JP2000243274A - スペーサとその製法及び画像形成装置 - Google Patents

スペーサとその製法及び画像形成装置

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JP2000243274A
JP2000243274A JP11045097A JP4509799A JP2000243274A JP 2000243274 A JP2000243274 A JP 2000243274A JP 11045097 A JP11045097 A JP 11045097A JP 4509799 A JP4509799 A JP 4509799A JP 2000243274 A JP2000243274 A JP 2000243274A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は帯電を抑制するために、表面に細か
い凹凸を有したスペーサ基板の量産向きの製造方法を提
供するものである。 【解決手段】 図1(a)のように、内壁に細かい凹凸を
有した「型」(一般には金型が用いられる。)の中に軟
化したガラスを流し込み、図1(b)に示すような治具に
より上からプレスを行う。ガラスが固化したら、(a)、
(b)を引き剥がし、表面に凹凸を有したスペーサ基板を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,電子線を用いた表
示装置等の画像形成装置にかかわり,特に,スペーサの
製法およびスペーサを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子を利用した画像形成
装置として、冷陰極電子放出素子を多数形成した電子源
基板と、透明電極および蛍光体を具備した陽極基板とを
平行に対向させ、真空に排気した平面型の電子線表示パ
ネルが知られている。このような画像形成装置におい
て、電界放出型電子放出素子を用いたものは、例えば、
I.Brodie, "Advanced technology : flat cold-cathode
CRTs" , Information Display, 1/89, 17(1989) に開
示されたものがある。また、表面伝導型電子放出素子を
用いたものは、例えば、USP5066883等に開示されてい
る。平面型の電子線表示パネルは、現在広く用いられて
いる陰極線管(cathode ray tube : CRT)表示装置に比
べ、軽量化、大画面化を図ることができ、また、液晶を
利用した平面型表示パネルやプラズマ・ディスプレイ、
エレクトロルミネッセント・ディスプレイ等の他の平面
型表示パネルに比べて、より高輝度、高品質な画像を提
供することができる。図7に電子放出素子を利用した画
像形成装置の一例として、従来の平面型電子線表示パネ
ルの一部を切り欠いた斜視図を示す。ここで、図7に示
される電子線表示パネルの構成について詳述すると、図
中、1015はリアプレート、1017はフェースプレ
ート、1016は側壁であり、これらにより真空外囲器
を構成している。また、1011は電子源基板、101
2は電子放出素子であり、 本例では、1つの電子放出
素子に対して1つの蛍光体が対応している。また、10
13(走査電極)および1014(信号電極)は配線電
極であり、それぞれ、電子放出素子1012に接続され
ている。さらに、1019はメタルバック、1018は
蛍光体である、また、1020はスペーサで、電子源基
板1011とフェースプレート1017を所定間隔に保
持するとともに、大気圧に対する支持部材として真空外
囲器内部に配置されている。尚、フェースプレート10
17、側壁1016、リアプレート1015、スペーサ
1020の各接合部は低融点ガラスフリットにより封着
されている。
【0003】この電子線表示パネルにおいて画像を形成
するには、マトリクス状に配置された走査電極1013
と信号電極1014に所定の電圧を順次印加すること
で、マトリクスの交点に位置する所定の電子放出素子1
012を選択的に駆動し、放出された電子を蛍光体10
18に照射して所定の位置に輝点を得る。なお、メタル
バック1019は、放出電子を加速してより高い輝度の
輝点を得るために、電子放出素子1012に対して正電
位となるように高電圧が印加される。ここで、印加され
る電圧は、蛍光体1018の性能にもよるが、数百Vか
ら数十kV程度の電圧である。従って、電子源基板10
11とフェースプレート1017間の距離dは、この印
加電圧によって真空の絶縁破壊(即ち放電)が生じない
ようにするため、数百μmから数mm程度に設定される
のが一般的である。
【0004】この電子線表示パネルの表示面積が大きく
なるに従い、真空外囲器内部の真空と外部の大気圧差に
よるプレート基板の変形を抑えるためには、リアプレー
ト1015およびフェースプレート1017を厚くする
必要がでてきた。プレート基板を厚くすることは表示パ
ネルの重量を増加させるだけでなく、斜め方向から見た
時に歪みを生じ、視野角の縮小ともなる。そこで、スペ
ーサ1020を配置することにより、両プレート101
5、1017の強度負担を軽減でき、軽量化、低コスト
化、大画面化が可能となるので、平面型電子線表示パネ
ルの利点を十分に発揮することができるようになる。
【0005】このスペーサ1020に使用される材質と
しては、(1)十分な耐大気圧強度(圧縮強度)を有する
こと、(2)製造工程及び高真空形成工程における加熱工
程に耐え得る耐熱性を有し、(3)表示パネルの基板、側
壁等との熱膨張係数の整合が取れていること、(4)高電
圧印加に耐え得る絶縁耐圧を有する高抵抗体であるこ
と、(5)高真空を維持するために、ガス放出レートが小
さいこと、(6)寸法を精度良く加工でき、量産性に優れ
ること、等が要求され、一般的にはガラス材料が用いら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
画像表示装置の表示パネルにおいては、以下のような問
題点があった。
【0007】まず、スペーサの近傍から放出された電子
の一部がスペーサに当たることにより、あるいは放出電
子の作用でイオン化したイオンがスペーサに付着するこ
とにより、さらにフェースプレートに到達した電子が一
部反射、散乱され、スペーサに当たることによりスペー
サが帯電する可能性がある。
【0008】スペーサが帯電することにより、スペーサ
周辺の電界が乱れ、放出電子の軌道が狂ってしまう。そ
の結果、電子は正しい位置に到達せず、スペーサ近傍の
画像を歪ませてしまう。
【0009】表示パネルを大面積化するに当たり表示パ
ネル内部に用いられるスペーサは数は多くなる。スペー
サの帯電を防ぐことは、次世代の大面積の表示パネル作
製の大きな課題である。
【0010】また、電子放出素子から放出された電子を
加速するために、電子線源とフェースプレートの間には
数百V以上の高電圧(即ち、1kV/mm以上)が印可され
るために、スペーサが帯電している状態では、スペーサ
表面での沿面放電が懸念される。
【0011】このために、スペーサ表面に細かい凹凸を
設けることで、スペーサに入射する電子の内で高角度成
分(スペーサの法線に対して)を実効的に削減し、スペ
ーサ表面からの2次電子放出を抑え、かつ高抵抗膜(帯
電防止膜)をスペーサ表面に製膜することで、スペーサ
の帯電を防ぐ工夫をしている。
【0012】スペーサ上で発生する沿面放電は、近傍の
電子放出素子等の表示パネル中の重要な構成要素を破壊
する恐れがある。破壊された電子放出素子は、点欠陥と
なる可能性もあり、パネルの寿命を短くする。
【0013】本発明は上述の問題点を踏まえてなされた
ものであり、帯電を抑制するために、表面に細かい凹凸
を有したスペーサ基板の量産向きの製造方法を提供する
ものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、電子放出素子
を有する電子源と、電子源より放出された電子を制御す
る電極と、電子源より放出される電子が照射されるター
ゲットと、電子源と電極との間に配置されたスペーサと
を有する電子線装置において用いられるスペーサの製造
方法において、スペーサ組立工程よりも後に行われる工
程で用いられる最も高い温度よりも溶融温度が高いスペ
ーサ材料を、内面の少なくとも一部に凹凸形状を有する
型にキャスティングして、スペーサ基板を形成するスペ
ーサ基板の製造方法である。さらに、スペーサ用の部材
を型にキャスティングした後、プレスすることでも表面
に細かい凹凸を有したスペーサ基板が得られる。
【0015】また、以上の方法で得られた凹凸を有する
スペーサ基板表面に、シート抵抗が107〜1014Ω/□
の範囲である高抵抗膜が存在していてもよい。また、ス
ペーサ材料としては、1)ガス放出が少なく、2)高電圧耐
性を有し、3)充分な圧縮強度を持ち、4)加工精度がよい
等の性質が要求され、一般にガラス材料が選択される。
【0016】スペーサは目的に応じて種々の形状を取り
得るが、一般に平板状又は柱状である。スペーサ表面に
設ける凹凸はその平均粗さ(Ra)が0.1μm以上1
00μm以下であることが好ましい。また、スペーサ基
板自体のシート抵抗が107〜1015Ω/□を満たすなら
ば表面に高抵抗膜を有する必要はない。
【0017】また、このようにして作製されたスペーサ
基板は電子放出素子を有する電子源と、電子源より放出
された電子を制御する電極と、電子源より放出される電
子が照射されるターゲットと、電子源と電極との間に配
置されたスペーサとを有する電子線装置において、上述
のスペーサを構成要素して持つ画像形成装置で好適に用
いられる。この画像形成装置には電子放出素子として冷
陰極素子が好適に用いられる。さらに、冷陰極素子とし
ては、表面伝導型素子が好適に用いられる。
【0018】上記スペーサは内面の少なくとも一面が凹
凸形状になっている型に約1200℃で軟化したガラス
を鋳込むことによって得られる。
【0019】上記型としては、一般的に金型が好まし
い。図1には金型としてSUSを用いた例を示す。図1
の(a)、(b)を合わせて使用し、(a)の溝底面、
及び(b)には適切な凹凸形状が例えばサンドペーパー
処理等により形成されている。また鋳込みは、金型
(a)に行い、(b)にてプレスする。 鋳込みが終了
したら、 徐冷し、固化した後に(a)、(b)を徐々
に引き離すことによってスペーサ基板を取り出し、最後
に適当な長さに切断する。本発明の表面に凹凸形状を有
するスペーサ基板の製造方法により、画像表示装置用の
スペーサを製品ばらつきなく、低コストに製造すること
ができる。また、上記スペーサ基板を用いることによ
り、スペーサの帯電を防止して画像歪みのない画像表示
装置を製造することができる。
【0020】また、金型は再度使用できるため、製品ば
らつきの少ないスペーサを得ることができ、かつ、従来
の加工に比べて、欠けの発生が抑えられる。
【0021】図2(b)、(c)は本発明の凹凸基板ス
ペーサの断面模式図であり、(b)は同図(a)中の縦
方向B-B'を含む断面であり、同様に(c)は,横方向C-
C'を含む断面の模式図である。1は,少なくとも表面に
凹凸を形成したスペーサ基板、11はスペーサ基板1の
表面に形成した帯電防止を目的とした高抵抗膜である。
高抵抗膜11は前記のスペーサ基板の表面凹凸にならい
凹凸を形成している。21は電極とのスペーサとの間の
オーミックなコンタクトを得る為に電子線装置の必要に
応じて設けられた低抵抗膜である。
【0022】また本発明は上記高抵抗膜付き凹凸基板を
スペーサに用いた平面型の表示装置(電子線装置)であ
り図7にその構造概略を示すように(詳細は後述)電子
線装置複数の冷陰極素子1012を形成した基板101
1と発光材料である蛍光膜1018を形成した透明なフ
ェースプレート1017とをスペーサ1020を介して
対向させた構造を有する表示装置であり電子線装置スペ
ーサ1020がその表面に凹凸形状を有しており、その
凹凸の平均的振幅値より大きくない膜厚で形成された帯
電防止を目的とする高抵抗膜で被覆されていることを特
徴とする表示装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】(凹凸の機能:二次電子放出帯電
の入射角度依存性について)本発明によって製造したス
ペーサ表面に形成した凹凸形状により下記のような効果
を得ることができる。
【0024】第一の効果としては、帯電量に大きく寄与
する高入射角度モードの入射電子の入射角度を減少させ
る効果である。この形状の工夫による効果によって、二
次電子放出係数の入射角度増倍成分の減少効果は、平滑
表面に対して1/3以下のレベルに抑制させる事が可能
となる。この効果は、特に、80度以上の高入射角とな
る最近接の電子放出素子からの直接入射電子に対して特
に有効である。
【0025】また、第二の効果として、凹凸形状の一形
態として、深い凹凸を形成した場合には、微細なファラ
デーカップの集積体のように、二次電子を閉じ込める効
果が得られる。
【0026】さらには、第三の効果として、多重放出二
次電子の抑制効果が挙げられる。放出された二次電子
は、加速電界によりエネルギーを受け加速しながら陽極
方向に軌道をとるが、放出直後のエネルギーが比較的小
さいので、局所的な帯電領域に引っ張られスペーサ上に
再突入し正電荷を生成してしまう。このとき、平滑基板
に対して粗面化処理を施す事により、飛程距離を分断す
る事が可能となり、正電荷の蓄積を抑制する効果を提供
することができる。
【0027】第四の効果として、陽極輻射電子に対する
入射角度抑制効果があげられる。
【0028】スペーサへの入射電子の飛来経路はさまざ
まに分布しており、特にフェースプレートからの反射電
子の再入射(以降FP反射電子と記述)においては、そ
の放出方向は、ほぼ同心円状の分布が存在しているた
め、反射電子は周囲の多方向に分布している。本発明者
等の素子毎のスペーサ帯電のスペーサ、放出素子間距離
および陽極印加電圧依存検討の結果、陽極基板からの輻
射電子は再近接のみならず第3、第4近接の電子素子か
らの放出電子であることがわかった。上記の飛程距離
は、表示装置毎に変調を受けその影響度は一様ではない
が、一般に高輝度を得ようとする目的から、蛍光体から
の発光の利用効率を上げるために設けられたアルミ電極
などの部材の設置や加速電圧の高圧化でその影響は増倍
し、帯電の原因の一つとなっている。この現象は、FP
反射電子はスペーサからの距離に依存し、近い素子ほど
再入射量が多いことを意味するだけではなく、発光点か
らのFP反射のうちスペーサと近距離位置からのもので
あるほど、遠方への入射点への再入射時の入射角が増倍
されていることを意味する。このような理由から、斜め
モードの反射電子に対する二次電子放出抑制効果とし
て、多方向に形成した凹凸形状が有効に機能する。
【0029】以上が、本発明における粗面化すなわち凹
凸表面の帯電抑制に関する主たる機能である。
【0030】さらに別の効果としては、凹凸形状の作成
機能を、帯電防止膜と分離したため、面内の場所による
表面形状の制御などが簡便に行う事が出来るなどの効果
が生まれる。
【0031】(凹凸の周期性)本発明の電子放出装置に
おいてスペーサの凹凸形状の配置は、前述の二次電子放
出抑制効果を得るためには、必ずしも周期的な配置をと
る必要はなく、ランダムな周期の配置であっても良い。
どのような、配置構造をとるかは、たとえば作成工程の
利便性等から決定して良い。特に周期的である場合は、
二次電子や反射電子のエネルギー分布、入射角分布を考
慮して、その繰返し周期として、複数の周期構造から構
成される凹凸を形成している事が好ましい。
【0032】(凹凸のピッチ、振幅)二次電子の放出係
数の入射角度依存緩和効果の観点からは、凹凸の間隔や
振幅は大きく影響しなく任意に選択されて良いが、多重
放出二次電子が陽極陰極ギャップ間の電界からエネルギ
ーを得て、正帯電領域の加速エネルギーを得る前にトラ
ップする効果を考慮すると、加速電圧によるが100μ
m程度の間隔もしくはピッチを持っている事が好まし
い。さらに好ましくは、10μm以下の間隔である事が
好ましい。また、同様の理由から、凹凸形状の振幅値
は、二次電子の入射角度依存抑制の観点からは、任意の
値を選択できるが、多重放出二次電子の抑制効果を得る
点では、表面粗さが0.05μm以上の大きい値である
事が好ましいが、表面に形成する膜の連続性と、凸部に
おける先鋭な形状による電界集中効果を抑制するために
は、上限として100μm以下の平均粗さである事が好
ましい。
【0033】(高抵抗膜)スペーサ基板の材料として、
ガラス等の絶縁材料を用いた場合は、帯電防止機能を高
めるために、表面に帯電防止機能を有する高抵抗膜を設
けることが好ましい。この高抵抗膜は、下層の凹凸形状
をならい表面に凹凸を作成できればよく、基本的に種々
の膜を使用することができる。
【0034】凹凸形状のレベリング性の高い高抵抗膜を
形成するためには、基本的には、下層あるいは基板凹凸
の所望の振幅値より、著しく大きな膜厚で形成しないこ
とが重要であり、好ましくは下層の振幅値以下の膜厚と
なるように形成する。ただし極端に薄膜化すると、シー
ト抵抗が増大し、また凹凸の曲率が大きい(曲がりのき
つい)領域で、膜の連続が失われやすいため、基板の導
電性を利用できない場合には、少なくとも100Å以
上、好ましくは500Å以上の膜厚にすることが好まし
い。
【0035】高抵抗膜の作成手法としては、既存の帯電
防止膜作成プロセスが適用できる。たとえば、スパッタ
法、真空蒸着法、印刷法、エアゾール法、ディッピング
法等を適用する事が出来る。作成プロセスのローコスト
化という観点からはディッピング法などの液相プロセス
が好ましい。このとき、レベリング性を低くするため
に、膜厚と塗工液の粘度を小さい値に制御することが重
要である。
【0036】さらには、高抵抗膜の二次電子放出係数は
低い方が好ましく、平滑膜の二次電子放出係数として、
3.5以下である事がより好ましい。さらには、膜の化
学的安定性という観点から、表面層が膜内部に比較して
高酸化状態にある事が好ましい。
【0037】本発明表示装置において、上記スペーサ1
020の一方の辺は冷陰極素子を形成した基板1011
上の配線に電気的に接続されている。また、その対向す
る辺は冷陰極素子より放出した電子を高いエネルギで発
光材料(蛍光膜1018)に衝突させるための加速電極
(メタルバック1019)に電気的接続される。すなわ
ち、スペーサの表面に形成された帯電防止膜にはほぼ加
速電圧を帯電防止膜の抵抗値で除した電流が流される。
【0038】そこで、スペーサの抵抗値Rsは帯電防止
および消費電力からその望ましい範囲に設定される。帯
電防止の観点からシート抵抗R/□は1013[Ω/□]
以下であることが好ましい。十分な帯電防止効果を得る
ためには1011[Ω/□]以下がさらに好ましい。シー
ト抵抗の下限はスペーサ形状とスペーサ間に印加される
電圧により左右されるが、105[Ω/□]以上である
ことが好ましい。
【0039】高抵抗膜の厚みtは10nm〜1μmの範
囲が望ましい。材料の表面エネルギーおよび基板との密
着性や基板温度によっても異なるが、一般的に10nm
以下の薄膜は島状に形成され、抵抗が不安定で再現性に
乏しい。一方膜厚tが1μm以上では膜応力が大きくな
って膜はがれの危険性が高まり、かつ成膜時間が長くな
るため生産性が悪い。従って、膜厚は50〜500nm
であることが望ましい。シート抵抗R/□はρ/tであ
り、以上に述べたR/□とtの好ましい範囲から、高抵
抗膜の比抵抗ρは0.1〜108Ωcmが好ましい。さ
らにシート抵抗と膜厚のより好ましい範囲を実現するた
めには、ρは102〜106Ωcmとするのが良い。スペ
ーサは上述したようにその上に形成した高抵抗膜を電流
が流れることにより、あるいはディスプレイ全体が動作
中に発熱することによりその温度が上昇する。高抵抗膜
の抵抗温度係数が大きな負の値であると温度が上昇した
時に抵抗値が減少し、スペーサに流れる電流が増加し、
さらに温度上昇をもたらす。そして電流は電源の限界を
越えるまで増加しつづける。このような電流の暴走が発
生する抵抗温度係数の値は経験的に負の値で絶対値が1
%以上である。すなわち、高抵抗膜の抵抗温度係数は−
1%より大きいことが望ましい。
【0040】高抵抗膜特性を有する材料として、金属酸
化物が優れている。金属酸化物の中でも、クロム、ニッ
ケル、銅の酸化物が好ましい材料である。その理由はこ
れらの酸化物は二次電子放出効率が比較的小さく、電子
放出素子から放出された電子がスペーサに当たった場合
においても帯電しにくいためと考えられる。金属酸化物
以外にも炭素は二次電子放出効率が小さく好ましい材料
である。特に、非晶質カーボンは高抵抗であるため、ス
ペーサ抵抗を所望の値に制御しやすい。しかしながら、
上記金属酸化物、あるいはカーボンはその抵抗値が高抵
抗膜として望ましい比抵抗の範囲に調整することが難し
かったり、雰囲気により抵抗が変化しやすいため、これ
らの材料のみでは抵抗の制御性が乏しい。アルミと遷移
金属合金の窒化物は遷移金属の組成を調整することによ
り、良伝導体から絶縁体まで広い範囲に抵抗値を制御で
きる。さらには後述する表示装置作製の工程において抵
抗値の変化が少なく安定な材料である。かつ、その抵抗
温度係数が−1%より大きいこと、実用的に使いやすい
材料である。遷移金属元素としてはTi,Cr,Ta等
があげられる。
【0041】スペーサ表面に設けられる高抵抗膜はアル
ミ遷移金属合金窒化膜(以下合金窒化膜と略す)表面に
トップコート層の酸化金属膜あるいはカーボン膜を積層
したものであってもよい。高抵抗膜全体の抵抗値は概ね
合金窒化膜の抵抗値で規定され、トップコート層は帯電
防止を抑える効果がある。トップコート層は前述したよ
うに抵抗値が雰囲気に左右されるため、トップコート層
の抵抗値が高抵抗膜の抵抗値の1/2を越えるようにト
ップコート層の厚みを決定すべきである。トップコート
層の比抵抗が高い場合、その表面に蓄積した電荷を速や
かに逃がすことが難しくなるため、トップコート層の厚
みが制限され、20nmを越えない値が好ましい。
【0042】合金窒化膜はスパッタ、窒素ガス雰囲気中
での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーテ
ィング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成手段により
スペーサ基板上に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜
形成法で作製することができるが、この場合窒素ガスに
代えて酸素ガスを使用する。その他、CVD法、アルコ
キシド塗布法でも金属酸化膜を形成できる。カーボン膜
は蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法で
作製され、特に非晶質カーボンを作製する場合には、成
膜中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガス
に炭化水素ガスを使用する。合金窒化膜とトップコート
層は別の装置により作製しても良いが、連続的に積層す
ることにより、トップコート層の密着性が強くなる。本
発明帯電防止防止膜を平面型の表示装置のスペーサ帯電
防止に対して説明したが、これに限らず他の用途におけ
る高抵抗膜として使用できることができる。
【0043】また、前記高抵抗膜を設けたスペーサが上
下基板との接触部に低抵抗膜を有することを特徴とする
ことにより、横方向の帯電電荷の分布を抑制する事が可
能となる。また、低抵抗膜の抵抗値は、上下基板との電
気的接合が良好にする目的から、その面積抵抗として前
記高抵抗膜の抵抗値の1/10以下であり、かつ10 7
[Ω/□]以下である事が望ましい。さらには、前記電
子放出素子は、冷陰極素子であり、さらには、電極間に
電子放出部を含む導電性膜を有する電子放出素子であ
り、さらに、表面伝導型電子放出素子であることを特徴
とすることが素子の構造が簡単でかつ高輝度がえられる
ことからより好ましい。
【0044】また、前記ターゲットに、入力信号に応じ
て前記電子放出素子から放出された電子を照射して画像
を形成する画像形成装置として、本提案を適用した電子
線装置を応用することが出来る。前記ターゲットとして
は、画像記録という観点からさまざまな材料により、潜
像を形成できるが、蛍光体から成ることにより安価に動
画像を記録表示できる。
【0045】(画像表示装置概要)次に、本発明の方法
により製造したスペーサを適用した画像表示装置の表示
パネルの構成と製造法について、具体的な例を示して説
明する。
【0046】図7は、実施例に用いた表示パネルの斜視
図であり、内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠
いて示している。
【0047】図中、1015はリアプレート、1016
は側壁、1017はフェースプレートであり、1015
〜1017により表示パネルの内部を真空に維持するた
めの気密容器を形成している。気密容器を組み立てるに
あたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保
持させるため封着する必要があるが、たとえばフリット
ガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中
で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することに
より封着を達成した。気密容器内部を真空に排気する方
法については後述する。また、上記気密容器の内部は1
0のマイナス6乗[Torr]程度の真空に保持される
ので、大気圧や不意の衝撃などによる気密容器の破壊を
防止する目的で、耐大気圧構造体として、スペーサ10
20が設けられている。
【0048】リアプレート1015には、基板1011
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1012
がnxm個形成されている。(n、mは2以上の正の整
数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした
表示装置においては、n=3000、m=1000以上
の数を設定することが望ましい。)前記nxm個の冷陰
極素子は、m本の行方向配線1013とn本の列方向配
線1014により単純マトリクス配線されている。前
記、1011〜1014によって構成される部分をマル
チ電子ビーム源と呼ぶ。
【0049】本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子
ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子
源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制
限はない。したがって、たとえば表面伝導型放出素子や
FE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いるこ
とができる。
【0050】次に、冷陰極素子として表面伝導型放出素
子(後述)を基板上に配列して単純マトリクス配線した
マルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0051】図9に示すのは、図7の表示パネルに用い
たマルチ電子ビーム源の平面図である。基板1011上
には、表面伝導型放出素子1012が配列され、これら
の素子は行方向配線1013と列方向配線1014によ
り単純マトリクス状に配線されている。行方向配線10
13と列方向配線1014の交差する部分には、電極間
に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が
保たれている。
【0052】図9のB−B’に沿った断面を、図10に
示す。
【0053】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線1013、列方向配線1
014、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型放
出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向配
線1013および列方向配線1014を介して各素子に
給電して通電フォーミング処理(後述)と通電活性化処
理(後述)を行うことにより製造した。
【0054】本例においては、気密容器のリアプレート
1015にマルチ電子ビーム源の基板1011を固定す
る構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板1011が
十分な強度を有するものである場合には、気密容器のリ
アプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板1011自
体を用いてもよい。
【0055】また、フェースプレート1017の下面に
は、蛍光膜1018が形成されている。本実施例はカラ
ー表示装置であるため、蛍光膜1018の部分にはCR
Tの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が
塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図6の
(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光
体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けて
ある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビー
ムの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生
じないようにする事や、外光の反射を防止して表示コン
トラストの低下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜のチ
ャージアップを防止する事などである。黒色の導電体1
010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的
に適するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0056】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図6(A)に示したストライプ状の配列に限られるもの
ではなく、たとえば図6(B)に示すようなデルタ状配
列や、それ以外の配列(例えば図6(C))であっても
よい。
【0057】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1018に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。また、蛍光膜1018のリアプレート側の面には、
CRTの分野では公知のメタルバック1019を設けて
ある。メタルバック1019を設けた目的は、蛍光膜1
018が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上
させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜1018を保護
する事や、電子ビーム加速電圧を印加するための電極と
して作用させる事や、蛍光膜1018を励起した電子の
導電路として作用させる事などである。メタルバック1
019は、蛍光膜1018をフェースプレート基板10
17上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その
上にAlを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍
光膜1018に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合に
は、メタルバック1019は用いない。また、本実施例
では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電
性向上を目的として、フェースプレート基板1017と
蛍光膜1018との間に、たとえばITOを材料とする
透明電極を設けてもよい。
【0058】図8は図7のA−A’の断面模式図であ
り、各部の番号は図7に対応している。スペーサ102
0はスペーサ基板1の表面に低抵抗部材による電子源基
板に平行な電極16を成膜し、さらにその上に帯電防止
を目的とした高抵抗膜11を成膜し、かつフェースプレ
ート1017の内側(メタルバック1019等)及び基
板1011の表面(行方向配線1013または列方向配
線1014)に面したスペーサの当接面3及び接する側
面部5に低抵抗膜21を成膜した部材からなるもので、
上記目的を達成するのに必要な数だけ、かつ必要な間隔
をおいて配置され、フェースプレートの内側および基板
1011の表面に接合材1041により固定される。ま
た、高抵抗膜は、スペーサ基板1の表面のうち、少なく
とも気密容器内の真空中に露出している面に成膜されて
おり、スペーサ1020上の低抵抗膜21および接合材
1041を介して、フェースプレート1017の内側
(メタルバック1019等)及び基板1011の表面
(行方向配線1013または列方向配線1014)に電
気的に接続される。ここで説明される態様においては、
スペーサ1020の形状は薄板状とし、行方向配線10
13に平行に配置され、行方向配線1013に電気的に
接続されている。
【0059】スペーサ1020としては、基板1011
上の行方向配線1013および列方向配線1014とフ
ェースプレート1017内面のメタルバック1019と
の間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、
かつスペーサ1020の表面への帯電を防止する程度の
導電性を有する必要がある。
【0060】スペーサ1020のスペーサ基板1として
は、例えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少し
たガラス、ソーダライムガラス、アルミナ等のセラミッ
クス部材等が挙げられる。なお、スペーサ基板1はその
熱膨張率が気密容器および基板1011を成す部材と近
いものが好ましい。
【0061】スペーサ1020を構成する低抵抗膜21
は、高抵抗膜11を高電位側のフェースプレート101
7(メタルバック1019等)及び低電位側の基板10
11(配線1013、1014等)と電気的に接続する
ために設けられたものであり、以下では、中間電極層
(中間層)という名称も用いる。中間電極層(中間層)
は以下に列挙する複数の機能を有することが出来る。
【0062】高抵抗膜11をフェースプレート101
7及び基板1011と電気的に接続する。
【0063】既に記載したように、高抵抗膜11はスペ
ーサ1020表面での帯電を防止する目的で設けられた
ものであるが、高抵抗膜11をフェースプレート101
7(メタルバック1019等)及び基板1011(配線
1013、1014等)と直接あるいは当接材1041
を介して接続した場合、接続部界面に大きな接触抵抗が
発生し、スペーサ表面に発生した電荷を速やかに除去で
きなくなる可能性がある。これを避けるために、フェー
スプレート1017、基板1011及び当接材1041
と接触するスペーサ1020の当接面3あるいは当接面
と共に当接面に近い側面部5に低抵抗の中間層を設け
た。
【0064】高抵抗膜11の電位分布を均一化する。
冷陰極素子1012より放出された電子は、フェースプ
レート1017と基板1011の間に形成された電位分
布に従って電子軌道を成す。スペーサ1020の近傍で
電子軌道に乱れが生じないようにするためには、高抵抗
膜11の電位分布を全域にわたって制御する必要があ
る。高抵抗膜11をフェースプレート1017(メタル
バック1019等)及び基板1011(配線1013、
1014等)と直接あるいは当接材1041を介して接
続した場合、接続部界面の接触抵抗のために、接続状態
のむらが発生し、高抵抗膜11の電位分布が所望の値か
らずれてしまう可能性がある。これを避けるために、ス
ペーサ1020がフェースプレート1017及び基板1
011と当接するスペーサ端部(当接面3あるいは側面
部5)の全長域に低抵抗の中間層を設け、この中間層部
に所望の電位を印加することによって、高抵抗膜11全
体の電位を制御可能とした。
【0065】放出電子の軌道を制御する。冷陰極素子
1012より放出された電子は、フェースプレート10
17と基板1011の間に形成された電位分布に従って
電子軌道を成す。スペーサ近傍の冷陰極素子から放出さ
れた電子に関しては、スペーサを設置することに伴う制
約(配線、素子位置の変更等)が生じる場合がある。こ
のような場合、歪みやむらの無い画像を形成するために
は、放出された電子の軌道を制御してフェースプレート
1017上の所望の位置に電子を照射する必要がある。
フェースプレート1017及び基板1011と当接する
面の側面部5に低抵抗の中間層を設けることにより、ス
ペーサ1020近傍の電位分布に所望の特性を持たせ、
放出された電子の軌道を制御することが出来る。
【0066】低抵抗膜21は、高抵抗膜11に比べ十分
に低い抵抗値を有する材料を選択すればよく、Ni、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属、あるいは合金、及びPd、Ag、Au、RuO
2、Pd−Ag等の金属や金属酸化物とガラス等から構
成される印刷導体、あるいはIn23−SnO2等の透
明導体及びポリシリコン等の半導体材料等より適宜選択
される。
【0067】接合材1041はスペーサ1020が行方
向配線1013およびメタルバック1019と電気的に
接続するように、導電性をもたせる必要がある。すなわ
ち、導電性接着材や金属粒子や導電性フィラーを添加し
たフリットガラスが好適である。
【0068】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。
【0069】Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線1013と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線1014と、Hvはフェースプレート
のメタルバック1019と電気的に接続している。
【0070】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10-7[Torr]程度
の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、
気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前ある
いは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不
図示)を形成する。ゲッター膜とは、たとえばBaを主
成分とするゲッター材料をヒーターもしくは高周波加熱
により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲッター膜
の吸着作用により気密容器内は10-5ないしは10
-7[Torr]の真空度に維持される。
【0071】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子1012に電圧を印加する
と、各冷陰極素子1012から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック1019に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記
放出された電子を加速し、フェースプレート1017の
内面に衝突させる。これにより、蛍光膜1018をなす
各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0072】通常、冷陰極素子である本発明の表面伝導
型放出素子への1012への印加電圧は12〜16
[V]程度、メタルバック1019と冷陰極素子101
2との距離dは0.1[mm]から8[mm]程度、メ
タルバック1019と冷陰極素子1012間の電圧0.
1[kV]から10[kV]程度である。
【0073】以上、本発明の実施例の表示パネルの基本
構成と製法、および画像表示装置の概要を説明した。
【0074】
【実施例】以下に述べる各実施例においては、マルチ電
子ビーム源として、前述した電極間の導電性微粒子膜に
電子放出部を有するタイプのn×m個(n=3072、
m=1024)の表面伝導型放出素子を、m本の行方向
配線とn本の列方向配線とによりマトリクス配線した電
子ビーム源を用いた。
【0075】(実施例1)スペーサ基板表面に凹凸を付
けるために、図1に示した金型(a)の溝および(b)
は#4000のサンドペーパー処理により粗面化されて
いる。この金型(a)に約1200℃で軟化したソーダ
ライムガラスを鋳込み金型(b)でふたをしプレスす
る。ガラスが固化したら金型(a)、(b)をゆっくり
と引き剥がし、表面に凹凸のついたスペーサ基板を得
る。これを適当な長さに切断し、最終的には外形寸法が
厚さ0.2mm、高さ3mm、長さ40mmのスペーサ
基板を得た。は1000Åであった。この時の模式的な
断面形状を図3に示す。
【0076】この後、基板表面に、高抵抗膜(帯電防止
膜)として、CrおよびAlのターゲットを高周波電源
で同時スパッタする事により、Cr−Al合金窒化膜を
膜厚200nm形成した。スパッタガスはAr:N2
1:2の混合ガスで全圧力は1mTorrである。上記条件
で同時成膜した膜のシート抵抗はR□=2×1010Ω/
□であった。
【0077】Cr-Ti合金窒化膜に限らず本発明では種々
の高抵抗膜(帯電防止膜)を使用する事ができる。更
に、上下電極の接合部となる領域に下記の方法により低
抵抗膜を形成した。接続部と抵抗に、200μmの帯状
に10nm厚のTi膜と200nm厚のPt膜をどちら
もスパッタ法により気相形成した。この際、Ti膜は、
Pt膜の膜密着性を補強する下地層として必要であっ
た。こうして低抵抗膜付きスペーサを得た。この時の低
抵抗膜の膜厚は210nmであり、そのシート抵抗は1
0Ω/□であった。
【0078】尚、凹凸を設けない、従来のスペーサの断
面形状は図4のようであった。
【0079】得られたスペーサの高抵抗膜部分の断面形
状は図3のようであった。ここで1の斜線領域はスペー
サ基板、11は高抵抗膜である。前記凹凸形成部の膜の
被覆性、連続性共に良好であった。
【0080】本実施例では、前述した図7に示すスペー
サ1020を配置した表示パネルを作成した。以下、図
7および図8を用いて記述する。まず、予め基板上に行
方向配線電極1013、列方向配線電極1014、電極
間絶縁層(不図示)、及び表面伝導型放出素子の素子電
極と導電性薄膜を形成した基板1011をリアプレート
1015に固定した。次に、前記スペーサをスペーサ1
020として基板1011の5mm上方に、内面に蛍光
膜1018とメタルバック1019が付設されたフェー
スプレート1017を側壁1016を介し配置し、リア
プレート1015、フェースプレート1017、側壁1
016およびスペーサ1020の各接合部を固定した。
基板1011とリアプレート1015の接合部、リアプ
レート1015と側壁1016の接合部、およびフェー
スプレート1017と側壁1016の接合部は、フリッ
トガラス(不図示)を塗布し、大気中で400℃乃至5
00℃で10分以上焼成する事で封着した。また、スペ
ーサ1020は、基板1011側では行方向配線101
3上に、フェースプレート1017側ではメタルバック
1019面上に、導電性のフィラーあるいは金属等の導
電材を混合した導電性フリットガラス(不図示)を介し
て配置し、上記気密容器の封着と同時に、大気中で40
0℃乃至500℃で10分以上焼成する事で、接着し、
かつ電気的な接続もおこなった。
【0081】なお、本実施例においては、蛍光膜101
8は、図5に示すように、各色蛍光体31aが列方向
(Y方向)に延びるストライプ形状を採用し、黒色の導
電体31bは各色蛍光体(R、G、B)31a間だけで
なく、Y方向の各画素間をも分離するように配置された
蛍光膜が用いられ、スペーサ1020は、行方向(X方
向)に平行な黒色の導電体31b領域に内にメタルバッ
ク1019を介して配置された。なお、前述の封着を行
う際には、各色蛍光体21aと基板1011上に配置さ
れた各素子とを対応させなくてはいけないため、リアプ
レート1015、フェースプレート1017及びスペー
サ1020は十分な位置合わせを行った。
【0082】以上のようにして完成した気密容器内を排
気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真
空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜
Dynを通じ、行方向配線1013及び列方向配線10
14を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と
通電活性化処理を行う事によりマルチ電子ビーム源を製
造した。次に10-6Torr程度の真空度で、不図示の
排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器(気
密容器)の封止を行った。
【0083】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0084】以上のように完成した、図7および図8に
示されるような表示パネルを用いた画像表示装置におい
て、各冷陰極素子(表面伝導型放出素子)1012に
は、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通
じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段より
それぞれ印加することにより電子を放出させ、メタルバ
ック1019には高圧端子Hvを通じて高圧を印加する
ことにより放出電子ビームを加速し、蛍光膜1018に
電子を衝突させ、各色蛍光体31aを励起・発光させる
事で画像を表示した。なお、高圧端子Hvへの印加電圧
Vaは3〜12kVの範囲で徐々に放電が発生する限界
電圧まで印加し、各配線1013、1014間への印加
電圧Vfは14Vとした。高圧端子Hvへの8kV以上
電圧を印加して連続駆動が1時間以上可能な場合に、耐
電圧は良好と判断した。この時、スペーサ近傍では耐電
圧は良好と判断した。さらに、スペーサに近い位置にあ
る冷陰極素子1012からの放出電子による発光スポッ
トも含め、2次元状に等間隔の発光スポット列が形成さ
れ、鮮明で色再現性の良いカラー画像表示ができた。こ
のことは、スペーサを設置しても電子軌道に影響を及ぼ
すような電界の乱れは発生しなかったことを示してい
る。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
性能にバラツキの無いスペーサを低コストで作製するこ
とがでる。また、スペーサ基板作製とその表面への凹凸
加工を同時に行うことが出来、凹凸を有したスペーサ基
板を量産することが可能となった。更にスペーサ表面の
凹凸形状及び高抵抗膜の種類は上述の条件の範囲内で任
意に選択できるため、汎用性に優れていてる。よって表
示パネル中で電荷の蓄積をを防止するスペーサを提供す
ることができる。
【0086】本発明により、スペーサの帯電が原因で生
じるスペーサ表面での沿面放電を防ぐことができ、さら
に、放出された電子の軌道が変化しないことより、画像
の歪みをもたらす発光点の変位を抑制することが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた金型の概略図である。
【図2】本発明の実施例のスペーサ基板の概略図であ
る。
【図3】本発明のスペーサである実施例の断面形状を示
した説明図である。
【図4】従来のスペーサの断面形状を示した説明図であ
る。
【図5】蛍光体の他の構成例を説明するための図であ
る。
【図6】表示パネルのフェ−スプレ−トの蛍光体配列を
例示した平面図である。
【図7】本発明の実施例である画像表示装置の、表示パ
ネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図8】本発明の実施例である表示パネルのA−A'断
面図である。
【図9】実施例で用いたマルチ電子ビ−ム源の基板の平
面図である。
【図10】実施例で用いたマルチ電子ビ−ム源の基板の
一部断面図である。
【符号の説明】
1:スペーサ基板 3:電子源基板に面したスペーサの当接面 5:電子源基板に接するスペーサの側面 11:高抵抗膜 21:低抵抗膜、 31a:蛍光体 31b:黒色導電体、 40:層間絶縁層 1011:基板 1012:冷陰極素子 1013:行方向配線 1014:列方向配線 1015:リアプレート 1016:側壁 1017:フェースプレート 1018:蛍光体 1019:メタルバック、 1020:スペーサ 1102、1103:素子電極 1104:導電性薄膜、 1105:電子放出部 1113:薄膜 1010:黒色導電材 1041:接合材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5C012 AA05 BB02 5C032 AA07 CC05 5C036 EF01 EF06 EF08 EG02 EG31 EH11 EH21 EH23

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子を有する電子源と、電子源
    より放出された電子を制御する電極と、電子源より放出
    される電子が照射されるターゲットと、電子源と電極と
    の間に配置されたスペーサとを有する電子線装置におい
    て用いられるスペーサの製造方法において、該電子線装
    置製造におけるスペーサ組立工程よりも後工程のどの工
    程温度よりも溶融温度が高い部材を、内面の少なくとも
    一部に凹凸形状を有する型にキャスティングして、スペ
    ーサ形成用の基板(以下スペーサ基板という。)を形成
    するスペーサ基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 スペーサとなる部材を、キャスティング
    後プレスすることを特徴とする請求項1記載のスペーサ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 シート抵抗が107〜1014Ω/□である
    高抵抗膜を表面に製膜することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のスペーサ基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか一項
    に記載のスペーサの製造方法によって作製されたことを
    特徴とするスペーサ。
  5. 【請求項5】 当該スペーサの材料がガラスである事を
    特徴とする請求項4記載のスペーサ。
  6. 【請求項6】 当該スペーサの形状が平板状又は柱状で
    あることを特徴とする請求項4または5記載のスペー
    サ。
  7. 【請求項7】 前記スペーサの表面の凹凸形状として、
    その断面の形状として、平均粗さ(Ra)が0.1μm
    以上100μm以下であることを特徴とする請求項4な
    いし請求項6のいずれか一項に記載のスペーサ。
  8. 【請求項8】 前記スペーサのシート抵抗が107〜1
    15Ω/□である事を特徴とする請求項4ないし請求項
    7のいずれか一項に記載のスペーサ。
  9. 【請求項9】 請求項4ないし8のいずれか一項に記載
    のスペーサを構成要素して持つことを特徴とする画像形
    成装置。
  10. 【請求項10】 前記電子放出素子は冷陰極素子である
    ことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記電子放出素子は表面伝導型素子で
    あることを特徴とする請求項9ないし請求項10のいず
    れか一項に記載の画像形成装置。
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