またはゴムよりなる遮音シートから形成されて
    いる請求項1〜3のいずれか1項に記載の防音ハウス。
  5. 【請求項5】 骨材によりトラス構造のハウス骨格を形
    成し、該ハウス骨格の内側と外側に空気層Bを介して遮
    音シートからなる複数の防音層を取り付けてなる請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の防音ハウス。
  6. 【請求項6】 空気層内に多孔質吸音材を充填してある
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の防音ハウス。
  7. 【請求項7】 少なくとも室内側に吸音層を更に有する
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の防音ハウス。
  8. 【請求項8】 吸音層が拡散層により防音ハウスの内側
    に固定・保護されている請求項7に記載の防音ハウス。
  9. 【請求項9】 空気層内に充填してある多孔質吸音材、
    または少なくとも室内側に設ける吸音層が、合成樹脂発
    泡体、ゴム発泡体、合成繊維および/または天然繊維よ
    りなる不織布、ウエブおよび不織無機繊維の少なくとも
    1種からなっている請求項6〜8のいずれか1項に記載
    の防音ハウス。
  10. 【請求項10】 拡散層が合成樹脂製メッシュシートま
    たは繊維製メッシュシートである請求項8または9に記
    載の防音ハウス。
  11. 【請求項11】 遮音シート、或いは遮音シートに吸音
    層または吸音層と拡散層を取り付けたものを用いて形成
    した所定の形状および寸法を有する複数の防音パネルを
    使用して形成されている請求項1〜10のいずれか1項
    に記載の防音ハウス。
  12. 【請求項12】 遮音シート、或いは遮音シートに吸音
    層または吸音層と拡散層を取り付けたものを用いて形成
    した所定の形状および寸法を有する複数の防音パネルを
    使用して、現場施工によって請求項1〜11のいずれか
    1項に記載の防音ハウスを製造する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007284946A (ja) * 2006-04-14 2007-11-01 Kajima Corp 移動式防音塀
JP2016191195A (ja) * 2015-03-30 2016-11-10 株式会社奥村組 防音・集塵設備を備えた大空間仮設施設
CN114810677A (zh) * 2022-04-19 2022-07-29 河南远航隔音材料科技有限公司 煤矿通风机降噪房结构及其安装方法

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