JP2000247744A - 炭化ケイ素焼結体およびその製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素焼結体およびその製造方法

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JP2000247744A
JP2000247744A JP11050258A JP5025899A JP2000247744A JP 2000247744 A JP2000247744 A JP 2000247744A JP 11050258 A JP11050258 A JP 11050258A JP 5025899 A JP5025899 A JP 5025899A JP 2000247744 A JP2000247744 A JP 2000247744A
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English (en)
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Shoji Kosaka
祥二 高坂
Masaaki Obata
正明 小畑
Masahito Nakanishi
政仁 中西
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Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サンドブラストやRIE処理でもボイドの発
生の少ない炭化ケイ素焼結体を作製する。 【解決手段】遊離シリカが多い、α型炭化ケイ素粉末に
は、炭素源とホウ素源を加え、遊離カーボンが多いβ型
炭化ケイ素粉末には、シリカ粉末とホウ素源を加え、さ
らに、α型炭化ケイ素粉末とβ型炭化ケイ素粉末の混合
粉末にホウ素源を加え、相対密度が98%以上、320
μm2 に0.2μm以上のカーボン粒子が5個以下にす
ることで微粒カーボンの凝集物が大幅に減少し、後加工
によるボイドの発生を大幅に抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路
(LSI)などを作製する際に半導体ウエハに露光処理
を施す際に用いられる半導体露光装置、具体的には、真
空チャックなどのウエハー保持部材、薄膜磁気ヘッド用
基板、治具、測定用具などに用いられ、特に、イオンミ
リング法または反応性イオンエッチング法などのイオン
照射によって表面が加工されるような部材に適した炭化
ケイ素焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】炭化ケイ素は、共有結合性が高く、炭化ケ
イ素焼結体は、耐熱性、耐食性に優れ、室温から高温ま
で強度が高く、広くエンジニアリングセラミックスとし
て、使用されている。
【0003】炭化ケイ素粉末の製造方法としては、シリ
カ還元炭化法によるアチソン法によるα−SiCの製造
方法と、シリカの炭化法、または、気相反応法によるβ
−SiCの製造方法が知られている。また、炭化ケイ素
の焼結体を製造する場合、炭化ケイ素自体が難焼結性で
あるため、一般的には、特開昭57−149870号公
報および、特公昭57−40109号公報、特公昭59
−34147号公報に記載されているように炭化ケイ素
粉末にホウ素を含有する添加剤、および、炭素質添加剤
を添加、混合し、不活性雰囲気で焼成することにより緻
密な焼結体が得られている。
【0004】一方、特公昭64−9269号公報によれ
ば、α型のSiCにホウ素源と炭素源を添加し、190
0℃〜2250℃で焼成することで、炭化ケイ素粒子が
等軸ミクロ構造を有する炭化ケイ素焼結体が提案されて
いる。
【0005】しかし、従来の炭化ケイ素焼結体は、緻密
化と強度特性や、炭化ケイ素粒子の形状についてのみ注
目され、炭化ケイ素粒子の粒界、または、一部結晶粒子
内部に取り残されるカーボン粒子については、一切、検
討、記載されていない。
【0006】また、炭化ケイ素焼結体の用途の1つとし
て、半導体製造装置用として高純度の炭化ケイ素焼結体
が用いられている。
【0007】このような高純度炭化ケイ素焼結体は、一
般には、炭化ケイ素粉末と炭素粉末との混合粉末からな
る成形体を焼成し、その後溶融ケイ素を含浸させて作製
する方法などが知られている。
【0008】
【課題を解決しようとする課題】最近に至り、炭化ケイ
素焼結体の用途として、半導体集積回路(LSI)など
を作製する際に、真空チャックなどのウエハ保持部材な
どの半導体ウエハに露光処理を施す際に用いられる半導
体露光装置用部材、あるいは薄膜磁気ヘッド用基板など
に用いることが検討されている。
【0009】このような部材または基板においては、表
面に微細な加工を施す場合があり、例えば、イオンミリ
ング法または反応性イオンエッチング法(RIE)など
のようにイオン照射によってその表面を加工することが
行われ、その加工によって、0.3μm以下の高い精密
加工性が要求される。
【0010】しかしながら、従来の炭化ケイ素焼結体に
よれば、焼結助剤として炭素源を必須成分として添加す
るために、これが焼結体中に遊離カーボンとして残留す
る。その結果、この残留したカーボン粒子と、炭化ケイ
素粒子との硬度や化学的特性の違いにより加工性が異な
るために、例えば、エッチングされやすいカーボンが選
択的に除去されてしまい、焼結体表面にボイドが発生す
るなどの問題があった。
【0011】また、従来の高純度炭化ケイ素焼結体にお
いては、遊離ケイ素が炭化ケイ素結晶粒子の空隙に残存
しており、この遊離ケイ素と炭化ケイ素粒子との硬度や
化学的特性の違いにより加工性が異なるため、ダイヤモ
ンド砥粒などを使った鏡面加工時に選択的に遊離ケイ素
が研磨されボイドが発生するなどの問題があった。
【0012】従って、本発明は、各種の加工性に優れ、
イオン照射などの加工時においてもボイドなどの発生の
少ない炭化ケイ素焼結体を提供すること、また、焼結体
中における遊離ケイ素や遊離カーボンの発生を抑制しつ
つ、緻密質で且つ加工時にボイドなどの発生の少ない炭
化ケイ素焼結体の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に対して検討を重ねた結果、原料粉末として、α型炭化
ケイ素粉末やβ型炭化ケイ素粉末を用いて、各粉末中の
遊離カーボン量および遊離シリカ量に合わせて、カーボ
ン源やシリカ粉末などを特定の関係を満足するように配
合することにより、遊離ケイ素や遊離カーボンの発生を
抑制した実質的に炭化ケイ素結晶のみからなる高純度の
炭化ケイ素焼結体が得られることを見いだし、かかる焼
結体により加工時によるボイドなどの発生が抑制できる
ことを見いだした。
【0014】即ち、本発明の炭化ケイ素焼結体は、炭化
ケイ素を主成分とし、実質的に遊離ケイ素を含まず、相
対密度が98%以上であり、かつ鏡面観察における32
0μm2 の領域内に0.2μm以上のカーボン粒子の存
在量が5個以下であることを特徴とするものであり、ま
た、かかる焼結体中の遊離カーボン量が0.5重量%以
下であること、ホウ素(B)の含有量が0.05〜3重
量%であることが望ましく、さらには、かかる焼結体
は、イオン照射によって加工されるような部材として最
も好適に用いられる。
【0015】また、本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方
法によれば、第1の方法は、平均粒子径が1μm以下の
α型炭化ケイ素粉末に対して、カーボン源を下記数1
【0016】
【数1】
【0017】を満足するように添加するとともに、ホウ
素源をホウ素換算で0.05〜3重量%の割合で添加混
合後、該混合物を所定形状に成形し、1900℃以上の
温度範囲で焼成して、相対密度が98%以上に緻密化す
ることを特徴とする。
【0018】また、第2の方法は、平均粒子径が1μm
以下のβ型炭化ケイ素粉末に対して、シリカ粉末を下記
数2
【0019】
【数2】
【0020】を満足するように添加するとともに、ホウ
素源をホウ素換算で0.05〜3重量%の割合で添加混
合後、該混合物を所定形状に成形し、1900℃以上の
温度範囲で焼成して、相対密度が98%以上に緻密化す
ることを特徴とする。
【0021】さらに、第3の方法は、1μm以下のα型
炭化ケイ素粉末と、平均粒子径が1μm以下のβ型炭化
ケイ素粉末とを下記数3
【0022】
【数3】
【0023】を満足するように添加するとともに、ホウ
素源をホウ素換算で0.05〜3重量%の割合で添加混
合後、該混合物を所定形状に成形し、1900℃以上の
温度範囲で焼成して、相対密度が98%以上に緻密化す
ることを特徴とする。
【0024】なお、上記第1乃至第3の方法において
は、いずれも前記焼成を、20MPa以上を加圧下を行
うことが望ましい。
【0025】
【作用】本発明は、焼結体表面のイオン照射などによる
加工時のボイドの発生原因が、焼結体の表面に存在する
遊離カーボンや遊離ケイ素が残存しており、このような
遊離カーボンや遊離ケイ素が炭化ケイ素結晶よりもエッ
チングされやすいために、これらの遊離カーボンや遊離
ケイ素が存在した部分のみが選択的に除去されてボイド
が形成されるとの知見に基づく。
【0026】炭化ケイ素は定比化合物であり、状態図か
ら定比組成のSi:C=1:1に対して、Siがリッチ
になると余剰のシリコンが、またカーボンがリッチにな
ると余剰のカーボンが焼結体に残存する。また、焼結体
の製造に際し、炭化ケイ素粉末の表面には不可避的に酸
化ケイ素(シリカ)が存在するが、このシリカは、緻密
化を阻害するために除去することが必要である。
【0027】したがって、焼結には、炭化ケイ素粒子表
面のシリカを除去し、緻密化を促進させるためには、カ
ーボンが必要となるため、通常、炭化ケイ素粉末に対し
てカーボン源を添加する。その時に添加されるカーボン
量は、余剰のカーボンが存在しても強度などの特性に対
して影響が小さいために、通常、シリカ分を完全に除去
するに充分な量よりも多くのカーボンが添加され、ま
た、炭化ケイ素粉末中にも遊離カーボンを含有すること
から、焼結体中には、余剰のカーボンが炭化ケイ素結晶
の粒界または粒内に残存することになる。
【0028】しかしながら、イオン照射などによる加工
を施す場合、前述したような理由から、この余剰のカー
ボンがボイド発生の原因となってしまい、精密加工性を
損なう原因となっている。
【0029】そこで、本発明では、炭化ケイ素粉末中に
存在するシリカ分に合わせて、添加するカーボン源ある
いは炭化ケイ素粉末中に含まれる遊離カーボン量を制御
することにより、余剰カーボンの発生を抑制することに
よって、イオン照射などによる加工を施した場合におい
ても、ボイドの発生のない精密加工性に優れた炭化ケイ
素焼結体を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
の炭化ケイ素焼結体は、炭化ケイ素を主成分とする焼結
体であるが、本質的には、炭化ケイ素結晶のみの多結晶
体からなるものであり、その焼結体中に溶融ケイ素を含
浸するようなものでなく、つまり実質的に遊離ケイ素を
含まないものである。
【0031】従来の高純度炭化ケイ素焼結体は、ケイ素
を含浸して反応焼結することによって作製されるが、そ
の場合には、焼結体中に遊離ケイ素を20%程度含んだ
ものであるために、ケイ素と炭化ケイ素の物性の相違に
よって、遊離ケイ素が選択的に除去されてしまい、ボイ
ドの発生や加工表面の表面粗さが大きくなる傾向にあ
る。
【0032】焼結体を構成する炭化ケイ素結晶は、等軸
晶あるいは板状晶の形状からなるものであり、その結晶
粒径は、平均10μm以下であることが望ましい。上記
の粒径が10μmよりも大きいと、加工速度が遅くなる
と同時に表面品位も落ちてしまう。
【0033】また、本発明の炭化ケイ素焼結体は、Si
Cの理論密度(3.20g/cm3)に対する比率、即
ち、相対密度が98%以上、好ましくは99%以上、最
適は99.5%以上であることも重要であり、この相対
密度が98%よりも低いと、イオン照射による加工の際
に、焼結体表面に存在するボイド部分が選択的にエッチ
ングされるために、ボイド径が広がり精密加工ができな
くなるためである。
【0034】さらに、本発明の炭化ケイ素焼結体によれ
ば、焼結体の走査型電子顕微鏡などによる表面観察にお
いて、0.2μm以上の粒径のカーボン粒子の数が少な
いことが重要であり、その目安として、鏡面観察におけ
る320μm2 、即ち20μm×16μmの観察領域に
おける粒径0.2μm以上のカーボン粒子数が5個以
下、特に3個以下、さらには1個以下であることが重要
である。
【0035】これは、粒径が0.2μmより小さいカー
ボン粒子は、イオン照射によってボイド化しても大きな
問題とはならないが、0.2μm以上のカーボン粒子
は、ボイド化した場合に前述したような高精度の精密加
工性の点では大きな問題となり、その数が5個を越える
と、イオン照射などによる加工をはじめ、鏡面加工、サ
ンドブラスト等の機械加工の際に、カーボン粒子が選択
的に除去されて、大きなボイドが形成されるために加工
精度が低下する。
【0036】また、この焼結体中の遊離カーボンは0.
5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、望ましく
は、0.05重量%以下であることが望ましい。これ
は、遊離カーボンが0.5重量%を越えると上記0.2
μm以上のカーボン粒子数が5個を超えてしまうためで
ある。
【0037】上記のような炭化ケイ素焼結体を作製する
方法として、以下に3つの方法について説明する。ま
ず、第1の方法として、α型炭化ケイ素粉末を用いる。
この場合、炭化ケイ素粉末の平均粒子径は1μm以下、
特に0.8μm以下であることが重要である。これは、
平均粒子径が1μmを越える場合、焼結特性が低下し、
密度低下を招いてしまう。
【0038】α型炭化ケイ素粉末は、一般的にアチソン
法で合成される。この炭化ケイ素粉末は粒径が大きいた
めに、通常、粉砕により微粉末化されている。粉砕中に
炭化ケイ素粉末表面が酸化されるため、原料作製段階で
遊離シリカを多量に含んでいる。
【0039】そのため、上記のα型炭化ケイ素粉末を用
いる場合は、この遊離シリカを還元するために、熱分解
によって炭素に変化しうる有機化合物、カーボン粉末な
どのカーボン源を添加する必要がある。その場合、カー
ボン源の添加量は下記数1
【0040】
【数1】
【0041】特に、下記数4
【0042】
【数4】
【0043】を満足することが重要である。
【0044】シリカ(SiO2 )とカーボン(C)との
反応としては、 SiO2 +C= SiO+CO (1) SiO2 +3C=SiC+2CO (2) 等の反応が知られている。シリカの分子量が60、炭素
の分子量が12であるので、(1)式では炭素が(A/
60)×12の割合で必要となるが、遊離炭素B重量%
を含んでいるため不足炭素量は(A/60−B/12)
×12となる。
【0045】また、(2)式では、同様に不足炭素量は
(3A/60−B/12)×12となる。また、反応の
起こりにくさを考慮し、最大で(4A/60−B/1
2)×12の炭素量が必要である。
【0046】従って、数1からも明らかなように、カー
ボン源の量が(A/60−B/12)×12よりも少な
い場合、炭素が足らないために炭化ケイ素粒子表面の遊
離シリカを除くことができずに、未焼結となり密度が低
下してしまう。また、(4A/60−B/12)×12
を超える場合には、逆に、遊離カーボンが増加し加工時
にボイドが増加してしまう。
【0047】本発明によれば、上記のように調整された
炭化ケイ素およびカーボン源に対して、金属ボロンや炭
化ホウ素などのホウ素源をホウ素に換算して0.05〜
3重量%の割合で添加する。このホウ素源は、炭化ケイ
素粒子に固溶し、緻密化を促進させるためであり、その
量が0.05重量%よりも少ないと、密度の低下を招
き、3重量%よりも多いと、炭化ケイ素が粒成長してし
まう恐れがある。
【0048】次に、上記のように調合された粉末を樹脂
を内張りとする容器内でポリイミドなどのボールなどを
用いて混合する。当然ながら、混合の際に混合媒体から
混入する成分も考慮して前記炭化ケイ素量、カーボン源
およびホウ素源量は定められる。
【0049】このようにして混合したものを所望の成形
手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、射出成
形、押出し成形等により任意の形状に成形後、焼成す
る。
【0050】焼成は、1900℃以上好ましくは、20
00℃〜2100℃の温度範囲でアルゴンガスなど不活
性雰囲気中で0.5〜5時間程度焼成して相対密度が9
8%以上に緻密化する。この時の温度が1900℃より
も低いと緻密化不足を招き多くのボイドが存在すること
になる。
【0051】第2の方法によれば、β型の炭化ケイ素粉
末を用いる。このβ型の炭化ケイ素は一般には、シリカ
還元法、または、気相合成で製造される。このβ型炭化
ケイ素粉末は、合成後における平均粒子径が1μm以下
と微粒である反面、遊離カーボン量が多いために、この
遊離カーボンを除去するために、シリカ粉末を添加する
ことが必要である。その場合、シリカ粉末の添加量は下
記数2
【0052】
【数2】
【0053】を満足するように配合される。特に、この
シリカ粉末の添加量(S)は下記数5
【0054】
【数5】
【0055】を満足することが望ましい。
【0056】これは、前記(1)や(2)の反応が起こ
りにくいので、少なくともシリカ1モルに対して、炭素
4モルが必要である。従って、シリカは(b/48)×
12が必要である。ただし、遊離シリカがa重量%含ま
れているため、不足のシリカ量は(b/48−a/6
0)×60となる。(1)式では、同様にして不足シリ
カ量は(b/12−a/60)×60となる。また、反
応の起こりにくさを考慮し、最大で(b/12−a/6
0)×60のシリカが必要である。
【0057】従って、上記シリカ量が上記範囲よりも少
ないと、遊離カーボンが増加して加工時にボイドが増加
し、上記範囲よりも多いと、未焼結となって密度が低下
してしまう。
【0058】本発明によれば、上記のように調整された
炭化ケイ素およびカーボン源に対して、第1の方法で説
明したのと同様な条件にて、金属ボロンや炭化ホウ素な
どのホウ素源を添加混合し、成形後、焼成することによ
り、相対密度が98%以上に緻密化する。
【0059】また、第3の方法としては、前述したよう
に、遊離シリカの多いα型の炭化ケイ素粉末と、遊離カ
ーボンの多いβ型の炭化ケイ素粉末を混合する。この方
法では、カーボン源やシリカ源をそれぞれの粉末中に含
まれる遊離カーボンおよび遊離シリカを用いるために、
炭化ケイ素粉末へのカーボン源やシリカ源の添加が不要
となる。
【0060】この場合には、上記α型炭化ケイ素粉末
と、上記β型炭化ケイ素粉末とを下記数3
【0061】
【数3】
【0062】を満足するように配合する。特に、望まし
くは、下記数6
【0063】
【数6】
【0064】の割合で混合する。
【0065】これは、上記全炭化ケイ素粉末中のα型炭
化ケイ素粉末量xが上記範囲よりも少ないと、遊離シリ
カを除去するための遊離カーボンが不足し緻密化不足を
招いてしまう。また、上記範囲よりも多いと、逆に遊離
カーボンが過剰に残存してしまうためである。
【0066】本発明によれば、上記のように調整された
2種の炭化ケイ素粉末に対して、第1の方法で説明した
のと同様な条件にて、金属ボロンや炭化ホウ素などのホ
ウ素源を添加混合し、成形後、焼成することにより、相
対密度が98%以上に緻密化する。
【0067】上記の第1乃至第3の方法において、焼成
は、いずれも非加圧焼成(常圧焼成)によって緻密する
ことは可能であるが、より緻密化を図る上では、焼成
を、20MPa以上の加圧下で焼成することが望まし
く、これによって相対密度99%以上の焼結体を容易に
作製することができる。
【0068】
【実施例】(実施例1)アチソン法によって合成された
平均粒子径0.5μm、遊離シリカ2重量%、遊離カー
ボン炭素0.3重量%の炭化ケイ素粉末(1)(屋久島
電工製OY20)に、平均粒子径0.8μmの炭化ホウ
素粉末(シュタルクビテック製商品名HS)を表1に示
す比率で、ポリエチレン製容器にポリイミドボールを用
いてボールミル混合し、炭化率40%のフェノール樹脂
(群英化学製)を溶解させた有機溶媒に混合粉末を添加
混合後、有機溶媒を除去し、造粒した。この造粒粉末を
カーボン型に充填し、表1に示す温度にて、アルゴン雰
囲気中で30MPaの圧力を印加しながら1時間ホット
プレス焼成し、直径40mmの焼結体を得た。
【0069】得られた焼結体を研磨し、アルキメデス法
により密度を測定し、理論密度を3.20g/cm3
して相対密度を求めた。また、遊離カーボン量の測定は
JISR1616に基づいて測定した。
【0070】さらに、焼結体表面を表面粗さ0.5μm
以下に鏡面加工した後、走査型電子顕微鏡写真によって
5000倍の倍率で20μm×16μm(320μ
2 )の領域における0.2μm以上のカーボン粒子数
を任意の10箇所を測定しその平均値を示した。また、
(NaOH+KNO3 )混合液中でエッチングし、炭化
ケイ素結晶粒子の平均粒径をインターセプト法によって
測定した。
【0071】また、焼結体の表面に対して、5.2×1
-4torrの真空中で保持し、焼結体表面に、800
V、200mAのアルゴンビームにより表面加工を行
い、処理後の320μm2 におけるボイド数を測定し
た。また、加工後の表面粗さ(Rmax)を測定した。
【0072】比較として平均粒子径が1.5μm、遊離
ケイ素が1.5重量%、遊離カーボンが0.2重量%の
炭化ケイ素粉末(2)(長瀬産業製)を用いて表1に示
す条件で同様に焼結体を作製し、同様の評価を行った。
【0073】
【表1】
【0074】表1によるとカーボン量が前記数1の範囲
よりも少ない試料No.1、焼成温度が1900℃よりも
低い試料No.9、平均粒子径が1μmを超える粗粒の炭
化ケイ素粉末を使用した試料No.13は、いずれも相対
密度が98%よりも低いものであった。
【0075】また、カーボン量が前記数1の範囲よりも
多い試料No.8は0.2μm以上のカーボン粒子が大幅
に増加しており、その結果、イオンミリング処理おける
ボイドの発生が顕著であり、表面粗さも大きいものであ
った。
【0076】また、ホウ素源の添加量が0.05重量%
よりも少ない試料No.14では、相対密度が98%より
低いものであった。
【0077】これに対して、本発明の試料は、いずれも
相対密度が98%以上、320μm2 における0.2μ
m以上のカーボン粒子数が5個以下であり、その結果、
イオン照射による加工後のボイド数も少なく、しかも表
面平滑性に優れたものであった。
【0078】(実施例2)シリカ還元法によって作製さ
れた平均粒子径0.5μm、遊離シリカ0.6重量%、
遊離カーボン1.3重量%のβ型炭化ケイ素粉末(3)
(イビデン製ウルトラファイン)に、平均粒子径0.5
μmのシリカ粉末(アダマファン製E01) 、平均粒子
径0.8μmの炭化ホウ素粉末(シュタルクビテック製
商品名HS) を混ぜ、混合乾燥後、造粒した。
【0079】この造粒粉末をカーボン型に充填し、表2
に示す温度にて、アルゴン雰囲気中で30MPaの圧力
を印加しながら1時間ホットプレス焼成し、直径40m
mの焼結体を得た。そして得られた焼結体を実施例1と
同様にして評価し、その結果を表2に示した。
【0080】
【表2】
【0081】表2によるとシリカ粉末の添加量が前記数
2の範囲よりも少ない試料No.17、18では、遊離カ
ーボンが多くボイドが多数発生した。また、シリカ粉末
の添加量の多い試料No.23、24、焼成温度が190
0℃よりも低い試料No.25は、いずれも密度が低いも
のであった。これに対して、本発明の焼結体は、いずれ
も相対密度が98%以上で、320μm2 に0.2μm
以上のカーボン粒子が5個以下で良好な組織であり、そ
の結果、イオン照射による加工後のボイド数も少なく、
しかも表面平滑性に優れたものであった。
【0082】(実施例3)前記α型炭化ケイ素粉末
(1)と前記β型炭化ケイ素粉末(3)を表3に示す割
合で混合するとともに、平均粒子径0.8μmの炭化ホ
ウ素粉末(シュタルクビテック製商品名HS)を表3の
比率で秤量し、実施例1と同様にして混合乾燥後、造粒
した。この造粒粉末をカーボン型に充填し、表3に示す
温度で、30MPaの圧力を印加してホットプレス焼成
し、直径40mmの焼結体を得た。得られた焼結体に対
して実施例1と同様の評価を行い結果を表3に示した。
【0083】
【表3】
【0084】表3によるとα型炭化ケイ素粉末の添加の
多い試料No.29、焼成温度が1900℃よりも低い試
料No.38は、いずれも密度低下を招いていた。また、
α型炭化ケイ素粉末の添加量が少ない試料No.36、3
7は粒径0.2μm以上のカーボン粒子数が増加しその
結果、ボイドの発生が顕著であり、表面粗さも大きくな
った。
【0085】これに対して、本発明の試料は、いずれも
相対密度が98%以上で、320μm2 に0.2μm以
上のカーボン粒子が5個以下で良好な組織であり、その
結果、イオン照射による加工後のボイド数も少なく、し
かも表面平滑性に優れたものであった。
【0086】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、α
型炭化ケイ素粉末やβ型炭化ケイ素粉末を用いて、各粉
末中の遊離カーボン量および遊離シリカ量に合わせて、
カーボン源やシリカ粉末などを特定の関係を満足するよ
うに配合することにより、遊離ケイ素や遊離カーボンの
発生を抑制した実質的に炭化ケイ素結晶のみからなる高
純度の炭化ケイ素焼結体を得ることができる。その結
果、カーボン粒子の発生を抑制することができるため
に、焼結体の表面加工、例えばイオン照射による加工な
どにおいて、加工表面でのボイドの発生を大幅に抑制す
ることができる。従って、本発明による炭化ケイ素焼結
体は、半導体露光装置用の真空チャックなどのウエハ保
持部材の他、イオンミリング法または反応性イオンエッ
チング法などによって表面加工する薄膜磁気ヘッド用基
板等に好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA04 BA22 BA23 BA60 BA78 BB22 BB23 BB60 BC12 BC13 BC42 BC46 BC47 BC52 BC55 BC71 BD11 BD38 BE22 BE33 BE35 5F031 CA02 DA13 HA02 HA03 HA13 HA16 MA27 MA31 MA32

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化ケイ素を主成分とし、実質的に遊離ケ
    イ素を含まず、相対密度が98%以上であり、かつ鏡面
    観察における320μm2 の領域内に粒径0.2μm以
    上のカーボン粒子数が5個以下であることを特徴とする
    炭化ケイ素焼結体。
  2. 【請求項2】遊離カーボン量が、0.5重量%以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素焼結体。
  3. 【請求項3】ホウ素(B)の含有量が0.05〜3重量
    %であることを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素焼
    結体。
  4. 【請求項4】イオン照射によって加工された表面を具備
    することを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素焼結
    体。
  5. 【請求項5】平均粒子径が1μm以下のα型炭化ケイ素
    粉末に対して、カーボン源を下記数1 【数1】 を満足するように添加するとともに、ホウ素源をホウ素
    換算で0.05〜3重量%の割合で添加混合後、該混合
    物を所定形状に成形し、1900℃以上の温度範囲で焼
    成して、相対密度が98%以上に緻密化することを特徴
    とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記焼成を、20MPa以上を加圧下を行
    うことを特徴とする請求項5記載の炭化ケイ素焼結体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】平均粒子径が1μm以下のβ型炭化ケイ素
    粉末に対して、シリカ粉末を下記数2 【数2】 を満足するように添加するとともに、ホウ素源をホウ素
    換算で0.05〜3重量%の割合で添加混合後、該混合
    物を所定形状に成形し、1900℃以上の温度範囲で焼
    成して、相対密度が98%以上に緻密化することを特徴
    とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記焼成を、20MPa以上を加圧下を行
    うことを特徴とする請求項7記載の炭化ケイ素焼結体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】平均粒子径が1μm以下のα型炭化ケイ素
    粉末と、平均粒子径が1μm以下のβ型炭化ケイ素粉末
    とを下記数3 【数3】 を満足するように添加するとともに、ホウ素源をホウ素
    換算で0.05〜3重量%の割合で添加混合後、該混合
    物を所定形状に成形し、1900℃以上の温度範囲で焼
    成して、相対密度が98%以上に緻密化することを特徴
    とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記焼成を、20MPa以上を加圧下を
    行うことを特徴とする請求項9記載の炭化ケイ素焼結体
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011043427A1 (ja) 2009-10-09 2011-04-14 信越化学工業株式会社 多孔質炭化ケイ素基材の緻密化方法
WO2011059041A1 (ja) 2009-11-12 2011-05-19 信越化学工業株式会社 炭化ケイ素粉末組成物及びそれを用いる炭化ケイ素成形体の製造方法
CN110818422A (zh) * 2018-08-13 2020-02-21 Skc索密思株式会社 碳化硼烧结体及包含该碳化硼烧结体的蚀刻装置

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