JP2000230619A - ボールねじ装置のシール部材 - Google Patents

ボールねじ装置のシール部材

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JP2000230619A
JP2000230619A JP11034590A JP3459099A JP2000230619A JP 2000230619 A JP2000230619 A JP 2000230619A JP 11034590 A JP11034590 A JP 11034590A JP 3459099 A JP3459099 A JP 3459099A JP 2000230619 A JP2000230619 A JP 2000230619A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ねじ軸の全周に対して隙間なく均一に接触させ
て必要十分なシール効果を発揮し得ると共に、ねじ軸を
駆動する際の回転トルクの増加及び昇温をも抑えること
ができ、しかもナット部材に装着する際の取り扱いも容
易なボールねじ装置のシール部材を提供する。 【解決手段】ナット部材2の軸方向の両端に装着される
と共にねじ軸1の外周面に接触し、これらナット部材2
とねじ軸1との隙間を密封するシール部材4であって、
合成樹脂の薄板をリング状に形成すると共に、内周縁に
は上記ねじ軸1の外周面に弾性的に接触するシールリッ
プ部41を有し、かかるシールリップ部41は軸方向の
厚みが表裏両側から徐々に薄くなる尖塔状に形成すると
共に、上記ねじ軸1に接するシールリップ部41の先端
42は曲面状に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールを介してね
じ軸とナット部材とが螺合したボールねじ装置に使用さ
れ、かかるねじ軸とナット部材との隙間に外部から塵芥
等の異物が侵入するのを防止するシール部材に係り、特
に、合成樹脂製の薄板をねじ軸の外周面に弾性的に接触
させて異物の侵入を防止するタイプのシール部材の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】ボールねじ装置は、所定のリードで螺旋
状のボール転走溝が形成されたねじ軸と、ボールを介し
て上記ねじ軸に螺合するナット部材とから構成されてお
り、モータの回転運動を効率よく直線運動に変換し得る
ことから、工作機械等におけるテーブル送り機構として
広く使用されている。
【0003】このボールねじ装置においてはナット部材
が長尺のねじ軸に沿って移動していることから、ねじ軸
にワークの切削粉や塵芥等の異物が付着した状態でナッ
ト部材が移動すると、ボール転走溝を転動するボールが
これら異物を噛み込んでしまい、ねじ軸の回転に対する
ナット部材の移動精度が早期に低下してしまう。このた
め、ボールねじ装置を実際に使用するに当たっては、ナ
ット部材の軸方向の両端に該ナット部材とねじ軸との隙
間を密封するシール部材を装着し、ナット部材の移動に
併せてねじ軸に付着した異物を上記シール部材で除去す
るように構成するのが一般的である。
【0004】従来、この種のシール部材としては、実開
昭60−164158号公報や実開昭61−14295
2号公報に開示されたものが知られている。具体的に
は、耐摩耗性を有する合成樹脂製の薄板からなり、その
中心にはねじ軸が貫通する貫通孔が形成されている。か
かる貫通孔はねじ軸の軸方向断面の形状に合致して形成
されており、貫通孔の内周縁がシールリップ部としてね
じ軸の外周面に緊密に接触し、ねじ軸に付着した塵芥や
クーラント液等を該ねじ軸の表面から拭い取るように構
成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来のシ
ール部材は単に合成樹脂製の薄板に特定形状の貫通孔を
穿ったのみであり、シールリップ部として機能する貫通
孔の内周縁の断面形状に何ら注意をはらっていないこと
から、以下のような不具合があった。
【0006】すなわち、ねじ軸に形成されたボール転走
溝の断面は曲面状であるのに対し、ねじ軸に接するシー
ル部材の断面は矩形状であり、しかもボール転走溝には
所定のリード角が与えられていることから、図7(a)
〜(c)に示すように、ボール転走溝100に対するシ
ール部材101の当接の状態はねじ軸102の周方向に
沿って不均一なものとなり、シール部材101とねじ軸
102との間に隙間が発生し易くなり塵芥等の異物が除
去しきれないといった問題点があった。
【0007】また、従来のシール部材ではその内周縁の
断面形状が矩形状であることから、シール部材とねじ軸
の外周面とが面接触を生じ易く、ねじ軸の回転駆動に必
要なトルクが増加するといった問題点もあった。
【0008】更に、ボールねじ装置においてはボール転
走溝のリードに狂いが生じるのを防止するため、ねじ軸
の昇温による熱膨張を極力抑える必要があるが、前述の
ように従来のシール部材はねじ軸と面接触を生じ易く、
その分だけねじ軸に対して摩擦熱が流入し易いといった
問題点もあった。シール部材とねじ軸との接触面積を減
少させるためには、シール部材そのものを極めて薄く形
成すれば良いのだが、その場合にはシール部材の剛性も
低下してしまい、ねじ軸に付着した異物を効果的に除去
できない他、かかるシール部材をナット部材に装着する
際の取り扱いが面倒になってしまう。
【0009】また更に、ナット部材はねじ軸の回転方向
に応じて該ねじ軸上を往復運動することから、かかるね
じ軸に形成されたボール転走溝はその断面がゴシックア
ーチ状に形成されており、ボール転走溝の研削加工の都
合上、図7に示す如く、該ボール転走溝100の谷部に
は螺旋状の逃げ溝103が形成されてしまう。このた
め、シール部材101の内周縁の断面が矩形状に形成さ
れている場合、シール部材101は上記逃げ溝103の
内部にまでは入り込めず、逃げ溝103内に付着した塵
芥等がシール部材101をくぐり抜けてナット部材の内
部に侵入してしまうといった問題点もあった。
【0010】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、ねじ軸の全周に
対して隙間なく均一に接触させて必要十分なシール効果
を発揮し得ると共に、ねじ軸を駆動する際の回転トルク
の増加及び昇温をも抑えることができ、しかもナット部
材に装着する際の取り扱いも容易なボールねじ装置のシ
ール部材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ボ
ールを介してねじ軸とナット部材とが互いに螺合したボ
ールねじ装置に使用され、上記ナット部材の軸方向の両
端に装着されると共に上記ねじ軸の外周面に接触し、こ
れらナット部材とねじ軸との隙間を密封するシール部材
であって、ゴム又は合成樹脂の薄板をリング状に形成し
てなると共に、内周縁には上記ねじ軸の外周面に弾性的
に接触するシールリップ部を有し、かかるシールリップ
部は軸方向の厚みが表裏両側から徐々に薄くなる尖塔状
に形成されると共に、上記ねじ軸に接するシールリップ
部の先端は曲面状に形成されていることを特徴とするも
のである。
【0012】このような本発明のシール部材によれば、
ねじ軸の外周面に対して接触するシールリップ部は軸方
向の厚みが表裏両面から徐々に薄くなる尖塔状に形成さ
れ、しかも該シールリッブ部の先端は曲面状に形成され
ていることから、シール部材はボール転走溝以外のねじ
軸の外周面に対して常に線接触を生じる。また、シール
リッブ部は尖塔状に形成されており、その先端に形成さ
れた曲面の曲率はボール転走溝の曲面の曲率よりも極め
て小さいことから、かかるシール部材はボール転走溝の
内壁に対しても途切れることなく線接触を生じる。その
結果、本発明のシール部材はねじ軸の外周面の全周に対
して均一に線接触を生じ、シール部材とねじ軸との間に
隙間が生じるのを可及的に防止することができる。
【0013】また、このようにシール部材がねじ軸と均
一に線接触を生じるので、部分的にに面接触を生じてい
た従来のシール部材と比較してねじ軸との接触面積が減
少し、その分だけねじ軸の回転駆動に必要なトルクを低
減させ、且つ、ねじ軸の発熱を抑えることができるもの
である。
【0014】更に、シールリッブ部を尖塔状に形成して
いることから、シール部材それ自体は板厚をシールリッ
プ部よりも厚く設定することができ、シールリップ部の
剛性が向上してねじ軸に付着した異物を効果的に排除し
得る他、かかるシール部材をボールねじ装置のナット部
材に取り付ける際に、その取付作業を容易に行うことが
できるといった利点もある。
【0015】また更に、シールリップ部を尖塔状に形成
したことにより、かかるシールリップ部の先端がボール
転走溝内の逃げ溝の内部にまで入り込み易く、かかる逃
げ溝内に付着している塵芥やクーラント液等も効果的に
除去することができる。
【0016】本発明のシール部材においては、シールリ
ップの内径をねじ軸の外径よりも若干小さめに形成して
おき、ねじ軸に対する締代を設けることで、より緊密に
シールリップ部をねじ軸に当接させることができる。そ
の一方、締代を設けると、ねじ軸に対するシール部材の
摺接力が大きくなり、ねじ軸の回転駆動に必要なトルク
が増加する他、かかるねじ軸に流入する摩擦熱も大きく
なる。従って、かかる観点からすれば、リング状に形成
されたシール部材の円周上の一箇所を半径方向に切断
し、シール部材のねじ軸に対する押圧力の低減を図るの
が好ましい。このように構成すれば、シール部材とねじ
軸とを確実に接触させつつ、シール部材のねじ軸に対す
る過度の摺接を防止することができる。
【0017】また、シール部材の円周上を一箇所切断す
る際には、その切り口がボール転走溝のねじれ方向と同
一となるように切断するのが好ましい。このような方向
に沿ってシール部材を斜めに切断すれば、ねじ軸が回転
した際にシール部材の切り口が拡開せず、塵芥等がシー
ル部材の切り口からナット部材の内部に侵入するのを効
果的に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
のボールねじ装置のシール部材を詳細に説明する。図1
は本発明のシール部材が装着されるボールねじ装置の一
例を示すものである。同図において、符号1は所定のリ
ードで螺旋状のボール転走溝11が形成されたねじ軸、
符号2はボール3が組み込まれる無限軌道を備えると共
にボール3を介して上記ねじ軸1に螺合したナット部
材、符号4は上記ナット部材の軸方向の両端に装着され
る本発明のシール部材であり、これらねじ軸1とナット
部材2との相対的な回転により該ナット部材2がねじ軸
1の軸方向へ運動するように構成されている。
【0019】上記ナット部材2は上記ねじ軸1が貫通す
る円筒状に形成されており、その外周面には該ナット部
材2をテーブル等の可動体に固定するためのフランジ部
21が突設されている。また、このナット部材2の内周
面には上記ねじ軸1のボール転走溝11と相対向する螺
旋状の負荷転走溝22が形成されており、ボール3はこ
れらボール転走溝11と負荷転走溝22との間で荷重を
負荷しながら転走する。
【0020】一方、このナット部材2の内周面にはボー
ル3をねじ軸1とナット部材2との間で無限循環させる
ためのデフレクタ23が嵌合している。このデフレクタ
23はねじ軸1のボール転走溝11を1巻分だけ飛び越
えるようにナット部材2に固定されており、ねじ軸1の
ボール転走溝11を転走してきたボール3は該デフレク
タ23によって進路を変えられると共に、ねじ軸1の外
径を乗り越えて1巻分前のボール転走溝11に戻され、
これによってボール3がナット部材2内を無限循環する
ように構成されている。また、この実施例におけるナッ
ト部材2には該ナット部材2の円周を4等分するように
して4個のデフレクタ23が固定されており、ボール3
の無限軌道は全部で4条形成されている。
【0021】図2は上記ナット部材2に対するシール部
材4の装着状態を示す図である。かかるシール部材4は
摩擦係数の小さな合成樹脂(例えば、PTFE)の薄板
をリング状に形成したものであり、その中心には上記ね
じ軸1が挿通される貫通孔40が形成されている。この
シール部材4はナット部材2の端部にシール固定リング
5を装着することにより、かかるナット部材2とシール
固定リング5との間に挟持されるようになっている。す
なわち、ナット部材2の軸方向の端部には上記シール部
材4を収容するための凹所24が設けられる一方、上記
シール固定リング5にはナット部材2の凹所24に嵌合
するボス51が形成されており、固定ねじ52を用いて
シール固定リング5をナット部材2の端部に係合させる
と、図3に示すように、ナット部材2の凹所24とシー
ル固定リング5のボス51との間にシール部材4が挟み
込まれて固定される。
【0022】図4は上記シール部材4の形状の詳細を示
すものである。このシール部材4は板厚2mm程度に形
成されており、その中心の貫通孔40はねじ軸1の軸方
向断面と略同じ形状をなしている。すなわち、図4
(a)においてシール部材4の半径方向の幅が厚い箇所
1 はねじ軸1のボール転走溝11の内部に接し、半径
方向の幅が薄い箇所r2 はねじ軸1の最大外径部に接し
ており、これによってシール部材の内周縁がその全周に
わたってねじ軸の外周面に接するようになっている。
【0023】一方、リング状に形成されたシール部材4
の内周縁は上記ねじ軸1の外周面に弾性的に接触するシ
ールリップ部41となっており、図4にも示す通り、こ
のシールリップ部41はねじ軸1の軸方向に沿った厚み
がシール部材4の表裏両側から徐々に薄くなる尖塔状に
形成されると共に、その先端42は曲面状に形成されて
いる。
【0024】また、このシール部材4の内径はねじ軸1
の外径よりも若干小さめに設定されており、シール部材
4の貫通孔40にねじ軸1を挿通させると、上記シール
リップ部41がねじ軸1と緊密に接するようになってい
る。
【0025】もっとも、シール部材4のねじ軸1に対す
る摺接力が余りに強いと、ねじ軸1を回転駆動する際に
余分なトルクが必要となり、また、摩擦熱の発生によっ
てねじ軸1のリードが変動してしまうことから、このシ
ール部材4は図中の符号43の箇所において半径方向に
切断されており、シール部材4がねじ軸1に対して過度
に圧接しないように配慮されている。また、このように
円周方向の一箇所を切断することで、シール部材4をね
じ軸1に対して装着し易くなるといった利点もある。
【0026】更に、かかる切断面43はねじ軸1のボー
ル転走溝11のねじれ方向に沿って斜めに形成されてお
り、ねじ軸1が回転した際に該回転に連れ回されてシー
ル部材4が拡開しようとしても、シール部材4は切断面
43の面方向に沿って拡開することから、該切断面43
の間に隙間が生じることはなく、ナット部材2の内部に
塵芥等が侵入するのを効果的に防止することができるよ
うになっている。
【0027】図6は以上のように構成された本実施例の
シール部材4のボール転走溝11に対する当接の様子を
示すものである。前述の如くこのシール部材4ではシー
ルリップ部41が尖塔状に形成されていることから、図
6(a)〜(c)に示すように、かかるシールリップ部
41はボール転走溝11の内部のどの位置に当接しよう
とも常に均一な線接触を生じる。また、シールリップ部
41の先端42は図5に示すように曲面状に形成されて
いることから、図6(a)及び(c)の如く、ボール転
走溝11がシール部材4に対してその表裏いずれの側か
ら当接しようとも、シールリップ部41の先端は不断な
くボール転走溝11に接する。これにより、ナット部材
2とねじ軸1との完全に密封し、ねじ軸1に付着した塵
芥やクーラント液等がナット部材2の内部に侵入するの
を効果的に防止することができるものである。
【0028】更に、ねじ軸1に摺接するシールリップ部
41を尖塔状に形成したことから、かかるシールリップ
部41の先端の厚みを薄く設定しつつも、シール部材4
そのものの厚みt(図4参照)は大きく設定することが
できるので、その分だけシールリップ部41の剛性を高
めることができ、ねじ軸1に付着した塵芥やクーラント
液等の除去能力を高めることも可能となる。加えて、シ
ール部材そのものの剛性が高まるので、このシール部材
をナット部材に装着する際の取り扱いも容易になるもの
である。
【0029】一方、ボールねじ装置においてはナット部
材2がねじ軸1の回転方向に応じて該ねじ軸1上を進退
するため、かかるねじ軸1のボール転走溝11は二つの
ボール転走面が交わったゴシックアーチ状に形成されて
おり、これらボール転走面の研削加工の都合上から、上
記ボール転走溝11の底部には螺旋状の逃げ溝12が形
成されてしまう。従来のシール部材の如くシールリップ
部の先端が矩形状をなしていると、図7(b)に示した
ように、かかる逃げ溝103内に入り込んだ塵芥を除去
することは困難であるが、本実施例ではねじ軸1に接し
ているシールリッブ部41が尖塔状に形成されており、
その先端が極めて薄く形成されていることから、図6
(b)に示す如く、上記逃げ溝12内にもシールリップ
部41の先端が入り込み、かかる逃げ溝12内の塵芥が
ナット部材2の内部に侵入するのも防止することができ
るものである。
【0030】図8は、シールリップ部41が尖塔状に形
成された本発明のシール部材4と、シールリップ部が矩
形状に形成された従来のシール部材の双方に関し、ねじ
軸に付着させた塵芥(ダスト)がどの程度ナット部材2
の内部に侵入するかを確認した実験結果を示すものであ
る。双方のシール部材とも材質はPTFEであり、外径
44mm、内径32mmである。また、ねじ軸1の回転
数は100rpm、ナット部材2のストローク量は10
0mmに設定し、ねじ軸1の表面にはダストとしてグリ
ースを均一に塗布した。実験はシールリップ部の厚みを
変化させ、厚みの変化に応じてシールリップ部によるダ
ストの侵入量が変化するか否かを観察して行った。但
し、本発明のシール部材ではシールリップ部が尖塔状に
形成されていることから、曲面状に形成されたシールリ
ップ部の先端のRをシールリップ部の厚みとして記録
し、シール部材そのものの厚みはRの値にかかわらず常
に2mmとした。
【0031】この結果から明らかなように、従来のシー
ル部材ではシールリップ部の厚みが厚過ぎても、また薄
過ぎてもナット部材の内部に侵入するダストの量は増加
し、シールリップの厚みが1mm程度のときが最もシー
ル性能が向上した。これは、シールリップが厚くなり過
ぎると、かかるシールリップ部がねじ軸の外周面(特に
ボール転走溝)に均一に接触しなくなり、ねじ軸とシー
ル部材との間に隙間が生じる一方、薄くなり過ぎると、
シールリップ部の剛性が低下し、ダストの排除能力が低
下するためと考えられる。これに対し、本発明のシール
部材ではシールリップ部の先端のRが小さくなるにつ
れ、すなわちシールリップ部の先端の厚みが薄くなるに
つれ、ナット部材の内部に侵入するダストの量は減少
し、シール性能が向上していることが伺われる。これ
は、シールリップ部の先端が薄くなるにつれて該先端の
ねじ軸に対する接触がより均一なものとなり、しかもシ
ールリップ部の先端が薄くなってもシール部材そのもの
の厚みは変わらず、シールリップ部に適度な剛性を付与
することができるためと考えられる。
【0032】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のボー
ルねじ装置のシール部材によれば、そのシールリップ部
がねじ軸の外周面の全周に対して途切れることなく均一
に線接触を生じるので、シール部材とねじ軸との間に隙
間が生じるのを防止して塵芥がナット部材の内部に侵入
するのを効果的に防止することができる他、ねじを回転
駆動する際のトルクの増加及びねじ軸の昇温をも抑える
ことが可能となる。
【0033】また、シール部材それ自体の板厚を大きく
設定しつつも、ねじ軸に接するシールリップ部は薄く形
成することができるので、シールリップ部の剛性を高め
てシール能力の向上を図ることができる他、かかるシー
ル部材のナット部材に対する取付作業も容易なものとす
ることができる。
【0034】更に、尖塔状に形成されたシールリップ部
の先端がボール転走溝の底部に形成された逃げ溝の内部
にまで入り込むので、かかる逃げ溝内に付着している塵
芥やクーラント液等も効果的に除去することができ、こ
の点においてもナット部材の内部に塵芥等が侵入するの
を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシール部材が装着されるボールねじ
装置の一例を示す斜視図である。
【図2】 本発明のシール部材のナット部材に対する装
着状態を示す分解斜視図である。
【図3】 本発明のシール部材のねじ軸に対する摺接の
状態を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施例に係るシール部材を示す正面
図及び側面図である。
【図5】 実施例に係るシール部材のシールリップ部を
示す拡大図である。
【図6】 実施例に係るシール部材のボール転走溝に対
する摺接の状態を示す拡大断面図である。
【図7】 従来のシール部材のボール転走溝に対する摺
接の状態を示す拡大断面図である。
【図8】 本発明のシール部材と従来のシール部材との
双方に関してナット部材の内部へのダストの侵入性を比
較した実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ねじ軸、2…ナット部材、3…ボール、4…シール
部材、41…シールリップ部、42…シールリップ部先
フロントページの続き (72)発明者 坂本 雅一 山梨県中巨摩郡玉穂町中楯754、テイエチ ケー株式会社甲府工場内 (72)発明者 西村 健太郎 山梨県中巨摩郡玉穂町中楯754、テイエチ ケー株式会社甲府工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボールを介してねじ軸とナット部材とが
    互いに螺合したボールねじ装置に使用され、上記ナット
    部材の軸方向の両端に装着されると共に上記ねじ軸の外
    周面に接触し、これらナット部材とねじ軸との隙間を密
    封するシール部材であって、 ゴム又は合成樹脂の薄板をリング状に形成してなると共
    に、内周縁には上記ねじ軸の外周面に弾性的に接触する
    シールリップ部を有し、かかるシールリップ部は軸方向
    の厚みが表裏両側から徐々に薄くなる尖塔状に形成され
    ると共に、上記ねじ軸に接するシールリップ部の先端は
    曲面状に形成されていることを特徴とするシール部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のボールねじ装置のシール
    部材において、円周上の一箇所が半径方向に且つ上記ボ
    ール転走溝のねじれ方向に沿って斜めに切断されている
    ことを特徴とするシール部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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