JP2000234166A - 真空蒸着装置 - Google Patents

真空蒸着装置

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JP2000234166A
JP2000234166A JP11032001A JP3200199A JP2000234166A JP 2000234166 A JP2000234166 A JP 2000234166A JP 11032001 A JP11032001 A JP 11032001A JP 3200199 A JP3200199 A JP 3200199A JP 2000234166 A JP2000234166 A JP 2000234166A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行中のフィルム表面に異なる元素からな
り、所定の組成比及び目標厚みを有する混合膜を、連続
的、且つ均一に形成できる真空蒸着装置を提供する。 【解決手段】 真空槽内を走行するフィルム17の表面
に異なる元素からなる混合膜を形成する蒸着装置であ
る。異なる元素に電子線を照射してフィルム表面に蒸着
させることによりフィルム17表面に混合膜を形成する
加熱手段4と、フィルム17上の混合膜にX線を照射す
るX線照射手段7と、X線照射手段7により励起された
特性X線の強度を測定して厚みに換算する厚み測定手段
と、測定された厚みデータを基に電子線の強度と電子線
の捜査時間と走行するフィルムの速度を制御する制御手
段と、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異なる元素からな
る混合膜が表面に形成された各種フィルム状製品の製造
に適する真空蒸着装置に関し、詳しくは、真空槽内を走
行するフィルム表面に異なる元素からなる混合膜を連続
的に且つ均一に形成するための真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空槽中を走行する高分子フィルムに薄
膜を蒸着・形成する方法として、例えば特開平2−23
6273号公報に記載されている方法がある。この方法
は、移動する高分子フィルムと直交する方向に、高分子
フィルムの幅方向を越えて対向、配置された横長の蒸発
源に、無走査電子銃から電子線を照射して加熱し、高分
子フィルム上に薄膜を形成させる。そして、電子銃から
電子線を照射する際、電子線が蒸着源の各位置で同じ入
射角度になるように磁界を制御して行うようになってい
る。
【0003】しかしながら、この方法では蒸着した膜厚
をモニタする手段が無いため、例えば、真空槽の真空度
が変化したり、蒸着材料の表面形状が変化するなどによ
り蒸着速度が変化した場合に、蒸着膜の厚みが変化して
一定しないという問題があった。又、この方法では、複
数の蒸着材料を同時に蒸着させて、これらの蒸着材料に
よる混合膜を高分子フィルム上に形成することはできな
い。
【0004】かかる問題を解決するために提案された真
空蒸着装置として、例えば、真空槽内の蒸着源を電子銃
で加熱した際の蒸発量の一部を検出する検出器と、この
検出器での検出値に基づいて前記蒸着源の出力を制御す
る手段とを備えた構造のものがある。
【0005】この方式の検出器は水晶振動子を備えてい
て、水晶振動子に蒸着膜が付着すると、膜厚に依存して
振動周波数が変動する原理を利用している。この真空蒸
着装置は、蒸着源からの蒸発量の一部を制御指標として
高分子フィルム上に製膜された薄膜の厚みを間接的に制
御する。
【0006】しかしながら、上述した検出器は種類の異
なる複数の蒸着源を有する場合には、検出した信号を各
々の成分情報に分解することができず、その結果、化学
組成比及び厚みの制御の精度が著しく低下するという問
題があった。又、間接制御であるために、例えば蒸着時
の蒸発ビーム方向が変わった場合には検出器の測定値と
実測値が合わなくなることもあった。更に、上記検出器
は検出器への総蒸着量の制限から、長時間の連続計測を
行う場合に、計測途中で検出器を切り替える等の対策が
必要となり、計測の信頼性にも問題があった。
【0007】かかる問題を解消した装置として、例えば
特開平1−208465号公報に記載の装置がある。こ
の装置は、蒸着後の基板上の蒸着膜に電子線を鋭角に入
射して特性X線を励起させるための電子銃と、この特性
X線の強度を測定する検出器と、この検出器での検出値
に基づいて各蒸着源の出力を制御する手段とを備える。
この装置では、蒸着薄膜の直接計測が可能であるため、
上述した装置に比べて製膜性は向上する。
【0008】しかしながら、上記特性X線はRHEED
(高エネルギー電子線)を蒸着膜に鋭角に入射すること
により励起されるため、蒸着薄膜のごく表層の情報しか
得ることができない。つまり、蒸着薄膜全体の情報が得
られるわけではないため、混合膜の組成比及び総厚みが
一定である蒸着膜を製膜する装置としては、十分な情報
が得られず問題であった。又、特性X線の励起源が高エ
ネルギー電子線であることから、照射された部分の蒸着
膜表面を破損するおそれもあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の有する問題点を解消し、走行中のフィルム表
面に異なる元素からなり、所定の組成比及び目標厚みを
有する混合膜を、連続的、且つ均一に形成できる真空蒸
着装置を提供することにある。
【0010】尚、本発明において「フィルム」とは、幅
及び長さに対して厚みの薄い形状の材料を総称するもの
とし、本来のフィルムのみならずシート状材料を含む概
念として用いる。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題は、請求項1記
載の発明により達成される。すなわち、本発明に係わる
真空蒸着装置の特徴構成は、真空槽内を走行するフィル
ムの表面に異なる元素からなる混合膜を形成する蒸着装
置において、異なる元素に電子線を照射してフィルム表
面に蒸着させることにより該フィルム表面に混合膜を形
成する加熱手段と、該フィルム上の混合膜にX線を照射
するX線照射手段と、該X線照射手段により励起された
特性X線の強度を測定して厚みに換算する厚み測定手段
と、測定された厚みデータを基に電子線の強度および電
子線の捜査時間と、走行するフィルムの速度を制御する
制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】一実施態様において、前記制御手段は、測
定した混合膜の厚みと目標値との偏差値を基に、前記蒸
着材料に照射する電子線の強度と電子線の捜査時間を制
御し、電子線のエネルギーが予め設定された許容量を越
えた時に限って走行フィルムの速度を制御するように構
成されていることを特徴とする。
【0013】この構成によれば、異なる種類の蒸着材料
から蒸発した蒸着成分により、走行フィルム表面に混合
膜が形成され、この混合膜から、直接、且つリアルタイ
ムで各成分毎の特性X線強度を測定できるので、かかる
測定値から各々の混合膜構成成分の厚みデータに換算・
出力でき、この厚みデータに基づいて制御手段により予
め設定された各成分の目標値と比較し、これらの偏差値
を求める等の処理が可能になり、かかる処理に基づいて
加熱手段をフィードバック制御することができ、所定の
化学組成を有し、且つ目標とする厚みの混合膜を高精度
にフィルム上に製膜できる。
【0014】さらに、蒸着速度に応じた走行フィルムの
速度制御が可能であるため、仮に加熱手段の制御量が一
定にもかかわらず、真空槽内の圧力上昇により蒸着速度
が大きく低下して目標の混合膜厚みが得られなくなった
場合でも、蒸着を停止させることなく蒸着を継続させる
ことができる。
【0015】しかも、蒸着された混合膜構成成分の厚み
データを検出するのにX線を照射するようにしているた
め、高エネルギー電子線の照射とは異なり、混合膜を破
損することがない。その結果、走行中のフィルム表面に
異なる元素の混合膜の組成比及び目標厚みを有する混合
膜を連続的、且つ均一に形成することができる。
【0016】前記X線照射手段は厚みを測定する混合膜
に対して垂直に照射することが好ましい。こうすること
で、励起される特性X線は混合膜の厚み方向全体の情報
として得ることができる。
【0017】前記X線照射手段、前記分光手段及び前記
測定手段を有する厚みモニタ装置は、測定する混合膜の
要求品質に応じてフィルム幅方向に等間隔で千鳥状に配
置させて測定するか、又は、フィルム幅方向に一列に等
間隔で配置させて測定することが好ましい。モニタ装置
を干鳥状に配置する方法は、モニタ装置の形状の制約を
受けないため、混合膜の全幅において多くの厚み情報を
同時に且つリアルタイムに計測できる。モニタ装置を一
列に等間隔で配置する方法は、装置が比較的安価であり
且つ混合膜の全幅を同時に且つリアルタイムに計測でき
る。又、測定された情報を基に測定点間の厚みを近似予
測することで制御性は向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照して詳細に説明する。
【0019】図1は、本実施形態における真空蒸着装置
の概略構造を示す。この真空蒸着装置は、フィルム状の
被蒸着材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)などの高分子フィルムが用いられる。その
他使用可能な高分子フィルムとしては、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン12、ナイロン4、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン等があげられ、高分子フィルムとして特に材料に限
定されるものではない。
【0020】真空槽6内に配設された巻き出しロール1
にセットされた高分子フィルム17は冷却ロール3上を
走行し、測定ロール5を通り、巻き取りロール2で巻き
取られる。真空槽6内の真空度は油拡散ポンプ(図示
略)等からなる排気系10により所定の真空度に維持さ
れる。
【0021】真空槽6の底部に、蒸着材料16を保持す
る保持手段の一例である坩堝9が配置されている。この
坩堝9は、加熱手段である電子銃4に向かって高分子フ
ィルム17の被蒸着面と平衡関係を保ちながら低速で移
動するようになっている。
【0022】つまり坩堝9は移動する高分子フィルム1
7に対して蒸着条件が一定に保たれるように、図1の電
子銃4に対して接近又は離間することにより(矢印X方
向)、坩堝9内に収納されている蒸着材料16を照射す
る電子線の照射条件(電子銃と電子材料との距離など)
ができるだけ一定になるように配置されている。
【0023】電子銃4は坩堝9に収納された蒸着材料1
6に対して電子線18を照射する。電子線18により加
熱・蒸発された蒸着材料の一部は冷却ロール3上を走行
する高分子フィルム17の被蒸着面に蒸着される。尚、
図中8は遮蔽板、20は冷却管である。
【0024】次に、真空槽6の上部に配置され、高分子
フィルム17の表面に蒸着された薄膜の厚みを測定する
ためのモニタ装置7について説明する。
【0025】このモニタ装置7には、膜構成成分から特
性(蛍光)X線を励起させるためのX線発生装置7aが
測定ロール5の周面に対して垂直に配置されている。X
線発生装置7aから、測定ロール5上を走行する蒸着後
の高分子フィルム17表面に対して略垂直に照射された
X線により励起された特性X線の一部は、測定ロール5
表面に対して30度の角度に配置された分光結晶板7b
に導かれ、この分光結晶板7bより波長が選択された
後、比例係数管7cに導かれる。比例計数管7cにより
一定間隔で連続的に計測された特性X線強度は、一定間
隔毎にアナログの電気信号に変換される。このアナログ
電気信号は、増幅器11にて増幅された後、アナログ/
デジタル変換器12にてデジタル信号に変換される。
【0026】デジタル信号に変換された特性X線強度は
厚み演算器13にて各々の元素での厚みに変換された
後、制御量演算器14に入力される。ここに前記モニタ
装置7、増幅器11、アナログ/デジタル変換器12、
厚み演算器13はオンライン制御手段を構成する。
【0027】制御量演算器14は、予め設定された各元
素の目標とする基準厚みデータと、入力された各々の測
定厚みデータとを比較して偏差値を求める。得られた偏
差値情報に基づいて、電子銃4を制御するために制御デ
ータが自動的に生成される。この制御データは、電子銃
制御装置15に送られる。電子銃制御装置15は、入力
された制御データに従って電子銃4の投入電力と電子線
の走査時間を制御する。電子線を制御する制御量が予め
設定された制御量上限値又は下限値のレベルを越えた場
合、制御量演算器14は予め走行フィルム17の走行速
度を変更させるための制御量を速度制御回路34に送
る。速度制御回路34は入力された速度データに従い、
モータ33の駆動を制御して走行フィルムの速度を変更
する。ここに制御量演算器14、電子銃制御装置15及
び速度制御回路34は制御手段を構成する。
【0028】
【実施例】(実施例1)以下に実施例を示す。
【0029】蒸着される高分子フィルム17として、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡
績(株)製、E5100:商品名)を用いた。
【0030】蒸着材料(蒸着源)として3〜5mm程度
の大きさの粒子状をした酸化アルミニウム(Al23
純度99.5%)と酸化珪素(SiO2、純度99.9
%)を用いた。これらの材料を保持する一個の坩堝は銅
製であり、底部に外形20mmΦの冷却用水冷管20を
設けた構造とした。冷却水の流量は略4m3である。
【0031】図2及び図3に示すように、この坩堝9内
には、蒸着材料をフィルム幅方向に対向して交互1列に
配置させるために、2mm厚みのカーボン製しきり板1
9を幅方向100mm間隔で配置させ、計8ブロックの
材料を収納できる構造とした。このしきり板19は、後
述する電子銃4の電子線18が各蒸着材料に入射される
角度と略等しい角度に傾斜して配置されている。しきり
板19で確保された各ブロックには、前記2種類の蒸着
材料を交互に均一に収容した。
【0032】図2および図3において、符号30は各し
きり板19を連結する連結板であり、一対の平行な連結
板30、30と複数のしきり板19とで格子状部材31
が形成され坩堝9の底に配置されている。そして隣接す
るしきり板19間にて蒸着材料(A1〜A4、S1〜S4)
を収容するブロック32が形成されている。中央側のし
きり板19は鉛直方向を向いており、端部側へいくにつ
れてしきり板19と鉛直線とのなす角度が増しており、
電子銃4から照射された電子線18がしきり板19で遮
蔽されるのを極力防いで各ブロック32内の蒸着材料
(A1〜A4、S1〜S4)を加熱できるようになってい
る。
【0033】電子銃4として、250kWのものをフィ
ルム幅方向に平行に配置した坩堝9に対面するように配
置した。この電子銃4により、坩堝9内に交互配置され
たSiO2が4ブロック、Al23が4ブロックの計8
ブロックの蒸着材料を蒸着させる仕様とした。この実施
例では1台の電子銃4を使用したが、坩堝9に投入する
総エネルギー量が一台で確保できない場合や広幅の高分
子フィルムを蒸着する場合などでは、複数の電子銃を使
用して、蒸着領域を分割する方法を採用してもよく、電
子銃の設置台数には特に限定されない。
【0034】蒸着中の真空槽内圧力は4×10-4Pa以
下を常時確保できるような排気系とした。具体的には、
50000L/秒の油拡散ポンプを真空槽底部に直接接
続する構造にした。尚、蒸着後の混合膜層の厚みは、測
定ロール5の略真上で、且つ高分子フィルム17の幅方
向の中央に配置されたモニタ装置7にて連続的に測定し
た。
【0035】次に、モニタ装置7を詳細に説明する。
【0036】まず、ロジュームのX線管7aに40k
V、50mAの電流を流して、測定ロール5上を走行中
のフィルム17に垂直に一次X線を照射した。この場
合、フィルム17上の蒸着膜(混合膜)に照射されるX
線は、コリメートされたΦ30mmの光束である。この
X線により励起された特性(蛍光)X線の一部は、混合
膜の測定位置から略等距離にあり、且つ測定ロール面5
に対して略30°の入射角度で配置された2個のフタル
酸水素タリウム分光結晶板7bに導かれる。2個の分光
結晶板7bはSiとAlの元素成分の特性X線波長に分
光する。これらの分光結晶板7bに導かれた特性X線
は、Alの波長である8.34Åと、Siの波長である
7.13Åに各々分光される。これらの選択された波長
が各々独立の比例係数管7cに導かれて、一定時間毎に
特性X線強度が計測される。
【0037】尚、X線強度を測定するセンサとして比例
計数管7c以外に珪素単体結晶にリチウムを注入拡散さ
せた半導体検出器等があるが、検出器は特に限定するも
のではない。また、本実施例では分光結晶板を用いた波
長分散方式としたが、2元素のエネルギー分布が明らか
に異なる2元素の材料を使用する場合は分光結晶板を使
わない非波長分散方式で行ってもよい。
【0038】ただし、AlとSiのように、エネルギー
分布が近似している2元素の混合膜から各々の厚みを高
精度に測定できる点で実施例に示した波長分散方式が好
ましい。
【0039】上記比例係数管7cにて計測された特性X
線強度は、以後の増幅器11により処理可能なレベルの
0V〜5Vまで増幅された後、アナログ/デジタル変換
器12にてデジタル信号に変換された。分解能は12ビ
ット(bit)である。変換されたデジタル信号は、厚
み演算器13により各元素毎の厚みデータに変換した。
変換法は厚みが既知である複数の蒸着サンプルでの蒸着
膜厚とX線強度の検量線を事前に作成しておき、この検
量線に基づいて厚みデータに変換する方法を採用した。
【0040】厚みモニタ装置7はフィルム17の幅方向
では各蒸着材料の略真上に配置できるように干鳥状に2
列に計8台を配置した。図6(a)にその配置例を示
す。各モニタ装置7の幅方向の間隔L1は100mmで
ある。尚、千鳥配置の間隔、配列数及び台数は蒸着フィ
ルム17の幅寸法や蒸着薄膜の要求品質に基づいて決定
すれば良く特に限定するものではない。
【0041】厚み演算器13で演算されて出力された厚
みデータは制御量演算器14に送られる。ここでは、厚
みデータに基づいて電子銃4の投入電力量と電子線の滞
在時間が計算される。これらの制御データは、実験にて
求められる各々の坩堝9での蒸発速度(蒸着厚みに相
当)と投入エネルギーとの関係式を基に計算した。
【0042】図4は坩堝9での投入エネルギーとフィル
ム堆積厚みとの関係を表したグラフである。図中、A
1、A2、A3、A4は坩堝中のAl23の各位置を示
し、S1、S2、S3、S4は坩堝中のSiO2の各位
置を示すもので、交互に異なる成分が隣接して、フィル
ムの幅方向に対向するように順次配置されている。
【0043】図4からわかるように、現在の厚みと目標
値との偏差値に相当するエネルギー量を現在値に加算ま
たは減算して出力することにより、目的の厚み及び組成
比に制御できる。但し、こらの材料に投入されるエネル
ギーは、同じ電子銃4から照射される電子線18が源で
あるために、実際は電子線の滞在時間を各々の坩堝に対
して変化させることにより各材料へ投入されるエネルギ
ーを分配できる。これらの関係式を次に示す。
【0044】tan=Pan/(ΣPa+ΣPs)×t0 ここに tan:酸化アルミニウム・ブロックnでの電子線走査
時間 Pan:酸化アルミニウム・ブロックnに投入するエネ
ルギー量 ΣPa:計4ブロックの酸化アルミニウムに投入する総
エネルギー量 ΣPS:計4ブロックの酸化珪素に投入する総エネルギ
ー量 t0:ハードウェアーに依存する時間定数(ms) 各蒸着ブロックから蒸発するガスの分布は坩堝9中の各
蒸着材料の蒸発特性を示す図5のa(酸化珪素・ブロッ
クからの蒸発成分)、b(酸化アルミニウム・ブロック
からの蒸発成分)に示すように、真上が最も強度が高
く、横に広がる程、強度が低下する分布を示す。この分
布強度及び形状は、電子ビームの強度、電子線が入射さ
れる角度、電子銃4と坩堝9までの距離および蒸発面積
に主に依存する。従って薄膜を形成するフィルムの幅方
向及び走行方向に組成比が同じで、且つ目標とする総厚
みが均一な膜を形成させるためには、蒸着材料の配置が
最も重要である。本実施例における材料の配置は、図
2、3に示す通りであり、電子銃4と最も近い坩堝9表
面までの距離を1000mmとした。尚、図中A、Sは
それぞれAl23、SiO2が収納されていることを示
す。また、図5中のcは、Al23とSiO2の混合膜
厚みであり、dは混合膜の組成比である。
【0045】蒸着材料は図3に示す薄いしきり板19で
材料を分割して配置した。
【0046】前述した条件にて高分子フィルム17の蒸
着を行った。フィルムの走行速度は300m/分で計2
0,000mを蒸着した。坩堝は電子銃方向に向かって
2mm/分の速度で移動させた(駆動装置は図示略)。
【0047】自動制御の効果を確認するために自動制御
を行った場合と、モニタ装置のみ動作状態として制御系
を切り離した場合とを比較した。尚、自動制御の制御周
期は30秒とした。その結果を表1に示す。
【0048】表1において、フィルム位置とは、フィル
ムの移動開始端部からの距離を示し、組成比とは、Al
23/SiO2(重量%)を示す。
【0049】
【表1】
【0050】自動制御を行わない場合にはフィルムの幅
および全長にわたる総厚み変動及び組成比変動が大きい
のに対して、自動制御を行うと、非常に安定な混合膜が
形成されることが判る。
【0051】(実施例2)蒸着中の真空槽内圧力を故意
に変化させながら電子銃のみの制御を行った場合と、電
子銃の制御とフィルム走行速度制御を併用した場合とを
比較した。その他の蒸着条件は実施例1と同じである。
その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】電子銃のみの制御では真空槽内の圧力が上
昇すると電子線のフォーカスが弱まり、蒸着速度が低下
する(付着量が低下する)ため、投入エネルギー量をさ
らに強める制御が加えられるが、さらに圧力が上昇する
と投入エネルギー等を加えても蒸着速度が変化しない現
象が生じる。このような理由でフィルム表面の薄膜の総
厚みが変動していることがわかる。
【0054】走行フィルムの速度制御を併用した制御で
は、圧力が変化しても上記電子銃のみの制御に比べて非
常に安定な厚みおよび組成比を有する膜が形成されるこ
とがわかる。
【0055】尚、フィルムの走行速度によって薄膜の膜
厚等を制御する方法においては、蒸着材料の蒸着速度と
フィルム走行速度が反比例関係にあることを利用して、
電子銃の投入エネルギー量が予め設定されたレベルを越
えたときにのみ目標の総厚みと現在値との偏差値から速
度制御量を算出して行った。
【0056】(別実施例の形態) (1)上記実施形態では、真空槽としていわゆる1チャ
ンバー式を用いた例を示したが、フィルム等の被蒸着材
料を走行する室と蒸着材料を加熱する室とを異なる減圧
状態にして真空蒸着を行う、いわゆる2チャンバー式の
装置にも本発明を適用できる。 (2)上記実施形態では、被蒸着材料の巻き出しロール
及び巻き取りロールを真空槽内に配置した例を示した
が、巻き出しロール及び巻き取りロールを、蒸着する真
空槽外に配置し、蒸着を高真空槽内で行う連続方式の装
置にも適用できる。 (3)上記実施形態では、フィルム状の被蒸着材料とし
て高分子フィルムを例に挙げたが、被蒸着材料としては
紙、布などでもよい。又、蒸着材料として、上記した酸
化アルミニウムと酸化珪素以外に、種々の元素、化合物
を使用することができ、更に2種以上の蒸着材料を用い
て2種以上の元素または成分からなる混合膜を形成する
ようにしても良い。 (4)上記実施形態では加熱手段を電子銃としたが、坩
堝を誘導加熱コイルにより加熱する蒸着装置にも適用で
きる。 (5)図6(b)に示すように、厚みモニタ装置7はフ
ィルム幅方向に一列に等間隔に計4台を配置してもよ
い。各モニタ装置7の幅方向の間隔L2は例えば、20
0mmとすることができる。 (6)単成分での蒸着を行う場合には、交互に配置する
坩堝のしきり板を除去して使用すればよい。
【0057】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば走行中
のフィルム表面に異なる元素の混合膜の組成比及び目標
厚みを有する混含膜を、フィルム幅方向および走行方向
に対して長時間連続的に、且つ均一に安定して形成でき
る真空蒸着装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる真空蒸着装置の概
略全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる真空蒸着装置に用
いる坩堝とその配置を説明する図である。
【図3】図2の坩堝の構造を説明する図である。
【図4】坩堝投入エネルギー量とフィルム蒸着速度との
関係を説明するグラフである。
【図5】各蒸着材料ブロックの蒸着特性を説明するグラ
フである。
【図6】モニタ装置の配置方法を説明する図である。
【符号の説明】
4 加熱手段 7a X線発生装置 7b 分光結晶板 7c 検出器 9 保持手段(坩堝) 16 蒸着材料 18 電子線 19 しきり板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊関 清司 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA64 DB05 DB12 DB13 DB14 DB21 EA00 EA01 JA10 KA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内を走行するフィルムの表面に異
    なる元素からなる混合膜を形成する蒸着装置において、 異なる元素に電子線を照射してフィルム表面に蒸着させ
    ることにより該フィルム表面に混合膜を形成する加熱手
    段と、 該フィルム上の混合膜にX線を照射するX線照射手段
    と、該X線照射手段により励起された特性X線の強度を
    測定して厚みに換算する厚み測定手段と、 測定された厚みデータを基に電子線の強度および電子線
    の捜査時間と、走行するフィルムの速度を制御する制御
    手段と、 を備えることを特徴とする真空蒸着装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、測定した混合膜の厚み
    と目標値との偏差値を基に、前記蒸着材料に照射する電
    子線の強度と電子線の捜査時間を制御し、電子線のエネ
    ルギーが予め設定された許容量を越えた時に限って走行
    フィルムの速度を制御するように構成されていることを
    特徴とする請求項1に記載の真空蒸着装置。
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