JP2000256444A - ケイ素含有重合体およびその製造方法 - Google Patents

ケイ素含有重合体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000256444A
JP2000256444A JP6108099A JP6108099A JP2000256444A JP 2000256444 A JP2000256444 A JP 2000256444A JP 6108099 A JP6108099 A JP 6108099A JP 6108099 A JP6108099 A JP 6108099A JP 2000256444 A JP2000256444 A JP 2000256444A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
pph
compound
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6108099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3575316B2 (ja
Inventor
Yasuo Wakatsuki
康雄 若槻
Takaya Mise
孝也 三瀬
Takeshi Umemiya
毅 梅宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority to JP6108099A priority Critical patent/JP3575316B2/ja
Publication of JP2000256444A publication Critical patent/JP2000256444A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3575316B2 publication Critical patent/JP3575316B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】≡Si−CH=CH−で表される構造部分を繰
り返して有する珪素含有高分子化合物を高収率で製造す
る方法を提供すること。 【解決手段】Ru−H結合またはRu−Si結合を有す
るか、反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合を
形成するルテニウム含有化合物の存在下で、下記一般
式: 【化1】 (上式において、Rはアリール基、ヘテロアリール基ま
たはシクロアルキル基、R1〜R4は水素原子またはアル
キル基、aおよびcは0以上の整数、bは0または1で
ある)で表される構造を有する1種または2種以上の単
量体を重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルテニウム触媒の
存在下で末端にビニルシリル基を有する単量体を重合さ
せることによってケイ素含有重合体を製造する方法に関
する。また、本発明は、該反応で生成するケイ素含有重
合体、特にトランス二重結合を有するケイ素含有重合体
に関する。
【0002】
【従来の技術】今日では、様々な機能を有する高分子が
出回っており、多種多様な工業製品に利用されている。
最近では、そのような工業製品に利用される高分子が廃
棄物となったときに環境を汚染したり、生体に悪影響を
及ぼすことが社会的な問題としてクローズアップされて
いる。このため、環境汚染を招かず、かつ生体に対する
影響が小さい高分子を提供することが求められている。
そのようなニーズに応える高分子として、ケイ素を含有
する高分子が期待されている。主として炭素、水素およ
びケイ素から構成される高分子は、燃やしても環境汚染
を招くことがないうえ、生体に対する影響も小さい。そ
のうえ、耐熱性材料や熱可塑性樹脂としての有用性が注
目されている。このため、特定の繰り返し単位を有する
ケイ素含有高分子を効率よく製造する方法を開発するこ
とが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来からの
要求を考慮して、本発明は、ケイ素含有高分子化合物を
高収率で製造する方法を提供することを解決すべき課題
とした。特に、高分子中に≡Si−CH=CH−で表さ
れる構造部分を繰り返して有するケイ素含有高分子化合
物を高収率で製造する方法を提供することを解決すべき
課題とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、特定のル
テニウム含有化合物の存在下で少なくとも1つのビニル
シリル基末端を有する重合性単量体を重合させることに
よって、ケイ素含有重合体を高収率で得ることができる
ことを見出し、本発明を提供するに至った。
【0005】すなわち、本発明の第1の側面によると、
Ru−H結合またはRu−Si結合を有するか、反応系
中でRu−H結合またはRu−Si結合を形成するルテ
ニウム含有化合物の存在下で、下記一般式:
【化5】 (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよ
いアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル
基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子または非
反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、a
およびcはそれぞれ独立に0以上の整数であり、bは0
または1である)で表される構造を有する1種または2
種以上の単量体(ただし、少なくとも1種の単量体はa
およびcの少なくとも一方が1以上の整数である)を重
合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法
が提供される。
【0006】好ましい実施態様として、一般式(1)の
aおよびcがそれぞれ独立に1以上の整数である化合物
を含む単量体を、上記ルテニウム含有化合物の存在下で
重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方
法が提供される。また、別の好ましい実施態様として、
一般式(1)の2つのビニル基同士が反応し得ない構造
を有する化合物を含む単量体を、上記ルテニウム含有化
合物の存在下で重合させることを特徴とするケイ素含有
重合体の製造方法が提供される。さらに別の好ましい実
施態様として、一般式(1)のaが0であって、aまた
はcのいずれか一方が1以上の整数である化合物を含む
単量体を、上記ルテニウム含有化合物の存在下で重合さ
せることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法が提
供される。
【0007】本発明の第2の側面によると、上記製造方
法によって製造された重合体が提供される。好ましい実
施態様として、一般式(2):
【化6】 (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよ
いアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル
基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子または非
反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、a
およびcはそれぞれ独立に0以上の整数であるが少なく
とも1つの繰り返し単位ではaおよびcの少なくとも一
方が1以上の整数であり、bは0または1であり、nは
3〜1000の整数である)で表される構造を有する重
合体が提供される。一般式(2)における二重結合はト
ランス構造であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下において、本発明を具体的に
説明する。本発明の第1の側面により提供される製造方
法では、Ru−H結合またはRu−Si結合を有する
か、反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合を形
成するルテニウム含有化合物の存在下で重合反応を行
う。このようなルテニウム含有化合物の存在下で上記一
般式(1)で表される1種または2種以上の単量体を重
合させることによって、ケイ素含有重合体を効率よく製
造することができる。
【0009】本発明で使用しうるルテニウム含有化合物
は、Ru−H結合またはRu−Si結合の少なくとも一
方を分子中に有する化合物と、これらの結合を分子中に
有しなくても、一般式(1)の単量体を重合させる反応
系中でRu−H結合またはRu−Si結合の少なくとも
一方を形成する化合物である。
【0010】後者の例として、分解等によって活性金属
を生成し、反応系中の基質または溶媒から水素原子を引
き抜いてRu−H結合を形成する化合物を挙げることが
できる。また、Ru/C、Ru/SiO2、Ru/Al2
3等の粉末を担体に付着させた化合物も、反応系中で
水素やシラン類と接触させれば表面にRu−H結合やR
u−Si結合を形成しうるため使用することができる。
さらに、Grubbsの錯体として知られるルテニウム
含有化合物も、反応系の温度をコントロールすることに
よってRu−HないしRu−Siが形成しうると考えら
れるため、そのような条件下において使用することがで
きる。
【0011】いかなる理論にも拘泥するものではない
が、本発明の重合反応ではこのようなRu−HないしR
u−Si結合を有するRu含有化合物が触媒活性種また
はその前駆体として作用するものと考えられる。したが
って、本発明の重合反応は従来から知られているα,ω
−ジエンの閉環メタセシスとは異なる機構で進行する反
応である。
【0012】本発明の重合反応に有効に使用することが
できるルテニウム含有化合物として、以下の一般式で表
される化合物を例示することができる。
【化7】RuX(CO)(PR1 32(SiR2 3) RuX(CO)H(PR1 33 RuX(CO)H(PR1 32 RuX(CO)2(PR1 32 Ru(CO)H(OCOR3)(PR1 32 および RuH(OCOR3)(PR1 32
【0013】上式において、Xは、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子または沃素原子である。R1はアルキル
基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アル
キレン基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であ
る。R2はアルキル基、アリル基、アリール基、アルキ
ルアリール基またはアルキレン基である。R3は水素原
子、アルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリ
ール基またはアルキレン基である。なお、分子中の複数
のR1およびR2は互いに同一であっても異なっていても
よい。また、(PR1 32が(R1 2P−PR1 2)に置換
している化合物も使用できる。
【0014】好ましいルテニウム含有化合物として、以
下の構造を有する化合物を例示することができる。
【化8】RuCl(CO)(PPh32(SiMe
24) RuCl(CO)H(PPh33 RuCl(CO)H(PPh32(PMe3) RuCl(CO)H(PiPr32 RuCl(CO)2H(PPh32 Ru(CO)H(OCOCH3)(PPh32 RuH(OCOH)(PPh33 Ru(CO)H(PPh33 RuCl(CO)H(Ph2PCH2CH2PPh2)(P
Ph3) および RuCl(CO)H(Ph2PCH2PPh2)(PP
3) 上式において、Phはフェニル基であり、Meはメチル
基であり、iPrはイソプロピル基であり、R4はメチル
基またはエトキシ基である。
【0015】これらのルテニウム含有化合物は、それぞ
れの特性に応じて適宜使い分けることが好ましい。例え
ば、ルテニウム含有化合物としてRuHCl(CO)
(PPh33を使用して反応を行えば、反応後に得られ
る反応混合物から目的生成物を分離しやすいという利点
がある。一方、RuHCl(CO)(PiPr32は活
性が高いため、迅速に重合反応が進行する利点がある。
本発明の重合反応では、上記のルテニウム含有化合物を
単独または組み合わせて使用することができる。また、
本発明で使用するルテニウム含有化合物は、いずれの製
法によって調製したものであってもよい。
【0016】本発明の反応によって重合させる単量体
は、上記一般式(1)で表される構造を有するものであ
れば、その構造の詳細や性質は特に制限されない。一般
式(1)において、Rは非反応性基で置換されていても
よいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキ
ル基である。Rが採り得るアリール基、ヘテロアリール
基およびシクロアルキル基の炭素数は、一般に4〜5
0、好ましくは5〜25である。Rが採り得るアリール
基の具体例としては、1,3−フェニレン基、1,4−
フェニレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチ
レン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン
基、1,7−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、
2,7−ナフチレン基を例示することができる。Rが採
り得るヘテロアリール基としては、Rが採り得るアリー
ル基の具体例として挙げた基の骨格の炭素原子の一部が
ヘテロ原子で置換されたヘテロ芳香環を例示することが
できる。Rが採り得るシクロアルキル基としては、Rが
採り得るアリール基の具体例として挙げた基の二重結合
に水素を付加した構造を例示することができる。
【0017】これらのアリール基、ヘテロアリール基お
よびシクロアルキル基の1以上の水素原子は非反応性基
で置換されていてもよい。本明細書において「非反応性
基」とは、本発明の重合反応条件下で反応しない置換基
および本発明の重合反応を過度に阻害しない置換基を意
味する。そのような非反応性基として、アルキル基、ア
リール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基などを例示
することができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0018】一般式(1)において、R1〜R4はそれぞ
れ独立に水素原子またはアルキル基を表す。R1〜R4
採り得るアルキル基の炭素数は一般に1〜10、好まし
くは1〜6、より好ましくは1〜3である。アルキル基
の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基およびイソブチル基を挙げるこ
とができる。R1〜R4が採り得るアルキル基の1以上の
水素原子は、非反応性基で置換されていてもよい。
【0019】一般式(1)において、aおよびcは0以
上の整数であり、bは0または1である。R、R1
4、a、b、cの組み合わせは特に制限されないが、
単量体の少なくとも1種はaまたはcのいずれか一方が
1以上の整数でなければならない。
【0020】本発明の製造方法に使用する単量体は、1
種のみであってもよいし、2種以上を混合したものであ
ってもよい。本発明の製造方法によって重合させる単量
体は、該単量体内の2つの末端ビニル基同士が反応し得
ない構造を有するものであるのが好ましい。ここでいう
「反応し得ない」とは、2つの末端ビニル基が互いに構
造的に離れているために反応し得ない場合と、構造的に
は反応し得る位置に存在していても生成物が不安定であ
るなどの理由により本発明の反応系において事実上反応
し得ない場合を含む。前者の典型例として、(4−ビニ
ルフェニル)ジメチルビニルシランを挙げることができ
る。
【0021】本発明の重合反応では、一般式(1)で表
される化合物を1種だけ単独重合させてもよいし、2種
以上を共重合させてもよい。したがって、例えばa、
b、cがいずれも1である単量体、aおよびbが1であ
ってcが0である単量体、aおよびcが1以上の整数で
あってbが0である単量体などを、それぞれ単独で重合
させてもよいし、混合して共重合させてもよい。また、
aとcが0である単量体をこれらの単量体と混合して共
重合させてもよい。これらの単量体の選択は、合成する
重合体に要求される機能や用途に応じて適宜選択する。
特定の機能を有する構造的に制御された重合体を製造し
たい場合は、1種類の単量体を重合させるのが好まし
い。
【0022】本発明の製造方法におけるルテニウム含有
化合物の使用量は、一般式(1)の単量体100モルに
対して通常は0.01〜10モルの範囲内にする。好ま
しい使用量は、一般式(1)の単量体100モルに対し
て、0.1〜5モルの範囲内である。重合反応の反応温
度は、通常60〜250℃に設定し、好ましくは100
〜180℃に設定する。反応時間は反応条件によって異
なるが、通常は1〜48時間とする。
【0023】反応時に使用する溶媒は不活性溶媒の中か
ら適宜選択する。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、メシチレン、ジュレン、テトラヒドロフラン、ジメ
トキシエタン、ジオキサンを挙げることができる。反応
生成物の精製は、当業者に公知の手段を用いることによ
って行う。本発明の製造方法の具体的条件については、
後述する実施例を参考にして適宜決定することができ
る。
【0024】本発明の第2の側面により提供される重合
体は、本発明の製造方法によって製造することができる
重合体である。本発明の重合体は、分子中に≡Si−C
H=CH−で表される構造部分を繰り返して有するケイ
素含有重合体である。
【0025】本発明の方法によって製造される典型的な
重合体は、上記一般式(2)で表される構造を有する。
一般式(2)におけるR、R1〜R4、a、b、cの定義
と具体例は、上記一般式(1)の説明と同じである。本
発明の方法によって得られる一般式(2)の重合体の
R、R1〜R4、a、b、cは、重合反応させた一般式
(1)の単量体のR、R1〜R4、a、b、cと同じにな
る。ただし、2種以上の単量体を共重合させた場合は、
2種以上のR、R1〜R4、a、b、cの組み合わせが重
合体の中に存在する。一般式(2)において、nは3〜
1000の整数である。nの選択は重合体に要求される
機能と使用目的に応じて適宜決定される。
【0026】本発明の方法にしたがって、一般式(1)
のaが1以上の整数、bが1、cが0であるα−ビニル
シリル−ω−ビニル単量体を重合させると、一般にα位
のビニルシリル基のビニル基と別の単量体のω位のビニ
ル基が反応し、α位のビニルシリル基同士あるいはω位
のビニル基同士は反応しない。このため、規則正しい繰
り返し単位を有する一般式(2)の重合体(a=1以上
の整数、b=1、c=0)が得られる。この傾向は、単
量体のビニルシリル基のケイ素原子に結合する基(R1
およびR2)が大きいほど顕著である。いかなる理論に
も拘泥するものではないが、このような選択的重合が起
こるのは、重合反応の第一段階として形成されるRu−
Si結合を有する中間体に対して、立体障害が大きなα
位のビニルシリル基よりも、立体障害が比較的小さなω
位のビニル基の方が挿入反応を起こしやすいためである
と考えられる。
【0027】本発明の方法によって製造される重合体中
に含まれる二重結合は、一般にトランス構造をとるもの
がシス構造をとるものよりも多い。この傾向は、単量体
のビニルシリル基のケイ素原子に結合する基(R1
4)が大きいほど顕著である。また、この傾向は、特
に一般式(1)のaとcが1以上の整数であるα,ω−
ビス(ビニルシリル)単量体を重合させたときに顕著で
ある。いかなる理論にも拘泥するものではないが、この
ような傾向は、比較的かさ高い基が互いに反発しあう結
果、選択的にトランス構造をとるように重合して行くた
めであると考えられる。本発明の好ましい重合体は、上
記一般式(2)中の二重結合がトランス構造である重合
体である。
【0028】本発明の重合体は、Rがアリール基または
ヘテロアリール基を含むものであれば一般に固体であ
り、Rがアリール基またはヘテロアリール基を含まない
ものであれば一般にオイル状である。本発明の重合体
は、熱可塑性樹脂として利用することが可能であり、ま
た、分子量がある程度大きくて固体状であれば耐熱性ポ
リマーとして利用することも可能である。さらに本発明
の重合体は、燃やしても有害物質が発生せず、環境破壊
を招くおそれが小さいという利点を有する。また生体に
対する影響も小さい。したがって、本発明の重合体の産
業上の利用価値は高いものと期待される。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。
【0030】(実施例1)
【化9】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPh33
8.9mg(0.020mmol)、(4−ビニルフェ
ニル)ジメチルビニルシラン0.39g(2.1mmo
l)およびトルエン5mlを入れ、110℃で5時間、
加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加え、得られ
た白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後に乾燥するこ
とにより重合体0.18gを得た。GPC分析による重
量平均分子量Mw=2,676、Mw/Mn=1.2
6)。1H NMR分析の結果、分子内の二重結合はほ
とんどがトランス構造を有することが確認された。
【0031】(実施例2)
【化10】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PiPr32
9.7mg(0.041mmol)、(4−ビニルフェ
ニル)ジメチルビニルシラン0.29g(1.5mmo
l)およびトルエン1.5mlを入れ、110℃で5時
間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加え、得
られた白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後に乾燥す
ることにより重合体0.26gを得た。GPC分析によ
る重量平均分子量Mw=4,077、Mw/Mn=1.
58)。
【0032】(実施例3)
【化11】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPh3319.
7mg(0.021mmol)、(3−ビニルフェニ
ル)ジメチルビニルシラン0.24g(1.3mmo
l)およびトルエン5mlを入れ、110℃で10時
間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加えて攪
拌し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体
0.06gを得た。GPC分析による重量平均分子量M
w=3,470、Mw/Mn=1.26)。
【0033】(実施例4)
【化12】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PiPr3238
mg(0.078mmol)、1,4−ビス(ジメチル
ビニルシリル)ベンゼン0.45g(1.8mmol)
およびトルエン1.5mlを入れ、110℃で5時間、
加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加え、得られ
た白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後に乾燥するこ
とにより重合体0.39gを得た。GPC分析による重
量平均分子量Mw=12,465、Mw/Mn=1.6
9)。1H NMR分析の結果、分子内の二重結合のシ
ス/トランス比は1/99であることが確認された。
【0034】(実施例5)
【化13】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PiPr32
0.4mg(0.042mmol)、1,3−ビス(ジ
メチルビニルシリル)ベンゼン0.29g(1.2mm
ol)およびトルエン1.5mlを入れ、110℃で5
時間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加えて
攪拌し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合
体0.19gを得た。GPC分析による重量平均分子量
Mw=5,440、Mw/Mn=1.46)。
【0035】(実施例6)
【化14】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PiPr32
2.3mg(0.025mmol)、1,3−ジビニル
ヘキサメチルトリシラン0.90g(3.9mmol)
およびキシレン2mlを入れ、138℃で18時間、加
熱還流攪拌した。反応混合物にメタノール40mlを加
え、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体
0.36gを得た。GPC分析による重量平均分子量M
w=2,265、Mw/Mn=1.60)。
【0036】(実施例7)
【化15】 還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、ア
ルゴン気流下でRuHCl(CO)(PiPr32
2.2mg(0.025mmol)、1,4−ジビニル
オクタメチルテトラシラン0.84g(2.9mmo
l)およびキシレン2mlを入れ、138℃で24時
間、加熱還流攪拌した。反応混合物にメタノール40m
lを加えて攪拌し、メタノールで洗浄後に乾燥すること
により重合体0.07gを得た。GPC分析による重量
平均分子量Mw=2,708、Mw/Mn=1.2
3)。
【0037】
【発明の効果】本発明の製造方法を用いれば、≡Si−
CH=CH−で表される構造部分を繰り返して有するケ
イ素含有環状化合物を効率よく製造することができる。
生成物であるケイ素含有環状化合物は、熱可塑性樹脂や
耐熱性材料として利用し得るうえ、環境汚染のおそれが
低く生体に対する影響も小さいという利点を有する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ru−H結合またはRu−Si結合を有す
    るか、反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合を
    形成するルテニウム含有化合物の存在下で、下記一般
    式: 【化1】 (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよ
    いアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル
    基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子または非
    反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、a
    およびcはそれぞれ独立に0以上の整数であり、bは0
    または1である)で表される構造を有する1種または2
    種以上の単量体(ただし、少なくとも1種の単量体はa
    およびcの少なくとも一方が1以上の整数である)を重
    合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記ルテニウム含有化合物が、下記一般
    式: 【化2】RuX(CO)(PR1 32(SiR2 3) RuX(CO)H(PR1 33 RuX(CO)H(PR1 32 RuX(CO)2(PR1 32 Ru(CO)H(OCOR3)(PR1 32 および RuH(OCOR3)(PR1 32 (上式において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原
    子または沃素原子であり、R1はアルキル基、アリル
    基、アリール基、アルキルアリール基、アルキレン基、
    アルコキシ基またはアリールオキシ基であり、R2はア
    ルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基
    またはアルキレン基であり、R3は水素原子、アルキル
    基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基または
    アルキレン基であり、分子中の複数のR1およびR2は互
    いに同一であっても異なっていてもよく、(PR1 32
    は(R1 2P−PR1 2)に置換しうる)で表される構造を
    有する化合物群から選択されることを特徴とする請求項
    1の製造方法。
  3. 【請求項3】前記ルテニウム含有化合物が、下記一般
    式: 【化3】RuCl(CO)(PPh32(SiMe
    24) RuCl(CO)H(PPh33 RuCl(CO)H(PPh32(PMe3) RuCl(CO)H(PiPr32 RuCl(CO)2H(PPh32 Ru(CO)H(OCOCH3)(PPh32 RuH(OCOH)(PPh33 Ru(CO)H(PPh33 RuCl(CO)H(Ph2PCH2CH2PPh2)(P
    Ph3) および RuCl(CO)H(Ph2PCH2PPh2)(PP
    3) (上式において、Phはフェニル基であり、Meはメチ
    ル基であり、iPrはイソプロピル基であり、R4はメチ
    ル基またはエトキシ基である)で表される化合物群から
    選択されることを特徴とする請求項1または2の製造方
    法。
  4. 【請求項4】単量体として、一般式(1)のaおよびc
    がそれぞれ独立に1以上の整数である化合物を含む請求
    項1〜3のいずれかの製造方法。
  5. 【請求項5】重合させる単量体として、一般式(1)の
    2つのビニル基同士が反応し得ない構造を有する化合物
    を含む請求項1〜4のいずれかの製造方法。
  6. 【請求項6】重合させる単量体として、一般式(1)の
    bが0であって、aまたはcのいずれか一方が1以上の
    整数である化合物を含む請求項1〜5のいずれかの製造
    方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかの製造方法によっ
    て製造される重合体。
  8. 【請求項8】一般式(2): 【化4】 (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよ
    いアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル
    基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子または非
    反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、a
    およびcはそれぞれ独立に0以上の整数であるが少なく
    とも1つの繰り返し単位ではaおよびcの少なくとも一
    方が1以上の整数であり、bは0または1であり、nは
    3〜1000の整数である)で表される構造を有する重
    合体。
  9. 【請求項9】一般式(2)における二重結合がトランス
    構造である請求項8の重合体。
JP6108099A 1999-03-09 1999-03-09 ケイ素含有重合体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3575316B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6108099A JP3575316B2 (ja) 1999-03-09 1999-03-09 ケイ素含有重合体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6108099A JP3575316B2 (ja) 1999-03-09 1999-03-09 ケイ素含有重合体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000256444A true JP2000256444A (ja) 2000-09-19
JP3575316B2 JP3575316B2 (ja) 2004-10-13

Family

ID=13160795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6108099A Expired - Fee Related JP3575316B2 (ja) 1999-03-09 1999-03-09 ケイ素含有重合体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3575316B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3575316B2 (ja) 2004-10-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4719273A (en) Method for forming new preceramic polymers containing silicon
JP4410422B2 (ja) イミダゾリジンに基づく金属カルベンメタセシス触媒
JP3159707B2 (ja) オレフィンメタセシス触媒及び共触媒を含有する重合性組成物及びその使用方法
EP1313559B2 (en) Recyclable metathesis catalysts
US5252766A (en) Method for producing polysilanes
AU2001284773A1 (en) Recyclable metathesis catalysts
JP3793461B2 (ja) シルアルキレンシロキサンの重合方法
JPH0717753B2 (ja) ポリシラン類の製造方法
US5229481A (en) High-molecular weight, silicon-containing polymers and methods for the preparation and use thereof
JP3560992B2 (ja) フラーレン誘導体およびその製造方法
JP3575316B2 (ja) ケイ素含有重合体およびその製造方法
US5489662A (en) Process for the preparation of organosilicon polymer
JPH06145361A (ja) エチニルヒドリドシランからのポリ(シリレン)ビニレン
US5808126A (en) Synthesis of functional silyl terminated branched polyalkenylenes and polyolefins
US6888018B2 (en) Organometallic compound having high metathesis activity and method for preparation thereof, methathesis reaction catalyst comprising the compound, method of polymerization using the catalyst, and polymer produced by the method of polymerization
US5047569A (en) Method of producing polysilane compounds
JPH06128381A (ja) 高分子量ポリシランの製造法
US5003100A (en) Method of producing polysilane compounds
JP5152783B2 (ja) Si−Si結合を有する高分子化合物の製造方法
JP2952355B1 (ja) ポリシラン化合物の製造方法
JPH05214107A (ja) 高分子量ポリシランの製造法
JP3225414B2 (ja) ジフェニルアセチレン系ポリマーの製造法
US5089646A (en) Bicyclic polysilicon compounds
JP2721860B2 (ja) ポリシラン化合物の製造方法
WO2015115938A1 (ru) Рутениевый катализатор метатезисной полимеризации дициклопентадиена в форме катионного комплекса и способ его получения

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031201

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040616

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20040628

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees