JP2000241310A - 微細物体の操作装置および操作方法 - Google Patents

微細物体の操作装置および操作方法

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JP2000241310A JP11041335A JP4133599A JP2000241310A JP 2000241310 A JP2000241310 A JP 2000241310A JP 11041335 A JP11041335 A JP 11041335A JP 4133599 A JP4133599 A JP 4133599A JP 2000241310 A JP2000241310 A JP 2000241310A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の微細物体を光学的トラップにより同時
に捕捉することができる低コストの微細物体の操作装置
および操作方法を提供すること。 【解決手段】 複数の微細物体3を光学的トラップによ
り同時に捕捉する微細物体の操作装置において、単一の
レーザ出力部8によって照射されたレーザ光を光学系6
によって集光し単一のガルバノスキャナ7によって走査
させて操作対象の微細物体3に照射してこの微細物体を
捕捉する光学的トラップ手段と、この光学的トラップ手
段によって複数の微細物体を時分割により同時並行的に
捕捉するべくレーザ出力制御部9およびガルバノスキャ
ナ駆動部10を制御するマルチトラップ制御部11とを
備えた。これにより、精密・高価なレーザ照射系や走査
・光学系の設備費用を抑制して、低コスト設備によって
効率よい微細物体の操作を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物や動植物細
胞などの微細物体の捕捉・移動の操作を行う微細物体の
操作装置および操作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生化学分野等における各種試験や分析で
は、試料中に存在する微生物や動植物細胞などの微細物
体の中から特定の微細物体を識別して捕捉し、採取する
操作が行われる。近年微細物体の捕捉にレーザピンセッ
トが用いられるようになっている。このレーザピンセッ
トは試料溶液中などに存在する微細物体にレーザ光を集
光して照射することにより、光学的トラップを形成して
この微細物体を捕捉するものであり、非接触・非破壊で
微細物体を捕捉することができ、レーザ光を走査させる
ことにより捕捉した微細物体を試料中の任意の位置に移
動させることができるなど、多くの長所を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記微細物体
の捕捉や採取を行う際に対象とする微細物体は1つとは
限らず、同時に複数の微細物体を操作対象とする場合が
ある。このような場合、前述のレーザピンセットによっ
てこれらの複数の対象物を捕捉しようとすれば、当然複
数セットのレーザピンセット装置を必要とする。しかし
ながらレーザピンセット装置はレーザ照射装置やレーザ
光走査装置などの精密・高価な光学機器から構成されて
いるため、これらの機器を操作対象物の数だけ備えると
非常な高コストを要する。このため、従来レーザ光走査
装置や光学系のみを複数個そろえ、レーザ光を分光する
ことによりレーザ照射装置を共用するようにしたものな
ど、低コスト化を目的とした操作装置が実用化されてい
るがなおコスト面では高価であり、更なるコストダウン
が求められていた。
【0004】そこで本発明は、複数の微細物体を光学的
トラップにより同時に捕捉することができる低コストの
微細物体の操作装置および操作方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の微細物体
の操作装置は、単一のレーザ光照射手段によって照射さ
れたレーザ光を光学系によって集光し単一のレーザ光走
査手段によって走査させて操作対象の微細物体に照射し
てこの微細物体を捕捉する光学的トラップ手段と、この
光学的トラップ手段によって複数の微細物体を時分割に
より同時並行的に捕捉するべく前記光学的トラップ手段
を制御するマルチトラップ制御手段とを備えた。
【0006】請求項2記載の微細物体の操作装置は、請
求項1記載の微細物体の操作装置であって、前記レーザ
光照射手段の出力を制御するレーザ出力制御手段を備
え、前記マルチトラップ制御手段によってレーザ出力制
御手段を制御することにより、操作対象の微細物体の捕
捉時・非捕捉時におけるレーザ出力を切り換えるように
した。
【0007】請求項3記載の微細物体の操作方法は、単
一のレーザ光照射手段によって照射されたレーザ光を光
学系によって集光し単一のレーザ光走査手段によって走
査させて操作対象の微細物体に照射してこの微細物体を
捕捉する光学的トラップ手段をマルチトラップ制御手段
によって制御することにより、複数の微細物体を時分割
により同時並行的に捕捉するようにした。
【0008】請求項4記載の微細物体の操作方法は、請
求項3記載の微細物体の操作方法であって、操作対象の
微細物体の捕捉時・非捕捉時における前記レーザ光照射
手段のレーザ出力を切り換えるようにした。
【0009】本発明によれば、単一の光学的トラップ手
段によって時分割により複数の微細物体を同時並行的に
捕捉することにより、低コスト設備によって効率よい微
細物体の操作を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の微細
物体の操作装置の構成を示すブロック図、図2、図3、
図4、図5、図6、図7は同微細物体の操作装置の表示
画面を示す図、図8、図9、図10、図11は同微細物
体の操作方法を示すフロー図、図12(a)は同微細物
体の移動量を示す図、図12(b)は同微細物体の移動
速度パターンを示すグラフ、図13は同微細物体の捕捉
動作のタイムチャートである。
【0011】まず図1を参照して微細物体の操作装置の
構成を説明する。図1において試料容器1内に収容され
た溶液2中には、微生物や動植物細胞などの微細物体3
が多数浮遊状態で存在している。これらの微細物体3は
操作装置による捕捉や移動などのの操作対象となるもの
である。試料容器1の上方にはハーフミラー5、レンズ
4a,4bを含む光学系6が配設されている。
【0012】レンズ4bにはガルバノスキャナ7を介し
てレーザ光照射手段であるレーザ出力部8から照射され
るレーザ光が入射する。レーザ出力制御手段であるレー
ザ出力制御部9によってレーザ出力部8を駆動すること
により照射されたレーザ光は、ガルバノスキャナ7に入
射し、次いでレンズ4bを通過してハーフミラー5によ
り反射され、レンズ4aを通して試料容器1内に入射す
る。
【0013】ガルバノスキャナ7はガルバノミラー7
a,7dおよびレンズ7b,7cを備えており、ガルバ
ノスキャナ駆動部10によってガルバノミラー7a,7
dを駆動することにより、試料容器1内に照射されるレ
ーザ光の照射位置を走査させる。したがってガルバノス
キャナ7およびガルバノスキャナ駆動部10は、レーザ
光を走査させるレーザ光走査手段となっている。また、
光学系6は入射したレーザ光を集光して試料容器1内に
照射する。
【0014】ハーフミラー5の上方にはカメラ12が配
設されている。カメラ12はハーフミラー5を透して試
料容器1内の微細物体3を撮像する。撮像により得られ
た画像データは入力処理部14によりA/D変換処理さ
れて主制御部15に入力される。また入力処理部14に
はキーボードやマウスなどの操作・入力部13が接続さ
れており、操作・入力部13には操作コマンドや各種デ
ータが入力される。
【0015】主制御部15は画像処理機能を備えてお
り、第1の記憶部17に記憶された画像認識処理に必要
な各種のプログラムに基づいて前記画像データを画像処
理することにより、試料容器1内の微細物体3の位置を
検出する。表示部16は撮像された微細物体3の画像や
操作・入力時の操作画面を表示する。
【0016】レーザ出力制御部9およびガルバノスキャ
ナ駆動部10はマルチトラップ制御部11によって制御
される。主制御部15によって検出された微細物体3の
位置データはマルチトラップ制御部11に伝達され、こ
の位置データに基づいてガルバノスキャナ駆動部10を
制御することにより、試料容器1内の任意の微細物体3
に光学系6によって集光されたレーザ光を照射すること
ができる。これにより、レーザ光を照射された微細物体
3はレーザ光により光学的に捕捉される。すなわちレー
ザ出力部8、レーザ出力制御部9、ガルバノスキャナ
7、ガルバノスキャナ駆動部9および光学系6はレーザ
光により微細物体を捕捉する光学的トラップ手段となっ
ている。
【0017】ここで、本微細物体の操作装置は上述のレ
ーザ出力部8、レーザ出力制御部9、ガルバノスキャナ
7および光学系6をそれぞれ単一セットのみ備え、すな
わち単一の光学的トラップ手段を備えた構成となってい
る。このような単一の光学的トラップ手段によって複数
の微細物体を同時並行的に捕捉し、また移動させるマル
チトラップ機能について説明する。
【0018】マルチトラップ制御部11は主制御部15
とは別に独立してマルチトラップ処理を行う機能を有
し、操作対象の微細物体に照射されるレーザ光の照射時
間を規定するタイマ11aを備えている。また第2の記
憶部18には後述する操作対象の微細物体のカウント値
や現在位置および移動先位置に関する座標データなどマ
ルチトラップ処理に必要なマルチトラップデータが記憶
される。
【0019】このマルチトラップデータに基づき、タイ
マ11aにより指示されるタイミングに従って、レーザ
出力制御部9およびガルバノスキャナ駆動部10を制御
することにより、複数の微細物体3に所定タイミングで
順次レーザ光を照射して同時並行的にこれらの複数の微
細物体を捕捉することができる。すなわちマルチトラッ
プ制御部11は、光学的トラップ手段によって時分割に
より複数の微細物体を同時並行的に捕捉するべく光学的
トラップ手段を制御する。
【0020】このマルチトラップ処理において、必要な
指示や入力は表示部16に表示される表示画面上で行わ
れる。ここで表示画面について図2を参照して説明す
る。表示画面20には、試料容器1内の撮像画面を表示
する画像枠21、操作ボタン22〜25、メッセージボ
ックス26、物体欄28、現在位置座標表示欄29およ
び目標位置座標表示欄30が設けられている。画像枠2
1内には微細物体3a,3bおよびカーソル27が表示
される。
【0021】操作ボタン22を選択すると物体設定、す
なわち操作対象の微細物体を表示画面上で特定する処理
が可能となる。操作ボタン23を選択することにより、
前記物体設定にて特定された微細物体の移動が開始され
る。操作ボタン24,25を選択することにより、直前
に設定された物体設定の取り消し、マルチトラップ処理
のリセットまたは全設定の取り消しが行われる。メッセ
ージボックス26には、物体指示など入力操作を促すメ
ッセージが表示される。物体欄28には、画面上で指示
された物体を特定する物体番号が表示される。現在位置
座標表示欄29、目標位置座標表示欄30には、指示さ
れた微細物体のそれぞれについて現在位置および目標位
置のXY座標値が表示される。
【0022】この微細物体の操作装置は上記の様に構成
されており、以下各図を参照して微細物体の操作方法に
ついて説明する。まず物体設定処理について図2〜図5
を参照し図8のフローに沿って説明する。この物体設定
処理は、操作対象となる微細物体を表示画面上で特定す
るとともに、当該微細物体の現在位置および移動先位置
を指定する工程に関する処理である。図8において、ま
ずカウンタの初期設定を行う(ST1)。ここでcou
nt[物体]は既に設定された微細物体数を、coun
t[最大個数]は予定された設定物体数の最大値(この
例では3個)を示す。またC1は処理順を示すカウンタ
であり、処理が開始されるとカウンタC1に1が加算さ
れる(ST2)。
【0023】次いで物体指示を促すメッセージが画面に
表示される(ST3)。この表示をうけて、作業者は所
望の微細物体3にカーソル27を合わせることにより、
物体指示を行う。そして指示のあったことが確認された
ならば(ST4)、当該位置に指示済みを示す四角枠3
1が表示されるとともに、カーソル27の座標を微細物
体の現在位置(SX(C1),SY(C1))として第
2の記憶部18へ記憶する(ST5)。図3は微細物体
3aにカーソル27を合わせることにより、表示欄28
aの物体1が特定され現在位置座標表示欄29に物体1
の現在位置の座標値が表示された状態を示している。次
いでメッセージボックス26には、微細物体の目標位置
(移動先)のカーソル27による指示入力を促すメッセ
ージが表示される。このメッセージをうけて、作業者は
カーソル27を移動させて目標位置の指示入力を行う。
【0024】そして目標位置の指示入力有りが確認され
たならば(ST7)、当該位置には指示位置を示す三角
枠32が表示されるとともに、カーソル27の座標を目
標位置(EX(C1),EY(C1))として第2の記
憶部18に記憶する(ST8)。これにより、1個の微
細物体についての物体設定処理が終了し、count
[物体]に1を加算する処理が行われる(ST9)。
【0025】次に、count[物体]、すなわち既設
定の物体数が設定されたcount[最大個数]に到達
したか否かが判断され(ST10)、未だcount
[最大個数]に達していなければST2に戻って同様の
処理が繰り返される。count[最大個数](3個)
に到達していれば、図5に示すように既に指示された物
体の数が最大個数に到達したことを表示して(ST1
1)、物体設定処理を終了する。
【0026】これにより、画像枠21には3個の微細物
体(物体1,物体2,物体3)の指定および目標位置の
指示入力結果が四角枠31および三角枠32によって表
示され、表示欄28a,28b,28cには物体1、物
体2、物体3の現在位置および目標位置の座標値が表示
される。なお、本実施の形態では最大個数(3個)の微
細物体を指示する例を示したが、これより少ない1個や
2個でもよい。
【0027】次に図9のフローを参照してマルチトラッ
プ処理の捕捉モードについて説明する。この処理は、上
述の物体設定処理によって設定された複数の微細物体
を、同時並行的に捕捉して現在位置を保持する処理であ
り、操作対象の微細物体が指示された時点から捕捉を行
う。まず最初にcount[物体]が0であるか否か、
すなわち操作対象の微細物体が既に指示されているか否
かが確認され(ST20)、count[物体]が0以
外の値であれば処理順を示すカウンタC2を0にリセッ
トし(ST21)、次いでカウンタC2に1を加算した
後に(ST22)、1個の微細物体に対しての連続照射
時間t[ON]を計算し、マルチトラップ制御部11の
タイマ11aにセットする(ST23)。
【0028】ここで図13を参照して連続照射時間t
[ON]について説明する。図13はレーザ光による捕
捉動作のサイクルタイムTc中での連続照射時間t[O
N]と照射停止時間t[OFF]の配分を示したもので
ある。図13に示すA,B,Cはそれぞれcount
[物体]が1,2,3の場合のタイムチャートを示して
おり、1回の連続照射時間t[ON]には必ず1回の照
射停止時間t[OFF]が対応した形となっている。す
なわち連続照射時間t[ON]は、固定的に設定される
照射停止時間t[OFF]と、count[物体]の値
によって図13に示す計算式を用いて計算される。
【0029】次にガルバノスキャナ7を駆動して(C
2)個目の微細物体の現在位置にレーザ光の照射位置を
合わせる(ST24)。このときの現在位置は第2の記
憶部18から読み出される。そしてレーザ照射開始と同
時にタイマ11aの計時をスタートし(ST25)、タ
イマ11aのタイムアップを確認して(ST26)、レ
ーザ照射を停止する(ST27)。この後カウンタC2
のカウント値が、現時点で指示済みの微細物体の数co
unt[物体]に到達しているか否かが判断され(ST
28)、未到達であればST22に戻って同様の処理が
繰り返される。
【0030】そしてこのカウント値C2がcount
[物体]に到達したならば、移動モードへの切替えが行
われたか、すなわち移動の選択ボタン23が既に操作さ
れて移動が選択されたか否かを確認し(ST29)、移
動が選択されていなければST20に戻って捕捉状態を
継続する。そして移動が選択されていれば、後述するマ
ルチトラップ処理の移動モードへの切替えが行われる
(ST30)。
【0031】なお、上記説明ではレーザ出力部8から照
射されるレーザ光のレーザ出力は常に一定であり、照射
を断続することにより微細物体の捕捉・非捕捉の切り換
えが行われるが、マルチトラップ制御部11によってレ
ーザ出力制御部9を制御して、微細物体の捕捉時・非捕
捉時におけるレーザ出力を切り換えるようにしてもよ
い。すなわち、捕捉を解除する際においてもレーザ出力
部8からのレーザ照射は停止せず、レーザ出力を光トラ
ップ作用をほとんど有しない程度の低出力に切り換える
ことにより非捕捉状態とするものである。このような制
御方法を採用することにより、レーザ出力部8は常に駆
動状態にあることから捕捉開始時のレーザ光照射の立ち
上がり時間を短縮して操作装置の応答性を向上させるこ
とができる。
【0032】次に図10を参照してマルチトラップ処理
の移動モードについて説明する。この処理はレーザ光を
走査させることにより、捕捉した微細物体を目標位置ま
で移動させるものである。ここでは、前述の3個の微細
物体を指示された目標位置まで移動させる例を示してお
り、図6に示す選択ボタン23を操作することにより開
始される。
【0033】まずそれぞれの微細物体が目標位置に到着
しているか否かを示す到着フラグF1,F2,F3をそ
れぞれ0、すなわち未到着状態にセットする(ST3
1)。次にカウンタC3を0にリセットし(ST3
2)、次いでカウンタC3に1を加算した後に(ST3
3)、1個の物体に対する連続照射時間t[ON]を計
算し、タイマ11aにセットする。この連続照射時間t
[ON]は前述の捕捉モードにおける場合と同様に、照
射停止時間t[OFF]と指定されている微細物体の個
数を示すカウンタC2の値に基づいて決定される。
【0034】次に(C3)個目の微細物体について移動
開始位置/移動終了位置の設定処理が行われる(ST3
5)。この処理はレーザ光を走査させて各微細物体を捕
捉・移動させる1サイクルにおいて、各微細物体を移動
させる際の移動開始位置および移動終了位置をその都度
設定する処理であり、後述するサブルーチンに従って処
理が行われる。移動開始位置が設定されたならば、ガル
バノスキャナ7を駆動して照射位置を移動開始位置に合
わせる(ST36)。なお最初の動作において当初の捕
捉位置と移動開始位置が一致している場合には、照射位
置は実際には移動しない。
【0035】次にレーザ照射開始と同時にタイマ11a
がスタートし(ST37)、ガルバノスキャナ7を再び
駆動して照射位置を移動終了位置まで移動する(ST3
8)。これにより図6に示すように微細物体3a,3b
は目標位置に向かって移動を開始する。移動中にタイマ
11aのタイムアップを検出したならば(ST39)レ
ーザ照射を停止し(ST40)、制御部15より微細物
体の位置認識指令が出力される(ST41)。これによ
りカメラ12によって得られた画像データを画像認識す
ることによって移動終了時の微細物体の現在位置が検出
され、検出結果は第2の記憶部18に記憶される。
【0036】この後カウンタC3のカウント値がcou
nt[物体](3個)に到達したか否かを判断し(ST
42)、未到達であればST33に戻って次の微細物体
に対して同様の処理を繰り返す。そしてcount[物
体]に到達していればフラグF1,F2,F3より全て
の微細物体が目標位置に到着したか否かを判断する(S
T43)。ここで未到着であればST32に戻って同様
の処理を繰り返し、また全ての微細物体の目標位置への
到着が確認されたならば、マルチトラップ処理の捕捉モ
ードへ切替える(ST44)。図7はこのようにして微
細物体3a,3bの移動が完了した状態を示しており、
メッセージボックス26には移動完了を示すメッセージ
が表示される。
【0037】次に図11、図12を参照して前述のST
35に示す移動開始位置/移動終了位置の設定処理につ
いて説明する。まず現在位置(SX(C3),SY(C
3))と、目標位置(EX(C3),EY(C3))を
第2の記憶部18より読み取る(ST50)。次いで、
目標位置に対して現在位置は所定の範囲内にあるか否
か、すなわち微細物体が目標位置に所定許容誤差範囲内
で到着しているか否かを判断する(ST51)。ここで
既に到着していれば当該微細物体の到着フラグF(C
3)を1にセットし(ST52)、未到着であればフラ
グF(C3)をそのままにして移動開始位置の設定を行
う。
【0038】すなわち、図12に示すように読みとった
現在位置を移動開始位置として、xs=SX(C3),
ys=SY(C3)にセットする(ST53)。次に、
移動開始位置(xs,ys)から目標位置(EX(C
3),EY(C3))までの残移動距離Laを、移動開
始位置と目標位置の座標を用いて(数1)により算出す
る(ST54)。
【0039】
【数1】 次いでレーザ光を走査させる1サイクルで当該微細物体
が移動する1サイクル移動距離Lbを(数2)により算
出する(ST55)。ここでは、図12(b)に示す移
動速度Vの速度パターン関数f(t)を用いて数値積分
により移動距離Lbを求める。なお、図12(b)では
速度パターン関数の形を最も簡略化された直線状パター
ンの例を示しているが、実際の速度パターンはガルバノ
スキャナ7の駆動特性に即したものに設定される。
【0040】
【数2】 そして残移動距離Laと1サイクル移動距離Lbの大小
を比較し(ST56)、ここで残移動距離Laが1サイ
クル移動距離Lbよりも大きければ、1サイクル移動距
離Lbだけ移動させた点を移動終了位置(xe,ye)
とする(ST57)。ここで、座標値xe,yeは(数
3)により求められる。すなわち、移動開始位置の座標
値に、目標位置までの座標差分にLb/Laの比を乗じ
た按分比例座標値を加えることにより求められる。
【0041】
【数3】 そして残移動距離Laが1サイクル移動距離Lbよりも
小さい場合、すなわち目標位置到着までに1サイクル移
動相当分の移動を必要としない場合には、目標位置(E
X(C3),EY(C3))そのものが移動終了位置
(xe,ye)となる(ST58)。
【0042】上記説明したように、本発明はレーザ光を
操作対象の微細物体に照射することにより当該微細物体
を光学的にトラップする微細物体の操作装置において、
単一の光学的トラップ手段を用いて時分割により複数の
操作対象を同時並行的に捕捉することにより、光学的ト
ラップ方法の有する利点を確保しつつ、高価なレーザ照
射系や走査・光学系に要する設備費用を最小限に抑制し
て低コストの微細物体の操作装置を実現することができ
る。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、単一の光学的トラップ
手段を用いて時分割により複数の操作対象を同時並行的
に捕捉することにより、光学的トラップ方法の有する利
点を確保しつつ、高価なレーザ照射系や走査・光学系に
要する設備費用を最小限に抑制して低コストの微細物体
の操作装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
表示画面を示す図
【図3】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
表示画面を示す図
【図4】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
表示画面を示す図
【図5】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
表示画面を示す図
【図6】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
表示画面を示す図
【図7】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の
表示画面を示す図
【図8】本発明の一実施の形態の微細物体の操作方法を
示すフロー図
【図9】本発明の一実施の形態の微細物体の操作方法を
示すフロー図
【図10】本発明の一実施の形態の微細物体の操作方法
を示すフロー図
【図11】本発明の一実施の形態の微細物体の操作方法
を示すフロー図
【図12】(a)本発明の一実施の形態の微細物体の移
動量を示す図(b)本発明の一実施の形態の微細物体の
移動速度パターンを示すグラフ
【図13】本発明の一実施の形態の微細物体の捕捉動作
のタイムチャート
【符号の説明】
1 試料容器 3 微細物体 6 光学系 7 ガルバノスキャナ 8 レーザ出力部 9 レーザ出力制御部 10 ガルバノスキャナ駆動部 11 マルチトラップ制御部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単一のレーザ光照射手段によって照射され
    たレーザ光を光学系によって集光し単一のレーザ光走査
    手段によって走査させて操作対象の微細物体に照射して
    この微細物体を捕捉する光学的トラップ手段と、この光
    学的トラップ手段によって複数の微細物体を時分割によ
    り同時並行的に捕捉するべく前記光学的トラップ手段を
    制御するマルチトラップ制御手段とを備えたことを特徴
    とする微細物体の操作装置。
  2. 【請求項2】前記レーザ光照射手段の出力を制御するレ
    ーザ出力制御手段を備え、前記マルチトラップ制御手段
    によってレーザ出力制御手段を制御することにより、操
    作対象の微細物体の捕捉時・非捕捉時におけるレーザ出
    力を切り換えることを特徴とする請求項1記載の微細物
    体の操作装置。
  3. 【請求項3】単一のレーザ光照射手段によって照射され
    たレーザ光を光学系によって集光し単一のレーザ光走査
    手段によって走査させて操作対象の微細物体に照射して
    この微細物体を捕捉する光学的トラップ手段をマルチト
    ラップ制御手段によって制御することにより、複数の微
    細物体を時分割により同時並行的に捕捉することを特徴
    とする微細物体の操作方法。
  4. 【請求項4】操作対象の微細物体の捕捉時・非捕捉時に
    おける前記レーザ光照射手段のレーザ出力を切り換える
    ことを特徴とする請求項3記載の微細物体の操作方法。
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