JP2000226740A - 炭素繊維構造体及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維構造体及びその製造方法

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JP2000226740A
JP2000226740A JP2477599A JP2477599A JP2000226740A JP 2000226740 A JP2000226740 A JP 2000226740A JP 2477599 A JP2477599 A JP 2477599A JP 2477599 A JP2477599 A JP 2477599A JP 2000226740 A JP2000226740 A JP 2000226740A
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carbon fiber
mesophase pitch
fiber bundle
twisted
fiber structure
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Iwao Yamamoto
巌 山本
Toshihiro Fukagawa
敏弘 深川
Masayuki Takada
昌幸 高田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バラケ、ほつれ、ケバ等が発生し難い、メソ
フェーズピッチ系炭素繊維構造体を提供する。 【解決手段】 光学異方性が90%以上、粉末X線法に
より測定された面間隔d 002 値が3.34Å〜3.48
Å、炭素含有量が80%以上の、加撚されたメソフェー
ズピッチ系炭素繊維束からなる炭素繊維構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メソフェーズピッ
チ系炭素繊維を用いた炭素繊維構造体とその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は比強度、比弾性率が非常に高
く、種々の複合材料の強化材として釣り竿、ゴルフシャ
フトなどのスポーツ用具、義手、義足等の医療用具等か
ら航空機の翼、スペースシャトルのドア等の航空・宇宙
飛翔体の形成材料、更にはカーテンウォール等の建材ま
で幅広く使用されている。また近年では、軽量、高強
度、高耐熱性、高耐腐食性、高熱伝導性、高弾性等の性
質を利用して、ガスケットやパッキン等のシール材にも
多く使用されている。しかして炭素繊維は、スポーツ用
具、パッキン等のシール材に使用される他の繊維材料、
例えばセラミックファイバー、ガラス繊維、アラミド繊
維、金属繊維等に比べ、高弾性であるために、バラケ、
ほつれが発生しやすく、毛羽がでやすく、成形が困難に
なり或いは品質不良の原因になるという欠陥があった。
そこで、ガスケットやパッキンを製造する方法として、
予め必要な物性(強度、弾性率、熱伝導率、耐熱性、耐
腐食性等)を有する炭素繊維束を加撚し、又は編組した
ものに、合成樹脂や炭化水素系重合物を坦持させ成形す
る方法が提案されている(特開昭50−97759号、
特開昭62−228757号参照)。しかして、かかる
方法によっても、上記の欠陥を十分に回避することはで
きなかった。
【0003】又、特開平8ー1515166号には、炭
素繊維を材料としたパッキン等のシール材の製造方法と
して、300℃以下で耐炎化(不融化)後、700℃以
下で焼成し、炭素化した炭素繊維を緊密に集束してパッ
キン構造物とし、真空下もしくは不活性ガス雰囲気下で
焼成(炭化又は黒鉛化)し、強度、弾性率、熱伝導率等
の必要な物性を得る方法が開示されている。しかし、か
かる方法における耐炎化(不融化)温度、即ち300℃
以下ではメソフェーズピッチを原料とする炭素繊維を充
分に耐炎化(不融化)することはできず、目的とする強
度の炭素繊維は得られない。その結果、耐炎化(不融
化)以降の焼成工程を通過することが出来ないという不
具合を生ずる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、バラケ、ほ
つれ、毛羽等が発生し難い、スポーツ用具やシール材等
の材料となる、光学異方性90%以上のメソフェーズピ
ッチ系炭素繊維束を用いた炭素繊維構造体及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の要旨は、光
学異方性が90%以上、粉末X線法により測定された面
間隔d002 値が3.34Å〜3.48Å、炭素含有量が
80%以上の、加撚されたメソフェーズピッチ系炭素繊
維束からなる炭素繊維構造体及びその製造方法に存す
る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。本発明の炭素繊維構造体は、光学異方性90%以上
のメソフェーズピッチ系炭素繊維束を、加撚後、成形
し、必要に応じ、炭化或いは黒鉛化することにより製造
される。本発明に使用されるメソフェーズピッチ系炭素
繊維束は、光学異方性90%以上のメソフェーズピッチ
を溶融紡糸して得られる、繊維径がを7〜20μm、目
付が0.5〜1.5g/m、弾性率が0.2〜1.0t
/mm2 で、単糸の引張り強度が10〜50kg/mm
2 であるものであり、好ましくは500フィラメント以
上集束し長さが50m以上である。目付が0.5g/m
以下では強度が劣り、一方、1.5g/mを超えると、
加撚後、組み紐状に加工するのが困難となるので好まし
くない。又好ましくは、加撚前のメソフェーズピッチ系
炭素繊維束は、比重が1.0〜2.0、好ましくは1.
4〜1.6で、伸度が1%以上、好ましくは3%以上で
あり、炭素含有量が80%以上のものである。かかるメ
ソフェーズピッチ系炭素繊維束は、光学異方性90%以
上のメソフェーズピッチを、溶融紡糸後、500フィラ
メント以上集束した長さ50m以上のものを、300〜
400℃で不融化後、不活性雰囲気中、1000℃以下
で焼成することにより得ることが出来る。不融化処理温
度が300℃以下では、かかる強度の炭素繊維を得るこ
とが困難である。
【0007】メソフェーズピッチ系炭素繊維束は、加撚
され或いは加撚後編み込まれる。加撚方法は特に限定さ
れるものではなく、例えば、1度に撚るメソフェーズピ
ッチ系炭素線繊維の本数及び撚り数は、炭素繊維束が傷
まない程度ならば何回でも良いが、通常、撚り数は1m
に100ターン以下である。加撚された炭素繊維束の編
み方も、炭素繊維束が傷まない編み方であれば、特に限
定されるものではないが、編んだ束間の隙間がない編み
方が好ましく、更に好ましくは、適度な張力を与える編
み方が良い。
【0008】本発明の炭素繊維構造体に使用される、加
撚された炭素繊維束は、炭素含有量が80%以上、粉末
X線法により測定された面間隔d002 が3.34〜3.
48Åであることが必要である。また、加撚或いは加撚
後編み込まれた炭素繊維束は、炭素繊維構造体に成型
後、必要に応じ焼成され、炭化又は黒鉛化することによ
り、その強度、弾性率、熱伝導率等の物性値を更に向上
させることが出来る。本発明方法では、加撚又は加撚後
編み込まれた炭素繊維束を成型後焼成するので、メソフ
ェーズピッチ系炭素繊維束同志がお互いに拘束し、焼成
時に適度な張力が発生し、加撚前に焼成する場合に比
し、高強度、高弾性率、高熱伝導率の炭素繊維が得やす
くなる。又、焼成温度も1000〜3000℃という比
較的低温度で、目的の強度、弾性率、熱伝導率を得るこ
とが出来る。又必要に応じ、加撚後の炭素繊維束を炭素
繊維構造体に成型するための媒体として、テフロン、グ
ラファイト粉等を用いても良い。
【0009】かくして得られた加撚された炭素繊維束を
用いる本発明の炭素繊維構造体としては、スポーツ用
具、パッキン等、義手、義足等の医療用器具、航空機の
翼、スペースシャトルのドア等の航空、宇宙飛翔体の部
分、カーテンウォール等の建材等のメソフェーズピッチ
系炭素繊維を材料とするあらゆる製品の構造体が包含さ
れる。また、本発明の炭素繊維構造体は、弾性率や熱伝
導率等が金属やセラミックにない特性を有するので、更
に新しい用途が期待出来る。これらの構造体への成型方
法は、それ自体公知の方法を採用することができる。
【0010】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例
に制約されるものではない。 実施例1 フィラメント数2800本、長さが14000mで溶融
紡糸した光学異方性90%以上のメソフェーズピッチ系
炭素繊維束を、385℃で不融化処理後、530℃で焼
成した。得られたメソフェーズピッチ系炭素繊維束は、
糸径が12.8μm、フィラメント数2800本、長さ
が14000m、単糸の引張強度が23kg/mm2
弾性率が0.67t/mm2 、目付が1.048g/
m、伸度が4.57%、比重1.47、粉末X線法によ
り測定したd002 は3.45Å、炭素含有量84.4%
であった。このメソフェーズピッチ系炭素繊維束に撚を
かけて編んだものを使用してガスケットを成型した。得
られたガスケットは、後述の比較例1で得られるガスケ
ットに比し、バラケ、ほつれ、ケバの発生が少なかっ
た。又、このガスケットを、1500℃で焼成して黒鉛
化することにより、強度、弾性率、熱伝導率を更に向上
させることができた。
【0011】比較例1 3000℃以上の高温で黒鉛化された、光学異方性が9
0%以上のメソフェーズピッチ系炭素繊維束を用いて、
ガスケットを成型した。該メソフェーズピッチ系炭素繊
維束は、糸径が8.5μm、フィラメント数が2000
本、単糸の引張強度が410kg/mm2 、弾性率が9
4.0t/mm2 、目付が0.282g/m、伸度が
0.63%、比重が2.20、粉末X線法により測定し
たd002 は3.37Åで、撚はかけられていない。かか
る材料を成型するときにはバラケ、ほつれ、ケバの発生
が多く、成型が困難であった。又糸切れして製品になら
ないものも多かった。
【0012】比較例2 光学異方性90%以上のメソフェーズピッチを溶融紡糸
して得られた、フィラメント数2800本、長さが14
000mのメソフェーズピッチ系炭素繊維を、280℃
で不融化後、530℃で焼成しようと試みたが、不融化
炉出口で炭素繊維強度の低下による糸切れが発生し、次
の焼成工程を安定して通過することができなかった。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、加工時或いは使用時の
バラケ、ほつれ、ケバの発生などが少なく、且つ、強度
や弾性率、熱伝導率等の物性が優れた炭素繊維構造体を
得ることが出来る。
フロントページの続き (72)発明者 高田 昌幸 香川県坂出市番の州町1番地 三菱化学株 式会社坂出事業所内 Fターム(参考) 4L031 AA27 AB01 BA00 CA08 DA00 DA17 4L037 CS03 CS04 FA03 FA05 FA06 FA11 FA12 FA16 FA19 PC03 PC05 PC11 PG03 PG04 PP01 PP39 PS02 UA06 UA17 UA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学異方性が90%以上、粉末X線法に
    より測定された面間隔d002 値が3.34Å〜3.48
    Å、炭素含有量が80%以上の、加撚されたメソフェー
    ズピッチ系炭素繊維束からなる炭素繊維構造体。
  2. 【請求項2】 光学異方性が90%以上、繊維径が7〜
    20μm、目付が0.5〜1.5g/m、弾性率が0.
    2〜1.0t/mm2 で単糸の引張り強度が10〜50
    kg/mm2 であるメソフェーズピッチ系炭素繊維束
    を、加撚し、次いで成形した後、必要に応じて炭化又は
    黒鉛化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の炭素
    繊維構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 比重が1.0〜2.0であるメソフェー
    ズピッチ系炭素繊維束を加撚することを特徴とする請求
    項2記載の炭素繊維構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 伸度が1%以上のメソフェーズピッチ系
    炭素繊維束を加撚することを特徴とする請求項2又は3
    記載の炭素繊維構造体の製造方法
  5. 【請求項5】 炭素含有量が80%以上のメソフェーズ
    ピッチ系炭素繊維束を加撚することを特徴とする請求項
    2乃至4のいずれかに記載の炭素繊維構造体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 炭化又は黒鉛化処理を、1000℃〜3
    000℃の温度で行うことを特徴とする請求項2乃至5
    のいずれかに記載の炭素繊維構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】 光学異方性90%以上のメソフェーズピ
    ッチを溶融紡糸し、30℃〜400℃で不融化処理した
    後、1,000℃以下の温度で不活性雰囲気中で熱処理
    して得られる、糸径7〜20μ、目付0.5〜1.5g
    /mのメソフェーズピッチ系炭素繊維束。
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