JP2000223910A - 積層型共用器 - Google Patents

積層型共用器

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JP2000223910A
JP2000223910A JP2253999A JP2253999A JP2000223910A JP 2000223910 A JP2000223910 A JP 2000223910A JP 2253999 A JP2253999 A JP 2253999A JP 2253999 A JP2253999 A JP 2253999A JP 2000223910 A JP2000223910 A JP 2000223910A
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filter
electrode
duplexer
dielectric
transmission
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JP2253999A
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English (en)
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Yasuhiko Mizutani
靖彦 水谷
Takami Hirai
隆己 平井
Kazuyuki Mizuno
和幸 水野
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルタを構成する共振器のほか、分波回路を
構成する集中定数素子の小型化をも図るようにして、共
用器の小型化を達成させる。 【解決手段】中心周波数の異なる受信側フィルタ14及
び送信側フィルタ16と、それぞれのフィルタ14及び
16が共用する入出力端子18から見た他方のフィルタ
の中心周波数におけるインピーダンスが無限大になるよ
うにした分波回路20とを誘電体基板12中に一体的に
形成し、誘電体基板12のうち、受信側フィルタ14及
び送信側フィルタ16を有する部分を高誘電率材料(例
えば誘電率εr=80)で形成し、分波回路20を有す
る部分を低誘電率材料(例えば誘電率εr=25)で形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型共用器に関
し、特に、1つのアンテナを送信側と受信側とで共用
し、送信信号と受信信号とを分離する機能を有する積層
型共用器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、共用器は、1つのアンテナを送
信と受信とで共用し、送信信号と受信信号を分離する機
能を有する。この特性を満足させるためには、送信側フ
ィルタと受信側フィルタが共用する入出力端子であるア
ンテナから見た他方のフィルタの中心周波数におけるイ
ンピーダンスが無限大となるようにして、互いのフィル
タの通過特性を妨げないようにする必要がある。
【0003】そこで、従来から分波回路を2つのフィル
タの接続部分に挿入することが行われている。この分波
回路の構成としては、所定の電気長をもった伝送線路を
挿入する方法があるが、容量やコイル等の集中定数素子
を使用するのが一般的である。
【0004】現在では、集中定数素子とフィルタを誘電
体基板内に一体的に形成することによって小型化を図る
ようにしている(例えば、特開平6−112735号公
報、特開平7−312503号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フィル
タは高誘電率材料中に形成することでフィルタを構成す
る共振器を短縮化でき小型化が可能であるが、集中定数
素子のコイルを高誘電率材料に形成すると、分波回路に
必要なインダクタンスを実現するためには、コイルを構
成する伝送線路を長くしなければならないため、結果的
に共用器の小型化に限界が生じるおそれがある。
【0006】特に、特開平7−312503号公報に記
載された発明のように、送信側フィルタと受信側フィル
タをシールド電極を挟んで上下に配置した場合、共用器
の厚みが厚くなるおそれがある。この場合、厚みを薄く
すると、フィルタを構成する共振器のQが低下し、特性
が劣化するおそれがある。
【0007】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、フィルタを構成する共振器のほか、分波
回路を構成する集中定数素子の小型化をも図ることがで
き、結果的に共用器の小型化を達成させることができる
積層型共用器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、中心周波数の
異なる2種類のフィルタと、それぞれのフィルタが共用
する入出力端子から見た他方のフィルタの中心周波数に
おけるインピーダンスが無限大になるようにした分波回
路とを誘電体基板中に一体的に形成し、誘電率の異なる
誘電体材料を少なくとも2種類使用して形成して構成す
る。
【0009】これにより、誘電体基板のうち、高誘電率
の部分にフィルタを形成することができることから、フ
ィルタを構成する共振器を短縮化できフィルタの小型化
を図ることができる。また、低誘電率の部分に分波回路
を形成することが可能となるため、分波回路を構成する
例えばコイルの伝送線路を長くしなくても分波回路に必
要なインダクタンスを得ることができる。
【0010】このように、本発明においては、フィルタ
を構成する共振器のほか、分波回路を構成する集中定数
素子の小型化をも図ることができ、結果的に共用器の小
型化を達成させることができる。
【0011】そして、前記フィルタを有する部分を、前
記誘電体基板の上部又は下部のいずれかに形成し、前記
分波回路を有する部分を、前記誘電体基板の上部又は下
部のうち、前記フィルタ部が形成されていない部分に形
成するようにしてもよい。
【0012】従来の一体化した共用器は、誘電率を合わ
せる必要があるため、フィルタと分波回路の一体化のた
めには、最適誘電率を選択しなければならず、小型化に
は限界があった。
【0013】しかし、この発明では、フィルタを有する
部分に高誘電率材料を、分波回路を有する部分に低誘電
率材料を使用することで、互いに制約を与えることなく
形成することができるため、共用器を小型化できるとい
う利点がある。また、2種類のフィルタを左右に並べて
配置することができるため、共振器のQを劣化させるこ
となく厚みを薄くできるという利点もある。
【0014】また、前記構成において、前記フィルタを
有する部分のうち、前記2種類のフィルタの間にシール
ド電極を形成するようにしてもよい。この場合、2種類
のフィルタ間のシールド性を強化することができる。
【0015】また、前記構成において、前記フィルタを
有する部分のうち、前記2種類のフィルタの間に空隙を
形成し、少なくとも前記空隙の内周面にシールド電極を
形成するようにしてもよい。
【0016】誘電体シートを積層して前記誘電体基板を
形成する場合においては、誘電体シートに対して垂直方
向にシールド電極を挿入することは困難性が伴うが、2
種類のフィルタの間に空隙を形成し、少なくとも前記空
隙の内周面にシールド電極を形成することによって、2
種類のフィルタ間にシールド電極を容易に形成すること
ができる。
【0017】また、前記構成において、前記フィルタを
有する部分を、前記誘電体基板の左右部分に形成し、前
記分波回路を有する部分を、前記誘電体基板の中央部分
に形成するようにしてもよい。
【0018】この場合、分波回路をフィルタの上部や下
部に形成しないため、この積層型共用器の全体の厚みを
一定にすると、それだけフィルタの厚みを大きくするこ
とができ、フィルタを構成する共振器のQを改善するこ
とができる。
【0019】そして、フィルタを有する部分と分波回路
を有する部分との間にシールド電極が形成されるかたち
となるため、フィルタ間のシールド性を強化することが
できる。
【0020】なお、前記中心周波数の異なる2種類のフ
ィルタとしては、送信側フィルタと受信側フィルタとを
使用することができる。
【0021】また、前記分波回路としては、前記入出力
端子と各フィルタ間にコイルが直列に挿入され、かつ、
該コイルに並列に容量が付加された構造を採用すること
ができる。
【0022】コイルに並列に容量を配置することによっ
て、分波回路を構成するために必要なインダクタンスを
減少することができる。また、コイルと容量でLC並列
共振回路を構成することができ、減衰極の形成並びにそ
の位置の調整を行うことができる。これにより、例えば
受信周波数帯での送信フィルタの減衰特性を改善するこ
とができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る積層型共用器
のいくつかの実施の形態例を図1〜図11を参照しなが
ら説明する。
【0024】第1の実施の形態に係る共用器10Aは、
図1に示すように、複数枚の板状の誘電体層が積層、焼
成されて構成された誘電体基板12内に、中心周波数の
異なる受信側フィルタ14及び送信側フィルタ16と、
これら受信側フィルタ14及び送信側フィルタ16が共
用する入出力端子18から見た他方のフィルタの中心周
波数におけるインピーダンスが無限大になるようにした
分波回路20とを有して構成され、特に、この第1の実
施の形態に係る共用器10Aは、前記誘電体基板12の
上部に受信側フィルタ14と送信側フィルタ16が配置
され、誘電体基板12の下部に分波回路20が配置され
ている。
【0025】前記受信側フィルタ14と送信側フィルタ
16は、前記誘電体基板12の上部において、横方向に
並べられ、この第1の実施の形態では、受信側フィルタ
14が左側に配置され、送信側フィルタ16が右側に配
置された例を示している。
【0026】具体的に、この第1の実施の形態に係る共
用器10Aの構成について図1及び図2を参照しながら
説明する。
【0027】誘電体基板12は、図2に示すように、上
から順に、第1〜第10の誘電体層S1〜S10が積み
重ねられて構成されている。これら第1〜第10の誘電
体層S1〜S10は1枚あるいは複数枚の層にて構成さ
れる。
【0028】また、図1に示すように、誘電体基板12
の外周面のうち、例えばその左側面に受信側出力端子2
2が形成され、右側面に送信側入力端子24が形成さ
れ、正面に共用の入出力端子18が形成され、これら各
種端子を除く全面にアース電極26が形成されている。
もちろん、これら各種端子とアース電極26との間に
は、絶縁をとるための領域が確保されている。
【0029】そして、この第1の実施の形態に係る共用
器10Aにおいては、図2に示すように、第4の誘電体
層S4の一主面に受信側の3本の共振素子(第1〜第3
の共振素子30a〜30c)と、送信側の3本の共振素
子(第1〜第3の共振素子32a〜32c)がそれぞれ
平行に形成されている。これら共振素子30a〜30c
並びに32a〜32cは、各一方の端部が開放とされ、
各他方の端部がアース電極26に短絡されている。
【0030】前記第4の誘電体層S4の上層に位置する
第3の誘電体層S3の一主面には、受信側の出力用電極
34と送信側の入力用電極36とが形成されている。受
信側の出力用電極34は、一端が受信側出力端子22
(図1参照)に接続され、かつ、前記受信側の第1の共
振素子30aと容量結合されるように形成されている。
送信側の入力用電極36は、一端が送信側入力端子24
(図1参照)に接続され、かつ、前記送信側の第3の共
振素子32cと容量結合されるように形成されている。
【0031】また、前記第3の誘電体層S3の一主面に
は、アース電極26、受信側出力端子22、送信側入力
端子24等に対して電位的にフローティング状態とされ
た2つの結合調整電極(受信側の第1の結合調整電極3
8と、送信側の第1の結合調整電極40)が形成されて
いる。
【0032】受信側の第1の結合調整電極38は、受信
側の第2の共振素子30bに対向する第1の電極本体3
8aと受信側の第3の共振素子30cに対向する第2の
電極本体38bとが、その間に形成されたリード電極3
8cによって電気的に接続された形状を有する。
【0033】送信側の第1の結合調整電極40は、送信
側の第1の共振素子32aに対向する第1の電極本体4
0aと送信側の第2の共振素子32bに対向する第2の
電極本体40bとが、その間に形成されたリード電極4
0cによって電気的に接続された形状を有する。
【0034】また、前記第3の誘電体層S3の一主面に
は、受信側の3本の共振素子30a〜30cの各開放端
に対向してそれぞれ3つの内層アース電極42a〜42
cが形成され、送信側の3本の共振素子32a〜32c
の各開放端に対向してそれぞれ3つの内層アース電極4
4a〜44cが形成されている。
【0035】前記第4の誘電体層S4の下層に位置する
第5の誘電体層S5の一主面には、受信側の入力用電極
46と送信側の出力用電極48とが形成されている。受
信側の入力用電極46は、一端がスルーホール50を通
じて下層(第9の誘電体層S9)に形成された分波回路
20における受信側のリード電極52に接続され、か
つ、前記受信側の第3の共振素子30cと容量結合され
るように形成されている。送信側の出力用電極48は、
一端がスルーホール54を通じて下層(第9の誘電体層
S9)に形成された分波回路20における送信側のリー
ド電極56に接続され、かつ、前記送信側の第1の共振
素子32aと容量結合されるように形成されている。
【0036】また、前記第5の誘電体層S5の一主面に
は、アース電極26、受信側出力端子22、送信側入力
端子24等に対して電位的にフローティング状態とされ
た2つの結合調整電極(受信側の第2の結合調整電極5
8と、送信側の第2の結合調整電極60)が形成されて
いる。
【0037】受信側の第2の結合調整電極58は、受信
側の第1の共振素子30aに対向する第1の電極本体5
8aと受信側の第2の共振素子30bに対向する第2の
電極本体58bとが、その間に形成されたリード電極5
8cによって電気的に接続された形状を有する。
【0038】送信側の第2の結合調整電極60は、送信
側の第2の共振素子32bに対向する第1の電極本体6
0aと送信側の第3の共振素子32cに対向する第2の
電極本体60bとが、その間に形成されたリード電極6
0cによって電気的に接続された形状を有する。
【0039】また、前記第5の誘電体層S5の一主面に
は、受信側の3本の共振素子30a〜30cの各開放端
に対向してそれぞれ3つの内層アース電極62a〜62
cが形成され、送信側の3本の共振素子32a〜32c
の各開放端に対向してそれぞれ3つの内層アース電極6
4a〜64cが形成されている。
【0040】次に、分波回路20についてみると、ま
ず、第7の誘電体層S7の一主面には、受信側出力端子
22、送信側入力端子24、共用の入出力端子18並び
にスルーホール50及び54を除く全面にアース電極6
6が形成されている。もちろん、受信側出力端子22、
送信側入力端子24、共用の入出力端子18並びにスル
ーホール50及び54とアース電極66との間には、絶
縁をとるための領域が確保されている。このアース電極
66は、各フィルタ14及び16を構成している電極と
分波回路20を構成している電極間の不要な結合を抑制
する効果がある。
【0041】第9の誘電体層S9の一主面には、一端に
共用の入出力端子18が接続され、第7の誘電体層S7
の一主面に形成されたアース電極66及び第10の誘電
体層S10の他主面に形成されたアース電極26と容量
を形成するための第1の電極70が形成されている。
【0042】この第1の電極70の左側には、ストリッ
プラインの蛇行引回しによる第1のコイル72が形成、
接続され、この第1のコイル72の他端とスルーホール
50に延びるリード電極52との間には、第7の誘電体
層S7の一主面に形成されたアース電極66及び第10
の誘電体層S10の他主面に形成されたアース電極26
と容量を形成するための第2の電極74が形成、接続さ
れている。
【0043】また、前記第1の電極70の右側には、ス
トリップラインの蛇行引回しによる第2のコイル76が
形成、接続され、この第2のコイル76の他端とスルー
ホール54に延びるリード電極56との間には、第7の
誘電体層S7の一主面に形成されたアース電極66及び
第10の誘電体層S10の他主面に形成されたアース電
極26と容量を形成するための第3の電極78が形成、
接続されている。
【0044】更に、前記第1の電極70における前記共
用の入出力端子18とは反対側の端部には両側に展開す
る第4及び第5の電極80及び82が形成されている。
【0045】そして、第8の誘電体層S8の一主面に
は、一端が受信側のスルーホール50に接続され、か
つ、下層の第4の電極80と対向する第6の電極84
と、一端が送信側のスルーホール54に接続され、か
つ、下層の第5の電極82と対向する第7の電極86と
が形成されている。
【0046】第1の実施の形態に係る共用器10Aは、
基本的には以上のように構成されるものであるが、ここ
で、各電極の電気的な結合について図3の等価回路図を
参照しながら説明する。
【0047】まず、受信側フィルタ14においては、受
信側出力端子22と接地間に第1〜第3の共振素子30
a〜30cによる3つの共振器100a〜100cがそ
れぞれ並列に接続され、更に、隣接する共振器100a
〜100c同士は互いに誘導結合され、これにより、等
価回路上では、隣接する共振器100a〜100c間に
それぞれインダクタンスL1及びL2が挿入されたかた
ちとなる。
【0048】一方、送信側フィルタ16においては、送
信側入力端子24と接地間に第1〜第3の共振素子32
a〜32cによる3つの共振器102a〜102cがそ
れぞれ並列に接続され、更に、隣接する共振器102a
〜102c同士は互いに誘導結合され、これにより、等
価回路上では、隣接する共振器102a〜102c間に
それぞれインダクタンスL3及びL4が挿入されたかた
ちとなる。
【0049】そして、受信側の第1の共振素子30aと
第2の共振素子30b間には、受信側の第2の結合調整
電極58による合成容量C1が形成され、受信側の第2
の共振素子30bと第3の共振素子30c間には、受信
側の第1の結合調整電極38による合成容量C2が形成
される。即ち、各共振器100a〜100c間には、イ
ンダクタンスL1と容量C1によるLC並列共振回路
と、インダクタンスL2と容量C2によるLC並列共振
回路が接続されたかたちとなる。
【0050】送信側の第1の共振素子32aと第2の共
振素子32b間には、送信側の第1の結合調整電極40
による合成容量C3が形成され、送信側の第2の共振素
子32bと第3の共振素子32c間には、送信側の第2
の結合調整電極60による合成容量C4が形成される。
即ち、各共振器102a〜102c間には、インダクタ
ンスL3と容量C3によるLC並列共振回路と、インダ
クタンスL4と容量C4によるLC並列共振回路が接続
されたかたちとなる。
【0051】また、受信側の第1〜第3の共振素子30
a〜30cの各開放端と対応する内層アース電極(42
a、62a)、(42b、62b)及び(42c、62
c)との間にはそれぞれ容量(合成容量)C5〜C7が
形成され、送信側の第1〜第3の共振素子32a〜32
cの各開放端と対応する内層アース電極(44a、64
a)、(44b、64b)及び(44c、64c)との
間にはそれぞれ容量(合成容量)C8〜C10が形成さ
れる。
【0052】また、受信側の第1の共振素子30aと受
信側出力端子22との間には静電容量C11が形成さ
れ、受信側の第3の共振素子30cと分波回路20の受
信側のリード電極52との間には静電容量C12が形成
され、送信側の第1の共振素子32aと分波回路20の
送信側のリード電極56との間には静電容量C13が形
成され、送信側の第3の共振素子32cと送信側入力端
子24との間には静電容量C14が形成される。
【0053】分波回路20においては、第1〜第3の電
極70、74及び78とこれら第1〜第3の電極70、
74及び78に対向するアース電極26及び66間にそ
れぞれ静電容量C15〜C17が形成され、第1の電極
70と第2の電極74間に第1のコイル72によるイン
ダクタンスL5が形成され、第1の電極70と第3の電
極78間に第2のコイル76によるインダクタンスL6
が形成される。
【0054】更に、第4の電極80と第6の電極84間
には、前記インダクタンスL5と並列接続される静電容
量C18が形成され、第5の電極82と第7の電極86
間には、前記インダクタンスL6と並列接続される静電
容量C19が形成される。前記共用の入出力端子18に
は、例えばアンテナ104が接続される。
【0055】そして、この第1の実施の形態に係る共用
器10Aにおいては、誘電体基板12のうち、受信側フ
ィルタ14及び送信側フィルタ16を有する部分、即
ち、第1〜第6の誘電体層S1〜S6が高誘電率材料
(例えば誘電率εr=80)で形成され、前記分波回路
20を有する部分、即ち、第7〜第10の誘電体層S7
〜S10が低誘電率材料(例えば誘電率εr=25)で
形成されている。
【0056】つまり、この第1の実施の形態に係る共用
器10Aにおいては、前記誘電体基板12のうち、高誘
電率の部分に受信側フィルタ14及び送信側フィルタ1
6を形成することができることから、受信側フィルタ1
4を構成する共振器100a〜100c並びに送信側フ
ィルタ16を構成する共振器102a〜102cを共に
短縮化でき各フィルタ14及び16の小型化を図ること
ができる。また、低誘電率の部分に分波回路20を形成
することが可能となるため、分波回路20を構成する例
えば第1及び第2のコイル72及び76の伝送線路を長
くしなくても分波回路20に必要なインダクタンスを得
ることができる。
【0057】このように、第1の実施の形態に係る共用
器10Aにおいては、フィルタ14及び16を構成する
共振器100a〜100c及び102a〜102cのほ
か、分波回路20を構成する集中定数素子の小型化をも
図ることができ、結果的に共用器10Aの小型化を達成
させることができる。
【0058】従来の一体化した共用器は、誘電率を合わ
せる必要があるため、フィルタと分波回路の一体化のた
めには、最適誘電率を選択しなければならず、小型化に
は限界があった。
【0059】しかし、この第1の実施の形態に係る共用
器10Aでは、フィルタ14及び16を有する部分に高
誘電率材料を使用し、分波回路20を有する部分に低誘
電率材料を使用することで、互いに制約を与えることな
く形成することができるため、共用器10Aを小型化で
きるという利点がある。また、2種類のフィルタ14及
び16を左右に並べて配置することができるため、共振
器のQを劣化させることなく厚みを薄くできるという利
点もある。
【0060】また、受信側フィルタ14及び送信側フィ
ルタ16においては、それぞれ第1及び第2の結合調整
電極38、58及び40、60を形成するようにしたの
で、これら第1及び第2の結合調整電極38、58及び
40、60による容量C1、C2、C3及びC4によっ
て各フィルタ14及び16の結合度を調整することがで
き、所望の帯域幅を有するフィルタ14及び16を得る
ことができる。
【0061】前記容量C1、C2、C3及びC4の調整
は、第1及び第2の結合調整電極38、58及び40、
60とそれぞれ対向する共振素子30a〜30c及び3
2a〜32cとの重なり面積、これらの間の距離及び/
又はこれらの間の誘電体の比誘電率εrを変化させるこ
とによって容易に行うことができる。
【0062】また、分波回路20として、共用の入出力
端子18と受信側フィルタ14間に第1のコイル72
(インダクタンスL5)が直列に挿入され、かつ、該第
1のコイル72に並列に容量C18が付加され、共用の
入出力端子18と送信側フィルタ16間に第2のコイル
76(インダクタンスL6)が直列に挿入され、かつ、
該第2のコイル76に並列に容量が付加された構造を採
用するようにしている。
【0063】第1及び第2のコイル72及び76にそれ
ぞれ並列に容量C18及びC19を配置することによっ
て、分波回路20を構成するために必要なインダクタン
スを減少することができる。また、第1及び第2のコイ
ル72及び76と各容量C18及びC19でそれぞれL
C並列共振回路を構成することができるため、減衰極の
形成並びに減衰極の位置の調整を行うことができる。こ
れにより、例えば受信周波数帯での送信側フィルタ16
の減衰特性を改善することができる。
【0064】ここで、1つの実験例を示す。この実験例
は、実施例と比較例において、その受信と送信の各周波
数特性をみたものである。実施例は、図1に示す第1の
実施の形態に係る共用器10Aとほぼ同じ構成、即ち、
分波回路20の各インダクタンスL5及びL6にそれぞ
れ並列に容量C18及びC19を接続した構成であり、
比較例は、図1に示す第1の実施の形態に係る共用器1
0Aにおいて、分波回路20の各インダクタンスL5及
びL6にそれぞれ並列に容量C18及びC19を接続し
ない構成である。
【0065】実験の結果を図4に示す。この図4におい
て、実施例における受信の周波数特性を実線aで示し、
送信の周波数特性を実線bで示す。また、比較例におけ
る受信の周波数特性を破線cで示し、送信の周波数特性
を破線dで示す。
【0066】この実験結果から、実施例において、受信
周波数帯での送信側フィルタ16の減衰特性が改善さ
れ、同様に送信周波数帯での受信側フィルタ14の減衰
特性が改善されていることがわかる。
【0067】次に、第1の実施の形態に係る共用器10
Aの変形例について図5〜図8を参照しながら説明す
る。
【0068】第1の変形例に係る共用器10Aaは、図
5及び図6に示すように、第1の実施の形態に係る共用
器10A(図1参照)とほぼ同じ構成を有するが、受信
側フィルタ14と送信側フィルタ16との間に空隙11
0が形成され、該空隙110の周面に沿ってアース電極
26が形成されている点で異なる。もちろん、図7に示
す他の変形例に係る共用器10Abのように、前記空隙
110を埋めるようにアース電極26を構成する電極材
を充填するようにしてもよい。
【0069】前記空隙110の作り方としては、例えば
図8に示すように、受信側フィルタ14と送信側フィル
タ16が形成される第1〜第6の誘電体層S1〜S6の
各層に対して、打抜きパンチによる打抜き加工によって
打抜き孔110a〜110fを設けた後、これら打抜き
孔110a〜110fの周面に電極材を印刷することに
よって実現することができる。
【0070】第1〜第6の誘電体層S1〜S6に対する
打抜き孔110a〜110fの形成位置は、図8に示す
ように、受信側フィルタ14が形成される部分と送信側
フィルタ16が形成される部分との間であることが好ま
しい。
【0071】この変形例に係る共用器10Aa及び10
Abにおいては、受信側フィルタ14と送信側フィルタ
16間に空隙110を設け、該空隙110の周面あるい
は空隙110を埋めるようにアース電極26を形成する
ようにしたので、前記第1の実施の形態に係る共用器1
0Aの効果を有するほか、受信側フィルタ14と送信側
フィルタ16間のシールド性を強化することができる。
【0072】上述の第1の実施の形態に係る共用器10
A及びその変形例に係る共用器10Aa、10Abにお
いては、前記分波回路20が形成された部分の誘電体
層、即ち、第7〜第10の誘電体層S7〜S10を低誘
電率材料で形成したが、第8の誘電体層を高誘電率材料
で形成するようにしてもよい。この場合、第4の電極8
0と第6の電極84間の静電容量C18と、第5の電極
82と第7の電極86間の静電容量C19を大きくする
ことができるため好ましい。
【0073】次に、第2の実施の形態に係る共用器10
Bについて図9〜図11を参照しながら説明する。
【0074】この第2の実施の形態に係る共用器10B
は、図9に示すように、第1の実施の形態に係る共用器
10Aと同様の構成を有するが、受信側フィルタ14、
分波回路20及び送信側フィルタ16が横方向に並べら
れて構成されている点で異なる。図示の例では、受信側
フィルタ14が左側に形成され、送信側フィルタ16が
右側に形成され、分波回路20が中央部分に形成された
例を示している。
【0075】具体的に、この第2の実施の形態に係る共
用器10Bの構成について図9及び図10を参照しなが
ら説明する。
【0076】この第2の実施の形態に係る共用器は、図
10に示すように、複数枚の板状の誘電体層が積層、焼
成されて構成された誘電体基板12内に、受信側フィル
タ14の1/4波長型ストリップライン共振器を構成す
る2本の共振素子30a及び30bがそれぞれ別の誘電
体層において縦方向に並べられて形成され、送信側フィ
ルタ16の1/4波長型ストリップライン共振器を構成
する2本の共振素子32a及び32bがそれぞれ別の誘
電体層において縦方向に並べられて形成された構成を有
する。
【0077】前記誘電体基板12は、左側(受信側)か
ら順に、第1〜第23の誘電体層S1〜S23が積み重
ねられて構成されている。これら第1〜第23の誘電体
層S1〜S23は1枚あるいは複数枚の層にて構成され
る。
【0078】この第2の実施の形態に係る共用器10B
においても、図9に示すように、誘電体基板12の外周
面のうち、例えばその左側面に受信側出力端子22が形
成され、右側面に送信側入力端子24が形成され、正面
に共用の入出力端子18が形成され、これら各種端子を
除く全面にアース電極26が形成されている。もちろ
ん、これら各種端子とアース電極26との間には、絶縁
をとるための領域が確保されている。
【0079】そして、この第2の実施の形態に係る共用
器10Bにおいては、図10に示すように、受信側フィ
ルタ14についてみると、第3の誘電体層S3と第7の
誘電体層S7の各一主面にそれぞれ1本の短冊状の共振
素子(第1及び第2の共振素子30a及び30b)が形
成されている。これら共振素子30a及び30bは、各
一端部がアース電極26に接続され、各他端部が開放端
とされている。
【0080】前記第3の誘電体層S3の左側に位置する
第2の誘電体層S2の一主面には、スルーホール120
を通じて受信側出力端子22に接続され、かつ、前記第
1の共振素子30aと容量結合される出力用電極34
と、一端がアース電極26に接続され、かつ、前記第1
の共振素子30aの開放端側と対向する内層アース電極
42aが形成されている。
【0081】前記第3の誘電体層S3の右側に位置する
第4の誘電体層S4の一主面には、アース電極26や受
信側出力端子22等に対して電位的にフローティング状
態とされ、第1の共振素子30aに対向する短冊状の第
1の電極本体38aと、一端がアース電極26に接続さ
れ、かつ、前記第1の共振素子30aの開放端側と対向
する内層アース電極62aが形成されている。
【0082】前記第7の誘電体層S7の右側に位置する
第8の誘電体層S8の一主面には、スルーホール122
を通じて第10の誘電体層S10に形成された分波回路
20における受信側のリード電極52に接続され、か
つ、前記第2の共振素子30bと容量結合される入力用
電極46と、一端がアース電極26に接続され、かつ、
前記第2の共振素子30bの開放端側と対向する内層ア
ース電極62bが形成されている。
【0083】また、前記第7の誘電体層S7の左側に位
置する第6の誘電体層S6の一主面には、アース電極2
6や受信側出力端子22等に対して電位的にフローティ
ング状態とされ、第2の共振素子30bに対向する短冊
状の第2の電極本体38bと、一端がアース電極26に
接続され、かつ、前記第2の共振素子30bの開放端側
と対向する内層アース電極42bが形成されている。
【0084】前記第1の電極本体38aと第2の電極本
体38bはスルーホール38cを通じて互いに電気的に
接続され、これら第1の電極本体38a、第2の電極本
体38b及びスルーホール38cにて第1の結合調整電
極38が構成される。
【0085】第9の誘電体層S9の一主面には、スルー
ホール122を除く全面にアース電極66aが形成され
ている。もちろん、スルーホール122とアース電極6
6aとの間には、絶縁をとるための領域が確保されてい
る。
【0086】次に、分波回路20についてみると、第1
0の誘電体層S10の一主面には、一端に前記スルーホ
ール122が接続されるリード電極52が形成された幅
広の第1の電極124と、該第1の電極124からスト
リップラインの蛇行引回しによる第1のコイル72が形
成、接続されている。また、第1の電極124には第1
のコイル72の端部に向かって延びる第2の電極126
が形成されている。
【0087】第11の誘電体層S11の一主面には、一
端がアース電極26に接続され、かつ、前記第1の電極
124と対向する内層アース電極128と、一端が第1
のコイル72の端部からスルーホール130を通じて接
続され、前記第2の電極126に対向する第3の電極1
32が形成されている。
【0088】第14の誘電体層S14の一主面には、一
端にスルーホール134(送信側フィルタに向かって延
びるスルーホール)が接続されたリード電極56を有す
る幅広の第4の電極136と、該第4の電極136から
ストリップラインの蛇行引回しによる第2のコイル76
が形成、接続されている。この第4の電極136には第
2のコイル76の端部に向かって延びる第5の電極13
8が形成されている。
【0089】第13の誘電体層S13の一主面には、一
端がアース電極26に接続され、かつ、前記第4の電極
136と対向する内層アース電極140と、一端が第2
のコイル76の端部からスルーホール130を通じて接
続され、前記第5の電極138に対向する第6の電極1
42が形成されている。
【0090】第12の誘電体層S12の一主面には、一
端が共用の入出力端子18に接続され、他端がスルーホ
ール130を通じて第1及び第2のコイル72及び76
に接続され、かつ、前記内層アース電極128及び14
0に対向する第7の電極144が形成されている。
【0091】次に、送信側フィルタ16についてみる
と、第15の誘電体層S15の一主面には、前記スルー
ホール134を除く全面にアース電極66bが形成され
ている。もちろん、スルーホール134とアース電極6
6bとの間には、絶縁をとるための領域が確保されてい
る。
【0092】第17の誘電体層S17と第21の誘電体
層S21の各一主面には、それぞれ1本の短冊状の共振
素子(第1及び第2の共振素子32a及び32b)が形
成されている。これら共振素子32a及び32bは、各
一端部がアース電極26に接続され、各他端部が開放端
とされている。
【0093】前記第17の誘電体層S17の左側に位置
する第16の誘電体層S16の一主面には、前記スルー
ホール134を通じて分波回路20におけるリード電極
56に接続され、かつ、前記第1の共振素子32aと容
量結合される出力用電極48と、一端がアース電極26
に接続され、かつ、前記第1の共振素子32aの開放端
側と対向する内層アース電極44aが形成されている。
【0094】前記第17の誘電体層S17の右側に位置
する第18の誘電体層S18の一主面には、アース電極
26や送信側入力端子24等に対して電位的にフローテ
ィング状態とされ、第1の共振素子32aに対向する短
冊状の第1の電極本体40aと、一端がアース電極26
に接続され、かつ、前記第1の共振素子32aの開放端
側と対向する内層アース電極64aが形成されている。
【0095】前記第21の誘電体層S21の右側に位置
する第22の誘電体層S22の一主面には、スルーホー
ル136を通じて送信側入力端子24に接続され、か
つ、前記第2の共振素子32bと容量結合される入力用
電極36と、一端がアース電極26に接続され、かつ、
前記第2の共振素子32bの開放端側と対向する内層ア
ース電極44bが形成されている。
【0096】また、前記第21の誘電体層S21の左側
に位置する第20の誘電体層S20の一主面には、アー
ス電極26や送信側入力端子24等に対して電位的にフ
ローティング状態とされ、第2の共振素子32bに対向
する短冊状の第2の電極本体40bと、一端がアース電
極26に接続され、かつ、前記第2の共振素子32bの
開放端側と対向する内層アース電極64bが形成されて
いる。
【0097】前記第1の電極本体40aと第2の電極本
体40bはスルーホール40cを通じて互いに電気的に
接続され、これら第1の電極本体40a、第2の電極本
体40b及びスルーホール40cにて第2の結合調整電
極40が構成される。
【0098】第2の実施の形態に係る共用器10Bは、
基本的には以上のように構成されるものであるが、ここ
で、各電極の電気的な結合について図11の等価回路図
を参照しながら説明する。
【0099】まず、受信側フィルタ14においては、受
信側出力端子22と接地間に第1及び第2の共振素子3
0a及び30bによる2つの共振器100a及び100
bがそれぞれ並列に接続され、更に、隣接する共振器1
00a及び100b同士は互いに誘導結合され、これに
より、等価回路上では、隣接する共振器100a及び1
00b間にインダクタンスL1が挿入されたかたちとな
る。
【0100】一方、送信側フィルタ16においては、送
信側入力端子24と接地間に第1及び第2の共振素子3
2a及び32bによる2つの共振器102a及び102
bがそれぞれ並列に接続され、更に、隣接する共振器1
02a及び102b同士は互いに誘導結合され、これに
より、等価回路上では、隣接する共振器102a及び1
02b間にインダクタンスL3が挿入されたかたちとな
る。
【0101】そして、受信側の第1の共振素子30aと
第2の共振素子30b間には、第1の結合調整電極38
による合成容量C1が形成される。即ち、各共振器10
0a及び100b間には、インダクタンスL1と容量C
1によるLC並列共振回路が接続されたかたちとなる。
【0102】送信側の第1の共振素子32aと第2の共
振素子32b間には、第2の結合調整電極40による合
成容量C3が形成される。即ち、各共振器102a及び
102b間には、インダクタンスL3と容量C3による
LC並列共振回路が接続されたかたちとなる。
【0103】また、受信側の第1及び第2の共振素子3
0a及び30bの各開放端と対応する内層アース電極
(42a、62a)及び(42b、62b)との間には
それぞれ容量(合成容量)C5及びC6が形成され、送
信側の第1及び第2の共振素子32a及び32bの各開
放端と対応する内層アース電極(44a、64a)及び
(44b、64b)との間にはそれぞれ容量(合成容
量)C8及びC9が形成される。
【0104】また、受信側の第1の共振素子30aと受
信側出力端子22との間には静電容量C11が形成さ
れ、受信側の第2の共振素子30bと分波回路20のリ
ード電極52との間には静電容量C12が形成され、送
信側の第1の共振素子32aと分波回路20の送信側の
リード電極56との間には静電容量C13が形成され、
送信側の第2の共振素子32bと送信側入力端子24と
の間には静電容量C14が形成される。
【0105】分波回路20においては、第7の電極14
4、第1の電極124及び第4の電極136とこれら第
7、第1及び第4の電極144、124及び136に対
向する内層アース電極128及び140並びにアース電
極66a及び66b間にそれぞれ並列に静電容量C1
5、C16及びC17が形成され、第7の電極144と
第1の電極124間に第1のコイル72によるインダク
タンスL5が形成され、第7の電極144と第4の電極
136間に第2のコイル76によるインダクタンスL6
が形成される。
【0106】更に、第2の電極126と第3の電極13
2間には、前記インダクタンスL5と並列接続される静
電容量C18が形成され、第5の電極138と第6の電
極142間には、前記インダクタンスL6と並列接続さ
れる静電容量C19が形成される。前記共用の入出力端
子18には、例えばアンテナ104が接続される。
【0107】そして、この第2の実施の形態に係る共用
器10Bにおいては、誘電体基板12のうち、受信側フ
ィルタ14及び送信側フィルタ16を有する部分、即
ち、第1〜第9の誘電体層S1〜S9及び第15〜第2
3の誘電体層S15〜S23がそれぞれ高誘電率材料
(例えば誘電率εr=80)で形成され、前記分波回路
20を有する部分、即ち、第10〜第14の誘電体層S
10〜S14が低誘電率材料(例えば誘電率εr=2
5)で形成されている。
【0108】つまり、この第2の実施の形態に係る共用
器10Bにおいては、前記誘電体基板12のうち、高誘
電率の部分に受信側フィルタ14及び送信側フィルタ1
6を形成することができることから、受信側フィルタ1
4を構成する共振器100a及び100b並びに送信側
フィルタ16を構成する共振器102a及び102bを
共に短縮化でき各フィルタ14及び16の小型化を図る
ことができる。また、低誘電率の部分に分波回路20を
形成することが可能となるため、分波回路20を構成す
る例えば第1及び第2のコイル72及び76の伝送線路
を長くしなくても分波回路20に必要なインダクタンス
を得ることができる。
【0109】このように、第2の実施の形態に係る共用
器10Bにおいては、各フィルタ14及び16を構成す
る共振器のほか、分波回路20を構成する集中定数素子
の小型化をも図ることができ、結果的に共用器10Bの
小型化を達成させることができる。
【0110】特に、この第2の実施の形態においては、
分波回路20を受信側フィルタ14や送信側フィルタ1
6の上部や下部に形成しないため、共用器10Bの全体
の厚みを一定にすると、それだけ受信側フィルタ14及
び送信側フィルタ16の厚みを大きくすることができ、
これら受信側フィルタ14及び送信側フィルタ16を構
成する共振器のQを改善することができる。
【0111】この場合、受信側フィルタ14及び送信側
フィルタ16を有する部分と、分波回路20を有する部
分との間にアース電極66a及び66bが形成されるか
たちとなるため、各フィルタ14及び16間のシールド
性を強化することができる。
【0112】また、受信側フィルタ14に第1の結合調
整電極38を形成し、送信側フィルタ16に第2の結合
調整電極40を形成するようにしたので、これら第1及
び第2の結合調整電極38及び40による容量C1及び
C3によって各フィルタ14及び16の結合度を調整す
ることができ、所望の帯域幅を有するフィルタを得るこ
とができる。
【0113】また、分波回路20として、共用の入出力
端子18と受信側フィルタ14間に第1のコイル72が
直列に挿入され、かつ、該第1のコイル72に並列に容
量C18が付加され、共用の入出力端子18と送信側フ
ィルタ16間に第2のコイル76が直列に挿入され、か
つ、該第2のコイル76に並列に容量C19が付加され
た構造を採用するようにしているため、分波回路20を
構成するために必要なインダクタンスを減少させること
ができる。
【0114】また、第1及び第2のコイル72及び76
と各容量C18及びC19でそれぞれLC並列共振回路
を構成することができるため、減衰極の形成並びに減衰
極の位置の調整を行うことができる。これにより、例え
ば受信周波数帯での送信側フィルタの減衰特性を改善す
ることができる。
【0115】次に、第1及び第2の実施の形態に係る共
用器10A及び10Bの製造方法について説明する。
【0116】これら第1及び第2の実施の形態に係る共
用器10A及び10Bにおいては、各種電極を誘電体基
板12内に内装(内蔵)することから、これらの電極
は、損失の少ない比抵抗の低いものを用いることが好ま
しい。
【0117】使用する誘電体としては、信頼性が高く、
誘電率の選択の幅が広いもの、即ち、セラミック誘電体
が好ましい。この場合、各フィルタ14、16の小型化
を有効に図ることができる。
【0118】また、製造方法としては、セラミック粉末
の成形体に導体ペーストを塗布して電極パターンを形成
した後、各々の成形体を積層し、更に焼成して緻密化
し、導体がその内部に積層された状態でセラミック誘電
体と一体化することが望ましい。
【0119】Ag系やCu系の導体を使用する場合に
は、それらの導体の融点が低く、通常の誘電体材料と同
時焼成することは困難であることから、それらの融点
(1100℃以下)よりも低い温度で焼成され得る誘電
体材料を用いる必要がある。
【0120】また、マイクロ波フィルタとしてのデバイ
スの性格上、形成される共振回路の共振周波数の温度特
性(温度係数)が±50ppm/℃以下になるような誘
電体材料が好ましい。
【0121】このような誘電体材料としては、例えばコ
ージェライト系ガラス粉末とTiO 2 粉末及びNd2
2 7 粉末との混合物等のガラス系のものや、BaO
−TiO2 −Re2 3 −Bi2 3 系組成(Re:レ
アアース成分)に若干のガラス形成成分やガラス粉末を
添加したもの、酸化バリウム−酸化チタン−酸化ネオジ
ウム系誘電体磁気組成物粉末に若干のガラス粉末を添加
したものがある。
【0122】一例として、第1の実施の形態に係る共用
器10Aの第1〜第6の誘電体層S1〜S6(第8の誘
電体層S8が含まれる場合もある。)、第2の実施の形
態に係る共用器10Bの第1〜第9の誘電体層S1〜S
9並びに第15〜第23の誘電体層S15〜S23(誘
電率εr=80)に対しては、MgO(18wt%)−
Al2 3 (37wt%)−SiO2 (37wt%)−
2 3 (5wt%)−TiO2 (3wt%)なる組成
のガラス粉末73wt%と、市販のTiO2 粉末17w
t%と、Nd2 Ti2 7 粉末10wt%とを十分に混
合し、混合粉末を得た。
【0123】なお、Nd2 Ti2 7 粉末は、Nd2
3 粉末とTiO2 粉末とを1200℃で仮焼した後、粉
砕して得たものを使用した。
【0124】第1の実施の形態に係る共用器10Aの第
7〜第10の誘電体層S7〜S10、第2の実施の形態
に係る共用器10Bの第10〜第14の誘電体層S10
〜S14(誘電率εr=25)に対しては、ZnO(1
7mol%)−BaO(24mol%)−TiO2 (4
9mol%)−MnO(5mol%)−Al2 3 (5
mol%)なる組成100wt%と、ガラス粉末5wt
%とを十分に混合し、混合粉末を得た。
【0125】次いで、それぞれの混合粉末に、アクリル
系有機バインダ、可塑剤、トルエン及びアルコール系の
溶剤を加え、アルミナ玉石で十分に混合してスラリーと
した。そして、このスラリーを用いて、ドクターブレー
ド法により、0.2mm〜0.5mmの厚みのグリーン
テープを作製した。
【0126】次に、銀ペーストを導体ペーストとして、
図2や図10に示した導体パターンをそれぞれ印刷し、
次いで、これら導体パターンが印刷されたグリーンテー
プの厚みを調整するために必要なグリーンテープを重ね
て図2や図10の構造となるように重ね、積層した後、
例えば900℃で焼成して、誘電体基板12を作製し
た。
【0127】以上の製造方法を採用することにより、受
信側フィルタ14及び送信側フィルタ16と分波回路2
0とでそれぞれ誘電率の異なる1つの誘電体基板12を
容易に作製することができる。
【0128】なお、この発明に係る積層型共用器は、上
述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱するこ
となく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0129】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る積層
型共用器によれば、フィルタを構成する共振器のほか、
分波回路を構成する集中定数素子の小型化をも図ること
ができ、結果的に共用器の小型化を達成させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る共用器の構成を示す斜
視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る共用器の構成を示す分
解斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る共用器の等価回路図で
ある。
【図4】実施例に係る共用器と比較例に係る共用器にお
ける受信と送信の各周波数特性をみた実験結果を示す特
性図である。
【図5】変形例に係る共用器の構成を示す斜視図であ
る。
【図6】変形例に係る共用器の構成を示す縦断面図であ
る。
【図7】変形例に係る共用器の他の例の構成を示す縦断
面図である。
【図8】変形例に係る共用器の構成を示す分解斜視図で
ある。
【図9】第2の実施の形態に係る共用器の構成を示す斜
視図である。
【図10】第2の実施の形態に係る共用器の構成を示す
分解斜視図である。
【図11】第2の実施の形態に係る共用器の等価回路図
である。
【符号の説明】
10A、10Aa、10Ab、10B…共用器 12…誘電体基板 14…受信側フィルタ 16…送信側フィルタ 18…入出力端子 20…分波回路 22…受信側出力端子 24…送信側入力端子 26…アース電極 30a〜30c…受信側の第1〜第3の共振素子 32a〜32c…送信側の第1〜第3の共振素子 66…アース電極 72…第1のコイル 76…第2のコイル 100a〜100c、102a〜102c…共振器 110…空隙 110a〜110f…
打抜き孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 和幸 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 5J006 HB05 HB21 HB22 JA11 KA02 KA11 KA23 LA21 NA04 NB07 NB08 NC03 NF03 PB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中心周波数の異なる2種類のフィルタと、
    それぞれのフィルタが共用する入出力端子から見た他方
    のフィルタの中心周波数におけるインピーダンスが無限
    大になるようにした分波回路とが誘電体基板中に一体的
    に形成され、 誘電率の異なる誘電体材料を少なくとも2種類使用して
    形成されていることを特徴とする積層型共用器。
  2. 【請求項2】請求項1記載の積層型共用器において、 前記誘電体基板のうち、前記フィルタを有する部分が高
    誘電率材料で形成され、前記分波回路を有する部分が低
    誘電率材料で形成されていることを特徴とする積層型共
    用器。
  3. 【請求項3】請求項1記載の積層型共用器において、 前記フィルタを有する部分は、前記誘電体基板の上部又
    は下部のいずれかに形成され、 前記分波回路を有する部分は、前記誘電体基板の上部又
    は下部のうち、前記フィルタ部が形成されていない部分
    に形成されていることを特徴とする積層型共用器。
  4. 【請求項4】請求項3記載の積層型共用器において、 前記フィルタを有する部分のうち、前記2種類のフィル
    タの間にシールド電極が形成されていることを特徴とす
    る積層型共用器。
  5. 【請求項5】請求項3又は4記載の積層型共用器におい
    て、 前記フィルタを有する部分のうち、前記2種類のフィル
    タの間に空隙が形成され、少なくとも前記空隙の内周面
    にシールド電極が形成されていることを特徴とする積層
    型共用器。
  6. 【請求項6】請求項2記載の積層型共用器において、 前記フィルタを有する部分は、前記誘電体基板の左右部
    分に形成され、 前記分波回路を有する部分は、前記誘電体基板の中央部
    分に形成されていることを特徴とする積層型共用器。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層
    型共用器において、 前記中心周波数の異なる2種類のフィルタは、送信側フ
    ィルタと受信側フィルタであることを特徴とする積層型
    共用器。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層
    型共用器において、 前記分波回路は、前記入出力端子と各フィルタ間にコイ
    ル素子が直列に挿入され、かつ、該コイル素子に並列に
    容量が付加された構造を有することを特徴とする積層型
    共用器。
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