JP3038778B2 - 高硬度肉盛用溶接ワイヤ - Google Patents

高硬度肉盛用溶接ワイヤ

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JP3038778B2
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宥公 竹内
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、硬さがHv 600以上である高硬度の肉盛金属
を与える、ガスシ−ルドア−ク溶接用の溶接ワイヤに関
する。
【従来の技術】
たとえばパワ−シャベルのような建設機械のシャベル
先端部など、苛酷な条件で使用される機械部品は、高い
耐摩耗性と靭性とを兼ねそなえていなければならない。 従来、このような部品は、本体に強靭な鋼を使用し、
土砂に接触する部分に高硬度の金属を肉盛り溶接して耐
摩耗性を高めることによって製造されている。 この用途に向ける肉盛り溶接材の例として、「DS45
0」(大同特殊鋼のガスシ−ルドア−ク溶接用ソリッド
ワイヤ)を挙げると、その代表的な合金組成は、0.24C
−0.87Si−2.12Mn−2.23Cr−0.84Mo−0.36V−Feであっ
て、CO2ガスシ−ルドア−ク溶接により肉盛りした溶接
金属の硬さはHv 450〜550が限界である。 肉盛り溶接金属の耐摩耗性向上の要求は尽きないが、
現状では、硬さがHv 600以上で高い耐摩耗性を示す溶接
金属を与える肉盛用溶接ワイヤは無い。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような技術の現状を改善し、
肉盛り金属の硬さがHv 600以上であって耐摩耗性にすぐ
れている上に靭性も高く、かつ溶接時のスパッタ発生が
少なく、溶接割れの危険が小さい高硬度肉盛用溶接ワイ
ヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明の高硬度肉盛用溶接ワイヤは、基本的には、C:
0.40〜0.55%、Si:2.0〜3.0%、Mn:0.6%以下およびCr:
7.5〜9.5%を含有し、P:0.03%以下、S:0.03%以下であ
って、残部が実質的にFeからなる組成の合金で製造した
ものである。 この合金は、上記の基本組成に加えて、下記の添加元
素グル−プに属する成分の一または二を含有することが
できる。 イ) B:0.001〜2.5%、およびV:0.001〜2.5%の1種ま
たは2種 ロ) Mo:0.1〜8.5%、Ni:0.1〜2.5%およびW:0.1〜10.
0%の1種または2種以上
【作 用】
本発明において、溶接ワイヤの材料とする合金の組成
を上記のように定めた理由は、つぎのとおりである。 C:0.40〜0.55% 高い硬さと耐摩耗性を得るためには、ある程度の量の
Cを必要とする。一方、多量のCは割れの原因となる。
両者を調和させ得るのは、上記した狭い範囲である。 Si:2.0〜3.0% 溶接を安定させスパッタ量を低減するうえで、少なく
とも2.0%のSiの存在を要する。しかし、多すぎては溶
接金属の表面に孔が生じる傾向があり、3%を超える添
加は避けなければならない。 Mn:0.60%以下 脱酸剤として添加するが、合金材料を溶接用ワイヤに
伸線するときの冷間加工性を低くするので、0.6%以下
の添加に止める。 Cr:7.5〜9.5% 硬さを高め耐摩耗性を向上させるため、適量のCとと
もにCrが存在しなければならない。しかし、多量のCrは
Cと同様に溶接割れをひきおこすし靭延性を低下させる
ので、Crについても、適切な添加量として上記の範囲を
定めた。 P:0.03%以下、S:0.03%以下 ともに溶接割れを招き、靭延性を低下させる好ましく
ない不純物であって、上記の許容限界内になるよう材料
を精錬しなければならない。 B:0.001〜2.5% V:0.001〜2.5% これらの元素は組織を微細にして靭性を高めるととも
に、炭化物の形成により硬度の向上に寄与する。こうし
た結果は0.001%程度の少量の添加で認められるが、多
量に添加しても飽和するし、かえって割れをひきおこし
たり靭延性を低下させたりするから、いずれも2.5%を
上限とした。 Mo:0.1〜2.5%、Ni:0.1〜2.5%、W:0.1〜10.0% これらは肉盛り金属に耐食性を与えるとともに耐摩耗
性を向上させる。いずれも0.1%以上の添加で有効であ
るが、多量になると効果が飽和するので、それぞれの上
限以内の量をえらぶべきである。
【実施例】
表に示す組成の合金を溶製し、硬さHvおよび靭性uEo
(Uノッチつき試験片を0℃においてシャルピ−試験装
置にかけたときの破断エネルギ−値kgfm)を測定した。 各合金を、熱間圧延に続いて伸線することにより、直
径1.2mmまたは1.6mmのソリッドワイヤに加工した。これ
を使用して、つぎの条件で肉盛り溶接を行なった。 溶接法:MAG シールドガス:20%CO2+Ar 溶接金属部分の割れの有無を浸透探傷法により検査す
るとともに、スパッタ量をしらべた。続いてアブレッシ
ブ摩耗試験を行なって、0.5時間当りの摩耗量を測定し
た。前記の硬さHvと靭性uEoの積を計算して「K値」と
してあらわし、肉盛り合金の性能の目安とした。 以上の結果を、表にあわせて示す。
【発明の効果】
本発明の溶接ワイヤを使用することにより、硬さがHv
600以上であって耐摩耗性が高く、しかも靭性にすぐれ
耐食性も良好な肉盛り溶接が、低減されたスパッタ量と
低い溶接割れ危険性とをもって実現できる。 このワイヤを用いた肉盛り溶接は、はじめに例として
挙げた建設機械の部品をはじめとする、耐摩耗性と靭性
とをあわせ要求されるところに適用したとき、メンテナ
スの負担を軽減する。 本発明の溶接ワイヤは、実施例に示したMAG溶接に限
らず、TIG溶接やサブマ−ジ溶接にも使用できる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.40〜0.55%,Si:2.0〜3.0%,Mn:0.6%
    以下およびCr:7.5〜9.5%を含有し、P:0.03%以下、S:
    0.03%以下であって、残部が実質的にFeからなる組成の
    合金で製造した高硬度肉盛用溶接ワイヤ。
  2. 【請求項2】第1項に記載の成分に加えて、B:0.001〜
    2.5%およびV:0.001〜2.5%の1種または2種を含有す
    る組成の合金で製造した高硬度肉盛用溶接ワイヤ。
  3. 【請求項3】第1項に記載の成分に加えて、Mo:0.1〜8.
    5%,Ni:0.1〜2.5%およびW:0.1〜10.0%の1種または2
    種以上を含有する組成の合金で製造した高硬度肉盛用溶
    接ワイヤ。
  4. 【請求項4】第1項に記載の成分に加えて、B:0.001〜
    2.5%およびV:0.001〜2.5%の1種または2種と、Mo:0.
    1〜8.5%,Ni:0.1〜2.5%およびW:0.1〜10.0%の1種ま
    たは2種以上とを含有する組成の合金で製造した高硬度
    肉盛用溶接ワイヤ。
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CN114406522B (zh) * 2022-02-16 2023-08-11 首钢集团有限公司 一种热轧支撑辊堆焊修复用焊丝及其制备方法

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