JP2000239084A - 枝葉材の堆肥化方法および枝葉材堆肥 - Google Patents

枝葉材の堆肥化方法および枝葉材堆肥

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JP2000239084A
JP2000239084A JP11357553A JP35755399A JP2000239084A JP 2000239084 A JP2000239084 A JP 2000239084A JP 11357553 A JP11357553 A JP 11357553A JP 35755399 A JP35755399 A JP 35755399A JP 2000239084 A JP2000239084 A JP 2000239084A
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Sadao Horie
貞夫 堀江
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RYOKUEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹木の枝葉を短期間で完熟状態に堆肥化でき
る枝葉材の堆肥化方法を提供する。 【解決手段】 5mm以下のオガ粉状に粉砕した枝葉材
に米ヌカ、醗酵菌および水分を添加して攪拌混合して調
整し、前記堆肥原料の水分率を一定に保持して糖および
アミノ酸を分解させる堆肥原料の第1調整及び醗酵工程
と、糖分解がほぼ終了した堆肥原料に化成肥料および水
分を添加して攪拌混合して調整し、前記堆肥原料の水分
率を保持しながら温度を60〜70℃に保持して繊維質
および結合組織を分解させる堆肥原料の第2調整及び醗
酵工程と、結合組織および繊維分解がほぼ終了した堆肥
原料を攪拌混合して水分率を55%前後に調整し、前記
調整された原料の水分率を一定に保持して繊維質を分解
させる第3調整及び醗酵工程と、前記第3工程において
繊維分解がほぼ終了した堆肥原料の水分率を20〜30
%に調整する乾燥工程とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、枝葉材の堆肥化
方法および枝葉材堆肥に関し、詳しくは、樹木の枝葉を
短期間で完熟状態に堆肥化できる枝葉材の堆肥化方法、
および、この堆肥化方法によって堆肥化された高品質で
安全性が高く使い易い枝葉材堆肥に関するものである。
【0002】公園樹や街路樹の剪定、伐採により回収さ
れた枝葉は、一般に、屋外で焼却処分されている。しか
しながら、大量の枝葉を屋外で焼却すると、煙公害が発
生するばかりでなく、二酸化炭素の発生によって環境を
汚染する。そこで、環境保護の機運の高まっている昨
今、枝葉を堆肥化する方法が種々模索されている。例え
ば、特開平10−67589号公報には、伐採木材のコ
ンポスト化方法が開示されている。
【0003】前記公報に記載のコンポスト化方法は、伐
採木材を5cm程度の大きさにチップ化し、これに発熱
醗酵材、発熱醗酵促進剤およびバーク肥料を添加して醗
酵させることにより、大量の伐採木材を短期間でコンポ
スト化することを内容としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記公報に
記載のコンポスト化方法においては、チップ化した破砕
木材を主原料としているため、単位容積あたりの醗酵菌
の活動表面積を十分に確保することができず、その結
果、3〜4か月程度の短期間でコンポスト化することは
困難である。また、微生物活性を高める適切な醗酵管理
手法が採用されていないため、C/N比が15〜20程
度の完熟堆肥を得ることは困難である。
【0005】そこで、この発明は、樹木の枝葉を短期間
で完熟状態に堆肥化できる枝葉材の堆肥化方法、およ
び、この堆肥化方法によって堆肥化された高品質で安全
性が高く使い易い枝葉材堆肥を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明に係る枝葉材の堆肥化方法は、5mm以下
のオガ粉状に粉砕した枝葉材に米ヌカ、醗酵菌および水
分を添加して攪拌混合して調整する第1調整工程と、前
記第1調整工程で調整された堆肥原料の水分率を一定に
保持して糖およびアミノ酸を分解させる堆肥原料の第1
醗酵工程と堆肥原料に化成肥料および水分を添加して攪
拌混合して調整する第2調整工程と、前記第2調整工程
で調整された堆肥原料の水分率を保持しながら温度を6
0〜70℃に保持して繊維質および結合組織を分解させ
る堆肥原料の第2醗酵工程と、堆肥原料を攪拌混合して
水分率を55%前後に調整する第3調整工程と、前記第
3調整工程で調整された原料の水分率を一定に保持して
繊維質を分解させる第3醗酵工程と、堆肥原料の水分率
を20〜30%に調整する堆肥原料の乾燥工程とを順次
備えていることを特徴とする。前記第1調整工程におい
て刈芝又は雑草を添加し、第2調整工程においてカニ殻
を添加してもよい。また、第1醗酵工程における水分率
は50〜55%に保持し、第2醗酵工程における水分率
は55〜65%に保持し、第3醗酵工程における水分率
は50〜60%に保持することが好ましい。
【0007】また、この発明に係る枝葉材堆肥化は、5
mm以下のオガ粉状に粉砕した枝葉材に米ヌカ、醗酵菌
および水分を添加して攪拌混合してなる堆肥原料の水分
率を一定に保持しながら糖およびアミノ酸を分解させ、
糖分解がほぼ終了した堆肥原料に化成肥料および水分を
添加して攪拌混合して調整し、水分率を保持しながら温
度を60〜70℃に保持して繊維質および結合組織を分
解させ、次いで、結合組織および繊維分解がほぼ終了し
た堆肥原料を攪拌混合して水分率を55%前後に調整
し、水分率を一定に保持しながら繊維質を分解させ、繊
維分解がほぼ終了した堆肥原料の水分率を20〜30%
に調整することによって得られる枝葉材堆肥であって、
C/N比が15〜20であることを特徴とする。堆肥原
料に刈芝又は雑草を添加してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明に
係る枝葉材の堆肥化方法および枝葉材堆肥を説明する。
参照する図面において、図1は一実施形態としての枝葉
材の堆肥化方法の工程図、図2は第1調整工程から乾燥
工程に亘るタイムチャート、図3は第1醗酵工程から第
3醗酵工程に亘る堆肥温度の変化を示すグラフ、図4は
枝葉材の堆肥化方法に使用される醗酵槽の斜視図、図5
は醗酵槽の正面図、図6は枝葉材の堆肥化方法に使用さ
れる醗酵補助袋の正面図、図7は醗酵補助袋に収容され
る通気パイプの正面図である。
【0009】一実施形態としての枝葉材の堆肥化方法
は、図1に示すように、堆肥原料の第1調整工程A、第
1醗酵工程B、第2調整工程C、第2醗酵工程D、第3
調整工程E、第3醗酵工程Fおよび乾燥工程Gを備えて
構成されている。第1調整工程Aから乾燥工程Gに亘る
タイムチャートは図2に示す通りであり、第1醗酵工程
Bは20日前後、第2醗酵工程Dは30日前後、第3醗
酵工程Fは30日前後、乾燥工程Gは10日前後で完了
する。すなわち、第1調整工程Aから乾燥工程Gまでの
全工程は、3月程度で完了する。また、第1醗酵工程B
から第3醗酵工程Fに亘る堆肥温度の変化は図3に示す
通りであり、20℃前後から醗酵熱によって60℃前後
まで上昇し、再び20℃前後まで下降する。
【0010】堆肥化方法における醗酵は、醗酵学でいう
醗酵だけでなく酸化分解、腐敗を含めた総称であって、
有機物を堆積させると、ある場所では酸化分解、醗酵分
解、またあるところでは好気性醗酵から嫌気性醗酵へと
変遷する複合的な醗酵を繰り返すが、全体的には特徴あ
る菌相を呈する。第1段階は糸状菌、細菌による糖分解
期、第2段階は放線菌、糸状菌による結合組織及び繊維
分解期、第3段階は放線菌、細菌による繊維分解期の3
段階に大まかに区分することができる。以下、各段階を
第1〜第3醗酵工程とした。
【0011】堆肥原料の第1調整工程Aにおいては、剪
定、伐採された公園樹や街路樹などの枝葉材を5mm以
下のオガ粉状に粉砕し、この枝葉材に刈芝、米ヌカ、醗
酵菌および水分を添加して攪拌混合する。そして、堆肥
原料をC/N比50〜60、水分率50〜60%に調整
する。
【0012】枝葉材の粉砕作業は、適宜の粉砕機を使用
して行う。この場合、オガ粉の粒度分布は、通常、1.
5mm以下が1/3程度、1.5〜3.5mmが1/3
程度、3.5〜5mmが1/3程度となる。同一容積の
オガ粉において、粒度が細かい程、その微生物が付着す
る表面積、すなわち分解面積が増大し、有機物分解が促
進される。また、粒度が細かい程、毛管孔隙が増大し、
微生物の生命維持活動に必要な水分の保持能力が増大し
て微生物が活性化する。従って、堆肥原料を短期間に堆
肥化させるためには、オガ粉の粒度は細かい程好まし
い。なお、枝葉材の粉砕作業にチッパーや2軸式破砕機
を使用すると、オガ粉が粗粒子となるため、この場合に
は2次破砕機によってオガ粉の粒度を細かくする。
【0013】枝葉材は、通常、その90%以上が木質部
であって、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の
難分解性多糖類で構成されており、C/N比は150〜
400の高い数値を示す。タンパク構成分の高い皮層
部、葉部を含めてもC/N比は100〜150の高い数
値となり、醗酵分解の期間が長期化する。従って、枝葉
材の醗酵促進を図るため、第1調整工程Aにおいては、
刈芝および米ヌカを添加して堆肥原料のC/N比を50
〜60に低減する。
【0014】オガ粉状の枝葉材に対する刈芝の混合比
は、枝葉材2/3に対し刈芝1/3程度が好ましいが、
枝葉材が枝のみの場合には、枝葉材1/2に対し刈芝1
/2程度とする。なお、刈芝の入手が困難な場合には、
2〜3cm程度に裁断した雑草を刈芝の代用としてもよ
い。また、米ヌカおよび醗酵菌の混合比は、枝葉材と刈
芝との混合物1立米に対し、米ヌカ2袋(約20kg、
約60リットル)、醗酵菌10リットル程度の混合比と
する。
【0015】第1調整工程Aにおいて、水分率は堆肥原
料の粒子間に保持される水分量を示し、一定容量の原料
における気相部と液相部の総和の50〜60%が適性量
である。この範囲の水分率は、堆肥原料を手で握り締め
た際に、手のひらが濡れる程度の状態ないし水分が指の
間から僅かに滲み出る程度の状態として確認することが
できる。水分率が60%を超えると、易分解性の糖分、
アミノ酸等の有効成分が流亡するので好ましくない。
【0016】つぎに、第1醗酵工程Bにおいては、第1
調整工程Aで調整された堆肥原料の水分率を50〜55
%に保持して糖およびアミノ酸を分解させる。この第1
醗酵工程Bは糖、アミノ酸の分解期で、関与する主力菌
は、糖糸状菌(病原性糸状菌を含む)であるが、細菌類
も関与する。これらの醗酵菌は、堆肥原料中の枝葉材か
ら溶出する細胞原形質内の分解し易い低分子の糖および
アミノ酸を分解する。また、同時にコウジ菌が米ヌカの
デンプンを糖化する。
【0017】第1醗酵工程Bにおいて、水分率が高すぎ
ると、堆肥原料は酸素不足を招来して嫌気性醗酵を起
し、いわゆる腐れ堆肥となる。反対に水分率が低すぎる
と、堆肥原料は急激な高温醗酵を起し、窒素分などの養
分が気散した低価値の堆肥となる。従って、高品質の堆
肥を得るために、堆肥原料の水分率を50〜55%に保
持する。水分率が低すぎると急激な高温発酵となり、約
70℃まで達すると主力菌が死滅し、あるいは減少する
ことになる。
【0018】ところで、堆肥原料の水分率が50〜55
%の範囲においては、主力菌の糖糸状菌が活発に増殖し
て呼吸するため、堆肥原料は発熱して50〜60℃に達
する。これを放置すると、水分の蒸発が起り、堆肥原料
の上層部においては水分不足により高温醗酵を起して養
分が気散する。また、堆肥原料の下層部においては微生
物の呼吸により酸素が消費されて嫌気状態となり、腐敗
が進行する。そこで、第1醗酵工程Bにおいては、通
常、水分補給および切返しを適宜行う必要がある。この
水分補給および切返し作業の手間を軽減するためには、
図4に示す醗酵槽1を使用するのが好ましい。
【0019】前記醗酵槽1は、U字溝状に形成されたコ
ンクリート製であり、その寸法は、幅170〜210c
m、高さ220〜260cm、長さ約6m程度である。
この醗酵槽1には、その開口部を覆うことにより、堆肥
原料からの水分蒸発を抑制し、かつ、堆肥原料への紫外
線の照射を遮断する遮蔽シート2が付設されている。ま
た、醗酵槽1内の底部には、堆肥原料の下層部内に外気
を供給する通気パイプ3が付設されている。
【0020】前記醗酵槽1の立上がり天端部には、左右
一対のガイドレール4,4が付設されており、遮蔽シー
ト2には、鉄棒製の複数の骨材5が長手方向に60〜9
0cmのピッチ間隔で添設されている。そして、各骨材
5の両端部に固定された滑車6が前記ガイドレール4,
4に案内されることにより、遮蔽シート2は醗酵槽1の
長手方向に沿って伸縮し、醗酵層の開口部を開閉できる
ように構成されている。
【0021】また、前記醗酵槽1の底部には、図5に示
すように、前記通気パイプ3の設置溝1Aが例えば3本
形成されている。各設置溝1Aには、周面に多数の通気
孔が形成され、かつ、先端部が閉塞された塩化ビニル製
の通気パイプ3がそれぞれ設置されている。各通気パイ
プ3の基端部は、1本に集合されてブロワ装置7に接続
されている。そして、ブロワ装置7の運転により、各通
気パイプ3の周面の多数の通気孔から外気が噴出するよ
うに構成されている。なお、通気孔の大きさは、通気パ
イプ3を中心として半径50〜60cmの範囲に外気を
噴出できる程度の大きさに設定されている。
【0022】前記第1醗酵工程Bにおいて醗酵槽1を使
用する場合、第1調整工程Aで調整された堆肥原料をシ
ョベルローダーにより醗酵槽1内に収容し、醗酵槽1の
開口部を遮蔽シート2で覆う。そして、ブロワ装置7の
運転により各通気パイプ3の通気孔から原料堆肥の下層
部内に外気を供給する。この場合、外気の供給量は、原
料堆肥の下層部が1〜2日間で乾燥する程度では多過
ぎ、4〜5日間は湿気を保持できる程度の微量が好まし
い。
【0023】醗酵槽1を使用した第1醗酵工程Bにおい
ては、原料堆肥から蒸発した水蒸気は遮蔽シート2によ
って気散が防止される。そして、遮蔽シート2に付着し
た水蒸気は、夜間などに自然冷却されて水滴となり、堆
肥原料中に還元される。従って、原料堆肥への水分補給
は殆ど必要なくなる。また、堆肥原料の下層部内には各
通気パイプ3の通気孔から外気が供給されているため、
酸素不足が解消される。すなわち、堆肥原料の下層部に
おいては、好気状態と嫌気状態の循環的環境が確保され
るのであり、嫌気状態での腐敗の進行が防止され、確実
に醗酵促進される。従って、第1醗酵工程Bにおける切
返し作業は、期間中1回程度で済む。
【0024】醗酵槽1を使用する第1醗酵工程Bにおい
て、切返し作業は、ショベルローダー等を使用して醗酵
槽1内の堆肥原料を他の醗酵槽1に移動することにより
行うため、醗酵槽1は最低2個必要である。醗酵槽1の
個数が少ない場合には、図6に示す醗酵補助袋8を使用
することができる。
【0025】前記醗酵補助袋8は、耐腐食性および通気
性のある袋、例えば、ポリプロピレンの編組材による袋
などが好ましいが、通気性のないビニール袋でもよい。
この醗酵補助袋8には、図7に示す通気パイプ9が収容
される。通気パイプ9は、直径100mm程度の塩化ビ
ニルパイプをU字状に接続した構造であり、周面には直
径20〜25mm程度の多数の通気孔が開口されてい
る。通気パイプ9の左右の立上り部は、一方が1300
mm、他方が1200mmであって、100mmの高低
差が設けられている。そしてこの通気パイプ9は、左右
の立上り部の上端が醗酵補助袋8から突出する状態で醗
酵補助袋8内に収容されている。
【0026】前記醗酵補助袋8を使用した第1醗酵工程
Bにおいては、立上がり部に100mmの高低差が設け
られた通気パイプ9内を外気が僅かづつ循環することに
より、通気パイプ9の各通気孔から堆肥原料中に外気が
供給される。この場合、通気性が若干悪いため、第1醗
酵工程Bの期間中2回程度の攪拌を行うのが好ましい。
【0027】前記醗酵槽1は、第2醗酵工程Dおよび第
3醗酵工程Fにおいても使用するのが好ましい。第1醗
酵工程B〜第3醗酵工程Fまで醗酵槽1を使用する場
合、各醗酵槽1の使用期間は3月であるから、醗酵槽1
が4個あれば、いずれか1個の醗酵槽1を順次切返し用
に充て、他の3個の醗酵槽1を3月のローテーションで
それぞれ年間4回使うことができる。この場合、醗酵槽
1に応じた分量の枝葉材堆肥を毎月出荷することができ
る。醗酵槽1では、主力菌の糸状菌が盛んに増殖し、呼
吸による発熱が始まり高温になるとともに、コウジ菌に
よる米ヌカのデンプンの糖化作用も並行して進み、香ば
しい香りがしてくる。こうなると糖分解がほぼ終了す
る。
【0028】第2調整工程Cにおいては、第1醗酵工程
Bにおける糖分解がほぼ終了した堆肥原料にカニ殻、化
成肥料および水分を添加して攪拌混合する。そして、堆
肥原料の水分率を60%前後に調整する。この調整作業
は、醗酵槽1の堆肥原料をショベルローダーにより撹拌
機に投入して行う。
【0029】カニ殻は、次の第2醗酵工程Dで活躍する
放線菌を活性化させると共に、病原性糸状菌を溶菌させ
るために添加する。病原性糸状菌の大半は、細胞壁がカ
ニガラと同じキチン成分で構成されているため、放線菌
が放出する分解酵素キナーゼによって溶菌する効果が得
られる。カニ殻の混合比は、堆肥原料1立米に対し5リ
ットル程度である。また、化成肥料は、菌体合成に必要
な主要成分を補給するために添加する。化成肥料の混合
比は、堆肥原料1立米に対し2リットル程度である。な
お、化成肥料に代えて米ヌカを添加してもよい。この場
合、米ヌカの混合比は、堆肥原料1立米あたり1袋(約
10kg、約30リットル)程度である。尚、この発明
で使用する化成肥料は、窒素8%、リン酸8%、カリ8
%のものを使用するのが好ましい。
【0030】第2醗酵工程Dは、繊維質のセルロース、
結合組織のヘミセルロースの分解期であって、第2調整
工程Cで調整された堆肥原料の水分率を60%前後に、
温度を60〜70℃に保持して繊維質および結合組織を
分解させる。この第2醗酵工程Dに関与する主力菌は、
アスペルギルス、リゾープス等の糸状菌、および、サー
モアクチノミセス等の放線菌であるが、土壌微生物とし
て代表的なバチルス、シュードモナス菌なども関与す
る。これらの菌は、堆肥原料中の枝葉材に含まれる繊維
質としてのセルロースや結合組織としてのヘミセルロー
スを分解する。また、前記放線菌は、カニ殻を分解する
ために放出する分解酵素キチナーゼによって大半の病原
性糸状菌を溶菌させる。
【0031】第2醗酵工程Dは、高温醗酵が特徴であ
り、堆肥原料の温度は60℃以上の高温となり、条件に
よっては80℃を超えることもある。80℃を超えるよ
うな場合には、その時点で攪拌を行う。しかしながら、
70℃以上の高温となると、前述した有益菌が死滅する
ので、堆肥原料の温度は60〜70℃に保持する。堆肥
原料の水分率を60%前後に、温度を60〜70℃に保
持するためには、前記醗酵槽1を使用して堆肥原料から
の水蒸気の気散を防止すると共に、堆肥原料の下層部に
外気を補給する。また、適宜の水分補給と共に、ショベ
ルローダー等を使用して堆肥原料の切返し作業を行う。
【0032】前記切返し作業は、通常、7〜10日毎を
目安として行うが、堆肥原料の温度が70℃を超えない
範囲で適宜行うのが好ましい。例えば、サーモアクチノ
ミセス菌が堆肥原料の表面に露出しているヘミセルロー
スを食べ尽した状態、すなわち、堆肥原料の表面に粉を
ふいたような真白な胞子が目立つ状態となったら、切返
し作業を行って、サーモアクチノミセス菌を再発芽させ
る。また、堆肥原料が水分過多により団子状となった場
合には、糸状菌の菌糸で固く凝固する前に、切返し作業
を行う。
【0033】上述のように、70℃以上の高温になりそ
うなときに攪拌を行い、また、真っ白な胞子が目立つよ
うになったとき、あるいは、団子状になったときに数回
切り返しを行うと、菌層が変わり、胞子、菌糸の出願が
低下して結合組織、繊維分解がほぼ終了することにな
る。
【0034】第3調整工程Eにおいては、第2醗酵工程
Dにおいて、結合組織及び繊維分解がほぼ終了して胞
子、菌糸の出現が低下した堆肥原料を攪拌混合して水分
率を55%前後に調整する。この場合、化成肥料の補給
を行うのが好ましい。この調整作業は、醗酵槽1の堆肥
原料をショベルローダーにより撹拌機に投入して行う。
【0035】第3醗酵工程Fは、第3調整工程Eで調整
された原料の水分率を55%前後に保持して繊維質を分
解させる。すなわち、第2醗酵工程Dで柔らかくされた
繊維質を細かく分解し、その分解産物である糖分を分解
させる。この第3醗酵工程Fに関与する主力菌は、放線
菌であるストレプトミセス菌と一般細菌である。
【0036】第3醗酵工程Fにおいては、前記醗酵槽1
を使用して堆肥原料からの水蒸気の気散を防止すると共
に、堆肥原料の下層部に外気を補給する。また、適宜の
水分補給と共に、ショベルローダー等を使用して堆肥原
料の切返し作業を行う。切返し作業は、通常、7〜10
日毎を目安として行うが、ストレプトミセス菌の活性化
度合に応じて適宜行うのが好ましい。すなわち、ストレ
プトミセス菌が活性化して胞子を形成し、透通るような
白色の微小な胞子が堆肥原料の表層下4〜15cmに見
られるようになったら、切返し作業を行ってストレプト
ミセス菌を再発芽させる。
【0037】第3醗酵工程Fにおいて数回の切返し作業
を行い、ストレプトミセス菌の胞子が堆肥原料の全体に
行渡ったならば、醗酵槽1の遮蔽シート2を開き、堆肥
原料を攪拌してその温度を外気温まで下げる。数回の切
り返しにより、胞子が全体に行き渡るころには繊維分解
がほぼ終了することになり、胞子の形成もなくなる。
【0038】乾燥工程Gにおいては、第3醗酵工程Fに
おいて繊維分解がほぼ終了した堆肥原料の水分率を20
〜30%に調整する。この乾燥作業は、醗酵槽1の通気
パイプ3を介して堆肥原料中に外気を強制的に吹込むこ
とにより行い、10日前後で乾燥させることができ
る。。そして、水分率が20〜30%に乾燥した堆肥原
料を篩いに掛けて枝葉材堆肥を得る。
【0039】この発明による枝葉材の堆肥化方法によっ
て得られた枝葉材堆肥は、原料粒子の全表面が醗酵分解
した完熟堆肥であり、肥料3要素のN,P,Kをそれそ
れ2〜3%含有すると共に、各種のホルモンおよびビタ
ミンを含有する。また、C/N比が15〜20であっ
て、植物の窒素飢餓障害を回避する機能を有する。さら
に、水分率が20〜30%であって、ベタ付きがなく、
各種の肥料散布機による散布を可能とする。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る枝
葉材の堆肥化方法によれば、微生物活性を高める適切な
醗酵管理手法、すなわち、5mm以下のオガ粉状に粉砕
した枝葉材に米ヌカ、醗酵菌および水分を添加して攪拌
混合して調整し、前記調整された堆肥原料の水分率を一
定に保持して糖およびアミノ酸を分解させる堆肥原料の
第1調整及び醗酵工程と、堆肥原料に化成肥料および水
分を添加して攪拌混合して調整し、前記工程で調整され
た堆肥原料の水分率を保持しながら温度を60〜70℃
に保持して繊維質および結合組織を分解させる堆肥原料
の第2調整及び醗酵工程と、堆肥原料を攪拌混合して水
分率を55%前後に調整し、前記調整された原料の水分
率を一定に保持して繊維質を分解させる第3調整及び醗
酵工程と、堆肥原料の水分率を20〜30%に調整する
堆肥原料の乾燥工程とを備えているために、樹木の枝葉
材を3〜4か月程度の短期間で完熟状態に堆肥化するこ
とができる。
【0041】また、この発明に係る枝葉材堆肥は、C/
N比が15〜20の完熟堆肥であるため、植物の窒素飢
餓障害を回避でき、安全性が高い。また、水分率が20
〜30%であってベタ付きがないため、各種の肥料散布
機で散布することができ、使い易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態としての枝葉材の堆肥化方法の工程
図である。
【図2】第1調整工程から乾燥工程に亘るタイムチャー
トである。
【図3】第1醗酵工程から第3醗酵工程に亘る堆肥温度
の変化を示すグラフである。
【図4】枝葉材の堆肥化方法に使用される醗酵槽の斜視
図である。
【図5】醗酵槽の正面図である。
【図6】醗酵補助袋に収容される通気パイプの正面図で
ある。
【図7】通気パイプを収容した醗酵補助袋の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 :醗酵槽 1A:設置溝 2 :遮蔽シート 3 :通気パイプ 4 :ガイドレール 5 :骨材 6 :滑車 7 :ブロワ装置 8 :醗酵補助袋 9 :通気パイプ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5mm以下のオガ粉状に粉砕した枝葉材
    に米ヌカ、醗酵菌および水分を添加して攪拌混合して調
    整する第1調整工程と、前記第1調整工程で調整された
    堆肥原料の水分率を一定に保持して糖およびアミノ酸を
    分解させる堆肥原料の第1醗酵工程と、堆肥原料に化成
    肥料および水分を添加して攪拌混合して調整する第2調
    整工程と、前記第2調整工程で調整された堆肥原料の水
    分率を保持しながら温度を60〜70℃に保持して繊維
    質および結合組織を分解させる堆肥原料の第2醗酵工程
    と、堆肥原料を攪拌混合して水分率を55%前後に調整
    する第3調整工程と、前記第3調整工程で調整された原
    料の水分率を一定に保持して繊維質を分解させる第3醗
    酵工程と、堆肥原料の水分率を20〜30%に調整する
    堆肥原料の乾燥工程とを順次備えていることを特徴とす
    る枝葉材の堆肥化方法。
  2. 【請求項2】 前記第1調整工程において刈芝又は雑草
    を添加し、第2調整工程においてカニ殻を添加すること
    を特徴とする請求項1記載の枝葉材の堆肥化方法。
  3. 【請求項3】 第1醗酵工程における水分率は50〜5
    5%に保持し、第2醗酵工程における水分率は55〜6
    5%に保持し、第3醗酵工程における水分率は50〜6
    0%に保持することを特徴とする請求項1又は請求項2
    記載の枝葉材の堆肥化方法。
  4. 【請求項4】 5mm以下のオガ粉状に粉砕した枝葉材
    に米ヌカ、醗酵菌および水分を添加して攪拌混合してな
    る堆肥原料の水分率を一定に保持しながら糖およびアミ
    ノ酸を分解させ、糖分解がほぼ終了した堆肥原料に化成
    肥料および水分を添加して攪拌混合して調整し、水分率
    を保持しながら温度を60〜70℃に保持して繊維質お
    よび結合組織を分解させ、次いで、結合組織および繊維
    分解がほぼ終了した堆肥原料を攪拌混合して水分率を5
    5%前後に調整し、水分率を一定に保持しながら繊維質
    を分解させ、繊維分解がほぼ終了した堆肥原料の水分率
    を20〜30%に調整することによって得られる枝葉材
    堆肥であって、C/N比が15〜20であることを特徴
    とする枝葉材堆肥。
  5. 【請求項5】 堆肥原料に刈芝又は雑草が添加されてい
    ることを特徴とする請求項4記載の枝葉材堆肥
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