JP2000251705A - 電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法、電子線装置用の耐大気圧支持構造体、および電子線装置 - Google Patents

電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法、電子線装置用の耐大気圧支持構造体、および電子線装置

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JP2000251705A
JP2000251705A JP11046694A JP4669499A JP2000251705A JP 2000251705 A JP2000251705 A JP 2000251705A JP 11046694 A JP11046694 A JP 11046694A JP 4669499 A JP4669499 A JP 4669499A JP 2000251705 A JP2000251705 A JP 2000251705A
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electron beam
electron
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Taro Hiroike
太郎 廣池
Masahiro Fushimi
正弘 伏見
Yasuhiro Ito
靖浩 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子線装置の気密容器内で耐大気圧支持構造
体によって気密容器の壁部を支持する際に耐大気圧支持
構造体の破壊、および耐大気圧支持構造体の表面での沿
面放電を防止するために、切断加工により作製された耐
大気圧支持構造体の切断面を平滑化する処理を行う場
合、容易に、かつ、高い歩留り率で安定的に平滑化処理
を行うことを可能にする。 【解決手段】 電子放出素子を収容した気密容器の壁部
を支持するスペーサとなる絶縁性基板1を、母材を切断
することにより作製する。絶縁性基板1の切断面1aを
絶縁性基板1の構成材料の軟化点よりも高い温度で加熱
することによる焼きなましによって、切断加工で切断面
1aに発生した微小な突起および微小な欠けを滑らかな
形状にする。絶縁性基板1の欠けに応力が集中すること
による絶縁性基板1の破壊、および突起や欠けへの電界
の集中が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子が気
密容器内に収容された電子線装置において気密容器内に
配置されて気密容器の壁部を支持する電子線装置用の耐
大気圧支持構造体の製造方法や、その方法により製造さ
れた電子線装置用の耐大気圧支持構造体、およびその耐
大気圧支持構造体を有する電子線装置に関する。特に、
本発明は、帯電防止膜としての高抵抗膜、およびその高
抵抗膜を配線や電極と電気的に接続するための低抵抗膜
が形成される電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造
方法や、その方法により製造された電子線装置用の耐大
気圧支持構造体、およびその耐大気圧支持構造体を有す
る電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多数の電子放出素子を平面基板上
に配置してなる電子源を用いた電子線装置の応用研究が
盛んに行われており、例えば、電子源を用いた画像表示
装置、画像記録装置などの画像形成装置の開発が進めら
れている。なかでも、奥行きの薄い平面型画像表示装置
は省スペース、かつ軽量であることなどから、ブラウン
管型の表示装置に置き換わるものとして注目されてい
る。電子線装置で用いられる電子放出素子としては、従
来より、熱陰極素子と冷陰極素子の2種類が知られてい
る。
【0003】冷陰極素子は、熱陰極素子と比較して低温
で電子放出を得ることができるため、加熱用のヒーター
を必要としない。従って、冷陰極素子は、熱陰極素子よ
りも単純な構造をとることができ、微細な冷陰極素子を
作製することも可能である。また、基板上に多数の電子
放出素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶融などの
問題が発生しにくい。さらに、熱陰極素子がヒーターの
加熱により動作するため熱陰極素子の応答速度が遅いの
に対して、冷陰極素子は、応答速度が速いという利点を
も有している。このため、冷陰極素子を応用するための
研究が盛んに行われている。
【0004】上述した冷陰極素子としては、例えば表面
伝導型放出素子や、電界放出素子(FE型素子)、およ
び金属/絶縁層/金属型放出素子(MIM型素子)など
が知られている。
【0005】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、その薄膜の膜面に平行に電流を流す
ことにより電子放出が生ずる現象を利用するものであ
り、表面伝導型放出素子としては、SnO2薄膜を用い
たもの[M.I.Elinson,Radio En
g.Electron Phys10,1290,(1
965)]や、Au薄膜によるもの[G.Dittme
r:”Thin SolidFilms”,9,317
(1972)]や、In23/SnO2薄膜によるもの
[M.Hartwell and C.G.Fonst
ad:”IEEETrans.ED Conf.”,5
19(1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木
久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]
などがある。
【0006】これらの表面伝導型放出素子の構成の典型
的な例として、上記の、M.Hartwellらによ
る、In23/SnO2薄膜を用いた表面伝導型放出素
子の平面図を図14に示す。In23/SnO2薄膜を
用いた表面伝導型放出素子では、図14に示されるよう
に、絶縁性基板901の表面に、金属酸化物からなる導
電性薄膜904がスパッタ法によって形成されている。
導電性薄膜904は、図14に示されるように、H字形
の平面形状に形成されている。この導電性薄膜904
に、通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことに
より、導電性薄膜904の中央部に電子放出部905が
形成されている。これらの導電性薄膜904および電子
放出部905から表面伝導型放出素子が構成されてい
る。図14に示される間隔Lは0.5〜1mmに設定さ
れ、導電性薄膜904の、電子放出部905が形成され
る部分の幅Wは0.1mmに設定されている。なお、図
14では、電子放出部905を導電性薄膜904の中央
に矩形の形状で示したが、この電子放出部905の位置
および形状は模式的なものであり、実際の電子放出部9
05の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0007】図14に示される表面伝導型放出素子は、
その他の素子と比較して、その構造が単純で製造も容易
であることから、大面積にわたって多数の表面伝導型放
出素子を形成できるという利点がある。そこで、例え
ば、本出願人による特開昭64−31332号公報にお
いて開示されるように、多数の表面伝導型放出素子を配
列してそれらの素子を駆動するための方法が研究されて
いる。
【0008】特に、表面伝導型放出素子の、画像表示装
置への応用としては、例えば本出願人による米国特許第
5,066,833号明細書、特開平2−257551
号公報および特開平4−28137号公報において開示
されているように、表面伝導型放出素子と、電子ビーム
の照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画
像表示装置が研究されている。このような、表面伝導型
放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置
は、従来の他の方式の画像表示装置と比較して、自発光
型であり、バックライトを必要としない点や、視野角が
広い点などで優れている。
【0009】図15は、電子線装置を適用した従来の平
面型の画像表示装置における表示パネル部の一例を示す
斜視図であり、表示パネル部の内部構造を示すためにそ
のパネルの一部を破断して示している。
【0010】従来の平面型の画像表示装置における表示
パネル部では、図15に示されるように、リアプレート
915の表面に基板911が取り付けられている。リア
プレート915の表面の縁部には、その縁部に沿って側
壁916が接合されている。側壁916の、リアプレー
ト915側と反対側の面には、リアプレート915と互
いに対抗するフェースプレート917が接合されてい
る。フェースプレート917、側壁916およびリアプ
レート915から、表示パネルの内部を真空に維持する
ために密閉された、表示パネルの気密容器(外囲器)9
31が構成されており、フェースプレート917、側壁
916およびリアプレート915がそれぞれ、気密容器
931の壁部となっている。
【0011】リアプレート915に固定された基板91
1上には、冷陰極素子912がマトリクス状にN×M個
形成されている。NおよびMは2以上の正の整数であ
り、NおよびMの値は、目的とする表示画素数に応じて
適宜設定される。また、N×M個の冷陰極素子912
は、図15に示されるとおり、M本の行方向配線913
とN本の列方向配線914により配線されている。これ
ら基板911、冷陰極素子912、行方向配線913お
よび列方向配線914によってマルチ電子ビーム源93
2が構成されている。行方向配線913および列方向配
線914の、少なくとも互いの交差する部分には、配線
同士の間に絶縁層(不図示)が形成されており、その交差
する部分では、行方向配線913と列方向配線914と
が電気的に絶縁された状態が保たれている。
【0012】フェースプレート917のリアプレート9
15側の下面には、蛍光体からなる蛍光膜918が形成
されており、その蛍光膜918は、赤(R)、緑
(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図示)がそれぞ
れ塗り分けられて構成されたものとなっている。また、
蛍光膜918を構成する上記の各色蛍光体の間には黒色
体(不図示)が形成され、蛍光膜918のリアプレート
915側の面には、Alなどからなるメタルバック91
9が形成されている。このメタルバック919は、冷陰
極素子912から放出された電子を制御する電極となっ
ている。
【0013】側壁916には、表示パネルの行方向配線
913、列方向配線914およびメタルバック919を
表示パネル外部の不図示の電気回路と電気的に接続する
ための、気密構造の電気接続用の端子Dx1〜Dxm,Dy1
〜DynおよびHvが取り付けられている。これらの端子
は、側壁916から気密容器931の外部に突出してい
る。端子Dx1〜Dxmはそれぞれ、端子Dx1〜Dxmのそれ
ぞれに対応する行方向配線913と電気的に接続され、
端子Dy1〜Dynはそれぞれ、端子Dx1〜Dxmのそれぞれ
に対応する列方向配線914と電気的に接続され、端子
vはメタルバック919と電気的に接続されている。
【0014】気密容器931の内部は10-6Torr程
度の真空に保持されており、画像表示装置の表示面積が
大きくなるに従い、気密容器931の内部と外部の気圧
差によるリアプレート915およびフェースプレート9
17の変形あるいは破壊を防止する手段が必要となる。
リアプレート915およびフェースプレート916の変
形あるいは破壊を防止するためにそれらのプレートを厚
くする方法は、画像表示装置の重量を増加させるのみな
らず、表示面を斜め方向から見たときに画像のゆがみや
視差が生じてしまう。これに対し、図15に示されるよ
うに、大気圧を支えるための、比較的薄いガラス板から
なる、電子線装置用の耐大気圧支持構造体としてスペー
サ(リブとも呼ばれる)920が基板911とフェース
プレート917との間に設けられている。このスペーサ
920によってリアプレート915およびフェースプレ
ート917が支持されることで、マルチ電子ビーム源9
32を構成する基板911と、蛍光膜918が形成され
たフェースプレート916との間が、通常、サブミリ〜
数ミリに保たれ、前述したように気密容器931の内部
が高真空に保持されている。
【0015】上述した表示パネルを用いた画像表示装置
では、気密容器931の外部に突出した端子Dx1
xm,Dy1〜Dynを通じてそれぞれの冷陰極素子912
に電圧を印加すると、それぞれの冷陰極素子912から
電子が放出される。それと同時に端子Hvを通じてメタ
ルバック919に数百V〜数kVの高圧を印加して、冷
陰極素子912から放出された電子を加速し、加速され
た電子をフェースプレート917の内面に衝突させる。
これにより、蛍光膜918を構成する各色の蛍光体が励
起されて発光し、表示パネルの表示面に画像が表示され
る。
【0016】このような表示パネルに用いられるスペー
サ920は、前述したようにガラスなどの絶縁材料を所
望の大きさに加工して作製されたものであり、スペーサ
920の形状を規定する製造工程において切断加工が行
われる。その切断加工は、ナイフエッジやダイヤモンド
カッターなどによるカッティングが一般的である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図15
に示したスペーサ920を作製するための、ナイフエッ
ジやダイヤモンドカッターなどの切断加工は、ガラス板
などを所望の大きさに簡単に加工することができる反
面、被加工物の切断面に欠けやクラック、あるいはバリ
などの突起形状が形成されやすい。スペーサ920は画
像表示装置などの電子線装置において耐大気圧支持構造
体として用いられるものであり、スペーサ920の端面
に微小な欠けやクラックなどが存在するとその部分に応
力が集中し、スペーサ920が破壊する可能性があると
いう問題点がある。
【0018】また、図15に示したリアプレート915
とフェースプレート917との間には数百V以上の高電
圧(すなわち1kV/mm以上の高電界)が印加される
ため、スペーサ920の表面での沿面放電が懸念される
が、スペーサ920の微小な突起あるいは欠けなどが存
在すると、その部分に電界が集中して放電が誘発される
可能性がある。
【0019】また、スペーサ920の表面では、スペー
サ920近傍の冷陰極素子912から放出された電子の
衝突による帯電が生じ、そのため、スペーサ920近傍
の電子軌道が影響を受けてスペーサ920近傍の画像が
歪んで表示されるという問題点がある。この問題点を解
決するために、フェースプレートおよびリアプレートを
支持するスペーサに微小電流を流すことでスペーサの帯
電を除去する方法が、特開昭57−118355号公報
および特開昭61−124031号公報に開示されてお
り、その方法のために、スペーサの表面に高抵抗の帯電
防止膜が形成される。
【0020】また、画像ソースの種類によっては、通電
時間の全時間に対する比(duty)が大きい場合など、ス
ペーサの高抵抗膜による帯電除去だけでは画像の歪みの
低減が不十分な場合があった。この場合の問題点として
は、高抵抗膜付きのスペーサと、その上下の基板、すな
わちフェースプレートとリアプレートとの間の電気的な
接合が不十分で、それらのプレートの接合部付近に帯電
が集中することがその要因と考えられる。その対策とし
て、特開平8−180821号公報および特開平10−
144203号公報に開示されているように、スペーサ
と、スペーサの上下の基板との電気的なコンタクトを確
保するため、スペーサのフェースプレート側の面、およ
びリアプレート側の面や、スペーサの側面におけるフェ
ースプレート側から100〜1000ミクロン程度の範
囲、およびリアプレート側から100〜1000ミクロ
ン程度の範囲までに白金などの金属、または高抵抗膜よ
りも導電率の高い材料を成膜する場合もある。
【0021】この場合、上述したように、スペーサの表
面に高抵抗膜を形成する際に、スペーサとなるガラス基
板の局所的な欠けなどでガラス基板の表面、すなわち絶
縁面が露出するということが発生すると、そのように絶
縁面が露出することによって、露出した絶縁面に帯電が
集中し、その絶縁面の周囲の高抵抗膜あるいは低抵抗膜
との間で微小放電を起こす恐れがある。また、そのよう
な微小放電がスペーサの沿面放電を誘発するという可能
性もある。前述したとおりスペーサの形状加工後にスペ
ーサの切断面に存在する微小突起や、欠け、クラックな
どにおける力学的な内部応力の不均一が、前記のような
帯電集中やスペーサの沿面放電などの問題点の要因とな
る可能性が高いことが確認された。
【0022】従来、このような問題点を解決するために
スペーサ基板の切断面の研磨などを行うことにより、欠
けなどのないスペーサを作製していた。しかしながら、
スペーサの切断面を研磨する場合には、切断面の研磨処
理に要する時間が長く、また、研磨処理によりスペーサ
に新たな欠けなどが生じ、歩留まり率が低下するなど、
生産性が低いという問題点があった。
【0023】本発明の目的は、電子線装置の気密容器の
変形を防止するために気密容器内で耐大気圧支持構造体
によって気密容器の壁部を支持する際に耐大気圧支持構
造体の破壊、および耐大気圧支持構造体の表面での沿面
放電を防止するために、切断加工により作製された耐大
気圧支持構造体の切断面を平滑化する処理を行う場合、
容易に、かつ、高い歩留り率で安定的に平滑化処理を行
うことが可能な電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製
造方法や、その方法により製造された電子線装置用の耐
大気圧支持構造体、およびその耐大気圧支持構造体を有
する電子線装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、内部が略真空に密閉された気密容器の内
部に、電子放出素子、および前記気密容器の、互いに対
向する壁部を支持するように配置された電子線装置用の
耐大気圧支持構造体の製造方法であって、前記耐大気圧
支持構造体の構成材料からなる母材を切断することによ
り前記耐大気圧支持構造体を形成する工程と、前記耐大
気圧支持構造体の切断面の稜部が滑らかな形状となり、
前記切断面の表面積が小さくなるように前記切断面を平
滑化する処理を行う工程とを有する。
【0025】前記耐大気圧支持構造体の切断面を平滑化
する処理を行う工程では、前記母材を切断した際に前記
耐大気圧支持構造体の切断面、および該切断面の近傍の
面に生じた微小な突起、または微小な欠けの稜部が滑ら
かな形状となるように前記切断面を平滑化することが好
ましい。
【0026】具体的には、前記耐大気圧支持構造体の切
断面を平滑化する処理を行う工程として、前記耐大気圧
支持構造体の切断面側の部分を前記耐大気圧支持構造体
の構成材料の軟化点以上の温度に加熱することによる焼
きなましを行ったり、前記耐大気圧支持構造体の切断面
側の部分に対してケミカルエッチングの処理を行ったり
する。
【0027】また、前記母材を形成する工程が、前記耐
大気圧支持構造体の構成材料と同じ材料からなり、前記
耐大気圧支持構造体の断面形状と相似の断面形状、およ
び前記耐大気圧支持構造体の断面積よりも大きな断面積
を有する柱状部材を用意する工程と、前記柱状部材の両
端部を支持し、前記柱状部材の長手方向の一部を前記柱
状部材の構成材料の軟化点以上の温度に加熱すると共
に、前記柱状部材の一方の端部を前記長手方向の一部に
向けて送り出し、他方の端部を前記一方の端部の送り出
し方向と同じ方向に引き出すことにより、前記柱状部材
を引き伸ばす工程と、前記柱状部材の、引き伸ばされた
部分を冷却することにより、前記柱状部材の引き伸ばさ
れた部分からなる前記母材を形成する工程とから構成さ
れていてもよい。
【0028】さらに、前記母材の構成材料としてガラス
またはガラスファイバーを用いることが好ましく、前記
耐大気圧支持構造体の表面に、シート抵抗値が107
101 4Ω/□の高抵抗膜を形成する工程をさらに有する
ことが好ましい。
【0029】上記のとおりの発明では、電子線装置を構
成する気密容器の壁部を支持するための電子線装置用の
耐大気圧支持構造体を製造する際に、耐大気圧支持構造
体の構成材料からなる母材を切断することにより形成さ
れた耐大気圧支持構造体に対して、耐大気圧支持構造体
の切断面の稜部が滑らかな形状となり、その切断面の表
面積が小さくなるように切断面を平滑化する処理を行う
ことにより、母材を切断した際に耐大気圧支持構造体の
切断面に生じた突起や欠けおよびクラックなどがなくな
る。このようにして製造された耐大気圧支持構造体を、
内部がほぼ真空状態の気密容器内に配置し、その気密容
器の壁部を耐大気圧支持構造体によって支持することに
より、耐大気圧支持構造体の切断面の欠けやクラックな
どに応力が集中して耐大気圧支持構造体が破壊するとい
うことが防止される。また、耐大気圧支持構造体の切断
面には突起や欠けなどがないので、電子放出部を動作さ
せて電子放出部より電子を放出させる際に、突起や欠け
などの部分に電界が集中して耐大気圧支持構造体で沿面
放電が誘発されるということが抑制され、耐大気圧支持
構造体の耐電圧性が向上する。さらに、電子放出部より
放出された電子が耐大気圧支持構造体の表面に衝突する
ことによってその表面での帯電が生じることを防止する
ために、耐大気圧支持構造体の表面に帯電防止膜として
高抵抗膜を形成した際に、耐大気圧支持構造体の切断面
が平滑化されていることにより、高抵抗膜のはがれが防
止され、その結果、高抵抗膜のはがれによる耐大気圧支
持構造体の表面での微小放電が防止される。具体的に、
耐大気圧支持構造体の切断面を平滑化する処理として、
その切断面を軟化点以上の温度で焼きなましする方法
や、あるいは、耐大気圧支持構造体の切断面側の部分に
対してケミカルエッチングの処理を行うことにより、簡
略化された工程で、容易に、かつ高い歩留り率で安定的
に平滑化の処理を行うことができ、耐大気圧支持構造
体、およびその耐大気圧支持構造体を有する電子線装置
のコストが抑制される。
【0030】さらに、本発明は、内部が略真空の状態に
維持されるように密閉された気密容器の内部に、電子を
放出する電子放出素子が収容された電子線装置で、前記
気密容器の変形を防止するために前記気密容器の、互い
に対向する壁部の間で該対抗する壁部を支持するように
前記気密容器の内部に配置された電子線装置用の耐大気
圧支持構造体であって、その耐大気圧支持構造体とし
て、上記の発明の製造方法により製造されたものが用い
られている。
【0031】さらに、本発明は、電子を放出する電子放
出素子を有する電子源と、前記電子源から放出された電
子を制御するための電極と、前記電子源から放出された
電子が照射される電子線被照射部と、少なくとも前記電
子源および前記電極を収容し、内部が略真空の状態に維
持されるように密閉された気密容器と、前記気密容器の
変形を防止するために前記気密容器の、互いに対向する
壁部の間で該対抗する壁部を支持するように前記気密容
器の内部に配置された耐大気圧支持構造体とを有する電
子線装置であって、前記耐大気圧支持構造体として、上
記の発明による製造方法により製造されたものが用いら
れている。
【0032】上記のとおりの発明では、電子線装置用の
耐大気圧支持構造体が、上述した方法により製造された
ものであり、また、その耐大気圧支持構造体を用いて電
子線装置を構成することにより、上述したように耐大気
圧支持構造体の破壊がなく、気密容器内における耐大気
圧支持構造体での沿面放電を抑制することができるの
で、信頼性の高い耐大気圧支持構造体および電子線装置
が得られる。また、上述したように切断面での突起や欠
けのない耐大気圧支持構造体は、簡略化された工程で容
易に、かつ高い歩留り率で製造されたものであるので、
コストの低い耐大気圧支持構造体および電子線装置が得
られる。
【0033】さらに、上記の発明の電子線装置では、前
記電子線被照射部が、前記電子源に入力された入力信号
に応じて前記電子源から放出された電子が照射されるこ
とにより励起されて発光する蛍光体であってもよく、あ
るいは、前記電子源から放出された電子が照射されるこ
とで画像が形成される画像形成部材であってもよい。
【0034】上記のように、電子線被照射部が蛍光体で
あることにより画像表示装置が構成され、この画像表示
装置では、電子源からの電子が蛍光体に照射され、照射
された蛍光体が励起されて発光することで画像が表示さ
れる。このような画像表示装置では、前述した方法によ
り製造されることで切断面に突起や欠けがない耐大気圧
支持構造体が用いられていることにより、前述したよう
に耐大気圧支持構造体に高抵抗膜を形成するなどして耐
大気圧支持構造体での帯電の発生を防止することができ
るので、耐大気圧支持構造体の帯電によるその近傍の電
子軌道への影響をなくすことができ、その結果、画像表
示装置が高耐圧性を有すると共に画像表示装置の表示品
位が高くなる。また、上述したようにコストの低い耐大
気圧支持構造体が画像表示装置に用いられているので、
画像表示装置の製造コストも低くなる。一方、電子線被
照射部が画像形成部材であることにより、電子源から放
出された電子によって画像形成部材に画像を形成する画
像形成装置としての画像記録装置が構成される。この画
像記録装置でも、耐大気圧支持構造体での帯電の発生を
防止することができるので、画像記録装置が高耐圧性を
有すると共に画像記録装置の記録画像の品位が高くな
る。
【0035】また、前記電子放出素子が冷陰極素子であ
ることが好ましく、さらに、前記電子放出素子が、電子
を放出する電子放出部を含む導電性膜が一対の電極の間
に形成されてなる表面伝導型のものであることが好まし
い。さらに、前記電子源が、単純マトリクス状に配置さ
れた複数の前記冷陰極素子と、複数の前記冷陰極素子を
マトリクス配線する複数の行方向配線および複数の列方
向配線とから構成されたものであることが好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0037】図1は、本発明が適用される一実施形態の
画像表示装置の表示パネルの斜視図である。本実施形態
の画像表示装置は、電子放出素子を有する電子線装置を
適用して構成されたものであり、図1では、表示パネル
部の内部構造を示すためにその表示パネルの一部を破断
して示している。
【0038】図1に示される画像表示装置の表示パネル
では、リアプレート115の表面に基板111が取り付
けられている。リアプレート115の表面の縁部には、
その縁部に沿って側壁116が接合されている。側壁1
16の、リアプレート115側と反対側の面には、リア
プレート115と互いに対抗するフェースプレート11
7が接合されている。フェースプレート117、側壁1
16およびリアプレート115から、表示パネルの内部
を真空に維持するために密閉された、表示パネルの気密
容器(外囲器)131が構成されており、フェースプレ
ート117、側壁116およびリアプレート115がそ
れぞれ、気密容器131の壁部となっている。
【0039】リアプレート115と側壁116との接合
部、および側壁116とフェースプレート117との接
合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいはAr、
窒素などの不活性ガス中で、摂氏400度〜500度で
10分以上焼成することにより、それぞれの構成部品が
互いに接着されており、これにより、気密容器131の
内部が封止されている。気密容器131の内部は10-6
Torr程度の真空に保持されるので、大気圧や不意の
衝撃などによる気密容器131の破壊を防止するため
に、リアプレート115とフェースプレート117との
間、すなわち気密容器131の内部に、図6に基づいて
後述するように電子線装置用の耐大気圧支持構造体に高
抵抗膜および抵抗膜が形成されてなるスペーサ120が
配置されている。
【0040】リアプレート115に固定された基板11
1上には、冷陰極素子112がマトリクス状にN×M個
形成されている。NおよびMは2以上の正の整数であ
り、NおよびMの値は、表示パネルに必要とされる表示
画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビ
ジョンの表示を目的とした表示装置においては、Nの値
を3000以上、Mの値を1000以上に設定すること
が好ましい。これらのN×M個の冷陰極素子112は、
M本の行方向配線113とN本の列方向配線114によ
り単純マトリクス配線されている。これらの基板11
1、冷陰極素子112、行方向配線113および列方向
配線114によってマルチ電子ビーム源132が構成さ
れており、マルチ電子ビーム源132が気密容器131
の内部に収容されている。
【0041】マルチ電子ビーム源132は、複数の冷陰
極素子を単純マトリクス配線した電子源であればよく、
冷陰極素子112の材料や形状、または冷陰極素子11
2の製造方法に特に制限はない。従って、冷陰極素子1
12として、例えば表面伝導型放出素子や電界放出素子
(FE型素子)、あるいは金属/絶縁層/金属型放出素
子(MIM型素子)を用いることができる。本実施形態
では、冷陰極素子112として表面伝導型放出素子を用
いた。
【0042】次に、冷陰極素子112として表面伝導型
放出素子を基板111の表面に配列して、配列された表
面伝導型放出素子を単純マトリクス配線したマルチ電子
ビーム源132の構造について図2および図3を参照し
て説明する。
【0043】図2は、マルチ電子ビーム源132の一部
を拡大した平面図である。図2に示すように、基板11
1上には冷陰極素子(表面伝導型放出素子)112が配
列され、これらの冷陰極素子112は行方向配線113
と列方向配線114により単純マトリクス状に配線され
ている。行方向配線113と列方向配線114の互いに
交差する部分には、配線同士の間に絶縁層(不図示)が
形成されており、その交差する部分では、行方向配線1
13と列方向配線114とが電気的に絶縁された状態が
保たれている。
【0044】図3は、図2のB−B’断面図である。図
3に示すようにマルチ電子ビーム源132では、基板1
11の表面に素子電極141,142がそれぞれ部分的
に形成されている。素子電極141の素子電極142側
の部分の表面、基板111の、素子電極141と142
との間の部分の表面、および素子電極142の素子電極
141側の部分の表面に、導電性薄膜144が形成され
ている。この導電性薄膜144の一部に形成された亀裂
状の部分が電子放出部145となっており、電子放出部
145は、電気的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な
性質を有している。電子放出部145となる亀裂は、導
電性薄膜144に対して通電フォーミングの処理を行う
ことにより形成される。なお、実際の電子放出部145
の位置や形状を精密かつ正確に図示することは困難であ
るため、図3では電子放出部145を模式的に示した。
【0045】電子放出部145の周囲の薄膜143は、
炭素もしくは炭素化合物よりなるものであり、電子放出
部145およびその近傍を被覆している。この薄膜14
3は、通電フォーミング処理の後に通電活性化の処理を
行うことにより形成される。なお、実際の薄膜143の
位置や形状を精密かつ正確に図示することは困難である
ため、図3では薄膜143を模式的に示した。電子放出
部145および薄膜143が形成された導電性薄膜14
4、および素子電極141,142から冷陰極素子11
2が構成されている。
【0046】このような構造のマルチ電子ビーム源13
2を製造する際には、予めに基板111上に行方向配線
113、列方向配線114、電極間絶縁層(不図示)、
素子電極141,142、および導電性薄膜144を形
成する。その後、行方向配線113および列方向配線1
14を介してそれぞれの冷陰極素子112に給電して通
電フォーミング処理、および通電活性化処理などの必要
な処理を行うことにより、マルチ電子ビーム源132を
製造した。本実施形態においては、気密容器131のリ
アプレート115にマルチ電子ビーム源132の基板1
11を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源13
2の基板111が十分な強度を有するものである場合に
は、気密容器131のリアプレートとして基板111自
体を用いてもよい。
【0047】また、図1に示すようにフェースプレート
117のリアプレート115側の下面には、電子線被照
射部として蛍光膜118が形成されている。本実施形態
の画像表示装置はカラー表示装置であるため、蛍光膜1
18の部分は、ブラウン管(CRT)の分野で用いられ
る赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体が塗
り分けられて構成されたものである。
【0048】図4は、蛍光膜118として形成された3
原色の蛍光体のパターンを示す平面図である。また、図
5は、蛍光膜118の蛍光体のパターンの変形例を示す
平面図である。蛍光膜118の各色の蛍光体は、例えば
図4に示すようにストライプ状に塗り分けられ、隣り合
うストライプ状の蛍光体の間には黒色導電材151aが
形成されている。黒色導電体151aを形成する目的
は、蛍光膜118における電子ビームの照射位置に多少
のずれがあっても、表示画面における表示色のずれが生
じないようにすることや、外光の反射を防止して表示コ
ントラストの低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光膜
118のチャージアップを防止することなどがある。黒
色導電体151aの材料としては、黒鉛を主成分とした
ものを用いたが、上記の目的に適するものであればこれ
以外の材料を用いても良い。
【0049】また、蛍光膜118における3原色の蛍光
体の塗り分け方は、図4に示したストライプ状の配列に
限られるものではなく、例えば、図5に示されるような
デルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。図5
に示した蛍光体のパターンにおいても、その蛍光体の配
列に応じてそれぞれの蛍光体の間に黒色導電材151b
が形成されている。黒色導電材151bを形成する目
的、およびその材料は、黒色導電材151aと同様であ
る。なお、モノクロームの表示パネルを作製する場合に
は、単色の蛍光体材料を蛍光膜118として用いればよ
く、また黒色導電材料151a,151bは必ずしも形
成しなくともよい。
【0050】蛍光膜118のリアプレート115側の面
には、CRTの分野では公知の、Alからなるメタルバ
ック119が形成されている。メタルバック119を設
けた目的は、蛍光膜118が発する光の一部を鏡面反射
して光利用率を向上させることや、負イオンの衝突から
蛍光膜118を保護することや、電子ビームを加速させ
る電圧を印加するための電極として作用させることや、
蛍光膜118を励起した電子の導電路として作用させる
ことなどがある。従って、メタルバック119は、冷陰
極素子112から放出された電子を制御する電極として
も用いられている。このメタルバック119は、蛍光膜
118をフェースプレート117上に形成した後、蛍光
膜118の表面を平滑化処理し、蛍光膜118の表面に
Alを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜
118の材料として低電圧用の蛍光体材料を用いた場合
や加速電圧が低い場合には、メタルバック119が無い
ほうが輝度が大きいことがあり、こうした場合にはメタ
ルバック119を用いない。
【0051】また、本実施形態の画像表示装置では用い
なかったが、加速電圧の印加用や、蛍光膜118の導電
性を向上させる目的として、フェースプレート117と
蛍光膜118との間に、例えばITOを材料とする透明
電極を形成してもよい。
【0052】図6は図1のA−A’線断面図である。図
6に示すように、スペーサ120は、電子線装置用の耐
大気圧支持構造体である絶縁性基板1の表面全体に高抵
抗膜11を形成し、かつ高抵抗膜11の面上に低抵抗膜
21a,21bをそれぞれ部分的に形成してなるもので
ある。絶縁性基板1の材料としては、ガラスまたはガラ
スファイバが用いられている。高抵抗膜11は、スペー
サ120表面での帯電を防止するために形成されたもの
である。低抵抗膜21aは、高抵抗膜11の、メタルバ
ック119側となる端面3a、および端面3aに接す
る、端面3a近傍の側面部5aの表面に形成され、低抵
抗膜21bは、高抵抗膜11の、基板111側となる端
面3b、および端面3bに接する、端面3b近傍の側面
部5bの表面に形成されている。
【0053】このようなスペーサ120が、大気圧に対
抗してリアプレート115およびフェースプレート11
7や、マルチ電子ビーム源132、すなわち冷陰極素子
112を支持するために必要な数だけ、かつ必要な間隔
をおいて気密容器131の内部に配置されている。低抵
抗膜21aの、端面3aに形成された部分が接合材14
6aによって、フェースプレート117の内側となるメ
タルバック119に固定され、低抵抗膜21bの、端面
3bに形成された部分が接合材146bによって基板1
11の面上に固定されている。ここで、低抵抗膜21b
は行方向配列113の表面に配置されている。
【0054】図6では、絶縁性基板1の表面全体に高抵
抗膜11が形成されているが、高抵抗膜11は、必ずし
も絶縁性基板1の表面全体に形成されていなくともよ
い。例えば、絶縁性基板1と低抵抗膜21a,21bと
の間には高抵抗膜11が形成されないように、絶縁線部
材1表面の、低抵抗膜21a,21bが形成される部分
を除く部分にのみ、高抵抗膜11を形成してもよい。い
ずれの場合でも、絶縁性基板1の表面全体が高抵抗膜1
1や低抵抗膜21a,21bにより被覆されて絶縁性基
板1の表面が気密容器131内の真空中で露出せず、か
つ、高抵抗膜11が低抵抗膜21aおよび接合材146
aを介してメタルバック119などのフェースプレート
117の内側と電気的に接続され、高抵抗膜11が低抵
抗膜21bおよび接合材146bを介して基板111の
表面の行方向配線113または列方向配線114と電気
的に接続されていればよい。本実施形態では、スペーサ
120の形状を薄板状としてスペーサ120を行方向配
線113と平行に配置し、スペーサ120が行方向配線
113と電気的に接続されている。
【0055】このスペーサ120は、行方向配線113
および列方向配線114とメタルバック119との間に
印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有している必
要がある。スペーサ120を構成する絶縁性基板1の材
料としては、前述した材料に限定されることなく、例え
ば、石英ガラス、Naなどの不純物含有量を減少させた
ガラス、ソーダライムガラス、あるいはアルミナなどの
セラミックス部材などいずれのものを用いてもよい。な
お、絶縁性基板1は、その熱膨張率が気密容器131お
よび基板111を構成する部材の熱膨張率と近いもので
あることが好ましい。
【0056】スペーサ120を構成する高抵抗膜11に
は、高電位側のメタルバック119やフェースプレート
117などに印加される加速電圧Vaを、帯電防止膜で
ある高抵抗膜11の抵抗値Rsで除した電流が流され
る。そこで、スペーサ120における高抵抗膜11の抵
抗値Rsは帯電防止および消費電力の点から望ましい範
囲内に設定される。帯電防止の観点から高抵抗膜11の
シート抵抗値Rは1012Ω/□以下であることが好まし
い。さらに十分な帯電防止効果を得るためには高抵抗膜
11のシート抵抗値Rが1011Ω/□以下であることが
好ましい。高抵抗膜11のシート抵抗値の下限はスペー
サ120の形状と、隣り合うスペーサ120同士の間に
印加される電圧により左右されるが、そのシート抵抗値
の下限は105Ω/□以上であることが好ましい。以上
のことを考慮すると、高抵抗膜11のシート抵抗値は1
7〜1014Ω/□であればよい。
【0057】絶縁性基板1の表面に形成された帯電防止
膜としての高抵抗膜11の厚みtの値は10nm〜1μ
mの範囲であることが望ましい。高抵抗膜11の厚みt
は、構成材料の表面エネルギー、および高抵抗膜11と
絶縁性基板1との密着性や、絶縁性基板1の温度によっ
ても異なるが、一般的に厚さ10nm以下の薄膜は島状
に形成され、その薄膜の電気抵抗は不安定で再現性に乏
しい。一方、膜厚tが1μm以上の膜では膜応力が大き
くなって膜はがれの危険性が高まり、かつ成膜時間が長
くなるために生産性が悪い。従って、高抵抗膜11の膜
厚は50〜500nmであることが望ましい。高抵抗膜
11の比抵抗をρとし、高抵抗膜11の膜厚をtとする
と、高抵抗膜11のシート抵抗値Rはρ/tであり、以
上で説明したシート抵抗値Rと膜厚tの好ましい範囲か
ら、高抵抗膜11の比抵抗ρは0.1〜108Ωcmで
あることが好ましい。さらに、高抵抗膜11のシート抵
抗値と高抵抗膜11の膜厚のより好ましい範囲を実現す
るためには、比抵抗ρは102〜106Ωcmとするのが
良い。
【0058】スペーサ120では、上述したように絶縁
性基板1の表面に形成された高抵抗膜11に電流が流れ
ることにより、あるいは表示パネル全体が動作中に発熱
することによりスペーサ120の温度が上昇する。ここ
で、高抵抗膜11の抵抗温度係数が大きな負の値である
とスペーサ120の温度が上昇した時に高抵抗膜11の
抵抗値が減少して、スペーサ120に流れる電流が増加
し、スペーサ120のさらなる温度上昇をもたらす。こ
の場合、スペーサ120に流れる電流は電源の限界を越
えるまで増加しつづける。このようにスペーサ120で
電流の暴走が発生する高抵抗膜11の抵抗温度係数の値
は、経験的に負の値であり、絶対値が1%以上である。
すなわち、高抵抗膜11の抵抗温度係数は−1%未満で
あることが望ましい。
【0059】スペーサ120において帯電防止特性を有
する高抵抗膜11の材料としては、例えば金属酸化物を
用いることができる。その金属酸化物の中でも、クロ
ム、ニッケル、銅の酸化物が好ましい材料である。その
理由としては、これらの酸化物は二次電子放出効率が比
較的小さく、冷陰極素子112から放出された電子がス
ペーサ120に当たった場合においてもスペーサ120
が帯電しにくためと考えられる。上記の金属酸化物以外
にも炭素は二次電子放出効率が小さく、高抵抗膜11の
材料として好ましいものである。特に、非晶質カーボン
は高抵抗であるため、非晶質カーボンを高抵抗膜11の
材料として用いることにより、スペーサ120の抵抗値
を所望の値に制御しやすい。
【0060】帯電防止特性を有する高抵抗膜11の他の
材料として、アルミと遷移金属合金の窒化物は、遷移金
属の組成を調整することにより良伝導体から絶縁体まで
広い範囲に抵抗値を制御できるので好適な材料である。
また、このアルミと遷移金属合金の窒化物は、後述する
表示装置の製造工程において抵抗値の変化が少なく安定
した材料である。さらに、その窒化物の抵抗温度係数は
−1%未満であり、アルミと遷移金属合金の窒化物は実
用的に使いやすい材料である。遷移金属元素としてはT
i、Cr、Taなどがあげられる。
【0061】高抵抗膜11として形成する合金窒化膜
は、スパッタ、窒素ガス雰囲気中での反応性スパッタ、
電子ビーム蒸着、イオンプレーティング、イオンアシス
ト蒸着法などの薄膜形成方法により絶縁性基板1の表面
に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形成方法で形成
することができるが、この場合、窒素ガスに代えて酸素
ガスを使用する。その他、CVD法、アルコキシド塗布
法でも金属酸化膜を高抵抗膜11として形成できる。高
抵抗膜11としてカーボン膜を形成する場合では、カー
ボン膜は蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCV
D法で形成され、特に非晶質カーボン膜を形成する場合
には、成膜中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、
成膜ガスとして炭化水素ガスを使用する。
【0062】スペーサ120を構成する低抵抗膜21
a,21bは、上述したように高抵抗膜11を高電位側
のフェースプレート117(メタルバック119な
ど)、および低電位側の基板111(行方向配線11
3、列方向配線114など)と電気的に接続するために
形成されたものであり、これらの低抵抗膜21a,21
bはスペーサ120の電極(以下では、スペーサ電極と
も称する)となっている。このスペーサ電極としての低
抵抗膜21a,21bにはそれぞれ、以下で説明する3
つの機能をもたせることができる。
【0063】まず、スペーサ電極としての低抵抗膜21
a,21bにもたせる第1の機能としては、低抵抗膜2
1a,21bによって高抵抗膜11をフェースプレート
117および基板111と電気的に接続することが挙げ
られる。
【0064】上述したように、高抵抗膜11はスペーサ
120表面での帯電を防止する目的で形成されたもので
あるが、高抵抗膜11をフェースプレート117(メタ
ルバック119など)および基板111(行方向配線1
13、列方向配線114など)と直接或いは接合材14
6a,146bを介して接続した場合、接続部の界面に
大きな接触抵抗が発生し、スペーサ120の表面に発生
した電荷を速やかに除去できなくなる可能性がある。こ
れを避けるために、スペーサ120に低抵抗膜21a,
21bを形成し、スペーサ120の、フェースプレート
117、基板111および接合材146a,146bと
接触する部分を、低抵抗のスペーサ電極である低抵抗膜
21a,21bとした。
【0065】次に、スペーサ電極としての低抵抗膜21
a,21bにもたせる第2の機能としては、高抵抗膜1
1の電位分布を均一化することが挙げられる。冷陰極素
子112より放出された電子は、フェースプレート11
7と基板111の間に形成された電位分布に従って電子
軌道を構成する。スペーサ120の近傍で電子軌道に乱
れが生じないようにするためには、高抵抗膜11の電位
分布をその膜の全域にわたって制御する必要がある。高
抵抗膜11をフェースプレート117(メタルバック1
19など)および基板111(行方向配線113、列方
向配線114など)と直接或いは接合材146a,14
6bを介して接続した場合、接続部の界面の接触抵抗の
ために、接続状態のむらが発生し、高抵抗膜11の電位
分布が所望の値からずれてしまう可能性がある。これを
避けるために、スペーサ120がフェースプレート11
7および基板111と当接するスペーサ端部の表面(端
面3a,3bおよび側面部5a,5b)の全領域に低抵
抗のスペーサ電極として低抵抗膜21a,21bを形成
し、このスペーサ電極部に所望の電位を印加することに
よって高抵抗膜11全体の電位を制御可能とすることで
きる。
【0066】さらに、スペーサ電極としての低抵抗膜2
1a,21bにもたせる第3の機能としては、冷陰極素
子112から放出された電子の軌道を制御することが挙
げられる。冷陰極素子112より放出された電子は、フ
ェースプレート117と基板111の間に形成された電
位分布に従って電子軌道を構成する。スペーサ120近
傍の冷陰極素子112から放出された電子に関しては、
スペーサ120を設置することに伴う制約(冷陰極素子
120の位置やその素子の配線の変更など)が生じる場
合がある。このような場合、歪みやむらの無い画像を形
成するためには、冷陰極素子112より放出された電子
の軌道を制御してフェースプレート117上の所望の位
置に電子を照射する必要がある。スペーサ120の、フ
ェースプレート117および基板111と当接する当接
部の側面部5に低抵抗のスペーサ電極としての低抵抗膜
21a,21bを設け、スペーサ120近傍の電位分布
に所望の特性を持たせることにより、放出された電子の
軌道を制御することができる。
【0067】低抵抗膜21aおよび21bの材料として
は、高抵抗膜11に比べて十分に低い抵抗値を有するも
のを選択すればよく、Ni、Cr、Au、Mo、W、P
t、Ti、Al、Cu、Pdなどの金属、あるいは合金
を用いてもよい。さらには、その材料として、Pd、A
g、Auなどの金属やRuO2、Ag−PdOなどの金
属酸化物とガラスなどとから構成される印刷導体、ある
いは、SnO2などの半導体性材料よりなる微粒子をS
bなどのドーパントでドーピングした導電性微粒子を無
機または有機バインダーに分散させた導電性微粒子分散
膜、あるいはIn23−SnO2などの透明導体および
ポリシリコンなどの半導体材料などより適宜選択され
る。
【0068】接合材146a,146bは、スペーサ1
20が行方向配線113およびメタルバック119と電
気的に接続されるように、導電性をもたせる必要があ
る。従って、接合材146a,146bの材料として
は、導電性接着材や金属粒子や導電性フィラーを添加し
たフリットガラスなどが好適である。
【0069】また、側壁116には、表示パネルの行方
向配線113、列方向配線114およびメタルバック1
19を表示パネル外部の不図示の電気回路と電気的に接
続するための、気密構造の電気接続用の端子Dx1
xm,Dy1〜DynおよびHvが取り付けられている。こ
れらの端子は、側壁116から気密容器131の外部に
突出している。端子Dx1〜Dxmはそれぞれ、端子Dx1
xmのそれぞれに対応する行方向配線113と電気的に
接続され、端子Dy1〜Dynはそれぞれ、端子Dy1〜Dyn
のそれぞれに対応する列方向配線114と電気的に接続
され、端子Hvはメタルバック119と電気的に接続さ
れている。
【0070】気密容器131の内部を空気を排気してそ
の内部を真空状態するには、気密容器131を組み立て
た後に、気密容器131に備えられた不図示の排気管と
真空ポンプとを接続し、その真空ポンプを駆動して気密
容器131内の空気を10-7Torr程度の真空度まで
排気する。その後、気密容器131の排気管を封止する
が、気密容器131内の真空度を維持するために、封止
する直前あるいは封止後に気密容器131内の所定の位
置にゲッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜は、
例えばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもし
くは高周波加熱により加熱し蒸着して形成された膜であ
り、そのゲッター膜の吸着作用により気密容器131内
の圧力は1×10-5〜1×10-7Torrの真空度に維
持される。
【0071】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置では、気密容器131の外部に突出した端子Dx1
xm,Dy1〜Dynを通じてそれぞれの冷陰極素子112
に電圧を印加すると、それぞれの冷陰極素子112から
電子が放出される。それと同時にメタルバック119に
容器外の端子Hvを通じて数百V〜数kVの高圧を印加
して、冷陰極素子112から放出された電子を加速し、
加速された電子をフェースプレート117の内面に衝突
させる。これにより、蛍光膜118を構成する各色の蛍
光体が励起されて発光し、表示パネルの表示面に画像が
表示される。
【0072】通常、本実施形態で冷陰極素子112とし
て用いた表面伝導型放出素子への印加電圧は12〜16
V程度であり、メタルバック119と冷陰極素子112
との距離dは0.1〜8mm程度、メタルバック119
と冷陰極素子112との間の電圧は0.1〜10kV程
度である。
【0073】電子線装置は、マルチ電子ビーム源132
と、マルチ電子ビーム源132を収容する気密容器13
1と、気密容器131の壁部を支持するスペーサ120
とから構成されている。
【0074】次に、本発明の電子線装置用の耐大気圧支
持構造体の製造方法として、図1に示したスペーサ12
0の製造方法について説明する。
【0075】まず、耐大気圧支持構造体としての、図6
に示した絶縁性基板1の形状を規定する工程において、
絶縁性基板1となるスペーサ母材の切断加工を行い、絶
縁性基板1を作製する。次に、スペーサ母材を切断した
際に絶縁性基板1の切断面に生じた突起形状または鋭角
な部分、すなわち稜部や、欠けおよびクラックなどをな
くして、絶縁性基板1の切断面を滑らかにするために絶
縁性基板1の平滑化処理を行う。この平滑化処理によっ
て、切断加工直後の絶縁性基板1と比較して、絶縁性基
板1の切断面の稜部や、その切断面近傍の面の稜部が滑
らかな形状となり、絶縁性基板1の切断面の表面積が平
滑化処理の前よりも小さくなる。
【0076】絶縁性基板1の切断面を平滑化する処理の
方法としては、絶縁性基板1の、切断面を含む切断面側
の部分を絶縁性基板1の構成材料の軟化点以上に加熱す
ることによる焼きなまし方法や、絶縁性基板1の切断面
側の部分をケミカルエッチングする方法がある。絶縁性
基板1の平滑化処理の方法として上記のいずれかのもの
を用いることにより、絶縁性基板1の切断部の平滑化を
簡単な工程で、簡便にかつ確実に、しかも安定的に行う
ことができる。
【0077】スペーサ120の形状、すなわち、スペー
サ120を構成する絶縁性基板1の形状を規定するため
の具体的な方法としては、絶縁性基板1の表面に形成す
る高抵抗膜11および低抵抗膜21a,21bの連続性
や、スペーサ120の底面と側面との間の電気的な接続
が良好となるようなスペーサ形状を実現できる方法であ
れば、いかなるものを用いてもよい。
【0078】図7は、絶縁性基板1の形状を規定するた
めの工程に説明するための図である。絶縁性基板1の形
状を規定する方法としては、例えば図7に示すように、
スペーサ120の所望のサイズよりも大きなサイズの板
状のスペーサ母材300を切断し、スペーサ母材300
から絶縁性基板1を切り出すことが可能である。絶縁性
基板1の形状を規定する、さらに簡便な方法として、図
8に基づいて後述するような装置による加熱延伸形成を
用いることができる。
【0079】図8は、スペーサ120を構成する絶縁性
基板1の形状を規定するように、絶縁性基板1となるス
ペーサ母材を作製するための加熱延伸装置について説明
するための図である。
【0080】加熱延伸形成により絶縁性基板1を作製す
るために、図8に示すように所望の大きさの絶縁性基板
1の断面形状と相似形状の断面を有するスペーサ母材3
01を用いる。スペーサ母材301は、一定の断面積で
一方向に延びる柱状部材であり、スペーサ母材301の
材料として、絶縁性基板1の構成材料と同じものが用い
られている。ここで、所望の大きさの絶縁性基板1の断
面積をS1、スペーサ母材301の断面積をS2とする
と、断面積S1とS2の関係はS1/S2<1を満たしてい
る。すなわち、断面積S2は断面積S1よりも大きくなっ
ている。
【0081】このようなスペーサ母材301の両端部を
支持し、スペーサ母材301の長手方向の一部を加熱手
段161によって軟化点以上の温度に加熱すると共に、
スペーサ母材301が加熱手段161を通過するように
スペーサ母材301の長手方向にスペーサ母材301を
送り出す。ここで、スペーサ母材301の送り出し方向
における加熱手段161よりも上流側の、スペーサ母材
301の一方の端部2bを、加熱手段161に向かう方
向、すなわちスペーサ母材301の、加熱されている部
分に向かう方向に速度v2で送り出し、加熱手段161
よりも下流側のもう一方の端部2aを、端部2bの送り
出し方向と同一方向に速度v1で引き出す。この時、こ
れらの速度v1,v2と、断面積S1,S2との関係はS1
1=S22を満たす。加熱手段161による加熱温度
は、絶縁性基板1の構成材料の種類、加工形状によるが
通常500〜700℃とする。
【0082】次に、スペーサ母材301の、断面積がS
1となった部分を冷却した後、引き伸ばされたスペーサ
母材301を所望の長さに切断することにより、図6に
示した絶縁性基板1を形成する。スペーサ母材301を
切断する方法としては、ダイヤモンドカッターによる切
断、砥粒による切断、レーザーによる切断など様々な方
法を用いることができる。
【0083】さらに、スペーサ120を構成する絶縁性
基板1として、その材料がガラスまたはガラスファイバ
ーからなるものを用いることにより、安価で、切削また
は研磨などの加工が容易で、組み立て強度が良好な電子
線装置を作製することが可能となる。
【0084】前述したように、本実施形態の画像表示装
置の表示パネルでは、電子放出素子として、電極間に電
子放出部を含む導電性膜を有する表面伝導型の冷陰極素
子を用いることにより、素子の構造が簡単でかつ高輝度
が得られる。
【0085】また、電子線被照射部としては、画像記録
という観点から様々な材料により潜像を形成できるもの
を用いることが可能であるが、電子線被照射部が、蛍光
体からなるものであることにより、安価に動画像を提供
できる画像表示装置が得られる。
【0086】さらに、電子線被照射部として、蛍光膜1
18に代えて、入力信号に応じて電子放出素子から放出
された電子が照射されることで画像を形成する画像形成
部材を用いることにより、画像形成装置としての画像記
録装置に電子線装置を応用することができる。例えば、
本実施形態の画像表示装置に適用した電子線装置を、感
光性ドラムと発光ダイオードなどで構成された光プリン
タの発光ダイオードなどの代替の発光源として用いるこ
とで画像記録装置を構成することができる。この際、m
本の行方向配線とn本の列方向配線を適宜選択すること
で、ライン状発光源だけでなく、2次元状の発光源とし
ても応用できる。この場合、画像形成部材として、電子
の帯電による潜像画像が形成されるような部材を用いる
ことができる。また、本実施形態のスペーサが用いられ
た電子線装置は、例えば電子顕微鏡のように、電子源か
らの放出電子の電子線被照射部が、蛍光体などの画像形
成部材以外のものである場合についても適用できる。従
って、本発明は、電子線被照射部を特定しない一般的な
電子線装置としての形態もとりうる。
【0087】上述したように、絶縁性基板1の切断面を
平滑化する処理の方法としては、絶縁性基板1の切断部
を絶縁性基板1の構成材料の軟化点以上に加熱すること
による焼きなまし方法や、絶縁性基板1の切断面をケミ
カルエッチングする方法がある。絶縁性基板1の平滑化
処理の方法として上記のいずれかのものを用いることに
より、絶縁性基板1の切断部の平滑化を簡便にかつ確実
に行うことができる。そして、このように絶縁性基板1
の切断面の平滑化を行うことで、スペーサ120の耐応
力性、およびスペーサ120の耐高電圧性、すなわち沿
面耐圧が向上し、スペーサ120の表面での放電が抑制
される。
【0088】
【実施例】以下で説明する各実施例においては、冷陰極
素子112として、前述した、電極間の導電性微粒子膜
を有するタイプの表面伝導型電子放出素子をN×M個
(N=3072、M=1024)配列し、それらの冷陰
極素子112を、図1および図2に示したようにM本の
行方向配線113とN本の列方向配線114とによりマ
トリクス配線したマルチ電子ビーム源132を用いた表
示パネルためのスペーサ120の製造方法を中心に説明
する。
【0089】(第1の実施例)本発明の第1の実施例に
係る電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法とし
ての、スペーサ120の製造方法では、まず、リアプレ
ート115と同じ材料であるソーダライムガラスをスペ
ーサ母材として、加熱延伸加工により柱状ガラスを作製
する。
【0090】図9は、加熱延伸加工によりスペーサ母材
として作製された柱状ガラスの断面形状について説明す
るための図である。図9(a)が柱状ガラスの断面の寸
法について説明するための図であり、図9(b)が、図
9(a)のB部を拡大した図である。図9(a)に示す
ように、加熱延伸加工により作製された柱状ガラス30
2の寸法としては、幅wが3mm、厚さtが0.2mm
となっている。また、図9(b)に示すように、柱状ガ
ラス302の4隅は曲率半径0.02mmの曲面部30
2aとなっている。
【0091】このような柱状ガラス302を長さ40m
mに、ナイフエッジにより切断することにより、柱状ガ
ラス302から、図6に示したスペーサ120を構成す
る絶縁性基板1を切り出し、絶縁性基板1を作製した。
【0092】図10は、柱状ガラス302から切り出さ
れた絶縁性基板1の切断面側の端部を示す斜視図であ
る。次に、ガスバーナーを用いて、図10に示される絶
縁性基板1の切断面1aを600℃において約5秒間加
熱し、その後除冷することにより切断面1aや、切断面
1aの周囲を平滑化した。
【0093】図11は、絶縁性基板1の切断面1aを平
滑化した後の絶縁性基板1の切断面1a側の端部を示す
斜視図である。絶縁性基板1の切断面1aを焼きなまし
によって平滑化することにより、図11に示すように、
切断面1aの微小突起および欠けの部分の表面が滑らか
な形状となる。
【0094】図12は、絶縁性基板1の切断面1aが平
滑化される現象について説明するための図である。図1
2(a)は、絶縁性基板1の切断面1aが平滑化される
前の切断面1aにおける微小突起および欠けの部分を拡
大した模式図であり、図12(b)は、絶縁性基板1の
切断面1aを平滑化した後に切断面1aを光学顕微鏡に
より観察した際の切断面1aを示す図である。図12
(a)に示すように絶縁性基板1の切断面1aにある微
小突起および欠けの部分が、焼きなましによって切断面
1aを平滑化する処理後、それらの微小突起および欠け
の部分の表面が滑らかな形状となり、光学顕微鏡を用い
て切断面1aを観察した際に、図12(b)に示すよう
に切断面1aに欠けや突起などが存在せず、切断面1a
が滑らかな平滑面となっていることを確認した。
【0095】次に、上記の工程で作製された絶縁性基板
1の、フェースプレート117との接続部、および基板
111との接続部に、図6に示した低抵抗膜21a,2
1bを形成する。
【0096】図13は、絶縁性基板1に平滑化処理を行
った後に絶縁性基板1に低抵抗膜を部分的に形成する方
法について説明するための図である。まず、図13
(a)に示すように、直方体のガラス製固定治具303
と絶縁性基板1とを交互にそれぞれ複数個並べて配置す
る。絶縁性基板1の高さは、図9に示した幅wに対応し
て3mmとなっており、ガラス製固定治具303の寸法
としては、高さが2.8mm、幅が42mm、奥行きt
が1.1mmとなっている。それぞれのガラス固定治具
303および絶縁性基板1の、高さ方向における一方の
面を同一平面内に配置させて、それらを固定し、それぞ
れの絶縁性基板1の、フェースプレート117との接続
部をガラス製固定治具303の上面から突出させる。
【0097】次に、それぞれの絶縁性基板1の、フェー
スプレート117との接続部の表面、およびそれぞれの
ガラス製固定治具303の上面に、厚さ10nmのTi
膜をスパッタにより幅200μmの帯状に気相形成し、
その後、形成されたTi膜の表面や、それぞれの絶縁性
基板1の、フェースプレート117との接続部の表面、
およびそれぞれのガラス製固定治具303の上面に、厚
さ200nmのPt膜をスパッタにより気相形成するこ
とにより、図13(b)に示すように、それらのTi膜
およびPt膜からなる低抵抗膜21aを形成する。そし
て、絶縁性基板1とガラス製固定治具303とを引き離
すことにより、図13(c)に示すように、絶縁性基板
1の、フェースプレート117との接続部の表面に低抵
抗膜21aが形成されたものが作製される。
【0098】このようなガラス製固定治具を用いたスパ
ッタによるTiおよびPt膜の成膜工程を絶縁性基板1
の、基板111との接続部の表面に対しても同様に行
い、図13(d)に示すように絶縁性基板1の、基板1
11との接続部の表面に低抵抗膜21bを形成する。こ
こで、低抵抗膜21a,21bを形成するそれぞれの工
程で帯状に形成したTi膜は、Pt膜の、絶縁性基板1
との膜密着性を補強する下地層として必要であった。
【0099】その後、絶縁性基板1の、露出している面
全体に、帯電防止膜である高抵抗膜11として、Crお
よびAlのターゲットを高周波電源で同時にスパッタす
ることによりCr−Al合金窒化膜を膜厚200nmだ
け形成した。この工程では、スパッタガスとして、A
r:N2の比率が1:2の混合ガスを用い、全圧力は1
mTorrである。このような条件で同時成膜した膜の
シート抵抗値Rは2×109Ω/□であった。高抵抗膜
11としてはCr−Al合金窒化膜に限らず、前述した
ような種々の帯電防止膜を使用することが可能である。
【0100】次に、上述した方法により製造されたスペ
ーサ120を用いて、図1および図6に示した表示パネ
ルを製造する方法について説明する。
【0101】まず、予め、行方向配線電極113、列方
向配線電極114、電極間絶縁層(不図示)、および表
面伝導型放出素子である冷陰極素子112を形成するた
めの素子電極と導電性薄膜が表面に形成された基板11
1を、リアプレート115に固定する。次に、上述した
工程を経て製造されたスペーサ120を基板111の行
方向配線113上に等間隔で、行方向配線113と平行
に固定する。その後、基板111の行方向配線113の
表面から3mm上方にメタルバック119が配置される
ように、内面に蛍光膜118およびメタルバック119
が付設されたフェースプレート117を側壁116を介
して配置し、リアプレート115、フェースプレート1
17、側壁116およびスペーサ120の各接合部を固
定する。基板111とリアプレート115の接合部、リ
アプレート115と側壁116の接合部、およびフェー
スプレート117と側壁116の接合部にフリットガラ
ス(不図示)を塗布し、これらの構成部品を大気中で4
00〜500℃で10分以上焼成することでそれらの構
成部品を封着した。
【0102】また、スペーサ120は、基板111側で
は行方向配線113(線幅300μm)上に、フェース
プレート117側ではメタルバック119の面上に、導
電性のフィラーあるいは金属などの導電材を混合した導
電性フリットガラス(不図示)を介して配置し、気密容
器131の封着と同時に大気中で400〜500℃で1
0分以上焼成することで接着し、かつ、スペーサ120
の低抵抗膜21aとメタルバック119との電気的な接
続、およびスペーサ120の低抵抗膜21bと行方向配
線113との電気的な接続も行った。
【0103】なお、本実施例においては、蛍光膜118
としては、図4に示したように、各色蛍光体が列方向
(Y方向)に延びるストライプ形状となるものを採用
し、黒色導電材151aは各色蛍光体(R、G、B)の
間だけでなく、Y方向で各画素間をも分離するように配
置されたものを蛍光膜118として用い、スペーサ12
0は、行方向(X方向)に平行な黒色導電材151aの
領域(線幅300μm)内にメタルバック119を介し
て配置された。なお、前述の気密容器131の封着を行
う際には、蛍光膜118の各色蛍光体と基板111上に
配置された冷陰極素子112とを対応させなければなら
ないため、リアプレート115、フェースプレート11
7およびスペーサ120の位置合わせを十分に行った。
【0104】以上の工程を経て完成した気密容器131
の内部を排気管(不図示)を通じて真空ポンプにて排気
する。気密容器131内が十分な真空度に達した後、端
子D x1〜DxmとDy1〜Dynを通じ、行方向配線電極11
3および列方向配線電極114を介してそれぞれの素子
電極に給電して前述の通電フォーミング処理と通電活性
化処理を行うことにより、基板111上に各冷陰極素子
112が形成されてなるマルチ電子ビーム源132を作
製した。
【0105】次に、圧力が10-6Torr程度の真空度
で、気密容器131内の空気を排気するために用いた不
図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し、気
密容器131の封止を行った。最後に、封止後の気密容
器131内の真空度を維持するために、ゲッター処理を
行った。
【0106】このような工程を経て完成した図1および
図6に示した表示パネルを用いた画像表示装置におい
て、各冷陰極素子(表面伝導型放出素子)112に、端
子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号および変調
信号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ印加すること
により各冷陰極素子112から電子を放出させる。それ
と共に、メタルバック119に、高圧端子Hvを通じて
高圧を印加することにより各冷陰極素子112から放出
された電子ビームを加速し、蛍光膜118に電子を衝突
させ、蛍光膜118の各色蛍光体(図4に示したR、
G、B)を励起させて発光させることで表示パネルの表
示面に画像を表示した。なお、高圧端子Hvへの印加電
圧Vaは3〜12kVの範囲で徐々に放電が発生する限
界電圧まで印加し、行方向配線113と列方向配線11
4との間への印加電圧Vfは14Vとした。高圧端子Hv
に8kV以上電圧を印加して連続駆動が一時間以上可能
な場合に、耐電圧は良好と判断した。
【0107】本実施例で製造された表示パネルに対する
比較例として、スペーサ母材として加熱延伸法で作製し
た柱状ガラスをダイヤモンドカッターで切断し、スペー
サを構成する絶縁性基板を作製した後、特に平滑化処理
を施していない絶縁性基板のうちで、10μm以上の突
起部分および欠けの見られたものをスペーサ基板として
選択し、選択されたものを用いて、上述した通りの方法
で表示パネルを製造し、上記の平滑化処理を行った絶縁
性基板1を用いたものとの比較検討を行った。
【0108】このとき、平滑化処理を行わなかったスペ
ーサを用いたパネルにおいては、微小放電あるいは沿面
放電が見られる場合があったのに対し、平滑化処理を実
施した絶縁性基板1をスペーサ基板として用いた表示パ
ネルにおいては微小放電なども見られることはなく、そ
の耐電圧性は良好であり、本発明における焼きなましに
よって絶縁性基板1の切断面を平滑化するという処理の
有効性、優位性を確認することができた。
【0109】(第2の実施例)本発明の第2の実施例に
係る電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法は、
第1の実施例の製造方法と比較して、スペーサ母材から
切り出された絶縁性基板の切断面を平滑化処理する際
に、切断面を加熱せずにケミカルエッチングにより平滑
化処理を行う点が主に異なっている。以下では、第1の
実施例と異なる点を中心に説明する。
【0110】まず、第1の実施例と同様に、ソーダライ
ムガラスを母材とし、図8に基づいて説明した加熱延伸
法により作製した柱状ガラスからナイフエッジで絶縁性
基板1をスペーサ基板として切り出す。切り出された絶
縁性基板1に対して、その切断面側の端部を30℃の1
%HF溶液をエッチャントとしてエッチングすることに
より、絶縁性基板1の切断面を平滑化した。平滑化の処
理後、光学顕微鏡を用いて、絶縁性基板1の切断面に欠
けや突起などが存在せず、なめらかな平滑面が形成され
ていることを確認した。
【0111】その後、第1の実施例と同様にして、絶縁
性基板1に低抵抗膜21a,21bおよび高抵抗膜11
を成膜してなるスペーサ120を作製した後、冷陰極素
子112が組み込まれたリアプレート115などと共に
画像表示装置を作製し、第1の実施例と同様の条件で高
圧印加、および冷陰極素子112の駆動を行った。
【0112】このとき、スペーサ120近傍での微小放
電などは見られることなく、その耐電圧性は良好であっ
た。第1の実施例と同様の比較例を用いて比較検討を行
った結果、本発明におけるケミカルエッチングによって
絶縁性基板1の切断面を平滑化するという処理の有効
性、優位性を確認することができた。
【0113】(第3の実施例)本発明の第2の実施例に
係る電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法は、
第1および2の実施例の製造方法と比較して、耐大気圧
支持構造体としてのスペーサを構成する絶縁性基板の作
製方法が主に異なっている。以下では、第1の実施例と
異なる点を中心に説明する。
【0114】まず、図7に示しような形状で、長さ16
6mm、幅90mm、厚さ0.2mmのソーダライムガ
ラスからなるスペーサ母材300を、ダイヤモンドカッ
ターを用いて切断し、長さ40mm、幅3mm、厚さ
0.2mmの絶縁性基板1をスペーサ基板として作製す
る。この絶縁性基板1の4つの切断面に対し、30℃の
1%HF溶液をエッチャントとしてエッチングすること
により、絶縁性基板1の切断面の平滑化処理を行った。
平滑化処理の後、光学顕微鏡を用いて、絶縁性基板1の
全ての切断面に欠けや突起などが存在せず、鋭角的な部
分のない平滑面が形成されていることを確認した。
【0115】その後、第1の実施例と同様にして絶縁性
基板1に低抵抗膜21a,21bおよび高抵抗膜11を
成膜した後、冷陰極素子112が組み込まれたリアプレ
ート115などと共に画像表示装置を作製し、第1の実
施例と同様の条件で高圧印加、および冷陰極素子112
の駆動を行った。
【0116】本実施形態で製造された表示パネルの比較
例として、スペーサ母材300から切り出した絶縁性基
板1において平滑化処理を行わなかったものを用いて、
同様な方法で画像表示装置を作製して高圧印加、および
冷陰極素子112の駆動を行い、上記の平滑化処理を行
った絶縁性基板1を用いたものとの比較検討を行った。
【0117】このとき、平滑化処理を行わなかったスペ
ーサの近傍で微小放電あるいは沿面放電などが観測され
た場合があったのに対し、平滑化処理を行ったスペーサ
120の近傍においては、そのような放電現象は観測さ
れず、その耐電圧性が良好であることがわかり、本発明
の有効性、優位性を確認することができた。
【0118】本発明における耐大気圧支持構造体として
の絶縁性基板1の切断面を平滑化する処理方法は、いず
れも処理工程が簡便かつ容易であり、また平滑化処理に
より得られる切断面の平滑度も優れており、耐大気圧支
持構造体の放電耐圧も良好であるので、電子線装置を適
用した画像表示装置としてのディスプレイの表示品位が
向上し、かつ量産性と低コストなどが求められる製造工
程、およびこの方法により製造された耐大気圧支持構造
体を使用する電子線装置に対して特に有効なものであ
る。
【0119】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、気密容器
の壁部を支持するための耐大気圧支持構造体を、母材を
切断して製造する際に、耐大気圧支持構造体の切断面を
平滑化する処理を行うことにより、切断時に耐大気圧支
持構造体の切断面に生じた突起や欠けおよびクラックな
どがなくなり、欠け、クラックなどへの応力集中による
スペーサの座屈破壊を防止できるという効果がある。ま
た、耐大気圧支持構造体の突起部分などでの電界集中に
より誘発される沿面放電が抑制され、耐大気圧支持構造
体の耐電圧性が向上する。さらに、耐大気圧支持構造体
の帯電を防止するために耐大気圧支持構造体の表面に形
成された高抵抗膜のはがれが防止され、電子線装置の内
部に耐大気圧支持構造体を組み込んだ際に、耐大気圧支
持構造体の表面での微小放電が防止される。具体的に
は、耐大気圧支持構造体の切断面を平滑化する処理とし
て、その切断面を焼きなましする方法、あるいはケミカ
ルエッチング法を用いることにより、耐大気圧支持構造
体を製造するプロセスが簡略化されると共に歩留まり率
が向上し、耐大気圧支持構造体の製作コストが抑制され
るという効果がある。
【0120】さらには、本発明の電子線装置を画像表示
装置に適用した場合、以上の効果によって、耐大気圧支
持構造体および電子線装置の製造コストが低下し、高耐
圧性を有し、耐大気圧支持構造体での帯電による発光部
の変位の抑えられた表示品位の高い画像表示装置を安価
に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される一実施形態の画像表示装置
の表示パネルの斜視図である。
【図2】図1に示したマルチ電子ビーム源の一部を拡大
した平面図である。
【図3】図2のB−B’断面図である。
【図4】図1に示した蛍光膜として形成された3原色の
蛍光体のパターンを示す平面図である。
【図5】図1に示した蛍光膜の蛍光体のパターンの変形
例を示す平面図である。
【図6】図1のA−A’線断面図である。
【図7】図6に示したスペーサを構成する絶縁性基板の
形状を規定するための工程に説明するための図である。
【図8】図6に示したスペーサを構成する絶縁性基板の
形状を規定するようにスペーサ母材を作製するための加
熱延伸装置について説明するための図である。
【図9】加熱延伸加工によりスペーサ母材として作製さ
れた柱状ガラスの断面形状について説明するための図で
ある。
【図10】図9に示した柱状ガラスから切り出された絶
縁性基板の切断面側の端部を示す斜視図である。
【図11】図10に示した絶縁性基板の切断面を平滑化
した後の絶縁性基板の切断面側の端部を示す斜視図であ
る。
【図12】図10に示した絶縁性基板の切断面が平滑化
される現象について説明するための図である。
【図13】絶縁性基板に平滑化処理を行った後に絶縁性
基板に低抵抗膜を部分的に形成する方法について説明す
るための図である。
【図14】従来の表面伝導型電子放出素子の平面図であ
る。
【図15】従来の平面型の画像表示装置における表示パ
ネル部の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 1a 切断面 2a、2b 端部 3a、3b 端面 5a、5b 側面部 11 高抵抗膜 21a、21b 低抵抗膜 111 基板 112 冷陰極素子 113 行方向配線 114 列方向配線 115 リアプレート 116 側壁 117 フェースプレート 118 蛍光膜 119 メタルバック 120 スペーサ 131 気密容器 132 マルチ電子ビーム源 141、142 素子電極 143 薄膜 144 導電性薄膜 145 電子放出部 146a、146b 接合材 151a、151b 黒色導電材 161 加熱手段 300、301 スペーサ母材 302 柱状ガラス 302a 曲面部 303 ガラス製固定治具
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 靖浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C012 AA01 BB07 5C032 AA01 CC05 CC10 CD04 CD05 5C036 EE09 EE14 EE19 EF01 EF06 EF09 EG01 EG02 EG31 EH01 EH26

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が略真空に密閉された気密容器の内
    部に、電子放出素子、および前記気密容器の、互いに対
    向する壁部を支持するように配置された電子線装置用の
    耐大気圧支持構造体の製造方法であって、 前記耐大気圧支持構造体の構成材料からなる母材を切断
    することにより前記耐大気圧支持構造体を形成する工程
    と、 前記耐大気圧支持構造体の切断面の稜部が滑らかな形状
    となり、前記切断面の表面積が小さくなるように前記切
    断面を平滑化する処理を行う工程とを有する電子線装置
    用の耐大気圧支持構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記耐大気圧支持構造体の切断面を平滑
    化する処理を行う工程で、前記母材を切断した際に前記
    耐大気圧支持構造体の切断面、および該切断面の近傍の
    面に生じた微小な突起、または微小な欠けの稜部が滑ら
    かな形状となるように前記切断面を平滑化する請求項1
    に記載の電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記耐大気圧支持構造体の切断面を平滑
    化する処理を行う工程として、前記耐大気圧支持構造体
    の切断面側の部分を前記耐大気圧支持構造体の構成材料
    の軟化点以上の温度に加熱することによる焼きなましを
    行う請求項1または2に記載の電子線装置用の耐大気圧
    支持構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記耐大気圧支持構造体の切断面を平滑
    化する処理を行う工程として、前記耐大気圧支持構造体
    の切断面側の部分に対してケミカルエッチングの処理を
    行う請求項1または2に記載の電子線装置用の耐大気圧
    支持構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記母材を形成する工程が、 前記耐大気圧支持構造体の構成材料と同じ材料からな
    り、前記耐大気圧支持構造体の断面形状と相似の断面形
    状、および前記耐大気圧支持構造体の断面積よりも大き
    な断面積を有する柱状部材を用意する工程と、 前記柱状部材の両端部を支持し、前記柱状部材の長手方
    向の一部を前記柱状部材の構成材料の軟化点以上の温度
    に加熱すると共に、前記柱状部材の一方の端部を前記長
    手方向の一部に向けて送り出し、他方の端部を前記一方
    の端部の送り出し方向と同じ方向に引き出すことによ
    り、前記柱状部材を引き伸ばす工程と、 前記柱状部材の、引き伸ばされた部分を冷却することに
    より、前記柱状部材の引き伸ばされた部分からなる前記
    母材を形成する工程とから構成されている請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の電子線装置用の耐大気圧支持構
    造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記母材の構成材料としてガラスまたは
    ガラスファイバーを用いる請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記耐大気圧支持構造体の表面に、シー
    ト抵抗値が107〜1014Ω/□の高抵抗膜を形成する
    工程をさらに有する請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 内部が略真空の状態に維持されるように
    密閉された気密容器の内部に、電子を放出する電子放出
    素子が収容された電子線装置で、前記気密容器の変形を
    防止するために前記気密容器の、互いに対向する壁部の
    間で該対抗する壁部を支持するように前記気密容器の内
    部に配置された電子線装置用の耐大気圧支持構造体であ
    って、 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子線装置用の耐
    大気圧支持構造体の製造方法により製造された電子線装
    置用の耐大気圧支持構造体。
  9. 【請求項9】 電子を放出する電子放出素子を有する電
    子源と、前記電子源から放出された電子を制御するため
    の電極と、前記電子源から放出された電子が照射される
    電子線被照射部と、少なくとも前記電子源および前記電
    極を収容し、内部が略真空の状態に維持されるように密
    閉された気密容器と、前記気密容器の変形を防止するた
    めに前記気密容器の、互いに対向する壁部の間で該対抗
    する壁部を支持するように前記気密容器の内部に配置さ
    れた耐大気圧支持構造体とを有する電子線装置であっ
    て、 前記耐大気圧支持構造体として、請求項8に記載の電子
    線装置用の耐大気圧支持構造体が用いられている電子線
    装置。
  10. 【請求項10】 前記電子線被照射部が、前記電子源に
    入力された入力信号に応じて前記電子源から放出された
    電子が照射されることにより励起されて発光する蛍光体
    である請求項9に記載の電子線装置。
  11. 【請求項11】 前記電子線被照射部が、前記電子源か
    ら放出された電子が照射されることで画像が形成される
    画像形成部材である請求項9に記載の電子線装置。
  12. 【請求項12】 前記電子放出素子が冷陰極素子である
    請求項9〜11のいずれか1項に記載の電子線装置。
  13. 【請求項13】 前記電子放出素子が、電子を放出する
    電子放出部を含む導電性膜が一対の電極の間に形成され
    てなる表面伝導型のものである請求項9〜12のいずれ
    か1項に記載の電子線装置。
  14. 【請求項14】 前記電子源が、単純マトリクス状に配
    置された複数の前記冷陰極素子と、複数の前記冷陰極素
    子をマトリクス配線する複数の行方向配線および複数の
    列方向配線とから構成されたものである請求項9〜13
    のいずれか1項に記載の電子線装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003092035A1 (fr) * 2002-04-25 2003-11-06 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Espaceur de verre utilisant un ecran a excitation par faisceau electronique
US7704115B2 (en) 2004-08-04 2010-04-27 Canon Kabushiki Kaisha Supporting structure, method of manufacturing supporting structure, and display apparatus using the same
US7772754B2 (en) 2006-01-31 2010-08-10 Samsung Sdi Co., Ltd. Electron emission display spacer with flattening layer and manufacturing method thereof

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US7704115B2 (en) 2004-08-04 2010-04-27 Canon Kabushiki Kaisha Supporting structure, method of manufacturing supporting structure, and display apparatus using the same
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