JP2000252575A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計自由度が大きく簡単に製造することがで
きると共に、従来のキャンシール型半導体レーザと同程
度の寸法精度や取付けの基準面が得られる小形で安価な
半導体レーザを提供する。 【解決手段】 導電材からなる複数のリード11〜13
が上下に露出するように樹脂部材14により一体成形さ
れた樹脂製ステム1と、その複数のリード11〜13の
1本のリード11に台座15が電気的に接続して設けら
れている。そして、そ台座15にレーザチップ2が固着
されている。このレーザチップ2は、シリコンサブマウ
ント3上にマウントされ、そのサブマウント3が台座1
5上に固着されている。このレーザチップ2などの周囲
にはキャップ5が被せられ、ステム1に接着剤6などに
より固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザチップの周囲
が気密に封止されたキャンシール型の半導体レーザに関
する。さらに詳しくは、DVD(デジタルビデオディス
ク)、LBP(レーザビームプリンタ)、DVD−RO
Mなどのピックアップ用光源に用いるのにとくに適し
た、安価な半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のDVDの光源などに用いられる半
導体レーザは、図4に示されるような構造になってい
る。すなわち、信頼性確保のため、レーザチップ23を
外気から保護する必要から、レーザチップ23の周囲が
キャップ24で覆われて気密に封止されている。
【0003】図4において、(a)は平面図、(b)は
一部断面の側面図、(c)はキャップ24をステム21
に溶接するときの断面説明図である。21はステムで金
属の冷間鍛造加工などにより台座21aと一体に形成さ
れ、図4(c)に示されるような貫通孔21bが2か所
設けられ、リード26、27が低融点ガラス29などに
より絶縁されてハーメチックシール(気密封止)されて
いる。台座21aにはシリコン基板などからなるサブマ
ウント22を介してレーザチップ23がボンディングさ
れ、リード26、27の先端とワイヤボンディングされ
ている。さらに、ステムの底面側には共通リード28が
溶接などにより接着されている。このステム21の上部
はレーザチップ23の周囲を気密封止するため、キャッ
プ24が溶接などによりステム21に取りつけられてい
る。キャップ24のレーザ光の通過部分には貫通孔が設
けられ、窓ガラス25が低融点ガラスなどにより接着さ
れている。なお、この例はレーザダイオードとレーザダ
イオードの出力をモニターするためのフォトダイオード
の両方が設けられているため、それぞれの一方の電極に
接続されるリード26、27とそれぞれ他方の電極が共
通とされて接続された共通リード28との3本のリード
がパッケージの外部に導出されている。なお、フォトダ
イオードは、図示されていないが、ステム21の中心部
に凹み部が形成され、その凹み部内に設けられたり、サ
ブマウント22に直接形成されたりする。
【0004】前述のキャップ24とステム21との溶接
は、図4(c)に示されるように、キャップ24の底部
における鍔部24aの底面側に設けられた突起24bに
より電流が集中するようにして上下から電極31、32
により挟みつけて溶接をしている。そしてステム21の
外周表面Aが位置出しなどの基準面になっている。な
お、21cは回転方向の位置決めをする切欠部である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の図4に示される
構造の半導体レーザのステム部は、前述のように厚い金
属板を冷間鍛造プレスにより、台座と共にステムの成型
加工をして形成されている。このステムと一体に形成さ
れる台座は、ステムの底面に対する垂直度が1゜程度の
範囲に収めなければならないと共に、ステムの外径寸法
精度は0.03mm程度未満の公差が要求されており、
冷間鍛造で製造するためには、非常に高度の金型の精度
が要求されている。そのため、金型のメインテナンス費
用が嵩み、金属ステムの単価が上昇するという問題があ
る。
【0006】さらに、金属ステムの成型加工の際に、ス
テムに孔を開けて、後からガラスによりリードを封入し
なければならない。そのため、0.45mm程度の太さ
のリードを封入する場合でも、ステムに設ける孔径は1
mmφ程度必要となり、キャップの溶接部分および基準
面とする部分も含めたステムの最外径が5.6mm程度
の小さいステムでは、リードの配置のスペースの自由度
が制限されると共に、リードを別途ガラス封入しなけれ
ばならず、一層工数増となってコストアップの原因にな
っている。
【0007】本発明はこのような問題を解決し、設計自
由度が大きく、かつ、簡単に製造することができると共
に、従来のキャンシール型半導体レーザと同程度の寸法
精度や取付けの基準面が得られる小形で安価な半導体レ
ーザを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による半導体レー
ザは、導電材からなる複数のリードが上下に露出するよ
うに樹脂により一体成形された樹脂製ステムと、該複数
のリードの1本と電気的に接続して設けられる台座と、
該台座に固着されるレーザチップと、該レーザチップの
周囲を覆うと共に頂部に光の透過窓を有し、前記ステム
に固定されるキャップとからなっている。
【0009】この構造にすることにより、リードを金型
で固定して樹脂を流し込むだけで簡単に樹脂製ステムを
形成することができ、非常に工数を減らして安価に製造
することができる。一方、樹脂製にすることにより、外
径や高さの基準面などを一定に維持しにくいが、台座を
構成する金属や、キャップなどの金属を利用することに
より、必要な基準面とすることができる。
【0010】前記リードの1本と前記台座とが一体に形
成され、かつ、該台座と一体に形成されると共に、前記
ステム上に露出し、該ステムの周囲に延出される突出部
が設けられ、該突出部上に前記キャップの底部が固着さ
れることにより、台座に取り付けられるレーザチップの
熱を台座、突起部、キャップを介して逃がしやすくなる
ため好ましい。
【0011】前記キャップの底部に前記ステムの周囲の
上部および側部を被覆するような段付きのスカート部が
形成されることにより、樹脂製のステムの径が精密に形
成されていなくても、キャップの外径により正確な取付
けの位置決めをでき、またスカート部の上面をレーザチ
ップの位置出し(レーザチップからの距離)の基準面と
することができるため好ましい。
【0012】前記キャップが熱伝導の良好な接着剤によ
り前記ステムに固着されることにより、台座に伝わった
熱をキャップから効率よく放熱することができる。な
お、熱伝導の良好な接着剤とは、たとえば銀ペーストな
どのように金属フィラーなどの熱伝導率のよい材料が混
入された接着剤を意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明の半導体レーザについて説明をする。
【0014】本発明の半導体レーザは、その一実施形態
のキャップを切り欠いた側面説明図および底面図が図1
に示されるように、導電材からなる複数のリード11〜
13が上下に露出するように樹脂部材14により一体成
形された樹脂製ステム1と、その複数のリード11〜1
3の1本のリード11に台座15が電気的に接続して設
けられている。そして、台座15にレーザチップ2が固
着されている。このレーザチップ2は、シリコンサブマ
ウント3上にマウントされ、そのサブマウント3が台座
15上に固着されている。台座15には、レーザチップ
2の出力をモニターするための受光素子4が設けられて
いる。このレーザチップ2などの周囲にはキャップ5が
被せられ、ステム1に接着剤6などにより固定されてい
る。キャップ5の頂部には、光の透過窓51が形成され
ている。なお、この透過窓51に窓ガラスなどが気密に
封着される場合もある。
【0015】ステム1は、図2にその平面図および側面
図が示されるように、この例では3本のリード11〜1
3が絶縁性の樹脂部材14により固着されている。その
内の1本のリード11は台座15と一体に形成されてお
り、樹脂部材14の上部に台座15が形成され、下部に
リードがコモンリード11として延びている。樹脂部材
14の上部には、台座15とさらに一体で突起部16が
樹脂部材14の上部に露出するようにステム1の外周に
延出されている。この突出部16は、樹脂部材14の表
面から僅かに露出するような一定寸法で設けられ、その
上に前述のキャップ5が載置されて固着される構造にな
っている。すなわち、レーザチップ2で発生する熱が台
座15および突起部16を経てキャップ5に逃げ、キャ
ップ5から放熱することができるようになっている。さ
らに、樹脂部材14は、その寸法精度を金属のように精
度よく形成することができず、レーザチップ2の位置出
しの基準面をステム1に設定しにくくなるが、この突起
部16は台座15と一体で形成されているため、台座1
5に対する突起部16の位置は正確に定まり、さらにこ
の突起部16に突き当ててキャップ5が設けられること
により、キャップ5のスカート部52の平面部Bをレー
ザチップ2の位置出しのための基準面とすることができ
る。
【0016】突起部16は、図2に示されるように台座
15部分からステム1の周縁部に延びるように形成さ
れ、たとえば平面形状でコ字型に形成されている。この
突起部16は、この形状に限らず、本来ステムの周囲で
キャップ5の底部が当たる部分に円周方向に沿って設け
られることが熱放散やキャップ5の固定の観点からは好
ましい。台座15の上部中央に設けられている切欠部1
5aは、レーザチップ2から出射する光が当らないよう
にするためのもので、図2(a)の17は、リード1
2、13と台座15との間に充填されたリード固定用樹
脂で、ワイヤボンディングの際にステム1が樹脂製であ
ることにより、リード保持力が低融点ガラスによりリー
ドを封着する場合に比べて低下するため、ボンディング
性が低下するのを防止するためのものである。
【0017】樹脂部材14は、完成した素子を回路基板
などに組み込む際のハンダ付けなどのときに温度上昇し
やすい場合には、耐熱性のあるものが好ましく、たとえ
ば液晶ポリマーなどを用いることができる。しかし、通
常のPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの樹脂
を用いることもできる。この樹脂部材14の厚さは、
0.8〜1mm程度に形成され、従来の金属製(1.1〜
1.3mm程度)よりは若干薄く形成することができ
る。なお、14a〜14cは、従来と同様にステム1に
形成された回転に対する位置決め用の切欠部である。こ
のような切欠部14a〜14cも、金型に突起を形成し
ておくだけで、好みの形状で容易に形成することができ
る。
【0018】このステム1を製造するには、たとえばこ
の樹脂部材14の形状の空洞を形成した金型内に、予め
台座15や突起部16などを打抜きと曲げ加工などによ
り形成したリード11〜13をセッティングし、樹脂を
注入して硬化させることにより、樹脂部材14内にリー
ド11〜13を固定したステム1を形成することができ
る。なお、リード11〜13は、リードフレームのよう
に何組も連結しておいて、1個の金型に何個も空洞を設
けておくことにより、一度に数十個のステム1を同時に
製造することができる。
【0019】レーザチップ2は、レーザ光を出射するよ
うに形成されているが、その大きさは250μm×25
0μm程度と非常に小さく、その取扱を容易にするた
め、通常0.8×1mm程度の大きさのシリコン基板な
どからなるサブマウント3上にボンディングされてい
る。そして、一方の電極はサブマウント3に直接接続さ
れて導電性接着剤によりコモンリード11に接続され、
他方の電極はサブマウント3の電気的に浮かした部分を
経由してワイヤボンディングによりリード13と接続さ
れている。このレーザチップ2がマウントされたサブマ
ウント3は吸着コレットにより搬送され、突起部16の
上面を基準として位置合せされて台座15にマウントさ
れる。この突起部16の上面を基準とすることにより、
後述するのキャップ5がこの突起部16上に固着される
ため、キャップ5のスカート部52の基準面Bに対して
レーザチップ2の位置を精度よく組み立てられる。ま
た、レーザチップ2の発光出力をモニターするための受
光素子4が同様に台座15にボンディングされ、その一
方の電極は台座15を介してコモンリード11に接続さ
れ、他方の電極は図示しないワイヤボンディングにより
リード12と電気的に接続されている。なお、この受光
素子4は、サブマウント3に直接形成することもでき
る。
【0020】レーザチップ2の周囲には、キャップ5が
ステム1に接着されることにより設けられている。キャ
ップ5は銅などの熱伝導のよい材料からなっているのが
好ましいが、鉄などの金属でもよい。また、無光沢銀メ
ッキなどが施されていることが、内面で光の乱反射を防
止しやすいため好ましい。なお、キャップ5の頂部の中
心部には、レーザ光が通過する貫通孔が設けられてお
り、窓部51が形成されている。さらに、底部には、段
付きのスカート部52が形成され、段状にされた平面部
が位置出し用の基準面Bとされ、スカート部52のステ
ム1を被覆する部分が製品の外径の基準とされている。
このキャップ5は金属製であるため、その寸法精度は非
常に精度よく形成され、樹脂製ステム1の寸法のばらつ
きに拘らず、常に一定の寸法の基準面および基準径とな
る。なお、このキャップ5はエポキシ系の樹脂などから
なる接着剤によりステムと接着されるが、レーザチップ
2で発生する熱の放散をよくするため、熱伝導の良好な
ものが好ましく、銀などの金属フィラーが混入されたも
のが好ましい。
【0021】本発明の半導体レーザによれば、ステムが
樹脂部材によりリードを固着することにより形成されて
いるため、従来の金属板を冷間鍛造法により形成するよ
うな複雑な成形工程を必要とするのに比べて非常に安価
に形成することができる。しかも、後からリードをガラ
ス付けする必要がなく、リード付けの工数が不要である
と共に、リードの太さより大きなスペースを必要としな
いため、狭い範囲でリードを固定することができ、リー
ドなどの配置の自由度が向上する。また、台座をリード
と一体に形成しておいて樹脂により成形すれば、その直
角度なども金型の精度により非常に精密に成形すること
ができ、曲りの小さい高性能な半導体レーザを得ること
ができる。一方、ステムを樹脂製で構成することによる
不利益として、放熱性と寸法精度が粗くなることが考え
られる。しかし、放熱性に関しては、レーザチップ2を
マウントする台座15と一体で樹脂部材14から露出す
る突起部16が設けられており、この突起部16にキャ
ップ5の底部を当てつけることにより、金属部材の台座
15、突起部16を介してキャップ5に熱が伝導し、キ
ャップ5より放熱することができる。そのため、樹脂部
材14の熱伝導が少々低下しても、レーザチップ2から
発生する熱を放散させるには、支障がない。
【0022】また、寸法精度に関しては、樹脂部材14
自身は収縮度が一定せず、レーザチップの光出射方向へ
の寸法設定のための位置決めや、取付基板などに設けら
れる孔などにそのステムの外径を挿入することによりx
y方向の位置決めをするには十分な精度が得られない。
しかし、その外周に設けられるキャップは金属製であ
り、寸法精度を十分に精度よく形成することができる。
この寸法精度のよいキャップの底部に段付きのスカート
部を設け、その段部の内面を前述の台座と一体の突起部
に当てつけて固着することにより、レーザチップの位置
決めの基準面をキャップのスカート部の段付き部に設定
することができる。また、ステムの外周を覆うスカート
部により、その外径を精度よく形成することができるた
め、xy方向の位置決めも十分に精度よく形成すること
ができる。
【0023】前述の図1に示される構造の半導体レーザ
を、厚さが3mmで30mm角のアルミニウムからなる
放熱板に固定した場合(本発明がP1、従来構造がQ
1)と、放熱板には取り付けない場合(本発明がP2、
従来構造がQ2)との両方で、半導体レーザの動作条件
を、順方向電流IF =30mA、サンプリング電流IM
=1.5mA、サンプリング時間TD =1μsの条件で
動作させて、熱抵抗値(Rth)の変化を調べた結果を、
従来の半導体レーザと対比して図3に示す。図3からも
明らかなように、樹脂製ステムを用いたことによる熱放
散への影響は殆ど差がないことが明らかである。なお、
図3において、横軸は電流印加時間Tp (秒)を表し、
縦軸は、熱抵抗Rth(℃/W)を表している。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ス
テムを樹脂部材により形成しているため、特殊な加工を
する必要がなく、簡単にステムを製造することができ
る。また、リードをガラス付けする必要がないため、部
品点数が減ると共に、その工数も必要でなくなる。その
ため、非常に安価な半導体レーザを電気的、光学的特性
を低下させることなく得ることができる。さらに、従来
の金属ステムを用いたものと全く外形的にも同様の半導
体レーザとなるため、従来の製品をそのまま置き換える
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザの一実施形態の構造を示
す説明図である。
【図2】図1のステム部の平面および側面の説明図であ
る。
【図3】図1の半導体レーザの熱抵抗の特性を従来の金
属ステムの半導体レーザの特性と対比して示した図であ
る。
【図4】従来の半導体レーザの一例の構造を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 樹脂製ステム 2 レーザチップ 5 キャップ 11 コモンリード 12 リード 13 リード 14 樹脂部材 15 台座 16 突起部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電材からなる複数のリードが上下に露
    出するように樹脂により一体成形された樹脂製ステム
    と、該複数のリードの1本と電気的に接続して設けられ
    る台座と、該台座に固着されるレーザチップと、該レー
    ザチップの周囲を覆うと共に頂部に光の透過窓を有し、
    前記ステムに固定されるキャップとからなる半導体レー
    ザ。
  2. 【請求項2】 前記リードの1本と前記台座とが一体に
    形成されると共に、該台座と一体で前記ステム上に露出
    し、該ステムの周囲に延出される突出部が設けられ、該
    突出部上に前記キャップの底部が固着されてなる請求項
    1記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記キャップの底部に前記ステムの周囲
    の上部および側部を被覆するような段付きのスカート部
    が形成され、該キャップのスカート部が位置出しの基準
    面とされてなる請求項1または2記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記キャップが熱伝導の良好な接着剤に
    より前記ステムに固着されてなる請求項1、2または3
    記載の半導体レーザ。
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