JP2000233276A - 鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方法 - Google Patents
鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方法Info
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Abstract
盛溶接を行うことができる鋳鉄母材の高硬度金属多層肉
盛溶接方法を提供する。 【解決手段】 鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方法
において、Hを溶接入熱量[J/cm]とし、Iを溶接
電流[A]とし、Eを溶接電圧[V]とし、vを溶接速
度[cm/min]としたとき、H=60×I×E/v
で算出される溶接入熱量Hの値は初層において2000
を超え6000未満であり、上盛層において5000を
超える値に制限すると共に、初層の予熱温度又はパス間
温度を150℃以下、上盛層のパス間温度を350℃以
下に制限する。
Description
金属多層肉盛溶接方法に関し、特に、石炭又は骨材等を
粉砕する設備の磨耗部材の耐磨耗肉盛溶接及び補修肉盛
溶接に使用される鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方
法に関する。
磨耗部材は耐磨耗性が要求されることから、ニハード鋳
鉄又は高クロム鋳鉄の鋳造品部材が使用されている。こ
のような鋳造部品の耐磨耗性向上又は補修を目的とし
て、従来より高硬度金属による多層肉盛溶接が実施され
ていた。
性又は延性が低下して、多層肉盛溶接を行うと、剥離又
は欠けを生じ易いという問題点がある。これを防止する
ため、高硬度金属の多層肉盛溶接において溶接入熱量を
規制する方法が、特許第2518126号公報に開示さ
れている。
度溶接金属に微細な間隔で溶接割れを形成させて残留応
力を開放し、剥離又は欠けを抑制するものである。
2518126号公報に開示されている多層盛溶接施工
法では、過度の低入熱施工は溶接の能率性を著しく損な
うのみならず、融合不良又は溶け込み不足等の溶接欠陥
を発生させ、かえって高硬度金属の剥離又は欠けを助長
するという問題点がある。
であって、溶接入熱量を抑えることなく、高硬度多層肉
盛溶接を行うことができる鋳鉄母材の高硬度金属多層肉
盛溶接方法を提供することを目的とする。
高硬度金属多層肉盛溶接方法は、鋳鉄母材の高硬度金属
多層肉盛溶接方法において、Hを溶接入熱量[J/c
m]とし、Iを溶接電流[A]とし、Eを溶接電圧
[V]とし、vを溶接速度[cm/min]としたと
き、H=60×I×E/vで算出される溶接入熱量Hの
値は初層において2000を超え6000未満であり、
上盛層において5000を超える値に制限すると共に、
初層の予熱温度又はパス間温度を150℃以下、上盛層
のパス間温度を350℃以下に制限することを特徴とす
る。ここで、高硬度とは、ビッカース硬さで600以上
のことである。
皮にフラックスを充填してなるフラックス入りワイヤで
あって、金属外皮及びフラックスのいずれか一方又は双
方から添加される成分元素の合計がワイヤ全重量当た
り、C:2.0乃至7.0重量%、Si:3.5重量%
以下、Mn:1.5重量%以下、Ni:3.0重量%以
下、Cr:10.0乃至35.0重量%及びMo:6.
0重量%以下であるフラックス入りワイヤを使用するこ
とが好ましい。
ーク溶接、セルフシールドアーク溶接又はサブマージア
ーク溶接により施工することができる。
なく、剥離又は欠けのない高硬度金属の多層肉盛溶接を
することができる。
する。本願発明者等は以上の課題を解決するため鋭意研
究を行った結果、高硬度金属の多層肉盛溶接における上
盛金属の割れは初層に発生した溶接割れが連続して、成
長するものであり、上盛層の溶接においては割れを形成
させるためにあえて溶接入熱量を抑える必要がないこと
を見出した。
肉盛溶接方法における数値限定理由について説明する。
6000未満 初層の溶接金属に微細な溶接割れを形成するために、初
層の溶接入熱量Hの値は6000未満とする。初層の溶
接入熱量Hの値はより好ましくは4500以下とする必
要がある。一方、初層の溶接入熱量Hの値は少なくとも
2000以下では融合不良又は溶け込み不足が生じて剥
離又は欠けを引き起こす。好ましくは、初層の溶接入熱
量Hの値は3000以上とする。従って、初層の溶接入
熱量Hの値は2000を超え6000未満とする。更に
好ましくは、初層の溶接入熱量Hの値は3000以上4
500未満とする。
以下 初層の溶接金属に微細な溶接割れを形成するためには初
層の予熱温度又はパス間温度は150℃以下とする必要
がある。従って、初層の予熱温度又はパス間温度は15
0℃以下とする。
える 上盛層の溶接入熱量Hの値は、上盛金属の融合不良又は
溶け込み不足を防止するために、最低でも5000を超
える必要がある。より好ましい、上盛層の溶接入熱量H
の値は6000以上である。従って、上盛層の溶接入熱
量Hの値は5000を超えるものとする。更に好ましく
は、上盛層の溶接入熱量Hの値は6000以上である。
割れを形成するためには、上盛層のパス間温度は350
℃以下とする必要がある。従って、上盛層のパス間温度
は350℃以下とする。
り、鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接において、溶接
金属の剥離又は欠けを防止することができる。
7.0重量%、Si:3.5重量%以下、Mn:1.5
重量%以下、Ni:3.0重量%以下、Cr:10.0
乃至35.0重量%及びMo:6.0重量%以下 更に、溶接材料として、成分調整が比較的容易なフラッ
クス入りワイヤを使用し、フラックス入りワイヤ全重量
当たりの成分元素を制限することにより、鋳鉄母材の高
硬度金属多層肉盛溶接における溶接金属の剥離又は欠け
をより一層防止することができる。従って、フラックス
入りワイヤの化学組成は、C:2.0乃至7.0重量
%、Si:3.5重量%以下、Mn:1.5重量%以
下、Ni:3.0重量%以下、Cr:10.0乃至3
5.0重量%及びMo:6.0重量%以下とする。
層肉盛溶接方法の実施例について、本発明の範囲から外
れる比較例と比較してその効果を具体的に説明する。
フラックス入りワイヤを製作した。各ワイヤの化学成分
を表3乃至表5に示す。
て、供試母材として、高クロム鋳鉄を使用して、表6に
示す溶接条件に基づいて多層肉盛溶接を行った。なお、
肉盛層は、厚さが55mm、肉盛幅が150乃至160
mm、肉盛長さが400乃至410mmである。
点とし、肉盛溶接層の面を5mmピッチで30kgfの
荷重でビッカース硬さ(Hv)を測定した。このビッカ
ース硬さを肉盛断面硬度とした。なお、高硬度とは、H
v=600以上のことである。
り、融合不良の有無を検査した。なお、1層当たりの融
合不良発生個数で評価した。1層当たりの融合不良発生
個数が5個以下を◎とし、5乃至10個を○とし、10
個を超えるものを×とした。
製ハンマを速度6m/secの速度で30回、肉盛金属
の表面に衝突させた。試験後に、剥離又は欠けの発生の
有無を目視により評価した。これらの結果を表7乃至表
15に示す。
最大肉厚が7mmのオーステナイト系ステンレス(SU
S309)のことである。
の範囲内にある実施例No.1乃至27の高硬度金属多層
肉盛溶接方法においては、いずれも良好な結果を示し
た。
28乃至39の多層肉盛溶接法においては、いずれも良
好な結果を得ることができなかった。比較例No.28の
溶接方法は、初層の入熱が低いために初層に融合不良が
多く発生した。また、衝撃試験において、初層及び上盛
層に剥離又は欠けを生じ靭性及び延性が乏しかった。
に初層に融合不良が多く発生した。また、衝撃試験にお
いて、初層及び上盛層に剥離又は欠けを生じ靭性及び延
性が乏しかった。
が低いために初層及び上盛層に融合不良が多く発生し
た。また、衝撃試験において、初層及び上盛層に剥離又
は欠けを生じ靭性及び延性が乏しかった。
めに上盛層に融合不良が多く発生した。また、衝撃試験
において、上盛層に剥離又は欠けを生じ靭性及び延性が
乏しかった。
に初層及び上盛層に融合不良が多く発生した。また、衝
撃試験において、初層及び上盛層に剥離又は欠けが生じ
靭性及び延性が乏しかった。
熱が低く溶接を施工したため、初層に融合不良が多く発
生した。また、衝撃試験において、初層及び上盛層に剥
離又は欠けを生じ靭性及び延性が乏しかった。
盛層の入熱が高いために上盛層に融合不良が多く発生し
た。また、衝撃試験において、上盛層に剥離又は欠けを
生じ靭性及び延性が乏しかった。
盛層の入熱が低いために、初層においては良好な結果を
示したものの、上盛層に融合不良が多く発生した。ま
た、衝撃試験において、上盛層に剥離又は欠けを生じ靭
性及び延性が乏しかった。
合不良がなかったが、衝撃試験において、初層及び上盛
層ともに剥離又は欠けを生じ靭性及び延性に乏しかっ
た。
に初層に融合不良が多く発生した。また、衝撃試験にお
いては、初層及び上盛層に剥離又は欠けを生じ靭性及び
延性が乏しかった。
の入熱が共に低くく、また上盛層の初層及び上盛層に融
合不良が多く発生した。また、パス間温度が高いため
に、衝撃試験において、初層及び上盛層に剥離又は欠け
を生じ靭性及び延性が乏しかった。
いために、衝撃試験において、初層及び上盛層に剥離又
は欠けを生じ靭性及び延性が乏しかった。
することにより、溶接入熱を抑えることなく、靭性及び
延性に優れる高硬度金属多層肉盛溶接をすることができ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方法
において、 Hを溶接入熱量[J/cm]とし、Iを溶接電流[A]
とし、Eを溶接電圧[V]とし、vを溶接速度[cm/
min]としたとき、H=60×I×E/vで算出され
る溶接入熱量Hの値は初層において2000を超え60
00未満であり、上盛層において5000を超える値に
制限すると共に、初層の予熱温度又はパス間温度を15
0℃以下、上盛層のパス間温度を350℃以下に制限す
ることを特徴とする鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接
方法。 - 【請求項2】 溶接材料として、金属外皮にフラックス
を充填してなるフラックス入りワイヤであって、金属外
皮及びフラックスのいずれか一方又は双方から添加され
る成分元素の合計がワイヤ全重量当たり、C:2.0乃
至7.0重量%、Si:3.5重量%以下、Mn:1.
5重量%以下、Ni:3.0重量%以下、Cr:10.
0乃至35.0重量%及びMo:6.0重量%以下であ
るフラックス入りワイヤを使用することを特徴とする請
求項1に記載の鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方
法。 - 【請求項3】 ガスシールドアーク溶接により施工され
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳鉄母材の
高硬度金属多層肉盛溶接方法。 - 【請求項4】 セルフシールドアーク溶接により施工さ
れることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳鉄母材
の高硬度金属多層肉盛溶接方法。 - 【請求項5】 サブマージドアーク溶接により施工され
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳鉄母材の
高硬度金属多層肉盛溶接方法。
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JP03201599A JP3714815B2 (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 鋳鉄母材の高硬度金属多層肉盛溶接方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100892320B1 (ko) * | 2008-09-12 | 2009-04-08 | 주식회사 정원엔지니어링 | 내마모성이 우수한 다층 육성용접층 및 이를 이용한 미분기의 분쇄롤 및 회전판 |
WO2010090339A1 (ja) * | 2009-02-04 | 2010-08-12 | 新日本製鐵株式会社 | 硬化肉盛溶接複合ワイヤ、これを用いたシンターケーキ支持スタンド、及び下方吸引式焼結機 |
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CN103182618A (zh) * | 2011-12-28 | 2013-07-03 | 湖北三环车桥有限公司 | 辊锻模具堆焊制造修复工艺 |
CN110079725A (zh) * | 2019-05-21 | 2019-08-02 | 石家庄工业泵厂有限公司 | 一种超高耐磨过共晶高铬铸铁材料、制备方法及其应用 |
-
1999
- 1999-02-09 JP JP03201599A patent/JP3714815B2/ja not_active Expired - Fee Related
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