JP2000230018A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JP2000230018A
JP2000230018A JP11030423A JP3042399A JP2000230018A JP 2000230018 A JP2000230018 A JP 2000230018A JP 11030423 A JP11030423 A JP 11030423A JP 3042399 A JP3042399 A JP 3042399A JP 2000230018 A JP2000230018 A JP 2000230018A
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polymerization
vinyl chloride
cooling water
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Hiroshi Fukuda
浩志 福田
Yoshihiro Umeda
佳裕 梅田
Akihiko Takahashi
明彦 高橋
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】還流凝縮器で重合反応中の全発熱量の50%以
上を除熱し、しかも該還流凝縮器への吹き上げを防止し
て、効率的な還流凝縮器でのコントロール方法による高
速高生産性重合を長期間維持するとのできる塩化ビニル
系樹脂の製造方法。 【解決手段】塩化ビニル単量体の単独重合又は塩化ビニ
ル単量体と共重合可能な他の単量体との塩化ビニル系樹
脂の共重合を、還流凝縮器を設けたジャケット付き重合
機を用いて懸濁重合により塩化ビニル系樹脂を製造する
方法において、該還流凝縮器の冷却水量を予め設定され
た流量パターンに従って制御しながら、重合機ジャケッ
ト部への冷却水量の調整により重合反応熱の除熱量をコ
ントロールすることで、該還流凝縮器での除熱量を安定
せしめ、さらに重合機ジャケット部における冷却水調整
バルブの弁開度のフィードバックによる該還流凝縮器の
冷却水量をも微調整することにより除熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化ビニル系樹脂の製造
方法に関し、詳しくは還流凝縮器の冷却水量のパターン
化により、重合反応熱の除熱量をコントロールすること
で安定した重合が行える懸濁重合法による塩化ビニル系
樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂の重合は発熱反応であ
ることが一般に良く知られている。塩化ビニル系樹脂を
懸濁重合方法で重合しようとする場合、その重合時間は
塩化ビニル系単量体の仕込量、重合開始剤の物性と仕込
量及び重合温度により決まる、この時単量体の仕込量及
び重合転化率が一定であれば重合時間の長短に関わらず
反応する単量体量が同じであるので全重合反応期間の全
発熱量は当然一定となる。生産効率を向上させるために
は、重合開始剤の仕込量を多くすることが一般的に行わ
れるが、それに伴い単位時間当たりの発熱量を増加す
る。この熱量を完全に除去できるように除熱量を増加さ
せることができれば、重合時間を短縮することが可能と
なり生産性が向上する。
【0003】しかしながら、重合機の容積が大きくなれ
ばなるほど容積に対する重合機ジャケットの熱交換伝面
積は当然小さくなり、容積が100m3以上の大型重合
機になると重合機のジャケットだけでは伝面積の割合が
小さくなるため、重合反応により発生する熱を完全に除
熱することができず重合温度を一定に保つことができな
いばかりでなく、内温上昇に伴い重合機内の圧力も高く
なり、最悪の場合暴走反応を引き起こすため大変危険で
ある。
【0004】そこで通常、重合機ジャケット以外の除熱
装置として、重合機内に設置するバッフルに冷却水を通
水する冷却バッフルが使用されている。しかし、冷却バ
ッフルでは伝熱面積を増加させようとするとバッフルの
本数を増加させたり、一本一本のバッフル伝面積を大き
くするためバッフルを大きくする必要がある、これは重
合機内部の流動状態に悪影響を与えることが容易に想像
されるばかりでなく、重合機内に突起物が増加する為ス
ケールの発生場所が増加することになる。
【0005】そこで、還流凝縮器を設置して重合機の除
熱能力を確保することが一般的に行われているが還流凝
縮器での除熱量は以下のような原因によりある割合以上
増加させることはできないことが知られていた。一般的
に塩化ビニル系単量体の懸濁重合を実施するに際して
は、水中で該単量体の液滴粒子を分散状態で安定させる
ために分散剤を添加して重合反応を実施する。
【0006】この分散剤としては、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース等のセルロースエーテル、ポリ
ビニルアルコール、部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリア
クリル酸エステル、ゼラチン、でんぷん等の水溶性高分
子が一般的に使用されている。
【0007】しかし、これらの物質を水中に添加し塩化
ビニル系単量体と混合撹拌しながら重合反応を実施する
と重合機内液が発泡することが知られている。この発泡
が継続すると最悪の場合、還流凝縮器の頂部まで泡が達
する吹き上げという現象が起こる。この吹き上げは、泡
と一緒に塩化ビニル系樹脂粒子を同伴し還流凝縮器の頂
部に塩化ビニル系樹脂が残留し伝熱面に付着したり、塩
化ビニル系単量体樹脂スケールの核となり該スケールを
成長させたりしてこの伝熱面の総括伝熱係数(U)を低
下させる。
【0008】Uが低下してしまうと伝熱面での熱交換の
効率が悪くなり、除熱可能量が低下してしまうので還流
凝縮器での除熱が出来なくなってしまい、結果的に重合
反応温度を一定に保つことが出来なくなり重合機内温が
上昇しそれに伴い内圧が上昇し大変危険である。
【0009】この発泡から吹き上げに至るプロセスは数
通り考えられる。還流凝縮器を設置した重合機を使用し
ての重合反応では、重合反応中還流凝縮器での除熱量を
重合反応中の総除熱量の30%未満に抑えることが一般
的である。これは、これ以上還流凝縮器での除熱量を増
加させると還流凝縮器での単量体の凝縮量が多くなり、
該単量体蒸気の還流凝縮器内での体積減少が大きくなる
ため、還流凝縮器及び重合機内気相部の圧力が下がり該
単量体の気相部への蒸発量が増加するため吹き上げが起
こる。
【0010】これを防止するために該還流凝縮器での除
熱量の割合は30%未満に抑える必要があった。又、温
度制御限界を超えたり、何らかのトラブルにより内温が
急激に上昇したような場合にもこの吹き上げが発生す
る。
【0011】以上のような吹き上げに関する問題の解決
方法として、現状では以下のように還流凝縮器を使用し
てその除熱量のコントロールを工夫する方法が提案され
ている。例えば、特開平7−252304号公報の様に
還流凝縮器を付設した重合反応缶を用いて揮発性液状単
量体の重合反応を行うに際し、重合反応缶ジャケットの
冷却水量の関数として還流凝縮器の冷却水量を制御し、
重合転化率が50%以上になったとき、発泡検知器によ
り、及び又は還流凝縮器の冷却水出口温度の下降速度の
変化により、発泡を検知し、還流凝縮器の冷却水量を抑
制することにより発泡を抑える方法。
【0012】また、特公平4−81601号公報の様に
コンデンサ除去熱量を制御変数として反応缶内温度を制
御する。缶内温度調節計出力をコンデンサ除去熱量調節
計の設定値として制御する。缶内温度調節計出力を反応
缶ジャケット温度調節計の設定値として制御しコンデン
サ除去熱量をプログラム制御する。コンデンサ除去熱量
調節計出力で冷却水調節弁を調節する。コンデンサ除去
熱量調節計出力をコンデンサ冷却水量調節計の設定値と
して制御し、コンデンサ冷却水温度調節計若しくはコン
デンサ冷却水量調節計の出力でコンデンサ冷却水調節弁
を調節する方法等が提案されているが、そもそも吹き上
げ現象は前述の通り還流凝縮器の冷却水量が急激に増加
若しくは、重合機内液温度の急上昇により発生する可能
性が高い、よって還流凝縮器の冷却水量や冷却水温度等
を様々なパラメーターにより制御するこれらの方法では
重合機内液温度や冷却水温度のぶれ、更にはコントロー
ルバルブ及び演算機の応答性やコントロール幅により還
流凝縮器の冷却水量の急激な流量変化が起こり吹き上げ
が発生する。
【0013】又、吹き上げ現象は急速に発生する現象で
あり泡検知器で検知されたときは既に還流凝縮器の上部
まで到達しており、泡検知器は通常の泡のレベル管理に
は有効かもしれないが吹き上げの対策にはなり得ない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記のような数々の問
題を解決するため、より安全性が高く、製品物性にもな
んら影響を与えずに生産性を向上させることができる効
率の良い還流凝縮器の運転方法を提供することを目的と
するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな先行技術が抱える数々の問題点を解決するために、
鋭意研究を行った結果、還流凝縮器で重合反応中の全発
熱量の50%以上を除熱するにも関わらず該還流凝縮器
への吹き上げを効率よく抑制することが可能となる効率
的な還流凝縮器でのコントロール方法を発明するに至っ
たものである。即ち本発明は、塩化ビニル系単量体の単
独重合又は塩化ビニル系単量体と共重合可能な他の単量
体との塩化ビニル系樹脂の共重合を、還流凝縮器を設け
たジャケット付き重合機を用いて懸濁重合により塩化ビ
ニル系樹脂を製造する方法において、該還流凝縮器の冷
却水量を予め設定された流量パターンに従って制御しな
がら、重合機ジャケット部への冷却水量の調整により重
合反応熱の除熱量をコントロールすることで、該還流凝
縮器での除熱量を安定せしめ、さらに重合機ジャケット
部における冷却水調整バルブの弁開度のフィードバック
による該還流凝縮器の冷却水量をも微調整することによ
り、該還流凝縮器への吹き上げ防止と冷却水量の急激な
変化を抑制し、しかも重合反応中に発生する全反応熱量
の50%以上を該還流凝縮器にて除熱することを特徴と
する塩化ビニル系樹脂の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、塩化ビニル単量体の単
独重合又は塩化ビニル単量体と、塩化ビニル単量体と共
重合し得る他の単量体との共重合に適用される。
【0017】本発明の方法で使用する重合機は、本発明
の目的である生産性の向上に有効である公知の重合機、
例えば通常のジャケット式、スパイラルジャケット式、
内部ジャケット式及び温調エレメント式等の冷却装置を
備えた重合機及び装置が使用できる。これら重合機の容
積に規制はないがジャケットの伝熱面積割合が小さくな
る大型重合機に使用することが好ましく、100m3
上の大型重合機への使用が好ましい。又、重合機に還流
凝縮器を設置したものであり、通常塩化ビニル系樹脂の
製造に使用可能なものであればどの様な型式の還流凝縮
器を使用しても構わないが、この還流凝縮器は重合機の
上鏡に直接設置する直結型がより好ましく用いられる。
攪拌翼に関しても特に限定はなく重合機内が効率よく攪
拌混合できるものであればどの様な形式でも構わない
が、底部設置の後退翼が好ましく用いられる。
【0018】本発明の方法で適用される重合方法は懸濁
重合、特に水性媒体を用いた懸濁重合に有効であり、用
いる重合触媒として通常塩化ビニルの重合に使用される
触媒、特に油溶性ラジカル開始剤が使用され、例えば、
ジ(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、
ジ(2−イソプロポキシエチル)パーオキシジカーボネ
ート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネ
ート、ジオクチルパーオキシジカーボネート等のパーカ
ーボネート類、ターシャリーブチルパーオキシネオデカ
ノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシネオデカノ
エート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオ
キシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエ
ート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ
ネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシピ
バレート等のパーエステル類、ラウロイルパーオキサイ
ド、ジイソブチルパーオキサイド、3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキ
サイド類、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,
2'-アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,
2'-アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロ
ニトリル等のアゾ化合物類等が例示され、これらは通常
行われているように単独若しくは数種類を組み合わせて
使用できる。
【0019】これら重合触媒は重合反応速度を均一化す
る為に組み合わせて使用し、ポンプで重合機に装入する
方法が推奨される。またこれらの触媒はそのまま使用し
ても良いし、水エマルジョン、水サスペンジョンにして
も使用でき、トルエン等の溶媒に溶解しても使用でき
る。
【0020】本発明の方法では、前述の通り通常塩化ビ
ニルの重合で使用されている公知の分散剤が使用でき、
これらを2種以上組み合わせて使用しても構わない。
【0021】各原料の仕込み順序はどの様な順番でもよ
く原料を一つずつ順番に仕込んでもよく、又場合によっ
ては2つ以上の原料を同時に重合機に仕込む同時装入を
使用して仕込み時間短縮を実施したり、更には原料のう
ち1つ以上を加温して2つ以上を同時に仕込むホットチ
ャージを使用して仕込み・昇温時間短縮を実施してもよ
く、その仕込み・昇温方法は何ら特定されるものではな
い。
【0022】本発明による還流凝縮器のコントロール
は、任意のタイミングで開始することが出来る。この開
始タイミングは、製造する銘柄により異なるためタイマ
ー等を使用して自由に変更出来るようにすることが望ま
しく、このタイマー等のスタート時期は昇温開始以降、
重合温度到達までの間が良く、好ましくは重合温度より
10℃低い温度から重合温度到達までの間、更に好まし
くは昇温完了(昇温操作の完了)から重合温度到達まで
の間に開始するのが好ましい、又当然ながらこのタイマ
ー等の設定値が0であっても何ら問題はない。
【0023】本発明の還流凝縮器の冷却水流量のパター
ン制御とは、還流凝縮器の冷却水量を重合反応器内温度
や還流凝縮器の冷却水温度等を制御変数として制御する
のではなく、予め設定しておいた冷却水量の増減パター
ンに従って冷却水量をコントロールすることである。
【0024】本発明の1例を具体的に示すと、還流凝縮
器の使用領域を3ゾーン以上の複数(以後nゾーンと略
称する)に分割し、第1ゾーンでは還流凝縮器の冷却水
量を0m3/hrから設定流量1まで一定の増加率で増
加させていき、第2ゾーン以降n−1ゾーンまでは、設
定流量1から設定流量2、設定流量2から設定流量3、
設定流量3から設定流量n−1へと還流凝縮器の冷却水
量を一定の増加率で増加若しくは一定の減少率で減少、
又は同一の設定流量で制御する。第n−1ゾーンは、液
滴として塩化ビニル系単量体が存在しなくなり重合反応
温度は一定であるが、重合反応圧力が保持できなくなる
下圧点で終了とし、最後の第nゾーンは、上記の下圧点
から還流凝縮器の冷却水量0m3/hrまで一定の減少
率で減少させていく。
【0025】更に詳細に還流凝縮器の冷却水量パターン
制御の説明を行う。第1ゾーンで還流凝縮器の冷却水量
を徐々に増加させるのは、昇温後重合反応速度が十分な
速さに到達しておらず外部から与えられた熱量で反応温
度を維持している状況で還流凝縮器で大きな熱量を除熱
してしまうと重合温度が維持できなくなるためである。
又、第nゾーンで還流凝縮器の冷却水量を徐々に減少さ
せていくのは、下圧以降液滴として単量体は存在してお
らず当然未反応の単量体は少なくなっていき、更には重
合開始剤の活性も失われてきて単位時間あたりの発熱量
が減少していく、よって還流凝縮器での除熱量(冷却水
量)を第n−1ゾーンと同じままにしておくと還流凝縮
器での除熱量が大きすぎ、かえって吹き上げの原因とな
る可能性が高いため、発熱量の減少に伴い還流凝縮器で
の単位時間あたりの除熱量もそれに合わせて減少させる
必要があるためである。
【0026】第nゾーンで冷却水量を0m3/hrまで
減少させていく時間は予想される下圧点から停止圧まで
の下圧時間よりも長くする。これは、単位時間あたりの
発熱量が減少していくとはいえ全く発熱が無くなるわけ
ではなく、通常単量体の製品への転化率は80から95
%であり、停止圧時でも5から20%の未反応単量体が
存在しており当然反応も継続しているためである。
【0027】以上の様に、還流凝縮器の冷却水量を決め
られたパターン通りに制御することにより、該還流凝縮
器での除熱量が急激に変動しないようにして、実際の重
合反応温度の制御は重合機内温を制御変数として重合機
ジャケットの冷却水量を制御することで、該還流凝縮器
に吹き上げを起こすことなく重合反応熱を効率よく除熱
することができる。
【0028】ここで、還流凝縮器の冷却水量のパターン
を求める方法の一例は、1.重合で消費される塩化ビニ
ル系単量体の量を塩化ビニル系単量体の仕込量及び重合
転化率より計算し、それから全重合反応熱量を求める。
2.重合機ジャケット及び還流凝縮器での単位時間あた
りの最大除熱量を計算し、この除熱量からジャケットで
の除熱コントロール分の除熱量及び還流凝縮器での除熱
量の安全率分を引いて除熱可能熱量を求める。3.中試
験重合機を使用した重合での除熱パターンから発熱パタ
ーンを推定し、このパターンから実機の発熱パターンを
想定する。4.この発熱パターンから還流凝縮器の冷却
水流量パターンを想定する。5.全重合発熱量と除熱可
能熱量から予想最短重合時間を求める。6.想定した冷
却水流量パターンを使用して重合を実施しながら微調整
を実施する。
【0029】ここで、当然ながら冷却水温や開始剤量は
バッチ毎に変化する可能性があるため、これらの変化に
対してパターンの微調整が必要となる。更に冷却水温度
が同一バッチの重合反応中外乱により変化するような場
合に対して、冷却水温度からジャケットと還流凝縮器の
単位時間あたりの除熱可能熱量を計算し冷却水量パター
ンに補正を加えるとより安定した温度コントロールが可
能となる。又、この補正に関しては重合機の運転コント
ローラーに予測制御として組込み自動的に実施すること
も可能である。
【0030】本発明において、重合初期及び下圧以降以
外の重合反応中を数ゾーンに分割するのは、重合開始剤
を1種類しか使用しない場合そのラジカルの発生量には
ピークが存在することが容易に予想され、それに伴って
発熱のピークが存在することも容易に予想される。この
発熱量の変化に対応するために、開始剤の10時間半減
期温度及び重合反応温度から発熱ピークを予想し還流凝
縮器の冷却水量を変化させる必要がある。発熱のピーク
で除熱量を最大にしてその後開始剤の活性低下と共に除
熱量を減少させていく必要があるので、ゾーンを分割す
る必要がある。
【0031】又、開始剤を2種類以上使用する場合には
10時間半減期温度の違う開始剤をそれぞれ使用するこ
とが一般的に行われている。これは各開始剤のラジカル
発生のピークにずれがあため、開始剤合計で見たときの
ラジカル発生量が平滑化できるためである。各開始剤の
仕込比率を調整することによりラジカルの発生量をきれ
いに平滑化することが可能である、それに伴って重合発
熱量も平滑化するためゾーンをあえて分割する必要はな
いが、もし重合反応後半開始剤の活性が低下し反応量が
少なくなる様な場合ゾーンの分割が必要となり、還流凝
縮器の冷却水量を低下させる操作が必要になると思われ
る。又、2種類以上の重合開始剤を使用した場合でも、
重合反応中発熱量にピークがあればそのピークに合わせ
てゾーンを分割する必要がある。
【0032】この様なパターン制御を実施して重合温度
が安定せずふらつきを起こすような場合のため、重合機
ジャケットの冷却水量調節弁の弁開度を制御変数とし
て、還流凝縮器の冷却水量の設定値を微調整することに
より、より安全に又効率的に本発明を実施することが可
能となる。
【0033】本発明による還流凝縮器の冷却水量のパタ
ーン制御において、重合機内温度の急上昇(ピーク)や
異常反応による急激な温度変化に対し、ジャケットでの
除熱量調整だけでは対応できない場合に備えて還流凝縮
器の冷却水流量調節弁にバイパスラインを設け、重合機
ジャケットの冷却水量調節弁の弁開度を制御変数とし
て、このバイパスラインの自動弁をコントロールさせる
ことも可能である。この様な設備を付帯させると異常時
の対応についてもある程度可能となり安全性が向上す
る。
【0034】更に本発明の効果を向上させようとする場
合、既に公知の技術である還流凝縮器の上部より適宜、
非凝縮性気体と塩化ビニル系単量体蒸気の混合気体を放
出するイナートパージ法を併用することが望ましい。こ
のイナートパージ法の実施形態に関しては、タイマー等
の設定により一定時間間隔で一定時間(急激な圧力減少
により還流凝縮器内に吹き上げが起こらないような放出
速度になるような弁開度で。)昇温完了から停止圧まで
の間実施しても構わないし、還流凝縮器のパターン制御
のゾーンが次のゾーンに移るたび毎に実施しても構わ
ず、既に公知となっている様々な技術を使用することが
可能である。
【0035】該還流凝縮器の取り付け基数に関しては、
一般的には1基であるが除熱能力の向上のため追加され
複数になる可能性もある。この様な場合、各還流凝縮器
間の除熱能力に差があるような時には、除熱能力の小さ
い方の還流凝縮器には一定流量を流しておいてもよく、
除熱割合の比率から冷却水流量の比を計算して除熱能力
が大きい方と同じパターンのパターン制御を実施しても
良い。
【0036】還流凝縮器での除熱割合を65%以上にす
ると総除熱量は1.4倍になり生産性を上げることが出
来る。更に、イナートパージを併用すると還流凝縮器で
の除熱割合を80%以上にすることが出来この時の総除
熱量はジャケットのみの場合の約2倍となり更に生産性
を向上させることが可能となる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明はこれらに限られるものではない。
尚、以下に示す実施例及び比較例は150m3の容量の
重合反応器を用いて本発明の吹き上げ防止効果が得られ
ることを示した。吹き上げ防止効果の確認は、重合機か
ら塩化ビニル系樹脂が排出され重合機及び還流凝縮器の
水洗後に重合機及び還流凝縮器の各マンホール若しくは
ハンドホールを開放して、内部を目視点検し塩化ビニル
系樹脂の有無を確認した。
【0038】実施例1 重合機上鏡に直結型還流凝縮器(シェルアンドチューブ
type)を設置し、底部に攪拌翼として3枚後退翼を
使用し、バッフルを攪拌軸を中心として対称位置に2枚
設置したジャケット付きの容積150m3の重合機に純
水51t、分散剤として鹸化度80モル%の部分鹸化ポ
リビニルアルコールを0.09重量部(塩化ビニルモノ
マー100重量部に対する重量部、以下同様)、塩化ビ
ニルモノマー57.9t及び重合開始剤としてジ(2ー
エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(60重量
%水エマルジョン)43kgとクミルパーオキシネオデ
カノエート(50重量%水エマルジョン)15kgをそ
れぞれ仕込み、系内を撹拌しながら重合温度57℃にて
重合を実施したところ、全重合反応熱量の70%を還流
凝縮器にて除熱することが出来た。
【0039】重合反応中の重合機内液温度は、重合反応
の終了(停止圧)まで重合機ジャケットにてコントロー
ルされた。この時、還流凝縮器の冷却水量のパターン
は、昇温完了時から5分後に還流凝縮器での除熱を開始
し、還流凝縮器の第1ゾーンの冷却水量のコントロール
は、ゾーン1の流量(240m3/hr)まで一定の割
合で45分かけて上昇させた。
【0040】本実施例は開始剤を2種類使用している
が、重合反応中は第2、3ゾーンの2つにゾーンを分割
した。第2ゾーンは、ゾーン2の流量(300m3/h
r)まで一定の割合で60分かけて上昇させ、第3ゾー
ンではゾーン2の流量を保ちながら下圧点まで約80分
コントロールした。第4ゾーンは、ゾーン4の流量(0
3/hr)まで240分かけて一定の割合で減少させ
ていったが、第4ゾーン開始から60分で停止圧の6k
g/cm2・Gとなったためここで重合反応終了とな
り、還流凝縮器のコントロールも終了させた。この実施
例の重合時間は4時間5分であった。
【0041】塩化ビニル系樹脂を重合機から排出し還流
凝縮器及び重合機の水洗終了後、還流凝縮器上部のハン
ドホールを開放しチューブ上部に塩化ビニル系樹脂が残
っていないか、又上部に付着していないかを確認したと
ころ残留物は全く見られなかった。更に重合機のマンホ
ールを開放して上鏡内部を確認したところ塩化ビニル系
樹脂の付着等全く見られなかった。以上の結果より、重
合中の発泡は抑制されていると考える。更にこの製品を
分析した結果、全ての項目においてその分析値が規格内
であり合格品であった。また、還流凝縮器の冷却水量コ
ントロールなど反応状況を図3に示す。
【0042】実施例2 実施例1と同様の重合機を使用して、この重合機に純水
55t、分散剤として鹸化度80モル%の部分鹸化ポリ
ビニルアルコールを0.037重量部、鹸化度70モル
%の部分鹸化ポリビニルアルコールを0.074重量
部、塩化ビニルモノマー52.2t及び重合開始剤とし
てターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート(4
0重量%水エマルジョン)45.9kgと3,5,5−
トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(50重量%水
エマルジョン)33.7kgをそれぞれ仕込み、系内を
撹拌しながら重合温度65℃にて重合を実施したとこ
ろ、全重合反応熱量の85%を還流凝縮器にて除熱する
ことが出来た。
【0043】重合反応中の重合機内液温度は、重合反応
の終了(停止圧)まで重合機ジャケットにてコントロー
ルされた。この時、還流凝縮器の冷却水量のパターン
は、昇温完了時から10分後より還流凝縮器での除熱を
開始し、還流凝縮器の第1ゾーンの冷却水量のコントロ
ールはゾーン1流量(200m3/hr)まで一定の割
合で60分かけて上昇させた。
【0044】本実施例は開始剤を2種類使用している
が、重合反応中は第2、3ゾーンの2つにゾーンを分割
した。第2ゾーンはゾーン2流量(260m3/hr)
まで一定の割合で60分かけて上昇させ、第3ゾーンは
ゾーン3流量(230m3/hr)まで一定の割合で2
00分かけて減少させていった所、100分後に下圧点
に到達したためここで第3ゾーンを終了し、第4ゾーン
へコントロールを進めた。第4ゾーンは、ゾーン4流量
(0m3/hr)まで240分かけて一定の割合で減少
させていった。第4ゾーン開始から60分で停止圧の8
kg/cm2・Gとなったためここで重合反応終了とな
り、還流凝縮器のコントロールも終了させた。この実施
例の重合時間は4時間40分であった。
【0045】又、本実施例では還流凝縮器での除熱効率
を向上させるためイナートパージを以下の通り実施し
た。昇温終了時に45秒間タイマーにより還流凝縮器内
のイナートガス(非凝縮性ガス及び一部塩化ビニル系モ
ノマー含む)を還流凝縮器上部よりパージを実施し、そ
の後停止圧に到達するまで40分毎に35秒間づつタイ
マーにより実施した。
【0046】実施例1と同様に、塩化ビニル系樹脂を重
合機から排出し還流凝縮器及び重合機の水洗終了後、還
流凝縮器上部のハンドホールを開放しチューブ上部に塩
化ビニル系樹脂が残っていないか、又上部に付着してい
ないかを確認したところ残留物は全く見られなかった。
更に重合機のマンホールを開放して上鏡内部についても
確認を実施したところ塩化ビニル系樹脂の付着等全く見
られなかった。以上の結果より、重合中の発泡は抑制さ
れていると考える。更にこの製品を分析た結果、全ての
項目においてその分析値が規格内であり合格品であっ
た。
【0047】実施例3 実施例1と同様の重合機を使用して、この重合機に純水
66t、分散剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースを0.0713重量部、鹸化度70モル%の部分鹸
化ポリビニルアルコールを0.1483重量部、塩化ビ
ニルモノマー38.8t及び重合開始剤として1,1,
3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエー
ト(40重量%水エマルジョン)104.8kgをそれ
ぞれ仕込み、系内を撹拌しながら重合温度45℃にて重
合を実施したところ、全重合反応熱量の65%を還流凝
縮器にて除熱することが出来た。
【0048】重合反応中の重合機内液温度は、重合反応
の終了(停止圧)まで重合機ジャケットにてコントロー
ルされた。この時、還流凝縮器の冷却水量のパターン
は、昇温完了時から還流凝縮器での除熱を開始し、還流
凝縮器の第1ゾーンの冷却水量のコントロールはゾーン
1流量(250m3/hr)まで一定の割合で40分か
けて上昇させた。
【0049】本実施例の開始剤は1種類であり、重合反
応中に発熱のピークが発生するため、重合反応中を2ゾ
ーンに分割したが重合温度が低く開始剤の活性が後半で
もかなり残っているので第3ゾーンでの除熱量の減少幅
は僅かにした。第2ゾーンはゾーン2流量(350m3
/hr)まで一定の割合で80分かけて上昇させ、第3
ゾーンはゾーン3流量(315m3/hr)まで一定の
割合で200分かけて減少させていった所、120分後
に下圧点に到達したためここで第3ゾーンを終了し、第
4ゾーンへコントロールを進めた。第4ゾーンは、ゾー
ン4流量(0m 3/hr)まで240分かけて一定の割
合で減少させていったが、第4ゾーン開始から70分で
停止圧の4.2kg/cm2・Gとなったためここで重
合反応終了となり還流凝縮器のコントロールも終了させ
た。この実施例の重合時間は5時間10分であった。
【0050】また、本実施例では還流凝縮器での徐熱効
果を向上させるためイナートパージを以下の通り実施し
た。昇温終了時に40秒間タイマーにより還流凝縮器内
のイナートガス(非凝縮性ガス及び一部塩化ビニル系モ
ノマーを含む)を還流凝縮器上部よりパージを実施し、
その後停止圧に到達するまで60分毎に25秒間づつタ
イマーにより実施した。
【0051】実施例1と同様に、塩化ビニル系樹脂を重
合機から排出し還流凝縮器及び重合機の水洗終了後、還
流凝縮器上部のハンドホールを開放しチューブ上部に塩
化ビニル系樹脂が残っていないか、又上部に付着してい
ないかを確認したところ残留物は全く見られなかった。
更に重合機のマンホールを開放して上鏡内部を確認した
ところ塩化ビニル系樹脂の付着等全く見られなかった。
以上の結果より、重合中の発泡は抑制されていると考え
る。更にこの製品を分析した結果、全ての項目において
その分析値が規格内であり合格品であった。
【0052】実施例4 実施例1と同様な条件にて重合を実施中、還流凝縮器の
運転開始から1時間20分後に冷却水温度が急に4℃上
昇したが、幸いコントローラーに冷却水流量補正プログ
ラムを組み込んでいたため、冷却水温度の上昇に併せて
各ゾーンでの目標流量を増加させることができたので、
重合温度がふらつくことはなく更に冷却水流量の急激な
変化もなく安定した重合が行われた。この時、第2ゾー
ンのゾーン2流量は340m3/hrに増加し、第3ゾ
ーンのゾーン3流量も340m3/hrとなった。その
他の重合状況は実施例1と同様であり同様な重合時間で
重合反応を終了させることができた。
【0053】塩化ビニル系樹脂を重合機から排出し還流
凝縮器及び重合機の水洗終了後、還流凝縮器上部のハン
ドホールを開放しチューブ上部に塩化ビニル系樹脂が残
っていないか、又上部に付着していないかを確認したと
ころ残留物は全く見られなかった。更に重合機のマンホ
ールを開放して上鏡内部を確認したところ塩化ビニル系
樹脂の付着等全く見られなかった。以上の結果より、重
合中の発泡は抑制されていると考える。更にこの製品を
分析した結果、全ての項目においてその分析値が規格内
であり合格品であった。
【0054】比較例1 還流凝縮器の冷却水量のコントロールを本発明のパター
ン制御から重合機内液温度を制御変数とする流量コント
ロール法に変更し、重合開始剤の仕込量を実施例1の7
割にした以外は実施例1と同様に行ったところ、吹き上
げ対策として還流凝縮器での除熱量を全重合発熱量の3
5%以下としたにも関わらず、重合反応前半及び下圧点
前後において還流凝縮器の冷却水量が大きくハンチング
した、それでも重合温度自体は目標温度±1℃で制御す
ることが出来た。しかしながら、還流凝縮器での除熱量
を全除熱量の35%以下に抑えるため重合開始剤の仕込
量を減らしており重合反応時間が実施例1と比較して約
1時間長くなった。
【0055】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例と同様に水洗完了後還流凝縮器上部
のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれぞ
れ内部の目視点検を実施した所、還流凝縮器の上部管板
上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダーがわ
ずかに付着し、一部には塩化ビニル系樹脂のスケールも
付着していた。このバッチの製品分析結果に関しては全
項目において規格内であり問題はなかったが、連続で生
産を実施する場合バッチ数が進むに従って還流凝縮器や
重合機上鏡に残留するパウダーが増加していき、次バッ
チに混ざり込むこと及びスケール付着によるUの低下等
が発生する可能性が高くなる。
【0056】比較例2 還流凝縮器の冷却水量のコントロールを本発明のパター
ン制御から重合機内液温度を制御変数とする流量コント
ロール法に変更した以外は実施例1と同様に行ったとこ
ろ、重合反応前半及び下圧点前後において還流凝縮器の
冷却水量が大きくハンチングしてしまい、その部分の重
合温度がふらついてしまった。又、下圧点前後に関して
は重合機内温度のふらつきが大きくなり重合機内温度が
約4℃上昇(この様な現象をピークという)した。反応
状況を図4に示す。
【0057】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例1と同様に水洗完了後還流凝縮器上
部のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれ
ぞれ内部の目視点検を実施した所、還流凝縮器の上部管
板上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダーが
大量に付着し、一部には塩化ビニル系樹脂のスケールも
付着していた。このバッチの製品分析結果に関しては重
合度が低く規格外となったがその他の項目については規
格内であった。しかしながら、連続で生産を実施する場
合還流凝縮器や重合機上鏡に残留したパウダーが次バッ
チに混ざり込むこと及びスケール付着によるUの低下等
が発生する可能性が高いことは明らかであり、次バッチ
以降の製品分析結果は規格内に入るかどうか疑問であ
る。
【0058】比較例3 還流凝縮器のコントロールを本発明による冷却水流量の
パターン制御から、除熱量を停止圧まで一定に保つカス
ケード制御に変更した以外は実施例1と同様に行ったと
ころ、還流凝縮器での除熱量を一定にしようとするため
に重合反応の進行とともにジャケット及び還流凝縮器の
冷却水流量は急激なハンチングを繰り返してしまい、還
流凝縮器での除熱量は単位時間あたりの反応熱量の60
%前後であったが、反応中の重合温度は目標値から±3
℃もブレテしまった。しかし重合反応を終了させること
はできた。
【0059】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例1と同様に水洗完了後還流凝縮器上
部のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれ
ぞれ内部の目視点検を実施した所、還流凝縮器の上部管
板上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダーが
大量に付着し、塩化ビニル系樹脂のスケールも大量に付
着していた。このバッチの製品分析結果に関しては重合
度が低く、更には粒子径分布がブロードであり粒子径が
規格はずれであり不合格となった。
【0060】比較例4 還流凝縮器の冷却水量のコントロールを本発明のパター
ン制御から重合機内液温度を制御変数とする流量コント
ロール法に変更した以外は実施例2と同様に行ったとこ
ろ、重合反応前半及び下圧点前後において還流凝縮器の
冷却水量が大きくハンチングしてしまい、その部分の重
合温度がふらついてしまった。
【0061】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例と同様に水洗完了後還流凝縮器上部
のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれぞ
れ内部の目視点検を実施した所、還流凝縮器の上部管板
上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダーが大
量に付着し、一部には塩化ビニル系樹脂のスケールも付
着していた。このバッチの製品分析結果に関しては全項
目において規格内であり問題はなかったが、連続で生産
を実施する場合還流凝縮器や重合機上鏡に残留したパウ
ダーが次バッチに混ざり込むこと及びスケール付着によ
るUの低下等が発生する可能性が高いことは明らかであ
り、次バッチ以降の製品分析結果は規格内に入るかどう
か疑問である。
【0062】比較例5 還流凝縮器の冷却水量のコントロールを本発明のパター
ン制御から重合機内液温度を制御変数とする流量コント
ロール法に変更し、重合開始剤の仕込量を実施例3の7
割にした以外は実施例3と同様に行ったところ、吹き上
げ対策として還流凝縮器での除熱量を全重合発熱量の5
0%としたにも関わらず、重合反応前半及び下圧点前後
において還流凝縮器の冷却水量が大きくハンチングし、
重合後半下圧点前に重合温度が上昇するピークが発生し
た。また、重合反応時間が実施例3と比較して約90分
長くなった。
【0063】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例と同様に水洗完了後還流凝縮器上部
のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれぞ
れ内部の目視点検を実施した所、還流凝縮器の上部管板
上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダーがわ
ずかに付着し、一部には塩化ビニル系樹脂のスケールも
付着していた。このバッチの製品分析結果に関しては重
合途中でピークが発生してしまったため重合度が低くそ
の他の物性に関しても一部規格外となっており不合格品
となった。なっており不合格品となった。
【0064】比較例1と同様な条件にて重合を実施中、
還流凝縮器の運転開始から1時間後に冷却水温度が急に
3.5℃上昇した、それによりジャケット及び還流凝縮
器の冷却水量が急激に変化し、それに伴い重合温度がふ
らつきだしピーク(5℃)が発生した。それでも還流凝
縮器での除熱量は30%をキープする事ができ、重合時
間は比較例1と同等であった。
【0065】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例1と同様に水洗完了後還流凝縮器上
部のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれ
ぞれ内部の目視点検を実施したところ、還流凝縮器の上
部管板上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダ
ーが大量に付着し、更に大量の塩化ビニル系樹脂のスケ
ールが付着していた。このバッチの製品分析に関しては
重合度が低く規格外となり、平均粒子径も大きく規格外
品となった。
【0066】
【発明の効果】塩化ビニル系単量体の重合において、還
流凝縮器での冷却水流量をパターン制御することにより
重合中の全重合発熱量の50%以上を除熱しても、還流
凝縮器での冷却水流量の急激な変動がないため、該還流
凝縮器への吹き上げを抑制することが可能となり、重合
反応中の発熱をより効率よく除熱することができ、高品
質の製品を効率よく生産することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における還流凝縮器の冷却水量をパター
ン制御する方法の一例を示したものである。
【図2】比較例における重合温度を制御する従来方法の
一例を示したものである。
【図3】実施例1における重合反応中の反応温度、圧
力、重合機ジャケット流量及び還流凝縮器流量の相関を
示したものである。
【図4】比較例2における重合反応中の反応温度、圧
力、重合機ジャケット流量及び還流凝縮器流量の相関を
示したものである。
【符号の説明】
1,重合機 2,重合機ジャケット 3,重合機ジャケット温度調節計 4,重合機ジャケット流量調節弁 5,還流凝縮器 6,還流凝縮器流量調節弁 7,還流凝縮器流量調節計 8,還流凝縮器除去熱量調節計 9,重合機内反応温度曲線 10,重合機内圧力曲線 11,重合機ジャケット冷却水流量曲線 12,還流凝縮器冷却水流量曲線
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月4日(1999.3.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】重合終了後製品塩化ビニル系樹脂を重合機
から排出し、実施例と同様に水洗完了後還流凝縮器上部
のハンドホール及び重合機のマンホールを開放しそれぞ
れ内部の目視点検を実施した所、還流凝縮器の上部管板
上及び重合機の上鏡に塩化ビニル系樹脂のパウダーがわ
ずかに付着し、一部には塩化ビニル系樹脂のスケールも
付着していた。このバッチの製品分析結果に関しては重
合途中でピークが発生してしまったため重合度が低くそ
の他の物性に関しても一部規格外となっており不合格品
となった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正内容】
【0064】比較例6 比較例1と同様な条件にて重合を実施中、還流凝縮器の
運転開始から1時間後に冷却水温度が急に3.5℃上昇
した、それによりジャケット及び還流凝縮器の冷却水量
が急激に変化し、それに伴い重合温度がふらつきだしピ
ーク(5℃)が発生した。それでも還流凝縮器での除熱
量は30%をキープする事ができ、重合時間は比較例1
と同等であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 AB01 BB01 BB02 BB09 BB16 BB17 DB16 DB23 DB33 JA06 JA07 JB01 JB15 JB26 4J100 AC03P CA01 CA04 FA03 FA21 FA47

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル単量体の単独重合又は塩化ビニ
    ル単量体と共重合可能な他の単量体との塩化ビニル系樹
    脂の共重合を、還流凝縮器を設けたジャケット付き重合
    機を用いて懸濁重合により塩化ビニル系樹脂を製造する
    方法において、該還流凝縮器の冷却水量を予め設定され
    た流量パターンに従って制御しながら、重合機ジャケッ
    ト部への冷却水量の調整により重合反応熱の除熱量をコ
    ントロールすることで、該還流凝縮器での除熱量を安定
    せしめ、さらに重合機ジャケット部における冷却水調整
    バルブの弁開度のフィードバックによる該還流凝縮器の
    冷却水量をも微調整することにより、冷却水量の急激な
    変化の抑制と該還流凝縮器への吹き上げを防止し、しか
    も重合反応中に発生する全反応熱量の50%以上を該還
    流凝縮器にて除熱することを特徴とする塩化ビニル系樹
    脂の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法において、外乱に
    よる冷却水温度の変化に伴う還流凝縮器の単位時間あた
    りの除熱能力を予測し、その結果を以て該還流凝縮器の
    流量パターンの各流量設定値を調整することを特徴とす
    る塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の還流凝縮器が、頭頂
    部にガスパージ口を設け、該ガスパージ口より適宜イナ
    ートガスをパージすることを特徴とする塩化ビニル系樹
    脂の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005513215A (ja) * 2001-12-21 2005-05-12 アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ 塩化ビニルモノマー重合反応での圧力低下の間に有機開始剤を加えること

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JP2005513215A (ja) * 2001-12-21 2005-05-12 アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ 塩化ビニルモノマー重合反応での圧力低下の間に有機開始剤を加えること

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