JP2000233462A - 表面多孔質親水性基体 - Google Patents

表面多孔質親水性基体

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JP2000233462A
JP2000233462A JP35797099A JP35797099A JP2000233462A JP 2000233462 A JP2000233462 A JP 2000233462A JP 35797099 A JP35797099 A JP 35797099A JP 35797099 A JP35797099 A JP 35797099A JP 2000233462 A JP2000233462 A JP 2000233462A
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porous
titanium oxide
hydrophilic substrate
coating layer
type titanium
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JP35797099A
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Shiro Ogata
四郎 緒方
Yoshimitsu Matsui
義光 松井
Hiroaki Takechi
弘昭 武智
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Tao Corp
Original Assignee
Tao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温で造膜することができ、紫外線照射によ
る光励起を生じさせない場合においてもその表面が優れ
た親水性を有し、耐候性や透明性に優れた表面多孔質親
水性基体を提供すること。 【解決手段】 基材に、アモルファス型過酸化チタン溶
液を70〜210℃で2〜15時間、好ましくは100
〜120℃で4〜10時間加熱することにより得られ
る、その表面が多孔質のアナターゼ型酸化チタン超微粒
子を含むゾルでコーティングした後、常温〜300℃、
好ましくは200〜300℃で、厚さ0.05〜3.0
μmに造膜し、超親水性を呈する多孔質コーティング層
を担持させ、表面多孔質親水性基体を調製する。基材が
有機高分子材料からなるときは、多孔質コーティング層
を難分解性バインダー層を介して基材に担持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、ガラス、レ
ンズ、鏡、金属、タイル、冷却板、合成樹脂パネル、シ
ート、繊維・不織布等の基材表面に親水性処理が施され
た、その表面が親水性作用を有する防露、防曇機能及び
光触媒作用を有する防汚機能を備えた表面多孔質親水性
基体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、眼鏡レンズ、浴室鏡、注射針等の
表面に親水性・防曇性等を付与するコーティング剤とし
ては、界面活性剤やポリビニールアルコール系樹脂の有
機系親水剤や、シリカ化合物に有機高分子樹脂を混合し
たシリコン系樹脂がよく知られている。また、光触媒能
を有するアナターゼ型酸化チタンTiO2とシリコン系
樹脂との混合物からなるコーティング剤をコーティング
し、紫外線照射時に親水性作用を発揮するといわれてい
る表面親水性基体も知られている。
【0003】例えば、特開平8−313705号公報に
は、物品表面に光触媒能を有する酸化チタンを主成分と
する層や白金を添加した光触媒能を有する酸化チタンを
主成分とする層を設け、その表面に発生した小さな水滴
を紫外線の存在下光触媒反応により分解し、曇りの原因
になる水滴が成長することをなくしたレンズ、鏡、窓、
ゴーグル等の防曇性物品が開示されている。
【0004】また、特開平8−119673号公報に
は、硬化性ケイ素樹脂溶液に、酸化錫及び酸化アンチモ
ンを主成分とする粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末
等からなる金属酸化物を配合したガラス用親水化処理剤
をガラス基板表面にコーティングし、次いで530〜7
00℃の温度で焼付硬化する親水化処理方法が開示され
ている。
【0005】また、特開平9−59041号公報には、
シリコーンの前駆体又は未硬化の若しくは部分的に硬化
したシリコーンからなる塗膜形成要素と半導体光触媒の
粒子とを溶媒中に均一に分散させ、基材に塗布し塗膜を
形成した後に光触媒を光励起したときに、光触媒の作用
により塗膜表面が水との接触角に換算して約10°以下
の親水性を呈する防曇性コーティング組成物が開示され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】親水性有機高分子樹脂
をコーテイングすることにより得られる親水性基板は、
水による親水機能成分の流出などにより、戸外での使用
や長期にわたる使用においてはその性能を維持すること
が難しく、また、界面活性剤を中心とする防曇溶剤を用
いた親水性基板は、水中バブリング等に対しては成分が
流出し、機能維持ができないという問題点があった。ま
た、シリコン系樹脂を親水性コーティング剤として用い
た場合、シリコン系樹脂面に生じる静電気により、大気
中の塵埃等が着塵し、その表面を黒く汚すという問題点
があった。
【0007】また、上記光触媒能を有するアナターゼ型
酸化チタンTiO2とシリコン系樹脂とからなる親水性
コーティング剤は、親水機能を発揮するためには紫外線
照射、すなわち光励起が必要とされており、紫外線が照
射されない場所に設置された場合には親水性機能が発揮
できないという実用上の不都合があった。
【0008】また、シリカ化合物を主体として光触媒機
能が付加された親水性基板は、コロイダルシリカをはじ
めとしたシリカを主体とするところから、実質的な膜強
度を得るためにはシリカ溶融温度の500℃以上に加熱
を行わなければならず、この温度に耐えられない例えば
軟化点の低い合成樹脂板等は使用することができず、使
用できる基材が制限されるという問題があった。また、
シリカ溶融温度以下での加熱では実質的な膜強度が得ら
れないため、特に戸外での使用性に問題があった。
【0009】本発明の課題は、低温で造膜することがで
き、紫外線照射による光励起を生じさせない場合におい
てもその表面が優れた親水性を有し、耐候性や透明性に
優れた表面多孔質親水性基体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、鋭意研究したところ、アモルファス型過酸化チタン
溶液を特定の条件下で加熱処理すると、超微粒子のアナ
ターゼ型酸化チタンの表面が多孔質となり、基材表面に
このアナターゼ型酸化チタンを含むコーティング剤を用
いて造膜すると、コーティング層が多孔質となって、こ
の多孔質コーティング層が光励起の有無に関係なく極め
て優れた超親水性を呈するのみならず、常温で成膜し得
るばかりか強い膜強度を有するなど成膜性にも優れてい
ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】すなわち本発明は、基材に、アモルファス
型過酸化チタン溶液の加熱処理物により造膜された、粒
子表面が多孔質のアナターゼ型酸化チタンを含む多孔質
コーティング層が担持されていることを特徴とする表面
多孔質親水性基体や、アナターゼ型酸化チタンを含む多
孔質コーティング層が、難分解性バインダー層を介して
基材に担持されている上記表面多孔質親水性基体に関す
る。
【0012】また本発明は、加熱処理が、70〜210
℃で2〜15時間、好ましくは100〜120℃で4〜
10時間の加熱処理であることを特徴とする上記の表面
多孔質親水性基体や、多孔質のコーティング層の厚み
が、0.05〜3.0μmであることを特徴とする上記
の表面多孔質親水性基体や、多孔質のコーティング層の
造膜温度が、常温〜300℃、好ましくは200〜30
0℃であることを特徴とする上記の表面多孔質親水性基
体や、多孔質コーティング層がスプレーコーティングに
より造膜されることを特徴とする上記の表面多孔質親水
性基体に関する。
【0013】さらに本発明は、アモルファス型過酸化チ
タン溶液を70〜210℃で2〜15時間加熱処理する
ことにより得られ、造膜後に、粒子表面が多孔質のアナ
ターゼ型酸化チタンを含む多孔質コーティング層を形成
することができる親水性コーティング剤に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における基材の材質として
は、セラミックス、ガラスなどの無機材質、プラスチッ
ク、ゴム、木、紙などの有機材質、アルミニウム、鋼な
どの金属材質を例示することができる。また、本発明に
おける基材の大きさや形には制限がなく、板状、フィル
ム状、ハニカム状、ファイバー状、濾過シート状、ビー
ズ状、発泡状やそれらが集積したものでもよい。さら
に、本発明における基材の適用形態としては、各種製品
・部材等の親水作用や光触媒作用が有利に適用できるも
のであればどのようなものでもよく、例えばタイル、窓
ガラス、ブロック、ユニットバス、照明器具等の建材
や、外壁、屋根、柱、窓、信号等の構築物や、自動車、
電車、ジェット機、クレーン等のボディー、内装壁など
輸送重機類を挙げることができる。
【0015】そして基材やその表面材質が、光触媒能に
より分解作用を受ける、アクリロニトリル樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、メチルメタクリレー
ト樹脂(アクリル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリウレ
タン樹脂等の有機高分子材質からなる基材や該有機高分
子材質からなる塗膜面である場合、かかる基材表面や塗
膜面をアナターゼ型酸化チタンによる光触媒分解作用か
ら防ぐために、アナターゼ型酸化チタンを含む多孔質コ
ーティング層との間に、下地層として難分解性バインダ
ー層を設けることが好ましい。
【0016】本発明における粒子表面が多孔質のアナタ
ーゼ型酸化チタンを含む多孔質コーティング層は、アモ
ルファス型過酸化チタン溶液を特定の加熱処理条件下で
加熱処理した粒子表面が多孔質のアナターゼ型酸化チタ
ンの微粒子を含むコーティング剤を基材表面に造膜する
ことにより形成することができる。かかるアモルファス
型過酸化チタン溶液の加熱処理条件としては、アモルフ
ァス型過酸化チタン溶液を70〜210℃で2〜15時
間、望ましくは、100〜150℃で4〜12時間の加
熱処理を挙げることができる。
【0017】かかる加熱処理条件以外の加熱、例えば、
加熱温度が低くあるいは加熱時間が少ないと、一部生成
したアナターゼ型酸化チタンの超微粒子の表面が多孔質
とはならず、かかる加熱処理物を用いて造膜したコーテ
ィング層も多孔質とはならないことから、親水性を十分
発揮することができない。また反対に、例えば加熱温度
が高くあるいは加熱時間が長すぎると、アナターゼ型酸
化チタンゾルの粘度が低下し造膜が困難になるばかり
か、アナターゼ型酸化チタンの超微粒子の表面が目的と
する多孔質とはならず、かかる加熱処理物を用いて造膜
したコーティング層も同様に目的とする多孔質とはなら
ないことから、親水性を十分呈することがない。なお、
加熱手段として、通常の加熱手段の他、マイクロ波(電
磁波)加熱手段を用いることもできる。
【0018】また、粒子表面が多孔質のアナターゼ型酸
化チタンを含む多孔質コーティング層を造膜する方法と
しては、スプレー法、ディップ法、スピンコート法等簡
便かつ安価な造膜法を用いて薄膜を作る方法を挙げるこ
とができる。多孔質のコーティング層の造膜温度は、常
温でも充分造膜することができるが、造膜強度を一層強
固にするには、造膜温度を200〜300℃にすること
が望ましい。このようにしてコーティング層を造膜する
と、コーティング層表面には、アナターゼ型酸化チタン
超微粒子の多孔質表面と、アナターゼ型酸化チタン超微
粒子同士の間隙からなる超微細孔が現出し、表面多孔質
コーティング層が形成されることになる。また、かかる
多孔質コーティング層(薄膜)の厚みとしては、親水性
付与という目的が達成しうる厚みであればどのような厚
みでもよいが、通常基材表面に0.05〜3.0μm、
望ましくは0.08〜2.5μm、特に0.1〜1.0
μmの範囲に造膜することが好ましい。
【0019】上記アモルファス型過酸化チタン溶液は、
一部アモルファス型酸化チタンを含んでいてもよく、こ
れらアモルファス型チタン酸化物は、紫外線によって光
励起して光触媒能を呈するアナターゼ型酸化チタンやル
チル型酸化チタンと異なり、光触媒機能は実質上殆どな
い。かかる光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チ
タン溶液としては、特開平9−71418号公報や特開
平9−262481号公報に記載されているアモルファ
ス型過酸化チタン溶液を具体的に挙げることができ、こ
のアモルファス型過酸化チタン溶液は成膜性、光触媒に
対する難分解性等の点から特に好ましく難分解性バイン
ダー層として使用することができる。
【0020】このアモルファス型過酸化チタン溶液は、
例えば次のようにして製造することができる。四塩化チ
タンTiCl4 のようなチタン塩水溶液に、アンモニ
ア水ないし水酸化ナトリウムのような水酸化アルカリを
加える。生じる淡青味白色、無定形の水酸化チタンTi
(OH)4 はオルトチタン酸H4TiO4とも呼ばれ、こ
の水酸化チタンを洗浄・分離後、過酸化水素水で処理す
ると、本発明のアモルファス形態の過酸化チタン液が得
られる。このアモルファス型過酸化チタン溶液は、pH
6.0〜7.0、粒子径8〜20nmであり、その外観
は黄色透明の液体であり、常温で長期間保存しても安定
である。また、濃度は通常1.40〜1.60%に調整
されているが、必要に応じてその濃度を調整することが
でき、低濃度で使用する場合は、蒸留水等で希釈して使
用する。また、このアモルファス型過酸化チタン溶液の
工業的な製法は、本発明者らによって確立されている
(特願平10−272782号参照)。
【0021】また、このアモルファス型過酸化チタン溶
液は、常温ではアモルファスの状態で未だアナターゼ型
酸化チタンには結晶化しておらず、密着性に優れ、成膜
性が高く、均一でフラットな薄膜を作製することがで
き、かつ、乾燥被膜は水に溶けないという性質の他に、
光触媒に対して安定であるという特性を有している。そ
して、このアモルファス型過酸化チタン溶液は、上記の
ように、特定の加熱処理、例えば70〜210℃で2〜
15時間、望ましくは、100〜150℃で4〜12時
間の加熱処理により、アナターゼ型酸化チタンゾルに変
化する。なお、アモルファス型過酸化チタン溶液を基材
にコーティング後乾燥固定したものは、200℃以上の
加熱によりアナターゼ型酸化チタンになる。
【0022】ゾル状の粒子表面が多孔質のアナターゼ型
酸化チタン、すなわち粒子表面が多孔質のアナターゼ型
酸化チタン超微粒子を含むゾルは、上記のように、アモ
ルファス型過酸化チタン溶液を特定の条件で加熱するこ
とにより製造できるが、粒子表面が多孔質のアナターゼ
型酸化チタンゾルの性状は加熱温度と加熱時間とにより
多少変化し、例えば100℃で6時間処理により生成す
る粒子表面が多孔質のアナターゼ型の酸化チタンゾル
は、pH7.5〜9.5、粒子径8〜20nmであり、
その外観は黄色懸濁の液体である。このアナターゼ型酸
化チタンゾルのゾル濃度は通常2.70〜2.90重量
%(乾燥固形分換算)に調整されているが、例えば、
1.5〜2.0重量%(乾燥固形分換算)等、必要に応
じてその濃度を調整して使用することもできる。
【0023】本発明において難分解性バインダー層の造
膜に用いられる難分解性バインダーコーティング液とし
ては、光触媒による分解作用から基体を保護することが
でき、かつ基体と光触媒層を結合することができるもの
であればどのようなものでもよく、前記アモルファス型
過酸化チタン溶液の他、例えば特開平7−171408
号公報に記載されている水ガラス、コロイダルシリカ、
ポリオルガノシロキサン等のケイ素化合物、リン酸亜
鉛、リン酸アルミニウム等のリン酸塩、重リン酸塩、セ
メント等の無機系バインダー(結着剤)フッ素化ポリマ
ー、シリコン系ポリマー等の有機系バインダーを含むコ
ーティング液を例示することができる。これら難分解性
バインダーコーティング液の中でも、上記アモルファス
型過酸化チタン溶液のように、優れた成膜性を有し、か
つ塗膜後に透明となるものが好ましい。
【0024】かかる難分解性バインダー層の具体例とし
ては、例えばバインダー機能をも兼ね備えているアモル
ファス型過酸化チタン溶液や、これとコロイダルシリカ
との混合物からなるコーティング剤を用いて、コーティ
ング後乾燥することにより造膜された、0.05〜1.
0μmの厚みの難分解性バインダー層を挙げることがで
きる。
【0025】本発明の表面多孔質親水性基体は、紫外線
の非照射時においても水との接触角10°以下という超
親水性を呈し、紫外線の照射時においては優れた親水作
用と光触媒作用を共に発揮する。また、本発明の表面多
孔質親水性基体は、耐薬品性や耐摩耗性に優れているこ
とから、戸外での使用や、水中バブリングにも充分耐え
ることができ、その親水性能を長期にわたって維持する
ことができる。また、本発明の表面多孔質親水性基体の
粒子表面が多孔質のアナターゼ型酸化チタンを含む多孔
質コーティング層の造膜成分として、紫外線遮断機能や
静電気放電防止機能を有する誘電体セラミックス材料や
導電性セラミックス材料を、必要に応じて含有せしめる
ことができる。
【0026】本発明の表面多孔質親水性基体は、ショウ
ケースガラス、浴室鏡、眼鏡レンズ、自動車のウインド
ウガラスやボディーに用いられ、それらの曇り防止、注
射針の体内注入時の刺激痛軽減、窓ガラス、天窓の結露
防止、浴室とユニットバスとの間や外壁と窓枠との間や
タイルとタイルとの間等のシリコン系シーリング材や油
性コーキング材等建材の汚れ防止などの優れた機能を発
揮する。また、本発明の表面多孔質親水性基体は、光励
起に応じて、ガラスやタイル等の無機材からなる基材表
面に付着した塵、油、垢等の汚染有機物を光触媒作用に
よって分解することができるので、外装建築材等に用い
ると特に有利である。
【0027】
【実施例】以下に、実施例を掲げてこの発明をさらに具
体的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの例
示に限定されるものではない。 参考例(アモルファス型過酸化チタン溶液の製造) 四塩化チタンTiCl4 の50%溶液(住友シティクス
株式会社)を蒸留水で70倍に希釈したものと、水酸化
アンモニウムNH4 OHの25%溶液(高杉製薬株式会
社)を蒸留水で10倍に希釈したものとを、容量比7:
1に混合し、中和反応を行う。中和反応後pHを6.5
〜6.8に調整し、しばらく放置後上澄液を捨てる。残
ったTi(OH)4 のゲル量の約4倍の蒸留水を加え十
分に攪拌し放置する。塩化銀でチェックし上澄液中の塩
素イオンが検出されなくなるまで水洗を繰り返し、最後
に上澄液を捨ててゲルのみを残す。場合によっては遠心
分離により脱水処理を行うことができる。この淡青味白
色のTi(OH)4 3600mlに、35%過酸化水素
水210mlを30分毎2回に分けて添加し、約5℃で
一晩攪拌すると黄色透明のアモルファス型過酸化チタン
溶液約2500mlが得られる。なお、上記工程におい
て、発熱を抑えないとメタチタン酸等の水に不溶な物質
が析出する可能性があるので、すべての工程は発熱を抑
えて行うのが望ましい。
【0028】実施例1 上記アモルファス型過酸化チタン溶液を100℃で5時
間加熱して、その超微粒子表面が多孔質であるアナター
ゼ型酸化チタンを製造した。このゾル状のアナターゼ型
酸化チタンの濃度を1.7重量%(乾燥固形分換算)に
調整し、造膜後に粒子表面が多孔質のアナターゼ型酸化
チタンを含む多孔質コーティング層を形成することがで
きる親水性コーティング剤(サンプル1)を調製した。
この親水性コーティング剤を、明治機械社製の直径0.
54mmの丸型吹き出しノズルを有するスプレーガンF
S−G05R−1を1Kg/cm3 のエアー圧で用い、
100×100mmのガラスの表面に塗膜の厚みが均一
となるようにコーティング(塗布量0.72g/100
cm2 )した後、温度300℃で30分間の造膜条件で
造膜し、本発明の表面多孔質親水性ガラス基体を調製し
た。
【0029】実施例2 上記アモルファス型過酸化チタン溶液を100℃で10
時間加熱して、その粒子表面が多孔質であるアナターゼ
型酸化チタンの超微粒子を含むゾルを製造した。このア
ナターゼ型酸化チタンゾルの濃度を1.7重量%(乾燥
固形分換算)に調整し、造膜後に、粒子表面が多孔質の
アナターゼ型酸化チタンを含む多孔質のコーティング層
を形成することができる親水性コーティング剤(サンプ
ル2)を調製した。この親水性コーティング剤を、明治
機械社製の直径0.54mmの丸型吹き出しノズルを有
するスプレーガンFS−G05R−1を1Kg/cm3
のエアー圧で用い、100×100mmのSUS板の表
面に塗膜の厚みが均一となるようにコーティング(塗布
量0.8g/100cm2 )した後、温度250℃で3
0分間の造膜条件で造膜し、本発明の表面多孔質親水性
SUS基体を調製した。
【0030】実施例3 100×100×2mmのポリカーボネート板の表面に
上記アモルファス型過酸化チタン溶液(乾燥固形分換算
で0.85重量%)を、明治機械社製の直径0.54m
mの丸型吹き出しノズルを有するスプレーガンFS−G
05R−1を1Kg/cm3 のエアー圧で用い、塗膜の
厚みが均一となるようにコーティング(塗布量0.4g
/100cm2 )した後、温度120℃で30分間の造
膜条件で造膜し、ポリカーボネート板表面に難分解性バ
インダー層を形成した。次いで、この難分解性バインダ
ー層の上に、実施例1の親水性コーティング剤(サンプ
ル1)を、明治機械社製の直径0.54mmの丸型吹き
出しノズルを有するスプレーガンFS−G05R−1を
1Kg/cm3 のエアー圧で用い、塗膜の厚みが均一と
なるようにコーティング(塗布量0.8g/100cm
2 )した後、温度120℃で30分間の造膜条件で造膜
し、本発明の表面多孔質親水性ポリカーボネート基体を
調製した。
【0031】(親水機能試験)実施例1〜3で調製され
た親水性基体上に、水道水0.1mlをスポイトにて1
cmの高さから滴下し、紫外線を照射せずに約10分間
放置後、基体上の水滴の接触角を接触角計CA−X型
(協和界面化学株式会社製)により測定したところ、そ
れぞれ2°、5°、8°を示し、本発明の表面多孔質親
水性基体は優れた親水性を有することがわかった。
【0032】(赤インクを用いた光触媒能試験)市販の
赤インク(パイロット株式会社製)を20倍希釈し、実
施例1〜3で調製された親水性基体表面に噴霧により塗
布し、360〜380nmの単波長を放出する20Wブ
ラックライトを10cmの距離から照射し、基体表面の
赤インクが消色するまでの時間を測定したところ、それ
ぞれ40分、60分、140分であり、本発明の表面多
孔質親水性基体は紫外線照射下では優れた光触媒能を示
すことがわかった。
【0033】実施例4 上記参考例記載の方法で調製されたアモルファス型過酸
化チタン溶液を100℃で4時間加熱して、その超微粒
子表面が多孔質であるアナターゼ型酸化チタンを製造
し、このゾル状のアナターゼ型酸化チタンの濃度を0.
85重量%(乾燥固形分換算)に調整して親水性コーテ
ィング剤(サンプル3)を作製した。また、上記アモル
ファス型過酸化チタン溶液を100℃で5時間加熱し
て、その超微粒子表面が多孔質であるアナターゼ型酸化
チタンを製造し、このゾル状のアナターゼ型酸化チタン
の濃度を1.7重量%(乾燥固形分換算)に調整したも
の50重量部と、上記(サンプル3)50重量部とを混
合して親水性コーティング剤(サンプル4)を作製し
た。上記(サンプル3)や(サンプル4)は、造膜後に
粒子表面が多孔質のアナターゼ型酸化チタンを含む多孔
質コーティング層を形成することができ、これら親水性
コーティング剤を、明治機械社製の直径0.54mmの
丸型吹き出しノズルを有するスプレーガンFS−G05
R−1を1Kg/cm3 のエアー圧で用い、あるいは浸
漬槽を用い、SUS304(#800バフ)表面に塗膜
の厚みが均一となるように以下の成膜条件でコーティン
グし、本発明の表面多孔質親水性SUS基体を作製し
た。 成膜条件: スプレー=0.05mg/cm2でスプレー後300
℃で30分間加熱 スプレー=0.2mg/cm2でスプレー後300℃
で30分間加熱 スプレー=0.3mg/cm2でスプレー後300℃
で30分間加熱 ディップ〜=1〜5回ディッピング後300℃で3
0分間加熱
【0034】(親水機能試験)上記(サンプル4)及び
(サンプル3)を用いて作製された本発明の表面多孔質
親水性SUS基体上に、水道水0.1mlをスポイトに
て1cmの高さから滴下し、紫外線(UV)非照射下で
48時間経過した後における接触角を接触角計CA−X
型(協和界面化学株式会社製)により測定した。結果を
表1に示す。また同様に、紫外線照射下における接触角
を測定した。結果を表2に示す。これらの結果から、デ
ィッピングしたものよりもスプレーしたサンプルの方が
接触角が小さく、また紫外線を短時間照射した場合は
(サンプル4)の方が接触角減少効果が大きかった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明によると、水との接触角10°以
下という超親水性を呈する、粒子表面が多孔質のアナタ
ーゼ型酸化チタンを含む多孔質コーティング層を低温で
基材上に造膜することができることから、特に戸外での
使用、すなわち建材、構築物への適用に優れている。ま
た本発明の表面多孔質親水性基体は、紫外線照射による
光励起を生じさせない場合においてもその表面が優れた
親水性を示すことから、屋内の窓ガラス、鏡等への適用
に優れている。さらに、本発明の表面多孔質親水性基体
を構成する多孔質コーティング層は、超親水性を呈する
他、紫外線照射下では優れた光触媒能を示し、また耐候
性や透明性に優れていることから、屋内外の種々の製品
基材上に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武智 弘昭 佐賀県藤津郡嬉野町下野丙1315−4 タオ 佐賀研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材に、アモルファス型過酸化チタン溶
    液の加熱処理物により造膜された、粒子表面が多孔質の
    アナターゼ型酸化チタンを含む多孔質コーティング層が
    担持されていることを特徴とする表面多孔質親水性基
    体。
  2. 【請求項2】 アナターゼ型酸化チタンを含む多孔質コ
    ーティング層が、難分解性バインダー層を介して基材に
    担持されていることを特徴とする請求項1記載の表面多
    孔質親水性基体。
  3. 【請求項3】 アモルファス型過酸化チタン溶液の加熱
    処理が、70〜210℃で2〜15時間の加熱処理であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の表面多孔質親
    水性基体。
  4. 【請求項4】 70〜210℃で2〜15時間の加熱処
    理が、100〜120℃で4〜10時間のアモルファス
    型過酸化チタン溶液の加熱処理であることを特徴とする
    請求項3記載の表面多孔質親水性基体。
  5. 【請求項5】 多孔質コーティング層の厚みが、0.0
    5〜3.0μmであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか記載の表面多孔質親水性基体。
  6. 【請求項6】 多孔質コーティング層の造膜温度が、常
    温〜300℃であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか記載の表面多孔質親水性基体。
  7. 【請求項7】 常温〜300℃の造膜温度が、200〜
    300℃であることを特徴とする請求項6記載の表面多
    孔質親水性基体。
  8. 【請求項8】 多孔質コーティング層が、スプレーコー
    ティングにより造膜されることを特徴とする請求項1〜
    7のいずれか記載の表面多孔質親水性基体。
  9. 【請求項9】 アモルファス型過酸化チタン溶液を70
    〜210℃で2〜15時間加熱処理することにより得ら
    れ、造膜後に、粒子表面が多孔質のアナターゼ型酸化チ
    タンを含む多孔質コーティング層を形成することができ
    る親水性コーティング剤。
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