JPH07300331A - 金属含有酸化物から有価金属及び無機質繊維を同時に製造する方法 - Google Patents

金属含有酸化物から有価金属及び無機質繊維を同時に製造する方法

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JPH07300331A
JPH07300331A JP11342994A JP11342994A JPH07300331A JP H07300331 A JPH07300331 A JP H07300331A JP 11342994 A JP11342994 A JP 11342994A JP 11342994 A JP11342994 A JP 11342994A JP H07300331 A JPH07300331 A JP H07300331A
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Japan
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slag
metal
ore
furnace
inorganic fiber
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JP11342994A
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English (en)
Inventor
Kosuke Murai
浩介 村井
Yoshisada Soga
義貞 曽我
Hiromasa Yakushiji
弘昌 薬師寺
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Taiheiyo Kinzoku KK
Pacific Metals Co Ltd
Original Assignee
Taiheiyo Kinzoku KK
Pacific Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属含有酸化物から有価金属を回収するにあ
たり、溶融還元して得られた有価金属の回収だけでな
く、溶融スラグを直接無機質繊維用原料として使用し無
機質繊維も同時に製造する方法を提供する。 【構成】 主原料として有価金属を含む酸化鉱石と、副
原料としてレンガ屑、廃触媒、精錬スラグ等の酸化物材
料と、金属を還元するに必要な還元材とを混合し、還元
炉にて有価金属を溶融還元し、比重差によりメタルとス
ラグとを還元炉内で分離し、溶融還元メタルはメタルタ
ップ口より間欠的に出湯し、一方溶融スラグはスラグ口
より出滓することにより直接無機質繊維を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属含有酸化物から有
価金属を回収するにあたり、溶融還元して得られた有価
金属の回収だけでなく、回収金属量に対し、1〜8倍も
の溶融スラグを直接無機質繊維用原料として使用し無機
質繊維も同時に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鉱石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マ
ンガン鉱石、等の有価金属を含む酸化鉱石から、金属を
回収する方法は、これら酸化鉱石にコークス、石炭等の
還元材を加え、高炉、電気炉等の溶解炉にて溶融還元し
て有価金属を得ている。これに付随して発生する溶融ス
ラグは、一部セメント用や路盤材あるいは細骨材として
利用されているが、かならずしも全量が有効利用されて
いるとは言い難い。また、溶融スラグ量は、例えば、ニ
ッケル鉱石からフェロニッケルを製造する場合、メタル
量の6〜8倍、マンガン鉱石及びクロム鉱石からフェロ
マンガン、シリコンマンガン、フェロクロムを製造する
場合、ほぼメタル量と同等量発生する。従って、これら
のメタルを製造しようとする場合、メタルに必要な1〜
8倍ものエネルギーコストが必要となり、経済的にも問
題がある。
【0003】無機質繊維の製造は、固体状態の高炉スラ
グにけい石を10〜15%程度混合し、キューポラ及び
電気炉で溶解し、繊維化に適した粘性に調整後、遠心力
を利用して繊維化するスピニング法により製造してい
る。近年、省エネルギーの観点から、高炉から出滓した
溶融スラグを電気炉に装入し、けい石で成分調整後、繊
維化する方法が行われている。省エネルギーの点から見
ると後者の方が利点があるが、溶融スラグを使用するた
め、そのハンドリングが繁雑であり、又けい石を溶解す
る場合、けい石と溶融高炉スラグとの融点差が約400
℃もあり、けい石を完全に溶解するのに長時間必要と
し、成分調整が難しく、従って無機質繊維の品質のバラ
ッキの原因となる。
【0004】さらに、溶融スラグを使用するため、直接
溶融スラグが炉壁ライニングと接触することから炉壁が
侵食され、炉壁の寿命が短くなるという問題がある。本
発明者らは、特開昭63−162544において、フェ
ロニッケル製錬スラグ、フェロクロム製錬スラグを出発
原料として無機質繊維を製造する方法を開示した。これ
により、利用価値の少なかった上記スラグの高付加価値
化が達成されたが、この場合においても、成分調整のた
めの新たな炉等の手段が別個に必要であり、これに要す
るエネルギーを必要とし、経済的に十分満足されている
とは言えなかった。又、溶融スラグを主原料とするた
め、いぜんとして炉壁ライニングの侵食問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する点は、鉄鉱石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マンガ
ン鉱石、マンガンノジュール、コバルトクラスト等の有
価金属を含む酸化鉱石を主原料とし、これに、副原料と
してレンガ屑、廃触媒、精錬スラグ、焼却灰、石炭燃焼
灰、けい砂、粘土等の安価な利用価値の少ない酸化物材
料を混合使用し、無機質繊維製造に適した成分にあらか
じめ調整後、さらにこれらに含まれている有価金属を溶
融還元するに必要な量の還元材と混合した後、電気炉、
キューポラ等の還元炉により溶融還元し、有価金属の製
造と同時に溶融スラグの全量を付加価値の高い無機質繊
維成品として直接製造することにより、製造された有価
金属の競争力をつけると同時に、今日的な問題となって
いる産業廃棄物処理問題をも解決することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
における問題点を解決するためになされたもので、その
要旨とするところは、主原料として鉄鉱石、ニッケル鉱
石、クロム鉱石、マンガン鉱石、マンガンノジュール、
コバルトクラスト等の有価金属を含む高価な酸化鉱石と
副原料としてレンガ屑、廃触媒、精錬スラグ、石炭燃焼
灰、焼却灰、けい石、粘土等の安価な利用価値の少ない
酸化物材料と、これらに含まれている有価金属を溶融還
元するに必要な量の還元材とを、生成スラグ組成が無機
質繊維製造に適した粘性を有するようにあらかじめ混合
し、電気炉、キューポラ等の還元炉により溶融還元して
得られたメタルとスラグとを還元炉内で比重差により分
離し、溶融還元メタルは、スラグ口より下に設けたメタ
ル口より間欠的に出湯し、一方溶融スラグはメタル口よ
り上に設けたスラグ口より連続的に一定量出滓し、スラ
グ樋を介して、遠心力を利用したスピンナー装置により
繊維化し、無機質繊維の効率的な製造を行うことによ
り、金属含有酸化物からの有価金属と無機質繊維を同時
に製造することを特徴とする。溶融スラグは、スラグ口
より連続的に一定量出滓し、直接繊維化するのが望まし
いが、間欠的に受滓鍋にスラグタップした後、繊維化し
ても良い。
【0007】
【作用】以下に本発明について詳細に説明する。鉄鉱
石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マンガン鉱石、マンガ
ンノジュール、コバルトクラスト等の有価金属を含む酸
化鉱石の1種類又は2種類以上と、レンガ屑、廃触媒、
精錬スラグ、石炭燃焼灰、焼却灰、けい石、粘土等の安
価な利用価値の少ない酸化物材料の1種類又は2種類以
上を使用する。これらに含まれる有価金属を溶融還元す
るに必要な還元材は、一般にコークスあるいは石炭を使
用するが、この使用量は、目的とする生成金属量に対し
て化学量論量の少なくとも0.8倍以上は必要である。
これ以下だと、溶融還元が不十分となり目的金属の還元
率が低下するばかりでなく、生成したメタル中のSi,
C含有量が低下し、メタルの融点が上昇することによ
り、還元炉内からの出湯を困難にさせる要因となる。ま
た、溶融還元が不十分になると、メタルの半溶解が生
じ、さらにスラグ中にメタル粒子が懸垂し、スラグ出滓
時にこれらが混入することとなる。
【0008】一方、溶融スラグは、直接無機質繊維の原
料として使用するため、上記酸化鉱石と酸化物材料の使
用にあたり、溶融スラグの粘性が5〜15ポイズになる
ように混合するのが望ましい。スラグの粘性が5ポイズ
以下となると粘性の不足により、スピンナー装置による
繊維化が困難となり、未繊維化いわゆるショット量が増
加し繊維の収率が悪くなる。又、15ポイズ以上となる
と、反対に粘性が高くなりすぎて繊維径が太くなり、し
なやかで柔軟な繊維ができなくなるばかりでなく、還元
炉内でのメタルとスラグの分離性が悪くなり、溶融スラ
グ中にメタルの微粒子が懸垂し、繊維化時に無機質繊維
にメタルが混入し、品質に悪影響を与える。さらに、こ
のメタル粒子が繊維化装置であるスピンナーに接触し、
スピンナーの寿命を低下させる。
【0009】図1は、溶融還元電気炉による原料装入か
ら有価金属及び無機質繊維の製造までの概略図である。
溶融還元電気炉への原料装入は、溶融スラグを連続的に
出滓することから、その処理量に合わせて所定量の上記
混合原料1を溶融還元炉2に投入することにより達成で
きるが、炉上に設けた原料貯蔵タンク3から投原シュー
ト4を介して、炉内へ連続的に切れ間なく装入するいわ
ゆるチョークフィード方式を取ることにより一層原料装
入管理が容易となる。さらに、投原シュートを電極5の
回りに配置することにより、電極からの熱エネルギーが
有効に利用でき混合原料の溶解速度を速め、さらに投原
シュートを炉壁6の回りにも配置することにより、この
投原シュートから装入された原料が断熱材の役割とな
り、いわゆるセルフライニング7を形成し、炉壁を保護
することにより、炉寿命の向上が達成出来る。電極回り
で還元材により溶融還元した混合原料は、比重差により
メタル8とスラグ9に分離し、メタルはメタルタップ口
10から間欠的に出湯する。スラグはメタルタップ口よ
り上方に設けたスラグタップ口11により連続的に出滓
し、スラグ樋12を介して直接繊維化装置であるスピン
ナー13により、無機質繊維14を製造する。このよう
に、あらかじめ混合した原料を使用し、溶融還元による
メタルとスラグの生成から無機質繊維の製造にいたるま
で連続的に行うことから、溶融スラグの組成変化が少な
く、バラツキのない良好な品質の無機質繊維が得られ
る。
【0010】
【実施例】以下の実施例及び比較例において、表1に用
いた原料の混合比率と還元材量を示す。又、表2には、
各実施例と比較例の結果を総括して示す。 (実施例1)ニッケル鉱石:65%、レンガ屑:15
%、ニッケル廃触媒:20%のdry重量換算比率で混
合し、還元材として石炭を使用した。還元材量は、上記
原料中に含まれる有価金属を溶融還元し、メタルとして
生成するに必要な化学量論量の1.2当量を使用した。
溶融還元炉は、変圧器容量5000KVAの電気炉を用
いた。混合原料の使用量は、4.3T/Hrであり、メ
タルタップは、12時間に1回の間欠タップを行い、1
タップ当たり7.2Tのメタルが得られた。この得られ
たメタル組成は、C:2.0%、Si:2.5%、Fe
+Ni+Cr+Co+他:95.5%の流動性の良好な
溶湯であった。一方、スラグは、スラグタップ口より
3.7T/Hrの割合で連続的に出滓し、樋を介して繊
維化装置であるスピンナーへ直接装入し、無機質繊維を
製造した。その時の溶融スラグの粘性は、8.9ポイズ
であり、繊維化時の収率(スラグ量に対する無機質繊維
の生成量)は85%と良好であった。又、スラグ出滓時
のスラグ中のメタル混入も無く、安定した操業が達成さ
れた。こにようにして得られた無機質繊維の性状は、平
均繊維径:4.3μm,ショット含有量:0.4%の良
好な品質の成品であった。
【0011】(実施例2)使用原料と比率をクロム鉱
石:65%、レンガ屑:25%、精錬スラグ:10%と
し、還元材としてコークスを1.3当量使用した以外
は、実施例1と同様に行った。メタルタップは、4時間
に1回の間欠タップで行い、これにより得られたメタル
組成は、C:6.5%、Si:3.6%、Fe+Cr+
他:89.9%の流動性の良好な溶湯であった。スラグ
についても実施例1と同様に行った。溶融スラグの粘性
は6.7ポイズであり、繊維化時の収率は84%で、得
られた無機質繊維の性状は、平均繊維径:4.5μm,
ショット含有量:0.5%の良好な品質の成品であっ
た。又、スラグ出滓時のスラグ中のメタル混入も無く、
安定した操業が達成された。
【0012】(実施例3)使用原料と比率をマンガン鉱
石:70%、レンガ屑:20%、燃焼灰:10%とし、
還元材としてコークスを1.3当量使用した以外は、実
施例1と同様に行った。メタルタップは、4時間に1回
の間欠タップで行い、これにより得られたメタル組成
は、C:6.5%、Si:0.2%、Fe+Mn+他:
93.4%の流動性の良好な溶湯であった。スラグにつ
いても実施例1と同様に行った。溶融スラグの粘性は
6.0ポイズであり、繊維化時の収率は82%で、得ら
れた無機質繊維の性状は、平均繊維径:4.2μm,シ
ョット含有量:0.5%の良好な品質の成品であつた。
又、スラグ出滓時のスラグ中のメタル混入も無く、安定
した操業が達成された。
【0013】(比較例1)使用原料としてニッケル鉱石
を単味で使用し、還元材として石炭を1.2当量使用し
た以外は、実施例1と同様に行った。メタルタップは、
12時間に1回の間欠タップで行い、これにより得られ
たメタル組成は、C:2.2%、Si:1.8%、Fe
+Ni+Cr+Co+他:96.0%の流動性の良好な
溶湯であつた。スラグについても実施例1と同様に行っ
たが、溶融スラグの粘性は1.7ポイズと非常に低く繊
維化時の収率はわずか8%と著しく低く悪かった。又、
得られた無機質繊維の性状は、平均繊維径:2.7μ
m,ショット含有量:15.6%であり、品質に問題が
あった。
【0014】(比較例2)使用原料とその比率は実施例
2と同様であるが、還元材としてコークスを0.7当量
使用して行った。メタルタップは、4時間に1回の間欠
タップで行ったが、メタル組成のC,Si含有量が少な
く、C:0.8%、Si:0.1%、Fe+Cr+他:
99.1%であり、メタル融点の上昇を招き、メタルタ
ップ口より出湯が困難となつた。一方、スラグタップに
おいても、スラグ中にメタル粒子が懸垂し、スラグとメ
タルが混入した状態で出滓した。又、スラグの粘性も
1.9ポイズと低下し、繊維化時の収率も6%と著しく
低下した。得られた無機質繊維の性状は、平均繊維径:
2.9μm,ショツト含有量:17.8%であり、品質
に問題があった。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、原料、副原料、還元材
の各種成分を調整混合して処理するので、金属含有酸化
物から有価金属を歩留が高く、かつ効率良く回収出来る
だけでなく、それに付随して発生するスラグも成分の適
中が高く、溶滓のまま直接品質のバラツキのない優れた
無機質繊維製品として製造できるため、これまで以上に
金属含有酸化物の有効利用が可能となる。また本発明
は、メタルとスラグを同時に製造するので、エネルギー
コストが低くでき経済的なメリットも大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融還元電気炉による原料装入から有価金属及
び無機質繊維の装置までの概略図。
【符号の説明】
1 混合原料 2 溶融還元炉 3 原料貯蔵タンク 4 投原シュート 5 電極 6 炉壁 7 セルフライニング 8 メタル 9 スラグ 10 メタルタップ口 11 スラグタップ口 12 スラグ樋 13 スピンナー 14 無機質繊維
【表1】
【表2】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月20日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属含有酸化物から有
価金属を回収するにあたり、溶融還元して得られた有価
金属の回収だけでなく、回収金属量に対し、1〜8倍も
の溶融スラグを直接無機質繊維用原料として使用し無機
質繊維も同時に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鉱石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マ
ンガン鉱石、等の有価金属を含む酸化鉱石から、金属を
回収する方法は、これら酸化鉱石にコークス、石炭等の
還元材を加え、高炉、電気炉等の溶解炉にて溶融還元し
て有価金属を得ている。これに付随して発生する溶融ス
ラグは、一部セメント用や路盤材あるいは細骨材として
利用されているが、かならずしも全量が有効利用されて
いるとは言い難い。また、溶融スラグ量は、例えば、ニ
ッケル鉱石からフェロニッケルを製造する場合、メタル
量の6〜8倍、マンガン鉱石及びクロム鉱石からフェロ
マンガン、シリコンマンガン、フェロクロムを製造する
場合、ほぼメタル量と同等量発生する。従って、これら
のメタルを製造しようとする場合、メタルに必要な1〜
8倍ものエネルギーコストが必要となり、経済的にも問
題がある。
【0003】無機質繊維の製造は、固体状態の高炉スラ
グにけい石を10〜15%程度混合し、キューポラ及び
電気炉で溶解し、繊維化に適した粘性に調整後、遠心力
を利用して繊維化するスピニング法により製造してい
る。近年、省エネルギーの観点から、高炉から出滓した
溶融スラグを電気炉に装入し、けい石で成分調整後、繊
維化する方法が行われている。省エネルギーの点から見
ると後者の方が利点があるが、溶融スラグを使用するた
め、そのハンドリングが繁雑であり、又けい石を溶解す
る場合、けい石と溶融高炉スラグとの融点差が約400
℃もあり、けい石を完全に溶解するのに長時間必要と
し、成分調整が難しく、従って無機質繊維の品質のバラ
ッキの原因となる。
【0004】さらに、溶融スラグを使用するため、直接
溶融スラグが炉壁ライニングと接触することから炉壁が
侵食され、炉壁の寿命が短くなるという問題がある。本
発明者らは、特開昭63−162544において、フェ
ロニッケル製錬スラグ、フェロクロム製錬スラグを出発
原料として無機質繊維を製造する方法を開示した。これ
により、利用価値の少なかった上記スラグの高付加価値
化が達成されたが、この場合においても、成分調整のた
めの新たな炉等の手段が別個に必要であり、これに要す
るエネルギーを必要とし、経済的に十分満足されている
とは言えなかった。又、溶融スラグを主原料とするた
め、いぜんとして炉壁ライニングの侵食問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する点は、鉄鉱石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マンガ
ン鉱石、マンガンノジュール、コバルトクラスト等の有
価金属を含む酸化鉱石を主原料とし、これに、副原料と
してレンガ屑、廃触媒、精錬スラグ、焼却灰、石炭燃焼
灰、けい砂、粘土等の安価な利用価値の少ない酸化物材
料を混合使用し、無機質繊維製造に適した成分にあらか
じめ調整後、さらにこれらに含まれている有価金属を溶
融還元するに必要な量の還元材と混合した後、電気炉、
キューポラ等の還元炉により溶融還元し、有価金属の製
造と同時に溶融スラグの全量を付加価値の高い無機質繊
維成品として直接製造することにより、製造された有価
金属の競争力をつけると同時に、今日的な問題となって
いる産業廃棄物処理問題をも解決することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
における問題点を解決するためになされたもので、その
要旨とするところは、主原料として鉄鉱石、ニッケル鉱
石、クロム鉱石、マンガン鉱石、マンガンノジュール、
コバルトクラスト等の有価金属を含む高価な酸化鉱石と
副原料としてレンガ屑、廃触媒、精錬スラグ、石炭燃焼
灰、焼却灰、けい石、粘土等の安価な利用価値の少ない
酸化物材料と、これらに含まれている有価金属を溶融還
元するに必要な量の還元材とを、生成スラグ組成が無機
質繊維製造に適した粘性を有するようにあらかじめ混合
し、電気炉、キューポラ等の還元炉により溶融還元して
得られたメタルとスラグとを還元炉内で比重差により分
離し、溶融還元メタルは、スラグ口より下に設けたメタ
ル口より間欠的に出湯し、一方溶融スラグはメタル口よ
り上に設けたスラグ口より連続的に一定量出滓し、スラ
グ樋を介して、遠心力を利用したスピンナー装置により
繊維化し、無機質繊維の効率的な製造を行うことによ
り、金属含有酸化物からの有価金属と無機質繊維を同時
に製造することを特徴とする。溶融スラグは、スラグ口
より連続的に一定量出滓し、直接繊維化するのが望まし
いが、間欠的に受滓鍋にスラグタップした後、繊維化し
ても良い。
【0007】
【作用】以下に本発明について詳細に説明する。鉄鉱
石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マンガン鉱石、マンガ
ンノジュール、コバルトクラスト等の有価金属を含む酸
化鉱石の1種類又は2種類以上と、レンガ屑、廃触媒、
精錬スラグ、石炭燃焼灰、焼却灰、けい石、粘土等の安
価な利用価値の少ない酸化物材料の1種類又は2種類以
上を使用する。これらに含まれる有価金属を溶融還元す
るに必要な還元材は、一般にコークスあるいは石炭を使
用するが、この使用量は、目的とする生成金属量に対し
て化学量論量の少なくとも0.8倍以上は必要である。
これ以下だと、溶融還元が不十分となり目的金属の還元
率が低下するばかりでなく、生成したメタル中のSi.
C含有量が低下し、メタルの融点が上昇することによ
り、還元炉内からの出湯を困難にさせる要因となる。ま
た、溶融還元が不十分になると、メタルの半溶解が生
じ、さらにスラグ中にメタル粒子が懸垂し、スラグ出滓
時にこれらが混入することとなる。
【0008】一方、溶融スラグは、直接無機質繊維の原
料として使用するため、上記酸化鉱石と酸化物材料の使
用にあたり、溶融スラグの粘性が5〜15ポイズになる
ように混合するのが望ましい。スラグの粘性が5ポイズ
以下となると粘性の不足により、スピンナー装置による
繊維化が困難となり、未繊維化いわゆるショット量が増
加し繊維の収率が悪くなる。又、15ポイズ以上となる
と、反対に粘性が高くなりすぎて繊維径が太くなり、し
なやかで柔軟な繊維ができなくなるばかりでなく、還元
炉内でのメタルとスラグの分離性が悪くなり、溶融スラ
グ中にメタルの微粒子が懸垂し、繊維化時に無機質繊維
にメタルが混入し、品質に悪影響を与える。さらに、こ
のメタル粒子が繊維化装置であるスピンナーに接触し、
スピンナーの寿命を低下させる。
【0009】図1は、溶融還元電気炉による原料装入か
ら有価金属及び無機質繊維の製造までの概略図である。
溶融還元電気炉への原料装入は、溶融スラグを連続的に
出滓することから、その処理量に合わせて所定量の上記
混合原料1を溶融還元炉2に投入することにより達成で
きるが、炉上に設けた原料貯蔵タンク3から投原シュー
ト4を介して、炉内へ連続的に切れ間なく装入するいわ
ゆるチョークフィード方式を取ることにより一層原料装
入管理が容易となる。さらに、投原シュートを電極5の
回りに配置することにより、電極からの熱エネルギーが
有効に利用でき混合原料の溶解速度を速め、さらに投原
シュートを炉壁6の回りにも配置することにより、この
投原シュートから装入された原料が断熱材の役割とな
り、いわゆるセルフライニング7を形成し、炉壁を保護
することにより、炉寿命の向上が達成出来る。電極回り
で還元材により溶融還元した混合原料は、比重差により
メタル8とスラグ9に分離し、メタルはメタルタップ口
10から間欠的に出湯する。スラグはメタルタップ口よ
り上方に設けたスラグタップ口11により連続的に出滓
し、スラグ樋12を介して直接繊維化装置であるスピン
ナー13により、無機質繊維14を製造する。このよう
に、あらかじめ混合した原料を使用し、溶融還元による
メタルとスラグの生成から無機質繊維の製造にいたるま
で連続的に行うことから、溶融スラグの組成変化が少な
く、バラツキのない良好な品質の無機質繊維が得られ
る。
【0010】
【実施例】以下の実施例及び比較例において、表1に用
いた原料の混合比率と還元材量を示す。又、表2には、
各実施例と比較例の結果を総括して示す。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】(実施例1)ニッケル鉱石:65%、レン
ガ屑:15%、ニッケル廃触媒:20%のdry重量換
算比率で混合し、還元材として石炭を使用した。還元材
量は、上記原料中に含まれる有価金属を溶融還元し、メ
タルとして生成するに必要な化学量論量の1.2当量を
使用した。溶融還元炉は、変圧器容量5000KVAの
電気炉を用いた。混合原料の使用量は、4.3T/Hr
であり、メタルタップは、12時間に1回の間欠タップ
を行い、1タップ当たり7.2Tのメタルが得られた。
この得られたメタル組成は、C:2.0%、Si:2.
5%、Fe+Ni+Cr+Co+他:95.5%の流動
性の良好な溶湯であった。一方、スラグは、スラグタッ
プ口より3.7T/Hrの割合で連続的に出滓し、樋を
介して繊維化装置であるスピンナーへ直接装入し、無機
質繊維を製造した。その時の溶融スラグの粘性は、8.
9ポイズであり、繊維化時の収率(スラグ量に対する無
機質繊維の生成量)は85%と良好であった。又、スラ
グ出滓時のスラグ中のメタル混入も無く、安定した操業
が達成された。こにようにして得られた無機質繊維の性
状は、平均繊維径:4.3μm,シヨット含有量:0.
4%の良好な品質の成品であった。
【0014】(実施例2)使用原料と比率をクロム鉱
石:65%、レンガ屑:25%、精錬スラグ:10%と
し、還元材としてコークスを1.3当量使用した以外
は、実施例1と同様に行った。メタルタップは、4時間
に1回の間欠タップで行い、これにより得られたメタル
組成は、C:6.5%、Si:3.6%、Fe+Cr+
他:89.9%の流動性の良好な溶湯であった。スラグ
についても実施例1と同様に行った。溶融スラグの粘性
は6.7ポイズであり、繊維化時の収率は84%で、得
られた無機質繊維の性状は、平均繊維径:4.5μm,
ショット含有量:0.5%の良好な品質の成品であっ
た。又、スラグ出滓時のスラグ中のメタル混入も無く、
安定した操業が達成された。
【0015】(実施例3)使用原料と比率をマンガン鉱
石:70%、レンガ屑:20%、燃焼灰:10%とし、
還元材としてコークスを1.3当量使用した以外は、実
施例1と同様に行った。メタルタップは、4時間に1回
の間欠タップで行い、これにより得られたメタル組成
は、C:6.5%、Si:0.2%、Fe+Mn+他:
93.4%の流動性の良好な溶湯であった。スラグにつ
いても実施例1と同様に行った。溶融スラグの粘性は
6.0ポイズであり、繊維化時の収率は82%で、得ら
れた無機質繊維の性状は、平均繊維径:4.2μm,シ
ョット含有量:0.5%の良好な品質の成品であつた。
又、スラグ出滓時のスラグ中のメタル混入も無く、安定
した操業が達成された。
【0016】(比較例1)使用原料としてニッケル鉱石
を単味で使用し、還元材として石炭を1.2当量使用し
た以外は、実施例1と同様に行った。メタルタップは、
12時間に1回の間欠タップで行い、これにより得られ
たメタル組成は、C:2.2%、Si:1.8%、Fe
+Ni+Cr+Co+他:96.0%の流動性の良好な
溶湯であつた。スラグについても実施例1と同様に行っ
たが、溶融スラグの粘性は1.7ポイズと非常に低く繊
維化時の収率はわずか8%と著しく低く悪かった。又、
得られた無機質繊維の性状は、平均繊維径:2.7μ
m,ショット含有量:15.6%であり、品質に問題が
あった。
【0017】(比較例2)使用原料とその比率は実施例
2と同様であるが、還元材としてコークスを0.7当量
使用して行った。メタルタップは、4時間に1回の間欠
タップで行ったが、メタル組成のC,Si含有量が少な
く、C:0.8%、Si:0.1%、Fe+Cr+他:
99.1%であり、メタル融点の上昇を招き、メタルタ
ップ口より出湯が困難となつた。一方、スラグタップに
おいても、スラグ中にメタル粒子が懸垂し、スラグとメ
タルが混入した状態で出滓した。又、スラグの粘性も
1.9ポイズと低下し、繊維化時の収率も6%と著しく
低下した。得られた無機質繊維の性状は、平均繊維径:
2.9μm,ショツト含有量:17.8%であり、品質
に問題があった。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、原料、副原料、還元材
の各種成分を調整混合して処理するので、金属含有酸化
物から有価金属を歩留が高く、かつ効率良く回収出来る
だけでなく、それに付随して発生するスラグも成分の適
中が高く、溶滓のまま直接品質のバラツキのない優れた
無機質繊維製品として製造できるため、これまで以上に
金属含有酸化物の有効利用が可能となる。また本発明
は、メタルとスラグを同時に製造するので、エネルギー
コストが低くでき経済的なメリットも大である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄鉱石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マ
    ンガン鉱石、マンガンノジュール、コバルトクラスト等
    の金属含有酸化物からなる主原料と、レンガ屑、廃触
    媒、精錬スラグ、石炭燃焼灰、焼却灰、けい砂、粘土等
    からなる副原料と、石炭あるいはコークスからなる還元
    材とを混合し、還元炉にて有価金属を溶融還元し、比重
    差によりメタルとスラグとを還元炉内で分離し、溶融還
    元メタルはメタルタップ口より間欠的に出湯し、一方溶
    融スラグはスラグ口より出滓することにより直接無機質
    繊維を製造することを特徴とする金属含有酸化物から有
    価金属及び無機質繊維を同時に製造する方法。
JP11342994A 1994-05-02 1994-05-02 金属含有酸化物から有価金属及び無機質繊維を同時に製造する方法 Pending JPH07300331A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997021843A1 (de) * 1995-12-11 1997-06-19 'holderbank' Financiere Glarus Ag Verfahren zum aufbereiten von müll oder müllfraktionen, insbesondere autoshredderleichtfraktion
KR100718921B1 (ko) * 2005-10-21 2007-05-16 한국지질자원연구원 망간단괴 용융환원 제련시 금속계 폐자원 처리방법
CN102161567A (zh) * 2011-03-04 2011-08-24 山东鑫海科技股份有限公司 利用矿热电炉冶炼镍合金熔融废渣显热生产矿棉纤维的方法
KR101450658B1 (ko) * 2012-11-20 2014-10-21 한국지질자원연구원 용융 환원법을 이용한 희토류 농축 방법

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