JP2000225927A - 液圧システムおよびこの液圧システムを用いたブレーキシステム - Google Patents

液圧システムおよびこの液圧システムを用いたブレーキシステム

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JP2000225927A
JP2000225927A JP11026416A JP2641699A JP2000225927A JP 2000225927 A JP2000225927 A JP 2000225927A JP 11026416 A JP11026416 A JP 11026416A JP 2641699 A JP2641699 A JP 2641699A JP 2000225927 A JP2000225927 A JP 2000225927A
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stroke
brake
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hydraulic pressure
hydraulic
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JP11026416A
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Yuji Wachi
和知雄二
Toshiaki Fukushima
福島俊明
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Bosch Corp
Bosch Braking Systems Corp
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Bosch Braking Systems Co Ltd
Bosch Braking Systems Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】入力手段のストロークを従来に比べてはるかに
短い超ショートストロークに設定することで操作フィー
リングをより向上する。 【解決手段】第2のペダル77eが踏み込まれると、最
初、ブレーキペダル2からの反力がほとんどないので、
ペダルストローク発生手段77のスプリング77cが圧
縮変形しなく、ブレーキペダル2、第2のペダル77e
およびブレーキレバー2′が支軸2′aを中心に一体に
きわめてわずか微小ストローク(回動)する。その後、
ブレーキレバー2′およびブレーキペダル2がストロー
クしなくなると、第2のペダル77eへのペダル踏力で
第2のペダル77eがスプリング77cを圧縮変形させ
ながらブレーキペダル2に対してこのブレーキペダル2
に当接するまで相対ストロークする。このようにして、
実際の運転者の足がより適切な範囲にストロークし、超
ショートストロークとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキペダル等
の入力手段で液圧発生シリンダを作動し、この液圧発生
シリンダで発生された液圧によりアクチュエータを作動
する液圧システムの技術分野に属し、特に、入力手段の
ストロークが従来に比べてはるかに短縮された超ショー
トストロークに設定されるとともに、運転フィーリング
をより向上させた液圧システムおよびこの液圧システム
を用いたブレーキシステムの技術分野に属するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車のブレーキシステムにおいては、
ブレーキペダルのペダル踏力を液圧に変換し、この液圧
でブレーキを作動させるという液圧を用いたブレーキシ
ステムが採用されている場合が多い。図16は、このよ
うな液圧による従来の一般的なブレーキシステムの基本
的構成を模式的に示す図である。図中、aはブレーキシ
ステム、bはブレーキ操作を行うブレーキペダル、cは
ブレーキ液圧発生するタンデム型のマスタシリンダ(以
下、MCYともいう)、dはMCYcのプライマリピス
トン、eはMCYcのセカンダリピストン、f,gはリ
ターンスプリング、hは第1ブレーキ系統のプライマリ
液圧室、iは第2ブレーキ系統のセカンダリ液圧室、j
はブレーキ液を貯留するリザーバ、kはプライマリ液圧
室fとリザーバjとの間のブレーキ液のプライマリ側給
排通路、mはセカンダリ液圧室iとリザーバjとの間の
ブレーキ液のセカンダリ側給排通路、nは第1ブレーキ
系統のブレーキ液圧給排通路、oは第2ブレーキ系統の
ブレーキ液圧給排通路、p,qは第1ブレーキ系統のホ
イールシリンダ(以下、WCYともいう)、r,sは第
2ブレーキ系統のWCYである。
【0003】図16に示すように、このブレーキシステ
ムaにおいては、ブレーキペダルbの踏込でMCYcの
プライマリピストンdが図示の非作動位置から前進(図
において左動)し、このプライマリピストンdのシール
部(不図示)がプライマリ側給排通路kの開口(MCY
cの液圧室hへの開口)k1を通過して前進すると、プ
ライマリ液圧室hにMCY圧が発生する。このMCY圧
により、セカンダリピストンEが前進し、このセカンダ
リピストンEのシール部(不図示)がセカンダリ側給排
通路mの開口m1を通過して前進すると、セカンダリ液
圧室iにMCY圧が発生する。これらのMCY圧がそれ
ぞれ各ブレーキ系統のブレーキ液圧給排通路o,nを介
して各WCYp,q;r,sに導入されて、ブレーキがか
けられる。
【0004】このように、このブレーキシステムaで
は、ブレーキペダルbに加えられるペダル踏力がMCY
cによって液圧に変換され、この液圧によって各WCY
p,q;r,sが作動され、ブレーキが作動するようにな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ブレ
ーキシステムにおいては、運転フィーリングをより向上
させるうえで、ブレーキペダルのストロークを可能な限
り短縮させることが望まれている。
【0006】しかしながら、前述の従来のブレーキシス
テムaでは、MCYcより先のブレーキ系に、例えば各
WCYp,q;r,sのアイドルストローク等により、各
ピストンd,eのシール部がリザーバjに連通する各給
排通路k,mの開口k1,m1を過ぎてから実際に液圧が発
生するまで、所定量のブレーキ液をMCYcより先のブ
レーキ系に送給しなければならない。このため、両ピス
トンd,eはこの所定量のブレーキ液の送給する必要が
あることから大きく前方へ移動することになり、この移
動は実際に液圧を発生するためのものではないので、ア
イドルストロークとなる。したがって、各ピストンd,
eは、それらの非作動位置から、リザーバjに連通する
各給排通路k,mの開口k1,m1を過ぎるまでのストロー
ク量にこのアイドルストローク量を加えた大きなストロ
ークとなっている。その結果、ブレーキペダルbのペダ
ルストロークも必然的に大きなストロークとなってお
り、具体的には、従来のペダルストロークは、一般には
60〜80mm程度であり、短い場合でも約40mm程
度である。
【0007】このため、この従来のブレーキシステムで
は、ペダルストロークを可能な限り短縮して運転フィー
リングをより向上させるという前述の要望に確実にかつ
十分に応えることができない。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、入力手段のストロークを従
来に比べてはるかに短い超ショートストロークに設定す
ることで操作フィーリングをより向上することのできる
液圧システムおよびこの液圧システムを用いたブレーキ
システムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、本発明の液圧システムは、作動液を蓄えるリザー
バと、リザーバから作動液が導入可能でありかつ作動時
リザーバへ作動液が排出されるのを防止して液圧を発生
する液圧発生シリンダと、前記液圧発生シリンダに接続
され、この液圧発生シリンダの液圧により作動して出力
するアクチュエータと、作動時ストロークして入力を前
記液圧発生シリンダに加えて前記液圧発生シリンダを作
動制御する入力手段とを備え、前記入力手段の入力を液
圧発生シリンダで液圧に変換し、この液圧でアクチュエ
ータから出力する液圧システムにおいて、前記アクチュ
エータと前記リザーバとを前記液圧発生シリンダを介し
て接続する液圧通路を開閉する開閉手段と、前記液圧通
路の前記アクチュエータと前記開閉手段との間の第1通
路に作動液を供給する作動液供給手段と、前記アクチュ
エータの液圧を制御する液圧制御手段と、前記開閉手段
が前記入力手段の非作動時は前記液圧通路を連通し、前
記入力手段の作動時は前記液圧通路を遮断するように、
前記入力手段の入力に基づいて前記開閉手段を制御する
とともに、前記液圧制御手段が前記入力手段の非作動時
は前記作動液供給手段からの作動液の前記第1通路への
供給を停止し、前記入力手段の作動時は前記作動液供給
手段からの作動液を前記第1通路へ供給しかつ前記アク
チュエータの液圧を予め設定された前記入力手段の入力
と前記アクチュエータの出力との関係にしたがって制御
するように、前記入力手段の入力に基づいて前記液圧制
御手段を制御する中央処理装置を備えており、更に、前
記入力手段の作動により前記開閉手段が前記液圧通路を
遮断したとき、前記入力手段を更に所定量ストロークさ
せるストローク発生手段を備えていることを特徴として
いる。
【0010】また、本発明のブレーキシステムは、請求
項1ないし10のいずれか1記載の液圧システムを用い
たブレーキシステムであって、前記入力手段がブレーキ
ペダルであり、前記液圧発生シリンダがタンデム型また
はシングル型のマスタシリンダであり、前記アクチュエ
ータがホイールシリンダであり、前記作動液供給手段が
ブレーキ液供給手段であり、前記液圧制御手段が前記ホ
イールシリンダのブレーキ液圧制御するブレーキ液圧制
御手段であることを特徴としている。
【0011】
【作用】このような構成をした本発明の液圧システムに
おいては、入力手段の作動時、開閉手段によってアクチ
ュエータとリザーバとの間の液圧通路が遮断される。そ
して、作動液供給手段からの作動液がアクチュエータと
開閉手段との間の第1通路に供給され、この通路やアク
チュエータのアイドルストロークが消滅されるととも
に、液圧制御手段によってアクチュエータの液圧が、予
め設定された入力手段の入力とアクチュエータの出力と
の関係にしたがって制御される。このように、作動液供
給手段からの作動液でアイドルストロークが消滅される
ことで、入力手段のストロークは大幅に短縮され、超シ
ョートストロークとなる。
【0012】更に、本発明では、入力手段のストローク
がほぼ0mm程度のきわめて小さい微小ストロークに設
定されていても、ストローク発生手段により、入力手段
が更に所定量ストロークするようになる。これにより、
入力手段のストロークは最も望ましい範囲になるように
設定される。こうして、本発明の液圧システムは、より
高級感のあるより良い操作フィーリングとなる。
【0013】また、本発明のブレーキシステムにおいて
は、このような液圧システムを用いているので、ブレー
キペダルのストロークが超ショートストロークとなる。
そして、ペダルストロークがほぼ0ないし7mm程度の
きわめて小さい微小ストロークに設定されていても、ス
トローク発生手段により、ブレーキペダルが実質的に更
に所定量ストロークするようになる。これにより、ペダ
ルストロークは最も望ましい範囲になるように設定され
る。こうして、本発明のブレーキシステムは、より高級
感のあるより良い運転フィーリングとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1は本発明に係る超ショー
トストロークの液圧システムの基本的な原理をブレーキ
システムに適用して説明する図、図2は図1に示す基本
原理のブレーキシステムの各特性を示す図である。
【0015】まず、このブレーキシステムの基本原理の
一例について説明する。図1に示すように、このブレー
キシステム1は、前述の図16に示す従来のブレーキシ
ステムaと同様に、本発明の入力手段に相当するブレー
キペダル2、本発明の液圧発生シリンダに相当するタン
デム型のMCY3、ブレーキ液を貯留するリザーバ4、
MCY3とリザーバ4との間のブレーキ液給排通路5,
6、第1および第2ブレーキ系統の液圧給排通路7,
8、本発明のアクチュエータに相当する第1および第2
ブレーキ系統のWCY9,10;11,12を備えてい
る。MCY3は従来のMCYcと同じものであり、この
従来のMCYcと同様のプライマリおよびセカンダリピ
ストン3a,3b、リターンスプリング3c,3d、第1
および第2ブレーキ系統の液圧室3e,3fを備えてお
り、給排通路5および第1ブレーキ系統の液圧給排通路
7がプライマリ液圧室3eに連通しており、給排通路6
および第2ブレーキ系統の液圧給排通路8がセカンダリ
液圧室3fに連通している。
【0016】また、本発明のブレーキシステム1は、モ
ータ13で駆動されポンプ14(本発明の作動液供給手
段に相当)によってチェックバルブ15を介して吸い込
まれたリザーバ4のブレーキ液がそれぞれブレーキ液供
給通路17,18を介して液圧給排通路7,8およびWC
Y9,10,11,12に供給され、WCY9,10,11,
12にブレーキ液圧が発生されるようになっている。そ
の場合、WCY9,10,11,12のブレーキ液圧Pは
ブレーキ液圧制御装置16(本発明の液圧制御手段に相
当)によって、後述するようにペダル踏力に応じて制御
されるようになっている。
【0017】更に、ブレーキ液給排通路5,6には、そ
れぞれ開位置と閉位置とが設定された電磁開閉弁19,
20(本発明の開閉手段に相当)が設けられており、こ
れらの電磁開閉弁19,20は、ともに非作動時には図
示の開位置に設定される常開の開閉弁とされている。
【0018】そして、ブレーキ液圧制御装置16、電磁
開閉弁19,20、およびポンプ14を駆動するモータ
13は、ともに中央処理装置であるコントローラ21に
よって作動制御されるようになっている。
【0019】更に、ペダル踏力検出手段22によってペ
ダル踏力が検出されるとともに、ブレーキ液圧検出手段
23によって、ブレーキ液圧制御装置16で制御された
ブレーキ液圧Pが検出され、検出されたペダル踏力およ
びブレーキ液圧がともにコントローラ21に入力される
ようになっている。そして、コントローラ21は、これ
らのペダル踏力とブレーキ液圧とに基づいて、ブレーキ
液圧Pが予め設定されたペダル踏力−ブレーキ液圧の関
係にしたがってそのペダル踏力に対応する液圧となるよ
うにブレーキ液圧制御装置16を作動制御し、ブレーキ
液圧制御装置16はブレーキ液圧Pをこのペダル踏力に
対応する液圧に制御する。
【0020】ペダル踏力検出としては、ブレーキペダル
2に加えられるペダル踏力α自体の検出、ブレーキレバ
ー2′の撓みβの検出、ブレーキレバー2′枢支点での
反力γの検出、ブレーキレバー2′枢支点でのモーメン
トδの検出、ブレーキレバー2′とMCY3のピストン
とを連結する入力ロッド3gにブレーキレバー2′が加
える押圧力εの検出、およびこの入力ロッド3gの軸力
ζの検出がある。これらの検出を行うセンサとしては、
踏力荷重センサ、ロードセル、圧電素子等がある。そし
て、これらの撓みβ、反力γ、モーメントδ、押圧力ε
および軸力ζは、いずれもペダル踏力とに所定の関係が
あって、直接的ではないがペダル踏力を示していること
になるので、ペダル踏力αそのものに代えて、これらの
値をペダル踏力として用いることが可能である。
【0021】しかし、ブレーキペダル2の摺動抵抗およ
びMCY3のピストン等の摺動抵抗等により、ペダル踏
力とMCY圧との関係が作動時と戻り時とでヒステリシ
スを生じるため、ペダル踏力と減速度(ブレーキ液圧)
との関係が直線的でないため、例えば、MCY圧を検出
して、そのMCY圧に基づいてブレーキ液圧を制御しよ
うとすると、ペダル踏力に対するブレーキ圧のリニアな
制御が行うことができない。そこで、ペダル踏力をブレ
ーキペダル2またはブレーキペダル2にできるだけ近い
ところで検出するのが、ブレーキ圧のよりリニアに近い
制御を行うために望ましい。
【0022】一方、ブレーキ液圧検出としては、ブレー
キ液供給通路17,18のいずれか一方のブレーキ液圧
の検出または両方のブレーキ液圧の検出がある。また、
予め設定されたペダル踏力−ブレーキ液圧の関係は、
【数1】 P > (ε−Fspg)/A を少なくとも満足するように設定されている。ここで、
εはペダル踏力に関係した前述の押圧力、Pはブレーキ
液圧、Fspgはプライマリピストンを付勢するリターン
スプリングのばね力、およびAはプライマリピストンの
有効受圧面積である。なお、プライマリピストンおよび
セカンダリピストンは、このブレーキシステム1に相当
する従来のブレーキシステムに使用されているMCYの
各ピストンと同じ有効受圧面積に設定されている。
【0023】このように構成されたブレーキシステム1
において、ブレーキペダル2が踏み込まれると、そのペ
ダル踏力がペダル踏力検出手段22によって検出されて
コントローラ21に入力される。コントローラ21は、
ペダル踏力検出信号が入力されるとすぐに電磁開閉弁1
9,20を閉じるとともに、モータ13を駆動してポン
プ14を運転し、更にブレーキ液圧制御装置16を作動
する。
【0024】すると、MCY3とリザーバ4とが遮断さ
れて、電磁開閉弁19,20より先のブレーキ系(WC
Y側のブレーキ系)が密閉状態となるとともに、この密
閉状態のブレーキ系に、ポンプ14から吐出されたブレ
ーキ液がブレーキ液供給通路17,18を介して供給さ
れる。このブレーキ液により、密閉状態のブレーキ系の
アイドルストロークが吸収された後、WCY9,10,1
1,12にブレーキ液圧Pが発生する。このブレーキ液
圧Pはブレーキ液圧検出手段23によって検出されてコ
ントローラ21に入力される。そして、コントローラ2
1は、ペダル踏力とブレーキ液圧Pとに基づいて、ブレ
ーキ液圧Pが前述の数式1を満足する液圧となるように
ブレーキ液圧制御装置16を作動制御し、このブレーキ
液圧制御装置16はブレーキ液圧Pを数式1を満足する
液圧に制御する。
【0025】密閉状態のブレーキ系に発生されかつ前述
のように制御されたブレーキ液圧Pによって、WCY
9,10,11,12が作動し、ブレーキがかけられる。
また、ブレーキ液圧PがMCY3のプライマリピストン
に作用するが、このとき、ブレーキ液圧Pは数式1を満
足しているので、ブレーキレバー2′によるプライマリ
ピストンの押圧力εより、この押圧力εに対抗するプラ
イマリピストンに作用する力の方が大きくなる。したが
って、プライマリピストンはほとんど前進しなく、ブレ
ーキペダル2のペダルストロークはほぼ0に近いきわめ
て短いストロークとなる。このとき、WCY9,10,1
1,12のアイドルストロークは、ブレーキ液供給通路
17,18から液圧給排通路7,8に導入されるブレーキ
液により吸収される。
【0026】このブレーキシステム1の各特性は次のよ
うになる。すなわち、図2(a)に示すようにペダルス
トロークとペダル踏力との関係は、ペダルストロークの
微増に対して、ペダル踏力は急増するような急勾配のリ
ニア特性となる。また、同図(b)に示すようにペダル
ストロークと減速度(つまり、ブレーキ液圧)との関係
は、同様にペダルストロークの微増に対して、減速度
(ブレーキ液圧)は急増するような急勾配のリニア特性
となる。同図(c)に示すようにペダル踏力と減速度
(ブレーキ液圧)との関係は、ペダルストロークの増大
に対して、減速度(ブレーキ液圧)はほぼ同じように増
大する45゜またはこの45゜に近いリニア特性とな
る。
【0027】なお、図1では電磁開閉弁19,20をM
CY3のリザーバ4側に設けた場合を示しているが、図
1に点線で示すようにこれらの電磁開閉弁19,20は
MCY3のWCY側でブレーキ液圧通路17,18との
合流点よりMCY3側の液圧給排通路7,8に設けるこ
ともできる。この場合には、MCY3とリザーバ4とが
作動時に遮断されないので、MCY3の各ピストン3
a,3bのシール部が作動時にブレーキ液給排通路5,6
の開口を通過する必要があるため、ペダルストロークが
前述の場合と比べて若干大きくなる。しかし、MCY3
の各ピストン3a,3bのシール部がブレーキ液給排通
路5,6の開口を通過した時点でMCY3の液圧室3e,
3fおよびこの液圧室3e,3fから電磁開閉弁19,2
0までの間の通路が密閉状態となるので、液圧室3e,
3fの圧力が急上昇して、これらの圧力がそれぞれMC
Y3の各ピストン3a,3bに作用するため、各ピスト
ン3a,3bの前方へのストロークが抑止され、ペダル
ストロークは同様に従来に比べてはるかに短い超ショー
トストロークとなる。
【0028】また、この場合は、ペダル踏力の検出とし
て、前述のような電磁開閉弁19,20をMCY3のリ
ザーバ4側に設けた場合に加えて、MCY3が発生する
MCY圧P′の検出がある。このMCY圧P′もペダル
踏力とに所定の関係があって、直接的ではないがペダル
踏力を示している。前述のように、ペダル踏力とMCY
圧との間にヒステリシスがあるため、ペダル踏力に対し
てブレーキ液圧の完全なリニアな制御はできないが、し
かし、通常のブレーキ制御を行うためには、このように
MCY圧をペダル踏力として用いても何ら問題はない。
【0029】更に、ポンプ14を単独で用いることに代
えて、ポンプ14と図示しないが通常時このポンプ14
の吐出圧で所定の液圧を蓄えるアキュムレータとの組合
せを用いることもできる。この場合には、ポンプ14は
アキュムレータの蓄圧で制御されるとともに、特にブレ
ーキペダル2の急激な踏み込みによるブレーキ作動時の
応答性が良好になる。
【0030】次に、このような本発明における基本原理
に基づいた超ショートストロークのブレーキシステムの
具体的な例について説明する。図3は、このブレーキシ
ステムの具体的な一例を模式的に示す図である。なお、
図1に示すブレーキシステムと同じ構成要素には同じ符
号を付して、その詳細な説明は省略する。以後の各例の
ブレーキシステムにおいても、それより前に示されてい
る例に用いられている符号については同様である。
【0031】図3に示すように、基本原理に従ったブレ
ーキシステム1のこの具体例では、電磁開閉弁19,2
0がそれぞれ図1に点線で示すと同様に液圧給排通路
7,8に設けられている。
【0032】また、このブレーキシステム1では、ブレ
ーキ液圧制御装置16が、第1および第2ブレーキ系統
にそれぞれ2個ずつ計4個の常閉の電磁開閉弁26,2
7;28,29により構成されている。その場合、電磁開
閉弁26,28は、それぞれ、ブレーキ液供給通路17,
18に設けられているとともに、電磁開閉弁27,29
は、それぞれ、WCY9,10;11,12とリザーバ4
とを接続する戻し通路30,31に設けられている。
【0033】更に、ペダル踏力検出手段22として、2
個の液圧センサ22a,22bがそれぞれMCY3と電
磁開閉弁19,20との間の液圧給排通路7,8に設けら
れている。これらの液圧センサ22a,22bは、それ
ぞれのブレーキ系統のMCY圧を検出するようになって
いる。また、ブレーキ液圧検出手段23として、2個の
液圧センサ23a,23bがそれぞれブレーキ液供給通
路17,18の合流点よりWCY9,10,11,12側の
液圧給排通路7,8に設けられている。
【0034】図3にはコントローラ21およびポンプ1
4a,14bを駆動するモータ13が示されていない
が、この具体例のブレーキシステム1は図1に示す場合
と同様にこれらのコントローラ21およびモータ13を
備えており、モータ13、各電磁開閉弁19,20,2
6,27,28,29および各液圧センサ22a,22b,
23a,23bにコントローラ21に接続されていて、
コントローラ21は各液圧センサ22a,22b,23
a,23bで検出された液圧に基づいて、モータ13お
よび各電磁開閉弁19,20,26,27,28,29を、
ブレーキ液圧が予め設定されたペダル踏力−ブレーキ液
圧の関係にしたがってそのペダル踏力に対応する液圧と
なるように制御する。この具体例のブレーキシステム1
の他の構成は図1に示すブレーキシステム1と同じであ
る。
【0035】このように構成された具体例のブレーキシ
ステムにおいては、ブレーキ非操作時は、常開の電磁開
閉弁19,20は図示の開位置に、常閉の電磁開閉弁2
6,27,28,29は図示の閉位置にそれぞれ設定され
ている。ブレーキペダル2が踏み込まれてブレーキ操作
が行われ、MCY3がMCY圧を発生すると、このMC
Y圧を各液圧センサ22a,22bが検出してコントロ
ーラ21へ出力する。コントローラ21は前述の基本原
理で説明したように常開の電磁開閉弁19,20を閉じ
るとともに、モータ13を駆動してポンプ14a,14
bを駆動し、更に、常閉の電磁開閉弁26,28を開
く。すると、MCY3とWCY9,10,11,12とが
遮断されるとともに、ポンプ14a,14bがリザーバ
4のブレーキ液が電磁開閉弁26,28およびブレーキ
液供給通路17,18を介して、電磁開閉弁19,20よ
りWCY9,10,11,12側の液圧給排通路7,8に送
給される。このとき、電磁開閉弁19,20が閉じられ
ていて、ブレーキ液はMCY3およびリザーバ4の方へ
漏出されないので、この液圧給排通路7,8の液圧が上
昇する。すなわち、ポンプ吐出圧がブレーキ液圧として
電磁開閉弁19,20よりWCY9,10,11,12側の
液圧給排通路7,8に導入される。これにより、ブレー
キ液圧がWCY9,10,11,12に導入され、ブレー
キが作動する。
【0036】このとき、コントローラ21は、液圧セン
サ22a,22bで検出されたMCY圧から換算したペ
ダル踏力と液圧センサ23a,23bで検出されたブレ
ーキ液圧とに基づいて、ペダル踏力−ブレーキ液圧の関
係にしたがってブレーキ液圧を制御する。具体的には、
そのときのペダル踏力に対するブレーキ液圧が、ペダル
踏力−ブレーキ液圧の関係にしたがった値より大きくな
ると、常閉の電磁開閉弁27,29を開いてブレーキ液
圧をリザーバ4に逃して前述の関係にしたがう値となる
ように低下する。ブレーキ液圧が前述の関係にしたがう
値より低くなると、再び常閉の電磁開閉弁27,29を
閉じてブレーキ液圧を前述の関係にしたがう値となるよ
うに上昇する。一方、このブレーキ作動時のペダルスト
ロークは、前述の基本原理で説明したようにほぼ0程度
のきわめて短い超ショートストロークとなる。
【0037】ブレーキペダル2を解放すると、ブレーキ
ペダル2、MCY3の各ピストン3a,3bが非作動位
置に戻る。MCY3の各ピストン3a,3bも図示の非
作動位置に戻るので、MCY3の各液圧室3e,3fが
リザーバ4に連通し、MCY圧が消滅する。すると、コ
ントローラ21はペダル踏力が0と判断して、電磁開閉
弁19,20を開くとともに、モータ13つまりポンプ
14を停止し、更に電磁開閉弁26,27,28,29を
閉じて、図示の非作動状態にする。これにより、WCY
9,10,11,12の圧液が液圧給排通路7,8、MCY
3およびブレーキ液給排通路5,6を通ってリザーバ4
に排出されてブレーキ液圧が消滅し、ブレーキが解除さ
れる。
【0038】モータ13、ポンプ14あるいはコントロ
ーラ21が故障した場合は、各電磁開閉弁19,20,2
6,27,28,29が図示の状態に保持されたままとな
る。したがって、この場合には、ブレーキペダル2を踏
み込むとMCY3が作動してMCY圧が発生し、従来の
ブレーキシステムと同様にこのMCY圧がブレーキ液圧
としてWCY9,10,11,12に導入されてブレーキ
が作動する。この場合には、ペダルストロークは従来の
ブレーキシステムでのペダルストロークと同じになり、
短縮されない。このように、この具体例のブレーキシス
テム1によれば、超ショートストロークのペダルストロ
ークが得られるようになる。
【0039】なお、この具体例のブレーキシステム1で
は、ペダル踏力としてMCY圧を検出し用いているが、
このペダル踏力としては、他に基本原理で説明したよう
にブレーキペダル2に加えられるペダル踏力そのもの等
を始め、基本原理で述べた種々のものを使用することが
できる。
【0040】また、ポンプ14a,14bで吸い込まれ
るブレーキ液を貯留するリザーバをMCY3のリザーバ
4と共用にしているが、このリザーバはMCY3のリザ
ーバ4と別個に設けることもできる。
【0041】更に、図示しないが、ブレーキ液圧制御装
置16の電磁開閉弁26,28に代えて、それぞれポン
プ14a,14bから液圧給排通路7,8に向かう液の流
れのみを許容するチェックバルブを用いることもできる
し、また、ブレーキ制御装置16を電磁開閉弁26,2
7;28,29に代えて、電磁比例弁で構成することもで
きる。
【0042】図4は、本発明の超ショートストロークの
ブレーキシステムの具体的な他の例を模式的に示す図で
ある。従来の自動車のブレーキシステムにおいては、制
動車輪のロック傾向時に、このロック傾向を解消するよ
うにWCYのWCY圧を調整するアンチロック制御(An
ti-Lock Control;以下、ABS制御ともいう)、駆動
輪の空転傾向時に、この空転傾向を解消するように駆動
輪にブレーキを自動的にかけて駆動輪の回転駆動力を調
整するトラクションコントロール(Traction Control;
以下、TRC制御ともいう)、車両旋回時に内輪にブレ
ーキを自動的にかけて車両の姿勢を制御するコーナリン
グ姿勢制御(Vehicle Stability Contorol;以下、VS
C制御ともいう)および車両が定速走行を行うように車
輪にブレーキを自動的にかけて速度を一定速度に制御す
るオートクルーズコントロール(Auto Cruise Contro
l;以下、ACC制御ともいう)を行うことができるよ
うにしたブレーキシステムが開発されている。
【0043】この具体例のブレーキシステム1は、この
ようなABS制御、TRC制御、VSC制御およびAC
C制御を行うことができる従来のブレーキシステムを用
いて、超ショートストロークを実現したものである。
【0044】図4に示すように、この具体例のブレーキ
システム1は、この従来のブレーキシステムを基本構成
としており、そのブレーキ液圧制御装置16′は、AB
S制御、TRC制御、VSC制御およびACC制御を行
うようになっている。これらの制御に加えて、このブレ
ーキ液圧制御装置16′は、前述の各例のブレーキ液圧
制御装置16と同様の超ショートストローク制御も行う
ようになっている。
【0045】このブレーキ液圧制御装置16′は、WC
Y9,10,11,12にそれぞれ接続される、液圧給排
通路7,8の分岐通路7c,7d;8c,8dに、常開の電
磁開閉弁からなる第1ないし第4保持弁36,37,3
8,39がそれぞれ設けられているとともに、これらの
第1ないし第4保持弁36,37,38,39に並列にこ
れらの第1ないし第4保持弁をバイパスする第1ないし
第4チェックバルブ40,41,42,43がそれぞれ設
けられている。また、WCY9,10,11,12のブレ
ーキ液をリザーバ4に排出する第1ないし第4排出通路
44,45,46,47には、常閉の電磁開閉弁からなる
第1ないし第4排出弁48,49,50,51が設けられ
ている。なお、第1および第2排出通路44,45が合
流して1つの排出通路52として、また第3および第4
排出通路46,47が合流して1つの排出通路53とし
て、それぞれリザーバ4に接続されている。
【0046】更に、第1および第2排出通路44,45
の合流点54と液圧給排通路7とを接続する通路55に
は、ポンプ58が設けられているとともに、第3および
第4排出通路46,47の合流点56と液圧給排通路8
とを接続する通路57には、ポンプ59が設けられてい
る。これらのポンプ58,59は1つの共通のモータ6
0で駆動されるようになっている。更に、通路55に、
ポンプ58を挟んで2つのチェックバルブ61,62が
設けられているとともに、通路57に、ポンプ59を挟
んで2つのチェックバルブ63,64が設けられてい
る。これらのチェックバルブ63,64は、それぞれ、
合流点54,56から液圧給排通路7,8に向かうブレー
キ液の流れのみを許容している。
【0047】チェックバルブ62と液圧給排通路7との
間の通路55には、常閉の電磁開閉弁からなるポンプ吐
出液供給制御弁65が設けられている。また、ブレーキ
液圧倍力装置66の入力口67とチェックバルブ62お
よびポンプ吐出液供給制御弁65の間の通路55とを接
続する通路68に、ポンプ58の吐出圧により、液圧倍
力装置66を作動させるための液圧を蓄圧するアキュム
レータ69が設けられているとともに、このアキュムレ
ータ69を挟んで2つのチェックバルブ70,71がそ
れぞれ設けられている。
【0048】液圧倍力装置66は従来周知の液圧倍力装
置であるので、その構造の具体的な説明は省略するが、
一応簡単に説明すると、常時アキュムレータ69の液圧
が導入されている前述の入力口67と、排出通路72を
介して常時リザーバ4に接続されている排出口73と、
図示しない動力室と、動力室に導入される液圧によって
作動して出力する図示しないパワーピストンと、ブレー
キペダル2の踏み込みで作動制御されて、非作動時は動
力室を排出口73に接続しかつ入力口67から遮断し、
また作動時は動力室を排出口73から遮断しかつ入力口
67に接続するように、動力室を入力口67または排出
口73に選択的に連通切換制御する図示しない制御弁と
を備えている。そして、ブレーキペダル2が踏み込まれ
ると、制御弁が切り換えられて、動力室が排出口73か
ら遮断されかつ入力口67に接続されるので、動力室に
アキュムレータ69の液圧が導入され、この動力室の液
圧によってパワーピストンが作動して出力し、この出力
でMCY3のプライマリピストン3a(図4には不図
示)が作動されるようになっている。このときの液圧倍
力装置66の出力はペダル踏力を倍力した大きさとなっ
ている。ブレーキペダル2が解放されると、制御弁が再
び非作動状態に切り換えられるので、動力室が入力口6
7から遮断されかつ排出口73に接続され、動力室の圧
液が排出口73および排出通路72を介してリザーバ4
に排出される。これにより、パワーピストンが非作動位
置に戻って出力しなくなるので、MCY3も非作動とな
る。アキュムレータ69の蓄圧は、リリーフ弁74によ
って液圧倍力装置66の所定回数の作動に必要な液圧と
なるように制御される。
【0049】更に、液圧給排通路7,8には、開位置と
リリーフ位置とが設けられ、通常時は図示の開位置に設
定された常開の電磁弁からなる第1および第2差圧弁7
5,76がそれぞれ設けられている。第1および第2差
圧弁75,76は、リリーフ位置に設定されたときに
は、これらの差圧弁75,76に関しWCY側の液圧が
MCY側の液圧より所定圧高くなると、WCY側の液圧
をMCY側に逃すようになっている。
【0050】更に、ペダル踏力を検出するペダル踏力セ
ンサ22cがブレーキペダル2に設けられているととも
に、ブレーキ液圧を検出する液圧センサ23a,23b
が、それぞれ液圧給排通路7と通路55の合流点よりW
CY側の液圧給排通路7および液圧給排通路8と通路5
7の合流点よりWCY側の液圧給排通路8に設けられて
いる。
【0051】また、この具体例のブレーキシステム1で
は、各WCY9,10,11,12のうち、WCY9,10
が駆動輪のブレーキのために用いられているとともに、
WCY11,12が非駆動輪のブレーキのために用いら
れている。そして、各電磁弁36,37,38,39,4
8,49,50,51,65,75,76、モータ60、液圧
センサ23a,23bおよびペダル踏力センサ22c
が、ともに図示しないコントローラ21に接続されてい
る。
【0052】このように構成されたこの具体例のブレー
キシステム1では、超ショートストロークの機能を発揮
する構成部分は前述の図3に示す具体例のブレーキシス
テム1とほぼ同じである。すなわち、この図4に示す具
体例のブレーキシステム1のチェックバルブ62,64
が、それぞれ図3に示す具体例のブレーキシステム1の
電磁開閉弁26,28をチェックバルブに置き換えた場
合に相当し、以下、前者の第1および第2排出弁48,
49が後者のブレーキシステム1の電磁開閉弁27に相
当し、前者の第3および第4排出弁50,51が後者の
電磁開閉弁29に相当し、前者のポンプ58,59がそ
れぞれ後者のポンプ14a,14bに相当し、前者のモ
ータ60が後者のモータ13(図1に図示)に相当し、
前者のチェックバルブ61,63がそれぞれ後者のチェ
ックバルブ15a,15b,に相当している。
【0053】また、前者の第1および第2差圧弁75,
76がそれぞれ後者の電磁開閉弁19,20に相当して
いるが、前者の第1および第2差圧弁75,76は開位
置とリリーフ位置とが設定されてリリーフ機能を有して
いるのに対して、後者の電磁開閉弁19,20は開位置
と閉位置とが設定された単なる開閉機能を有している点
が異なる。更に、前者のペダル踏力センサ22cが後者
の液圧センサ22a,22bに相当しているが、前者の
ペダル踏力センサ22cはペダル踏力aを直接検出して
いるのに対して、後者の液圧センサ22a,22bはM
CY圧を検出することによりペダル踏力aを間接的に検
出している点が異なる。
【0054】次に、この具体例のブレーキシステム1の
作用について説明する。ブレーキペダル2が解放された
ブレーキ非作動時は、すべての構成要素は図4に示す非
作動状態に設定されている。この非作動状態から、ブレ
ーキペダル10の踏み込みで通常ブレーキ操作が行われ
ると、前述のように液圧倍力装置66の制御弁が切り換
えられるので、液圧倍力装置66が出力し、この出力で
MCY3が作動して、MCY圧が発生する。
【0055】一方、ブレーキペダル10の踏み込みで、
前述の図7に示す第4例と同様に、ペダル踏力がブレー
キペダル2に設けられたペダル踏力センサ22cで検出
され、コントローラ21に入力される。すると、コント
ローラ21はポンプ吐出液供給制御弁65を開くととも
に、第1および第2差圧弁75,76をリリーフ位置に
切り換え、更にモータ60を駆動してポンプ58,59
を駆動する。これにより、ポンプ58から吐出されたブ
レーキ液はチェックバルブ62およびポンプ吐出液供給
制御弁65を介して液圧給排通路7に供給され、またポ
ンプ59から吐出されたブレーキ液はチェックバルブ6
4を介して液圧給排通路8に供給されることにより、両
通路7,8にブレーキ液圧が導入され、更に、WCY9,
10,11,12に導入されてブレーキが作動する。。こ
のとき、MCY圧が第1および第2差圧弁75,76の
MCY側に作用しているが、このMCY圧はペダル踏力
を倍力した液圧倍力装置66の出力によって比較的高い
圧力となっているので、第1および差圧弁75,76は
リリーフ作用を行わなく、両通路7,8に導入されたブ
レーキ液圧はMCY側には漏出しない。
【0056】両通路7,8に導入されるブレーキ液圧
は、前述の図3に示す具体例と同様に、予め設定された
ペダル踏力−ブレーキ液圧の関係にしたがって制御され
る。この具体例の場合は、第1および第2差圧弁75,
76に関し、WCY側のブレーキ液圧がMCY側のMC
Y圧より所定圧高くなると、前述のように差圧弁75,
76のリリーフ作用でWCY側のブレーキ液圧がMCY
側に逃がされる。
【0057】ブレーキペダル2が解放されると、ペダル
踏力が消滅するので、コントローラ21はモータ60つ
まりポンプ58,59を停止するとともに、ブレーキ作
動時に切り換えられた電磁弁を図示の非作動位置に戻
す。すると、液圧倍力装置66およびMCY3がそれぞ
れ非作動位置に戻るので、液圧倍力装置66の出力およ
びMCY圧が消滅するとともに、WCY9,10,11,
12に導入されたブレーキ液圧が液圧給排通路7,8、
MCY3およびブレーキ液給排通路5,6を介してリザ
ーバ4に排出される。これにより、ブレーキが解除され
る。
【0058】そして、このようにブレーキ作動時におい
ては、第1および第2差圧弁75,76がリリーフ位置
に設定されることから、MCY3の両ピストン3a,3
bのシール部がリザーバ4へのブレーキ液給排通路5,
6の開口を通過した時点で、MCY3内のブレーキ液は
密封されるので、MCY3の両ピストン3a,3bはほ
とんど前進しなくなる。このため、液圧倍力装置66の
パワーピストンおよびブレーキペダル2はほとんどスト
ロークしなくなり、ペダル踏力の上昇でMCY圧が急上
昇する。このようにして、この具体例のブレーキシステ
ム1においても、図2(d)ないし(f)に示す特性を
有するようになり、ペダルストロークの超ショートスト
ロークが実現される。
【0059】また、この具体例のブレーキシステム1で
は、ペダル踏力を検出するための液圧センサやペダル踏
力センサ等のセンサを設けるとともに、コントローラ2
1にペダルストロークの超ショートストロークを実現す
るためのソフトを内蔵させるだけで、超ショートストロ
ークのための電磁開閉弁やポンプ等の他の構成要素は、
従来のABS制御やTRC制御等の従来のブレーキ液圧
システムに用いられているものを共用しているので、簡
単にかつ安価に超ショートストロークを実現することが
できる。
【0060】なお、この具体例のブレーキシステム1に
おいても、第1および第2差圧弁75,76に代えて、
前述の各例で用いられている単なる電磁開閉弁19,2
0を用いることもできる。
【0061】次に、ABS制御等の従来のブレーキ制御
について説明する。ブレーキ圧制御装置16′は、制動
車輪のロック傾向解消のために、ブレーキ圧の減圧、保
持、増圧によるABS制御を行う。すなわち、図示しな
い車輪速センサからの各車輪の車輪速信号に基づいて、
ブレーキ圧制御装置16′のコントローラ21は、制動
時に少なくとも1つの車輪のロック傾向を検出すると、
第1ないし第4保持弁36,37,38,39を閉じる。
これにより、各WCY9,10,11,12のWCY圧、
すなわちブレーキ液圧が保持され、ブレーキ力の上昇が
停止する。
【0062】このブレーキ圧の保持によっても、車輪の
ロック傾向が解消しないときは、コントローラ21は、
第1ないし第4排出弁48,49,50,51のうち、ロ
ック傾向にある車輪に対応する排出弁を開く。すると、
ロック傾向の車輪に対応するWCYがリザーバ4に接続
され、WCY内の圧液がリザーバ4に排出され、このW
CYのブレーキ圧が減圧される。このブレーキ圧の減圧
により、ロック傾向にある車輪の車輪速度が所定速度ま
で回復してくると、コントローラ21は開いている排出
弁を閉じ、かつ各保持弁36,37,38,39を開く。
これにより、ポンプ58,59から吐出されるブレーキ
液がWCYに供給されてブレーキ液圧の増圧が行われ
る。このブレーキ液圧の増圧により、車輪が再びロック
傾向になると、前述のブレーキ液圧の保持、減圧および
増圧が繰り返され、ロック傾向が完全に解消するまで、
ABS制御が行われる。なお、ABS制御中、ブレーキ
圧の保持および減圧時にはモータ60およびポンプ5
8,59を停止し、ブレーキ圧の増圧時にはモータ60
およびポンプ58,59を再び駆動するようにすること
もできる。
【0063】更に、ブレーキ圧制御装置16′は、駆動
輪の空転傾向解消のために、駆動輪へのブレーキ作動に
よるTRC制御を行う。すなわち、駆動輪に対する車輪
速センサからの駆動輪の車輪速信号に基づいて、コント
ローラ21は、発進時や加速時に少なくとも1つの駆動
輪の空転傾向を検出すると、モータ60を駆動してポン
プ58を運転すると同時にポンプ吐出液供給制御弁65
を開き、かつ第1差圧弁75をリリーフ位置に切り換
え、更に第1および第2保持弁36,37のうち、空転
傾向にない駆動輪に対応する保持弁を閉じる。すると、
ポンプ58がリザーバ4からブレーキ液を空転傾向にあ
る駆動輪に対応するWCYに供給するので、この駆動輪
にブレーキがかけられる。
【0064】このとき、電子制御装置は、空転傾向にあ
る駆動輪に対応する保持弁および排出弁の開閉を制御し
て、ポンプからの吐出液をWCYに送給し、またWCY
からブレーキ液圧をリザーバ4に排出することにより、
ブレーキ圧を空転傾向に応じて調整する。これにより、
この駆動輪の回転駆動力が弱められて、空転傾向が抑制
される。なお、ポンプ吐出圧が所定圧以上に高くなる
と、第1差圧弁75のリリーフ作用によりポンプ吐出圧
の一部がこの第1差圧弁75、非作動状態のMCY3お
よびブレーキ液給排通路5を介してリザーバ4に排出さ
れ、ポンプ吐出圧は所定圧に制御される。また、第1差
圧弁75のリリーフ位置では、MCY33からWCY側
へのブレーキ液の流れは阻止される。
【0065】このように空転傾向にある駆動輪にブレー
キをかけることにより、駆動輪の回転駆動力が調整され
て空転傾向が完全に解消するまで、TRC制御が行われ
る。なお、TRC制御時にモータMが駆動されることに
より、非駆動輪側のポンプ59も運転されるが、ポンプ
吐出液は開位置にある第2差圧弁76をおよびMCY3
を介してリザーバ4に送られるので、非駆動輪のブレー
キが作動することはない。
【0066】更に、ブレーキ圧制御装置16′は、車両
の旋回時の姿勢制御のために、内輪へのブレーキ作動に
よるVSC制御を行う。すなわち、車両旋回時の内外輪
の各車輪速センサからの車輪速信号、あるいはハンドル
の操舵を検出する図示しない舵角センサからの舵角信号
に基づいて、電子制御装置は、車両の旋回を検出する
と、モータ60を駆動してポンプ58,59を運転する
と同時にポンプ吐出液供給制御弁65を開き、かつ第1
および第2差圧弁75,76をそれぞれリリーフ位置に
切り換え、更に外輪側に対応する保持弁を閉じる。する
と、ポンプ58,59がリザーバ4からブレーキ液を内
輪側に対応するWCYに供給するので、内輪側のブレー
キが作動する。このとき、電子制御装置は、内輪側に対
応する保持弁および排出弁の開閉を制御して、ポンプか
らの吐出液をWCYに送給し、またWCYからブレーキ
液圧リザーバに排出することにより、ブレーキ圧を、旋
回時の走行速度および舵角に応じて調整する。これによ
り、この内輪の速度が低下し、コーナリングでの車両姿
勢が制御される。このように車両旋回時に内輪側の車輪
にブレーキをかけることにより、内輪側の車輪速度が調
整されて空転傾向が完全に解消するまで、VSC制御が
行われる。
【0067】更に、ブレーキ圧制御装置16′は、車両
の定速走行を行うために、各車輪へのブレーキ作動によ
るACC制御を行う。すなわち、車両の定速走行が設定
されると、電子制御装置は、各車輪速センサからの車輪
速信号に基づいて車速が定速走行で設定された設定速度
以上になったことを検出すると、モータ60を駆動して
ポンプ58,59を運転すると同時にポンプ吐出液供給
制御弁65を開き、かつ第1差圧弁75をリリーフ位置
に切り換える。すると、ポンプ58がリザーバ4からブ
レーキ液を駆動輪に対応するWCYに供給するので、駆
動輪のブレーキが作動する。このとき、電子制御装置
は、駆動輪に対応する保持弁および排出弁の開閉を制御
して、ポンプ58からの吐出液をWCYに送給し、また
WCYからブレーキ液圧をリザーバ4に排出することに
より、ブレーキ圧を、車速と設定速度との差に応じて調
整する。これにより、この車速は低下して設定速度に制
御される。このように定速走行時に、車速が設定速度を
超えたとき駆動輪にブレーキをかけることにより、車速
が設定速度になるように、ACC制御が行われる。な
お、第1および第2差圧弁75,76に代えて、前述の
第1例のような常開の電磁開閉弁19,20を用いるこ
ともできる。
【0068】ところで、このような超ショートストロー
クのブレーキシステム1において、実際に実験した結
果、図2(a)ないし(c)に示す特性では、ペダル踏
力の増減に応じて減速度(ブレーキ液圧)が素直に応答
し、良い運転フィーリングが得られる。しかし、ペダル
ストロークがまったくないと、運転フィーリングが素直
すぎて味気ないので高級感がなく、何か物足りない感じ
になってしまう。そこで、図2(d)ないし(e)に示
すように、最初、所定のペダル踏力および所定の減速度
になるまでは、ペダルストロークの増大に対してペダル
踏力および減速度を従来と同程度に増大させ、その後、
同図(a)ないし(c)に示すようにペダルストローク
の微増に対してペダル踏力および減速度が急増するよう
にする。
【0069】このとき、ペダル踏力および減速度の急増
開始の折れ点までのペダルストロークは、あまり短いと
前述のように物足りなさが出てきてしまい、またあまり
長いとこの折れ点が図りやすくなって運転に違和感を生
じてしまうが、ペダルストロークを従来よりかなり短い
最適のストロークにすると、図2(a)ないし(c)の
特性に比べてより高級感のあるより良い運転フィーリン
グが得られる。なお、実験の結果では、例えば、折れ点
までのペダルストロークが7mmないし15mm程度に
すると、より高級感のあるより良い運転フィーリングが
得られた。
【0070】そこで、より良い運転フィーリングを得る
ために、ペダルストロークが最適のストロークになるよ
うに、本発明ではブレーキペダル2のストローク発生手
段を設けている。
【0071】以下、このストローク発生手段を設けた本
発明に係るブレーキシステムの実施の形態について説明
する。図5は、本発明のブレーキシステムの実施の形態
の第1例におけるストローク発生手段を示す部分図であ
る。
【0072】図5に示すように、この第1例のブレーキ
システム1におけるストローク発生手段77はブレーキ
ペダル2(本発明の第1の入力部材に相当)に設けられ
ている。このストローク発生手段77はブレーキペダル
2のペダル踏込側と反対側に取り付けられたスプリング
ケース77aを備えており、このスプリングケース77
a内にはスプリングリテーナ77bが摺動可能に嵌合さ
れている。そして、スプリングケース77aとスプリン
グリテーナ77bとの間にスプリング77cが縮設され
ていて、スプリングリテーナ77bはブレーキペダル2
の方へ常時付勢されている。スプリングリテーナ77b
の中央部にはペダルロッド77dが固定されており、こ
のペダルロッド77dはブレーキペダル2の中央に穿設
された貫通孔2aを貫通してブレーキペダル2のペダル
踏込側に突出しており、ペダルロッド77dの先端に、
運転者によって踏み込まれる第2のペダル(本発明の第
2の入力部材に相当)77eが固定されている。この第
2のペダル77eの大きさは、第2のペダル77eが踏
み込まれてブレーキペダル2の方へ移動したときブレー
キペダル2に当接して、ブレーキペダル2の貫通孔2a
を通り抜けない大きさに設定されている。
【0073】スプリング77cのばね力は図示のように
第2のペダル77eが踏み込まれない解放状態で所定の
設定ばね力に設定されている。更に、スプリング77c
のばね定数は所望のペダル踏力−ペダルストローク特性
が得られるように設定される。更に、設定ばね力は違和
感なく良好な運転フィーリングが保持されるように設定
されるのが望ましい。
【0074】そして、第2のペダル77eの解放状態で
は、スプリング77cのばね力でスプリングリテーナ7
7bがブレーキペダル2に当接した状態になっており、
この状態では、第2のペダル77eはブレーキペダル2
から所定距離λだけ離隔している。また、第2のペダル
77eが踏み込まれてブレーキペダル2に対して相対ス
トロークすると、第2のペダル77eはブレーキペダル
2に当接するまで距離λだけブレーキペダル2に対して
相対ストロークするようになっている。
【0075】ブレーキレバー2′はその一端が車体に支
軸2′aを中心に回動可能に支持されているとともに、
その他端がブレーキペダル2、スプリングケース77a
またはブレーキペダル2とスプリングケース77aの両
方に固定されている。また、ブレーキレバー2′の所定
位置にはクレビス3hを介してMCY3の入力ロッド3
gが相対回動可能に連結されている。入力ロッド3gの
図5において右側は、図示しないが前述の図3または図
4に示すブレーキシステム1と同じである。
【0076】次に、このように構成されたこの例のブレ
ーキシステム1の作動について説明する。この例のブレ
ーキシステム1の入力ロッド3gの図5において右側以
降のブレーキシステム1の部分の作動は、前述の図3ま
たは図4に示すブレーキシステム1の作用と同じであ
る。
【0077】ブレーキペダル2および第2のペダル77
eが踏み込まれないブレーキ非作動時は、第2のペダル
77eが前述のようにブレーキペダル2から所定距離λ
だけ離れた状態となっている。
【0078】ブレーキ作動を行うため、第2のペダル7
7eが踏み込まれると、この踏み込み時点では、MCY
3の液圧室3e,3fがリザーバ4に連通していること
から、ブレーキペダル2からの反力がほとんどないの
で、ペダルストローク発生手段77のスプリング77c
が圧縮変形しなく、ブレーキペダル2、第2のペダル7
7eおよびブレーキレバー2′が支軸2′aを中心にき
わめてわずか回動する。すると、MCY3の各ピストン
3a,3bのシール部がきわめてわずか前進してブレー
キ液給排通路5,6の開口を通過するとともに電磁開閉
弁19,20が閉じるので、前述の例のように液圧室3
e,3fから電磁開閉弁19,20までの間の通路が密閉
状態となる。
【0079】このように液圧室3e,3fが密閉状態と
なると、MCY3の各ピストン3a,3bがストローク
しないので、クレビス3hおよびブレーキレバー2′も
それ以上ストロークしない。すると、第2のペダル77
eへのペダル踏力で第2のペダル77eがスプリング7
7cを圧縮変形させながらブレーキペダル2に対してこ
のブレーキペダル2の方へ相対ストロークする。そし
て、第2のペダル77eが距離λだけ相対ストロークす
るとブレーキペダル2に当接し、この当接時点で第2の
ペダル77eのブレーキペダル2に対する相対ストロー
クが停止する。このとき、ブレーキペダル2は第2のペ
ダル77eの相対ストロークを停止させるストッパとな
っている。また、ブレーキレバー2′およびブレーキペ
ダル2は液圧室3e,3fの密閉状態によりストローク
しないから、結局、両ペダルはそれ以上ストロークしな
い。
【0080】このようにこの例のブレーキシステム1に
よれば、実際に運転者の足がストロークする全ペダルス
トロークは液圧室3e,3fの密閉状態になるまでのブ
レーキペダル2の微小ストロークとブレーキペダル2に
対する第2のペダル77eの距離λの相対ストロークと
の和であり、全体として超ショートストロークとなる。
【0081】したがって、例えば、ブレーキペダル2の
微小ストロークがほぼ0mmから7mm未満のブレーキ
システム1の場合は、この例のストローク発生手段77
をブレーキペダル2に用いることで、全体のペーダルス
トロークを、例えば、最適ペダルストロークの7mmか
ら約15mmの望ましい範囲に設定することができる。
その場合、第2のペダル77eの相対ストロークの距離
λは、このように全体のペーダルストロークが、例え
ば、最適ペダルストロークの7mmから約15mmの範
囲になるように設定される。
【0082】こうして、この第1例のブレーキシステム
1は、より高級感のあるより良い運転フィーリングを得
ることができる。なお、この例のストローク発生手段7
7としてスプリング77cを用いているがゴム、弾性変
形可能なゲル状固体等の他の弾性体を用いることもでき
る。
【0083】図6(a)は本発明のブレーキシステムの
実施の形態の第2例におけるストローク発生手段を示す
部分図、同図(b)は(a)におけるVIB方向から見た
部分図である。図6(a)および(b)に示すように、
この第2例のブレーキシステム1におけるストローク発
生手段77はブレーキレバー2′の中間部に設けられて
いる。すなわち、ブレーキレバー(本発明の入力手段に
相当)2′が支軸側レバー(本発明の第1の入力部材に
相当)2′bとペダル側レバー(本発明の第2の入力部
材に相当)2′cとからなっている。支軸側レバー2′
bは一対のレバー部材2′b1,2′b2からなり、これ
らの一端部は支軸2′aに回動自在に支持されている。
また、一対のレバー部材2′b1,2′b2の他端部には
回動軸2′dを介してペダル側レバー2′cが相対回動
可能に支持されている。その場合、一対のレバー部材
2′b1,2′b2には、一対の第1および第2ストッパ
2′e,2′fが所定間隔を置いて設けられており、ペ
ダル側レバー2′cの上端部がこれらの第1および第2
ストッパ2′e,2′fの間に配設されている。
【0084】また、ストローク発生手段77は、支軸側
レバー2′bとペダル側レバー2′cとの間に配設され
たねじりコイルばね77fを備えている。このねじりコ
イルばね77fは、その一端77f1が支軸側レバー
2′bに係止されかつその他端がペダル側レバー2′c
に係止されていて、ペダル側レバー2′cを支軸側レバ
ー2′bに対して図6(a)において時計方向に常時付
勢している。前述の例のスプリング77cと同様に、図
示のブレーキペダル2が踏み込まれない解放状態では、
このねじりコイルばね77fのばね力は所定の設定ばね
力に設定されているとともに、ねじりコイルばね77f
のばね定数は所望のペダル踏力−ペダルストローク特性
が得られるように設定される。更に、設定ばね力は違和
感なく良好な運転フィーリングが保持されるように設定
されるのが望ましい。
【0085】そして、ブレーキペダル2の解放状態で
は、このねじりコイルばね77fのばね力により、ペダ
ル側レバー2′cの一側縁2′c1が第1ストッパ2′
eに当接してペダル側レバー2′cのそれ以上の時計方
向の回動が規制されている。また、ブレーキペダル2が
踏み込まれてペダル側レバー2′cが支軸側レバー2′
bに対して図6(a)において反時計方向に角度θだけ
相対回動すると、ペダル側レバー2′cの他側縁2′c
2が第2ストッパ2′fに当接してペダル側レバー2′
cのそれ以上の反時計方向の相対回動が規制されてい
る。このようにこの第2例のストローク発生手段77
は、ブレーキレバー2′を分割構成している支軸側レバ
ー2′bとペダル側レバー2′cとが所定の範囲で相対
回動可能な構造となっている。
【0086】図6(a)において、この第2例のブレー
キシステム1の入力ロッド3gより右側部分の構成は前
述の図3または図4に示す具体例のブレーキシステム1
と同じである。
【0087】次に、このように構成された第2例のブレ
ーキシステム1の作動について説明する。ブレーキペダ
ル2が踏み込まれない解放状態にあるときは、図6
(a)に示すようにペダル側レバー2′cの一側縁2′
1が第1ストッパ2′eに当接した状態となってい
る。
【0088】この状態で、ブレーキペダル2が踏み込ま
れると、この時点ではMCY3からの反力がほとんどな
く、ねじりコイルばね77fが圧縮変形されず、支軸側
レバー2′bとペダル側レバー2′cとが一体となって
支軸2′aを中心に図6(a)において反時計方向に回
動する。したがって、ブレーキペダル2が微小ストロー
クし、MCY3の液圧室3e,3fが密閉状態となるま
では、前述の第1例と同じである。
【0089】MCY3の液圧室3e,3fが密閉状態と
なると、MCY3の各ピストン3a,3bがともにスト
ロークしないので、クレビス3hが移動しないとともに
支軸側レバー2′bが回動しなくなる。すると、ペダル
踏力でペダル側レバー2′cがねじりコイルばね77f
を圧縮変形させながら支軸側レバー2′bに対して反時
計方向に角度θだけ相対回動し第2ストッパ2′fに当
接して停止するようになる。このときのペダル側レバー
2′cの支軸側レバー2′bに対する相対ストロークに
よるブレーキペダル2のストロークはペダル側レバー
2′cの角度θの回動に応じた距離であり、この距離が
前述の第1例の距離λに等しく設定されている。この状
態では、ブレーキペダル2のストロークが停止し、この
ときの運転者の足の全ペダルストロークは、支軸側レバ
ー2′bとペダル側レバー2′cとの連動時のブレーキ
ペダル2の微小ストロークとペダル側レバー2′cの支
軸側レバー2′bに対する相対ストロークによるブレー
キペダル2のストロークとの和になり、超ショートスト
ロークとなる。この第2例のブレーキシステム1の他の
作用効果は第1例と同じである。
【0090】図7(a)は本発明のブレーキシステムの
実施の形態の第3例におけるストローク発生手段を示す
部分図、同図(b)は(a)におけるVIIB方向から見た
部分図である。図7(a)および(b)に示すように、
この第3例のブレーキシステム1におけるストローク発
生手段77はブレーキレバー2′の支軸部に設けられて
いる。すなわち、この第3例のストローク発生手段77
は、車体に固定されたコ字状の取付部材77gを備えて
おり、この取付部材77gの両側壁77g1,77g2
はMCY3の長手方向とほぼ平行に延びる長孔77hが
穿設されている。これらの長孔77hおよびブレーキレ
バー2′に支軸2′aを貫通させることで、ブレーキレ
バー2′が取付部材77gに回動可能に支持されている
とともに、支軸2′aは長孔77hの両端の間で摺動可
能とされている。
【0091】また、ストローク発生手段77は、取付部
材77gの両側壁77g1,77g2間の中間壁77g3
ブレーキレバー2′の支軸側端部に設けたフランジ部
2′gとの間に縮設されたスプリング77iを備えてい
る。このスプリング77iは、ブレーキレバー2′を図
7(a)において時計方向に常時付勢している。前述の
第1例のスプリング77cと同様に、図示のブレーキペ
ダル2が踏み込まれない解放状態で、このスプリング7
7iのばね力は所定の設定ばね力に設定されているとと
もに、スプリング77iのばね定数は所望のペダル踏力
−ペダルストローク特性が得られるように設定される。
更に、設定ばね力は違和感なく良好な運転フィーリング
が保持されるように設定されるのが望ましい。
【0092】そして、ブレーキペダル2の解放状態で
は、このスプリング77iのばね力により、図7(a)
に示すように支軸2′aが長孔77hの右端に当接して
ブレーキレバー2′のそれ以上の時計方向の回動が規制
されるようになっている。また、ブレーキペダル2が踏
み込まれて、ブレーキレバー2′がスプリング77iを
圧縮させながらこのブレーキレバー2′とクレビス3h
とを連結する連結ピン3iを中心に図7(a)において
反時計方向に回動すると、支軸2′aは長孔77hの左
端に当接してブレーキレバー2′のそれ以上の反時計方
向の相対回動が規制されている。この長孔77hの左端
がブレーキレバー2′の相対回動を規制するストッパを
構成している。このように、この第3例のストローク発
生手段77は、ブレーキレバー2′とクレビス3hとの
連結ピン3iを中心に所定の範囲で回動可能な構造とな
っている。図7(a)において、この第3例のブレーキ
システム1の入力ロッド3gより右側部分の構成は前述
の図3または図4に示す具体例のブレーキシステム1と
同じである。
【0093】次に、このように構成された第3例のブレ
ーキシステム1の作動について説明する。ブレーキペダ
ル2が踏み込まれない解放状態にあるときは、図7
(a)に示すように支軸2′aが長孔77hの右端に当
接した状態となっている。
【0094】この状態で、ブレーキペダル2が踏み込ま
れると、この時点ではMCY3からの反力がほとんどな
く、スプリング77iが圧縮変形されず、ブレーキレバ
ー2′は長孔77hの右端に当接した状態にある支軸
2′aを中心に図7(a)において反時計方向に回動す
る。したがって、ブレーキペダル2が微小ストローク
し、MCY3の液圧室3e,3fが密閉状態となるまで
は、この第3例のブレーキシステム1の作動は前述の第
1例と同じである。
【0095】MCY3の液圧室3e,3fが密閉状態と
なると、MCY3の各ピストン3a,3bがともにスト
ロークしないので、クレビス3hも移動しない。する
と、ペダル踏力でブレーキレバー2′がスプリング77
iを圧縮変形させながらクレビス3hの連結ピン3iを
中心に回動するようになる。このとき、支軸2′aが長
孔77hに案内されて図7(a)において左方へ移動
し、支軸2′aが長孔77hの左端に当接すると、連結
ピン3iを中心としたブレーキレバー2′の反時計方向
の回動が停止するようになる。連結ピン3iを中心とし
たブレーキレバー2′の回動によるブレーキペダル2の
ストロークは前述の第1例の距離λに等しくなるように
設定されている。この状態では、ブレーキペダル2のス
トロークが停止し、このときの運転者の足の全ペダルス
トロークは、支軸2′aを中心としたブレーキレバー
2′の回動時のブレーキペダル2の微小ストロークと連
結ピン3iを中心としたブレーキレバー2′の回動によ
るブレーキペダル2のストロークとの和であり、超ショ
ートストロークとなる。この第3例のブレーキシステム
1の他の作用効果は第1例と同じである。
【0096】図8(a)は本発明のブレーキシステムの
実施の形態の第4例におけるストローク発生手段を示す
部分図、同図(b)は(a)におけるVIIIB−VIIIB線に
沿う断面図である。
【0097】図8(a)および(b)に示すように、こ
の第4例のブレーキシステム1におけるストローク発生
手段77は、ブレーキレバー2′とクレビス3hとの連
結部に設けられている。すなわち、この第4例のストロ
ーク発生手段77は、ブレーキレバー2′のクレビス3
hとの連結部分に設けられたフランジ状のスプリングリ
テーナ2′hを備えている。また、クレビス3hはコ字
状に形成されており、ストローク発生手段77は、この
クレビス3hの両側壁3h1,3h2にMCY3の中心軸
とほぼ同一軸でかつMCY3の長手方向とほぼ平行に延
びるようにして穿設された長孔77jを備えている。こ
れらの長孔77jおよびブレーキレバー2′に連結ピン
3iを貫通させることで、クレビス3hがブレーキレバ
ー2′に回動可能に支持されているとともに、連結ピン
3iは長孔77jの両端の間で摺動可能とされている。
クレビス3hの両側壁3h1,3h2間の中間壁3h3
は、MCY3の入力ロッド3gが連結されている。
【0098】更に、ストローク発生手段77は、クレビ
ス3hの中間壁3h3とスプリングリテーナ2′hとの
間に縮設されたスプリング77kを備えている。このス
プリング77kは、ブレーキレバー2′とクレビス3h
とが互いに離れる方向にこれらを常時付勢している。前
述の第1例のスプリング77cと同様に、図示のブレー
キペダル2が踏み込まれない解放状態で、このスプリン
グ77kのばね力は所定の設定ばね力に設定されている
とともに、スプリング77kのばね定数は所望のペダル
踏力−ペダルストローク特性が得られるように設定され
る。更に、設定ばね力は違和感なく良好な運転フィーリ
ングが保持されるように設定されるのが望ましい。
【0099】そして、ブレーキペダル2の解放状態で
は、このスプリング77kのばね力により、図8(a)
に示すように連結ピン3iが長孔77jの左端に当接し
て、ブレーキレバー2′とクレビス3hとがそれ以上離
隔するのを規制されている。また、ブレーキペダル2が
踏み込まれて、ブレーキレバー2′がスプリング77k
を圧縮させながらクレビス3hに対して相対移動する
と、連結ピン3iは長孔77jの右端に当接してブレー
キレバー2′のそれ以上の相対移動が規制されるように
なっている。この長孔77jの右端はブレーキレバー
2′のクレビス3hに対する相対移動を規制するストッ
パを構成している。このように、この第4例のストロー
ク発生手段77は、ブレーキレバー2′がクレビス3h
に対して所定の範囲で相対移動可能な構造となってい
る。
【0100】図8(a)において、この第4例のブレー
キシステム1の入力ロッド3gより右側部分の構成は前
述の図3または図4に示す具体例のブレーキシステム1
と同じである。
【0101】次に、このように構成された第4例のブレ
ーキシステム1の作動について説明する。ブレーキペダ
ル2が踏み込まれない解放状態にあるときは、図8
(a)に示すように連結ピン3iが長孔77jの左端に
当接した状態となっている。
【0102】この状態で、ブレーキペダル2が踏み込ま
れると、この時点ではMCY3からの反力がほとんどな
く、スプリング77kが圧縮変形されず、ブレーキレバ
ー2′が図8(a)において反時計方向に回動するとと
もに、これに連動してクレビス3hが右方へ移動する。
したがって、ブレーキペダル2が微小ストロークし、M
CY3の液圧室3e,3fが密閉状態となるまでは、こ
の第4例のブレーキシステム1の作動は前述の第1例と
同じである。
【0103】MCY3の液圧室3e,3fが密閉状態と
なると、MCY3の各ピストン3a,3bがともにスト
ロークしないので、クレビス3hも移動しない。する
と、ペダル踏力でブレーキレバー2′がスプリング77
kを圧縮変形させながらクレビス3hに対して相対移動
するようになる。このとき、連結ピン3iが長孔77j
に案内されて図8(a)において右方へ移動し、この連
結ピン3iが長孔77jの右端に当接すると、ブレーキ
レバー2′のクレビス3hに対する相対移動が停止する
ようになる。このブレーキレバー2′の相対移動による
ブレーキペダル2のストロークは前述の第1例の距離λ
に等しくなるように設定されている。この状態では、ブ
レーキペダル2のストロークが停止し、このときの運転
者の足の全ペダルストロークは、ブレーキレバー2′と
クレビス3hとの連動時のブレーキペダル2の微小スト
ロークとペダルレバー2′のクレビス3hに対する相対
ストロークによるブレーキペダル2のストロークとの和
であり、超ショートストロークとなる。この第4例のブ
レーキシステム1の他の作用効果は第1例と同じであ
る。
【0104】図9は本発明のブレーキシステムの実施の
形態の第5例におけるストローク発生手段を示す部分図
である。以下の説明において、前は図9において左を表
し、後は図9において右を表す。
【0105】図9に示すように、この第5例のブレーキ
システム1におけるストローク発生手段77は、MCY
3の入力ロッド3gの中間部に設けられている。すなわ
ち、入力ロッド3gがクレビス3hに連結されるクレビ
ス側ロッド(本発明の入力側ロッドに相当)3g1と、
このクレビス側ロッド3g1が相対摺動可能に嵌合さ
れ、かつMCY3のプライマリピストン3aに連結され
るピストン側ロッド(本発明の作動側ロッドに相当)3
2とからなっている。
【0106】クレビス側ロッド3g1の前端部に縮径部
3g3が形成され、この縮径部3g3には環状ディスク状
のリテーナ77mが摺動自在に嵌合されている。その場
合、このリテーナ77mは縮径部3g3に取り付けられ
たストッパリング77nによってそれ以上のクレビス側
ロッド3g1に対する前方への相対移動が規制されてい
る。
【0107】また、クレビス側ロッド3g1の前端部が
摺動自在に嵌合されるピストン側ロッド3g2の孔に連
続して、縮径された孔3g4が穿設されているととも
に、この孔3g4により段部3g5がピストン側ロッド3
2に形成されている。孔3g4内には、クレビス側ロッ
ド3g1が前方へストロークしたとき、クレビス側ロッ
ド3g1の縮径部3g3およびストッパリング77nが進
入可能となっているが、リテーナ77mは段部3g5
当接して進入不能となっている。クレビス側ロッド3g
1の前端部における縮径部3g3によって形成された段部
3g6とリテーナ77mとの間には、スプリング77o
が縮設されている。このスプリング77oのばね力によ
り、リテーナ77mがストッパリング77nの方へ常時
付勢されている。
【0108】一方、ピストン側ロッド3g2の後端には
筒状のナット77pが螺合されている。この筒状のナッ
ト77pの内側に突設されたフランジ77p1の中央貫
通孔をクレビス側ロッド3g1が遊嵌、貫通されてい
る。このクレビス側ロッド3g1の外周にはフランジ3
7が外側に向かって突設されており、このフランジ3
7とナット77pのフランジ77p1とが軸方向に係合
するようになっている。クレビス側ロッド3g1のフラ
ンジ3g7とピストン側ロッド3g2の内孔に形成された
段部3g8との間に、もう1つのスプリング77qが縮
設されている。このスプリング77qのばね力により、
クレビス側ロッド3g1は、そのフランジ3g7がフラン
ジ77p1に係合する方向へ常時付勢されている。
【0109】そして、図示のブレーキペダル2が踏み込
まれない非作動時においては、クレビス側ロッド3g1
のフランジ3g7とナット77pのフランジ77p1とが
軸方向に係合している。また、リテーナ77mがストッ
パリング77nに当接した状態となっている。この状態
では、リテーナ77mと段部3g5との間に、所定の間
隔が設定されているとともに、各スプリング77o,7
7qは予め設定されたそれぞれの設定ばね力に設定され
ている。
【0110】また、リテーナ77mと段部3g5との間
の所定の間隔は、クレビス側ロッド3g1のフランジ3
7とピストン側ロッド3g2の後端3g9との間の距離
より小さく設定されている。これにより、クレビス側ロ
ッド3g1がピストン側ロッド3g2に対して前方へ相対
摺動したとき、まず、スプリング77qが圧縮変形し、
リテーナ77mが段部3g5に当接した後は、2つのス
プリング77o,77qがともに圧縮変形するようにな
る。そして、クレビス側ロッド3g1のフランジ3g7
ピストン側ロッド3g2の後端3g9に当接したとき、ク
レビス側ロッド3g1のそれ以上の相対摺動が停止され
る。このように、ピストン側ロッド3g2の後端3g
9は、クレビス側ロッド3g1の相対摺動を規制するスト
ッパとして機能している。
【0111】この第5例のブレーキシステム1の他の構
成は前述の図3または図4に示す具体例のブレーキシス
テム1と同じである。
【0112】次に、このように構成された第5例のブレ
ーキシステム1の作動について説明する。ブレーキペダ
ル2が踏み込まれない解放状態にあるときは、図9に示
すようにクレビス側ロッド3g1のフランジ3g7がナッ
ト77pのフランジ77p1に軸方向に係合していると
ともに、リテーナ77mがストッパリング77nに当接
し、かつリテーナ77mと段部3g5との間に所定の間
隔が存在している状態となっている。
【0113】この状態で、ブレーキペダル2が踏み込ま
れると、この時点ではMCY3からの反力がほとんどな
く、2つのスプリング77o,77qがともに圧縮変形
されず、入力ロッド3はクレビス側ロッド3g1とピス
トン側ロッド3g2とが一体になって前方へ移動する。
したがって、ブレーキペダル2が微小ストロークし、M
CY3の液圧室3e,3fが密閉状態となるまでは、こ
の第4例のブレーキシステム1の作動は前述の第1例と
同じである。
【0114】MCY3の液圧室3e,3fが密閉状態と
なると、MCY3の各ピストン3a,3bがともにスト
ロークしないので、ピストン側ロッド3g2もストロー
クしない。すると、ペダル踏力でクレビス側ロッド3g
1がスプリング77qを圧縮変形させながらピストン側
ロッド3g2に対して前方へ相対移動するようになる。
このとき、リテーナ77mと段部3g5との間に所定の
間隔が存在しているので、リテーナ77mも一緒に前進
する。そして、ストッパリング77nが孔3g4に進入
し、リテーナ77mが段部3g5に当接すると、リテー
ナ77mはそれ以上ピストン側ロッド3g2に対して前
進しなくなる。このため、クレビス側ロッド3glはス
プリング77qに加えてスプリング77oも圧縮変形さ
せながら前進するようになる。これにより、ストローク
発生手段77のばね定数が変わり、ペダルストロークに
対するペダル踏力および発生する減速度(ブレーキ圧)
が二段特性を呈するようになる。
【0115】クレビス側ロッド3g1のフランジ3g7
ピストン側ロッド3g2の後端3g9に当接すると、クレ
ビス側ロッド3g1のピストン側ロッド3g2に対する相
対移動が停止するようになる。このクレビス側ロッド3
1の相対移動によるブレーキペダル2のストロークは
前述の第1例の距離λに等しくなるように設定されてい
る。この状態では、ブレーキペダル2のストロークが停
止し、このときの運転者の足の全ペダルストロークは、
クレビス側ロッド3g1とピストン側ロッド3g2との連
動時のブレーキペダル2の微小ストロークとクレビス側
ロッド3g1のピストン側ロッド3g2に対する相対スト
ロークによるブレーキペダル2のストロークとの和であ
り、超ショートストロークとなる。この第5例のブレー
キシステム1の他の作用効果は第1例と同じである。
【0116】この第5例のブレーキシステム1によれ
ば、各スプリング77o,77qのばね定数、種々のス
プリングの組合せ、およびリテーナ77mと段部77n
との間の間隔等を適宜設定することにより、超ショート
ストロークの間で種々のペダル踏力−ペダルストローク
特性を得ることができるようになる。
【0117】図10は本発明のブレーキシステムの実施
の形態の第6例におけるストローク発生手段を示す部分
図である。以下の説明において、前は図10において左
を表し、後は図10において右を表す。図10に示すよ
うに、この第6例のブレーキシステム1におけるストロ
ーク発生手段77は、MCY3内に設けられている。こ
の第6例のMCY3では、タンデム型のMCYのプライ
マリ側をストローク発生手段77として用いるととも
に、セカンダリ側を本来のMCYとして用いている。す
なわち、この第6例のMCY3は実質的にはシングルM
CYであり、シングルMCYで発生されたMCY圧が2
系統の各ホイールシリンダに供給されるようになってい
る。その場合、図示しないがMCY3に1つのブレーキ
液給排通路が接続され、このブレーキ液給排通路から第
1および第2ブレーキ系統の液圧給排通路7,8がそれ
ぞれ分岐されている。この第6例におけるストローク発
生手段について具体的に説明する。
【0118】この第6例のMCY3においては、プライ
マリピストンに相当するピストンはストローク発生手段
77のストローク発生ピストン3′aとして用いられて
おり、またセカンダリピストンに相当するピストンはM
CY圧を発生するMCYピストン3′bとして用いられ
ている。
【0119】ストローク発生ピストン3′aは、ハウジ
ング3jの第1および第2部分3j 1,3j2の孔内に配
設されている。このストローク発生ピストン3′aは、
ハウジング3jの第1部分3j1の孔の内周面に設けら
れた第1カップシール3kおよびハウジング3jの第2
部分3j2の孔の内周面に設けられた第2カップシール
3mにより液密にかつ摺動可能にこれらのハウジング部
分の孔に設けられている。これらの第1および第2カッ
プシール3k,3mはともにそれらのシールより後方か
ら前方への液の流れは許容されるが、その逆の流れは阻
止されるようになっている。図示しないが、ストローク
発生ピストン3′aの後端部に、入力ロッド3gが当接
されるようになっている。
【0120】MCYピストン3′bはハウジング3jの
第2部分3j2の孔およびハウジング3jの第3部分3
3の孔内に配設されている。このMCYピストン3′
bはハウジング3jの第2部分3j2の孔の内周面に設
けられた第3カップシール3nおよびハウジング3jの
第3部分3j3の孔の内周面に設けられた第4カップシ
ール3oにより液密にかつ摺動可能にこれらの孔に設け
られている。第4カップシール3oは、その前側から後
側への液の流れを阻止しかつその逆の流れを許容するよ
うになっている。
【0121】ストローク発生ピストン3′aとMCYピ
ストン3′bとの間には、プライマリ室3eが形成され
ているとともに、ストローク発生手段77が配設されて
いる。
【0122】このストローク発生手段77は、ストロー
ク発生ピストン3′aとMCYピストン3′bとの間に
縮設された前述のMCY3のリターンスプリング3c
と、このリターンスプリング3cの一端を支持する第1
リテーナ77rと、リターンスプリング3cの他端を支
持する第2リテーナ77sと、後端側で第1リテーナ7
7rを固定支持するとともに、前端側で第2リテーナ7
7sを摺動自在に支持するリテーナロッド77tとを備
えている。図示のように、リテーナロッド77tの前端
に形成された頭部77t1に第2リテーナ77sが当接
することで、第2リテーナ77sのリテーナロッド77
tに対する前方への相対移動が規制されている。第2リ
テーナ77sが頭部77t1に当接した状態では、リタ
ーンスプリング3cは最大長の状態で第1および第2リ
テーナ77r,77sの間に縮設され、所定の設定ばね
力に設定されている。
【0123】そして、ブレーキペダル2の踏み込まれな
い被作動状態では、図示のようにスプリング3cが最大
長になっているとともに、第1リテーナ77rがストロ
ーク発生ピストン3′aに当接し、かつ第2リテーナ7
7sがMCYピストン3′bに当接している。したがっ
て、スプリング3cは実質的に両ピストン3′a,3′
b間に縮設されている。また、この状態では、リテーナ
ロッド77tの頭部77t1の前端とMCYピストン
3′bの後端との間に所定の間隔が設定されている。
【0124】また、ハウジング3jのハウジングの第3
部分3J3とMCYピストン3′bとの間の孔には、セ
カンダリ室3fが形成されているとともに、第3部分3
3とMCYピストン3′bとの間にリターンスプリン
グ3dが縮設されている。その場合、プライマリ側のリ
ターンスプリング3cのばね力よりセカンダリ側のリタ
ーンスプリング3dのばね力が小さく設定されている。
【0125】プライマリ室3eは、ハウジング3jの第
2部分3j2に穿設された孔3p、ハウジング3jの第
1部分3j1に穿設された孔3q、ハウジング3jの第
3部分3j3に穿設された孔3rおよびハウジング3j
の第3部分3j3に設けられたコネクタ3sのリザーバ
接続孔3s1を介してリザーバ4に常時接続されてい
る。
【0126】一方、MCYピストン3′bの前端部には
径方向孔3′b1が穿設されており、この径方向孔3′
1は、ハウジング3jの第2部分3j2に穿設された孔
3t、ハウジング3jの第3部分3j3に穿設された孔
3uおよびハウジング3jの第3部分3j3に設けられ
たリザーバ接続口3vを介してリザーバ4に接続可能と
なっている。そして、MCYピストン3′bの図示の非
作動位置では、径方向3′b1が第4カップシール3o
より若干後方に位置しており、このときは、セカンダリ
室3fがリザーバ4に連通するが、MCYピストン3′
bの前進で径方向孔3′b1が第4カップシール3oよ
り前方に位置したときは、セカンダリ室3fとリザーバ
4とが、セカンダリ室3fからリザーバ4に向かう方向
には遮断され、セカンダリ室3fにはMCY圧が発生す
るようになっている。このセカンダリ室3fは、ハウジ
ング3jの第3部分3j3に穿設された出力口3wを介
して1つの液圧給排通路(不図示)に接続され、この液
圧給排通路は、前述の各例における各ブレーキ系統の液
圧給排通路7,8に分岐されて、それぞれのブレーキ系
統の各ホイールシリンダ9,10;11,12に接続され
ている。この第6例のブレーキシステム1の他の構成
は、図3または図4に示す例と同じである。
【0127】次に、このように構成された第6例のブレ
ーキシステム1の作動について説明する。ブレーキペダ
ル2が踏み込まれない解放状態にあるときは、図10に
示すようにスプリング77rは最大長に設定されるとと
もに、第1および第2リテーナ77r,77sはそれぞ
れストローク発生手段3′aおよびMCYピストン3′
bに当接した状態となっている。このとき、リテーナロ
ッド77t1とMCYピストン3′bとの間には所定の
間隔が存在している。また、MCYピストン3′bの孔
3′b1が第4カップシール3oの後方にあって孔3′
1が孔3tに接続されており、これにより、セカンダ
リ室3fはリザーバ4に連通している。
【0128】この状態で、ブレーキペダル2が踏み込ま
れると、この時点ではセカンダリ室3fがリザーバ4に
連通していることからMCY3のMCYピストンからの
反力がほとんどなく、スプリング3cが圧縮変形され
ず、スプリング3dのみが圧縮変形するので、両ピスト
ン3′a,3′bは一体になって連動し前方へ移動す
る。このとき、両ピストン3′a,3′bの有効受圧面
積が等しく設定されていることから、プライマリ室3e
の容積変化はなく、プライマリ室3eの液はリザーバ4
にほとんど流出しない。
【0129】ブレーキペダル2が微小ストロークし、M
CYピストン3′bの孔3′b1が第4カップシール3
oを通り過ぎてその前方に位置して、孔3′b1が孔3
tから遮断され、これにより、セカンダリ室3fがリザ
ーバ4から遮断されるとともに、液圧給排通路7,8の
電磁開閉弁19,20がともに閉じられて、セカンダリ
室3fが密閉状態となるまでは、この第6例のブレーキ
システム1の作動は前述の第1例とほぼ同じである。
【0130】MCY3のセカンダリ室3fが密閉状態と
なると、MCYピストン3′bがストロークしないの
で、ペダル踏力でストローク発生ピストン3′aがスプ
リング77rを圧縮変形させながらMCYピストン3′
bに対して前方へ相対移動するようになる。このとき、
プライマリ室3eの容積が縮小するので、プライマリ室
3eの液はリザーバ4へ流出する。また、リテーナロッ
ド77tの頭部77t1とMCYピストン3′bとの間
に所定の間隔が存在しているので、リテーナロッド77
tもストローク発生ピストン3′aと一緒に前方へ相対
移動する。
【0131】リテーナロッド77tの頭部77t1がM
CYピストン3′bの後端に当接すると、ストローク発
生ピストン3′aのMCYピストン3′bに対する相対
移動が停止するようになる。このストローク発生ピスト
ン3′aの相対移動によるブレーキペダル2のストロー
クは前述の第1例の距離λに等しくなるように設定され
ている。この状態では、ブレーキペダル2のストローク
が停止し、このときの運転者の足の全ペダルストローク
は、ストローク発生ピストン3′aとMCYピストン
3′bとの連動時のブレーキペダル2の微小ストローク
とストローク発生ピストン3′aのMCYピストン3′
bに対する相対ストロークによるブレーキペダル2のス
トロークとの和であり、超ショートストロークとなる。
【0132】なお、ブレーキ解除時にストローク発生ピ
ストン3′aが後退すると、プライマリ室3eの容積が
増大するが、リザーバ4から液がリザーバ接続孔3
1、孔3r,3q,3pを介して何ら絞られることなく
流入するので、ストローク発生ピストン3′aが迅速に
後退し、ブレーキ解除遅れが防止される。この第6例の
ブレーキシステム1の他の作用効果は第1例と同じであ
る。
【0133】図11は本発明のブレーキシステムの実施
の形態の第7例におけるストローク発生手段を示す部分
図である。以下の説明において、前は図11において左
を表し、後は図11において右を表す。
【0134】前述の第6例のブレーキシステム1では、
ハウジング3jの第1部分3j1の孔3qがそこを通過
する液の流れを何ら絞らない通常の孔として形成されて
いるが、図11に示すように、この第7例のブレーキシ
ステム1におけるストローク発生手段77では、ハウジ
ング3jの第1部分3j1の孔3qがそこを通過する液
の流れを絞るオリフィス孔3′qとして形成されてい
る。
【0135】また、この第7例ではハウジング3jの第
1部分3j1に、孔3rと第1部分3j1の孔の、第1お
よび第2カップシール3k,3mの間の内周面とを、孔
3qをバイパスして連通する孔3xが穿設されている。
これにより、リザーバ4の液が、孔3r、孔3q、第2
カップシール3mの外周リップ部を通してプライマリ室
3eに流入可能となっている。この第7例のブレ−キシ
ステム1の他の構成は、前述の第6例と同じである。
【0136】次に、このように構成されたこの第7例の
ブレーキシステム1の作動について説明する。通常ブレ
ーキ作動時、ブレーキペダル2が通常速度で踏み込まれ
ると、ストローク発生ピストン3′aが通常の速度で前
進する。前述の各例と同様にMCY3のセカンダリ室3
fが密閉状態となった後、前述の第6例と同様にストロ
ーク発生ピストン3′aがMCYピストン3′bに対し
て前方へ相対移動するが、このとき、ストローク発生ピ
ストン3′aは通常の速度で相対移動するようになる。
したがって、プライマリ室3eの液は孔3p、オリフィ
ス孔3′q、孔3rおよびリザーバ接続孔3s1を通っ
てリザーバ4の方へ通常の速度でほとんど絞られること
なく、流出するようになる。このため、プライマリ室3
eには液圧はほとんど発生しない。
【0137】また、ブレーキ解除時にストローク発生ピ
ストン3′aが後退するが、このとき、リザーバ4から
の液がリザーバ接続孔3s1、孔3r、孔3x、第2カ
ップシール3mの外周リップ部を通過してプライマリ室
3eにほとんど絞られることなく、導入される。これに
より、オリフィス孔3′qが設けられても、ストローク
発生ピストン3′aが遅れることなくスムーズに後退す
るようになる。
【0138】次に、急ブレーキの作動時は、ブレーキペ
ダル2が通常速度より大きな急速度で踏み込まれると、
ストローク発生ピストン3′aが急速度で前進する。そ
して、MCY3のセカンダリ室3fが密閉状態となった
後、ストローク発生ピストン3′aはMCYピストン
3′bに対して急速度で前方へ相対移動するようにな
る。このため、プライマリ室3eの液がリザーバ4へ流
出する際、液の流れがオリフィス孔3′qで絞られるよ
うになるので、プライマリ室3eに液圧が発生する。こ
の液圧でMCYピストン3′bが前方へ押圧されるの
で、通常作動時よりは短いペダルストロークでより早く
MCY圧が発生するようになる。これにより、急ブレー
キ作動時の応答性が向上する。急ブレーキの解除時は、
前述の通常ブレーキ時の解除時と同様である。この第7
例のブレ−キシステム1の他の作用効果は、前述の第6
例と同じである。
【0139】図12は本発明のブレーキシステムの実施
の形態の第8例におけるストローク発生手段を示す部分
図である。以下の説明において、前は図12において左
を表し、後は図12において右を表す。
【0140】前述の第7例のブレーキシステム1では、
ハウジング3jの第1部分3j1の孔3qがオリフィス
孔3′qとして形成されているが、この第8例では、孔
3qが第6例と同様に通常の孔として形成され、代わり
にオリフィス孔を有するフロート弁が用いられている。
すなわち、図13(a)に示すように、このフロート弁
13zは中央に1つのオリフィス孔3z1が穿設されて
いるとともに、外周に所定数(図示例では4個)の溝3
2が形成されている。オリフィス孔3z1はここを流動
する液の流れを絞るように設定されており、また、所定
数の溝3z2はこれらを流動する液の流れを実質的に絞
らないように設定されている。そして、図13(b)お
よび(c)に示すようにこのフロート弁3zはコネクタ
3sとハウジング3jの第3部分3j3との間に、液の
流れに応じて上下方向に移動可能にフロート状態で収容
されている。
【0141】ブレーキペダル2が踏み込まれない非作動
状態および通常ブレーキの作動時は、図13(b)に示
すようにフロート弁3zは下方位置にあり、第3部分3
j3に当接した状態となっている。この状態では、孔3
rとコネクタ3sのリザーバ接続孔3s1とは、主にフ
ロート弁3zの外周の溝3z2してを介して接続されて
いる。なお、孔3rとリザーバ接続孔3s1とは、オリ
フィス孔3z1を介しても連通していることは言うまで
もない。したがって、このときは、プライマリ室3eか
らリザーバ4に流出する液の流れおよびリザーバ4から
プライマリ室3eへ流入する液の流れは実質的に絞られ
なく、プライマリ室3eには液圧が発生しない。
【0142】急ブレーキの作動時は、プライマリ室3e
からリザーバ4に流出する液の流速が大きいことから、
フロート弁3zはこの液の流れに応じて上方に移動し
て、図13(c)に示すようにコネクタ3sに当接した
状態となる。この状態では、フロート弁3zの外周縁部
がシール部材3αに当接して、この外周縁部がシールさ
れ、孔3rとリザーバ接続孔3s1とは、オリフィス孔
3z1のみで接続されるようになっている。したがっ
て、このときはオリフィス孔3z1により、プライマリ
室3eからリザーバ4に流出する液の流れが絞られて、
プライマリ室3eには液圧が発生するようになってい
る。この第8例のブレ−キシステム1の他の構成は、前
述の第6例と同じである。
【0143】次に、このように構成されたこの第8例の
ブレーキシステム1の作動について説明する。通常ブレ
ーキ作動時は、フロート弁3zが図13(b)に示す下
方位置に設定される。MCY3のセカンダリ室3fが密
閉状態となった後、前述の第7例と同様にストローク発
生ピストン3′aがMCYピストン3′bに対して前方
へ相対移動するが、このとき、ストローク発生ピストン
3′aは通常の速度で相対移動するようになる。したが
って、プライマリ室3eの液は孔3p、3q、孔3r、
フロート弁3zの溝3z2およびリザーバ接続孔3s1
通ってリザーバ4の方へ通常の速度でほとんど絞られる
ことなく、流出するようになる。このため、プライマリ
室3eには液圧はほとんど発生しない。
【0144】また、ブレーキ解除時にストローク発生ピ
ストン3′aが後退するが、このとき、リザーバ4から
の液がリザーバ接続孔3s1、溝3z、孔3r、孔3q
および孔3pを介してプライマリ室3eに実質的に絞ら
れることなく、導入される。これにより、オリフィス孔
3z1が設けられても、ストローク発生ピストン3′a
が遅れることなくスムーズに後退するようになる。
【0145】次に、急ブレーキの作動時は、ブレーキペ
ダル2が通常速度より大きな急速度で踏み込まれるの
で、ストローク発生ピストン3′aが急速度で前進す
る。そして、MCY3のセカンダリ室3fが密閉状態と
なった後、ストローク発生ピストン3′aはMCYピス
トン3′bに対して急速度で前方へ相対移動するように
なる。すると、プライマリ室3eの液がリザーバ4へ急
速度で流出するが、この急速度の液の流れに応じてフロ
ート弁3zが上方へ移動して、図13(c)に示すコネ
クタ3sに当接した状態となる。このため、液の流れが
オリフィス孔3z1で絞られるようになるので、前述の
第7例と同様にプライマリ室3eに液圧が発生する。こ
の液圧でMCYピストン3′bが前方へ押圧されるの
で、通常作動時よりは短いペダルストロークでより早く
MCY圧が発生するようになる。これにより、急ブレー
キ作動時の応答性が向上する。急ブレーキの解除時は、
前述の通常ブレーキ時の解除時と同様である。この第8
例のブレ−キシステム1の他の作用効果は、前述の第6
例と同じである。
【0146】図14は本発明のブレーキシステムの実施
の形態の第9例におけるストローク発生手段を模式的に
示す、図1に相当する図である。前述の各例では、ブレ
ーキ作動時、ペダル踏力が検知されると、すぐにコント
ローラ21は両電磁開閉弁19,20が閉じられるよう
になっているが、この第9例のブレーキシステム1で
は、ペダル踏み込み時の電磁開閉弁19,20の閉時期
が、MCY圧を含むペダル踏力でペダルストロークを推
定し、この推定ストロークが予め設定された所定値にな
ったとき、両電磁開閉弁19,20を閉じるように制御
することでペダルストロークを所定の超ショートストロ
ークに設定するようにしている。
【0147】具体的に説明すると、図14に示すように
コントローラ21内に、ペダル踏力−ブレーキ液圧のリ
ニアな関係のマップ、およびペダル踏力−推定ペダル踏
力の関係のマップを、予めコントローラ21内に格納し
ておく。この第9例におけるブレーキシステム1は図3
に示すブレーキシステム1と同じである。なお、図4に
示すABS等を備えたブレーキシステム1にも適用でき
る。
【0148】ブレーキ作動時、ペダル踏力検出手段22
でペダル踏力が検出され、ペダル踏力検出手段22から
その検出信号がコントローラ21に供給されると、コン
トローラ21は供給されたペダル踏力と予め格納されて
いるペダル踏力−推定ペダルストロークの関係とに基づ
いて、その時のペダルストロークを推定する。そして、
コントローラ21は、推定ペダルストロークが予め定め
られている所定値になると、両電磁開閉弁19,20を
閉じる。すると、MCY3の液圧室3e,3fが密閉状
態となるので、各ピストン3a,3bのストロークが停
止し、これにより、ブレーキペダル2のストロークも停
止するようになる。このときのブレーキペダル2のスト
ロークは所定値に対応した値となり、この所定値を適宜
設定することで、ブレーキペダル2の超ショートストロ
ークを実現することができるようになる。
【0149】こうして、この第9例では、ペダル踏力検
出手段22、コントローラ21、ペダル踏力−推定ペダ
ルストロークの関係のマップ、および両電磁開閉弁1
9,20により、この例のストローク発生手段77が構
成されている。ペダル踏力としては、前述の図1に示す
本発明の原理で説明したように、ペダル踏力自体α、ブ
レーキレバーの撓みβ、ブレーキレバーの枢支点反力
γ、同枢支点モーメントδ、ロッド押圧力ε、ロッド軸
力ζ、およびMCY圧P′が用いられる。また、ペダル
踏力−推定ペダルストロークの関係は、従来のブレーキ
システムの経験値から設定することもできるし、あるい
は任意の所望の関係となるように設定することもでき
る。この第9例のブレーキシステム1の他の作用効果は
図3に示すブレーキシステムと同じである。
【0150】図15は本発明のブレーキシステムの実施
の形態の第10例におけるストローク発生手段を模式的
に示す、図1に相当する図である。図15に示すよう
に、この第10例のブレーキシステム1におけるストロ
ーク発生手段77は、MCY3の入力ロッド3gの中間
部に設けられている。
【0151】これを具体的に説明すると、入力ロッド3
gがクレビス3hに連結されるクレビス側ロッド3g1
と、このクレビス側ロッド3g1と相対移動可能であ
り、かつMCY3のプライマリピストン3aに連結され
るピストン側ロッド3g2とからなっている。
【0152】また、ストローク発生手段77は、ピスト
ン側ロッド3g2に連結されたシリンダ77uと、クレ
ビス側ロッド3g1に連結され、かつこのシリンダ77
uに相対摺動可能に嵌合されたストローク発生ピストン
77vとを備えている。このストローク発生ピストン7
7vにより、シリンダ77u内がブレーキレバー2′側
の第1室77wとプライマリピストン3a側の第2室7
7xとに区画されている。これらの室内77w,77x
には粘性流体が充填されている。
【0153】ストローク発生ピストン77vにはこのピ
ストン77vを貫通して第1室77wと第2室77xと
を連通する第1および第2通路が並設されており、その
第1通路には第1室77wから第2室77xへの流体の
流れは許容するがその逆の流れは阻止するチェックバル
ブ77yが設けられており、また、その第2通路にはこ
のチェックバルブ77yに並設され、急ブレーキ作動時
に第2室77xから第1室77wへの流体の流れを絞る
オリフィス77zが設けられている。
【0154】シリンダ77u内には第1ストッパ77α
とこの第1ストッパ77αから離隔して第2ストッパ7
7βとが設けられている。ストローク発生ピストン77
vはこれらのストッパ77α,77βの間で摺動可能と
なっている。更に、ストローク発生ピストン77vとシ
リンダ77uとの間にはスプリング77γが縮設されて
いる。そして、図示のようにストローク発生手段77の
非作動状態では、スプリング77γのばね力でストロー
ク発生ピストン77vは第1ストッパ77αに当接した
状態となっている。この状態では、ストローク発生手段
77と第2ストッパ77βとの間には所定の間隔が設定
されており、この所定の間隔がストローク発生ピストン
77vの相対ストロークとなっている。
【0155】一方、この第10例のブレーキシステム1
では、前述の電磁開閉弁19,20に代えて、開閉手段
としてチェックバルブ19′,20′がそれぞれMCY
3とリザーバ4との液圧給排通路5,6に設けられてい
る。これらのチェックバルブ19′,20′は、リザー
バ4からMCY3へ向かう液の流れを許容し、その逆向
きの液の流れを阻止するようになっている。この第10
例のブレーキシステム1の他の構成は、図1に示す本発
明の原理で説明した構成とほぼ同じである。
【0156】次に、この第10例のブレーキシステム1
の作動について説明する。非作動時は、図示のようにス
トローク発生ピストン77vは第1ストッパ77αに当
接した位置にあり、ストローク発生ピストン77vと第
2ストッパ77βとの間に所定の間隔が設定されてい
る。
【0157】この状態で通常ブレーキが行われると、ブ
レーキペダル2が通常速度で踏み込まれる。ブレーキペ
ダル2の踏み込み開始時点ではMCY3からの反力がほ
とんどないので、スプリング77γは圧縮変形しなく、
クレビス側ロッド3g1とピストン側ロッド3g2とが一
体にストロークし、このときのブレーキペダル2は微小
ストロークする。このブレーキペダル2の微小ストロー
ク間に、ポンプ14が駆動されて、液圧給排通路7,8
にはポンプ吐出圧がブレーキ液圧制御装置16で制御さ
れた液圧が導入され、この液圧がMCY3の両ピストン
3a,3bに作用することで、両ピストン3a,3bのス
トロークが停止する。すると、ピストン側ロッド3g2
およびシリンダ77uのストロークも停止するので、ペ
ダル踏力で、クレビス側ロッド3g1およびストローク
発生ピストン77vがストローク77γを圧縮させなが
らピストン側ロッド3g2およびシリンダ77uに対し
て前方(図で右方)へ相対移動するようになる。このた
め、第2室77xの粘性流体がオリフィス77zを通っ
て第1室77w側に流動するが、このとき、ブレーキペ
ダル2が通常の速度で踏み込まれ、ストローク発生ピス
トン77vがシリンダ77uに対して通常の速度で相対
摺動するので、オリフィス77zは粘性流体の流れを実
質的に絞らない。したがって、ストローク発生ピストン
77wはスムーズに相対摺動するようになるとともに、
第2室77xには液圧が実質的に発生しない。
【0158】ストローク発生ピストン77wが第2スト
ッパ77βに当接すると、MCY3の各ピストン3a,
3b、ピストン側ロッド3g2およびシリンダ77uが
いずれもストロークしないので、クレビス3h側ロッド
3g1およびブレーキペダル2もともにストロークしな
くなる。このときのストローク発生ピストン77vのシ
リンダ77uに対する相対ストロークによるブレーキペ
ダル2のストロークは、ストローク発生ピストン77と
第2ストッパ77βとの間隔に応じた距離であり、この
距離が前述の第1例の距離λに等しく設定されている。
この状態では、ブレーキペダル2のストロークが停止
し、このときの運転者の足の全ペダルストロークは、ス
トローク発生ピストン77vとシリンダ77uとの連動
時のブレーキペダル2の微小ストロークとストローク発
生ピストン77vのシリンダ77uに対する相対ストロ
ークによるブレーキペダル2のストロークとの和にな
り、超ショートストロークとなる。
【0159】ブレーキ解除時は、ブレーキペダル2が解
放され、ストローク発生ピストン77vがシリンダ77
uに対して後方へ相対摺動する。このとき、第1室の粘
性流体はそのほとんどがチェックバルブ77yを通って
第2室77xの方へ流動するようになるので、粘性流体
の流れは実質的に絞られない。このため、ストローク発
生ピストン77vの相対摺動が迅速にかつスムーズに行
われるので、オリフィス77zが設けられても、ブレー
キペダル2は迅速に非作動位置に復帰する。
【0160】また、この第10例のブレーキシステム1
では、チェックバルブ19′,20′が設けられている
ことから、ブレーキ解除時、各ホイールシリンダ9,1
0,11,12等のブレーキ液は液圧給排通路5,6を通
ってはリザーバ4に排出されない。しかし、この第10
例では、ブレーキ液圧制御装置16を例えば図3に示す
具体例のように構成した場合は、コントローラ21で電
磁開閉弁27,29の開閉をペダル踏力に応じて制御す
ることで、また、ブレーキ液圧制御装置16を例えば図
4に示す具体例のように構成した場合は、コントローラ
21で電磁開閉弁48,49,50,51の開閉をペダル
踏力に応じて制御することで、それぞれ、各ホイールシ
リンダ9,10,11,12等のブレーキ液が電磁開閉弁
27,29を通してリザーバ4に排出されて、各ホイー
ルシリンダ9,10,11,12の残圧が排除され、ブレ
ーキが確実に解除される。
【0161】急ブレーキが行われると、ブレーキペダル
2が通常速度より大きい速度で踏み込まれる。前述のよ
うにMCY3の両ピストン3a,3bのストロークが停
止した後は、ストローク発生ピストン77vがシリンダ
77uに対して急速度で前方へ相対移動するようになる
ため、オリフィス77zによって第2室77xから第1
室77wへの粘性流体の流れが絞られる。これにより、
第2室77xには液圧が発生し、この液圧でシリンダ7
7uおよびピストン側ロッド3g2を介してMCYピス
トン3aが前方へ押圧されるので、通常作動時よりは短
いペダルストロークでより早くMCY圧が発生するよう
になる。これにより、急ブレーキ作動時の応答性が向上
する。急ブレーキの解除時は、前述の通常ブレーキ時の
解除時と同様である。この第10例のブレ−キシステム
1の他の作用効果は、前述の第8例と同じである。
【0162】なお、前述の各例では、本発明の液圧シス
テムをブレーキシステムに適用して説明しているが、本
発明の液圧システムはブレーキシステム以外の他の液圧
システムに適用できることは言うまでもない。
【0163】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の液圧システムによれば、入力手段のストロークを従来
に比べて大幅に短縮でき、超ショートストロークにでき
る。
【0164】更に、入力手段のストロークがきわめて小
さい微小ストロークに設定されていても、ストローク発
生手段により入力手段のストロークを最も望ましい範囲
に設定できるようになる。こうして、本発明の液圧シス
テムによれば、より高級感のあるより良い操作フィーリ
ングを得ることができるようになる。
【0165】また、本発明のブレーキシステムによれ
ば、このような液圧システムを用いているので、ブレー
キペダルのストロークを超ショートストロークにでき、
ブレーキフィーリングを良好にできる。
【0166】更に、ペダルストロークがほぼ0ないし7
mm程度のきわめて小さい微小ストロークに設定されて
いても、ストローク発生手段によりペダルストロークを
最も望ましい範囲に設定できるようになる。こうして、
本発明のブレーキシステムによれば、より高級感のある
より良い運転フィーリングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るブレーキシステムにおける基本
的な原理を説明する図である。
【図2】 図1に示す基本原理のブレーキシステムの各
特性を示す図である。
【図3】 図1に示す基本原理のブレーキシステムの具
体的な一例を模式的に示す図である。
【図4】 図1に示す基本原理のブレーキシステムの具
体的な他の例を模式的に示す図である。
【図5】 本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第1例を部分的に示す図
である。
【図6】 本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第2例を部分的に示す図
である。
【図7】 本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第3例を部分的に示し、
(a)は側面図、(b)は(a)におけるVIIB方向から
見た図である。
【図8】 本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第4例を部分的に示し、
(a)は側面図、(b)は(a)におけるVIIIB−VIIIB
線に沿う断面図である。
【図9】 本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第5例を一部断面をとっ
て部分的に示す図である。
【図10】本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第6例を部分的に示す断
面図である。
【図11】本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第7例を部分的に示す断
面図である。
【図12】本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第8例を部分的に示す断
面図である。
【図13】図12に示す第8例のストローク発生手段に
用いられているオリフィスを有するフロート弁を示し、
(a)はフロート弁の平面図、(b)および(c)はこ
のフロート弁の挙動をそれぞれ説明する部分断面図であ
る。
【図14】本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第9例を部分的に示す模
式図である。
【図15】本発明に係るブレーキシステムにおけるスト
ローク発生手段の実施の形態の第10例を部分的に示す
模式図である。
【図16】従来の一般的なブレーキシステムを模式的に
示す図である。
【符号の説明】
1…ブレーキシステム、2…ブレーキペダル、2′…ブ
レーキレバー、2′a…支軸、2′b…支軸側レバー、
2′c…ペダル側レバー、2′d…回動軸、2′e,7
7α…第1ストッパ、2′f,77β…第2ストッパ、
3…マスタシリンダ(MCY)、3a…プライマリピス
トン、3′a…スプリング発生ピストン、3b…セカン
ダリピストン、3c…リターンスプリング、3e…液圧
室(プライマリ室)、3f…液圧室(セカンダリ室)、
3g…入力ロッド、3g1…クレビス側ロッド、3g2
ピストン側ロッド、3g5,3g6,3g8…段部、3g7,
77p 1…フランジ、3h…クレビス、3i…連結ピ
ン、3m…第2カップシール、3′q,3z1…オリフィ
ス、3z…フロート弁、4…リザーバ、5,6…ブレー
キ液給排通路、7,8…液圧給排通路、9,10,11,1
2…ホイールシリンダ(WCY)、14…ポンプ、16
…ブレーキ液圧制御装置、17,18…ブレーキ液供給
通路、19,20…電磁開閉弁、21…中央処理装置
(コントローラ)、22…ペダル踏力検出手段、23…
ブレーキ液検出手段、77…ストローク発生手段、77
c,77i,77k,77q,77o,77γ…スプリン
グ、77e…第2のペダル、77f…ねじりコイルば
ね、77g…取付部材、77h,77j…長孔、77i
…スプリング、77p…ナット、77r…第1リテー
ナ、77t…リテーナロッド、77t1…頭部、77u
…シリンダ、77v…スプリング発生ピストン、77y
…チェックバルブ、7z…オリフィス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D046 BB04 BB19 BB28 BB29 BB32 CC02 DD02 HH02 HH16 LL05 LL23 LL37 LL46 3D048 BB25 BB27 CC06 CC54 HH13 HH26 HH38 HH42 HH50 HH53 HH66 HH68 QQ07 RR06 RR25 RR35 3J070 AA32 BA11 CA43 CC64 DA02 EA12

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動液を蓄えるリザーバと、リザーバか
    ら作動液が導入可能でありかつ作動時リザーバへ作動液
    が排出されるのを防止して液圧を発生する液圧発生シリ
    ンダと、前記液圧発生シリンダに接続され、この液圧発
    生シリンダの液圧により作動して出力するアクチュエー
    タと、作動時ストロークして入力を前記液圧発生シリン
    ダに加えて前記液圧発生シリンダを作動制御する入力手
    段とを備え、前記入力手段の入力を液圧発生シリンダで
    液圧に変換し、この液圧でアクチュエータから出力する
    液圧システムにおいて、 前記アクチュエータと前記リザーバとを前記液圧発生シ
    リンダを介して接続する液圧通路を開閉する開閉手段
    と、前記液圧通路の前記アクチュエータと前記開閉手段
    との間の第1通路に作動液を供給する作動液供給手段
    と、前記アクチュエータの液圧を制御する液圧制御手段
    と、前記開閉手段が前記入力手段の非作動時は前記液圧
    通路を連通し、前記入力手段の作動時は前記液圧通路を
    遮断するように、前記入力手段の入力に基づいて前記開
    閉手段を制御するとともに、前記液圧制御手段が前記入
    力手段の非作動時は前記作動液供給手段からの作動液の
    前記第1通路への供給を停止し、前記入力手段の作動時
    は前記作動液供給手段からの作動液を前記第1通路へ供
    給しかつ前記アクチュエータの液圧を予め設定された前
    記入力手段の入力と前記アクチュエータの出力との関係
    にしたがって制御するように、前記入力手段の入力に基
    づいて前記液圧制御手段を制御する中央処理装置を備え
    ており、 更に、前記入力手段の作動により前記開閉手段が前記液
    圧通路を遮断したとき、前記入力手段を更に所定量スト
    ロークさせるストローク発生手段を備えていることを特
    徴とする液圧システム。
  2. 【請求項2】 前記入力手段は前記液圧発生シリンダを
    作動する第1の入力部材と、この第1の入力部材に対し
    て所定量相対移動可能に設けられかつ操作者によって入
    力が加えられる第2の入力部材とを備え、 前記ストローク発生手段は、前記第2の入力部材に加え
    られる入力が所定値以下のときには、前記第1および第
    2の入力部材が一体に作動するとともに、前記入力が所
    定値を超えたときには、前記第2の入力部材が前記第1
    の入力部材に対して前記所定量に相当する量だけ相対移
    動するように構成されていることを特徴とする請求項1
    記載の液圧システム。
  3. 【請求項3】 前記第2の入力部材の前記第1の入力部
    材に対する相対移動は相対回動であることを特徴とする
    請求項2記載の液圧システム。
  4. 【請求項4】 前記入力手段は、一端に操作者によって
    入力が加えられたとき他端を中心に回動可能なレバーを
    備え、このレバーにその両端の間に位置して前記液圧発
    生シリンダを作動するロッドが相対回動可能に連結され
    ており、 前記ストローク発生手段は、前記入力部材に加えられる
    入力が所定値以下のときには、前記レバーが前記他端を
    中心に回動するとともに、前記入力が所定値を超えたと
    きには、前記レバーがこのレバーと前記ロッドとの連結
    部を中心に前記所定量に相当する角度回動するように構
    成されていることを特徴とする請求項1記載の液圧シス
    テム。
  5. 【請求項5】 前記入力手段は、一端に操作者によって
    入力が加えられたとき他端を中心に回動可能なレバーを
    備え、このレバーにその両端の間に位置して前記液圧発
    生シリンダを作動するロッドが相対回動可能にかつ前記
    所定量に相当する量だけ前記ロッドの軸方向に相対移動
    可能に連結されており、 前記ストローク発生手段は、前記入力部材に加えられる
    入力が所定値以下のときには、前記レバーと前記ロッド
    が軸方向には一体に移動するとともに、前記入力が所定
    値を超えたときには、前記レバーが前記ロッドに対して
    軸方向に相対移動するように構成されていることを特徴
    とする請求項1記載の液圧システム。
  6. 【請求項6】 前記入力手段は、一端に操作者によって
    入力が加えられたとき他端を中心に回動可能なレバーを
    備え、このレバーにその両端の間に位置して前記液圧発
    生シリンダを作動するロッドが相対回動可能に連結され
    ており、このロッドは、前記レバーに連結される入力側
    ロッドと、前記液圧発生シリンダを作動する作動側ロッ
    ドとを備え、 前記ストローク発生手段は、前記入力部材に加えられる
    入力が所定値以下のときには、前記入力側ロッドと前記
    作動側ロッドとが一体に移動するとともに、前記入力が
    所定値を超えたときには、前記入力側ロッドが前記作動
    側ロッドに対して前記所定量に相当する量相対移動する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    液圧システム。
  7. 【請求項7】 更に、前記ストローク発生手段は、作動
    側ロッドに連結されたシリンダと、入力側ロッドに連結
    され、前記シリンダ内を摺動可能に配設されたストロー
    ク発生ピストンとを備え、 前記ストローク発生ピストンによって前記シリンダ内が
    入力側ロッド側の第1室と作動側ロッド側の第2室とに
    区画されているとともに、これらの第1および第2室内
    に粘性流体が充填されており、 前記ストローク発生ピストンには前記第1室と前記第2
    室とを連通する第1および第2通路が並設されており、
    前記第1通路には、前記第1室から前記第2室への粘性
    流体の流れを許容するチェックバルブが設けられている
    とともに、前記第2通路には、前記ストローク発生ピス
    トンが通常作動時の通常作動速度より速い急作動速度で
    急作動されたとき、前記第2室から第1室への粘性流体
    の流れを絞るオリフィスが設けられていることを特徴と
    する請求項6記載の液圧システム。
  8. 【請求項8】 前記液圧発生手段は、液圧を発生する液
    圧発生ピストンと、この液圧発生ピストンに対して相対
    移動可能に設けられ、前記入力手段から入力が加えられ
    て作動するストローク発生ピストンとを備え、 前記ストローク発生手段は、前記入力部材に加えられる
    入力が所定値以下のときには、前記液圧発生ピストンと
    前記ストローク発生ピストンとが一体に移動するととも
    に、前記入力が所定値を超えたときには、前記ストロー
    ク発生ピストンが前記液圧発生ピストンに対して前記所
    定量に相当する量相対移動するように構成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の液圧システム。
  9. 【請求項9】 前記液圧発生ピストンと前記ストローク
    発生ピストンとの間に、前記リザーバから作動液が供給
    されているとともに、この作動液は、前記ストローク発
    生ピストンが前記液圧発生ピストンに接近する方向に相
    対移動するときは前記リザーバに排出され、また前記ス
    トローク発生ピストンが前記液圧発生ピストンから離れ
    る方向に相対移動するときは前記リザーバから前記液圧
    発生ピストンと前記ストローク発生ピストンとの間に供
    給されるようになっており、更に、前記ストローク発生
    ピストンが通常作動時の通常作動速度より速い急作動速
    度で急作動されたとき、前記液圧発生ピストンと前記ス
    トローク発生ピストンとの間の作動液が絞り手段によっ
    て絞られて前記リザーバに排出されることで、前記液圧
    発生ピストンと前記ストローク発生ピストンとの間に液
    圧を発生し、この液圧を前記液圧発生ピストンに作動方
    向に作用させるようになっていることを特徴とする請求
    項8記載の液圧システム。
  10. 【請求項10】前記中央処理装置は、前記入力手段の入
    力と前記入力手段における予め設定された入力−推定ス
    トロークの関係とに基づいて、前記入力手段の推定スト
    ロークが所定値になったとき、前記開閉手段を前記アク
    チュエータと前記リザーバとが遮断されるように制御す
    るようになっていることを特徴とする請求項1記載の液
    圧システム。
  11. 【請求項11】請求項1記載の液圧システムを用いたブ
    レーキシステムであって、前記入力手段はブレーキペダ
    ルであり、前記液圧発生シリンダはタンデム型またはシ
    ングル型のマスタシリンダであり、前記アクチュエータ
    はホイールシリンダであり、前記作動液供給手段はブレ
    ーキ液供給手段であり、前記液圧制御手段は前記ホイー
    ルシリンダのブレーキ液圧制御するブレーキ液圧制御手
    段であることを特徴とするブレーキシステム。
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