JP2000251614A - 電界放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電界放出素子及びその製造方法

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JP2000251614A
JP2000251614A JP4648699A JP4648699A JP2000251614A JP 2000251614 A JP2000251614 A JP 2000251614A JP 4648699 A JP4648699 A JP 4648699A JP 4648699 A JP4648699 A JP 4648699A JP 2000251614 A JP2000251614 A JP 2000251614A
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field emission
cathode
substrate
emitter
emission device
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Shigeo Ito
茂生 伊藤
Tatsuo Yamaura
辰雄 山浦
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Futaba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カーボンナノチューブ(CNT)をエミッタと
する電界放出素子において、CNTを電界引き出しの方
向である基板と垂直な方向に向けて電気的かつ機械的に
確実に固定する。 【構成】 カソード基板2のカソード導体3の上には絶
縁層4がある。その上にはゲート電極5がある。絶縁層
4とゲート電極5の開口6内には、カソード導体3があ
り、その上にはコバルト層7によって多数のCNT8が
強固に固着されている。CNT8の少なくとも一部分
は、その長手方向をカソード基板2の表面に対して略垂
直な方向を向いている。従来の電界放出素子に比べて得
られる電流密度が高い。CNT8の固着は機械的・電気
的に強固である。CNT8はカソード基板2から剥離し
にくく、カソード導体3に対する接触抵抗が低い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エミッタがカーボ
ンナノチューブで構成されている電界放出素子及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】FED(Field Emission Display)は、内
部が高真空状態とされた薄型パネル状の外囲器を有して
いる。この外囲器は、微小な間隔をおいて一対の基板を
対面させ、両基板の各外周の間にスペーサ部材を設けて
封着した構造となっている。この外囲器において、対向
している一対の基板の一方の内面には、陽極導体と、該
陽極導体の表面に設けられた蛍光体層からなる陽極が設
けられている。また、これに対向する他方の基板の内面
には、電界放出形陰極が設けられている。電界放出形陰
極は、他方の基板の内面に設けられた陰極導体と、陰極
導体に設けられたエミッタと、エミッタの先端に近接し
て設けられたゲート電極とを有している。
【0003】前記FEDのエミッタとしてはMo等を蒸
着等の手法でコーン形状に形成したものが知られている
が、近年、カーボンナノチューブを用いたものが特開平
9−221309号にて公開された。図4に示すよう
に、この装置は、炭素質基板100の上にカーボンナノ
チューブ層101を形成し、その上方に電子線引き出し
電極102を設けたものである。カーボンナノチューブ
層101と電子線引き出し電極102の間に適当な電位
差を与えれば、カーボンナノチューブ層101から電子
が電界放出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図4に示した電界放出
素子の製造において、カーボンナノチューブのエミッタ
を基板上に形成するには、カーボンナノチューブをペー
スト化して基板の陰極に印刷したり、沈降法で基板の陰
極上に堆積させる手法を用いることができる。しかしな
がら、このような方法で形成したエミッタにおいては、
電子のエミッション源となるカーボンナノチューブの先
端が電界引き出しの方向である基板に垂直な方向を向い
ている確率が低い。このため、カーボンナノチューブを
用いた従来構造のエミッタを有する電界放出素子には、
得られる取り出し電流密度が低いという問題があった。
【0005】特に、カーボンナノチューブをペースト化
して基板の陰極上に印刷する方法の場合には、カーボン
ナノチューブをペースト化するための分散剤や添加剤が
カーボンナノチューブとともにエミッタ層を構成するこ
ととなるため、結果的にエミッタ層には電子を放出する
のに必要のない材料が含まれることになり、このために
エミッション電流密度が低くなるという問題があった。
【0006】本発明は、カーボンナノチューブをエミッ
タとする電界放出素子において、カーボンナノチューブ
を電界引き出しの方向である基板と垂直な方向に向けて
電気的かつ機械的に確実に固定することを目的としてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1に記載された
電界放出素子(1)は、カソード基板(2)に形成され
たカソード導体(3)にエミッタとしてのカーボンナノ
チューブ(8)が設けられた電界放出素子において、前
記カーボンナノチューブが、VIII族元素とIb族元
素からなる群から選択された元素を含む層(金属層7)
を介して前記カソード導体に固着されていることを特徴
としている。
【0008】請求項2に記載された電界放出素子の製造
方法は、カソード基板(2)に形成されたカソード導体
(3)にエミッタとしてのカーボンナノチューブ(8)
が設けられた電界放出素子の製造方法において、VII
I族元素及びIb族元素からなる群から選択された元素
の化合物とカーボンナノチューブとを含む電着液(2
1)に、負電極(23)としての前記カソード基板と正
電極(22)とを浸漬して電圧を加え、前記カソード基
板の前記カソード導体に、VIII族元素とIb族元素
からなる群から選択された元素を含む層(金属層7)を
介して前記カーボンナノチューブを固着させることを特
徴としている。
【0009】請求項3に記載された電界放出素子の製造
方法は、請求項2記載の電界放出素子の製造方法におい
て、前記元素をAとした場合、前記化合物がAx (NO
3 y ・6H2 O(x,y>0)であることを特徴とし
ている。
【0010】請求項4に記載された電界放出素子の製造
方法は、請求項2記載の電界放出素子の製造方法におい
て、前記元素をAとした場合、前記化合物がAx (SO
4 y ・6H2 O(x,y>0)であることを特徴とし
ている。
【0011】請求項5に記載された電界放出素子の製造
方法は、請求項2記載の方法において、前記元素がCo
であり、前記化合物がCo(NO3 2 ・6H2 Oであ
ることを特徴としている。
【0012】請求項6に記載された電界放出素子の製造
方法は、請求項2記載の方法において、前記元素がNi
であり、前記化合物がNi(SO4 2 ・6H2 Oであ
ることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例を図1
及び図2を参照して説明する。図1は、本例の電界放出
素子1を示している。カソード基板2の内面にはカソー
ド導体3が形成されている。カソード導体3の上には絶
縁層4が形成されている。絶縁層4の上にはゲート電極
5が形成されている。絶縁層4とゲート電極5は開口し
ており、開口6は(空孔)はカソード導体3に達してい
る。開口6内に露出したカソード導体3の上面には、コ
バルト(Co)からなる金属層7が被着されている。こ
の金属層7によって多数のカーボンナノチューブ8がカ
ソード基板2に対して固定されている。カソード導体3
に電気的・機械的に固定された多数のカーボンナノチュ
ーブ8の少なくとも一部分が、その長手方向をカソード
基板2の表面に対して交差させる方向を向いている。本
例では、多数のカーボンナノチューブ8の中の相当の本
数が、カソード基板2に対して略垂直な方向を向いてい
る。このため、この電界放出素子1によれば、カーボン
ナノチューブ8をエミッタに用いた従来の電界放出素子
1に比べて、得られる電流密度が高いという効果があ
る。
【0014】本例においては、カソード基板2に設けら
れる電界放出素子1の形成パターンは任意である。例え
ば、図2に模式的に示すように、前記開口6(空孔)を
細長い溝状に形成し、溝状の開口6の底にある電気的に
一体のカソード導体の上にCoの金属層でエミッタとし
てのカーボンナノチューブ8を連続してライン状に固着
し、絶縁層4の上面において溝状の開口6の回りにゲー
ト電極5を設ける。このような長いライン状パターンの
エミッタを有する電界放出素子は、多数個のドットがラ
イン状に並んだプリンタ用等の光源の電子源として使用
可能である。
【0015】また、このような溝状の1本の開口6の代
わりに、ライン状に並んだ多数のドット(陽極)の各々
に対応して絶縁層にドット状の空孔をそれぞれ形成し、
各空孔内に前記エミッタをそれぞれ形成してもよい。
【0016】その他、本例の開口(空孔)及び開口(空
孔)内に形成されるエミッタのパターンは、用途に応じ
てライン状及びドット状以外の他の任意のパターンに変
形して構成することができる。
【0017】次に、前記電界放出素子の製造方法の第1
の例を説明する。本例では、カーボンナノチューブのエ
ミッタを電着法で形成する。本例の電着液は、エタノー
ルにカーボンナノチューブを分散させ、これに電解質と
してVIII族元素の化合物であるCo(NO3 2
6H2 Oを約0.01〜数%添加した溶液である。
【0018】図3に示すように、容器20に入れた前記
電着液21に正電極22と負電極23を入れ、両電極2
2,23に電圧を印加して電着を行う。正電極22は、
Au、Pt、カーボン、ステンレス等からなる板状の電
極である。負電極23は、表面にカソード導体3が形成
された前記カソード基板2である。カソード導体3は、
透明な導電材料であるITO(Indium Tin Oxide)の薄
膜で構成した。印加電圧は約100〜200Vである。
この時に流れる電流は、カソード基板2の寸法と溶液濃
度によるが、面積が数cm2 のカソード基板2では通常
μA〜mAのオーダーである。
【0019】本例によれば、カーボンナノチューブを電
着法でカソード導体3に電着してエミッタを形成するの
で、カーボンナノチューブが電着してエミッタとなるの
は、カソード導体3の内で電着液21に接触している部
分である。従って、カソード導体3を所望のパターンに
形成し、その全面にカーボンナノチューブを電着させて
所望のパターンのエミッタとしてもよいし、カソード導
体3をカソード基板2にべた状に形成し、その上に所望
のパターンの開口6(空孔)を有する絶縁層4を形成
し、その後に電着を行って開口6内のカソード導体3に
カーボンナノチューブ8を電着させて所望のパターンの
エミッタとしてもよい。
【0020】次に、前記電界放出素子1の製造方法の第
2の例を説明する。本例も、カーボンナノチューブのエ
ミッタを電着法で形成する。本例の電着液は、電解質と
してVIII族元素の化合物であるNi(SO4 2
6H2 Oを約0.01〜数%添加した溶液である。その
他の構成は第1の例と同様である。
【0021】次に、前記電界放出素子1の製造方法の第
3の例を説明する。本例も、カーボンナノチューブのエ
ミッタを電着法で形成する。本例の電着液は、イソプロ
ピルアルコール(IPA)にカーボンナノチューブを分
散させ、これに電解質としてIb族元素の化合物である
AgNO3 を約0.1%添加・溶解させた溶液である。
【0022】カソード基板2には、カソード導体3とし
て導電材料であるアルミニウム薄膜をフォトリソグラフ
ィ法により所望のパターンで形成する。このカソード導
体3のエミッタを形成しようとする部分に、RuO2
の抵抗材料を使用したペーストを印刷し、これを焼成し
て抵抗層を形成する。さらに、抵抗層の周囲に絶縁ガラ
スペーストを印刷し、これを焼成して絶縁層4を形成す
る。
【0023】そして、前記電解液に、陰極としての前記
カソード基板2と、正極としてのAu電極を浸漬して両
者を液中で対向させ、Au電極に+100Vを印加して
1分間電着を行う。その結果、カソード基板2のカソー
ド導体3には、カーボンナノチューブ8がカソード基板
2の表面に立つような姿勢に配向してAgで固着され
る。
【0024】以上説明した例においては、カーボンナノ
チューブ8をカソード基板2に固着するための金属とし
てCo、Ni、Agを例示したが、これ以外のVIII
族元素又はIb族元素、即ちFe、Ru、Rh、Pd、
Os、Ir、Pt、Cu、Auを含む電解質の物質であ
れば使用できる。
【0025】以上説明したように、本例ではVIII族
元素又はIb族元素の金属が、カーボンナノチューブを
カソード導体に固着させる導電性固着剤としての機能を
発揮しており、これによって機械的に強固な固着が実現
し、また電気的には接触抵抗が低くなるという効果があ
る。また、このように固着されたカーボンナノチューブ
のエミッタは、電着工程後の乾燥工程にも安定であり、
この電界放出素子を用いて電界放出形表示素子を製造す
る場合の気密真空封止工程においても安定である。
【0026】
【発明の効果】カーボンナノチューブをエミッタとする
本発明の電界放出素子又はその製造方法によれば、カソ
ード基板に固着されたカーボンナノチューブは、カソー
ド基板(又はその上に形成されたカソード導体)に対し
て垂直方向に向いたものの割合が高いので、従来よりも
高い取り出し電流密度が得られるという効果がある。
【0027】また、VIII族元素又はIb族元素の金
属が、カーボンナノチューブをカソード導体に機械的・
電気的に強固に固着させている。このため、カーボンナ
ノチューブはカソード基板から剥離しにくく、機械的な
外力に強いので、後工程での取り扱いに支障がない。ま
たカーボンナノチューブのカソード導体に対する接触抵
抗が低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における電界放出素子の断
面図である。
【図2】本発明の実施の形態における電界放出素子のエ
ミッタのパターンの一例を示す模式的な斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における電着工程を示す図
である。
【図4】カーボンナノチューブをエミッタに用いた従来
のFEDの一例の断面図である。
【符号の説明】
1 電界放出素子 2 カソード基板 3 カソード導体 7 金属層 8 エミッタとしてのカーボンナノチューブ 21 電着液

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソード基板に形成されたカソード導体
    にエミッタとしてのカーボンナノチューブが設けられた
    電界放出素子において、 前記カーボンナノチューブが、VIII族元素とIb族
    元素からなる群から選択された元素を含む層を介して前
    記カソード導体に固着されていることを特徴とする電界
    放出素子。
  2. 【請求項2】 カソード基板に形成されたカソード導体
    にエミッタとしてのカーボンナノチューブが設けられた
    電界放出素子の製造方法において、 VIII族元素及びI族元素からなる群から選択された
    元素の化合物とカーボンナノチューブとを含む電着液
    に、負電極としての前記カソード基板と正電極とを浸漬
    して電圧を加え、前記カソード基板の前記カソード導体
    に、VIII族元素とI族元素からなる群から選択され
    た元素を含む層を介して前記カーボンナノチューブを固
    着させることを特徴とする電界放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記元素をAとした場合、前記化合物が
    x (NO3 y ・6H2 O(x,y>0)である請求
    項2記載の電界放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記元素をAとした場合、前記化合物が
    x (SO4 y ・6H2 O(x,y>0)である請求
    項2記載の電界放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記元素がCoであり、前記化合物がC
    o(NO3 2 ・6H2 Oである請求項2記載の電界放
    出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記元素がNiであり、前記化合物がN
    i(SO4 2 ・6H2 Oである請求項2記載の電界放
    出素子の製造方法。
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