JP2001073021A - 金属精錬用フラックスおよびその製造方法 - Google Patents

金属精錬用フラックスおよびその製造方法

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JP2001073021A
JP2001073021A JP24618499A JP24618499A JP2001073021A JP 2001073021 A JP2001073021 A JP 2001073021A JP 24618499 A JP24618499 A JP 24618499A JP 24618499 A JP24618499 A JP 24618499A JP 2001073021 A JP2001073021 A JP 2001073021A
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slag
flux
metal
molten
refining
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Kenichi Katayama
賢一 片山
Tetsuya Matsushita
哲也 松下
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Nippon Magnetic Dressing Co
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Nippon Magnetic Dressing Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属精錬用フラックスの脱硫能および滓化性
を向上し、かつリサイクルを可能にする。 【解決手段】 成分に少なくともCaO:40〜60
%,CaF2:2〜20%を含み、Sが0〜0.1%で
あり、各成分が予め融合されており、さらに粒度を1〜
50mmの範囲の値に選ぶ。各成分が予め融合されてい
るので、溶解しやすく滓化性が優れている。CaO,C
aF2,Sが適正濃度に設定されており、かつ滓化性が
優れているので脱硫能が高い。Sが増大しても酸化処理
によってSを選択的に除去できるので、リサイクルが可
能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気炉などで脱硫
剤として用いられる精錬用フラックスおよびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、金属たとえばステンレス鋼の
精錬過程で発生するスラグは、溶融状態のスラグを冷却
固化し、固化したスラグを選鉱処理して、スラグから残
留地金を回収し、地金回収後のスラグを塊状スラグと粉
状スラグとに分別し、それぞれ利用できる用途に使用す
る方法で処理されている。この方法では、スラグ中のS
が高濃度(0.2〜0.5%)であるので、スラグをセ
メント原料などに利用できず、利用できる用途が路盤材
などの価値の低い用途に限られる。スラグ中のSを除去
する方法に関しては、いくつかの先行技術が開示されて
いる。
【0003】特開昭55−42290号公報には、Sを
含んだ溶融スラグを連続的に処理してSを除去する方法
が開示されている。このスラグの処理は、暗渠状に形成
された反応容器の中で行われ、反応容器の中を貫流する
溶融スラグにO2ガスを吹付けることによって行われ
る。これによって、スラグ中のSは酸化され、SO2
して除去される。この方法には、O2ガスの吹付けによ
ってスラグが飛散し、反応容器に付着するという問題が
ある。したがって、付着したスラグを取除く作業を頻繁
に行う必要があり、メンテナンス性が悪い。
【0004】特開平7−10616号公報には、溶湯に
CaOを加えて脱硫処理を行い、生成したSを含むスラ
グを大気中で1100〜1400℃に加熱し、スラグ中
のSをSO2として除去し、溶湯と酸化物とを分離する
スラグの処理方法が開示されている。この方法では、大
気中での加熱によってSの酸化が行われるので、O2
吹付ける方法に比べると脱硫の反応速度が遅いという問
題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記各先行技術によれ
ば、スラグ中のSをSO2として除去することができ
る。したがって得られた脱硫スラグをセメント原料に適
用することが可能となり、スラグの用途を拡大すること
ができる。しかしながら、スラグの発生量が非常に多い
ので、さらに付加価値の高いスラグの用途を探索する必
要がある。スラグの有効利用を図る上で、最も好ましい
形態は、発生したスラグをほぼ全量リサイクルして発生
源で再使用する形態である。本発明者らはこのような条
件を満たすリサイクル可能なスラグの用途について種々
検討を重ねた結果、新規な用途として金属精錬用フラッ
クスを見出した。
【0006】金属精錬用フラックスは、溶融金属中の不
純物元素を除去する精錬剤であり、主として溶融金属中
のSを除去する脱硫剤として用いられる。従来、金属精
錬用フラックスとしてはCaOが用いられている。Ca
Oは融点が高く、いわゆる滓化性が悪いので、低融点の
CaF2と併用して用いられることが多い。この場合、
CaOとCaF2とは溶湯上に投入された後、融合して
フラックスとして作用する。したがって、CaO単体よ
りも、滓化性は向上するけれども、投入後溶融開始まで
にタイムラグがあり、さらに滓化性の向上が望まれてい
る。
【0007】本発明は、このような知見に基づいて完成
したものであり、本発明の目的は、リサイクル可能で、
かつ脱硫能および滓化性に優れた金属精錬用フラックス
を提供することである。また本発明の他の目的は、前記
金属精錬用フラックスを効率的に製造する方法を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属精錬炉の
溶融金属上に投入され、溶融金属中の不純物元素を除去
する金属精錬用フラックスであって、少なくともCa
O:40〜60%,CaF2:2〜20%を含み、Sが
0〜0.1%であり、さらに各成分が予め融合されてい
ることを特徴とする金属精錬用フラックスである。
【0009】本発明に従えば、CaOが充分含まれてお
り、かつSが低濃度であるので、溶融金属中のSを効率
的に脱硫することができる。また各成分は予め融合され
ており、かつ低融点のCaF2を適正量含むので、非常
に溶解しやすく、従来のCaOとCaF2とから成る未
融合フラックスに比べて滓化性、反応性が優れている。
またCaOおよびCaF2は酸化雰囲気中では安定なの
で、酸化処理によってSをSO2として選択的に除去す
ることができる。これによって、精錬中溶融金属中のS
がスラグ中に移行してスラグのS濃度が増加しても、酸
化処理によってSを除去することができるので、スラグ
を金属精錬用フラックスとして容易に再生することがで
きる。したがって、再生した金属精錬用フラックスを金
属精錬炉で再使用すれば、発生したスラグをほぼ全量リ
サイクルすることができる。
【0010】また本発明は、粒度が1〜50mmである
ことを特徴とする。本発明に従えば、金属精錬用フラッ
クスの粒度が適正範囲の値に選ばれているので、金属精
錬用フラックスを金属精錬炉に投入するとき、集塵ファ
ンによる吸引力に打勝って投入することができる。した
がって、吸引ロスが防止され、歩留まりが向上する。
【0011】また本発明は、金属精錬炉から溶融状態の
スラグを排滓し、排滓されたスラグを加熱しながらスラ
グ中にO2ガスまたはO2含有ガスを吹込み、その後スラ
グを冷却して固化し、さらにスラグから残留地金を回収
し、予め定める粒度になるように製団処理することを特
徴とする金属精錬用フラックスの製造方法である。
【0012】本発明に従えば、溶融状態のスラグ中に、
2含有ガスたとえば空気が吹込まれる。空気はスラグ
中のSと選択的に反応してSO2を発生させるので、ス
ラグ中のSが除去される。空気の吹込みは溶融状態のス
ラグを加熱しながら行われるので、スラグの温度は融点
以上に保持される。したがって、Sと空気との反応が促
進され、効率的に脱硫処理を行うことができる。また空
気はスラグ中に吹込まれるので、スラグの上方から空気
を吹付ける場合に比べてスラグの飛散を抑制することが
できる。したがってスラグロスを低減することができ
る。スラグは冷却されると変態による体積膨張が生じて
粉化する。粉化したスラグは製団処理によって適正寸法
のブリケットまたはペレットに成形される。これによっ
て、扱いにくい粉化スラグを簡単な構成で確実に有効利
用することができる。
【0013】また本発明は、金属精錬炉から溶融状態の
スラグを排滓し、排滓されたスラグにB23を主成分と
する改質剤を投入し、スラグを加熱しながら、スラグに
2ガスまたはO2含有ガスを吹込み、その後スラグを冷
却して固化し、予め定める粒度になるように破砕し、ス
ラグから残留地金を回収することを特徴とする金属精錬
用フラックスの製造方法である。
【0014】本発明に従えば、B23系改質剤が溶融ス
ラグ中に投入されるので、スラグの結晶構造を変化する
ことができる。これによって、スラグの冷却中における
変態に伴う体積膨張を防止することができる。したがっ
て、スラグの粉化を防止し、スラグを塊状化することが
できる。その結果、粉化スラグの飛散による環境悪化を
防止することができる。
【0015】また本発明は、前記スラグの加熱がスラグ
にO2ガスまたはO2含有ガスとともに鉄粉またはカーボ
ンを吹込んで行われることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、鉄粉またはカーボンの吹
込みによってスラグの加熱が行われるので、簡単な構成
で効率的にスラグを加熱することができる。
【0017】また本発明は、金属精錬炉から溶融状態の
スラグを排滓し、排滓されたスラグを冷却して固化し、
さらにスラグから残留地金を回収し、スラグを溶解炉で
再溶解し、スラグにO2またはO2含有ガスを吹込み、そ
の後スラグを冷却して固化し、さらに予め定める粒度に
なるように破砕または製団処理することを特徴とする金
属精錬用フラックスの製造方法である。
【0018】本発明に従えば、排滓スラグを一旦冷却
し、引続き選鉱処理を行って地金をスラグから回収し、
その後スラグを溶解炉で再溶解して金属精錬用フラック
スが製造されるので、たとえば排滓スラグの温度が低く
て固化する前にスラグ中にO2ガスまたはO2含有ガスを
吹込む処理が実施できないときでも支障なく排滓スラグ
から金属精錬用フラックスを製造することができる。
【0019】また本発明は、金属精錬炉から溶融状態の
スラグを排滓し、排滓されたスラグを冷却して固化し、
さらにスラグから残留地金を回収し、スラグを溶解炉で
再溶解し、溶融状態のスラグにB23を主成分とする改
質剤を投入し、スラグにO2またはO2含有ガスを吹込
み、その後スラグを冷却して固化し、予め定める粒度に
なるように破砕することを特徴とする金属精錬用フラッ
クスの製造方法である。
【0020】本発明に従えば、地金をスラグから回収し
た後、スラグの再溶解が行われるので、スラグの溶解量
を低減することができ、省エネルギおよび処理時間の短
縮を図ることができる。また、B23系改質剤の投入に
よってスラグの粉化が防止されるので、スラグの取扱い
が容易になり、作業性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の金属精錬用フラ
ックスを好適に用いることのできる金属精錬炉である電
気炉3の構成を簡略化して示す断面図である。電気炉3
は、金属たとえばステンレス鋼の原料を溶解/精錬する
3相交流アーク式電気炉であり、炉本体4と炉蓋5と炉
蓋5に挿通される3本の電極6とを備える。炉本体4
は、上方に開口した有底円筒状容器であり、炉壁7と炉
床8とを備える。炉壁7には、出湯口9と排滓口10と
が形成されている。原料は電極6と原料との間に形成さ
れるアークによって溶解され、溶湯11として炉床8上
に貯留される。金属精錬用フラックス(以後、フラック
スと略称することがある)は、溶湯11上に投入されて
溶解し、溶湯11中の不純物元素であるSを除去する。
さらに、フラックスは溶湯11上に浮遊しているFe
O,Cr23,SiO2,Al23などの酸化物と融合
してスラグ13を形成する。溶湯11の脱硫処理および
温度調整などの精錬が終了すると、スラグ13はスラグ
ポット14内に排滓される。スラグ13の排滓が終了す
ると溶湯11は取鍋15内に出湯される。また、取鍋1
5内に排滓および出湯を同時に行った後、取鍋15から
スラグ13だけを除滓してもよい。
【0022】本発明のフラックスは、成分として少なく
ともCaO:40〜60質量%,CaF2:2〜20質
量%を含み、Sが0〜0.1質量%であり、さらに各成
分が予め融合されており、かつ1〜50mmの粒度を有
する。フラックスの各成分が融合されているとは、フラ
ックスが溶融状態から冷却固化されたものであること
を、換言すれば、フラックスが少なくとも一度溶解して
いることを意味する。このようなフラックスは、前記ス
ラグ13を出発原料とすることによって製造される。本
発明のフラックスは、各成分が予め融合されているの
で、非常に溶解しやすく滓化性が優れており、従来の未
融合フラックスよりも早期にフラックスとして作用す
る。
【0023】フラックスの残部の成分は、SiO2,A
23,MgO,MnO等の溶解/精錬過程で原料およ
び耐火物等から混入する成分である。これらの成分は、
原料および耐火物の種類によって変動するので、特定の
範囲に限定されるものではないけれども、一例を示せ
ば、たとえばSiO2:15〜30%,Al23:4〜
15%,MgO:10〜25%である。フラックスの成
分CaO,CaF2,Sが前記範囲に限定されるのは、
次の理由によるものである。
【0024】表1はフラックスの成分とフラックスの性
能評価との関係を示す表である。表1は、図1に示す電
気炉3の溶湯11上に実験No.1〜17に示す成分の
フラックスを投入し、フラックスの溶融度、脱硫能およ
び電気炉3の耐火物の溶損状況を評価したものである。
フラックスの溶融度は、フラックスの滓化性を表す指標
であり、次のようにして3段階で評価した。すなわち、
フラックスを電気炉3に投入し、一定時間後にフラック
スのサンプルを採取し、サンプル中の未溶解物の存在割
合を測定し、測定した未溶解物の存在割合に基づいて評
価した。フラックスの溶融度は、酸化物の還元度と相関
関係があり、溶融度が良好であるほど酸化物の還元度は
高くなる。フラックスの脱硫能は、フラックス投入前後
の溶湯のS含有率に基づいて3段階で評価した。耐火物
の溶損状況は目視観察によって3段階で評価した。表1
から、次のことが判る。
【0025】(1)フラックスのCaO,CaF2,S
濃度が前記成分範囲内であれば、実験No.1〜9に示
すように溶融度、脱硫能および耐火物の溶損状況の評価
はいずれも良好である。
【0026】(2)CaO濃度が前記下限値未満では、
Sと結合するCaが不足するので、実験No.10,1
1に示すように脱硫能の評価が不良である。また、フラ
ックスの融点が高くなり、溶融度の評価が低下する。
【0027】(3)CaO濃度が前記上限値を超える
と、前記(2)と同様フラックスの融点が高くなるの
で、実験No.12,13に示すように溶融度の評価が
不良である。また溶融度の評価が不良であるので、フラ
ックスと溶湯との反応が生じにくくなり、脱硫能の評価
が低下する。さらにCaOの使用量が増大し、コストア
ップになる。
【0028】(4)低融点のCaF2の濃度が前記下限
値未満では、フラックスの融点が高くなるので、実験N
o.14,15に示すように溶融度の評価が不良であ
る。
【0029】(5)CaF2の濃度が前記上限値を超え
ると、フラックスの融点が過度に低くなり過ぎて耐火物
との反応が促進されるので、実験No.16,17に示
すように耐火物溶損状況の評価が不良である。
【0030】(6)Sの濃度が前記上限値を超えると、
フラックスと溶湯との間のS分配比は限られているの
で、溶湯からSを充分に除去することができない。した
がって実験No.16,17に示すように脱硫能の評価
が不良である。
【0031】
【表1】
【0032】前述のように、CaOの成分範囲が40〜
60%に限定されるのは、前記(2),(3)の理由に
よるものである。またCaF2の成分範囲が2〜20%
に限定されるのは、前記(4),(5)の理由によるも
のである。また、Sの上限値が0.1%に限定されるの
は、前記(6)の理由によるものである。
【0033】精錬用フラックスの粒度が1〜50mmの
範囲の値に選ばれているのは、下限値未満の粒度ではフ
ラックスを電気炉3に装入したとき、集塵ファン(図示
せず)によって粉塵とともに吸引され、歩留りが低下す
るからである。また上限値を超える粒度では、溶解時間
が長くなり、滓化性が低下するからである。
【0034】このように、本発明の精錬用フラックスは
溶融状態から冷却固化されたものであり、かつ低融点の
CaF2を適正量含むので、従来のCaOとCaF2とか
ら成る未融合フラックスに比べて滓化性、反応性が優れ
ている。またCaOが適正量含まれており、かつSが低
濃度であるので、脱硫剤として好適に使用することがで
きる。また粒度が適正範囲に設定されているので、電気
炉3への投入時における吸引ロスを低減することがで
き、添加歩留りを向上することができる。
【0035】図2は、本発明の第1の実施の形態である
金属精錬用フラックスの製造方法を示すフローチャート
である。本発明のフラックスは、前述のように電気炉3
から排滓される溶融状態のスラグ(以後、溶融スラグと
呼ぶ)を出発原料として製造される。ステップa1で
は、電気炉3から溶融スラグがスラグポット14に排滓
される。通常、溶融スラグの成分は、Sが0.2〜0.
5%含まれている点を除いて前記フラックスの成分とほ
ぼ同一である。これは、従来の未融合フラックスを用い
る場合でも表1に示す評価基準(溶融度、脱硫能、耐火
物の溶損状況)と同一の評価基準でCaOおよびCaF
2の投入量が設定されるからである。溶融スラグの成分
がSを除いて前記フラックスの成分から外れているとき
には、成分調整を行えばよい。
【0036】ステップa2では、溶融スラグの酸化処理
が行われる。酸化処理は、溶融スラグ中に酸化性ガスで
あるO2ガスまたはO2含有ガスを吹込むことによって行
われる。本実施の形態では空気が吹込まれる。空気の吹
込みは、図3に示すようにスラグポット14内の溶融ス
ラグ13中にAl23系セラミックスから成るランス1
7を装入し、空気圧縮機18から圧縮空気をランス17
に供給することによって行われる。さらにランス17に
は、粉体吹込み装置19から鉄粉が供給され、圧縮空気
とともに溶融スラグ13中に吹込まれる。
【0037】溶融スラグ13中に吹込まれた空気は、C
aOおよびCaF2が酸化雰囲気中では安定なので、溶
融スラグ13中のSと選択的に反応してSO2を発生
し、後述の実施例1に示すように溶融スラグ13中から
Sを選択的に除去する。溶融スラグ13中に吹込まれた
鉄粉は、酸化されて酸化熱を発生し、空気吹込みによる
溶融スラグ13の温度低下を補償して溶融スラグ13の
温度を融点以上に保持する。発生したSO2は集塵フー
ド20を介して吸引され、排ガス処理装置21におい
て、たとえば水に吸収されて硫酸水として回収される。
このようにして、溶融スラグ中のSは酸化処理によって
脱硫される。したがって以後、酸化処理を脱硫処理と呼
ぶことがある。
【0038】溶融スラグ13中に吹込まれる酸化性ガス
は空気に限定されるものではなく、空気に代わってO2
ガスを吹込んでもよい。この場合の脱硫性能については
後述の実施例2に示す。また空気とは別のO2含有ガ
ス、たとえばアルゴン−酸素混合ガスを吹込んでもよ
い。また鉄粉に代わってカーボンを粉体吹込み装置19
から吹込んでもよい。
【0039】ステップa3では、脱硫処理された溶融ス
ラグの冷却処理が行われる。この処理は次のいずれかの
方法で行われる。すなわち、スラグポット14をスラグ
処理場に運び、いわゆるノロ畑に溶融スラグを排出し、
散水して固化させた後、さらに散水を続けて冷却を進行
させる。ノロ畑を使用しない場合には、スラグポット1
4内で溶融スラグを固化させた後、上部から散水して表
層から徐々に冷却し、水を下方に浸透させて冷却を進行
させる。このように、固化後さらにスラグの冷却を進行
させると、スラグ中のダイカルシウムシリケート(2C
aO・SiO2)が約850℃でα´からγに変態し、
この変態時の体積膨張によってスラグが粉化する。した
がって、冷却処理終了時には、スラグの大部分が粉状ス
ラグになる。粉状スラグの粒度は、たとえば1mm未満
である。
【0040】ステップa4では、選鉱処理が行われる。
この処理は、未粉化のまま残留したスラグを破砕し、ふ
るい分けして粉状スラグと塊状(粒状)スラグとに分別
し、磁選してスラグ中からメタル分である残留地金を回
収することによって行われる。回収した地金は原料とし
て電気炉3で再使用される。分別された塊状スラグは、
破砕品と呼ばれ、そのままフラックスとして使用され
る。破砕品の粒度はたとえば1〜30mmである。分別
された粉状スラグは、さらに次のステップa5で処理さ
れる。
【0041】ステップa5では粉状スラグの製団処理が
行われる。製団処理は、粉状スラグをペレットまたはブ
リケットなどに加工する処理である。この処理は、粉状
スラグに水およびバインダを適正量配合し、パン型ペレ
タイザまたはロール式ブリケットマシーンに供給し、予
め定める粒度に成形加工することによって行われる。バ
インダとしては、セメント、水ガラス、デンプン、ター
ル、パルプ廃液等が用いられる。水の配合量は、粉状ス
ラグの保有する水分量を考慮して決定される。したがっ
て、粉状スラグの水分量が過大(たとえば30%以上)
である場合には、粉状スラグを乾燥して用いることが望
ましい。前記ペレットの粒度は、たとえば5〜30mm
であり、前記ブリケットの粒度はたとえば20〜50m
mである。ステップa6では、ペレットまたはブリケッ
ト状の金属精錬用フラックスの製造が終了する。
【0042】このように本実施の形態では、フラックス
が電気炉3から排滓された溶融スラグを原料として製造
されるので、スラグを溶解する必要がなく、省エネルギ
を図ることができる。また溶融スラグ中へ装入されたラ
ンス17を介して圧縮空気が吹込まれるので、吹込まれ
た空気が溶融スラグ中に気泡となって分散し、空気とS
との反応面積を増大する。したがって、SO2の発生量
が増大し、溶融スラグの脱硫処理を効率よく行うことが
できる。また溶融スラグ中へ圧縮空気が吹込まれるの
で、溶融スラグの上方から圧縮空気が吹付けられる場合
に比べて溶融スラグの飛散を抑制することができる。し
たがって、スラグロスを低減することができる。
【0043】また溶融スラグ中へ圧縮空気ととともに鉄
粉またはカーボンが吹込まれるので、酸化熱を発生して
溶融スラグを加熱することができる。したがって簡単な
構成で確実に溶融スラグの温度を融点以上に保持するこ
とができる。この結果、SとO2との反応を促進するこ
とができ、溶融スラグを効率的に脱硫処理することがで
きる。また粉状スラグに製団処理が施されるので、粉状
スラグを適正寸法のブリケットまたはペレットに成形す
ることができる。したがって、扱いにくい粉状スラグを
簡単な構成で確実に有効処理することができる。
【0044】また空気による酸化処理によって溶融スラ
グ中のSを選択的に除去することができるので、精錬
時、溶湯中のSがスラグ中に移行して溶融スラグ中のS
濃度が増加しても、溶融スラグを脱硫処理によって容易
にフラックスとして再生することができる。この結果、
再生したフラックスを電気炉3で再使用すれば、発生し
た溶融スラグをほぼ全量リサイクルすることができる。
また、リサイクルを繰返した場合、溶湯および耐火物か
らSiO2,Al23などがスラグ中に移行して蓄積さ
れるので、スラグ中のCaO,CaF2の濃度が相対的
に低下する。このようにしてスラグ中のCaO,CaF
2の濃度が前記フラックスの適正成分範囲から外れると
きには、適宜成分調整を行えばよい。
【0045】図4は本発明の第2の実施の形態である金
属精錬用フラックスの製造方法を示すフローチャートで
ある。ステップb1では、電気炉3から溶融スラグがス
ラグポット14に排滓される。ステップb2では、スラ
グの改質処理が行われる。スラグの改質処理は、スラグ
を冷却しても粉化しないように改質する処理であり、改
質剤を溶融スラグ中に投入することによって行われる。
この改質剤は、B23を主成分として含む。改質剤の投
入は、冷却中における前記変態に伴う体積膨張を防止す
る。したがって改質剤の投入によってスラグの粉化を防
止し、スラグを塊状化することができる。改質剤の成分
は、たとえばB23:70質量%,Na2O:30質量
%であり、その融点は750℃である。
【0046】ステップb3〜b4では、前記ステップa
2〜a3と同様に酸化処理および冷却処理が行われる。
本実施の形態では、前記改質剤の作用によって冷却処理
後、塊状のスラグが得られる。スラグの粒度は大部分2
mm以上である。ステップb5では、選鉱処理が行われ
る。この処理では、塊状のスラグを破砕し、ふるい分け
して予め定める粒度の破砕品と少量の粉状のスラグとに
分別し、磁選によつてスラグから残留地金を回収する。
破砕品はそのままフラックスとして使用される。破砕品
の粒度は、たとえば1〜30mmである。分別された少
量の粉状のスラグには、前記製団処理が施される。ステ
ップb6では、破砕品と呼ばれる金属精錬用フラックス
の製造が終了する。
【0047】このように本実施の形態では、B23系改
質剤の投入によってスラグの粉化を防止し、スラグを塊
状化することができるので、粉化スラグの飛散による環
境悪化を防止することができる。また取扱いやすい破砕
品が大部分を占め、取扱いにくい粉状スラグが少量に止
まるので、全体の作業性を向上することができる。さら
に、本実施の形態は前記第1の実施の形態と共通する構
成に対して同一の効果を奏することができる。
【0048】図5は、本発明の第3の実施の形態である
金属精錬用フラックスの製造方法を示すフローチャート
である。ステップc1では、電気炉3から溶融スラグが
スラグポット14に排滓される。ステップc2では、前
記図2のステップa3と同様の方法でスラグの冷却処理
が行われる。これによって、冷却処理後、粉状または塊
状のスラグが得られる。ステップc3では、選鉱処理が
行われる。この処理は冷却処理後のスラグをふるい分け
して、粉状スラグと少量の塊状スラグとに分別し、磁選
によってスラグから残留地金を回収する。地金回収後の
塊状スラグは、埋立処理などに用いられる。
【0049】ステップc4では、溶解処理が行われる。
この処理は、地金回収後の粉状スラグを図6に示すよう
にスラグ溶解炉24に装入し、スラグ溶解炉24の3本
の電極25に通電することによって行われる。ステップ
c5では、溶融スラグの酸化処理が行われる。本実施の
形態の酸化処理は空気を吹込むことによって行われる。
空気の吹込みは、スラグ溶解炉24内の溶融スラグ13
中にAlO3系セラミックスから成るランス26を装入
し、空気圧縮機27から圧縮空気をランス26に供給す
ることによって行われる。空気吹込み中溶融スラグは電
極25によって引続き加熱される。これによって、空気
吹込みによる溶融スラグの温度低下を補償して溶融スラ
グの温度を融点以上に保持することができる。溶融スラ
グ中に吹込まれた空気は、前述のように溶融スラグ中の
Sと選択的に反応してSO2を発生し、溶融スラグ中か
らSを選択的に除去する。発生したSO2は、集塵フー
ド28を介して吸引され、排ガス処理装置29におい
て、たとえば水に吸収されて硫酸水として回収される。
【0050】ステップc6〜c8では、前記図2のステ
ップa3,a5,a6と全く同一の処理が行われ、冷却
処理および製団処理を経てブリケットまたはペレット状
の金属精錬用フラックスが製造される。また、ステップ
c6の冷却処理で未粉化のまま残留したスラグは予め定
める粒度になるように破砕され、破砕品フラックスとし
て製品化される。
【0051】このように本実施の形態では、排滓スラグ
を一旦冷却し、引続き選鉱処理を行って地金をスラグか
ら回収し、その後スラグを溶解炉で再溶融し、溶融スラ
グに前記第1の実施の形態と同様の処理が行われる。こ
れによって、排滓スラグの温度が低いなどの理由でスラ
グポット14内のスラグが固化する前にスラグ中に空気
を吹込むことができないときでも、支障なく排滓スラグ
から金属精錬用フラックスを製造することができる。ま
た地金をスラグから回収した後、スラグの再溶融が行わ
れるので、スラグの溶解量を低減することができ、省エ
ネルギおよび処理時間の短縮を図ることができる。さら
に本実施の形態は、第1の実施の形態と共通する構成に
対して同一の効果を奏することができる。
【0052】図7は、本発明の第4の実施の形態である
金属精錬用フラックスの製造方法を示すフローチャート
である。ステップd1〜d4では、図5に示す第3の実
施の形態のステップc1〜c4と全く同一の処理が行わ
れ、排滓処理、冷却処理、選鉱処理、溶解処理を経てス
ラグがスラグ溶解炉24内で再溶融される。ステップd
5では、再溶融スラグの改質処理が行われ、再溶融スラ
グ中へB23系改質剤の投入が行われる。この処理は図
4に示す第2の実施の形態のステップb2と全く同一の
処理であり、後続の冷却処理におけるスラグの粉化を防
止する。ステップd6では、再溶融スラグの酸化処理が
行われる。この処理は、前記図5のステップc5と全く
同様にスラグ溶解炉24の電極25によって再溶融スラ
グを加熱しながら行われる。ステップd7,d8では、
前記図4のステップb4,b6と全く同一の処理が行わ
れ、冷却処理を経て破砕品と呼ばれる金属精錬用フラッ
クスが製造される。
【0053】このように本実施の形態では、排滓スラグ
を一旦冷却し、引続き選鉱処理を行って残留地金をスラ
グから回収し、その後スラグを溶解炉で再溶解し、溶融
スラグに前記第2の実施の形態と同様の処理が行われ
る。これによって、本実施の形態は前記第2および第3
の実施の形態と共通する構成に対してそれぞれ同一の効
果を奏することができる。
【0054】以上述べたように、本発明のフラックスの
粒度は1〜50mmの範囲の値に設定されているけれど
も、これに限定されるものではなくフラックスを溶湯中
に吹込んで使用するときには、1mm未満の粉状のフラ
ックスを用いてもよい。また第1および第2の実施の形
態では、スラグポット14内に排滓した溶融スラグの加
熱を鉄粉またはカーボンの吹込みによって行っているけ
れども、他の方法、たとえばバーナ加熱などによって行
ってもよい。
【0055】(実施例1)図3に示すようにスラグポッ
ト14内の溶融スラグ中に圧縮空気を鉄粉ととも吹込
み、溶融スラグを酸化処理して吹込み前後のスラグ成分
を比較した。処理条件は、空気供給流量:350リット
ル/分,スラグ温度:1400℃,吹込み時間30分で
あった。空気吹込み前後のスラグ成分を表2に示す。
【0056】表2から空気吹込みによって、スラグ中の
Sを0.1%未満に低減することが可能であること、C
aO,CaF2など他の成分はほとんど変化しないこと
などが判る。したがって、空気吹込みによってスラグ中
のSを選択的にかつ効率的に除去することができる。
【0057】
【表2】
【0058】(実施例2)図3の空気圧縮機18に代え
て酸素ガス供給装置を設け、スラグポット14内の溶融
スラグ中に酸素ガスを鉄粉とともに吹込み、溶融スラグ
を酸化処理して吹込み前後のスラグ成分を比較した。処
理条件は、酸素ガスの供給流量:30リットル/分,ス
ラグ温度1450℃,吹込み時間20分であった。吹込
み前後のスラグ成分を表3に示す。
【0059】表3から、酸素ガスの吹込みによって、表
2の空気吹込みと同様の結果が得られること、さらにス
ラグ中のSを空気吹込みの場合よりも大幅に低減するこ
とができることなどが解る。したがって、吹込みガス中
のO2濃度を増大するほど酸化処理における脱硫効率を
向上することができる。
【0060】
【表3】
【0061】(実施例3)表2に示す脱硫処理したスラ
グを製団処理し、成形したブリケットを図1に示す電気
炉3にフラックスとして投入し、ステンレス鋼溶銑の精
錬を行った。また、比較として従来のCaOフラックス
を使用してステンレス鋼溶銑の精錬を行い両者の精錬能
を比較した。ブリケットは、乾粉状態の脱硫処理スラグ
に水:10%,セメント:5%を添加し、混練機で充分
に混練し、ロール式のブリケットマシーンで37mm×
37mm×22mmの大きさに成形した。成形時におけ
るロール有効幅当りの荷重は7.6トン/cmであっ
た。成形したブリケットは3日間養生期間を設けた後、
使用に供した。35トン電気炉3にスクラップおよびス
ケール等の低品位原料を装入して溶解し、溶解終了と同
時にフラックスを1200kg装入し、10分間加熱保
持した後、スラグおよび溶湯サンプルを採取し、採取し
たサンプルの分析を行った。溶製は、本発明のフラック
スを使用した発明例および塊状のCaOフラックスを使
用した比較例とも各2チャージずつ繰返した。CaOフ
ラックスの粒度は、本発明のフラックスと等価に調整し
た。
【0062】表4に発明例1,2および比較例1,2の
スラグ中Cr23濃度、溶銑中S濃度およびフラックス
の添加歩留りを示す。フラックスの添加歩留まりは、集
塵ファンによって吸引された未反応の飛散フラックス量
に基づいて算出した。表4から次のことが判る。
【0063】(a)スラグ中Cr23濃度は、発明例
1,2の方が比較例1,2よりも低濃度である。したが
って、発明例の方が比較例よりもCr23の還元度が高
い。これは、発明例のフラックスが前述のように溶解し
やすく、比較例のCaOフラックスよりも滓化性、反応
性に優れていることによる、すなわち、発明例は比較例
よりも溶銑とスラグとの反応が早期に生じ、スラグ中の
Cr23が溶銑中のSi,Cによって還元されやすい。
【0064】(b)溶銑中S濃度は発明例1,2の方が
比較例1,2よりも低濃度である。したがって、発明例
の方が比較例よりも溶銑中Sの脱硫度が高い。これは
(a)の場合と同様に発明例では比較例よりも溶銑とス
ラグとの反応が早期に生じ、溶銑鉄中のSがスラグ中の
CaOによって脱硫されやすいことによる。
【0065】(c)フラックスの添加歩留りは、発明例
1,2の方が比較例1,2よりも高歩留りである。これ
は、発明例のフラックスの下限粒度が適正に設定されて
おり、さらに製団処理されたフラックスの強度がバイン
ダによって高強度化されていることによる。すなわち、
粒度の過小なフラックスは、集塵ファンによって吸引さ
れ、添加歩留りが低下する。また低強度のフラックスは
電気炉3内に添加されると、崩壊して微粉の割合が増加
し、添加歩留りが低下する。
【0066】
【表4】
【0067】このように、本発明のフラックスを使用し
た発明例は、従来のCaOフラックスを使用した比較例
よりも、スラグ中Cr23の還元度、溶銑中Sの脱硫度
およびフラックスの添加歩留りがともに優れている。し
たがって本発明のフラックスは金属精錬用フラックスと
して好適に使用することができる。
【0068】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の本発明によ
れば、本発明の金属精錬用フラックスはCaOが充分に
含まれており、かつSが低濃度であるので、脱硫剤とし
て好適に使用することができる。また各成分が予め融合
されており、かつ低融点のCaF2 を適正量含むので、
従来の未融合のフラックスに比べて滓化性、反応性が優
れている。また酸化処理によってSをSO2として選択
的に除去することができるので、スラグを金属精錬用フ
ラックスとして容易に再生することができる。したがっ
て、発生したスラグをほぼ全量リサイクルすることがで
きる。
【0069】また請求項2記載の本発明によれば、金属
精錬用フラックスの粒度が適正範囲の値に選ばれている
ので、集塵ファンによる吸引ロスが防止され、歩留まり
が向上する。
【0070】また請求項3記載の本発明によれば、溶融
状態のスラグ中に、O2含有ガスたとえば空気が吹込ま
れ、空気はスラグ中のSと選択的に反応してSO2を発
生させるので、スラグ中のSを効率的に除去することが
できる。空気の吹込みは、溶融状態のスラグを加熱しな
がら行われるので、Sと空気との反応が促進され、効率
的に脱硫処理を行うことができる。また粉化したスラグ
は製団処理によって適正寸法のブリケットまたはペレッ
トに成形されるので、扱いにくい粉化スラグを簡単な構
成で確実に有効利用することができる。
【0071】また請求項4記載の本発明によれば、B2
3 系改質剤が溶融スラグ中に投入されるので、スラグ
の粉化を防止し、スラグを塊状化することができる。そ
の結果粉化スラグの飛散による環境悪化を防止すること
ができる。
【0072】また請求項5記載の本発明によれば、鉄粉
またはカーボンの吹込みによってスラグの加熱が行われ
るので、簡単な構成で効率的にスラグを加熱することが
できる。
【0073】また請求項6記載の本発明によれば、排滓
スラグを一旦冷却し、引続き選鉱処理を行って地金をス
ラグから回収し、その後スラグを溶解炉で再溶解して金
属精錬用フラックスが製造されるので、排滓スラグの温
度が低くて固化する前にスラグ中にO2ガスまたはO2
有ガスを吹込むことができないときでも支障なく排滓ス
ラグから金属精錬用フラックスを製造することができ
る。
【0074】また請求項7記載の本発明によれば、地金
をスラグから回収した後、スラグの再溶解が行われるの
で、スラグの溶解量を低減することができ、省エネルギ
および処理時間の短縮を図ることができる。またB23
系改質剤の投入によってスラグの粉化が防止されるの
で、スラグの取扱いが容易になり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属精錬用フラックスを好適に用いる
ことのできる金属精錬炉である電気炉3の構成を簡略化
して示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態である金属精錬用フ
ラックスの製造方法を示すフローチャートである。
【図3】スラグポット14内の溶融スラグに酸化処理を
施している状況を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態である金属精錬用フ
ラックスの製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態である金属精錬用フ
ラックスの製造方法を示すフローチャートである。
【図6】スラグ溶解炉24内の溶融スラグに酸化処理を
施している状況を示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態である金属精錬用フ
ラックスの製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 電気炉 13 スラグ 14 スラグポット 17,26 ランス 18,27 空気圧縮機 19 粉体吹込み装置 20,28 集塵フード 21,29 排ガス処理装置 24 スラグ溶解炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松下 哲也 福岡県北九州市小倉北区馬借3丁目6番42 号 日本磁力選鉱株式会社内 Fターム(参考) 4K013 BA05 CB09 EA03 EA09 FA05 4K014 AA02 AB03 AB16 AE01 CA01 CB05 CC07 CE01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属精錬炉の溶融金属上に投入され、溶
    融金属中の不純物元素を除去する金属精錬用フラックス
    であって、 少なくともCaO:40〜60%,CaF2:2〜20
    %を含み、Sが0〜0.1%であり、さらに各成分が予
    め融合されていることを特徴とする金属精錬用フラック
    ス。
  2. 【請求項2】 粒度が1〜50mmであることを特徴と
    する請求項1記載の金属精錬用フラックス。
  3. 【請求項3】 金属精錬炉から溶融状態のスラグを排滓
    し、排滓されたスラグを加熱しながらスラグ中にO2
    スまたはO2含有ガスを吹込み、その後スラグを冷却し
    て固化し、さらにスラグから残留地金を回収し、予め定
    める粒度になるように製団処理することを特徴とする金
    属精錬用フラックスの製造方法。
  4. 【請求項4】 金属精錬炉から溶融状態のスラグを排滓
    し、排滓されたスラグにB23を主成分とする改質剤を
    投入し、スラグを加熱しながら、スラグにO2ガスまた
    はO2含有ガスを吹込み、その後スラグを冷却して固化
    し、予め定める粒度になるように破砕し、スラグから残
    留地金を回収することを特徴とする金属精錬用フラック
    スの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記スラグの加熱がスラグにO2ガスま
    たはO2含有ガスとともに鉄粉またはカーボンを吹込ん
    で行われることを特徴とする請求項3または4記載の金
    属精錬用フラックスの製造方法。
  6. 【請求項6】 金属精錬炉から溶融状態のスラグを排滓
    し、排滓されたスラグを冷却して固化し、さらにスラグ
    から残留地金を回収し、スラグを溶解炉で再溶解し、ス
    ラグにO2またはO2含有ガスを吹込み、その後スラグを
    冷却して固化し、さらに予め定める粒度になるように破
    砕または製団処理することを特徴とする金属精錬用フラ
    ックスの製造方法。
  7. 【請求項7】 金属精錬炉から溶融状態のスラグを排滓
    し、排滓されたスラグを冷却して固化し、さらにスラグ
    から残留地金を回収し、スラグを溶解炉で再溶解し、溶
    融状態のスラグにB23を主成分とする改質剤を投入
    し、スラグにO2またはO2含有ガスを吹込み、その後ス
    ラグを冷却して固化し、予め定める粒度になるように破
    砕することを特徴とする金属精錬用フラックスの製造方
    法。
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