JP2000226619A - アルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法 - Google Patents

アルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法

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JP2000226619A JP2543999A JP2543999A JP2000226619A JP 2000226619 A JP2000226619 A JP 2000226619A JP 2543999 A JP2543999 A JP 2543999A JP 2543999 A JP2543999 A JP 2543999A JP 2000226619 A JP2000226619 A JP 2000226619A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に二次電池の製造過程で発生するアルカリ
金属を含む金属酸化物から効率よく有価金属を回収する
アルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収方
法を提供する。 【解決手段】 二次電池の製造過程で発生するアルカリ
金属を含む金属酸化物に、還元剤及び造滓剤を加えて溶
融し、還元されて沈降する有価金属を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば二次電池の
製造過程において発生するアルカリ金属を含有した金属
酸化物から有価金属を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、コンピュータの需要増
大に伴って二次電池の需要が増大しており、今後も特に
リチウム二次電池の市場拡大が期待されている。このリ
チウム二次電池は、その正極にCo、Ni、Mn等の有
価金属を含む金属酸化物を使用しており、使用済みとな
ったリチウム二次電池からこれらの有価金属を回収して
リサイクルすることは、資源の有効活用の観点から極め
て重要となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このリ
チウム二次電池はその製造過程においてもCo、Ni、
Mn等の有価金属を含む金属酸化物からなる副産物(欠
陥品等)を大量に発生する。また、今後リチウム二次電
池のみならずNa、K等のアルカリ金属を使用した二次
電池の開発も期待される。本発明はかかる事情に鑑みて
なされたもので、特に二次電池の製造過程で発生するア
ルカリ金属を含む金属酸化物から効率よく有価金属を回
収するアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の
回収方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係るアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法においては、二次電池の製造過程で発生する
アルカリ金属を含む金属酸化物に、還元剤及び造滓剤を
加えて溶融し、還元されて沈降する有価金属を回収して
いる。
【0005】一般に、金属酸化物に含まれる有価金属を
回収する方法としては、金属酸化物に還元剤を添加して
溶融し、還元されて沈降した有価金属を回収する方法が
ある。この方法で目的金属(有価金属)を効率よく回収
するためには、スラグの塩基度を高く保持する(CaO
/SiO2 ≧1.5)必要があると共に、スラグ中で還
元される有価金属が容易に沈降できるようにスラグに高
い流動性をもたせることが必要である。しかしながら、
塩基度を高く保持するためには、融点の高いCaOの量
が必然的に増加してスラグの融点が上昇し(約1940
度)、結果としてスラグの流動性が低下することとな
る。
【0006】そこで、第1の発明に係るアルカリ金属を
含む金属酸化物からの有価金属の回収方法においては、
融点の低いアルカリ金属を含む金属酸化物に還元剤及び
造滓剤を加えて溶融することによりスラグの融点を降下
させることを可能としている。よって、融点の高いCa
Oを添加してもスラグが高い流動性を保持できるように
なる。即ち、CaOを添加して高い塩基度を保持しつ
つ、高い流動性を有したスラグの生成が可能となって、
効率よく有価金属を回収することが可能となる。
【0007】ここで、前記アルカリ金属を含む金属酸化
物は、Lin Comx 、Nan Co mx 、Kn Co
mx 、Lin Femx 、Nan Femx 、Kn
m x 、Lin Nimx 、Nan Nimx 、Kn
Nimx 、Lin Mnmx、Nan Mnmx 、Kn
Mnmx のいずれか1又は2以上を含有することが
望ましい。これらのアルカリ金属を含む金属酸化物に
は、Co、Ni等の有価金属が含まれており、これらの
回収が可能となる。なお、n、m、xは、組成として考
えられるあらゆる正の整数を示す。また、前記還元剤
は、FeSi、Si、CaSi、SiCのいずれか1又
は2以上を含有することが望ましい。還元剤としてSi
を使用するので、これが酸化されてSiO2 となり、塩
基度に関係するSiO2 を別途投入する必要はない。ま
た、Siを使用した還元反応は発熱反応であるため、熱
源となり必要エネルギーを低減することができる。そし
て、前記造滓剤は、CaO、Ca(OH)2 、CaCO
3 のいずれか1又は2以上を含有することが望ましい。
これにより、高い塩基度を保持することが可能となっ
て、還元を促進することができる。また、この造滓剤
は、酸素を遮断して有価金属の酸化を防止する。
【0008】第2の発明に係るアルカリ金属を含む金属
酸化物からの有価金属の回収方法においては、鉄材、ア
ルカリ金属を含む金属酸化物、還元剤、及び造滓剤を炉
内に投入して溶融し、還元されて沈降する有価金属を鉄
合金として回収する。第2の発明に係るアルカリ金属を
含む金属酸化物からの有価金属の回収方法においては、
融点の低いアルカリ金属を含む金属酸化物を炉内に投入
して溶融するのでスラグの融点を低下させることができ
る。よって、融点の高いCaOを添加してもスラグが高
い流動性を保持できるようになって、高い塩基度を有す
ると共に高い流動性を有したスラグの生成が可能とな
る。また、鉄材を投入することで還元性を向上させるこ
とができる。そして、還元剤として純金属のSiを使用
せずFeSiを使用した場合にもFeは余分な成分とな
らないのでFeを取り除く処理を省略することができ
る。
【0009】ここで、前記アルカリ金属を含む金属酸化
物は、Lin Comx 、Nan Co mx 、Kn Co
mx 、Lin Femx 、Nan Femx 、Kn
m x 、Lin Nimx 、Nan Nimx 、Kn
Nimx 、Lin Mnmx、Nan Mnmx 、Kn
Mnmx のいずれか1又は2以上を含有することが
望ましい。これらのアルカリ金属を含む金属酸化物に
は、Co、Ni等の有価金属が含まれており、これらの
回収が可能となる。なお、n、m、xについては第1の
発明と同様である。また、前記還元剤は、FeSi、S
i、CaSi、SiCのいずれか1又は2以上を含有す
ることが望ましい。還元剤としてSiを使用するので、
これが酸化されてSiO2 となり、別途SiO2 を投入
する必要はない。また、Siを使用した還元反応は発熱
反応であるため、熱源となり必要エネルギーを低減する
ことができる。そして、前記造滓剤は、CaO、Ca
(OH)2 、CaCO3 のいずれか1又は2以上を含有
することが望ましい。これにより、高い塩基度を保持す
ることが可能となって、還元を促進することができる。
また、この造滓剤は、酸素を遮断して有価金属の酸化を
防止する。
【0010】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係るアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法の工程説明図である。
【0011】本発明の一実施の形態に係るアルカリ金属
を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法は、リチウ
ム二次電池の製造過程で発生したアルカリ金属を含む金
属酸化物の一例であるLiCoO2 (Li2 O・Co2
3 )からCo(有価金属の一例)をFeCoとして回
収するものである。以下、説明する。まず、図1に示す
ように、リチウム二次電池の製造過程で副産物として回
収された原料(LiCoO2 )のブリケット化を行う
(ステップ1)。このブリケットは、LiCoO2
し、外数で10重量%の還元剤の一例であるFeSiを
骨材として配合し、さらにバインダーを加えたものであ
る。これにより、炉内ヘ装入する際の飛散が防止できる
と共に、LiCoO2 とFeSiの密着性が増し、還元
が促進される。
【0012】次に、例えばアーク炉に鉄材(スクラッ
プ)を4.5t程度を装入し、溶融する(ステップ
2)。この鉄材が溶融したアーク炉に、前工程でブリケ
ット化したLiCoO2 12t程度、FeSi(還元剤
の一例)1.7t程度、及び造滓剤の一例であるCaO
4.1t程度を装入する。このとき、炉内には溶融した
鉄材が存在するので投入物の集塵機への流出を抑制する
ことができる。そして、これらを溶融する(ステップ
3)。その後、更に還元の進行具合を確認しながら還元
剤としてのFeSiを装入することもできる。そして、
温度1500〜1650℃程度で30分程度保持する
(ステップ4)。なお、ここで使用する還元剤(FeS
i)の総量は、有価金属(Co)を十分に還元できる
量、例えば有価金属1当量に対して1〜1.5倍当量と
するのが好ましい。また、造滓剤(CaO)の量は、S
iの還元によって生じるSiO2 の量に対応して塩基度
を1.5以上に保持できる量とするのが好ましい。
【0013】このとき、スラグ(Li2 O−SiO2
CaO系)の融点は、リチウムの揮発(50%程度)を
考慮したとしても1100〜1500℃程度の範囲まで
低下すると考えられる。これは、スラグ中にLi2 Oを
含むためである。また、スラグの塩基度も1.5を超え
る1.7〜2.3程度を保持することができる。即ち、
スラグの状態としては高い流動性を有すると共に高い塩
基度を有するものとなる。従って、CoO(Co2
3 )の還元は促進され、還元されたCoは容易にスラグ
中を沈降する。なお、高い還元性を維持するためには、
溶鋼中(溶融した鉄材中)にSiが2%程度存在する状
態で保持することが望ましい。これは、溶鋼中(又は溶
鋼とスラグの界面)でも還元は行われていると考えられ
るからである。また、Feも還元に寄与していると考え
られ、溶鋼が存在することにより還元性は向上する。
【0014】約30分後、スラグの分析を行う。このと
き、もしCoOの量が多いならば、FeSiを更に追加
してこれを保持し、更に還元を進めることができる。そ
して、CoOが十分還元されたことを確認してスラグを
排出する(ステップ5)。そして、酸素を吹く等して、
スラグを排出した溶鋼中に残存するSiを酸化除去し
(ステップ6)、その後FeCoとしてCo(有価金
属)の回収を行う。なお、前記実施の形態においては、
はじめに鉄材を装入し有価金属を鉄合金(FeCo)と
して回収したが、鉄材を装入しなくても前記実施の形態
と同様に実施することにより有価金属(Co)を回収す
ることが可能である。なお、このときには還元剤として
他の金属を含有していないもの、例えばSi等を使用し
て、純Coとして回収することが望ましい。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。原料として、鉄
材(スクラップ)、リチウム二次電池の製造過程で副生
物として発生したアルカリ金属を含む金属酸化物(Li
CoO2 )、還元剤(FeSi)、及び造滓剤(Ca
O)を使用して前記実施の形態と同様にしてCoのFe
Coとしての回収実験を行った。なお、予め、炉に投入
するFe、Coの量を分析等により把握した。その結果
を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示すように、リチウム二次電池の製
造過程で副生物として発生したLiCoO2 に含まれる
有価金属であるCoを約97.4%回収することができ
ることが分かる。
【0018】以上、本発明を一実施の形態を参照して説
明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載
の構成に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載
されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形
態や変形例も含むものである。例えば、二次電池として
は、Liを使用したものを用いたが、Na、K等を使用
した二次電池であってもよい。また、還元剤としては、
FeSiを用いたが、Si、CaSi、SiC、C等の
1又は2以上を使用することができる。そして、造滓剤
としてはCaOを用いたが、Ca(OH)2、CaCO3
等の1又は2以上を使用することができ、その他溶融温
度でCaOを生成するものであれば他のカリシウム化合
物を使用することもできる。また、アルカリ金属を含む
金属酸化物は、Lin Comx 、Nan Comx
n Comx 、Lin Femx、Nan Fem
x 、Kn Femx 、Lin Nimx 、Nan Nim
x 、Kn Nimx 、Lin Mnmx 、Nan Mn
mx 、Kn Mnmx のいずれか1又は2以上を含有
しているものを使用することができる。
【0019】
【発明の効果】請求項1及びこれに従属する請求項3〜
5記載のアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法においては、融点の低いアルカリ金属を含む
金属酸化物に還元剤及び造滓剤を加えて溶融するので高
い塩基度を有すると共に高い流動性を有したスラグの生
成が可能となって、二次電池の製造過程で大量に発生す
るアルカリ金属を含む金属酸化物から有価金属を効率良
く回収することができる。請求項2及びこれに従属する
請求項3〜5記載のアルカリ金属を含む金属酸化物から
の有価金属の回収方法においては、アルカリ金属を含む
金属酸化物を使用しているので、スラグの融点を降下さ
せることができ、また、融点の高いCaOを添加しても
スラグが高い流動性を保持できる。したがって、高い塩
基度を有すると共に高い流動性を有したスラグの生成が
可能となる。そして、鉄材が投入されることにより還元
性が増し、より効率良く有価金属を鉄合金として回収す
ることが可能となる。
【0020】請求項3記載のアルカリ金属を含む金属酸
化物からの有価金属の回収方法においては、アルカリ金
属を含む金属酸化物は、Lin Comx 、Nan Co
mx、Kn Comx 、Lin Femx 、Nan
mx 、Kn Femx 、Lin Nimx 、Nan
Nimx 、Kn Nimx 、Lin Mnmx 、Na
n Mnmx 、Kn Mnmx のいずれか1又は2以上
を含有しているので、これらにはCo、Ni等の有価金
属が含まれており、これらの回収が可能となる。請求項
4記載のアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法においては、還元剤は、FeSi、Si、C
aSi、SiCのいずれか1又は2以上を含有するの
で、これらが酸化されてSiO2 を生成し、別途SiO
2 を投入する工程を省略することができる。また、Si
を使用した還元反応は発熱反応であるため、熱源となり
必要エネルギーを低減することができる。請求項5記載
のアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収
方法においては、造滓剤は、CaO、Ca(OH)2
CaCO3 のいずれか1又は2以上を含有するので、高
い塩基度を保持することが可能となって、還元を促進す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルカリ金属を含
む金属酸化物からの有価金属の回収方法の工程説明図で
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月24日(1999.12.
24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 アルカリ金属を含む金属酸化物からの
有価金属の回収方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば二次電池の
製造過程において発生するアルカリ金属を含有した金属
酸化物から有価金属を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、コンピュータの需要増
大に伴って二次電池の需要が増大しており、今後も特に
リチウム二次電池の市場拡大が期待されている。このリ
チウム二次電池は、その正極にCo、Ni、Mn等の有
価金属を含む金属酸化物を使用しており、使用済みとな
ったリチウム二次電池からこれらの有価金属を回収して
リサイクルすることは、資源の有効活用の観点から極め
て重要となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このリ
チウム二次電池はその製造過程においてもCo、Ni、
Mn等の有価金属を含む金属酸化物からなる副産物(欠
陥品等)を大量に発生する。また、今後リチウム二次電
池のみならずNa、K等のアルカリ金属を使用した二次
電池の開発も期待される。本発明はかかる事情に鑑みて
なされたもので、特に二次電池の製造過程で発生するア
ルカリ金属を含む金属酸化物から効率よく有価金属を回
収するアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の
回収方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係るアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法においては、二次電池の製造過程で発生する
アルカリ金属を含む金属酸化物に、還元剤及び造滓剤を
加えて溶融し、還元されて沈降する有価金属を回収して
いる。
【0005】一般に、金属酸化物に含まれる有価金属を
回収する方法としては、金属酸化物に還元剤を添加して
溶融し、還元されて沈降した有価金属を回収する方法が
ある。この方法で目的金属(有価金属)を効率よく回収
するためには、スラグの塩基度を高く保持する(CaO
/SiO2 ≧1.5)必要があると共に、スラグ中で還
元される有価金属が容易に沈降できるようにスラグに高
い流動性をもたせることが必要である。しかしながら、
塩基度を高く保持するためには、融点の高いCaOの量
が必然的に増加してスラグの融点が上昇し(約1940
度)、結果としてスラグの流動性が低下することとな
る。
【0006】そこで、第1の発明に係るアルカリ金属を
含む金属酸化物からの有価金属の回収方法においては、
融点の低いアルカリ金属を含む金属酸化物に、還元剤及
び造滓剤を加えて溶融することによってスラグの融点を
降下させることを可能としている。よって、融点の高い
CaOを添加しても、スラグが高い流動性を保持できる
ようになる。即ち、CaOを添加して高い塩基度を保持
しつつ、高い流動性を有したスラグの生成が可能となっ
て、効率よく有価金属を回収することが可能となる。
【0007】ここで、前記アルカリ金属を含む金属酸化
物は、Lin Comx 、Nan Co mx 、Kn Co
mx 、Lin Nimx 、Nan Nimx 、Kn
m x 、Lin Mnmx 、Nan Mnmx 、Kn
Mnmx のいずれか1又は2以上を含有することが望
ましい。これらのアルカリ金属を含む金属酸化物には、
Co、Ni等の有価金属が含まれており、これらの回収
が可能となる。なお、n、m、xは、組成として考えら
れるあらゆる正の整数を示す。また、前記還元剤は、F
eSi、Si、CaSi、SiCのいずれか1又は2以
上を含有することが望ましい。還元剤としてSiを使用
するので、これが酸化されてSiO2 となり、塩基度に
関係するSiO2 を別途投入する必要はない。また、S
iを使用した還元反応は発熱反応であるため、熱源とな
り必要エネルギーを低減することができる。そして、前
記造滓剤は、CaO、Ca(OH)2 、CaCO3 のい
ずれか1又は2以上を含有することが望ましい。これに
より、高い塩基度を保持することが可能となって、還元
を促進することができる。また、この造滓剤は、酸素を
遮断して有価金属の酸化を防止する。
【0008】第2の発明に係るアルカリ金属を含む金属
酸化物からの有価金属の回収方法においては、鉄材、ア
ルカリ金属を含む金属酸化物、還元剤、及び造滓剤を炉
内に投入して溶融し、還元されて沈降する有価金属を鉄
合金として回収する。第2の発明に係るアルカリ金属を
含む金属酸化物からの有価金属の回収方法においては、
融点の低いアルカリ金属を含む金属酸化物を炉内に投入
して溶融するのでスラグの融点を低下させることができ
る。よって、融点の高いCaOを添加してもスラグが高
い流動性を保持できるようになって、高い塩基度を有す
ると共に高い流動性を有したスラグの生成が可能とな
る。また、鉄材を投入することで還元性を向上させるこ
とができる。そして、還元剤として純金属のSiを使用
せずFeSiを使用した場合にもFeは余分な成分とな
らないのでFeを取り除く処理を省略することができ
る。
【0009】ここで、前記アルカリ金属を含む金属酸化
物は、Lin Comx 、Nan Co mx 、Kn Co
mx 、Lin Nimx 、Nan Nimx 、Kn
m x 、Lin Mnmx 、Nan Mnmx 、Kn
Mnmx のいずれか1又は2以上を含有することが望
ましい。これらのアルカリ金属を含む金属酸化物には、
Co、Ni等の有価金属が含まれており、これらの回収
が可能となる。なお、n、m、xについては第1の発明
と同様である。また、前記還元剤は、FeSi、Si、
CaSi、SiCのいずれか1又は2以上を含有するこ
とが望ましい。還元剤としてSiを使用するので、これ
が酸化されてSiO2 となり、別途SiO2 を投入する
必要はない。また、Siを使用した還元反応は発熱反応
であるため、熱源となり必要エネルギーを低減すること
ができる。そして、前記造滓剤は、CaO、Ca(O
H)2 、CaCO3 のいずれか1又は2以上を含有する
ことが望ましい。これにより、高い塩基度を保持するこ
とが可能となって、還元を促進することができる。ま
た、この造滓剤は、酸素を遮断して有価金属の酸化を防
止する。
【0010】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係るアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法の工程説明図である。
【0011】本発明の一実施の形態に係るアルカリ金属
を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法は、リチウ
ム二次電池の製造過程で発生したアルカリ金属を含む金
属酸化物の一例であるLiCoO2 (Li2 O・Co2
3 )からCo(有価金属の一例)をFeCoとして回
収するものである。以下、説明する。まず、図1に示す
ように、リチウム二次電池の製造過程で副産物として回
収された原料(LiCoO2 )のブリケット化を行う
(ステップ1)。このブリケットは、LiCoO2
し、外数で10重量%の還元剤の一例であるFeSiを
骨材として配合し、さらにバインダーを加えたものであ
る。これにより、炉内ヘ装入する際の飛散が防止できる
と共に、LiCoO2 とFeSiの密着性が増し、還元
が促進される。
【0012】次に、例えばアーク炉に鉄材(スクラッ
プ)を4.5t程度を装入し、溶融する(ステップ
2)。この鉄材が溶融したアーク炉に、前工程でブリケ
ット化したLiCoO2 12t程度、FeSi(還元剤
の一例)1.7t程度、及び造滓剤の一例であるCaO
4.1t程度を装入する。このとき、炉内には溶融した
鉄材が存在するので投入物の集塵機への流出を抑制する
ことができる。そして、これらを溶融する(ステップ
3)。その後、更に還元の進行具合を確認しながら還元
剤としてのFeSiを装入することもできる。そして、
温度1500〜1650℃程度で30分程度保持する
(ステップ4)。なお、ここで使用する還元剤(FeS
i)の総量は、有価金属(Co)を十分に還元できる
量、例えば有価金属1当量に対して1〜1.5倍当量と
するのが好ましい。また、造滓剤(CaO)の量は、S
iの還元によって生じるSiO2 の量に対応して塩基度
を1.5以上に保持できる量とするのが好ましい。
【0013】このとき、スラグ(Li2 O−SiO2
CaO系)の融点は、リチウムの揮発(50%程度)を
考慮したとしても1100〜1500℃程度の範囲まで
低下すると考えられる。これは、スラグ中にLi2 Oを
含むためである。また、スラグの塩基度も1.5を超え
る1.7〜2.3程度を保持することができる。即ち、
スラグの状態としては高い流動性を有すると共に高い塩
基度を有するものとなる。従って、CoO(Co2
3 )の還元は促進され、還元されたCoは容易にスラグ
中を沈降する。なお、高い還元性を維持するためには、
溶鋼中(溶融した鉄材中)にSiが2%程度存在する状
態で保持することが望ましい。これは、溶鋼中(又は溶
鋼とスラグの界面)でも還元は行われていると考えられ
るからである。また、Feも還元に寄与していると考え
られ、溶鋼が存在することにより還元性は向上する。
【0014】約30分後、スラグの分析を行う。このと
き、もしCoOの量が多いならば、FeSiを更に追加
してこれを保持し、更に還元を進めることができる。そ
して、CoOが十分還元されたことを確認してスラグを
排出する(ステップ5)。そして、酸素を吹く等して、
スラグを排出した溶鋼中に残存するSiを酸化除去し
(ステップ6)、その後FeCoとしてCo(有価金
属)の回収を行う。なお、前記実施の形態においては、
はじめに鉄材を装入し有価金属を鉄合金(FeCo)と
して回収したが、鉄材を装入しなくても前記実施の形態
と同様に実施することにより有価金属(Co)を回収す
ることが可能である。なお、このときには還元剤として
他の金属を含有していないもの、例えばSi等を使用し
て、純Coとして回収することが望ましい。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。原料として、鉄
材(スクラップ)、リチウム二次電池の製造過程で副生
物として発生したアルカリ金属を含む金属酸化物(Li
CoO2 )、還元剤(FeSi)、及び造滓剤(Ca
O)を使用して前記実施の形態と同様にしてCoのFe
Coとしての回収実験を行った。なお、予め、炉に投入
するFe、Coの量を分析等により把握した。その結果
を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示すように、リチウム二次電池の製
造過程で副生物として発生したLiCoO2 に含まれる
有価金属であるCoを約97.4%回収することができ
ることが分かる。
【0018】以上、本発明を一実施の形態を参照して説
明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載
の構成に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載
されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形
態や変形例も含むものである。例えば、二次電池として
は、Liを使用したものを用いたが、Na、K等を使用
した二次電池であってもよい。また、還元剤としては、
FeSiを用いたが、Si、CaSi、SiC、C等の
1又は2以上を使用することができる。そして、造滓剤
としてはCaOを用いたが、Ca(OH)2、CaCO3
等の1又は2以上を使用することができ、その他溶融温
度でCaOを生成するものであれば他のカリシウム化合
物を使用することもできる。また、アルカリ金属を含む
金属酸化物は、Lin Comx 、Nan Comx
n Comx 、Lin Femx、Nan Fem
x 、Kn Femx 、Lin Nimx 、Nan Nim
x 、Kn Nimx 、Lin Mnmx 、Nan Mn
mx 、Kn Mnmx のいずれか1又は2以上を含有
しているものを使用することができる。
【0019】
【発明の効果】請求項1及びこれに従属する請求項3、
4記載のアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
の回収方法においては、融点の低いアルカリ金属を含む
金属酸化物に還元剤及び造滓剤を加えて溶融するので高
い塩基度を有すると共に高い流動性を有したスラグの生
成が可能となって、二次電池の製造過程で大量に発生す
るアルカリ金属を含む金属酸化物から有価金属を効率良
く回収することができる。そして、還元剤は、FeS
i、Si、CaSi、SiCのいずれか1又は2以上を
含有するので、これらが酸化されてSiO2 を生成し、
別途SiO2 を投入する工程を省略することができる。
また、Siを使用した還元反応は発熱反応であるため、
熱源となり必要エネルギーを低減することができる。請
求項2及びこれに従属する請求項3、4記載のアルカリ
金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法におい
ては、アルカリ金属を含む金属酸化物を使用しているの
で、スラグの融点を降下させることができ、また、融点
の高いCaOを添加してもスラグが高い流動性を保持で
きる。従って、高い塩基度を有すると共に高い流動性を
有したスラグの生成が可能となる。そして、鉄材が投入
されることにより還元性が増し、より効率良く有価金属
を鉄合金として回収することが可能となる。そして、還
元剤は、FeSi、Si、CaSi、SiCのいずれか
1又は2以上を含有するので、これらが酸化されてSi
2 を生成し、別途SiO2 を投入する工程を省略する
ことができる。また、Siを使用した還元反応は発熱反
応であるため、熱源となり必要エネルギーを低減するこ
とができる。
【0020】請求項3記載のアルカリ金属を含む金属酸
化物からの有価金属の回収方法においては、アルカリ金
属を含む金属酸化物は、Lin Comx 、Nan Co
mx、Kn Comx 、Lin Nimx 、Nan
mx 、Kn Nimx 、Lin Mnmx 、Nan
Mnmx 、Kn Mnmx のいずれか1又は2以上を
含有しているので、これらにはCo、Ni等の有価金属
が含まれており、これらの回収が可能となる。請求項4
記載のアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の
回収方法においては、造滓剤は、CaO、Ca(OH)
2 、CaCO3 のいずれか1又は2以上を含有するの
で、高い塩基度を保持することが可能となって、還元を
促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルカリ金属を含
む金属酸化物からの有価金属の回収方法の工程説明図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 統嗣 福岡県北九州市小倉北区馬借3丁目6番42 号 日本磁力選鉱株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA07 AA10 AA16 AA19 AA34 EA05 FA10 GA16 HA12 KA06 KA13 5H031 AA02 EE01 RR01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二次電池の製造過程で発生するアルカリ
    金属を含む金属酸化物に、還元剤及び造滓剤を加えて溶
    融し、還元されて沈降する有価金属を回収することを特
    徴とするアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属
    の回収方法。
  2. 【請求項2】 鉄材、アルカリ金属を含む金属酸化物、
    還元剤、及び造滓剤を炉内に投入して溶融し、還元され
    て沈降する有価金属を鉄合金として回収することを特徴
    とするアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の
    回収方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のアルカリ金属を含
    む金属酸化物からの有価金属の回収方法において、前記
    アルカリ金属を含む金属酸化物は、Lin Comx
    Nan Comx 、Kn Comx 、Lin Fem
    x 、Nan Fem x 、Kn Femx 、Lin Nim
    x 、Nan Nimx 、Kn Nimx 、Lin Mn
    mx 、Nan Mnmx 、Kn Mnmx のいずれか
    1又は2以上を含有することを特徴とするアルカリ金属
    を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のア
    ルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法
    において、前記還元剤は、FeSi、Si、CaSi、
    SiCのいずれか1又は2以上を含有することを特徴と
    するアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回
    収方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のア
    ルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の回収方法
    において、前記造滓剤は、CaO、Ca(OH) 2 、C
    aCO3 のいずれか1又は2以上を含有することを特徴
    とするアルカリ金属を含む金属酸化物からの有価金属の
    回収方法。
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