JP2000248492A - 印刷用紙 - Google Patents

印刷用紙

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JP2000248492A
JP2000248492A JP11054360A JP5436099A JP2000248492A JP 2000248492 A JP2000248492 A JP 2000248492A JP 11054360 A JP11054360 A JP 11054360A JP 5436099 A JP5436099 A JP 5436099A JP 2000248492 A JP2000248492 A JP 2000248492A
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aqueous polymer
pulp
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JP11054360A
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English (en)
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Yoji Nakajima
陽治 中島
Hideya Naito
英也 内藤
Yuji Matsuda
裕司 松田
Koji Takano
弘二 高野
Kuniaki Kawabe
邦昭 川邉
Toshihiko Takagi
斗志彦 高木
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Mitsui Chemicals Inc
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】しっとり感や柔らかさといった紙本来の持つ自
然な風合いを具備し、しかも優れた印刷適性、特に鮮や
かな発色を示す印刷物が得られる印刷用紙を提供する。 【解決手段】平均繊維長0.5〜1.0mm、繊維粗度
7〜10mg/100mである広葉樹パルプを50〜1
00重量%含有してなり、叩解度を350〜650ml
C.S.F.とした木材パルプを主原料として抄造され
た原紙上に、分子内に重合性の二重結合を有する反応性
界面活性剤0.1〜50重量%、親水性エチレン系不飽
和単量体50〜99.9重量%、その他のエチレン系不
飽和単量体0〜30重量%を共重合してなる水性ポリマ
ー(a)と、ポリマー微粒子(b)とを所定の割合で含
有する水性ポリマー組成物を主成分とする塗工用組成物
を原紙両面合計量で絶乾塗工量1〜15g/m2 塗工し
た印刷用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料塗工を施して
いない上質紙系の印刷用紙に関し、さらに詳しくは、
「しっとり感」、「柔らかさ」といった紙の風合いを有
し、且つ表面強度が高く、印刷を施した場合に印刷物が
鮮やかな発色を示す印刷用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高品質の印刷物を得るために、顔料塗工
を施した顔料塗工印刷用紙が従来から広く利用されてい
る。この顔料塗工印刷用紙は、木材パルプを主原料とし
て製造した原紙上に、炭酸カルシウム、カオリン等の無
機顔料を接着剤と共に塗工することによって、原紙表面
を顔料の微細孔構造で被覆したものであり、優れた印刷
適性を有している。
【0003】かような顔料塗工印刷用紙は、顔料が無機
物であることから、無機的な感触を与えるものが多く、
本来の木材パルプから作られた紙の風合いが失われてい
る。ここでの風合いとは、肌触り、柔らかさ、密度とい
った触感や、凹凸感、平滑性、光沢、紙本来の持つ色合
いといった視感を総括的に表現する用語である。
【0004】一方、近年の印刷物の多様化とともに、印
刷用紙の多様化も求められており、その中で、顔料塗工
印刷用紙のもつ無機的な感触を嫌い、紙本来の風合いを
もつ顔料塗工を施していない上質紙系の印刷用紙が要望
されている。
【0005】しかしながら上質紙系の印刷用紙は、主原
料である木材パルプの繊維間の空隙が大きいため、印刷
を施した場合にインキが紙層内部まで浸透し、印刷物の
インキ発色濃度やインキ光沢が低下し、ドットゲインが
大きいといった欠点を生じる。
【0006】上質紙系印刷用紙のインキ発色性を高め、
均一性のある印刷を施すためには、紙表面の平滑性が必
要となる。原料木材パルプとして、繊維長が短くて細い
広葉樹パルプを多く使用することで、紙表面の平滑性は
向上するが、印刷時に繊維の導管が取られる現象(べッ
セルピック)が生じやすくなり、印刷操作に支障が出る
ため、広葉樹パルプの使用割合を増やすことは問題があ
った。
【0007】また、紙のしっとり感は、紙を嵩高で低密
度とし柔らかくすることにより得られるが、そのために
は原料木材パルプの叩解を少なくして嵩高で柔らかくす
る必要がある。しかし、このようにすると、印刷時の表
面強度が弱く、紙むけ等のトラブルが発生しやすくなる
という問題があった。
【0008】顔料塗工を施していない上質紙系印刷用紙
のもつ上述したような問題点を解決するために、顔料を
含まない塗工液、例えばポリビニルアルコール、澱粉、
ポリアクリルアミド等をサイズプレスで紙に含浸させ、
あるいは塗工することにより、印刷適性を改良しようと
する方法も提案されている。
【0009】さらに、分子内に重合性の二重結合を有す
る反応性界面活性剤と親水性エチレン系不飽和単量体等
の混合物を共重合して得られる水性ポリマーと、ポリマ
ー微粒子とを所定の割合で複合化した水性ポリマー組成
物を塗工液として、紙に含浸、塗工することにより、表
面強度や印刷適性を改良することも提案されている(特
開平10−120711号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たポリビニルアルコールやデンプンは繊維同士の結合を
強固にする働きを持っており、オフセット印刷時の紙む
けを防ぐ機能は有しているが、印刷物の発色濃度、イン
キ光沢を向上させる効果は少ない。またポリアクリルア
ミドも同様に印刷に耐えうる表面強度を紙に付与する効
果は有しているが、印刷発色やインキ光沢を向上させる
効果は少なく、鮮やかな発色を有する印刷用紙は得られ
ない。
【0011】さらに、特開平10−120711号公報
に開示されている水性ポリマー組成物を通常の上質紙等
に含浸、塗工した場合も、紙のしっとり感は保持するも
のの、印刷適性の向上効果は必ずしも満足できるもので
はない。
【0012】そこで本発明は、かかる現状に鑑み、しっ
とり感や柔らかさといった紙本来の持つ自然な風合いを
具備し、しかも優れた印刷適性、特に鮮やかな発色を示
す印刷物が得られる印刷用紙を提供することを課題とす
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、特開平10−120
711号公報に開示されている水性ポリマー組成物を含
浸または塗工(本明細書においては“含浸”と“塗工”
の両方の操作を包含する用語として“塗工”と略記す
る)する原紙として、特定の原紙を採用することによっ
て、しっとり感や柔らかさといった紙の風合いを具備す
るとともに、印刷用紙として所望の印刷適性を付与する
ことができることを見いだし、本発明を完成させた。
【0014】即ち、本発明の印刷用紙は、平均繊維長が
0.5〜1.0mmで、かつ繊維粗度が7〜10mg/
100mである広葉樹パルプを50〜100重量%含有
してなり、叩解度を350〜650mlC.S.F.と
した木材パルプを主原料として抄造された原紙上に、分
子内に重合性の二重結合を有する反応性界面活性剤0.
1〜50重量%、親水性エチレン系不飽和単量体50〜
99.9重量%、その他のエチレン系不飽和単量体0〜
30重量%を共重合してなる水性ポリマー(a)と、ポ
リマー微粒子(b)とを固形分重量比で、(a)/
(b)=0.1/99.9〜80/20の割合で含有す
る水性ポリマー組成物を主成分とする塗工用組成物が原
紙両面合計量で絶乾塗工量1〜15g/m2 の範囲で塗
工されていることを特徴とするものである。
【0015】本発明で用いる塗工用組成物の主成分であ
る水性ポリマー組成物は、特開平10−120711号
公報に開示されている水性ポリマー組成物と実質的に同
じものである。
【0016】本発明においては、この塗工用組成物を、
上記のごとき特定の木材パルプ原料を用いて抄造された
特定の原紙を使用することによって初めて、印刷用紙と
しての印刷適性、特にインキ発色性やインキ光沢、表面
強度といった性質を所望のレベルまで向上させることが
できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明においては、水性ポリマー
組成物を主成分とする塗工用組成物を塗工する原紙とし
て、平均繊維長が0.5〜1.0mmで、かつ繊維粗度
が7〜10mg/100mである広葉樹パルプが50〜
100重量%含まれており、叩解度を350〜650m
lC.S.F.とした木材パルプを主原料として抄造さ
れた紙を使用することが必要である。
【0018】本発明における「平均繊維長」および「繊
維粗度」はともに、カヤーニ繊維長測定器(「FS‐2
00」)を用いて測定した値である。平均繊維長はここ
では重さ加重平均繊維長をさし、次の式で表される。重
さ加重平均繊維長=ΣNili3 /ΣNili2 [m
m](N:繊維の本数、クラスiの平均繊維長li=
0.05i−0.04[mm](i=1〜14))。
【0019】原紙の主原料として使用する木材パルプ
は、広葉樹パルプの配合比を50〜100重量%とす
る。広葉樹パルプが50重量%未満の木材パルプを原料
とした場合には、得られた紙の表面が粗くなり、印刷時
に白抜けや印刷ムラが発生するからである。
【0020】広葉樹パルプは、ユーカリ、ナラ、ブナ、
カエデ、シラカバ、バーチ、ポプラ、アスぺン、ビー
チ、オーク等から得られるパルプが使用でき、特に樹種
に制限はないが、平均繊維長は0.5〜1.0mmで、
かつ繊維粗度が7〜10mg/100mであることが必
要である。平均繊維長が1.0mmを越え、繊維粗度が
10mg/100mを越えると、得られた紙の繊維間の
空隙が多くなり、水性ポリマー組成物を塗工した場合に
おいても、ポリマー組成物が紙層表面に留まる量が少な
くなり、印刷した際に高いインキ発色濃度や鮮やかなイ
ンキ発色が得られなくなる。また、紙の地合も悪くな
り、印刷の均一性が悪くなる。
【0021】一方、平均繊維長が0.5mm未満で繊維
粗度が7mg/100m未満のパルプを多量に用いた場
合、得られた紙の繊維間が繊密な構造をとるため、塗工
したポリマー組成物の紙層内部への浸透を妨げ、紙表面
にのみ残ってしまう結果、塗工紙表面がポリマー組成物
による光沢を呈し、紙の風合いが失われてしまうばかり
でなく、印刷時にインキが紙層内部に浸透せずインキ乾
燥性が悪くなるという問題も生じてしまう。
【0022】本発明者らが検討した結果では、広葉樹パ
ルプの中でも、特にアスペン材から得られるパルプは、
通常の平均繊維長が0.9mmで、繊維粗度が9.5m
g/100mであり、紙の表面を均一にし、表面粗さを
小さくする効果が特に大きく、その結果、印刷ムラが少
なく均一に発色する印刷用紙を提供することができるこ
とがわかった。本発明では、このアスぺン材から得られ
るパルプを広葉樹パルプのうちの60〜100重量%の
割合で配合することが好ましい。
【0023】広葉樹パルプの製造方法は、機械的にパル
プ化するメカニカルパルプ化法、サーモメカニカルパル
プ化法、化学的に処理するクラフトパルプ化法、サルフ
ァイトパルプ化法、マーセル化パルプ化法、機械的およ
び化学的にパルプ化するセミケミカルパルプ化法等が挙
げられ、本発明において使用できる広葉樹パルプはその
製造方法により限定されるものではないが、印刷を目的
とする印刷用紙であるため、化学的に漂白処理された白
色度の高いクラフトパルプ、サルファイトパルプを使用
することが特に好ましい。
【0024】本発明においては、原紙の主原料となる木
材パルプの叩解度を350〜650mlC.S.F.に
調整する。叩解度が650mlC.S.F.を越える場
合には殆ど叩解されておらず、印刷時の表面強度が得ら
れ難くなる。また、紙の地合も悪く白抜けが起こりやす
くなり、塗工したポリマー組成物が浸透してしまい、高
いインキ発色濃度が得られ難くなる。また、350ml
C.S.F.未満では、紙の表面強度や地合は良好であ
るが、紙の密度が高くなり、紙の柔らかさが失われやす
くなる。また、塗工したポリマー組成物が原紙表面に多
く残り、印刷時のセット乾燥性の悪化原因となりやす
い。
【0025】原紙の原料となるパルプは、木材パルプに
限定されるものではなく、本発明の目的を阻害しない範
囲で、コットン、リンター、麻、ケナフ、ワラ等の非木
材パルプや、リヨセル、ナイロン、アクリル、レーヨン
等の再生および合成繊維などの湿式抄紙可能な原料を併
用することができる。しかしながら、原紙の原料中、木
材パルプの含有量は50〜100重量%が好ましい。
【0026】原紙の抄紙原料には、必要に応じて内添填
料を添加することができる。填料の種類は特に限定され
ず、一般に抄紙原料に慣用的に添加されている内添用填
料が適宜使用される。具体的には軽質炭酸カルシウム、
重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリ
ン、シリカ等の鉱物系填料や、プラスチックピグメント
等の有機填料等も挙げられる。
【0027】さらに、抄紙原料には、従来から慣用され
ている各種の内添サイズ剤、紙力増強剤、濾水性向上
剤、歩留り向上剤等を、本発明の所望の効果を損なわな
い範囲で適宜選択して使用してもよい。
【0028】抄紙方法も特に限定されるものではなく、
従来から慣用されている長網抄紙機、円網抄紙機等を用
いる抄紙方法を採用することができる。
【0029】原紙上に塗工する塗工用組成物は、分子内
に重合性の二重結合を有する反応性界面活性剤と親水性
エチレン系不飽和単量体等とを共重合して得られるポリ
マー(a)と、ポリマー微粒子(b)とを特定の割合で
複合化した水性ポリマー組成物を主成分とするものであ
る。特に、水性ポリマーとしてはアクリルアミド系のも
のが、ポリマー微粒子としては共重合ラテックスが好ま
しく使用できる。
【0030】水性ポリマー組成物を主成分とする塗工用
組成物は、紙に塗工した場合、親水性の水性ポリマー部
で繊維と強固に結合し、紙への定着性が高く、また、疎
水性のポリマー微粒子は紙の表面でバリヤー層を形成す
るため、紙表面は疎水性になる。
【0031】オフセット印刷の場合、そのインキのビヒ
クルは油性であるため、疎水性表面になじみやすく、ビ
ヒクルの浸透を抑えインキが紙の表層に定着しやすくな
る。その結果得られた印刷物は、鮮やかな発色性を示
す。
【0032】バリヤー層は紙の表層に形成されるため、
密度は増加せず、柔らかさは保たれる。また、この水性
ポリマー組成物の繊維間の接着強度はポリビニルアルコ
ール等に比べ高いため、繊維強度の弱い広葉樹パルプの
割合を多くしても、印刷時のべッセルビックや紙粉トラ
ブルを抑制できる。その結果、より風合いがある印刷用
紙を提供できる。
【0033】水性ポリマー(a)の共重合成分として用
いられる反応性界面活性剤の具体的な例としては、一般
に、プロぺニル−2−エチルヘキシルスルホコハク酸エ
ステルナトリウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエ
チレン硫酸エステル、ポリオキシアルキルプロぺニルエ
ーテル硫酸エステルアンモニウム塩、(メタ)アクリル
酸ポリオキシエチレンエステル燐酸エステル等のアニオ
ン性の反応性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキル
ベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エス
テル等のノニオン性の反応性界面活性剤等が挙げられ
る。特に好適な反応性界面活性剤としては、オレフィン
類のオリゴマーと無水マレイン酸との反応で得られる化
合物(以下、ASAと略称する)を原料として、アリル
アミンあるいはジアリルアミン、メタアリルアミン、
(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等との
反応により生成される、疎水基で置換されたコハク酸ア
ミドあるいはコハク酸エステル構造を骨格に持つ、アリ
ル化合物あるいはビニル化合物である。これらの反応性
界面活性剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
用いることができる。なかでもASAとアリルアミンと
の反応生成物(ASA−MAと略称する)、ジアリルア
ミンとの反応生成物、アリルアルコールとの反応生成
物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反
応生成物が好適であり、特にASA‐MAが好適であ
る。
【0034】水性ポリマー(a)の調製の際に使用する
反応性界面活性剤の添加量は0.1〜50重量%の範囲
であるが、充分な水溶性およびポリマー微粒子(b)と
複合した際の各種安定性、低粘度化、さらには水性ポリ
マー組成物を主成分とする塗工用組成物を塗工した後の
印刷用紙に原紙の風合を維持し、しかも優れたオフセッ
ト印刷適性を付与する観点から、3〜30重量%が好ま
しい。
【0035】水性ポリマー(a)の共重合成分として用
いられる親水性エチレン系不飽和単量体の具体的な例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレ
イン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩、有機アミン塩類;(メタ)アクリルアミド、ジ
アセトンアクリルアミド、Nーメチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N
−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル
(メタ)アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和
カルボン酸アミド化合物;N−アクリロイルピロリジ
ン、N−アクリロイルピぺリジン、N−アクリロイルモ
ルホリン;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2
−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
のスルホン酸基含有不飽和化合物及びそれらのアルカリ
金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩類;N,N-ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のカチ
オン性のビニル化合物、さらに、これらをジメチル硫
酸、メチルクロライドやメチルブロマイド等のハロゲン
化アルキル類、アリルクロライド、ベンジルクロライド
やべンジルブロマイド等のハロゲン化べンジル類等で四
級化したビニル化合物;N−ビニル−2−ピロリドン、
N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N
−ビニルオキサゾリドン、N−ビニル−5−メチルオキ
サゾリドン、N−ビニルスクシンイミド、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等のノニオン性の不飽和単量体類;ア
リルアミン、N−メチルアリルアミン、2−メチルアリ
ルアミン、ジアリルアミン、ジメチルジアリルアンモニ
ウムクロリド等のアリルアミン類とそれらの塩;(メ
タ)アリルスルホン酸類およびその塩;(メタ)アリル
アルコール等を挙げることができ、これらは、1種ある
いは2種以上の組み合わせで使用することができる。水
性ポリマー(a)の調製の際に使用する親水性エチレン
系不飽和単量体の添加量は50〜99.9重量%の範囲
である。また、充分な水溶性およびポリマー微粒子
(b)と複合した際の各種安定性、さらには水性ポリマ
ー組成物を主成分とする塗工用組成物を塗工した後の印
刷用紙に原紙の風合を維持し、さらに優れたオフセット
印刷適性を付与する観点から、親水性エチレン系不飽和
単量体として、アクリルアミドを使用することが好まし
い。
【0036】水性ポリマー(a)の共重合成分として、
必要に応じて、その他のエチレン系不飽和単量体を使用
することにより、水性ポリマー自体の特性、ポリマー微
粒子との相互作用および水性ポリマー組成物の特性を適
宜コントロールすることができる。その他のエチレン系
不飽和単量体の具体的な例としては、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート等のメタアク
リル酸エステル、アクリル酸エステル類:酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等のエチレン系ニトリル化
合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
等の芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプ
レン等の共役ジオレフィン類;メチレンビス(メタ)ア
クリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、
ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能
型架橋性単量体等が挙げられる。これらの単量体成分
は、1種または2種以上を組み合わせて使用することが
できるが、これを使用する場合の使用量は、水性ポリマ
ー共重合成分の合計量の30重量%以下とする。これを
越える場合は、水性ポリマーの水溶性の低下が著しく、
重合安定性、貯蔵安定性等の問題を生じる場合があり、
本発明で用いる水性ポリマー成分として不適となる。ま
た、上記した多官能型架橋性単量体を用いる場合の使用
量は、水性ポリマー共重合成分の合計量の5重量%以下
であることが好ましいが、架橋構造の均一性の点から2
重量%以下であることがさらに好ましい。
【0037】分子内に重合性の二重結合を有する反応性
界面活性剤と、親水性エチレン系不飽和単量体と、さら
に必要に応じてその他のエチレン系不飽和単量体とを共
重合して水性ポリマー(a)を生成する方法としては、
公知の方法に従えばよく、特に制約はない。例えば、特
開平10−120711号公報には、同様の水性ポリマ
ーの生成方法が記載されており、そこに記載されている
方法を用いることができる。
【0038】次に水性ポリマー(a)とポリマー微粒子
(b)との複合化の方法に関して説明する。
【0039】本発明における水性ポリマー組成物は、分
子内に重合性の二重結合を有する反応性界面活性剤と、
親水性エチレン系不飽和単量体と、さらに必要に応じて
その他のエチレン系不飽和単量体とを共重合してなる水
性ポリマー(a)とポリマー微粒子(b)とを複合化し
てなるものであり、複合化の方法としては以下の3種類
が例示できる。 方法A:水性ポリマー(a)とポリマー微粒子(b)を
別々に調製した後に混合する方法 方法B:水性ポリマー(a)の存在下にポリマー微粒子
(b)を生成する方法 方法C:方法Bにより調製された水性ポリマー組成物
に、さらに水性ポリマー(a)を混合する方法。
【0040】まず、最初に複合化の方法Aに関して説明
する。この方法で使用されるポリマー微粒子(b)は、
安定な水性分散体であれば特に制約はないが、その中で
も乳化重合法で調製されたポリマー微粒子であることが
好ましい。また、水性ポリマー組成物を主成分とする塗
工用組成物を塗工した後の印刷用紙に原紙の風合を維持
し、さらに優れたオフセット印刷適性を付与する観点か
ら、ポリマー微粒子(b)は、脂肪族共役ジエン系単量
体0〜60重量%、エチレン系不飽和酸単量体0.5〜
10重量%、その他の共重合可能な単量体30〜99.
5重量%(単量体合計100重量%)からなる共重合体
ラテックスであることがさらに好ましい。
【0041】ポリマー微粒子としての共重合体ラテック
スの共重合成分として用いられる脂肪族共役ジエン系単
量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチ
ル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジ
エン等を挙げることができる。これら単量体は単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる
が、1,3−ブタジエンが好適であり、その使用量は0
〜60重量%である。この使用量が範囲より過大である
と、重合安定性、機械的安定性が不足する場合があり好
ましくない。
【0042】ポリマー微粒子としての共重合体ラテック
スの共重合成分として用いられるエチレン系不飽和酸単
量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の
モノカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
等のジカルボン酸類、更に、マレイン酸メチル、イタコ
ン酸メチルなどのハーフエステル類、スチレンスルホン
酸、2−スルホエチルアクリレート、アクリルアミドプ
ロパンスルホン酸等のスルホン酸類などを挙げることが
できる。また、ジカルボン酸の無水物も使用することが
できる。これら単量体は単独で、あるいは2種以上を組
み合わせて使用することができる。これらの使用量は
0.5〜10重量%である。この使用量が前記範囲より
過小であると、紙塗工用組成物として使用した際、表面
強度および安定性が低下する傾向にある。一方、前記範
囲より過大であると塗工用組成物の粘度が高くなり、操
作性が低下する場合がある。
【0043】ポリマー微粒子としての共重合体ラテック
スの共重合成分として用いられるその他の共重合可能な
単量体の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、
p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等
のアクリル酸またはメタクリル酸のエステル化合物、ジ
エチルフマレート、ジメチルイタコネート等のエチレン
系不飽和カルボン酸ジアルキルエステル類、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニト
リル等のシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和
カルボン酸アミドおよびそのN置換化合物、メチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、メチルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル
アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピ
リジン、4−ビニルピリジン等のエチレン系不飽和アミ
ン化合物等のエチレン系不飽和単量体を挙げることがで
きる。これら単量体は単独で、あるいは2種以上を組み
合わせて使用することができる。それらの使用量は30
〜99.5重量%である。この使用量が前記範囲より過
小であると、重合安定性、機械的安定性が不足するとと
もに、塗工紙用組成物として使用した際、耐水性、オフ
セット印刷適性が低下する場合がある。
【0044】ポリマー微粒子を生成する際の乳化重合法
は、公知の乳化重合法に従えばよく、特に限定されな
い。
【0045】乳化重合に使用できる界面活性剤(乳化
剤)、重合開始剤および分子量調整剤に関しても、特に
制限はなく、一般に乳化重合に使用されている公知の化
合物を使用することができる。例えば、特開平10−1
20711号公報には、同様のポリマー微粒子の乳化重
合による生成方法が記載されており、そこに記載されて
いる方法を用いることができる。
【0046】また、複合化の方法Aでポリマー微粒子
(b)と水性ポリマー(a)を混合する方法に特に制限
はないが、混合時の固形分濃度範囲は、各々50重量%
以下、30重量%以下が好ましく、これよりも固形分濃
度が高い場合には、混合のショックにより凝集物が発生
する場合がある。
【0047】次に複合化の方法B、即ち、水性ポリマー
(a)の存在下でポリマー微粒子(b)を生成する方法
に関して説明する。
【0048】水性ポリマーの使用範囲は、水性ポリマー
組成物の固形分100重量部に対して0.1〜80重量
部、好ましくは0.2〜60重量部、さらに好ましくは
0.3〜40重量部である。この使用量が前記範囲より
過小であると機械的安定性ないしは化学的安定性が充分
でない場合がある。一方、前記範囲より過大であると粘
度が上昇して安定に重合が行われない場合がある。ポリ
マー微粒子重合時の最終固形分濃度の範囲は5〜55重
量%、好ましくは10〜45重量%である。この濃度が
前記範囲より過大である場合は、安定に重合が行われな
い。
【0049】水性ポリマー(a)の存在下でポリマー微
粒子を生成する方法Bに関しては、上記条件下で重合を
行うことを除けば、通常の乳化重合法に従えばよく、特
に制約はないが、この際、通常の乳化重合に用いられる
界面活性剤の使用は必ずしも必要ではない。
【0050】最後に複合化の方法C、即ち、方法Bによ
り調製された水性ポリマー組成物に水性ポリマー(a)
を混合する方法に関して説明する。ここで使用する水性
ポリマー(a)は、本発明の趣旨に違わない限り、方法
Bにより水性ポリマー組成物を調製する際に使用した水
性ポリマー(a)と同一であっても、異なっていてもよ
く、その調製等は、上述の水性ポリマー(a)に関して
記載したものに従えばよい。
【0051】水性ポリマー組成物を主成分とする塗工用
組成物の原紙への塗工量は、原紙両面合計量で絶乾塗工
量1〜15g/m2 の範囲とする。塗工量が1g/m2
未満の場合、インキが表面に留まらず、インキの鮮やか
さが得られず、かつ表面強度もやや不十分である。ま
た、15g/m2 を超えると、表面がインキの吸収を妨
げるほどのバリヤー層を形成し、インキの吸収性が悪く
なり、インキセット性が悪くなる。また、面感も光沢が
高く、紙の持つ風合いも失われる。塗工量は3〜10g
/m2 がさらに好ましい。
【0052】本発明では必要に応じて、水性ポリマー組
成物液中に、消泡剤、剥離剤、浸透剤、滑剤等の助剤も
添加することができる。又、オフセット印刷を阻害しな
い範囲ならば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化
澱粉、酵素変性澱粉等の澱粉類、カゼイン、大豆タンパ
ク質類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド
類、スチレンーブタジエン系、スチレンーアクリル系、
アクリル系、酢酸ビニル系等の各種共重合体からなるラ
テックス樹脂類、ウレタン樹脂等を適宜選択して、単独
もしくは2種類以上混合したものを少量添加してもかま
わない。更に、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタ
ン、シリカ等の無機顔料やプラスチックピグメント等の
有機顔料もオフセット印刷適性及び用紙の風合いを阻害
しない範囲ならば使用できる。本発明に用いる塗工用組
成物中、水性ポリマー組成物は、固形分換算で50〜1
00重量%含有していることが好ましい。
【0053】本発明の印刷用紙に、紙の柔らかさやしっ
とり感をより一層効果的に付与させるために、水性ポリ
マー組成物を主成分とする塗工用組成物を原紙に塗工す
るに先だって、予めポリエチレングリコール、グリセリ
ンまたはこれらの混合物を原紙に塗工することが好まし
い。
【0054】また、ポリエチレングリコール及びグリセ
リンは分子中に水酸基を多く含むために、それらを紙中
に存在させることによって水分を吸着しやすくなる。従
って、それらを予め塗工して原紙に水性ポリマー組成物
を塗工することにより水性ポリマー組成物が紙に浸透し
やすくなり、塗工量が向上する結果、印刷時のインキ光
沢がより高まる。
【0055】ポリエチレングリコールやグリセリンは水
溶性のため、紙に塗工しただけでは空気中の水分によっ
て徐々に溶脱し、紙のしっとり感が失われてしまうが、
水性ポリマー組成物を主成分とする塗工用組成物をさら
に塗工することにより、その溶脱は無くなり、しっとり
感が失われることがなく、その効果が持続する。
【0056】本発明では、ポリエチレングリコール単独
あるいはグリセリン単独で使用することもできるが、両
者を任意の割合で混合した混合物も使用できる。混合物
として使用する場合には、若干の揮発性を考慮して、ポ
リエチレングリコール/グリセリン=95/5〜50/
50の割合とすることが好ましい。
【0057】ポリエチレングリコール、グリセリン又は
これらの混合物の原紙への塗工量は、原紙両面合計量で
絶乾塗工量1〜20g/m2 の範囲が好ましい。1g/
2以下の場合、紙のしっとり感が向上せず、20g/
2 より多量に塗工してもその効果は変わらない。特に
は塗工量は、3〜l0g/m2 が好ましい。
【0058】水性ポリマー組成物を主成分とする塗工用
組成物を原紙に塗工するに際しては、サイズプレスコー
ター、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、
エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコータ
ー、ロッドコーター、プレードコーター、カーテンコー
ター、グラビアコーター等を使用することができる。こ
れらの塗工はオンマシン、オフマシンいずれの方法でも
塗工することができるが、サイズプレスコー夕一等を用
いてオンマシンで塗工する方が、1工程で製造できるこ
とから製造コストの面で好ましい。
【0059】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。特に断らない限り、実施例及び比較例中の%と部
は重量%と重量部を示す。
【0060】[水性ポリマー(a)の生成例:水性ポリ
マー(al)]攪拌機(還流冷却管、温度計、窒素ガス
導入管、滴下口を備えた5つ口のフラスコにASA‐M
A(商品名「パベラスNP」、三菱石油(株)製:C1
8のアルケニル基をもつASAとアリルアミンとの反応
物)を苛性ソーダで中和後20%に調製した水溶液5
0.0g、次亜リン酸ソーダ1水和物0.25g、蒸留
水469.8gを均一に混合した後、pH9.0に調製
した。窒素置換後フラスコ中の混合液を80℃に昇温
し、滴下口より、50%アクリルアミド水溶液141.
2g、N、N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート
9.4g、アクリロニトリル10g、20%硫酸14.
6g、蒸留水294.3g、過硫酸アンモニウム(AP
S)0.5gを均一に混合した後に10%苛性ソーダ水
溶液でpH4.5に調製した水溶液を、120分間で添
加した。添加終了1時間後に、2.5%APS10ml
と2.5%亜硫酸ソーダ(SBS)10ml添加し、さ
らに2時間80℃で反応を続け、固形分濃度10.5%
の青白色の水溶液を得た。固形分濃度を10%に調節
し、水性ポリマーalとした。粘度は18mPa・s、
pH6.5であった。
【0061】[水性ポリマー組成物の生成例 :水性ポ
リマー組成物(1)]攪拌機付きオートクレーブ中に、
脱イオン水150部を仕込み、窒素置換しながら65℃
に調製した後、水性ポリマー(a)(10重量%)を1
0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5
部、過硫酸カリウム2.5部を添加する。この水溶液
に、ホモジナイザーを用いて乳化した、ブタジエン30
部、スチレン64部、アクリル酸1部、イタコン酸2
部、メタアクリルアミド3部の単量体混合物合計100
重量部とtert−ドデシルメルカプタン0.3部、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部および脱
イオン水50部からなるエマルションを、6時間連続で
添加した後、重合を完結させるため、さらに8時間重合
を継続し重合転化率97%超で重合を終了した。次い
で、得られた水性ポリマー組成物を水酸化ナトリウムを
用いてpH6に調製した後、水蒸気を吹き込んで未反応
単量体を除去し、さらに加熱減圧蒸留によって固形分濃
度35重量%の水性ポリマー組成物(1)を得た。
【0062】[実施例1]平均繊維長が0.9mm、繊
維粗度が9.5mg/100mであるアスぺン材から得
られたパルプを100%用いた広葉樹パルプが70%、
針葉樹パルプが30%であるパルプを配合し、填料とし
て軽質炭酸カルシウムを対パルプ10%として抄紙原料
を得た。この抄紙原料を450mlC.S.F.に叩解
後、長網抄紙機で坪量110g/m2 となるように抄
紙した。この原紙に水性ポリマー組成物(1)の固形分
濃度が10%の塗工液(塗工用組成物)をサイズプレス
ロールを用いて絶乾塗工量が両面合計量で5g/m2
となるように両面塗工し、乾燥後塗工紙を得た。この塗
工紙について品質評価を行った結果を表1に示す。
【0063】[実施例2]広葉樹パルプとして、アスぺ
ン材から得られたパルプを40%、平均繊維長が0.9
mm、繊維粗度が8.6mg/100mであるユーカリ
材から得られたパルプを60%含んだ広葉樹パルプを7
0%、針葉樹パルプを30%配合した以外は実施例1と
同様にして塗工紙を得た。この塗工紙について品質評価
を行った結果を表1に示す。
【0064】[実施例3]水性ポリマー組成物(1)の
固形分濃度が20%の塗工液を調製した。この塗工液を
実施例1と同じ原紙に、同様の方法で塗工、乾燥し、両
面の絶乾塗工量がl0g/m2 の塗工紙を得た。この塗
工紙について品質評価を行った結果を表1に示す。
【0065】[実施例4]水性ポリマー組成物(1)の
固形分濃度が30%の塗工液を調製した。この塗工液を
実施例1と同じ原紙に、同様の方法で両面塗工、乾燥
し、絶乾塗工量が両面合計量で15g/m2 の塗工紙を
得た。この塗工紙について品質評価を行った結果を表1
に示す。
【0066】[実施例5]ポリエチレングリコールとグ
リセリンの混合物(商品名「FL−167」、東邦化学
工業(株)製)の15%水溶液を調製した。この液を実
施例1の原紙にサイズプレスロールを用いて絶乾塗工量
が両面合計量で4g/m2 となるように塗工し、乾燥し
た。その次に水性ポリマー組成物(1)の固形分濃度が
10%の塗工液をサイズプレスロールを用いて両面塗工
し、乾燥後、絶乾塗工量が両面合計量で6g/m2 の塗
工紙を得た。この塗工紙について品質評価を行った結果
を表1に示す。
【0067】[実施例6]ポリエチレングリコールとグ
リセリンの混合物の30%水溶液を調製した。この液を
実施例1の原紙にサイズプレスロールを用いて両面の絶
乾塗工量が8g/m2 となるように塗工し、乾燥した。
その次に水性ポリマー組成物(1)の固形分濃度が10
%の塗工液をサイズプレスロールを用いて両面塗工し、
乾燥後、絶乾塗工量が両面合計量で7g/m2 の塗工紙
を得た。この塗工紙について品質評価を行った結果を表
1に示す。
【0068】[比較例1]実施例1で使用した原紙を塗
工せずそのまま品質評価した。結果を表1に示す。
【0069】[比較例2]水性ポリマー組成物(1)の
固形分濃度が1%の塗工液を調製した。この塗工液を実
施例1と同じ原紙に、同様の方法で塗工、乾燥し、絶乾
塗工量が両面合計量で0.5g/m2 の塗工紙を得た。
この塗工紙について品質評価を行った結果を表1に示
す。
【0070】[比較例3]ポリビニルアルコール(商品
名「PVA−117」、クラレ(株)製)の3%水溶液
を調製した。この液を実施例1と同じ原紙に、同様の方
法で塗工、乾燥し、塗工紙を得た。この塗工紙について
品質評価を行った結果を表1に示す。
【0071】[比較例4]ポリアクリルアミド(商品名
「ハマコートP−3800」、ミサワセラミックケミカ
ル(株)製)70部、酸化澱粉(商品名「マーメイドM
−200」、敷島スターチ(株)製)30部含む7.5
%水溶液を調製した。この液を実施例1と同じ原紙に、
同様の方法で塗工、乾燥し、塗工紙を得た。この塗工紙
について品質評価を行った結果を表1に示す。
【0072】[比較例5]ポリアクリルアミド(商品名
「ハマコートP−3800」)70部、酸化澱粉(商品
名「マーメイドM−200」)30部含む15%水溶液
を調製した。この液を実施例1と同じ原紙に、同様の方
法で塗工、乾燥し、塗工紙を得た。この塗工紙について
品質評価を行った。結果を表1に示す。
【0073】[比較例6]広葉樹パルプはアスペンを1
00%用い、広葉樹パルプを40%、針葉樹パルプを6
0%配合した以外は実施例1と同様にして塗工紙を得
た。この塗工紙について品質評価を行った結果を表1に
示す。
【0074】[比較例7]広葉樹パルプは平均繊維長が
1.3mm、繊維粗度が11.7mg/100mである
オーク材から得られたパルプを100%用い、広葉樹パ
ルプを70%、針葉樹パルプを30%配合した以外は実
施例1と同様にして塗工紙を得た。この塗工紙について
品質評価を行った結果を表1に示す。
【0075】[比較例8]叩解度を300mlC.S.
F.にした以外は実施例1と同様にして塗工紙を得た。
この塗工紙について品質評価を行った結果を表1に示
す。
【0076】[比較例9]叩解度を700mlC.S.
F.にした以外は実施例1と同様にして塗工紙を得た。
この塗工紙について品質評価を行った結果を表1に示
す。
【0077】品質評価の方法は以下の通りである。 インキ光沢 :藍インキ(東洋インキ製造(株)製、
ハイエコー藍MZ)0.4gをSMT万能印刷試験機を
使用して紙に印刷し、1日後のインキ光沢度で評価し
た。 インキ発色性 :藍インキ(東洋インキ製造(株)製、
ハイエコー藍MZ)0.4gをSMT万能印刷試験機を
使用して紙に印刷し、1日後のインキ発色濃度で評価し
た。 表面強度 :タック値15の墨インキ(東洋インキ
製造(株)製)0.4gをSMT万能印刷試験機により
印刷した場合の紙むけの程度を視覚的に判断した。 しっとり感 :触感による官能評価で行った。
【0078】評価基準 :5(優)、4(良)、3
(可)、2(不可)、1(不可)の5段階で評価し、3
以上を本発明の目的を満足するものと評価した。
【0079】
【表1】
【0080】表1の結果から以下のように評価できる。 (1) 実施例1〜6の本発明による印刷用紙は、比較
例3〜5に示した従来使われている塗工液を塗工した場
合に比べ、原紙の素材感をそのままに持ち、かつオフセ
ット印刷適性、特にオフセット印刷時のインキ光沢、イ
ンキ発色性、表面強度が向上する。 (2) 比較例2のように水性ポリマー組成物の塗工量
が1g/m2未満になるとインキ光沢、インキ発色性、
表面強度に劣るものとなる。 (3) 実施例4、5のようにポリエチレングリコール
とグリセリンの混合物を塗工すると紙のしっとり感が高
まり、柔らかな風合いが付与される。 (4) インキ光沢、発色濃度が十分で、風合いを持た
せるためには、広葉樹パルプが全木材パルプの内50%
以上必要であり、広葉樹パルプより針葉樹パルプの割合
が多い比較例6では、これらの効果が発現しない。 (5) 広葉樹パルプでも、平均繊維長や繊維粗度が比
較例7のように所定の範囲に含まれないものを使用した
場合には、インキ光沢、インキ発色性、しっとり感が劣
るものとなる。 (6) 印刷適性と風合いを兼ね備えるためにはパルプ
の叩解度は350〜650mlC.S.F.が適切であ
る。
【0081】
【発明の効果】以上説明したところからわかるように本
発明によれば、平均繊維長および繊維粗度の小さいパル
プを主原料とする原紙上に、特定の水性ポリマー組成物
を使用した塗工層を設けることにより、紙の風合いを維
持し、均一でかつ高いインキ発色性、高いインキ光沢を
有し、さらに印刷時の表面強度といったオフセット印刷
適性が従来に比べ向上した印刷用紙を提供できる。
フロントページの続き (72)発明者 内藤 英也 静岡県駿東郡長泉町本宿501番地 特種製 紙株式会社内 (72)発明者 松田 裕司 静岡県駿東郡長泉町本宿501番地 特種製 紙株式会社内 (72)発明者 高野 弘二 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 川邉 邦昭 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 高木 斗志彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 Fターム(参考) 4L055 AA03 AG34 AG63 AG70 AG71 AG72 AG74 AG76 AH29 AH48 BE09 EA04 EA05 EA14 EA16 EA32 FA11 FA13 FA15 FA16 GA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均繊維長が0.5〜1.0mmで、か
    つ繊維粗度が7〜10mg/100mである広葉樹パル
    プを50〜100重量%含有してなり、叩解度を350
    〜650mlC.S.F.とした木材パルプを主原料と
    して抄造された原紙上に、分子内に重合性の二重結合を
    有する反応性界面活性剤0.1〜50重量%、親水性エ
    チレン系不飽和単量体50〜99.9重量%、その他の
    エチレン系不飽和単量体0〜30重量%を共重合してな
    る水性ポリマー(a)と、ポリマー微粒子(b)とを固
    形分重量比で、(a)/(b)=0.1/99.9〜8
    0/20の割合で含有する水性ポリマー組成物を主成分
    とする塗工用組成物が原紙両面合計量で絶乾塗工量1〜
    15g/m2 の範囲で塗工されていることを特徴とする
    印刷用紙。
  2. 【請求項2】 前記広葉樹パルプのうちの60〜100
    重量%がアスペン材から得られたパルプであることを特
    徴とする請求項1記載の印刷用紙。
  3. 【請求項3】 前記原紙には、ポリエチレングリコー
    ル、グリセリンまたはこれらの混合物が原紙両面合計量
    で絶乾塗工量1〜20g/m2 の範囲で予め塗工されて
    いることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記
    載の印刷用紙。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083490A (ja) * 2004-09-16 2006-03-30 Daio Paper Corp クラフト紙とその製造方法
JP2014118655A (ja) * 2012-12-18 2014-06-30 Marusumi Paper Co Ltd オフセット印刷用コミック用紙

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