JP3575316B2 - ケイ素含有重合体およびその製造方法 - Google Patents

ケイ素含有重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルテニウム触媒の存在下で末端にビニルシリル基を有する単量体を重合させることによってケイ素含有重合体を製造する方法に関する。また、本発明は、該反応で生成するケイ素含有重合体、特にトランス二重結合を有するケイ素含有重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日では、様々な機能を有する高分子が出回っており、多種多様な工業製品に利用されている。最近では、そのような工業製品に利用される高分子が廃棄物となったときに環境を汚染したり、生体に悪影響を及ぼすことが社会的な問題としてクローズアップされている。このため、環境汚染を招かず、かつ生体に対する影響が小さい高分子を提供することが求められている。
そのようなニーズに応える高分子として、ケイ素を含有する高分子が期待されている。主として炭素、水素およびケイ素から構成される高分子は、燃やしても環境汚染を招くことがないうえ、生体に対する影響も小さい。そのうえ、耐熱性材料や熱可塑性樹脂としての有用性が注目されている。このため、特定の繰り返し単位を有するケイ素含有高分子を効率よく製造する方法を開発することが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来からの要求を考慮して、本発明は、ケイ素含有高分子化合物を高収率で製造する方法を提供することを解決すべき課題とした。特に、高分子中に≡Si−CH=CH−で表される構造部分を繰り返して有するケイ素含有高分子化合物を高収率で製造する方法を提供することを解決すべき課題とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、特定のルテニウム含有化合物の存在下で少なくとも1つのビニルシリル基末端を有する重合性単量体を重合させることによって、ケイ素含有重合体を高収率で得ることができることを見出し、本発明を提供するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の第1の側面によると、Ru−H結合またはRu−Si結合を有するか、反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合を形成するルテニウム含有化合物の存在下で、下記一般式:
【化5】
Figure 0003575316
(上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または非反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、aおよびcはそれぞれ独立に0以上の整数であり、bは0または1である)で表される構造を有する1種または2種以上の単量体(ただし、少なくとも1種の単量体はaおよびcの少なくとも一方が1以上の整数である)を重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法が提供される。
【0006】
好ましい実施態様として、一般式(1)のaおよびcがそれぞれ独立に1以上の整数である化合物を含む単量体を、上記ルテニウム含有化合物の存在下で重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法が提供される。また、別の好ましい実施態様として、一般式(1)の2つのビニル基同士が反応し得ない構造を有する化合物を含む単量体を、上記ルテニウム含有化合物の存在下で重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法が提供される。さらに別の好ましい実施態様として、一般式(1)のaが0であって、aまたはcのいずれか一方が1以上の整数である化合物を含む単量体を、上記ルテニウム含有化合物の存在下で重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の第2の側面によると、上記製造方法によって製造された重合体が提供される。
好ましい実施態様として、一般式(2):
【化6】
Figure 0003575316
(上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または非反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、aおよびcはそれぞれ独立に0以上の整数であるが少なくとも1つの繰り返し単位ではaおよびcの少なくとも一方が1以上の整数であり、bは0または1であり、nは3〜1000の整数である)で表される構造を有する重合体が提供される。一般式(2)における二重結合はトランス構造であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明を具体的に説明する。
本発明の第1の側面により提供される製造方法では、Ru−H結合またはRu−Si結合を有するか、反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合を形成するルテニウム含有化合物の存在下で重合反応を行う。このようなルテニウム含有化合物の存在下で上記一般式(1)で表される1種または2種以上の単量体を重合させることによって、ケイ素含有重合体を効率よく製造することができる。
【0009】
本発明で使用しうるルテニウム含有化合物は、Ru−H結合またはRu−Si結合の少なくとも一方を分子中に有する化合物と、これらの結合を分子中に有しなくても、一般式(1)の単量体を重合させる反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合の少なくとも一方を形成する化合物である。
【0010】
後者の例として、分解等によって活性金属を生成し、反応系中の基質または溶媒から水素原子を引き抜いてRu−H結合を形成する化合物を挙げることができる。また、Ru/C、Ru/SiO、Ru/Al等の粉末を担体に付着させた化合物も、反応系中で水素やシラン類と接触させれば表面にRu−H結合やRu−Si結合を形成しうるため使用することができる。さらに、Grubbsの錯体として知られるルテニウム含有化合物も、反応系の温度をコントロールすることによってRu−HないしRu−Siが形成しうると考えられるため、そのような条件下において使用することができる。
【0011】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、本発明の重合反応ではこのようなRu−HないしRu−Si結合を有するRu含有化合物が触媒活性種またはその前駆体として作用するものと考えられる。したがって、本発明の重合反応は従来から知られているα,ω−ジエンの閉環メタセシスとは異なる機構で進行する反応である。
【0012】
本発明の重合反応に有効に使用することができるルテニウム含有化合物として、以下の一般式で表される化合物を例示することができる。
【化7】
RuX(CO)(PR (SiR
RuX(CO)H(PR
RuX(CO)H(PR
RuX(CO)(PR
Ru(CO)H(OCOR)(PR および
RuH(OCOR)(PR
【0013】
上式において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子である。Rはアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アルキレン基、アルコキシ基またはアリールオキシ基である。Rはアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基またはアルキレン基である。Rは水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基またはアルキレン基である。なお、分子中の複数のRおよびRは互いに同一であっても異なっていてもよい。また、(PR が(R P−PR )に置換している化合物も使用できる。
【0014】
好ましいルテニウム含有化合物として、以下の構造を有する化合物を例示することができる。
【化8】
RuCl(CO)(PPh(SiMe
RuCl(CO)H(PPh
RuCl(CO)H(PPh(PMe
RuCl(CO)H(PPr
RuCl(CO)H(PPh
Ru(CO)H(OCOCH)(PPh
RuH(OCOH)(PPh
Ru(CO)H(PPh
RuCl(CO)H(PhPCHCHPPh)(PPh) および
RuCl(CO)H(PhPCHPPh)(PPh
上式において、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Prはイソプロピル基であり、Rはメチル基またはエトキシ基である。
【0015】
これらのルテニウム含有化合物は、それぞれの特性に応じて適宜使い分けることが好ましい。例えば、ルテニウム含有化合物としてRuHCl(CO)(PPhを使用して反応を行えば、反応後に得られる反応混合物から目的生成物を分離しやすいという利点がある。一方、RuHCl(CO)(PPrは活性が高いため、迅速に重合反応が進行する利点がある。
本発明の重合反応では、上記のルテニウム含有化合物を単独または組み合わせて使用することができる。また、本発明で使用するルテニウム含有化合物は、いずれの製法によって調製したものであってもよい。
【0016】
本発明の反応によって重合させる単量体は、上記一般式(1)で表される構造を有するものであれば、その構造の詳細や性質は特に制限されない。
一般式(1)において、Rは非反応性基で置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基である。
Rが採り得るアリール基、ヘテロアリール基およびシクロアルキル基の炭素数は、一般に4〜50、好ましくは5〜25である。Rが採り得るアリール基の具体例としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,7−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基を例示することができる。Rが採り得るヘテロアリール基としては、Rが採り得るアリール基の具体例として挙げた基の骨格の炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されたヘテロ芳香環を例示することができる。Rが採り得るシクロアルキル基としては、Rが採り得るアリール基の具体例として挙げた基の二重結合に水素を付加した構造を例示することができる。
【0017】
これらのアリール基、ヘテロアリール基およびシクロアルキル基の1以上の水素原子は非反応性基で置換されていてもよい。本明細書において「非反応性基」とは、本発明の重合反応条件下で反応しない置換基および本発明の重合反応を過度に阻害しない置換基を意味する。そのような非反応性基として、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。R〜Rが採り得るアルキル基の炭素数は一般に1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびイソブチル基を挙げることができる。R〜Rが採り得るアルキル基の1以上の水素原子は、非反応性基で置換されていてもよい。
【0019】
一般式(1)において、aおよびcは0以上の整数であり、bは0または1である。R、R〜R、a、b、cの組み合わせは特に制限されないが、単量体の少なくとも1種はaまたはcのいずれか一方が1以上の整数でなければならない。
【0020】
本発明の製造方法に使用する単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合したものであってもよい。本発明の製造方法によって重合させる単量体は、該単量体内の2つの末端ビニル基同士が反応し得ない構造を有するものであるのが好ましい。ここでいう「反応し得ない」とは、2つの末端ビニル基が互いに構造的に離れているために反応し得ない場合と、構造的には反応し得る位置に存在していても生成物が不安定であるなどの理由により本発明の反応系において事実上反応し得ない場合を含む。前者の典型例として、(4−ビニルフェニル)ジメチルビニルシランを挙げることができる。
【0021】
本発明の重合反応では、一般式(1)で表される化合物を1種だけ単独重合させてもよいし、2種以上を共重合させてもよい。したがって、例えばa、b、cがいずれも1である単量体、aおよびbが1であってcが0である単量体、aおよびcが1以上の整数であってbが0である単量体などを、それぞれ単独で重合させてもよいし、混合して共重合させてもよい。また、aとcが0である単量体をこれらの単量体と混合して共重合させてもよい。これらの単量体の選択は、合成する重合体に要求される機能や用途に応じて適宜選択する。特定の機能を有する構造的に制御された重合体を製造したい場合は、1種類の単量体を重合させるのが好ましい。
【0022】
本発明の製造方法におけるルテニウム含有化合物の使用量は、一般式(1)の単量体100モルに対して通常は0.01〜10モルの範囲内にする。好ましい使用量は、一般式(1)の単量体100モルに対して、0.1〜5モルの範囲内である。
重合反応の反応温度は、通常60〜250℃に設定し、好ましくは100〜180℃に設定する。反応時間は反応条件によって異なるが、通常は1〜48時間とする。
【0023】
反応時に使用する溶媒は不活性溶媒の中から適宜選択する。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジュレン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンを挙げることができる。
反応生成物の精製は、当業者に公知の手段を用いることによって行う。
本発明の製造方法の具体的条件については、後述する実施例を参考にして適宜決定することができる。
【0024】
本発明の第2の側面により提供される重合体は、本発明の製造方法によって製造することができる重合体である。本発明の重合体は、分子中に≡Si−CH=CH−で表される構造部分を繰り返して有するケイ素含有重合体である。
【0025】
本発明の方法によって製造される典型的な重合体は、上記一般式(2)で表される構造を有する。
一般式(2)におけるR、R〜R、a、b、cの定義と具体例は、上記一般式(1)の説明と同じである。本発明の方法によって得られる一般式(2)の重合体のR、R〜R、a、b、cは、重合反応させた一般式(1)の単量体のR、R〜R、a、b、cと同じになる。ただし、2種以上の単量体を共重合させた場合は、2種以上のR、R〜R、a、b、cの組み合わせが重合体の中に存在する。一般式(2)において、nは3〜1000の整数である。nの選択は重合体に要求される機能と使用目的に応じて適宜決定される。
【0026】
本発明の方法にしたがって、一般式(1)のaが1以上の整数、bが1、cが0であるα−ビニルシリル−ω−ビニル単量体を重合させると、一般にα位のビニルシリル基のビニル基と別の単量体のω位のビニル基が反応し、α位のビニルシリル基同士あるいはω位のビニル基同士は反応しない。このため、規則正しい繰り返し単位を有する一般式(2)の重合体(a=1以上の整数、b=1、c=0)が得られる。この傾向は、単量体のビニルシリル基のケイ素原子に結合する基(RおよびR)が大きいほど顕著である。いかなる理論にも拘泥するものではないが、このような選択的重合が起こるのは、重合反応の第一段階として形成されるRu−Si結合を有する中間体に対して、立体障害が大きなα位のビニルシリル基よりも、立体障害が比較的小さなω位のビニル基の方が挿入反応を起こしやすいためであると考えられる。
【0027】
本発明の方法によって製造される重合体中に含まれる二重結合は、一般にトランス構造をとるものがシス構造をとるものよりも多い。この傾向は、単量体のビニルシリル基のケイ素原子に結合する基(R〜R)が大きいほど顕著である。また、この傾向は、特に一般式(1)のaとcが1以上の整数であるα,ω−ビス(ビニルシリル)単量体を重合させたときに顕著である。いかなる理論にも拘泥するものではないが、このような傾向は、比較的かさ高い基が互いに反発しあう結果、選択的にトランス構造をとるように重合して行くためであると考えられる。本発明の好ましい重合体は、上記一般式(2)中の二重結合がトランス構造である重合体である。
【0028】
本発明の重合体は、Rがアリール基またはヘテロアリール基を含むものであれば一般に固体であり、Rがアリール基またはヘテロアリール基を含まないものであれば一般にオイル状である。本発明の重合体は、熱可塑性樹脂として利用することが可能であり、また、分子量がある程度大きくて固体状であれば耐熱性ポリマーとして利用することも可能である。さらに本発明の重合体は、燃やしても有害物質が発生せず、環境破壊を招くおそれが小さいという利点を有する。また生体に対する影響も小さい。したがって、本発明の重合体の産業上の利用価値は高いものと期待される。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0030】
(実施例1)
【化9】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPh18.9mg(0.020mmol)、(4−ビニルフェニル)ジメチルビニルシラン0.39g(2.1mmol)およびトルエン5mlを入れ、110℃で5時間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加え、得られた白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.18gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=2,676、Mw/Mn=1.26)。H NMR分析の結果、分子内の二重結合はほとんどがトランス構造を有することが確認された。
【0031】
(実施例2)
【化10】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPr19.7mg(0.041mmol)、(4−ビニルフェニル)ジメチルビニルシラン0.29g(1.5mmol)およびトルエン1.5mlを入れ、110℃で5時間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加え、得られた白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.26gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=4,077、Mw/Mn=1.58)。
【0032】
(実施例3)
【化11】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPh19.7mg(0.021mmol)、(3−ビニルフェニル)ジメチルビニルシラン0.24g(1.3mmol)およびトルエン5mlを入れ、110℃で10時間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加えて攪拌し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.06gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=3,470、Mw/Mn=1.26)。
【0033】
(実施例4)
【化12】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPr38mg(0.078mmol)、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン0.45g(1.8mmol)およびトルエン1.5mlを入れ、110℃で5時間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加え、得られた白色固体を濾別し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.39gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=12,465、Mw/Mn=1.69)。H NMR分析の結果、分子内の二重結合のシス/トランス比は1/99であることが確認された。
【0034】
(実施例5)
【化13】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPr20.4mg(0.042mmol)、1,3−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン0.29g(1.2mmol)およびトルエン1.5mlを入れ、110℃で5時間、加熱攪拌した。反応混合物にメタノールを加えて攪拌し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.19gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=5,440、Mw/Mn=1.46)。
【0035】
(実施例6)
【化14】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPr12.3mg(0.025mmol)、1,3−ジビニルヘキサメチルトリシラン0.90g(3.9mmol)およびキシレン2mlを入れ、138℃で18時間、加熱還流攪拌した。反応混合物にメタノール40mlを加え、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.36gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=2,265、Mw/Mn=1.60)。
【0036】
(実施例7)
【化15】
Figure 0003575316
還流冷却器を備えた20mlガラス製反応容器中に、アルゴン気流下でRuHCl(CO)(PPr12.2mg(0.025mmol)、1,4−ジビニルオクタメチルテトラシラン0.84g(2.9mmol)およびキシレン2mlを入れ、138℃で24時間、加熱還流攪拌した。反応混合物にメタノール40mlを加えて攪拌し、メタノールで洗浄後に乾燥することにより重合体0.07gを得た。GPC分析による重量平均分子量Mw=2,708、Mw/Mn=1.23)。
【0037】
【発明の効果】
本発明の製造方法を用いれば、≡Si−CH=CH−で表される構造部分を繰り返して有するケイ素含有環状化合物を効率よく製造することができる。生成物であるケイ素含有環状化合物は、熱可塑性樹脂や耐熱性材料として利用し得るうえ、環境汚染のおそれが低く生体に対する影響も小さいという利点を有する。

Claims (10)

  1. Ru−H結合またはRu−Si結合を有するか、反応系中でRu−H結合またはRu−Si結合を形成するルテニウム含有化合物の存在下で、下記一般式:
    Figure 0003575316
    (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または非反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、aおよびcはそれぞれ独立に0以上の整数であり、bは0または1である)で表される構造を有する1種または2種以上の単量体(ただし、少なくとも1種の単量体はaおよびcの少なくとも一方が1以上の整数である)を重合させることを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法。
  2. 前記ルテニウム含有化合物が、下記一般式:
    【化2】RuX(CO)(PR (SiR
    RuX(CO)H(PR RuX(CO)H(PR RuX(CO)(PR Ru(CO)H(OCOR)(PR およびRuH(OCOR)(PR (上式において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子であり、Rはアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アルキレン基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であり、Rはアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基またはアルキレン基であり、Rは水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基またはアルキレン基であり、分子中の複数のRおよびRは互いに同一であっても異なっていてもよく、(PR は(R P−PR )に置換しうる)で表される構造を有する化合物群から選択されることを特徴とする請求項1の製造方法。
  3. 記ルテニウム含有化合物が、下記一般式:
    【化3】RuCl(CO)(PPh(SiMe
    RuCl(CO)H(PPhRuCl(CO)H(PPh(PMe)RuCl(CO)H(PPrRuCl(CO)H(PPhRu(CO)H(OCOCH)(PPhRuH(OCOH)(PPhRu(CO)H(PPhRuCl(CO)H(PhPCHCHPPh)(PPh) およびRuCl(CO)H(PhPCHPPh)(PPh
    (上式において、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Prはイソプロピル基であり、Rはメチル基またはエトキシ基である)で表される化合物群から選択されることを特徴とする請求項1または2の製造方法。
  4. 単量体として、一般式(1)のaおよびcがそれぞれ独立に1以上の整数である化合物を含む請求項1〜3のいずれかの製造方法。
  5. 重合させる単量体として、一般式(1)の2つのビニル基同士が反応し得ない構造を有する化合物を含む請求項1〜4のいずれかの製造方法。
  6. 重合させる単量体として、一般式(1)のbが0であって、aまたはcのいずれか一方が1以上の整数である化合物を含む請求項1〜5のいずれかの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの製造方法によって製造される重合体。
  8. 一般式(2):
    Figure 0003575316
    (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基であり、 〜R はそれぞれ独立に非反応性基で置換されていてもよいアルキル基であり、aおよびcはそれぞれ独立に0以上の整数であるが少なくとも1つの繰り返し単位ではaおよびcの少なくとも一方が1以上の整数であり、bは0または1であり、nは3〜1000の整数である)で表される構造を有する重合体。
  9. 一般式(2)における二重結合がトランス構造である請求項8の重合体。
  10. 一般式(3):
    Figure 0003575316
    (上式において、Rは非反応性基で置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基またはシクロアルキル基であり、aおよびcはそれぞれ独立に0以上の整数であるが少なくとも1つの繰り返し単位ではaおよびcの少なくとも一方が1以上の整数であり、bは0または1であり、nは3〜1000の整数である)で表される構造を有する重合体。
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