JP2000231871A - 電子放出膜及び電界放出型冷陰極デバイス - Google Patents
電子放出膜及び電界放出型冷陰極デバイスInfo
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Abstract
する電子放出膜、同電子放出膜を用いた電界放出型冷陰
極デバイスを提供する。 【解決手段】電界放出膜はアモルファス炭素から基本的
になるマトリックスと、炭素の6員環の2次元的連なり
から基本的になるフラーレン様構造とからなる。フラー
レン様構造は、マトリックス中に分散されると共にマト
リックスから部分的に突出する。アモルファス炭素とフ
ラーレン様構造との重量比は約50:50〜5:95で
ある。アモルファス炭素はドナーとして作用する窒素を
約1×10 15cm-3〜10原子%の濃度で含有する。
Description
放出膜を用いた電界放出型冷陰極デバイス、並びにそれ
らの製造方法に関する。
ミッタとゲート電極(及び/またはアノード電極)とを
有し、エミッタと電極との間に電圧が印加されるとエミ
ッタから電子を放出する。この種の冷陰極デバイスは、
高速応答、耐放射線、耐熱性、大電流化等の可能性があ
ることから、多くの研究がなされている。例えば、本発
明者等の一部による特願平9−236046に開示され
るように、冷陰極デバイスは大電流且つ高電圧のスイッ
チングデバイスとしての可能性がある。
出の観点から、エミッタの材料として炭素系材料が注目
されている。これまで、エミッタの炭素系材料としてダ
イヤモンド、グラファイト、アモルファス炭素等が提案
され、数V/μm以下の低電界電子放出特性が報告され
ている。
ratunga 他)による文献 APL 68 (18) p.2529, 1996に
は、陰極アーク法によってSi基板上に形成したアモル
ファス炭素膜による低電界電子放出が開示される。ま
た、この文献には、アモルファス炭素中に窒素を含有さ
せることによって、電子放出しきい電界が低下すること
が開示される。このような低電界化は陰極アーク法で作
製した窒素含有アモルファス炭素膜(a−C:N)だけ
でなく、プラズマCVD法で作製した水素化アモルファ
ス炭素膜(a−C:N:H)においても同様に見出され
ている。
760(1998年6月2日)には、カーボンナノチュ
ーブ或いはフラーレンをエミッタ上に配設した冷陰極デ
バイスが開示される。更に、バーナード・コールによる
特開平10−112253(1998年4月28日)に
は、陰極アーク法により形成されたグラファイト構造の
膜を電子放出膜として用いた冷陰極デバイスが開示され
る。
記技術に比べて更に優れた電子放出、機械的強度及び加
工特性を有する電子放出膜、同電子放出膜を用いた電界
放出型冷陰極デバイス、並びにそれらの製造方法を提供
することを目的とする。
れば、電子放出膜が提供され、これは、アモルファス炭
素から基本的になり且つマトリックスを形成する第1部
分と、前記マトリックス中に分散されると共に前記マト
リックスから部分的に突出する、炭素の6員環の2次元
的連なりから基本的になる結晶構造を有する第2部分
と、を具備する。前記第1及び第2部分の重量比は約5
0:50〜5:95である。前記第1部分はドナーとし
て作用する不純物を約1×1015cm-3〜10原子%の
濃度で含有する。
おいて、前記不純物が窒素である。
の電子放出膜の製造方法が提供され、これは、成膜装置
を使用する。前記成膜装置は、被処理基板を収納するた
めの真空チャンバと、真空チャンバ内に対面して配設さ
れた炭素電極及び対向電極と、前記電極間に低周波の交
流パワーを印可するための電源と、前記炭素電極の近傍
に窒素を供給するための供給口と、を具備する。前記方
法は、前記真空チャンバ内に前記基板を配置すると共
に、前記真空チャンバ内を真空に設定する準備工程と、
前記供給口から窒素を供給すると共に前記電極間に前記
交流パワーを印可してアーク放電を発生させることによ
り、前記炭素電極から炭素を昇華させて前記基板上に前
記電子放出膜を堆積形成する成膜工程と、を具備する。
において、前記成膜工程において、前記交流パワーの周
波数が約10Hz〜500Hzに設定される。交流パワ
ーに代え、直流パワーを使用して上述の周波数でパルス
として印加してもよい。
視点の方法において、前記成膜工程において、前記ター
ゲット電極よりも前記基板に近くなるように配置された
排気口から、前記真空チャンバを排気する。
ずれかの視点の方法において、前記成膜工程において、
前記基板上の圧力が約1×10-4mbar〜1×10-1
mbarとなるように設定される。
ずれかの視点の方法において、前記成膜工程後、前記第
1部分を前記第2部分に対して優先的にエッチングする
エッチャントにより、前記電子放出膜の表面をエッチン
グする工程を更に具備する。
において、前記エッチャントがフッ酸を含む溶液を具備
する。
冷陰極デバイスが提供され、これは、支持基板と、前記
支持基板上に配設されたエミッタと、前記エミッタが第
1または第2視点の電子放出膜からなる電子放出面を有
することと、前記エミッタから電子を引出すための引出
し電極と、を具備する。
バイスにおいて、前記引出し電極が、前記エミッタと対
向するようにゲート絶縁膜を介して前記支持基板に支持
されたゲート電極からなり、前記ゲート絶縁膜がシリコ
ン酸化物から基本的になる。
視点の電界放出型冷陰極デバイスの製造方法が提供さ
れ、これは、前記支持基板、前記電子放出膜、前記ゲー
ト絶縁膜となるシリコン酸化物膜、及び前記ゲート電極
となる導電膜がこの順で重なる積層構造を形成する工程
と、前記エミッタに対応して前記導電膜の一部を除去
し、前記シリコン酸化物膜の選択部部分を露出させる工
程と、前記シリコン酸化物膜の前記選択部分をエッチャ
ントによりエッチングし、前記エミッタの前記電子放出
面を露出させると共に、前記エッチャントにより前記電
子放出面をエッチングする工程と、前記エッチャント
は、前記電子放出膜の前記第1部分を前記第2部分に対
して優先的にエッチングすることと、を具備する。
方法において、前記エッチャントがフッ酸を含む溶液を
具備する。
及びフラーレン様構造とは、以下のように定義される。
は、炭素の6員環を主体とする、炭素の5員環、6員環
及び7員環の2次元的連なり、即ちグラファイトシート
を殻とする球体或いは筒体状の立体構造からなる。図4
(a)は、フラーレンの一種であるナノチューブを示す
図である。また、複数のフラーレンが同心円状或いはス
パイラル状に何層も重なった図4(b)、図4(c)に
示すような構造もあり、これらはスーパーフラーレンと
呼ばれる。また、フラーレン様構造とは、フラーレン若
しくはスーパーフラーレン、或いはその一部であるシー
ト若しくは壁、即ち、炭素の6員環を主とした炭素原子
の2次元的連なりの結晶から形成された微小構造をい
う。
は、電界放出型冷陰極デバイスのエミッタの材料として
使用可能な炭素系材料に関して、種々の実験を行った。
その結果、本発明者等は以下に述べるような知見を得
た。
996に開示されるアモルファス炭素膜、特に窒素等の不
純物を含むこの種の膜は、冷陰極デバイスの作製プロセ
スで必要な耐薬品性が不充分であることが見出された。
具体的には、ゲート付き冷陰極デバイスを作製する際、
ゲート絶縁膜として一般的に用いられるSiO2 膜をア
モルファス炭素膜上に形成し、次に、SiO2 膜を選択
的にエッチングし、パターニングする必要がある。この
際、エッチャント、例えば緩衝フッ酸溶液にアモルファ
ス炭素膜も晒される。しかしながら、アモルファス系炭
素膜はこのエッチャントによって、著しくダメージを受
ける。
衝フッ酸溶液でエッチングした後の表面を示すSEM
(Scanning Electron Microscope)写真である。図15
図示の如く、エッチングにより膜面が不均一に剥離する
等ダメージを受けている。
開示される陰極アーク法により形成されたグラファイト
構造の膜は、フラーレン様微小構造のみを集めたような
組織を有することが見出された。即ち、膜組織の3次元
的な結合力が弱いため、冷陰極デバイスのエミッタの材
料として十分な機械的強度が得られない。また、膜の表
面をエッチング処理すると一様にエッチングされるた
め、膜の表面に電界放出用の凹凸を設け難い。
下で実施することにより、相当量のフラーレン様微小構
造が窒素含有アモルファス炭素内に分散した膜を形成す
ることができ、同膜が既提案の技術により形成された膜
に比べて更に優れた電子放出、機械的強度及び加工特性
を有することが見出された。
れた本発明の実施の形態について図面を参照して説明す
る。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成
を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説
明は必要な場合にのみ行う。
ための、差圧型ACアーク放電法を実施する成膜装置1
2を示す概略図である。
ための真空チャンバ14を有する。真空チャンバ14は
導電性ケーシング16により形成され、接地ライン18
を介して接地される。基板10の配置位置から数10c
m離れるように、真空チャンバ14内の一端には炭素か
らなるターゲット電極22が配設される。ターゲット電
極22に対向して棒状の対向電極24が配設される。対
向電極24はターゲット電極22に対して移動可能であ
り、電極22、24間の距離を調整することができる。
ターゲット電極22と導電性ケーシング16との間に低
周波の交流パワーを印可するため、交流電源26が配設
される。
口28を有する導管として形成され、その基端には給気
管32が接続される。給気管32は開閉バルブ及び流量
調整バルブ(図示せず)を介して窒素ガス源34に接続
される。対向電極24の出口、即ち窒素ガス供給口28
はターゲット電極22に向けて窒素ガスを吹出すように
配向される。また、基板10の配置位置の近傍において
真空チャンバ14には排気管36が接続される。排気管
36は開閉バルブ及び流量調整バルブ(図示せず)を介
して排気ポンプ38に接続される。なお、図1図中に点
線で示すようにターゲット電極22にガス供給路23を
形成して窒素ガス供給ノズルとして使用することもでき
る。
22の放電アークから炭素プラム(plume)42を形成
し、基板10の被処理面上に本発明に係る電子放出膜F
を堆積形成する。成膜プロセス時には、先ず、真空チャ
ンバ14内に基板10を配置すると共に、ポンプ38に
より真空チャンバ14内を例えば約2×10-5mbar
の真空に設定する。次に、ポンプ38により真空チャン
バ14内を排気しながら供給口28から窒素ガス噴出す
ると共に電極22、24間に交流パワーを印可してアー
ク放電を発生させる。このようにして、炭素プラム42
を形成してターゲット電極22から炭素を昇華させるこ
とにより、基板10の被処理面上に電子放出膜Fを堆積
形成する。
部分にだけ選択的に窒素ガス圧を高めることができる。
窒素ガス圧を高くして、アークを生じさせることは窒素
を含んだ活性な炭素プラムを得るのに有効である。一
方、このような高いガス圧は均一で緻密な膜を得るため
には不向きである。基板10の背部に排気口を設けるこ
とにより、基板10の近傍は低圧とすることができるた
め、基板10上に緻密で良好な電子放出膜を得ることが
できる。なお、望ましくは、成膜工程において、基板1
0上の圧力が約1×10-4mbar〜1×10-1mba
r、より望ましくは約1×10-3mbar〜1×10-2
mbarとなるように設定される。
は、入力エネルギーを変化させることにより、基板10
上にアモルファス炭素を堆積させる条件とフラーレン様
微小構造を堆積させる条件とを交互に提供するという役
割を果たす。従って、成膜工程において使用される交流
パワーは低周波でなくてはならず、望ましくはその周波
数は約10Hz〜500Hz、より望ましくは約20H
z〜100Hzに設定される。
用して本発明にかかる電子放出膜Fの付いた導電性基板
のサンプルSを形成した。成膜条件は次の通りである。
面を示すAFM(Atomic Force Microscope)写真であ
る。図2図示の如く、膜表面に後から付着したとみられ
るパーティクルを除けば膜表面はスムースで均一であ
る。図3は同電子放出膜の表面の微細構造を示すTEM
(Transmission Electron Microscope)写真である。図
3図示の如く、膜中には非常に高密度に結晶グラファイ
ト構造或いはフラーレン様構造の領域を観察することが
できる。図3示される規則な同心円状の多数の円は図4
(b)、図4(c)に示す断面に対応する。
ソード電極として用いて、電子放出膜Fの電界電子放出
特性を図5に示す態様で測定した。測定において、基板
10をAlスラブ52上に載置すると共に、スペーサ5
4(グラスファイバ製)を介してアノードプレート56
(ITO若しくはAlストリップガラス)を電子放出膜
Fに対向させ、真空中で両電極10、12間に電圧を印
加した。スペーサの直径は約70μm、真空度は1×1
0-7Torrとした。図6及び図7はこの測定により得
られた電子放出膜Fの電界電子放出特性を示す。図6及
び図7図示の如く、約320V付近から電流増加が観測
され、低電界での電子放出が確認できた。
0分間浸け、その表面をエッチングした。図8は緩衝フ
ッ酸エッチング後の電子放出膜Fの表面を示すAFM写
真である。図8図示の如く、本発明の電子放出膜Fで
は、窒素含有アモルファス炭素のみからなる膜で生じる
剥離等のダメージ(図15参照)は生じなかった。しか
し、微視的に見ると膜表面には微細なパターンが形成さ
れていることが分かった。
膜Fの表面の断面プロファイルをAFMで観察した結果
を示す図である。図10は同エッチング後の電子放出膜
Fの表面の微細構造を示すTEM写真である。図9及び
図10図示の如く、電子放出膜Fの表面の微細なパター
ンは極めて微細でしかも鋭い凸部からなるものであっ
た。更に、この膜の微細構造を詳細に観察したところ、
フラーレン様構造の壁が互いに溝を挟んで膜のマトリッ
クスから突出するように残置していることがわかった。
次のようなことを推測することができる。電子放出膜F
のマトリックスは、緩衝フッ酸溶液によりエッチングさ
れやすい窒素含有アモルファス炭素からなる。なお、マ
トリックス中に分散するフラーレン様構造には通常窒素
原子は殆ど含まれない。電子放出膜Fがこのような構造
をなすため、エッチングによりマトリックスが優先的に
削られ、フラーレン様構造が残ってマトリクスから突出
するような状態になる。
放出膜Fの電界電子放出特性も図5に示す態様で測定し
た。測定条件は図6及び図7に結果を示す先の測定と全
く同一とした。図11及び図12はこの測定により得ら
れた電子放出膜Fの電界電子放出特性を示す。図11及
び図12図示の如く、図6及び図7の結果より低い、約
230Vという電圧から電流増加が観測された。また、
電流の立ち上がりもより急峻にであった。この低電圧化
は前述のようにフラーレン様構造の微細なエッジが膜面
から突出することによってより高い電界集中を生じるた
めではないかと考えられる。
クスを形成する窒素含有アモルファス炭素と、フラーレ
ン様構造即ち炭素の6員環の2次元的連なりから基本的
になる結晶構造との比は、膜の電子放出、機械的強度及
び加工特性を決定する重要な要素となる。
が高すぎると、エッチングにより受ける膜のダメージが
大きくなる。図16はフラーレン様構造が低濃度に混在
する窒素含有アモルファス炭素膜を緩衝フッ酸溶液でエ
ッチングした後の表面を示すSEM写真である。図16
図示の如く、エッチングにより膜面が不均一に剥離する
等ダメージを受けている。また、窒素含有アモルファス
炭素の割合が高すぎると、マトリックスから突出するフ
ラーレン様構造が少なくなるため、膜の電子放出特性が
低下する。
と、膜組織の3次元的な結合力が弱いため十分な機械的
強度が得られない。また、膜の表面が一様にエッチング
されるようになるため、膜の表面に電界放出用の凹凸を
設け難くなる。
素とフラーレン様構造との重量比は約50:50〜5:
95、望ましくは約40:60〜20:80となるよう
に成膜条件を設定する。
マトリクスを形成する窒素含有アモルファス炭素におけ
る窒素の濃度も、膜の電子放出、機械的強度及び加工特
性を決定する重要な要素となる。
すぎると、マトリクスの抵抗率が高くなるため、膜の電
子放出特性が低下する。また、フラーレン様構造に対す
るエッチング選択性が低下するため、膜の表面に電界放
出用の凹凸を設け難くなる。
素における窒素の濃度は約1×10 15cm-3〜10原子
%、望ましくは約1×1020cm-3となるように成膜条
件を設定する。
物は窒素に限定されない。例えば、rリンのような、ア
モルファス炭素に対してドナーとして作用する不純物を
使用することにより、マトリックスの抵抗率の低下及び
エッチングの選択性の向上等の効果を得ることができ
る。また、フラーレン様構造に対してアモルファス炭素
を選択的にエッチングするエッチャントとしては、フッ
酸溶液に替えて酸素プラズマ等、他のエッチャントを使
用することができる。
放出膜を用いた電界放出型冷陰極デバイスの作製方法を
工程順に示す断面図である。
実施例1に示すような条件で、n+型Si基板62上に
本発明に係る電界放出膜64を形成する(図13
(a))。次に、電界放出膜64上にSi酸化膜66と
ゲート用金属膜68とをこの順で形成する(図13
(b))。次に、通常のPEP(フォトリソグラフィ・
エッチング・プロセス)によって金属膜68をパターニ
ングし、Si酸化膜66が露出する孔67を形成する。
次に、金属膜68をマスクとして緩衝フッ酸溶液でSi
酸化膜66をエッチングし、電子放出膜64の表面を露
出させる(図13(c))。この際、上述のように緩衝
フッ酸溶液により電子放出膜64の表面をエッチングす
るようにする。
極デバイスにおいては、Si酸化膜66からなるゲート
絶縁膜74の孔67に対応して露出する電子放出膜64
の一部がエミッタ72として機能する。即ち、このエミ
ッタ72は電子放出膜64からなる電子放出面を有す
る。また、ゲート絶縁膜74上に配設された金属膜68
からなるゲート電極76は、エミッタ72を囲む縁部を
有し、これが引出し電極として機能する。なお、基板6
2は支持基板兼カソード電極として機能する。
放出膜を用いた別の電界放出型冷陰極デバイスの作製方
法を工程順に示す断面図である。この作成方法は、所謂
転写モールド法を利用している。
ング等でモールドを形成し、これを熱酸化してSi酸化
膜84を形成する。次に、図1図示の成膜装置12を使
用し、実施例1に示すような条件で、Si酸化膜84上
に本発明に係る電界放出膜86を形成する(図14
(a))。これによりモールド内に電界放出膜86から
なるピラミッド型のエミッタ92が形成される。次に、
導電層(図示せず)を介して電界放出膜86に導電性基
板88を接着する(図14(b))。次に、モールド基
板82をエッチングし、Si酸化膜84で覆われたピラ
ミッド型のエミッタ92の先端を露出させる(図14
(c))。次に、モールド基板82をマスクとして緩衝
フッ酸溶液でSi酸化膜84をエッチングし、エミッタ
92の先端に位置する電子放出膜86の表面を露出させ
る(図14(d))。この際、上述のように緩衝フッ酸
溶液により電子放出膜86の表面をエッチングするよう
にする。
極デバイスにおいては、Si酸化膜84及びモールド基
板82が、夫々ゲート絶縁膜94及びゲート電極96と
して機能する。また、導電性基板88は支持基板兼カソ
ード電極として機能する。電子放出膜86からなるピラ
ミッド型のエミッタ92の先端は、ゲート絶縁膜94及
びゲート電極96に形成された開口から露出する。即
ち、このエミッタ92は電子放出膜86からなる電子放
出面を有する。図14(d)図示のデバイスは、形状的
に先端が尖がったエミッタ92を有するため、図13
(c)図示のデバイスに比べて更に電界電子放出特性が
良好となる。
イスの作製プロセスに不可欠な、緩衝フッ酸溶液等によ
るエッチングに膜が耐えることができる。このため、デ
バイスの設計をフレキシブルに行うことが可能となる。
また、膜自体の耐食性及び機械的強度が高いため、通常
の使用雰囲気下での腐食、剥離等のダメージが生じ難
く、デバイスの寿命や性能の低下を抑えることができ
る。また、エッチングにより膜の電子放出面における電
界集中度を上げることができ、より低電界での電子放出
を実現することできる。
装置を示す概略図。
FM(Atomic Force Microscope)写真。
TEM(Transmission Electron Microscope)写真。
図。
を示す図。
すグラフ。
示すAFM写真。
ルをAFMで観察した結果を示す図。
すTEM写真。
示すグラフ。
フ。
用いた電界放出型冷陰極デバイスの作製方法を工程順に
示す断面図。
用いた別の電界放出型冷陰極デバイスの作製方法を工程
順に示す断面図。
ッチング後の表面を示すSEM(Scanning Electron Mi
croscope)写真。
有アモルファス炭素膜の緩衝フッ酸エッチング後の表面
を示すSEM写真。
Claims (12)
- 【請求項1】アモルファス炭素から基本的になり且つマ
トリックスを形成する第1部分と、 前記マトリックス中に分散されると共に前記マトリック
スから部分的に突出する、炭素の6員環の2次元的連な
りから基本的になる結晶構造を有する第2部分と、を具
備し、前記第1及び第2部分の重量比が約50:50〜
5:95であり、且つ前記第1部分がドナーとして作用
する不純物を約1×1015cm-3〜10原子%の濃度で
含有することを特徴とする電子放出膜。 - 【請求項2】前記不純物が窒素であることを特徴とする
請求項1に記載の電子放出膜。 - 【請求項3】請求項2に記載の電子放出膜の製造方法で
あって、 前記方法は成膜装置を使用し、前記装置が、 被処理基板を収納するための真空チャンバと、 真空チャンバ内に対面して配設された炭素電極及び対向
電極と、 前記電極間に低周波の交流パワーを印可するための電源
と、 前記炭素電極の近傍に窒素を供給するための供給口と、
を具備し、 前記方法が、 前記真空チャンバ内に前記基板を配置すると共に、前記
真空チャンバ内を真空に設定する準備工程と、 前記供給口から窒素を供給すると共に前記電極間に前記
交流パワーを印可してアーク放電を発生させることによ
り、前記炭素電極から炭素を昇華させて前記基板上に前
記電子放出膜を堆積形成する成膜工程と、を具備するこ
とを特徴とする電子放出膜の製造方法。 - 【請求項4】前記成膜工程において、前記交流パワーの
周波数が約10Hz〜500Hzに設定されることを特
徴とする請求項3に記載の電子放出膜の製造方法。 - 【請求項5】前記成膜工程において、前記ターゲット電
極よりも前記基板に近くなるように配置された排気口か
ら、前記真空チャンバを排気することを特徴とする請求
項3または4に記載の電子放出膜の製造方法。 - 【請求項6】前記成膜工程において、前記基板上の圧力
が約1×10-4mbar〜1×10 -1mbarとなるよ
うに設定されることを特徴とする請求項3乃至5のいず
れかに記載の電子放出膜の製造方法。 - 【請求項7】前記成膜工程後、前記第1部分を前記第2
部分に対して優先的にエッチングするエッチャントによ
り、前記電子放出膜の表面をエッチングする工程を更に
具備することを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに
記載の電子放出膜の製造方法。 - 【請求項8】前記エッチャントがフッ酸を含む溶液を具
備することを特徴とする請求項7に記載の電子放出膜の
製造方法。 - 【請求項9】支持基板と、 前記支持基板上に配設されたエミッタと、前記エミッタ
が請求項1または2に記載の電子放出膜からなる電子放
出面を有することと、 前記エミッタから電子を引出すための引出し電極と、を
具備することを特徴とする電界放出型冷陰極デバイス。 - 【請求項10】前記引出し電極が、前記エミッタと対向
するようにゲート絶縁膜を介して前記支持基板に支持さ
れたゲート電極からなり、前記ゲート絶縁膜がシリコン
酸化物から基本的になることを特徴とする請求項9に記
載の電界放出型冷陰極デバイス。 - 【請求項11】請求項10に記載の電界放出型冷陰極デ
バイスの製造方法であって、 前記支持基板、前記電子放出膜、前記ゲート絶縁膜とな
るシリコン酸化物膜、及び前記ゲート電極となる導電膜
がこの順で重なる積層構造を形成する工程と、 前記エミッタに対応して前記導電膜の一部を除去し、前
記シリコン酸化物膜の選択部分を露出させる工程と、 前記シリコン酸化物膜の前記選択部分をエッチャントに
よりエッチングし、前記エミッタの前記電子放出面を露
出させると共に、前記エッチャントにより前記電子放出
面をエッチングする工程と、前記エッチャントは、前記
電子放出膜の前記第1部分を前記第2部分に対して優先
的にエッチングすることと、を具備することを特徴とす
る電界放出型冷陰極デバイスの製造方法。 - 【請求項12】前記エッチャントがフッ酸を含む溶液を
具備することを特徴とする請求項11に記載の電界放出
型冷陰極デバイスの製造方法。
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