JP6414355B1 - 塗工板紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、カレンダー処理を施していない前記基紙の裏層の表面に、結着剤を含む裏面塗工液を塗工し、乾燥した後、カレンダー処理を行い、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液の塗工および乾燥を行う。裏層が、オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプ、または廃石膏ボード由来のパルプを含む場合により有効である。
【選択図】なし
Description
板紙の製造には、近年、コストや環境保護の観点から、古紙由来のパルプが多量に使用されている。しかし、古紙パルプを配合すると、板紙の表面強度が不充分となる。そのため、脱落した繊維により印刷の一部が抜けてしまう、いわゆる白抜けの問題が生じる場合がある。
[1]少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、カレンダー処理を施していない前記基紙の裏層の表面に、結着剤を含む裏面塗工液を塗工し、乾燥した後、カレンダー処理を行い、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液の塗工および乾燥を行うことを特徴とする塗工板紙の製造方法。
[2]前記基紙の裏層の表面の温度を60℃以上とした状態で前記裏面塗工液を塗工する、[1]に記載の塗工板紙の製造方法。
[3]前記裏面塗工液が顔料を含む、[1]または[2]に記載の塗工板紙の製造方法。
[4]前記結着剤が、水溶性高分子および水分散性高分子のいずれか一方または両方である、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗工板紙の製造方法。
[5]前記結着剤が、ポリビニルアルコール系樹脂である、[1]〜[4]のいずれかに記載の塗工板紙の製造方法。
[6]前記結着剤が、平均重合度2500以下のポリビニルアルコール系樹脂である、[1]〜[5]のいずれかに記載の塗工板紙の製造方法。
[7]前記裏層が、オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプ、または廃石膏ボード由来のパルプを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の塗工板紙の製造方法。
本発明は、まず少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成する。
表層とは、基紙において、最も表側に配置される層であり、裏層は最も裏側(表層と反対側)に配置される層であり、中層とは、表層と裏層との間に配置される層である。表層と中層の間には、表下層を設けてもよい。裏層と中層の間には、裏下層を設けてもよい。各層は一層で形成しても複数の層で形成しても構わないが、低質の古紙パルプの使用量を増やすためには、中層を複数層で形成することが好ましい。これらの各紙層は、多層抄きにより積層される。
古紙としては、例えば、上白・罫白等、一度使用されているが印刷部分の少ない紙、カード・模造・色上・ケント・白アート等の印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィス用紙等使用済みの上質系古紙、さらに切符類・中質反古・ケントマニラ等の事業系中質古紙、新聞・雑誌・雑紙等の一般中質古紙、切茶・無地茶・雑袋・段ボール等の茶系古紙等が挙げられる。機密性を有するオフィス用紙や切符等の古紙はシュレッダー処理物であってもよい。
古紙パルプは、古紙を離解処理した離解パルプ、離解処理および脱墨処理を行った未晒脱墨パルプ、脱墨処理後、漂白処理を行った晒脱墨パルプ等を、適宜使用できる。
いずれの層においても、2種以上の古紙パルプを混合して使用してもよい。また、バージンパルプを使用する場合は、2種以上のバージンパルプを混合して使用してもよい。
以下、各層における通常のパルプ組成等について説明するが、本発明は、下記の通常のパルプ組成等に限定されるものではない。
表層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の黒っぽさを充分に隠蔽することができる。また、表層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
表下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、表層と共に、中層の黒っぽさを充分に隠蔽することができる。また、表下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
中層は、少なくとも表層と裏層の間に挟まれる層であるため、通常は、基紙を構成する層の内、最も低級なパルプが使用されるのが一般的である。例えば、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール、等の離解パルプが挙げられる。
中層の合計坪量は、塗工板紙の用途により必要とされる厚みに応じて、適宜調整されるが、一層当たりの坪量は、15〜90g/m2とすることが好ましく、25〜75g/m2とすることがより好ましい。
裏下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、裏層と共に、中層の着色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプや、廃石膏ボード由来のパルプは、白色度を高めることができるが、繊維が微細になりやすく、脱離しやすい傾向がある。また、その形状上、離解処理の際に水に馴染み難いため、多量に配合しにくい。そのため、これらのパルプは、裏層の全パルプ成分に対して、3〜40質量%で使用することが好ましく、3〜30質量%で使用することがより好ましい。
裏層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の着色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
得られた基紙は、カレンダー処理を施していない状態で、基紙の裏面の表面に結着剤を含む裏面塗工液を塗工する。
結着剤としては、水溶性高分子や水分散性高分子が例示でき、単独使用或いは併用できる。結着剤を含む裏面塗工液として塗工することにより、紙層内部、特に裏層に存在する微細繊維を紙層内に固定することができる。なお、裏面塗工液を塗工する前に、カレンダー処理を施すと、裏層の空隙が密になってしまい、裏面塗工液が裏層内部に充分浸透せず、微細繊維を固定する効果が不充分となり、白抜けを充分に抑制することができない。
顔料としては、一般に、紙・板紙への塗工または紙への内添に使用される顔料および填料が挙げられる。具体的に例を挙げるならば、炭酸マグネシウム類;ドロマイト等のカルシウム・マグネシウム炭酸塩類;カオリン、天然クレー、焼成クレー、ろう石、ベントナイト、長石、タルク(滑石)、雲母、ワラストナイト、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸カルシウム等の珪酸塩類;天然ゼオライト、合成ゼオライト等の含水アルミノ珪酸塩類;珪藻土、珪石粉、含水微粉珪酸(ホワイトカーボン)、無水微粉珪酸等の珪酸類;合成水酸化アルミ等のアルミニウム水和物;バライト、ブランクフィンクス等の硫酸バリウム類;石膏、合成亜硫酸カルシウム等の硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム類;アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等の二酸化チタン類;リチウムアルミニウムカーボネート;等が挙げられる。中でも、カオリン、タルク、炭酸カルシウムが好ましい。
裏面塗工液が顔料を含有することにより、塗工板紙を箱等に加工する際に、裏面塗工液から形成された塗工層が割れることを抑制できる。特に、カオリンやタルクは板状顔料であり、用いると裏面のミクロな突起が比較的少なくなり、オフセット印刷後に表面と裏面が擦れても、表面印刷層を荒らしにくくなるため好ましい。また、炭酸カルシウムや二酸化チタンは白色顔料であり、裏層の白色度を高め、印刷適性が改善できるため好ましい。特に、板状顔料としてカオリン、白色顔料として炭酸カルシウムは好ましい顔料である。
上記の範囲で裏面塗工液に顔料を配合すると、充分な層間強度を得やすく、製箱時の打ち抜き適性、製箱時の折り適性にも優れる。
裏面塗工液は、必要に応じて、適宜、分散剤、水酸化ナトリウム・アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、保水剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等の一種以上を含有してもよい。
裏面塗工液の塗工量が好ましい下限値以上であれば、裏層側の充分な強度を得やすい。裏面塗工液の塗工量が好ましい上限値以下であれば、箱成形時の折り曲げ適性、および糊の浸透性を確保しやすい。なお、糊としては一般に、澱粉、酢酸ビニル樹脂系エマルション型接着剤、酢酸ビニル樹脂系溶剤型接着剤、アクリル樹脂系エマルション型接着剤等が使用される。
裏面塗工液を塗工、乾燥後、表面顔料塗工層を塗工する前に、カレンダー処理を行う。カレンダー処理を施し、表層表面の空隙を密にすることにより、表面顔料塗工液が表層に浸透することを防ぐことができ、平滑な表面顔料塗工層を形成することができる。カレンダー処理としては、公知のカレンダーが使用できる。例えば、金属ロールと金属ロールで基紙を挟む方式、金属ロールと樹脂ロールで基紙を挟む方式のいずれのカレンダー装置を用いてもよい。
なお、予め表面サイズプレス液等を基材の表層表面に塗工しておき、カレンダー処理を行っても構わない。
カレンダー処理がなされた基紙の表層表面に表面顔料塗工液を塗工する。表面顔料塗工液の塗工は、1回のみ塗工してもよいし、複数回塗工してもよい。特に下塗り層用の表面顔料塗工液と上塗り層用の表面顔料塗工液を塗工し、下塗り層と上塗り層を順次形成することが好ましい。表面顔料塗工液を塗工することにより、表層側の印刷適性を高めることができる。下塗り層を基紙の低い白色度を隠蔽する目的、上塗り層に印刷適性を付与する目的というように、目的を分けて構成することもできる。
顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、サチンホワイト、タルク等の一般塗被紙製造分野で使用されている公知公用の顔料の1種以上を適宜使用できる。特に、カオリンおよび炭酸カルシウムは印刷適性に優れるため好ましい。バインダーとしては、一般塗被紙製造分野で使用されている公知公用のバインダーが使用でき、好ましいバインダーとしては裏層塗工液の結着剤として例示したものが使用でき、特に好ましいのはスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスである。
バインダーの割合が好ましい下限値以上であれば、表面顔料塗工液の塗工層の強度を得ることができる。また、バインダーの割合が好ましい上限値以下であれば、インキ乾燥性が優れるとともに製函適性も優れることになる。
また、必要に応じて、適宜、分散剤、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等の1種以上を含有させてもよい。
表面顔料塗工層を複数回、例えば二回に分けて塗工する場合、一回目(下塗り層)と二回目(上塗り層)の塗工液は同じでもよく、異なっていてもよい。
中でも、ロッドメタリングコーターやカーテンコーターは塗工ムラ等を抑制した塗工層を得ることができるので好ましい。なお、塗工された塗工層は、公知の乾燥装置で乾燥され、表面顔料塗工層が形成される。
顔料として、カオリン(商品名「ウルトラホワイト90」、BASF社製)の65部、軽質炭酸カルシウム(商品名「ブリリアント15」、白石工業社製)の25部、二酸化チタン(商品名「クロノスKA−15」、チタン工業社製)の10部、バインダーとして、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名「ニールガムA−85」、アベベ社製)の1部、カルボキシル化スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名「B−1525」、旭化成社製)の16部、および水を用い、固形分濃度が62%の表面顔料塗工液A−1を調製した。
顔料として、重質炭酸カルシウム(商品名「FMT97」、ファイマテック社製)の75部、微粒カオリン(商品名「アマゾン」、CADAM社製)の25部、バインダーとして、スチレン−ブタジエン共重合ラテックスの12部、界面活性剤の0.2部、および水を用い、固形分濃度は68%の表面顔料塗工液A−2を調製した。
水溶性高分子としてPVA(商品名「PVA−124」、ケン化度98.5%、重合度2400、クラレ社製)の6%水溶液を調製し、裏面塗工液B−1とした。
水溶性高分子としてPVA(商品名「PVA−117」、ケン化度98.5%、重合度1700、クラレ社製)の6%水溶液を調製し、裏面塗工液B−2とした。
水溶性高分子としてPVA(商品名「PVA−124」)50部、顔料としてカオリン(商品名:「ウルトラホワイト90」、BASF社)50部からなる固形分濃度11%の混合液を調製し、これを裏面塗工液B−3とした。
顔料として、平均粒子径が0.68μmの平板状のカオリン(商品名「HYDRAGLOSS90」、日成共益社製)の80部、紡錘状の軽質炭酸カルシウム(商品名「タマパールTP−121」、奥多摩工業社製)の8部、不定形の重質炭酸カルシウム(商品名「ハイドロカーブ60」、備北粉化社製)の12部、水溶性高分子として尿素リン酸エステル化澱粉(商品名「エースP−160」、王子コーンスターチ社製)の20部、水分散性高分子としてカルボキシル化スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名「B−1525」、旭化成社製)の15部、および水を用い、固形分濃度が35%の裏面塗工液B−4を調製した。
多層抄き抄紙機で、表層用パルプを米坪35g/m2、表下層用パルプを米坪40g/m2、中層用パルプを米坪135g/m2、裏層用パルプを米坪45g/m2となるように多層抄きを行った。
表層用パルプとしては、上物古紙(印刷、製本業者から回収されたもの)を脱墨したパルプ80%、広葉樹晒クラフトパルプ20%の割合で混合し、白色度85%であるパルプを用いた。
表下層用パルプとしては、白色度70%の脱墨雑誌古紙を用いた。
中層用パルプとしては、白色度40%の雑誌古紙を用いた。
裏層用パルプとしては、新聞古紙50%、雑誌古紙40%、オフィス古紙のシュレッダー処理物由来のパルプ10%の割合で配合した白色度51%のパルプを用いた。
次いで、基紙の表層表面に、表面顔料塗工液A−1をロッドブレードコーターで塗工量が15g/m2となるように塗工し、ドライヤーで乾燥し、ソフトニップカレンダーによる処理を施して、実施例1の塗工板紙を得た。
実施例1において、裏面塗工液B−1を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の塗工板紙を得た。
実施例1において、マシンカレンダーでのカレンダー処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして比較例2の塗工板紙を得た。
裏層用パルプとして、新聞古紙50%、雑誌古紙50%の割合で配合した白色度48%のパルプを用いる以外は、実施例1と同様にして実施例2の塗工板紙を得た。
「基紙の作成」
多層抄き抄紙機で、表層用パルプを米坪35g/m2、表下層用パルプを米坪40g/m2、中層用パルプを米坪135g/m2、裏層用パルプを米坪45g/m2となるように多層抄きを行った。
表層用パルプとしては、上物古紙(印刷、製本業者から回収されたもの)を脱墨したパルプ80%、広葉樹晒クラフトパルプ20%の割合で混合し、白色度85%であるパルプを用いた。
表下層用パルプとしては、白色度70%の脱墨雑誌古紙を用いた。
中層用パルプとしては、白色度40%の雑誌古紙を用いた。
裏層用パルプとしては、新聞古紙50%、雑誌古紙50%の割合で配合した白色度48%のパルプを用いた。
多層抄きの後、サイズプレスで塗工液を塗工せずに乾燥し、マシンカレンダー処理を施さないで基紙Aを得た。
抄紙機に付属しないロッドブレードコーターを用い、基紙Aの裏層表面に、裏面塗工液B−1を塗工量が1g/m2になるように塗工した。このときの裏層表面の紙面温度は約40℃であった。
次いで金属ロールと金属ロールの組み合わせのカレンダーで処理を行った後、ロッドブレードコーターを用い、板紙Aの表層表面に表面顔料塗工液A−1をロッドブレードコーターで塗工量が15g/m2となるように塗工し、ドライヤーで乾燥し、ソフトニップカレンダーによる処理を施して、実施例3の塗工板紙を得た。
基紙Aを加熱して裏層表面の紙面温度が60℃の状態で裏面塗工液B−1を塗工した以外は、実施例3と同様にして実施例4の塗工板紙を得た。
基紙Aの表層表面に表面顔料塗工液A−1をロッドブレードコーターで塗工量が15g/m2となるように塗工し、ドライヤーで乾燥し、裏層表面に裏面塗工液B−1を塗工量が1/m2になるように塗工し、ソフトニップカレンダーによる処理を施した以外は実施例3と同様にして、比較例3の塗工板紙を得た。なお、裏面塗工の際の裏層表面の紙面温度は約70℃であった。
実施例3の基紙Aの作成において、マシンカレンダー処理を行った以外は、実施例3と同様にして比較例4の塗工板紙を得た。
裏面塗工液として裏面塗工液B−2を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の塗工板紙を得た。
裏面塗工液として裏面塗工液B−3を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6の塗工板紙を得た。
裏面塗工液として裏面塗工液B−4を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7の塗工板紙を得た。
「塗工板紙の作成」
実施例3と同様にして基紙Aを得た。
抄紙機に付属しないロッドブレードコーターを用い、基紙Aを加熱した後、裏層表面に、裏面塗工液B−1を塗工量が1g/m2になるように塗工した。このときの裏層表面の紙面温度は約60℃であった。
次いで金属ロールと金属ロールの組み合わせのカレンダーで処理を行った後、カーテンコーターを用い、基紙Aの表層表面に表面顔料塗工液A−2を塗工量が15g/m2となるように塗工し、ドライヤーで乾燥し、ソフトニップカレンダーによる処理を施して、実施例8の塗工板紙を得た。
各実施例、比較例の塗工板紙について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
得られた塗工板紙をカッターで断裁し、平判サンプルを得た。枚葉オフセット印刷機を使用して、上記平判サンプル1050枚の表層側に連続して印刷し、1000枚目から1050枚目までの印刷サンプルのベタ印刷部における白抜け部分の発生量を以下の基準で評価した。
◎:白抜けがない。
○:僅かに白抜けが認められるが、実用上問題ない。
△:白抜けがあり、用途によっては問題が生じる。
×:白抜けが、非常に目立ち、実用上問題ある。
得られた塗工板紙の表面側と裏面側の紙面の面質を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
◎:平滑性が優れ、光沢感がある。
○:平滑性がやや劣るが、光沢感がある。
△:平滑性が乏しく、光沢感もなく、用途によっては問題が生じる。
×:表面が荒れており、実用上問題ある。
裏面塗工液を塗工しなかった比較例1では、白抜けが充分に抑制されなかった。裏面塗工液の塗工および乾燥の後にカレンダー処理を施していない比較例2では、表面側の平滑性が低く、紙面面質が劣っていた。表面顔料塗工液を塗工した後に裏面塗工液を塗工した比較例3では、表面側の平滑性が低く、紙面面質が劣っていた。カレンダー処理を施した後に裏面塗工液を塗工した比較例4では、白抜けが充分に抑制されなかった。
Claims (7)
- 少なくとも表層、中層、裏層を有する基紙を形成し、前記基紙の表層の表面に結着剤を含む塗工液を塗工することなく、カレンダー処理を施していない前記基紙の裏層の表面に、結着剤を含む裏面塗工液を塗工し、乾燥した後、カレンダー処理を行い、前記基紙の表層表面に顔料とバインダーを含む表面顔料塗工液の塗工および乾燥を行うことを特徴とする塗工板紙の製造方法。
- 前記基紙の裏層の表面の温度を60℃以上とした状態で前記裏面塗工液を塗工する、請求項1に記載の塗工板紙の製造方法。
- 前記裏面塗工液が顔料を含む、請求項1または2に記載の塗工板紙の製造方法。
- 前記結着剤が、水溶性高分子および水分散性高分子のいずれか一方または両方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
- 前記結着剤が、ポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
- 前記結着剤が、平均重合度2500以下のポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
- 前記裏面塗工液の塗工量が0.1〜7.5g/m 2 である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗工板紙の製造方法。
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