JP2000253655A - 多出力形電源装置の過電流検出回路およびスイッチング電源装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多出力形の電源装置において特定の出力回路
に流れる電流を精度良く正確に検出できる電流検出回路
を提供する。 【解決手段】 出力トランス１の二次側にグランドを共
通して複数の出力回路（出力端子ａ，ｂ）が設けられた
スイッチング電源装置において、過電流保護回路の一部
を構成する電流検出用抵抗６′を、上記出力回路のうち
の一の出力回路の（＋）側の電線に挿入するとともに、
この電流検出用抵抗６′での電圧降下をトランジスタ
７′で検出して、その結果に基づき制御回路３で過電流
時の電流制限を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は多出力形電源装置
の過電流検出回路およびスイッチング電源装置に関し、
より詳細にはグランドが共通するマルチ出力のスイッチ
ング電源装置における過電流保護技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、電子機器等の電源装置として
スイッチング電源装置が好適に使用されている。ここに
従来のスイッチング電源装置の概略構成を図３に示す。

【０００３】この図３に示すスイッチング電源装置は、
従来より周知のフライバック方式のスイッチング電源装
置であって、図示例のものは出力回路として、負荷Ａお
よび負荷Ｂと接続するための二つの出力回路を備えてい
る（多出力形の電源装置）。

【０００４】具体的には、このスイッチング電源装置
は、その入力回路として、直流電源Ｅと、一次巻線１ａ
が上記直流電源Ｅと接続された出力トランス１と、上記
一次巻線１ａと直流電源Ｅの間に直列に挿入されたスイ
ッチング素子２とが設けられており、スイッチング素子
２のスイッチング動作（スイッチング素子２のオン・オ
フ周期）は後述する制御回路３によって制御が可能に構
成されている。なお、スイッチング電源装置が商用電源
から電源を得る機器の内部電源装置として使用される場
合、上記直流電源Ｅは、商用電源を整流・平滑して得ら
れた直流電源が使用される。

【０００５】一方、出力回路側は負荷Ａと負荷Ｂの二系
統への電源供給が可能なように、出力トランス１の二次
巻線１ｂからグランドラインを共通する形で二つの出力
端子ａ，ｂが設けられている。これらの出力端子ａ，ｂ
は、これら各端子に接続される負荷Ａおよび負荷Ｂへの
供給電圧に応じて、出力トランス１の二次巻線１ｂより
適宜引き出される。そして、上記二次巻線１ｂと各出力
端子ａ，ｂとの間には、それぞれ整流用ダイオード４
ａ，４ｂおよび平滑用コンデンサ５ａ，５ｂが介装さ
れ、出力トランス１の一次巻線１ａがスイッチングされ
ることによって二次巻線１ｂに生じる出力トランス１の
逆起電力を整流・平滑し、上記各出力端子ａ，ｂの各々
から直流出力が得られるように構成されている。

【０００６】ところで、このようなスイッチング電源装
置においては、出力の短絡や過負荷等の異常事態から電
源装置内の部品破損等を防止するため、過電流保護回路
（具体的には、出力側の電流を検出する過電流検出回路
と、該過電流検出回路での検出結果に基づいて電流制限
を行なう制御回路）が設けられている。

【０００７】図３のスイッチング電源装置では、上記過
電流保護回路として、上記出力回路に共通のグランドラ
イン上に挿入された電流検出用抵抗６と、この電流検出
用抵抗６の両端の電圧降下が所定電圧を超えた場合にオ
ンするトランジスタ（電流検出用抵抗６の電圧降下を検
出する素子）７と、該トランジスタ７がオンした場合に
その状態を上記制御回路３に伝達するフォトカプラ８
と、該フォトカプラ８からの信号に基づいて上記スイッ
チング素子２のスイッチング動作（オン・オフ周期）を
制御して電流制限を行なう制御回路３とが設けられてい
る。

【０００８】より詳細には、図示例では上記トランジス
タ７としてＮＰＮ形トランジスタが用いられ、このＮＰ
Ｎ形トランジスタ７のベース端子とエミッタ端子が上記
電流検出用抵抗６の両端に接続されている。そして、上
記トランジスタ７のコレクタ端子は、上記フォトカプラ
８の発光ダイオード９を介して負荷Ｂの出力回路と接続
され、負荷Ｂの出力回路から駆動電圧の供給を受けてい
る。

【０００９】つまり、このＮＰＮ形トランジスタ７は、
上記負荷Ａおよび負荷Ｂに電流が流れることによって生
じる電流検出用抵抗６の両端の電圧降下（Ｖ_R6）が、該
トランジスタ７のベース−エミッタ電圧（Ｖ_BE）との関
係で、（Ｖ_R6≧Ｖ_BE）となった場合にオンされるように
構成されている。

【００１０】しかして、このように構成されてなる過電
流保護回路では、負荷Ａおよび負荷Ｂに流れる電流（具
体的には過電流）の検出ならびにその電流制限が以下の
ようにして行なわれている。

【００１１】すなわち、出力の短絡等によって上記負荷
Ａおよび負荷Ｂに流れる電流が予め設定された所定値を
超えると（過電流状態となると）、上記電流検出用抵抗
６での電圧降下が設定値を超えるので、これによりトラ
ンジスタ７がオンとなる。そして、このトランジスタ７
がオンされると、負荷Ｂが接続された側の出力回路から
フォトカプラ８の発光ダイオード９に電流が流れ、これ
にともなってフォトカプラ８のトランジスタ１０のベー
スにも電流が流れ、該トランジスタ１０がオンとなる。

【００１２】そして、上記トランジスタ１０がオンとな
ると、上記制御回路３では、負荷Ａおよび負荷Ｂに上記
所定値以上の電流（過電流）が流れないように、上記ス
イッチング素子２のオン時間を保持もしくは減少させる
制御が行なわれる（電流制限動作）。

【００１３】ここで、上記電流制限動作の具体的な内容
としては、たとえば図２の出力電流制限特性図に示すよ
うな制御が考えられる。

【００１４】すなわち、上記所定値（過電流）が図中の
Ｘで示される場合、スイッチング素子２のオン時間を減
少させることにより、図２のに示すフォールド・バッ
ク特性（フの字垂下特性）や、図２のに示す定電流垂
下特性を実現することができ、またスイッチング素子２
のオン時間を現状に保持することにより、図２のに示
すような制御が実現できる。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の構成では以下のような問題があり、その改善
が望まれていた。

【００１６】すなわち、かかる従来の過電流保護回路で
は、上記電流検出用抵抗６が負荷Ａおよび負荷Ｂに共通
のグランドライン上に挿入されているため、この電流検
出用抵抗６には負荷Ａと負荷Ｂの双方に流れる電流の総
電流（各出力回路に流れる電流の合計分）が流れる。そ
のため、この電流検出用抵抗６で得られる電圧降下は、
上記総電流に基づくものとなる。

【００１７】したがって、上記従来の構成では、複数の
出力回路のうちの特定の出力回路（ないしは負荷）に流
れる電流を検出することができず、出力回路の数が増加
すればする程、電流検出用抵抗６において検出対象とな
る出力回路（ないしは負荷）の数（範囲）も増加するこ
ととなり、正確な電流検出を行なうことができないとい
う問題があった。

【００１８】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたものであって、多出力形の電源装置において特定
の出力回路（ないしはその回路に接続された負荷）に流
れる電流を精度良く正確に検出できる電流検出回路を提
供することを主たる目的とし、それに伴ってかかる電流
検出回路を備えたスイッチング電源装置を提供すること
を従たる目的とする。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る多出力形電源装置の過電流検出回路
は、出力トランスの二次側にグランドを共通させて複数
の出力回路が設けられている多出力形電源装置におい
て、過電流保護回路を構成する電流検出用の抵抗が、上
記複数の出力回路のうちの一の出力回路の（＋）側の線
路上に挿入されるとともに、この電流検出用の抵抗での
電圧降下を検出する素子の駆動電源が他の出力回路から
供給されるように構成されていることを特徴とする。

【００２０】すなわち、この請求項１に係る発明では、
過電流保護回路を構成する電流検出用の抵抗が複数の出
力回路のうちの一の出力回路の（＋）側の線路上に挿入
されているので、電流検出用の抵抗で検出される電流
は、当該電流検出用の抵抗が挿入された出力回路に流れ
る電流に限定される。したがって、この発明によれば、
特定の出力回路に流れる電流を精度良く正確に検出する
ことができるようになる。

【００２１】また、請求項２に記載のスイッチング電源
装置は、上記請求項１の過電流検出回路をスイッチング
電源装置の過電流保護回路に適用したものであって、具
体的には、スイッチング素子のスイッチング動作を制御
する制御回路を備えたスイッチング電源装置であって、
出力トランスの二次側にグランドを共通させて複数の出
力回路が設けられているものにおいて、過電流保護回路
を構成する電流検出用の抵抗が、上記複数の出力回路の
うちの一の出力回路の（＋）側の線路上に挿入されると
ともに、この電流検出用の抵抗での電圧降下を検出する
素子の駆動電源が他の出力回路から供給され、この素子
において上記電流検出用の抵抗での過電流が検出された
場合に、上記制御回路がスイッチング素子のスイッチン
グ動作を制御して電流制限を行なうように構成されてい
ることを特徴とする。

【００２２】つまり、この請求項２の発明においては、
複数の出力回路のうちの特定の出力回路に流れる電流に
基づいて出力回路側の過電流の判定が行なわれる。そし
て、その判定結果に基づいて、出力トランスの一次側の
スイッチング動作が制御されることにより電流制限動作
が行なわれる。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る多出力形電源
装置の過電流検出回路をスイッチング電源装置の過電流
保護回路に適用した場合を図１に基づいて詳細に説明す
る。

【００２４】図１に示すスイッチング電源装置は、上記
図３に示す従来のスイッチング電源装置において、過電
流保護回路の一部を構成する電流検出回路の構成（より
具体的には上記電流検出用抵抗６およびトランジスタ７
の配置構成）を変更したものであって、スイッチング電
源装置としての基本構成や上記電流制限を行なう制御回
路３の構成は、上記従来のスイッチング電源装置と同様
である。したがって、以下の説明においては、上記従来
のスイッチング電源装置と構成が共通する部分について
は同一符号を付して説明を省略する。

【００２５】そこで、以下においては、上記構成の相違
点である電流検出回路の構成について詳細に説明する。

【００２６】すなわち、この実施形態に示すスイッチン
グ電源装置では、上記電流検出回路において、複数の出
力回路のうちの特定の出力回路（図示例では負荷Ａが接
続された出力回路）に流れる電流の検出が可能に構成さ
れている。

【００２７】具体的には、電流検出用抵抗６′が、負荷
Ａが接続された出力回路（以下、負荷Ａ側出力回路と称
する）の（＋）側の電線（線路）上に挿入されるととも
に、この電流検出用抵抗６′での電圧降下を検出するト
ランジスタ７′の駆動電源が他の出力回路（具体的に
は、負荷Ｂが接続される出力回路）から供給されるよう
に構成されている。

【００２８】つまり、上記負荷Ａ側出力回路は、上記出
力トランス１の二次巻線１ｂの途中（その具体的な箇所
は出力電圧の値によって決定される）から引き出された
電線（上記＋側の電線）に、上記整流用ダイオード４ａ
が挿入されるとともに、この整流用ダイオード４ａの後
にグランドラインと接続された平滑用コンデンサ５ａが
配設されて構成されているが、上記電流検出用抵抗６′
は、この平滑用コンデンサ５ａの後方の（＋）側電線
上、言い換えれば、上記出力端子ａの直前に挿入されて
いる。

【００２９】そして、この電流検出用抵抗６′の両端に
生じる電圧降下を検出するトランジスタ７′としては、
上記従来例と同様にＮＰＮ形トランジスタが用いられ、
このトランジスタ７′のベース端子とエミッタ端子が上
記電流検出用抵抗６′の両端に接続されている。

【００３０】また、トランジスタ７′のコレクタ端子
は、上記フォトカプラ８の発光ダイオード９およびこの
発光ダイオード９と直列に接続された抵抗を介して、他
の出力回路（図示例では負荷Ｂの出力回路）に接続さ
れ、この負荷Ｂ側の出力回路から駆動電圧の提供を受け
ている。

【００３１】しかして、本実施形態のスイッチング電源
装置では、上述したように電流検出回路を構成すること
により、電流検出用抵抗６′には負荷Ａに流れる電流の
みが流れることとなり、その結果、負荷Ａ側出力回路に
流れる電流を精度良く正確に検出することができるよう
になる。

【００３２】したがって、本実施形態のスイッチング電
源装置では、負荷Ａ側出力回路に出力の短絡や過負荷等
の異常事態が生じた場合に、トランジスタ７′が動作す
ることにより、これにともなって上記制御回路３が上記
所定の電流制限動作（図２に示す電流制限特性図参照）
を行なうので、負荷Ａに過電流が流れるのが防止され、
その結果、負荷Ａや整流用ダイオード４ａの負担を軽く
することができるようになる。

【００３３】なお、上述した実施形態はあくまでも、本
発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明はこ
れに限定されることなく、その発明の範囲内で種々設計
変更可能である。

【００３４】たとえば、上記実施形態では、本発明に係
る電流検出回路をフライバック方式のスイッチング電源
装置に適用した場合を示したが、本発明の電流検出回路
は他の方式のスイッチング電源装置にも適用できる他、
出力の構成が同じであればスイッチング電源以外の電源
装置にも応用することができる。

【００３５】また、上記実施形態では、出力回路として
負荷Ａ用および負荷Ｂ用の２系統の出力回路を示した
が、出力回路の数は２系統に限られず適宜増加させるこ
とができる。

【００３６】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の多出力形
電源装置の過電流検出回路によれば、過電流保護回路を
構成する電流検出用抵抗が、グランドを共通させた複数
の出力回路のうちの一の出力回路の（＋）側線路上に挿
入されていることから、当該電流検出用抵抗の挿入され
た出力回路に流れる電流を精度良く正確に検出すること
ができる。

【００３７】また、本発明のスイッチング電源装置によ
れば、複数の出力回路のうち、特定の出力回路に流れる
電流を精度良く正確に検出できるので、この検出結果に
基づいて過電流保護回路による電流制限を行なうことに
より、安定した動作のスイッチング電源装置を提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る多出力形電源装置の過電流検出回
路を備えたスイッチング電源装置の概略構成を示す回路
図である。

【図２】同スイッチング電源装置の制御回路および従来
のスイッチング電源装置の制御回路における制御内容を
示す出力電流対出力電圧特性図（出力電流制限特性）で
ある。

【図３】従来のスイッチング装置の概略構成を示す回路
図である。

【符号の説明】

１ 出力トランス １ａ 一次巻線 １ｂ 二次巻線 ２ スイッチング素子 ３ 制御回路 ４ａ，４ｂ 整流用ダイオード ５ａ，５ｂ 平滑用コンデンサ ６ 電流検出用抵抗 ７ トランジスタ（電流検出用抵抗の電圧
降下を検出する素子） ８ フォトカプラ Ｅ 直流電源 ａ，ｂ 出力回路の出力端子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 弘樹 兵庫県神戸市中央区江戸町93番地 株式会 社ノーリツ内 (72)発明者 藤本 剛生 兵庫県神戸市中央区江戸町93番地 株式会 社ノーリツ内 (72)発明者 米田 巌 兵庫県神戸市中央区江戸町93番地 株式会 社ノーリツ内 Ｆターム(参考） 5H730 AA20 BB43 DD02 EE02 EE07 EE73 FD31 FF19 XX03 XX15 XX16 XX23 XX35 XX47

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 出力トランスの二次側にグランドを共通
   させて複数の出力回路が設けられている多出力形電源装
   置において、 過電流保護回路を構成する電流検出用の抵抗が、前記複
   数の出力回路のうちの一の出力回路の（＋）側の線路上
   に挿入されるとともに、この電流検出用の抵抗での電圧
   降下を検出する素子の駆動電源が他の出力回路から供給
   されるように構成されていることを特徴とする多出力形
   電源装置の過電流検出回路。
2. 【請求項２】 スイッチング素子のスイッチング動作を
   制御する制御回路を備えたスイッチング電源装置であっ
   て、出力トランスの二次側にグランドを共通させて複数
   の出力回路が設けられているものにおいて、 過電流保護回路を構成する電流検出用の抵抗が、前記複
   数の出力回路のうちの一の出力回路の（＋）側の線路上
   に挿入されるとともに、この電流検出用の抵抗での電圧
   降下を検出する素子の駆動電源が他の出力回路から供給
   され、 この素子において前記電流検出用の抵抗での過電流が検
   出された場合に、前記制御回路がスイッチング素子のス
   イッチング動作を制御して電流制限を行なうように構成
   されていることを特徴とするスイッチング電源装置。