JP2000256742A - 耳割れの少ない方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
耳割れの少ない方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法Info
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Abstract
向性電磁鋼板を歩留り高く製造できる、方向性電磁鋼熱
延鋼板の製造方法を提案する。 【解決手段】 Si:2.5〜5.5 mass%を含有する方向性電
磁鋼スラブを、加熱して粗圧延、仕上圧延を行うに際
し、被圧延材エッジ部のγ相率を15%以下として水平圧
下を行う。そのために、被圧延材の側面温度を1100℃以
下または1150℃以上するのが好ましい。あるいは、熱間
仕上圧延機入側での被圧延材温度FETを1160℃以下と
するのが好ましい。また、このために、シートバー厚さ
を50mm以下としても、熱間仕上圧延以前に被圧延材エッ
ジ部を局所冷却してもよい。
Description
延鋼板の製造方法に係り、とくに方向性電磁鋼スラブを
熱間圧延した時に生じる耳割れを有効に防止して製品歩
留りを向上できる方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法に関
する。
他の電気機器の鉄心として用いられ、かかる用途に適合
すべく磁束密度、鉄損値等の磁気特性に優れることが基
本的に重要である。そのため、方向性電磁鋼板の製造の
際に重要なことは、いわゆる仕上焼鈍工程により二次再
結晶させた結晶粒の方位を、{110 }<001> 方位、いわ
ゆるゴス方位に高度に集積させることである。
進させるためには、一次再結晶の成長を選択的に抑制
する、インヒビターと呼ばれる分散相を均一かつ適正
なサイズで形成する、ことが重要である。このようなイ
ンヒビターとしては、Cu2-xS 、Cu2-x Se、MnS 、MnS
e、AlN 、VN等のように硫化物、セレン化物、および窒
化物で、しかも鋼中への溶解度が極めて小さい物質が用
いられる。このため、従来から、熱間圧延前のスラブ加
熱においては高温加熱を行いインヒビターを完全に固溶
させ、熱間圧延以降二次再結晶までの過程でこのインヒ
ビターを微細に分散析出させる方法がとられている。な
お、Sb、Sn、As、Pb、P 、BiおよびMo等の粒界偏析型元
素もインヒビターとして利用されている。
般的な製造工程では、厚み100 〜300mm のスラブを1100
℃以上の温度で加熱してインヒビター成分を完全に固溶
させた後、熱延板とし、次いでこの熱延板を1回又は中
間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延によって、最終板厚の
冷延板とし、その後はこの冷延板に脱炭焼鈍を施し、焼
鈍分離剤を塗布してから二次再結晶および純化を目的と
して最終仕上焼鈍を施している。
まり、方向性電磁鋼板に対する高磁束密度化、低鉄損化
へのニーズも一層増してきた。これらの要請に応えるた
めに、方向性電磁鋼板の製造方法においては、成品板厚
の低減、高Si化、さらには二次再結晶後の鋼板にレーザ
ー光やプラズマジェットを照射し溝を形成するなど物理
的方法により磁区を細分化し、低鉄損を図る方法が採ら
れるようになった。また、2種以上のインヒビターを複
合して添加し、粒成長抑制力を高めることも行われ、さ
らには冷間圧延工程にて板温を高めた、いわゆる温間圧
延が行われたりするようになった。これらの技術および
その進歩により、極めて良好な磁気特性を有する製品が
得られるようになった。
うな磁気特性の向上に加えて、製品を安価に供給するこ
とも強く望まれており、かかる高級品を歩留り良く製造
することが製造者サイドにおいて重要な課題となってい
る。このような歩留り向上という観点からは、熱延板エ
ッジ部の耳割れ発生を如何に防止するかが重要な課題と
なっている。
ける耳割れを防止する技術については既に数多くの開示
がある。例えば、特開昭55−62124 号公報には、一方向
性珪素鋼連鋳片の熱間圧延工程において、仕上圧延開始
温度と仕上圧延終了温度との差、すなわち熱間仕上圧延
中の温度低下、を220 ℃以下とする一方向性珪素鋼板の
熱間圧延方法が開示されている。しかし、仕上圧延の開
始温度と終了温度との温度差をこのような範囲に規制し
たとしても、粗圧延時や仕上圧延の前段で発生する耳割
れは防止することはできない。
−200916号公報、特開昭61−71104号公報、特開昭62−1
96328号公報、特開平5−138207号公報には、熱間圧延
中のシートバーの側面の形状を整えることで耳割れを防
止する方向性けい素鋼の熱間圧延方法が開示されてい
る。これらの技術は、側面の形状が悪い場合には粗大に
成長した結晶の粒界部でノッチ状の凹部が生じ、これが
耳割れの起点となることから、側面の形状を整えること
によって耳割れ防止を図るものであり、多少の効果が認
められた。しかしながら、これらの技術において、特に
熱間仕上圧延1パス目の出側で幅圧下を行う場合には、
耳割れ防止効果は少なく十分満足できなかった。また、
前記特開昭60−145204号公報、特開昭61−71104 号公
報、特開昭62−196328号公報、特開平5−138207号公報
に記載の技術で、熱間仕上圧延の入り側で幅圧下を行う
場合には、熱間仕上圧延の出側で幅圧下を行う場合に比
べると耳割れ防止への効果は大きいが、未だ十分な耳割
れ防止ができるというレベルではない。
れた熱間粗圧延の最終圧下率を規制する方法、特開平3
−133501号公報に記載されたスラブ加熱後に幅圧下、水
平圧下を施す方法、特開平3−243244号公報に記載され
たスラブ鋳込み組織を制御する方法および特開昭61−38
37号公報に記載されたスラブ断面形状を特殊形状にする
方法等についても、それぞれ耳割れに対して多少の効果
はあるものの、かかる効果は粗圧延時に幅圧下する方法
に比べて小さく、粗圧延時の幅圧下方法に大きく左右さ
れるため、有効な方法とはいえなかった。
は、スラブを加熱したのち、熱間粗圧延段階で5 〜40%
の幅圧下を施し、耳割れを防止する方向性けい素鋼板の
製造方法が提案されている。確かに、特開昭60−200916
号公報に記載された技術によれば、熱延時には耳割れ深
さが20〜40mmという大きな耳割れは減少するが、10mm以
上といった比較的大きな耳割れは依然として残存してい
た。
の熱延時における耳割れ低減技術は、まだ完成された技
術とはなっていないうえ、最近では、磁気特性をさらに
向上させるため、粒界偏析型のインヒビタ−が増量され
るようになり、以前に比べ電磁鋼板は、耳割れが発生し
易く耳割れ最大深さも大きい材料となっている。このた
め、耳割れを著しく低減あるいは防止できる、方向性電
磁鋼板の熱間圧延技術の開発が熱望されている。
利に解決し、熱間圧延時に発生する耳割れをさらに効果
的に軽減して、方向性電磁鋼板を歩留り高く製造でき
る、方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法を提案することを
目的とする。
磁鋼スラブを熱間圧延し熱延板とするに当たり、被圧延
材の側面温度、γ相率と耳割れの関係を詳細に調べた。
その結果、被圧延材エッジ部のγ相率が熱延板の耳割れ
発生に大きく影響し、被圧延材エッジ部のγ相率を15%
以下として水平圧延を施すことにより、熱延板の耳割れ
発生を著しく低減できることを見いだした。
いて説明する。 (実験1)表1に示す組成の鋼A〜Dを溶製し、連続鋳
造法により厚さ220mm のスラブとした。ついで、これら
スラブを、ガス燃焼炉で1180℃に、更に誘導加熱炉で14
20℃に加熱した後、粗圧延により厚さ40mmのシートバー
とした。これらシートバーから厚さ40mm×幅150mm ×長
さ180mm の試片を切り出し素材とした。ついで、これら
素材を1420℃に加熱した後、熱間圧延を行い熱延板とし
た。
厚に、2パス目で8mm 厚に、3パス目で2.5mm 厚とし
た。なお、素材の加熱終了後から1パス目圧延開始まで
の時間を変更し、1パス目圧延直前の素材(被圧延材)
側面の温度を変更した。同様の方法で2パス目および3
パス目圧延直前の被圧延材側面の温度をそれぞれ1000℃
および900 ℃とした。圧延終了後、熱延板の耳割れ状況
を観察した。
圧延直前の被圧延材側面の温度との関係を図1に示す。
図1から、圧延前の被圧延材側面温度が1050℃〜1150
℃、とくに1100℃〜1150℃の範囲にある被圧延材を圧延
(水平圧下)すると、最大耳割れ深さが大きくなる、す
なわち耳割れ発生が著しくなることがわかる。このこと
から、耳割れ発生を低減するためには、被圧延材の側面
温度を1100℃以下あるいは1150℃以上、好ましくは1050
℃以下あるいは1150℃以上として、水平圧下を行うこと
が極めて有効であるという知見を得た。
り熱延板の耳割れが低減する理由を解明するため、1パ
ス目の圧延開始前の素材(被圧延材)の組織について実
験2で詳細に調査した。 (実験2)実験1で使用したシートバーから10mm角の立
方体(実験素材)を切り出した。これら実験素材を1420
℃に加熱した後、所定の温度まで空冷し、その後急冷し
組織観察用試片とした。これら試片の断面を鏡面化処理
し、ナイタール液で腐食して組織を観察した。その結
果、母相( α相) である白色部中に、急冷直前に生成し
ていた旧γ相を反映する黒色部が観察された。
材の温度との関係を図2に示す。ここで黒色部の面積率
とは、黒色部の面積を観察面積で割った値である。急冷
直前の実験素材の温度が1100〜1150℃の範囲で、黒色部
の面積率が15%を超える高い値を示している。図1と図
2とから、黒色部( 旧γ相) の面積率の温度依存性は、
耳割れ発生の温度依存性と一致することがわかる。
水平圧下を施すと耳割れが発生し易くなることを示して
おり、その理由は次のように考えられる。α相とγ相が
共存する状態で材料が変形されると、α相とγ相は硬さ
が異なるので、応力集中が生じ微小な亀裂が生成する。
この微小な亀裂の成長および合体によって耳割れが発生
する。また、この微小な亀裂はγ相率が高いほど顕著と
なる。したがって、γ相率が高い温度域で水平圧下をお
こなうと微小亀裂が増加し、その後の水平圧下により亀
裂の成長および合体が生じ易くなり、耳割れが多発する
と考えられる。
めには、被圧延材エッジ部のγ相率を15%以下として水
平圧下を行うことが極めて有効であり、このためには被
圧延材エッジ部の側面温度をエッジ部の局所冷却等によ
り1100℃以下あるいは1150℃以上に調整して水平圧下を
施すことが重要であることがわかった。この発明は、上
記した知見に基づき、さらに検討を加え完成されたもの
である。
を含有する方向性電磁鋼スラブを、加熱炉で加熱してか
ら熱間粗圧延を行い、引き続いて熱間仕上圧延を行い熱
延板とする方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法において、
前記熱間粗圧延および前記熱間仕上圧延を行うに際し、
被圧延材エッジ部のγ相率を15%以下として水平圧下を
行うことを特徴とする耳割れの少ない方向性電磁鋼熱延
鋼板の製造方法である。また、本発明では、前記熱間仕
上圧延における水平圧下前の被圧延材エッジ部のγ相率
を15%以下とするために、前記熱間粗圧延によりシート
バー厚さを50mm以下としても、熱間仕上圧延以前に被圧
延材エッジ部を局所冷却してもよく、またこれらを複合
して実施してもよい。
有する方向性電磁鋼スラブを、加熱炉で加熱してから熱
間粗圧延を行い、引き続いて熱間仕上圧延を行い熱延板
とする方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法において、前記
熱間粗圧延および前記熱間仕上圧延を行うに際し、被圧
延材の側面温度を1100℃以下または1150℃以上として水
平圧下を行うことを特徴とする耳割れの少ない方向性電
磁鋼熱延鋼板の製造方法であり、また、本発明では、前
記熱間仕上圧延を行うに際し、熱間仕上圧延以前に被圧
延材エッジ部を局所冷却するのが好ましく、また、本発
明では、前記熱間粗圧延によりシートバー厚さを50mm以
下として前記熱間仕上圧延を行うのが好ましい。また、
本発明では、前記熱間仕上圧延を行うに際し、前記熱間
粗圧延によりシートバー厚さを50mm以下とし、さらに前
記熱間仕上圧延以前に被圧延エッジ部を局所冷却するの
が好ましい。
有する方向性電磁鋼スラブを、加熱炉で加熱してから熱
間粗圧延を行い、引き続いて熱間仕上圧延を行い熱延板
とする方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法において、前記
熱間仕上圧延を行うに際し、熱間仕上げ圧延機入側での
被圧延材温度FETを1160℃以下とすることを特徴とす
る耳割れの少ない方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法であ
り、また、本発明では、前記熱間仕上圧延を行うに際
し、熱間仕上圧延以前にで被圧延材エッジ部を局所冷却
するのが好ましい。また、本発明では、前記熱間粗圧延
によりシートバー厚さを50mm以下として前記熱間仕上圧
延を行うのが好ましい。また、本発明では、前記熱間仕
上圧延を行うに際し、前記熱間粗圧延によりシートバー
厚さを50mm以下とし、さらに前記熱間仕上圧延以前に被
圧延材エッジ部を局所冷却するのが好ましい。
電磁鋼熱延鋼板の素材として用いる方向性電磁鋼スラブ
の組成について説明する。 Si:2.5 〜5.5 mass% Siは、鋼板の比抵抗を高め、鉄損を下げるのに有効な成
分であるが、5.5mass%を超える含有量では冷延性が損
なわれ、一方2.5mass %未満の含有量では比抵抗が低下
するだけでなく、二次再結晶および純化のために行われ
る最終仕上焼鈍中にα→γ変態によって結晶方位のラン
ダム化を生じ、十分な鉄損低減効果が得られない。この
ためSi含有量は2.5 〜5.5 mass%の範囲とした。
必要はないが、好ましい成分、および好ましい含有量の
範囲については下記のとおりである。 C:0.01〜0.10mass% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組成の均一分散化のみな
らず、ゴス方位結晶粒の発達に有効な成分であり、少な
くとも0.01mass%含有させるのが望ましい。しかし、0.
10mass%を超えて含有すると、脱炭が困難となり、かえ
ってゴス方位結晶粒の集積に乱れが生じる。このため、
Cは0.01〜0.10mass%の範囲とするのが望ましい。
%の含有を必要とするが、Mn含有量が多すぎると磁気特
性の劣化を引き起こすので、上限は0.12mass%とするの
が望ましい。インヒビターとしては、MnS 、MnSe系又は
AlN 系の単独使用又は併用が可能である。更にMnの代わ
りにCuを用いてもよい。この場合、Cuの適正量は0.02〜
0.50mass%である。Cu含有量が0.02mass%未満の場合に
は抑制効果に乏しく、逆に0.50mass%を超えた場合は抑
制効果が損なわれる。
種:0.005 〜0.06mass% S、Seは、いずれも方向性電磁鋼板の一次再結晶を制御
するインヒビターの構成成分として有力である。インヒ
ビターの抑制力の観点からは少なくとも0.005mass %の
含有を必要とするが、0.06mass%を超える含有ではその
効果が損なわれる。したがって、その下限、上限をそれ
ぞれ0.005mass %、0.06mass%とするのが好ましい。
0.10mass%、N:0.004 〜0.015mass % Al、Nはいずれも方向性電磁鋼板の一次再結晶を制御す
るインヒビターの構成成分として有力であり、その含有
量の範囲については、MnS 、MnSeにおけるS、Seの場合
と同様の理由により上記の範囲に定めた。
上記のS、Se、Alの他、Ni、Cu、Sn、Sb、Mo、Tiおよび
Bi等も有利に作用するので、これらの成分をそれぞれ少
量あわせて添加することもできる。これらの成分の好適
範囲は、Ni、Cu、Snが0.01〜0.30mass%、Sn、Mo、Ti、
Biが0.005 〜0.1mass %であり、これらの各インヒビタ
ー構成成分についても、一種又は二種以上の複合使用が
可能である。
スラブを、加熱炉で加熱してから熱間粗圧延を行い、引
き続いて熱間仕上圧延を行い熱延板とする。加熱温度
は、通常の方向性電磁鋼スラブの加熱温度で同じでよ
く、1300〜1420℃とするのが好ましい。熱間粗圧延、熱
間仕上圧延は、本発明に従う工程とする。すなわち、熱
間粗圧延、熱間仕上圧延に際し、被圧延材エッジ部のγ
相率(面積率)を15%以下として水平圧下を行う。被圧
延材エッジ部のγ相率が15%を超えると、熱延板に耳割
れが多発し、歩留りが低下する。なお、γ相率の値は、
急冷材の断面観察により求めるのが好ましいが、状態図
等から計算により求めてもよい。
るには、前記した図2に示すように被圧延材の側面温度
を1100℃以下または1150℃以上に調整するのがもっとも
効果的である。さらに、熱間仕上圧延に際し、被圧延材
の側面温度を1100℃以下とするには、熱間仕上圧延以前
に被圧延材エッジ部を局所冷却するのが好ましい。局所
冷却としては、水冷、ロール接触等が挙げられる。
るには、熱間仕上圧延機入側での被圧延材の先端幅中央
部の温度FETを1160℃以下に制御することにより行っ
てもよい。被圧延材の先端幅中央部の温度FETを1160
℃以下とすることにより、被圧延材のエッジ部を耳割れ
発生の少ないγ相率となる温度範囲に制御することが可
能となる。
以下、好ましくは50mm未満、より好ましくは35mm以下と
して熱間仕上圧延を行ってもよい。これにより、被圧延
材の側面温度が低下し易く、耳割れの発生が低減される
うえ、熱間仕上圧延での圧下量が少なく耳割れの成長が
少なく、最大耳割れ深さが減少する効果も有している。
なお、シートバー厚さの好ましい範囲は30〜35mmであ
る。
割れの発生による切り捨て量が少なく製品歩留りが顕著
に向上する。上記した方法で製造された熱延板は、通
常、その後に一回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間
圧延を施され、ついで脱炭焼鈍を施されたのち、表面に
焼鈍分離剤を塗布されてから最終仕上焼鈍を施され方向
性電磁鋼板とされる。
220mm )を連続鋳造法により各4本製造した。これらス
ラブを、加熱炉で加熱した後、粗圧延で厚さ50mmのシー
トバーとし、引き続いて、仕上圧延を行い2.2mm の熱延
板とした。この際、各シートバーを仕上圧延機入り側で
空冷し、仕上圧延機入側での被圧延材側面の温度を変化
させるとともに、各シートバーを仕上圧延入側で剪断
し、先端側は剪断直後に直ちに仕上圧延を行い熱延板と
しコイル状に巻き取った。
測定用の試材とした。こうして得られた試材を用い、断
面を鏡面化処理しナイタール液で腐食した後、断面観察
を行い、γ相率を求めた。断面観察位置は、板厚中心面
における側面から20mm離れた点を中心とする面積が10mm
2 の正方形領域とした。また、γ相率は、白色部の母相
(α相)中に認められる急冷直前に生成していた旧γ相
を反映する黒色部の面積を、観察面積で割った値とし
た。
割れ発生状況を観察し各熱延板コイルの耳割れ最大深さ
を求めた。各熱延板コイルの仕上圧延入側でのγ相率、
耳割れ最大深さの測定結果を表3に示す。
発明例では、耳割れ最大深さは5mm以下と耳割れが低減
している。これに比べ、γ相率が15%を超える状態で仕
上圧延を開始した比較例では、耳割れ最大深さが15mm以
上と耳割れが顕著となっている。 (実施例2)mass%で、C:0.05%、Si:3.25%、Mn:
0.07%、Cu:0.10%、Se:0.02%、Bi:0.02%を含み、
残部が主としてFeからなる組成のスラブ(厚さ220mm )
を連続鋳造法により4本製造した。これらスラブを、ガ
ス燃焼炉で1180℃、更に誘導加熱炉で1400℃に加熱した
後、粗圧延により厚さ45mmのシートバーとし、引き続い
て仕上げ圧延を行い2.6mm の熱延板とし、コイル状に巻
き取った。なお、仕上圧延に際し、各シートバーを仕上
圧延機入側で空冷させ、仕上圧延機入側での被圧延材側
面の温度を変化させた。
状況を観察し、各熱延板コイルの耳割れ最大深さを求め
た。その結果を表4に示す。なお、仕上圧延開始時の被
圧延材側面のγ相率は、被圧延材の側面温度から次のよ
うに推定した。各スラブから10mm角の立方体を切り出
し、試材とした。これら試材を実験炉で1420℃に加熱し
たのち空冷し、試材の温度が仕上圧延機入側での各被圧
延材の側面温度になったところで急冷した。このように
処理された試材の断面を鏡面化処理し、ナイタール液で
腐食し、急冷直前に生成していた旧γ相を反映する黒色
部の面積率を測定し、仕上圧延開始時の各被圧延材側面
のγ相率とした。なお、この黒色部の面積率は、白色部
の母相(α祖)中に認められる黒色部の面積を観察面積
で割った値である。
仕上圧延入側での側面の温度を1100℃以下、特に1050℃
以下として仕上圧延を行った本発明例では、耳割れ最大
深さが10mm、あるいは5mm 以下と耳割れが低減してい
る。本発明の範囲を外れる比較例では、耳割れ最大深さ
が25mmと耳割れが顕著となっている。 (実施例3)mass%で、C:0.08%、Si:3.20%、Mn:
0.07%、Cu:0.10%、Se:0.016 %を含み、残部が主と
してFeからなる組成のスラブ(厚さ220mm )を連続鋳造
法により5本製造した。これらスラブを、ガス燃焼炉で
1180℃、更に誘導加熱炉で加熱した後、粗圧延により厚
さ50mmのシートバーとし、引き続いて仕上げ圧延を行い
3.0mm の熱延板とし、コイル状に巻き取った。なお、誘
導加熱炉での加熱温度を制御することにより、粗圧延出
側におけるシートバー(被圧延材)側面温度を変化させ
た。また、仕上圧延に際し、各シートバーを仕上圧延機
入側で空冷させ、仕上圧延機入側での被圧延材側面の温
度を4本のシートバーでほぼ同じになるようにした。
況を観察し、各コイルの耳割れ最大深さを測定した。そ
の結果を表5に示す。なお、表5におけるγ相率は、実
施例2と同様に実験室的に求めた値である。各スラブか
ら切り出した10mm角の立方体の試材を1420℃に加熱した
後空冷し、試材の温度が各被圧延材の側面温度と同じに
なったところで急冷した。こうして得られた試材の断面
を鏡面化処理し、ナイタール液で腐食し、急冷直前に生
成していた旧γ相を反映する黒色部の面積率を測定し、
γ相率とした。
圧延出側のシートバー(被圧延材)側面温度が1150℃以
上となる粗圧延を行った本発明例は、耳割れ最大深さが
5mm以下と耳割れが低減している。それに対し、本発明
の範囲を外れる比較例では、耳割れ最大深さが20〜30mm
と耳割れが顕著となっている。 (実施例4)mass%で、C:0.05%、Si:3.25%、Mn:
0.07%、Al:0.020 %、N:0.0070%、Sb:0.04%を含
み、残部が主としてFeからなる組成のスラブ(厚さ220m
m )を4本製造し、ガス燃焼炉で1400℃に加熱した後、
粗圧延で40mm厚のシートバーとした。引き続いて、仕上
圧延を行い2.2mm 厚の熱延板とし、コイル状に巻き取っ
た。この際、仕上圧延前にシートバーエッジ部を局所加
熱することにより、仕上圧延機入側での被圧延材エッジ
部の温度を変化させた。
況を観察し各コイルの耳割れ最大深さを測定した。その
結果を表6に示す。なお、表6におけるγ相率は、実施
例2、実施例3と同様に、実験室的に求めた値である。
各スラブから10mm角の立方体に切り出した試材をラボで
1420℃に加熱し、その後空冷し、試材の温度が仕上圧延
機入側での各被圧延材の側面温度になったところで急冷
した。こうして得られた試材の断面を鏡面化処理し、ナ
イタール液で腐食し、急冷直前に生成していた旧γ相を
反映する黒色部の面積率を測定し、各被圧延材のγ相率
とした。
仕上圧延入側での側面の温度を1100℃以下、特に1050℃
以下として仕上圧延を行った本発明例では、耳割れ最大
深さが5mm、あるいは5mm 以下と耳割れが低減してい
る。本発明の範囲を外れる比較例では、耳割れ最大深さ
が25〜30mmと耳割れが顕著となっている。 (実施例5)mass%で、C::0.06%、Si:3.25%、M
n:0.07%、Cu:0.12%、Se:0.02%を含み、残部が主
としてFeからなる組成の溶鋼を連続鋳造法により厚さ22
0mm のスラブとした。このスラブを、ガス燃焼炉で1200
℃、更に誘導加熱炉で1400℃に加熱した後、粗圧延で、
厚さ45mmのシートバーとした。引き続いて仕上げ圧延を
行い厚さ2.2mm の熱延板とした。なお、シートバーエッ
ジ部を水冷することにより仕上圧延入側での被圧延材の
側面温度を局所的に変化させて、仕上圧延を行った。
況を観察し各コイルの耳割れ最大深さを測定した。その
結果を表7に示す。なお、表7におけるγ相率は、実施
例2〜実施例4と同様に、実験室的に求めた値である。
各スラブから10mm角の立方体に切り出した試材をラボで
1420℃に加熱し、その後空冷し、試材の温度が各被圧延
材の側面温度と同じになったところで急冷した。こうし
て得られた試材の断面を鏡面化処理し、ナイタール液で
腐食し、急冷直前に生成していた旧γ相を反映する黒色
部の面積率を測定し、各被圧延材のγ相率とした。
仕上圧延入側での側面の温度を1100℃以下、特に1050℃
以下として仕上圧延を行った本発明例では、耳割れ最大
深さが5mm 以下と耳割れが低減している。本発明の範囲
を外れる比較例では、耳割れ最大深さが25mmと耳割れが
顕著となっている。 (実施例6)mass%で、C:0.08%、Si:3.3 %、Mn:
0.07%、Cu:0.10%、Se:0.02%を含み、残部が主とし
てFeからなる組成の溶鋼を連続鋳造法により厚さ220mm
のスラブとした。これらスラブを、ガス燃焼炉で1200
℃、更に誘導加熱炉で1400℃に加熱した後、粗圧延で、
厚さ45mmのシートバーとし、引き続いて仕上げ圧延を行
い厚さ2.2mm の熱延板とし、コイル状に巻き取った。仕
上圧延にあたり、シートバーエッジ部をロールに接触さ
せることにより仕上圧延入側での被圧延材(シートバ
ー)の側面の温度を局所的に変化させた。
況を観察し各コイルの耳割れ最大深さを測定した。その
結果を表8に示す。なお、表8におけるγ相率は、実施
例2〜実施例5と同様に、実験室的に求めた値である。
仕上圧延入側での側面の温度を1100℃以下として仕上圧
延を行った本発明例では、耳割れ最大深さが5mm と耳割
れが低減している。本発明の範囲を外れる比較例では、
耳割れ最大深さが25〜30mmと耳割れが顕著となってい
る。 (実施例7)mass%で、C:0.08%、Si:3.3 %、Mn:
0.07%、Ni:0.25%、Se:0.02%を含み、残部が主とし
てFeからなる組成の溶鋼を連続鋳造法により厚さ220mm
のスラブとした。これらスラブを、ガス燃焼炉で1200
℃、更に誘導加熱炉で1400℃に加熱した後、粗圧延で、
厚さ30〜55mmのシートバーとし、引き続いて仕上げ圧延
を行い厚さ2.2mm の熱延板とし、コイル状に巻き取っ
た。
況を観察し各コイルの耳割れ最大深さを測定した。その
結果を表9に示す。なお、表9におけるγ相率は、実施
例2〜実施例6と同様に、実験室的に求めた値である。
部の温度FETを、側面のγ相率が15%以下となる温
度、すなわち1160℃以下として仕上圧延を行った本発明
例では、耳割れ最大深さが5mm と耳割れが低減してい
る。また、シートバー厚さが50mm以下、とくに35mm以下
の本発明例では耳割れが低減している。一方、本発明の
範囲を外れる比較例では、耳割れ最大深さが25mmと耳割
れが顕著となっている。
エッジ部に発生する耳割れを有効に低減できる。
の発明によれば、方向性電磁鋼板を製造するに際して、
特に熱間圧延工程での熱延板の幅方向端部(エッジ部)
に発生する耳割れを効果的に低減することが可能とな
り、これにより耳割れに起因する端部切り捨て量を低減
でき、製品歩留りを飛躍的に向上させることができると
いう産業上格段の効果を奏する。
延材側面温度の影響を示すグラフである。
の影響を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 Si:2.5〜5.5 mass%を含有する方向性電
磁鋼スラブを、加熱炉で加熱してから熱間粗圧延を行
い、引き続いて熱間仕上圧延を行い熱延板とする方向性
電磁鋼熱延鋼板の製造方法において、前記熱間粗圧延お
よび前記熱間仕上圧延を行うに際し、被圧延材エッジ部
のγ相率を15%以下として水平圧下を行うことを特徴と
する耳割れの少ない方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 Si:2.5〜5.5 mass%を含有する方向性電
磁鋼スラブを、加熱炉で加熱してから熱間粗圧延を行
い、引き続いて熱間仕上圧延を行い熱延板とする方向性
電磁鋼熱延鋼板の製造方法において、前記熱間粗圧延お
よび前記熱間仕上圧延を行うに際し、被圧延材の側面温
度を1100℃以下または1150℃以上として水平圧下を行う
ことを特徴とする耳割れの少ない方向性電磁鋼熱延鋼板
の製造方法。 - 【請求項3】 Si:2.5〜5.5 mass%を含有する方向性電
磁鋼スラブを、加熱炉で加熱してから熱間粗圧延を行
い、引き続いて熱間仕上圧延を行い熱延板とする方向性
電磁鋼熱延鋼板の製造方法において、前記熱間仕上圧延
を行うに際し、熱間仕上げ圧延機入側での被圧延材温度
FETを1160℃以下とすることを特徴とする耳割れの少
ない方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 前記熱間仕上圧延を行うに際し、熱間仕
上圧延以前に被圧延材エッジ部を局所冷却することを特
徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耳割れの
少ない方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 前記熱間仕上圧延を行うに際し、シート
バー厚さを50mm以下とすることを特徴とする請求項1な
いし4のいずれかに記載の耳割れの少ない方向性電磁鋼
熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05807999A JP4239276B2 (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法 |
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JP05807999A JP4239276B2 (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 方向性電磁鋼熱延鋼板の製造方法 |
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JP2000256742A true JP2000256742A (ja) | 2000-09-19 |
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JP (1) | JP4239276B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117718341A (zh) * | 2024-02-08 | 2024-03-19 | 包头威丰新材料有限公司 | 一种高磁感取向硅钢及改善其热轧边裂缺陷的工艺 |
-
1999
- 1999-03-05 JP JP05807999A patent/JP4239276B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN117718341A (zh) * | 2024-02-08 | 2024-03-19 | 包头威丰新材料有限公司 | 一种高磁感取向硅钢及改善其热轧边裂缺陷的工艺 |
CN117718341B (zh) * | 2024-02-08 | 2024-04-16 | 包头威丰新材料有限公司 | 一种高磁感取向硅钢及改善其热轧边裂缺陷的工艺 |
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JP4239276B2 (ja) | 2009-03-18 |
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