JP2000248192A - 熱安定剤および熱安定化されたハロゲン含有樹脂組成物 - Google Patents
熱安定剤および熱安定化されたハロゲン含有樹脂組成物Info
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Abstract
安定剤と同レベルの熱安定性に優れたハロゲン含有樹脂
組成物を提供する。 【解決手段】 無機亜鉛化合物、有機酸、有機酸金属
塩、および多価アルコール化合物から選ばれる少なくと
も一種以上で表面処理された苦灰石系化合物および有機
酸の亜鉛塩を含んでなる熱安定剤、およびその熱安定剤
をハロゲン含有樹脂に配合してなるハロゲン含有樹脂組
成物。
Description
の新規な熱安定剤成分、この熱安定剤成分を含有するハ
ロゲン含有樹脂の新規な熱安定剤、この熱安定剤を配合
したハロゲン含有樹脂組成物、およびこの樹脂組成物を
成形加工して得られるハロゲン含有樹脂成形加工品に関
し、更に詳しくは、新規な熱安定剤成分である、特定の
化合物により表面処理された苦灰石化合物、該苦灰石系
化合物および亜鉛の有機酸塩を含んでなるハロゲン含有
樹脂用の新規な熱安定剤、該熱安定剤を配合してなるハ
ロゲン含有樹脂組成物、および該ハロゲン含有樹脂組成
物を成形加工処理して得られるハロゲン含有樹脂成形加
工品に関する。
は、難燃性が高く、耐光性、リサイクル性、耐薬品性等
に優れた特性を有し、建材、配管、電線被覆材、各種シ
ート、各種フィルム、容器等(の成型加工品)として極
めて幅広く用いられている。
加熱成形加工時において、脱ハロゲン化水素を伴った熱
分解により、樹脂の熱着色、強度等の物理的性質の低下
等の品質低下現象が生じる。また、ハロゲン含有樹脂の
成型加工品の廃品を再成型加工してリサイクル製品とす
る場合にも同様の現象が生じる。このような問題点を解
決するために、ハロゲン含有樹脂の熱安定性を改善する
ための熱安定剤を添加するのが一般的である。
めの安定剤(以下、「熱安定剤」と略称することがあ
る)としては、従来、脂肪酸、芳香族カルボン酸、アミ
ノ酸等の有機酸の金属塩が使用されている。具体的に
は、鉛塩やカドミウム塩が熱安定剤としては満足すべき
機能を有し、特に鉛系安定剤は大量に使用されてきた。
しかし、これらは毒性上の問題が大きいため使用が制限
されている。そこで、これらに替わる熱安定剤として、
安全性の高い亜鉛の有機酸塩が注目されている。
剤および安定化助剤による熱安定化効果は十分なもので
なく、安全性の高い亜鉛系安定剤の配合によって鉛系安
定剤と同レベルの熱安定化効果をハロゲン含有樹脂に付
与し得る熱安定化システムが求められている。
のものに較べて、安全性が高く、かつ、耐熱性のより優
れたハロゲン含有樹脂組成物を提供することにある。
を解決するために鋭意検討した結果、特定の化合物で表
面処理した苦灰石系化合物を有機酸の亜鉛塩系安定剤と
の組み合わせで使用した場合に、ハロゲン含有樹脂に対
して著しい熱安定化効果の発揮されることを見いだし、
このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
酸、有機酸金属塩、または多価アルコール化合物から選
ばれる少なくとも一種以上で表面処理された苦灰石系化
合物および有機酸の亜鉛塩を有効成分として含有するハ
ロゲン含有樹脂用熱安定剤、そのような熱安定剤を配合
したハロゲン含有樹脂組成物、およびこのような樹脂組
成物を成形加工して得られるハロゲン含有樹脂成形加工
品に関する。
ハロゲン含有樹脂(従って、本発明のハロゲン含有樹脂
組成物に言うところのハロゲン含有樹脂)としては、例
えば、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン
共重合体等を挙げることができ、また、これらのアロイ
であっても良い。また、これらのハロゲン含有樹脂と、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフ
ェニレンエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の
ハロゲン非含有樹脂とのアロイであっても良い。また、
チーグラー型触媒を用いて製造されるオレフィン樹脂中
には、ハロゲン含有触媒残渣を含むものがあるが、かか
るハロゲン含有触媒残渣を含んだオレフィン樹脂も本発
明のいうハロゲン含有樹脂に包含される。
ットや粉末の形で提供され、熱および圧力をかけて成型
加工され、目的物の成型加工品に仕上げられることは周
知の通りである。本発明の熱安定剤を配合してハロゲン
含有樹脂組成物を調製する際のハロゲン含有樹脂は、上
記のペレットや粉末の形態のものでよいことはもちろん
である。
って表面処理されるべき苦灰石系化合物には、特別の制
限はなく、天然に広く産出し壁材料、製鉄用耐火物等に
用いられている苦灰石(すなわち、ドロマイト)を用い
ることがでる。さらに、苦灰石は、その化学組成は炭酸
カルシウムと炭酸マグネシウムとの複塩であり、化学合
成により得られる炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの
複塩、すなわち合成苦灰石を用いることもできる。本発
明に用いる合成苦灰石の組成は、カルシウムとマグネシ
ウムがある比率で混在していれば良く、MgOとCaO
換算でその重量比率が5:95〜95:5の範囲が好ま
しい。この比率範囲を外れた合成ドロマイトを用いた場
合、本発明による熱安定効果が十分には得られない。
灰石を焼成、消和等、金属元素組成を大きく変更させる
ことなく変性した誘導体を用いることができる。具体的
には、苦灰石を700〜800℃にて加熱し得られるド
ロマイトセメント、900〜1000℃にて加熱し得ら
れる軽焼ドロマイト、さらに1600〜1800℃の高
温で硬焼した死焼ドロマイト、軽焼ドロマイトに水を加
えて消化した苦土消石灰、合成マグドロクリンカー等が
挙げられる。さらに、アケルマナイト(Ca2MgSi
2O7)や透輝石(CaMg(SiO3)2)、各種ス
ラグのように、カルシウムとマグネシウムの比率が上述
の合成ドロマイトと同じ範囲にある天然鉱物や合成の複
塩を同様に変成した誘導体も用いることができる。更
に、これらの任意の混合物であって良いことはいうまで
もない。
細書では苦灰石系化合物と総称するが、これらの苦灰石
系化合物は工業的に幅広く、大量に産出されており、製
鋼から陶器、建材、農業等極めて幅広い産業で使用され
ているため、安定な品質で、容易かつ安価に入手可能な
ものである。中でも、軽焼ドロマイトを使用した場合、
得られるハロゲン含有樹脂組成物の熱安定性が良好にな
る。
化合物(表面処理剤)としては、無機亜鉛化合物、有機
酸、有機酸金属塩、および多価アルコール化合物が挙げ
られる。これらの化合物は各々単独で用いてもよく、任
意の混合物として用いてもよい。
鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜硫酸亜鉛、
リン酸亜鉛、水酸化亜鉛等を挙げることができる。さら
に、これらの任意の混合物や複塩であっても良い。
ン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリ
ン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪族モノカ
ルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン
酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;アクリ
ル酸、オレイン酸、クロトン酸、フマル酸などの不飽和
脂肪族カルボン酸;安息香酸、ショウノウ酸、フタル
酸、トルイル酸、ヒドロアトロバ酸、ケイ皮酸などの炭
素環式カルボン酸;フル酸、テン酸、ピロリドンカルボ
ン酸、ニコチン酸などの複素環式カルボン酸;乳酸、リ
ンゴ酸、ベンジル酸、サルチル酸、アニス酸、バニリン
酸、プロトカテク酸、没食子酸などのヒドロキシ酸やア
ルコキシ酸;グルタミン酸、リジン、アスパラギン酸、
グリシン、N−ステアロイルグリシン、N−アセチルグ
ルタミン酸、N−ラウロイルロイシン、γ−メチルグル
タミン酸などのアミノ酸やアミノ酸誘導体;等を挙げる
ことができる。
の金属塩が挙げられる。金属としては、亜鉛、カルシウ
ム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、
鉄、アルミニウム、ニッケル、銅、マンガン等が挙げら
れる。さらに、これら有機酸金属塩の任意の混合物や複
塩であっても良い。中でも、有機酸の亜鉛塩を用いて表
面処理した場合、特に優れた熱安定性を示し好ましい。
リスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエ
リスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトー
ル、グリセリン、ポリグリセリン等を挙げることができ
る。また、これらの化合物の水酸基の一部をエステル
化、エーテル化等により化学修飾したものも本発明にい
う多価アルコール化合物に含まれる。
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、またはこ
れらを塩基酸でエステル化したもので表面処理した場
合、熱安定化効果が高く好ましい。
ジペンタエリスリトールを、炭素原子数10〜22の高
級脂肪酸および/または炭素原子数4〜10の二塩基酸
で部分エステル化した部分エステル化物は、高分子量で
あるため、本発明の樹脂組成物の加熱成形加工時の昇華
がなく、金型汚染を起こさない、処理粉体(表面処理し
た苦灰石系化合物)の加工性が向上する、処理粉体の樹
脂中への分散性に優れている、等の付加的な長所を有す
るので好ましい。
ン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリ
ン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸等を挙げることができ、また、上記二塩基酸
としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバチン酸等を挙げるこ
とができる。
原子数4〜10の二塩基酸は低昇華性効果および熱安定
化効果に、そして炭素原子数10〜22の高級脂肪酸は
処理粉体の加工性改善効果および良分散性効果に寄与す
る。
するハロゲン含有樹脂(組成物)の機能や配合系に合わ
せ任意に分子設計し用いることができる。このようなペ
ンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリト
ールと、炭素原子数10〜22の高級脂肪酸および/ま
たは炭素原子数4〜10の二塩基酸との一部水酸基のエ
ステル化物(部分エステル化物)は、特開昭53−63
50号公報、特公昭57−61289号公報、特開昭5
5−069639号公報等に記載された既知の方法で工
業的に容易に製造することが出来、また、一部ではある
が、市販されている。
明の効果を阻害しない範囲で、工業的に使用されている
他の表面処理剤を適宜に併用することができる。具体的
には、シラン系、アルミニウム系、リン酸系などのカッ
プリング剤や、アニオン系、カチオン系、ノニオン系な
どの界面活性剤、高分子系の分散剤、等を挙げることが
できる。ただし、本発明の表面処理剤による熱安定性向
上効果を十分得るためには、これらの表面処理剤は、本
発明に従って苦灰石系化合物の表面処理に用いる化合物
として挙げた前記の無機亜鉛化合物、有機酸、有機酸金
属塩または多価アルコール化合物から選ばれる少なくと
も一種以上に対し、多くとも同量ないしは同量未満の使
用に止めることが好ましい。
は、適宜併用される他の表面処理剤も含めて、苦灰石系
化合物の種類、その粉体粒子の比表面積およびその表面
に結合した水分量等によっても異なるが、表面処理され
るべき苦灰石系化合物に対して0.05〜40重量%、
好ましくは0.1〜20重量%である。0.05重量%
未満の添加量では表面処理の効果がほとんどなく、一
方、40重量%より多く添加しても、苦灰石系化合物粉
体粒子の表面が処理剤で飽和してしまうことによるもの
と考えられるが、表面処理の効果はそれ以上向上しな
い。
宜、例えば、1)苦灰石系化合物粉体に表面処理剤をそ
のまま添加してヘンシェルミキサー、コロイドミル、ボ
ールミル、アトマイザー等の粉砕機を用いて共粉砕する
方法、2)トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、
アセトニトリル、クロロホルム、ジエチルエーテル、
水、エタノール、メタノール等の適当な溶媒中に表面処
理剤および苦灰石系化合物を加え、撹拌混合後、溶媒を
除去する方法等によることができる。法等が挙げられ
る。
れた苦灰石系化合物は、そのような表面処理をしていな
い苦灰石系化合物と比較して、その熱安定化効果が更に
増大し、特にコンゴ−レッド試験による塩酸吸着性能が
大きく向上する。苦灰石系化合物の表面処理を行わず
に、単にハロゲン含有樹脂に添加しただけでは、このよ
うな効果の向上は得られない。すなわち、本発明の表面
処理された苦灰石系化合物は、ハロゲン含有樹脂の熱安
定化のために非常に有用な化合物である。
酸、有機酸金属塩または多価アルコール化合物から選ば
れる少なくとも一種以上で表面処理された苦灰石系化合
物は新規物質である。
る、表面処理された苦灰石系化合物の使用量(配合量)
は、通常、ハロゲン含有樹脂100重量部に対して0.
01重量部、好ましくは0.05重量部以上である。
0.01重量部未満では目的とする熱安定化効果が十分
に発揮されない。一方、30重量部より多く苦灰石系化
合物を使用する場合、熱安定化効果がそれ以上向上しな
いことがある。また、苦灰石系化合物は200重量部程
度まで添加することができるが、好ましくは150重量
部以下で用いられる。200重量部より多い場合、本発
明の熱安定化効果を低下させることはないが、通常の充
填剤と同様に、ハロゲン含有樹脂組成物の物理特性を低
下させる可能性がある。
として用いられる表面処理された苦灰石系化合物の平均
粒径は、100ミクロン以下が好ましく、更に好ましく
は10ミクロン以下である。100ミクロンより大きい
と、成型加工後の樹脂組成物(すなわち、成型加工品)
の表面がざらつき、物理的特性の低下等の品質の低下が
起こり好ましくない。
剤において、表面処理した苦灰石系化合物と共に用いら
れる有機酸の亜鉛塩について説明する。この有機酸とし
ては、先に苦灰石系化合物の表面処理剤として例示した
ものと同じ、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸、安息香酸、サリチル酸、オレイン酸、リ
ンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、トリメ
リット酸、グルタミン酸、リジン、ピロリドンカルボン
酸、アスパラギン酸、グリシン等を挙げることができ
る。
ン含有樹脂用熱安定剤として用いられる量、例えば、ハ
ロゲン含有樹脂100重量部に対して0.01〜20重
量部でよい。
いては、表面処理された苦灰石系化合物および有機酸の
亜鉛塩に加え、更に熱着色を押さえるために多価アルコ
ール化合物および/またはβ−ジケトン化合物を更に配
合することができる。
は、先に苦灰石系化合物の処理剤として説明したのと同
様の多価アルコール化合物を用いることができる。好ま
しい多価アルコール化合物についても先に説明した通り
である。これらの多価アルコール化合物は、各々単独で
用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ン含有樹脂100重量部に対して通常0.01〜10重
量部、好ましくは0.05〜5重量部である。0.01
重量部未満では多価アルコール化合物による相乗的熱安
定化効果が十分に発揮されない場合があり、一方、10
重量部を越えた場合、ハロゲン含有樹脂の物理特性を低
下させる可能性がある。
いることができるβ−ジケトン化合物としては、例え
ば、特公昭52−47949号公報等に開示され、工業
的に製造されているものを任意に使用することができ
る。具体的には、ベンゾイルアセチルメタン、トリベン
ゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロ
イルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタ
ン、ベンゾイルアセチルエチルメタン、ジアセチルメタ
ン、トリアセチルメタン、ジベンゾイルメタン、ジステ
アロイルメタン、ステアロイルアセチルメタン、ラウロ
イルアセチルメタン、ベンゾイルホルミルメタン等を挙
げることができる。
ば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、カリウム、カルシウム、亜鉛、等の塩を用いても良
い。これらも、本発明にいうβ−ジケトン化合物に包含
される。
含有樹脂100重量部に対して通常0.01〜10重量
部、好ましくは0.05〜5重量部である。0.01重
量部未満ではβ−ジケトンによる相乗的熱安定化効果が
十分に発揮されない場合があり、一方、10重量部を越
えた場合、ハロゲン含有樹脂組成物の物理特性を低下さ
せる可能性がある。これらのβ−ジケトン化合物は、各
々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
有樹脂組成物においては、必要に応じてまたは所望によ
り、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種の添加剤を
配合してもよい。例えば、通常ハロゲン含有樹脂組成物
に用いられる可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、難燃剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、防曇剤等を配合
することができる。また、有機リン化合物やエポキシ化
合物等も配合することができる。
発明のハロゲン含有樹脂用熱安定剤またはこれを配合し
たハロゲン含有樹脂組成物を調製する場合の調製方法自
体には特別の制限はなく、その配合方法、順序等は、適
宜、公知の方法によることができる。
調製する場合、本発明のハロゲン含有樹脂用熱安定剤の
成分は、これらを一旦熱安定剤の形態に調製してからハ
ロゲン含有樹脂組成物の調製に使用しても、また熱安定
剤として一旦調製することなく、直接ハロゲン含有樹脂
組成物の調製に使用しても、熱安定化効果には差異がな
い。従って本明細書において本発明のハロゲン含有樹脂
用熱安定剤を含有するハロゲン含有樹脂組成物という場
合のハロゲン含有樹脂用熱安定剤には前記のように直接
使用して組成物中でその場で(in situ)生成すると考
えられる熱安定剤も包含されるものとする。
は、これを混練し、熱および圧力をかけて成型加工して
ハロゲン含有樹脂成型加工品を作成する場合の成型加工
方法自体にも特別の制限はなく、適宜、公知の方法によ
ることができる。
ようにハロゲン含有樹脂を粉末またはペレットの形で提
供する際の粉末またはペレットを作成するときに既に本
発明の熱安定剤を加えておくこともでき、この場合の粉
末やペレットも熱安定化ハロゲン樹脂であって、粉末ま
たはペレットの成形加工品として本発明のハロゲン含有
樹脂成形加工品に含める(広義)。
これを実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
以下、同じ)にアジピン酸73部、ステアリン酸28
4.5部を加え、230℃にて2時間撹拌してエステル
化反応を行い、ペンタエリスリトールのアジピン酸・ス
テアリン酸混合部分エステル(エステル化率45〜55
%)を得た。
を、ステアリン酸亜鉛1kgと共に脱気した乾式条件下
において24時間かけて粉砕した。得られたステアリン
酸亜鉛表面処理ドロマイトのメジアン径は1.5μmで
あった。
を、ステアリン酸カルシウム1kgと共に脱気した乾式
条件下において24時間かけて粉砕した。得られたステ
アリン酸カルシウム表面処理ドロマイトのメジアン径は
1.1μmであった。
4.1部を水2,000部に投入し、10℃にて撹拌し
つつ3時間炭酸ガスを吹き込んだ。生じた沈殿物をろ過
し、炭酸ガス雰囲気下50℃以下にて乾燥し、炭酸カル
シウム−炭酸マグネシウム複塩(合成ドロマイト)15
2.3部を得た。得られた複塩のカルシウムとマグネシ
ウムの比率は、CaO:MgO換算で54:46であっ
た。この合成ドロマイト1.9kgを、ステアリン酸亜
鉛0.1kgと共に脱気した乾式条件下において24時
間かけて粉砕した。得られたステアリン酸亜鉛表面処理
合成ドロマイトのメジアン径は1.1μmであった。
kgを、ステアリン酸亜鉛1kgと共に脱気した乾式条
件下において24時間かけて粉砕した。得られたステア
リン酸亜鉛表面処理軽焼ドロマイトのメジアン径は1.
2μmであった。
9.8kgを、酸化亜鉛0.2kgと共に脱気した乾式
条件下において24時間かけて粉砕した。得られた酸化
亜鉛表面処理軽焼ドロマイトのメジアン径は1.2μm
であった。
を、リジン亜鉛塩0.2kg、ステアリン酸0.5kg
およびステアリン酸カルシウム0.3kgと共に脱気し
た乾式条件下において24時間かけて粉砕した。得られ
た表面処理苦土消石灰のメジアン径は1.3μmであっ
た。
ールを用いて155℃にて5分間混練し、次いで熱プレ
スを用い155℃にて5分間プレスして厚さ3mmのハ
ロゲン含有樹脂シートを作成した。得られたシートを用
い、ギアオーブンを用いた180℃における熱着色試験
(静的熱安定性試験)、ラボプラストミルを用いた20
0℃における動的熱安定性試験、および180℃におけ
るコンゴーレッド試験を行った。熱着色試験は、シート
が茶褐色化もしくは部分黒化するまでの時間、そして動
的熱安定性試験は樹脂が分解し混練トルクが上昇開始す
るまでの時間を測定した。これらの試験結果も同表に示
す。
ある。 *1:新第一塩ビ(株)製「1000Z」(重合度10
50)を使用した。 *2:いずれも、田源石灰工業(株)製を使用した。 *3:「プレンライザーST−210」(商品名:味の
素ファインテクノ(株)製、ジペンタエリスリトールの
アジピン酸エステルを主成分とする組成物、OH価90
0)。 *4:「プレンライザーST−220」(商品名:味の
素ファインテクノ(株)製、ペンタエリスリトールのア
ジピン酸エステル誘導体を主成分とする組成物、OH価
900)。
を、ペンタエリスリトール1kgと共に脱気した乾式条
件下において24時間かけて粉砕した。得られた表面処
理ドロマイトのメジアン径は1.1μmであった。
4.1部を水2,000部に投入し、10℃にて撹拌し
つつ3時間炭酸ガスを吹き込んだ。生じた沈殿物をろ過
し、炭酸ガス雰囲気下50℃以下にて乾燥し、炭酸カル
シウム−炭酸マグネシウム複塩(合成ドロマイト)15
2.3部を得た。得られた複塩のカルシウムとマグネシ
ウムの比率は、CaO:MgO換算で54:46であっ
た。この合成ドロマイト1.9kgを、ペンタエリスリ
トール0.1kgと共に脱気した乾式条件下において2
4時間かけて粉砕した。得られたペンタエリスリトール
表面処理合成ドロマイトのメジアン径は1.1μmであ
った。
kgを、ジペンタエリスリトール1kgと共に脱気した
乾式条件下において24時間かけて粉砕した。得られた
表面処理軽焼ドロマイトのメジアン径は1.1μmであ
った。
kgを、「プレンライザーST−210」(商品名:味
の素ファインテクノ(株)製、ジペンタエリスリトール
のアジピン酸エステルを主成分とする組成物、OH価9
00)1kgと共に脱気した乾式条件下において24時
間かけて粉砕した。得られた表面処理軽焼ドロマイトの
メジアン径は1.3μmであった。
kgを、「プレンライザーST−220」(商品名:味
の素ファインテクノ(株)製、ペンタエリスリトールの
アジピン酸エステル誘導体を主成分とする組成物、OH
価900)1kgと共に脱気した乾式条件下において2
4時間かけて粉砕した。得られた表面処理軽焼ドロマイ
トのメジアン径は1.2μmであった。
kgを、製造例1の化合物1kgと共に脱気した乾式条
件下において24時間かけて粉砕した。得られた表面処
理軽焼ドロマイトのメジアン径は1.2μmであった。
kgを、「プレンライザーST−220」(味の素ファ
インテクノ(株)製)0.15kgおよびステアリン酸
亜鉛0.05kgと共に脱気した乾式条件下において2
4時間かけて粉砕した。得られた表面処理苦土消石灰の
メジアン径は1.3μmであった。
kgを、「プレンライザーST−220」(味の素ファ
インテクノ(株)製)0.15kgおよび「プレンアク
トALM」(商品名:味の素ファインテクノ(株)製、
アルミ系カップリング剤)0.05kgと共に脱気した
乾式条件下において24時間かけて粉砕した。得られた
表面処理苦土消石灰のメジアン径は1.3μmであっ
た。
記実施例の場合と同様にして試験した。これらの試験結
果も同表に示す。
中におけると同じである。
記実施例の場合と同様にして試験した。これらの試験結
果も同表に示す。なお、第3表中にある記号も、上掲第
1表中におけると同じである。
特定の処理剤で表面処理した苦灰石系化合物および有機
酸の亜鉛塩並びに、所望により、多価アルコール化合物
および/またはβ−ジケトン化合物を含有する、安全性
の高い熱安定剤を用いて、熱安定性に優れた塩化ビニル
樹脂等のハロゲン含有樹脂(組成物)を容易に得ること
ができる。
3)
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、またはこ
れらを有機酸でエステル化したもので表面処理した場
合、熱安定化効果が高く好ましい。
れた苦灰石系化合物は、そのような表面処理をしていな
い苦灰石系化合物と比較して、その熱安定化効果が更に
増大し、特にコンゴ−レッド試験による塩酸吸着性能が
大きく向上する。すなわち、本発明の表面処理された苦
灰石系化合物は、ハロゲン含有樹脂の熱安定化のために
非常に有用な化合物である。
Claims (10)
- 【請求項1】無機亜鉛化合物、有機酸、有機酸金属塩、
または多価アルコール化合物から選ばれる少なくとも一
種以上で表面処理されたことを特徴とする苦灰石系化合
物。 - 【請求項2】ハロゲン含有樹脂の熱安定化のために用い
られることを特徴とする請求項1記載の苦灰石系化合
物。 - 【請求項3】無機亜鉛化合物、有機酸、有機酸金属塩、
または多価アルコール化合物から選ばれる少なくとも一
種以上で表面処理された苦灰石系化合物および有機酸の
亜鉛塩を有効成分として含有することを特徴とするハロ
ゲン含有樹脂用熱安定剤。 - 【請求項4】更に多価アルコール化合物および/または
β−ジケトン化合物を含有することを特徴とする請求項
3記載のハロゲン含有樹脂用熱安定剤。 - 【請求項5】該苦灰石系化合物が天然苦灰石および/ま
たは炭酸カルシウム−炭酸マグネシウムの複塩よりなる
合成苦灰石であることを特徴とする請求項3または4記
載のハロゲン含有樹脂用熱安定剤。 - 【請求項6】該苦灰石系化合物が、そのマグネシウムと
カルシウムの重量比率がMgOとCaO換算で5:95
〜95:5であることを特徴とする請求項3〜5のいず
れかに記載のハロゲン含有樹脂用熱安定剤。 - 【請求項7】該苦灰石系化合物が、そのマグネシウムと
カルシウムの重量比率がMgOとCaO換算で5:95
〜95:5の複塩化合物を軽焼して得られる軽焼ドロマ
イトを含んでなることを特徴とする請求項3〜5のいず
れかに記載のハロゲン含有樹脂用熱安定剤。 - 【請求項8】請求項3〜7のいずれかに記載のハロゲン
含有樹脂用熱安定剤を含有することを特徴とするハロゲ
ン含有樹脂組成物。 - 【請求項9】ハロゲン含有樹脂100重量部に対して、
請求項3〜7のいずれかに記載のハロゲン含有樹脂用熱
安定剤が0.01〜150重量部配合されていることを
特徴とする請求項8記載のハロゲン含有樹脂組成物。 - 【請求項10】請求項8または9記載のハロゲン含有樹
脂組成物を成形加工して作成されたことを特徴とするハ
ロゲン含有樹脂成形加工品。
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1999
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