JP3264387B2 - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents

積層型誘電体フィルタ

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JP3264387B2
JP3264387B2 JP29993792A JP29993792A JP3264387B2 JP 3264387 B2 JP3264387 B2 JP 3264387B2 JP 29993792 A JP29993792 A JP 29993792A JP 29993792 A JP29993792 A JP 29993792A JP 3264387 B2 JP3264387 B2 JP 3264387B2
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隆己 平井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層型誘電体フィルタに
関し、特に携帯用電話機等の高周波回路無線機器に利用
する高周波回路フィルタ等に使用される積層型誘電体フ
ィルタに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】図1
1、図12はそれぞれ本発明者らが案出した積層型誘電
体フィルタの模式展開図および斜視図である。
【0003】この積層型誘電体フィルタにおいては、ア
ース電極50に一端部が接続されて1/4波長型ストリ
ップライン共振器を構成する共振素子21、22および
23並びにアース電極50に一端部が接続されかつ他端
部が共振素子21、22および23の開放端から所定の
距離離れて共振素子21、22および23とそれぞれ対
向する電極31、32および33を誘電体層511上に
形成し、共振素子21の一部に誘電体層512を挟んで
重なる入出力用電極41および共振素子23の一部に誘
電体層512を挟んで重なる入出力用電極42を誘電体
層512上に形成し、誘電体層512上に表面にアース
電極51が形成される誘電体層513を積層し、誘電体
層511、512および513を一体に構成し、その後
焼成して積層体100を形成する。
【0004】次に、図12に示すように、積層体100
の上下面、入出力端子部43、45を除く側面にアース
電極50を形成する。さらに、積層体100の側面の入
出力端子部43内にアース電極50と絶縁されかつ入出
力用電極41と接続する入出力端子44を形成し、積層
体100の側面の入出力端子部45内にアース電極50
と絶縁されかつ入出力用電極42と接続する入出力端子
46を形成する。
【0005】上述した積層型誘電体フィルタの等価回路
は図13に示したようになる。図13において、静電容
量301は共振素子21と入出力用電極41との間に形
成される静電容量であり、静電容量302は共振素子2
3と入出力用電極42との間に形成される静電容量であ
る。静電容量211、221および231並びにインダ
クタンス212、222および232は共振素子21、
22および23をそれぞれ等価変換したときの静電容量
およびインダクタンスである。静電容量213、223
および233はそれぞれ共振素子21、22、および2
3の開放端と電極31、32および33との間に形成さ
れる静電容量であり、これらの静電容量213、223
および233が存在することによって、共振素子21と
共振素子22とはインダクタンス314によって、共振
素子22と共振素子23とはインダクタンス315によ
ってそれぞれ誘導結合され、コムライン型のバンドパス
フィルタを構成している。
【0006】そして、これらの静電容量213、223
および233は共振素子21、22および23を等価変
換したときの並列共振回路の静電容量211、221お
よび231にそれぞれ付加されることになる。従って、
共振周波数を同一とすれば、並列共振回路のインダクタ
ンスは小さくて済むことになり、共振素子21、22お
よび23の長さも短くなり、積層型誘電体フィルタ全体
の長さも短くすることができる。
【0007】しかしながら、このように共振素子21、
22および23の長さが短くなると共振素子21、22
および23の電気長も短くなり、共振素子同士が強く誘
導結合しすぎて、フィルタの特性が広帯域化しすぎると
いう問題があった。
【0008】共振素子間の間隔を大きくして共振素子間
の誘導結合を弱めそれによってフィルタ特性を狭帯域化
することも考えられるが、誘電体フィルタの横幅が大き
くなりフィルタの小型化が妨げられるという問題が生じ
てしまう。
【0009】また、共振素子間の結合を容量結合とした
い場合には共振素子間の誘導結合を容量結合によって相
殺する必要があるが、このような共振素子間の誘導結合
を容量結合によって相殺するには大きい容量を共振素子
間に付加する必要があり、やはりフィルタの小型化が妨
げられるという問題が生じてしまう。
【0010】さらに、図11、12に示すように、積層
型誘電体フィルタの外周はアース電極50で囲まれてお
りこの積層型誘電体フィルタの筐体が別の共振器として
働いてしまう。従って、図14に示すように、フィルタ
の中心周波数の2倍または3倍以上の高い周波数におい
ては、導波管におけるTE、TM波のような高次モード
の伝播が生じ、高周波帯域での減衰が著しく劣化すると
いう問題があった。
【0011】本発明者らは、また図15にその模式展開
図を、図16にその斜視図を示すような共用器を案出し
た。この共用器は共振素子21および23によって構成
される誘電体フィルタ600並びに共振素子24、25
および26によって構成され誘電体フィルタ600とは
中心周波数の異なる誘電体フィルタ700を備えた積層
型誘電体フィルタである。
【0012】この共用器においては、アース電極50に
一端部が接続されて1/4波長型ストリップライン共振
器を構成する共振素子21、23、24〜26およびア
ース電極50に一端部が接続されかつ他端部が共振素子
21、23、24〜26の開放端から所定の距離離れて
共振素子21、23、24〜26とそれぞれ対向する電
極31、33、34〜36を誘電体層14上に形成し、
共振素子21の一部に誘電体層14を挟んで重なる入出
力用電極41および共振素子26の一部に誘電体層14
を挟んで重なる入出力用電極42を誘電体層13上に形
成し、その一端部91が共振素子23の一部に重なりそ
の他端部92が共振素子24の一部に重なる共用電極9
0を誘電体層15上に形成し、誘電体層11〜17を一
体に構成し、その後焼成して積層体100を形成する。
【0013】次に、図16に示すように、積層体100
の上下面、入出力端子部43、45および47を除く側
面にアース電極50を形成する。さらに、積層体100
の側面の入出力端子部43内にアース電極50と絶縁さ
れかつ入出力用電極41と接続する入出力端子44を形
成し、積層体100の側面の入出力端子部45内にアー
ス電極50と絶縁されかつ入出力用電極42と接続する
入出力端子46を形成し、積層体100の側面の入出力
端子部47内にアース電極50と絶縁されかつ共用電極
90と接続する入出力端子48を形成する。
【0014】上述した積層型誘電体フィルタの等価回路
は図17に示したようになる。図17において、静電容
量301は共振素子21と入出力用電極41との間に形
成される静電容量であり、静電容量302は共振素子2
3と入出力用電極42との間に形成される静電容量であ
り、静電容量303は共用電極90の端部91と共振素
子23との間に形成される静電容量であり、静電容量3
04は共用電極90の端部92と共振素子24との間に
形成される静電容量である。静電容量211、231、
241、251および261並びにインダクタンス21
2、232、242、252および262は共振素子2
1、23、24、25および26をそれぞれ等価変換し
たときの静電容量およびインダクタンスである。静電容
量213、233、243、253および263はそれ
ぞれ共振素子21、23、24、25および26の開放
端と電極31、33、34、35および36との間に形
成される静電容量であり、これらの静電容量213、2
33、243、253および263が存在することによ
って、共振素子21と共振素子23とはインダクタンス
311によって、共振素子24と共振素子25とはイン
ダクタンス312によって、共振素子25と共振素子2
6とはインダクタンス313によってそれぞれ誘導結合
され、共振素子21と共振素子23とによってコムライ
ン型のバンドパスフィルタ600を構成し、共振素子2
4、共振素子25および共振素子26によってバンドパ
スフィルタ600とは中心周波数の異なるコムライン型
のバンドパスフィルタ700を構成している。
【0015】このような中心周波数の異なる2つの誘電
体フィルタ600、700を一つの誘電体基板内に一体
的に形成した共用器においては、2つの誘電体フィルタ
の共振素子が互いに干渉するために良好な分離特性が得
られないという問題があった。
【0016】従って、本発明の一目的は、積層型誘電体
フィルタの小型化を妨げることなくしかも共振素子間の
誘導結合が調整可能な構造を有する積層型誘電体フィル
タを提供することにある。
【0017】また、本発明の他の目的は、フィルタの中
心周波数の2倍または3倍以上の高い周波数において高
次モードの伝播が生じるのを防止し、高周波帯域での減
衰が劣化するのを抑制できる積層型誘電体フィルタを提
供することにある。
【0018】さらに、また、本発明の他の目的は、積層
型誘電体フィルタを中心周波数の異なる誘電体フィルタ
を一つの誘電体基板内に一体的に形成した共用器として
用いた場合においても、誘電体フィルタの共振素子が互
いに干渉するのを抑制して良好な分離特性が得られる積
層型誘電体フィルタを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、複数の
共振素子が誘電体基板中に一体的に設けられたトリプレ
ート構造の積層型誘電体フィルタにおいて、前記複数の
共振素子のうち所定の最近接する一組の共振素子間であ
って前記所定の最近接する一組の共振素子が形成されて
いる面以外に形成されアースに短絡された電極を少なく
とも一つ有することを特徴とする積層型誘電体フィルタ
が得られる。
【0020】前記アースに短絡された電極が、前記所定
の最近接する一組の共振素子が形成されている面とは略
垂直な方向に形成されたビアホールであることが好まし
い。
【0021】この場合、前記ビアホールが、前記共振素
子の主面と平行な方向の前記積層型誘電体フィルタの両
主面においてアースに短絡されていることがより好まし
い。
【0022】また、前記アースに短絡された電極を、前
記所定の最近接する一組の共振素子が形成されている面
に平行な所定の面内に形成された電極とすることもでき
る。
【0023】この場合、前記アースに短絡された電極
が、前記共振素子の主面と垂直な方向の前記積層型誘電
体フィルタの互いに対向する両側面において前記アース
に短絡されていることがより好ましい。
【0024】また、好ましくは、前記アースに短絡され
た電極の一端を前記共振素子の主面と垂直な方向の前記
誘電体フィルタの側面において短絡し、その他端を前記
共振素子の主面と平行な方向の前記積層型誘電体フィル
タの主面に繋がるビアホールによって短絡することもで
きる。
【0025】さらに、前記アースに短絡された電極を、
前記所定の最近接する一組の共振素子が形成されている
面とは略垂直な方向に形成されたビアホールおよび前記
所定の最近接する一組の共振素子が形成されている面に
並行な方向の所定の面内に形成された電極によって構成
することもできる。
【0026】
【作用】本発明においては、複数の共振素子が誘電体基
板中に一体的に設けられたトリプレート構造の積層型誘
電体フィルタにおいて、前記複数の共振素子のうち所定
の最近接する一組の共振素子間であって前記所定の最近
接する一組の共振素子が形成されている面以外に形成さ
れアースに短絡された電極を少なくとも一つ有すること
によって、共振素子間の誘導結合を抑制することができ
る。
【0027】すなわち、共振素子間の分布結合は最近接
する共振素子間の分布結合によって生じているが、この
最近接する共振素子間の誘導結合はこの2つの共振素子
間の偶モードのインピーダンスと奇モードのインピーダ
ンスの差が大きい程大きくなる。2つの共振素子27、
28間の偶モードのインピーダンスは2つの共振素子2
7、28の対称面800(図18A参照)を開放面と考
えた時の共振素子27(または28)とアースとの間の
容量Cop(=C1+C2)(図18B参照)に反比例
し、また、奇モードのインピーダンスは対称面800を
アース面と考えた時の共振素子27(または28)とア
ースとの間の容量Csh(=C1+C2+C3)(図1
8C参照)に反比例する。
【0028】このように偶モードのインピーダンスと奇
モードのインピーダンスの差はそれぞれの場合の共振素
子とアースとの間に形成される容量の差に起因してい
る。そしてこの容量の差は、偶モードでは対称面800
と共振素子27(または28)との間に容量C3を持た
ないのに対して、奇モードでは対称面800と共振素子
27(または28)との間に容量C3を持っていること
によって生じている。
【0029】従って、本発明のように最近接する一組の
共振素子間であってこの最近接する一組の共振素子が形
成されている面以外に形成されアースに短絡された電極
を設けることによって、このアースに短絡された電極と
最近接する2つの共振素子のそれぞれとの間にはそれぞ
れ偶モードの場合においても奇モードの場合においても
容量が形成されことになり、その結果、偶モードの場合
に共振素子とアースとの間に形成される容量と奇モード
の場合に共振素子とアースとの間に形成される容量との
差が小さくなり、偶モードのインピーダンスと奇モード
のインピーダンスとの差も小さくなり、その結果、共振
素子間の誘導結合を抑制することができる。
【0030】さらに、中心周波数の異なる2つの誘電体
フィルタを一つの誘電体基板内に一体的に形成した共用
器においては、2つの誘電体フィルタのうちの一方の誘
電体フィルタの共振素子とその共振素子に最近接する他
方の誘電体フィルタの共振素子との間の結合がもっとも
問題となり、その原因は上述した共振素子間の誘導結合
の場合と同様であるから、この問題もこの最近接する一
組の共振素子間であってこの最近接する一組の共振素子
が形成されている面以外に形成されアースに短絡された
電極を設けることによって同様に解決される。
【0031】また、最近接する一組の共振素子間であっ
てこの最近接する一組の共振素子が形成されている面以
外に形成されアースに短絡された電極を、この最近接す
る一組の共振素子が形成されている面とは略垂直な方向
に形成されたビアホールとすることによって、フィルタ
の中心周波数の2倍または3倍以上の高い周波数におい
て高次モードの伝播が生じるのを防止し、高周波帯域で
の減衰が劣化するのを抑制できる。
【0032】なぜならば、一般の導波管においては、あ
る周波数(カットオフ周波数)以上において信号を伝播
するようになるが、この周波数は主に導波管の断面の長
辺の長さによって決定される。すなわち、この長辺の長
さが長くなるとより低い周波数の信号を伝播するように
なり、この長辺の長さが短くなるとより高い周波数の信
号しか伝播しないようになる。
【0033】一方、本発明においても共振素子間に共振
素子が形成されている面とは略垂直な方向にビアホール
を設け、このビアホールを共振素子の主面と平行な方向
の積層型誘電体フィルタの両主面においてアースに短絡
することによって、積層型誘電体フィルタの外周を取り
囲むアース電極によって形成される筐体の断面の長辺は
このビアホールによって2つの矩形に分断されたものと
考えることができるようになる。このように断面の長辺
の長さが短くなると、導波管の場合と同様に、高い周波
数の信号しか伝播しないようになり、すなわち、信号が
伝播し始める周波数を高くシフトさせることができるよ
うになる。その結果、フィルタの高周波数帯域での減衰
特性を改善できるようになる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付の図面を参照し
て説明する。
【0035】図1は本発明の第1の実施例の模式展開図
であり、図2は本実施例の斜視図である。
【0036】図1に示すように、その前端部および後端
部が後記するアース電極50に後記する積層体100の
前面および後面においてそれぞれ接続される電極61を
後記する共振素子21と共振素子23との間の誘電体層
12上に形成する。
【0037】後記する共振素子21の一部に誘電体層1
4を挟んで重なる入出力用電極41および後記する共振
素子23の一部に誘電体層14を挟んで重なる入出力用
電極42を誘電体層13上に形成する。
【0038】後記するアース電極50に一端部がそれぞ
れ接続されて1/4波長型ストリップライン共振器を構
成する共振素子21、23および一端部が後記するアー
ス電極50に接続され、かつ他端部が共振素子21、2
3の開放端から所定の距離離れて共振素子21、23の
開放端とそれぞれ対向する電極31、33を誘電体層1
4上に形成し、さらに、その前端部および後端部が後記
するアース電極50に後記する積層体100の前面およ
び後面においてそれぞれ接続される電極62を共振素子
21と共振素子23との間の誘電体層14上に形成す
る。
【0039】その前端部および後端部が後記するアース
電極50に後記する積層体100の前面および後面にお
いてそれぞれ接続される電極63を後記する共振素子2
1と共振素子23との間の誘電体層16上に形成する。
【0040】誘電体層16上に、表面にアース電極50
が形成される誘電体層17を積層して、誘電体層11〜
17を一体に構成し、その後焼成して、積層体100を
形成する。
【0041】積層体100の上下面および入出力端子部
43、45を除く側面に、図2に示すようにアース電極
50を形成する。さらに、積層体100の一方の側面の
入出力端子部43内に、アース電極50と絶縁され、か
つ入出力用電極41と接続される入出力端子44を形成
し、さらに同様に、積層体100の他方の側面の入出力
端子部45内に、アース電極50と絶縁され、かつ入出
力用電極42と接続される入出力端子46を形成する。
【0042】以上のように構成した本実施例の積層型誘
電体フィルタの等価回路は図3のようになる。図3にお
いて、静電容量301は共振素子21と入出力用電極4
1との間に形成される静電容量であり、静電容量302
は共振素子23と入出力用電極42との間に形成される
静電容量である。静電容量211および231並びにイ
ンダクタンス212および232は共振素子21および
23をそれぞれ等価変換したときの静電容量およびイン
ダクタンスである。静電容量213および233はそれ
ぞれ共振素子21および23の開放端と電極31および
33との間に形成される静電容量であり、これらの静電
容量213および233が存在することによって、共振
素子21と共振素子23とはインダクタンス311によ
って誘導結合され、コムライン型のバンドパスフィルタ
を構成している。
【0043】そして、これらの静電容量213および2
33は共振素子21および23を等価変換したときの並
列共振回路の静電容量211および231にそれぞれ付
加されることになる。従って、共振周波数を同一とすれ
ば、並列共振回路のインダクタンスは小さくて済むこと
になり、共振素子21および23の長さも短くなり、積
層型誘電体フィルタ全体の長さも短くすることができ
る。
【0044】さらに、本実施例においては、共振素子2
1と23との間に両端部が積層体100の前面および後
面に設けられたアース電極50にそれぞれ短絡された電
極61〜63を設けているから、これらの電極61〜6
3と共振素子21、23との間にはそれぞれ偶モードの
場合においても奇モードの場合においても容量が形成さ
れることになり、その結果、偶モードの場合に共振素子
21、23とアースとの間に形成される容量と奇モード
の場合に共振素子21、23とアースとの間に形成され
る容量との差が小さくなり、偶モードのインピーダンス
と奇モードのインピーダンスとの差も小さくなり、その
結果、共振素子21、23間の誘導結合を抑制すること
ができる次に、第1の実施例の積層型誘電体フィルタの
製造方法について説明する。
【0045】本実施例の積層型誘電体フィルタは共振素
子21、23、電極31、33、入出力用電極41、4
2および電極61〜63を完全に誘電体中に内蔵するこ
とから、共振素子21、23、電極31、33、入出力
用電極41、42および電極61〜63には損失の少な
い比抵抗の低いものを用いることが望ましく、低抵抗の
Ag系、若しくはCu系の導体を用いることが好まし
い。
【0046】使用する誘電体としては、信頼性が高く誘
電率εγが大きいために小型化が可能となるセラミック
ス誘電体が好ましい。
【0047】また、製造方法としては、セラミックス粉
末の成形体に導体ペーストを塗布して電極パターンを形
成した後、各々の成形体を積層しさらに焼成して緻密化
し、導体がその内部に積層された状態でセラミックス誘
電体と一体化することが望ましい。
【0048】Ag系やCu系の導体を使用する場合に
は、それらの導体の融点が低く、通常の誘電体材料と同
時焼成することは困難であるところから、それらの融点
(1100℃以下)よりも低い温度で焼成され得る誘電
体材料を用いる必要がある。また、マイクロ波フィルタ
としてのデバイスの性格上、形成される並列共振回路の
共振周波数の温度特性(温度係数)が±50ppm/℃
以下になるような誘電体材料が好ましい。このような誘
電体材料としては、例えば、コージェライト系ガラス粉
末とTiO2 粉末およびNd2 Ti2 7 粉末との混合
物等のガラス系のものや、BaO−TiO2 −Re2
3 −Bi2 3 系組成(Re:レアアース成分)に若干
のガラス形成成分やガラス粉末を添加したもの、酸化バ
リウム−酸化チタン−酸化ネオジウム系誘電体磁気組成
物粉末に若干のガラス粉末を添加したものがある。
【0049】一例として、MgO:18wt%−Al7
3 :37wt%−SiO2 :37wt%−B2 3
5wt%−TiO2 :3wt%なる組成のガラス粉末の
73wt%と、市販のTiO2 粉末の17wt%と、N
2 Ti2 7 粉末の10wt%を充分に混合し、混合
粉末を得た。なお、Nd2 Ti2 7 粉末は、Nd2
3 粉末とTiO2 粉末を1200℃で仮焼した後、粉砕
して得たものを使用した。次いで、この混合粉末に、ア
クリル系有機バインダー、可塑剤、トルエンおよびアル
コール系の溶剤を加え、アルミナ玉石で充分に混合して
スラリーとした。そして、このスラリーを用いて、ドク
ターブレード法により、0.2mm〜0.5mmの厚み
のグリーンテープを作成した。
【0050】次に、上記第1の実施例の場合は、銀ペー
ストを導体ペーストとして図1に示した導体パターンを
それぞれ印刷し、次いで、これら導体パターンが印刷さ
れたグリーンテープの厚みを調整するため必要なグリー
ンテープを重ねて図1の構造となるように重ね、積層し
た後、900℃で焼成して、積層体100を作成した。
【0051】上記のように構成した積層体100の上
面、下面および入出力端子部43、45を除く側面に図
2に示すように銀電極からなるアース電極50を印刷
し、さらにアース電極50から絶縁し、かつ入出力用電
極41、42に各別に接続する銀電極を入出力端子部4
3、45内に入出力端子44、46として印刷し、印刷
した電極を850℃で焼きつけた。
【0052】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
図4は本実施例の模式展開図である。
【0053】上述した第1の実施例においては共振素子
21と23との間の誘電体層12、14および16上に
両端部が積層体100の前面および後面においてアース
電極50にそれぞれ短絡された電極61〜63をそれぞ
れ設けたが、本実施例においては、共振素子21と23
との間の誘電体層12、14および16上に設ける電極
64、65、66の前端部を積層体100の前面におい
てアース電極50にそれぞれ短絡する一方、電極64、
65、66の後端部を誘電体層11〜17内にそれぞれ
設けたビアホール71〜77を介して積層体100の上
面および下面に設けたアース電極50に短絡している点
が第1の実施例と異なるが、他の構成は第1の実施例と
同様である。また、使用した材料や製造方法も第1の実
施例と同様である。本実施例においても、第1の実施例
の場合と同様に共振素子21と23との間の誘導結合を
抑制することができるが、その抑制効果は第1の実施例
に比較して弱くなる。
【0054】次に、本発明の第3の実施例を説明する。
図5は本実施例の模式展開図であり、図6は本実施例の
斜視図である。
【0055】第1および第2の実施例においては、共振
素子が2個の積層型誘電体フィルタに関するものである
が、本実施例は2個の共振素子によって構成される誘電
体フィルタ600並びに3個の共振素子によって構成さ
れ誘電体フィルタ600とは中心周波数の異なる誘電体
フィルタ700を備えた共用器に関する。
【0056】本実施例においては、図5に示すように、
その前端部および後端部が後記するアース電極50に後
記する積層体100の前面および後面においてそれぞれ
接続される電極81、82を後記する共振素子23と共
振素子24との間の誘電体層12上に形成する。
【0057】後記する共振素子21の一部に誘電体層1
4を挟んで重なる入出力用電極41および後記する共振
素子26の一部に誘電体層14を挟んで重なる入出力用
電極42を誘電体層13上に形成する。
【0058】アース電極50に一端部が接続されて1/
4波長型ストリップライン共振器を構成する共振素子2
1、23、24〜26およびアース電極50に一端部が
接続されかつ他端部が共振素子21、23、24〜26
の開放端から所定の距離離れて共振素子21、23、2
4〜26とそれぞれ対向する電極31、33、34〜3
6を誘電体層14上に形成する。共振素子21と共振素
子23とによってコムライン型のバンドパスフィルタ6
00を構成し、共振素子24、共振素子25および共振
素子26によってコムライン型のバンドパスフィルタ7
00を構成する。
【0059】その一端部91が共振素子23の一部に重
なりその他端部92が共振素子24の一部に重なる共用
電極90を誘電体層15上に形成する。
【0060】その前端部および後端部が後記するアース
電極50に後記する積層体100の前面および後面にお
いてそれぞれ接続される電極83、84を後記する共振
素子23と共振素子24との間の誘電体層16上に形成
する。
【0061】誘電体層16上に表面にアース電極50が
形成される誘電体層17を積層して、誘電体層11〜1
7を一体に構成し、その後焼成して積層体100を形成
する。
【0062】次に、図6に示すように、積層体100の
上下面、入出力端子部43、45および47を除く側面
にアース電極50を形成する。さらに、積層体100の
側面の入出力端子部43内にアース電極50と絶縁され
かつ入出力用電極41と接続する入出力端子44を形成
し、積層体100の側面の入出力端子部45内にアース
電極50と絶縁されかつ入出力用電極42と接続する入
出力端子46を形成し、積層体100の側面の入出力端
子部47内にアース電極50と絶縁されかつ共用電極9
0と接続する入出力端子48を形成する。
【0063】なお、本実施例において使用した材料や製
造方法は第1の実施例において使用した材料や製造方法
と同様である。
【0064】上述した積層型誘電体フィルタの等価回路
は図7に示したようになる。図7において、静電容量3
01は共振素子21と入出力用電極41との間に形成さ
れる静電容量であり、静電容量302は共振素子23と
入出力用電極42との間に形成される静電容量であり、
静電容量303は共用電極90の端部91と共振素子2
3との間に形成される静電容量であり、静電容量304
は共用電極90の端部92と共振素子24との間に形成
される静電容量である。静電容量211、231、24
1、251および261並びにインダクタンス212、
222、242、252および262は共振素子21、
23、24、25および26をそれぞれ等価変換したと
きの静電容量およびインダクタンスである。静電容量2
13、233、243、253および263はそれぞれ
共振素子21、23、24、25および26の開放端と
電極31、33、34、35および36との間に形成さ
れる静電容量であり、これらの静電容量213、23
3、243、253および263が存在することによっ
て、共振素子21と共振素子23とはインダクタンス3
11によって、共振素子24と共振素子25とはインダ
クタンス312によって、共振素子25と共振素子26
とはインダクタンス313によってそれぞれ誘導結合さ
れ、共振素子21と共振素子23とによってコムライン
型のバンドパスフィルタ600を構成し、共振素子2
4、共振素子25および共振素子26によってバンドパ
スフィルタ600とは中心周波数の異なるコムライン型
のバンドパスフィルタ700を構成している。
【0065】本実施例においては、フィルタ600を構
成する共振素子23とフィルタ700を構成する共振素
子24との間に両端部が積層体100の前面および後面
に設けられたアース電極50にそれぞれ短絡された電極
81〜84を設けているから、これらの電極81〜84
によってフィルタ600とフィルタ700とが互いに干
渉するのを防止でき、良好な分離特性を得ることができ
るようになる。
【0066】次に、本発明の第4の実施例を説明する。
図8は本実施例の模式展開図であり、図2は本実施例の
斜視図である。
【0067】第1および第2の実施例においては、共振
素子間の誘電体層上にその両端部がアース電極50に積
層体100の前面および後面においてそれぞれ接続され
る電極を設けた場合を説明したが、本実施例において
は、共振素子間に積層体100の上面および下面に設け
たアース電極50に短絡しているビアホールを設けてい
る。
【0068】本実施例においては、図8に示すように、
後記するアース電極50に後記する積層体100の上面
および下面においてそれぞれ接続されるビアホール11
1a、112aを後記する共振素子21と共振素子22
との間の誘電体層11内に形成し、後記するアース電極
50に後記する積層体100の上面および下面において
それぞれ接続されるビアホール113a、114aを後
記する共振素子22と共振素子23との間の誘電体層1
1内に形成する。
【0069】後記する共振素子21、22、23の開放
端側に誘電体層13、14を挟んで重なり端部が後記す
るアース電極50と接続される内層アース電極181を
誘電体層12上に形成し、さらに後記するアース電極5
0に後記する積層体100の上面および下面においてそ
れぞれ接続されるビアホール111b、112bを後記
する共振素子21と共振素子22との間の誘電体層12
内に形成し、後記するアース電極50に後記する積層体
100の上面および下面においてそれぞれ接続されるビ
アホール113b、114bを後記する共振素子22と
共振素子23との間の誘電体層12内に形成する。
【0070】後記する共振素子23の一部に誘電体層1
4を挟んで重なる入出力用電極42を誘電体層13上に
形成し、さらに後記するアース電極50に後記する積層
体100の上面および下面においてそれぞれ接続される
ビアホール111c、112cを後記する共振素子21
と共振素子22との間の誘電体層13内に形成し、後記
するアース電極50に後記する積層体100の上面およ
び下面においてそれぞれ接続されるビアホール113
c、114cを後記する共振素子22と共振素子23と
の間の誘電体層13内に形成する。
【0071】後記するアース電極50に一端部が接続さ
れて1/4波長型ストリップライン共振器を構成する共
振素子21〜23およびアース電極50に一端部が接続
されかつ他端部が共振素子21〜23の開放端から所定
の距離離れて共振素子21〜23とそれぞれ対向する電
極31〜33を誘電体層14上に形成し、さらに後記す
るアース電極50に後記する積層体100の上面および
下面においてそれぞれ接続されるビアホール111d、
112dを後記する共振素子21と共振素子22との間
の誘電体層14内に形成し、後記するアース電極50に
後記する積層体100の上面および下面においてそれぞ
れ接続されるビアホール113d、114dを後記する
共振素子22と共振素子23との間の誘電体層14内に
形成する。
【0072】共振素子21の一部に誘電体層15を挟ん
で重なる入出力用電極41を誘電体層15上に形成し、
さらに後記するアース電極50に後記する積層体100
の上面および下面においてそれぞれ接続されるビアホー
ル111e、112eを共振素子21と共振素子22と
の間の誘電体層15内に形成し、後記するアース電極5
0に後記する積層体100の上面および下面においてそ
れぞれ接続されるビアホール113e、114eを共振
素子22と共振素子23との間の誘電体層15内に形成
する。
【0073】共振素子21、22、23の開放端側に誘
電体層15、16を挟んで重なり端部が後記するアース
電極50と接続される内層アース電極182を誘電体層
16上に形成し、さらに後記するアース電極50に後記
する積層体100の上面および下面においてそれぞれ接
続されるビアホール111f、112fを共振素子21
と共振素子22との間の誘電体層16内に形成し、後記
するアース電極50に後記する積層体100の上面およ
び下面においてそれぞれ接続されるビアホール113
f、114fを共振素子22と共振素子23との間の誘
電体層16内に形成する。
【0074】誘電体層16上に表面にアース電極50が
形成される誘電体層17を積層して、誘電体層11〜1
7を一体に構成し、その後焼成して、積層体100を形
成する。なお、アース電極50に積層体100の上面お
よび下面においてそれぞれ接続されるビアホール111
g、112gが共振素子21と共振素子22との間の誘
電体層17内に形成され、アース電極50に積層体10
0の上面および下面においてそれぞれ接続されるビアホ
ール113g、114gが共振素子22と共振素子23
との間の誘電体層17内に形成されている。
【0075】積層体100の上下面および入出力端子部
43、45を除く側面に、図2に示すようにアース電極
50を形成する。さらに、積層体100の一方の側面の
入出力端子部43内に、アース電極50と絶縁され、か
つ入出力用電極41と接続される入出力端子44を形成
し、さらに同様に、積層体100の他方の側面の入出力
端子部45内に、アース電極50と絶縁され、かつ入出
力用電極42と接続される入出力端子46を形成する。
【0076】なお、本実施例において使用した材料や製
造方法は第1の実施例において使用した材料や製造方法
と同様である。
【0077】以上のように構成した本実施例の積層型誘
電体フィルタの等価回路は図9のようになる。図9にお
いて、静電容量301は共振素子21と入出力用電極4
1との間に形成される静電容量であり、静電容量302
は共振素子23と入出力用電極42との間に形成される
静電容量である。静電容量211、221および231
並びにインダクタンス212、222および232は共
振素子21、22および23をそれぞれ等価変換したと
きの静電容量およびインダクタンスである。静電容量2
13、223および233はそれぞれ共振素子21、2
2および23の開放端と電極31、32および33との
間に形成される静電容量である。また、インダクタンス
314は共振素子21と共振素子22との間の誘導結合
を示すインダクタンスであり、インダクタンス315は
共振素子22と共振素子23との間の誘導結合を示すイ
ンダクタンスである。
【0078】また、本実施例の積層型誘電体フィルタに
おいては、共振素子21、22、23の開放端側と対向
する内層アース電極181、182を設けている。従っ
て、内層アース電極181、182と対向している共振
素子21、22、23の開放端の部分はアースにより近
くなり、共振素子21、22、23の開放端側と内層ア
ース電極181、182との間には静電容量214、2
15、224、225、234、235がそれぞれ形成
され、これらの静電容量214、215、224、22
5、234、235も共振素子21、22、23を等価
変換したときの並列共振回路の静電容量211、22
1、231にそれぞれ付加されることになる。従って、
共振周波数を同一とすれば、並列共振回路のインダクタ
ンスは小さくてすむことになり、共振素子21、22、
23の長さもより短くなり、積層型誘電体フィルタ全体
の長さも短くすることができる。
【0079】さらに、本実施例においては共振素子21
と共振素子22との間にアース電極50に積層体100
の上面および下面においてそれぞれ接続されるビアホー
ル111a〜111gおよびビアホール112a〜11
2gを設け、共振素子22と共振素子23との間にアー
ス電極50に積層体100の上面および下面においてそ
れぞれ接続されるビアホール113a〜113gおよび
ビアホール114a〜114gを設けているから、積層
体100の外周を取り囲むアース電極50によって形成
される筐体の断面の長辺はこれらのビアホール111a
〜111g、112a〜112g、113a〜113
g、114a〜114gによって3つの矩形に分断され
たものと考えることができるようになる。このように断
面の長辺の長さが短くなると、導波管の場合と同様に、
高い周波数の信号しか伝播しないようになり、すなわ
ち、信号が伝播し始める周波数を高くシフトさせること
ができるようになる。その結果、フィルタの高周波数帯
域での減衰特性を改善できるようになる。次に、本発明
の第5の実施例を説明する。図10は本実施例の模式展
開図である。
【0080】上述した第4の実施例においては共振素子
21と22との間にアース電極50に積層体100の上
面および下面においてそれぞれ接続されるビアホール1
11a〜111gおよびビアホール112a〜112g
を設け、共振素子22と共振素子23との間にアース電
極50に積層体100の上面および下面においてそれぞ
れ接続されるビアホール113a〜113gおよびビア
ホール114a〜114gを設けたが、本実施例におい
てはこれらのビアホール111a〜111g、112a
〜112g、113a〜113g、114a〜114g
に加えて共振素子21と22との間の誘電体層13、1
4、15上に両端部が積層体100の前面および後面に
おいてアース電極50にそれぞれ短絡された電極40
1、403および405をそれぞれ設け共振素子22と
23との間の誘電体層13、14、15上に両端部が積
層体100の前面および後面においてアース電極50に
それぞれ短絡された電極402、404および406を
それぞれ設けた点が第4の実施例と異なるが、他の構成
は第4の実施例と同様である。また、使用した材料や製
造方法も第4の実施例と同様である。
【0081】本実施例においても、第4の実施例の場合
と同様に共振素子21と共振素子22との間にアース電
極50に積層体100の上面および下面においてそれぞ
れ接続されるビアホール111a〜111gおよびビア
ホール112a〜112gを設け、共振素子22と共振
素子23との間にアース電極50に積層体100の上面
および下面においてそれぞれ接続されるビアホール11
3a〜113gおよびビアホール114a〜114gを
設けているから、フィルタの高周波数帯域での減衰特性
を改善できる。
【0082】また、本実施例においては、これらのビア
ホール111a〜111g、112a〜112g、11
3a〜113g、114a〜114gに加えて共振素子
21と22との間の誘電体層13、14、15上に両端
部が積層体100の前面および後面においてアース電極
50にそれぞれ短絡された電極401、403および4
05をそれぞれ設け共振素子22と23との間の誘電体
層13、14、15上に両端部が積層体100の前面お
よび後面においてアース電極50にそれぞれ短絡された
電極402、404および406をそれぞれ設けている
から、電極401、403、405によって共振素子2
1、22間の誘導結合を、電極402、404、406
によって共振素子22、23間の誘導結合を抑制するこ
とができる。
【0083】特に本実施例のように内層アース電極18
1、182を共振素子21、22、23の開放端側と対
向して設けた場合は共振素子間がより強く誘導結合する
ようになるが、本実施例のように共振素子21と22と
の間に両端部が積層体100の前面および後面において
アース電極50にそれぞれ短絡された電極401、40
3および405をそれぞれ設け共振素子22と23との
間に両端部が積層体100の前面および後面においてア
ース電極50にそれぞれ短絡された電極402、404
および406をそれぞれ設けることによって共振素子間
の誘導結合を有効に抑制することができてフィルタの特
性が広帯域化するのを防止できる。
【0084】すなわち、内層アース電極181、182
を共振素子21、22、23の開放端側と対向して設け
ると内層アース電極181、182と対向している共振
素子21〜23の開放端側の部分はよりアースに近くな
りアースとの結合が強くなるから、内層アース電極18
1、182と対向している開放端側の部分の共振素子同
士の結合が弱くなる。従って、共振素子同士の結合は内
層アース電極181、182と重ならない部分で主とし
て結合するようになる。このことは、実質的に共振素子
の電気長が短くなったことを意味する。そして、電気長
が短くなると、共振素子同士を結合する分布定数素子の
リアクタンスも小さくなり、共振素子同士がより強く誘
導結合してしまいフィルタの特性をより広帯域化させて
しまう。このように共振素子21、22、23の開放端
側と対向する内層アース電極を設けると積層型誘電体フ
ィルタの長さは短くできるが、その半面フィルタの特性
が広帯域化しすぎるという問題が生じるが、本実施例に
おいては共振素子21と22との間に両端部がアース電
極50に短絡された電極401、403および405を
設け共振素子22と23との間に両端部アース電極50
に短絡された電極402、404および406を設ける
ことによって共振素子間の誘導結合を有効に抑制するこ
とができてフィルタの特性が広帯域化するのを防止でき
るようになる。
【0085】
【発明の効果】本発明においては、複数の共振素子が誘
電体基板中に一体的に設けられたトリプレート構造の積
層型誘電体フィルタにおいて、前記複数の共振素子のう
ち所定の最近接する一組の共振素子間であって前記所定
の最近接する一組の共振素子が形成されている面以外に
形成されアースに短絡された電極を少なくとも一つ有す
ることによって、共振素子間の誘導結合を抑制すること
ができる。
【0086】さらに、中心周波数の異なる2つの誘電体
フィルタを一つの誘電体基板内に一体的に形成した共用
器においては、2つの誘電体フィルタのうちの一方の誘
電体フィルタの共振素子とその共振素子に最近接する他
方の誘電体フィルタの共振素子との間の結合がもっとも
問題となり、その原因は上述した共振素子間の誘導結合
の場合と同様であるから、この問題もこの最近接する一
組の共振素子間であってこの最近接する一組の共振素子
が形成されている面以外に形成されアースに短絡された
電極を設けることによって同様に解決される。
【0087】また、最近接する一組の共振素子間であっ
てこの最近接する一組の共振素子が形成されている面以
外に形成されアースに短絡された電極を、この最近接す
る一組の共振素子が形成されている面とは略垂直な方向
に形成されたビアホールとすることによって、フィルタ
の中心周波数の2倍または3倍以上の高い周波数におい
て高次モードの伝播が生じるのを防止し、高周波帯域で
の減衰が劣化するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の模式展開図である。
【図2】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図4】本発明の第2の実施例の積層型誘電体フィルタ
の模式展開図である。
【図5】本発明の第3の実施例の共用器の模式展開図で
ある。
【図6】本発明の第3の実施例の共用器の斜視図であ
る。
【図7】本発明の第3の実施例の共用器の等価回路図で
ある。
【図8】本発明の第4の実施例の積層型誘電体フィルタ
の模式展開図である。
【図9】本発明の第4の実施例の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図10】本発明の第5の実施例の積層型誘電体フィル
タの模式展開図である。
【図11】本発明者らが案出した従来の積層型誘電体フ
ィルタの模式展開図である。
【図12】本発明者らが案出した従来の積層型誘電体フ
ィルタの斜視図である。
【図13】本発明者らが案出した従来の積層型誘電体フ
ィルタの等価回路図である。
【図14】積層型誘電体フィルタの高周波帯域での減衰
特性を説明するための図である。
【図15】本発明者らが案出した従来の共用器の模式展
開図である。
【図16】本発明者らが案出した従来の共用器の斜視図
である。
【図17】本発明者らが案出した従来の共用器の等価回
路図である。
【図18】共振素子間の偶モードのインピーダンスと奇
モードのインピーダンスとの差を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
11〜17…誘電体層 21〜26…共振素子 31〜36…電極 41、42…入出力用電極 43、45、47…入出力端子部 44、46、48…入出力端子 50…アース電極 61〜66…電極 71〜77…ビアホール 81〜84…電極 90…共用電極 100…積層体 111a〜111g、112a〜112g、113a〜
113g、114a〜114g…ビアホール 181、182…内層アース電極 401〜406…電極
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−152803(JP,A) 特開 昭61−114601(JP,A) 特開 平6−37508(JP,A) 実開 平2−77904(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 1/20 - 1/219 H01P 7/00 - 7/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の共振素子が誘電体基板中に一体的に
    設けられたトリプレート構造の積層型誘電体フィルタに
    おいて、前記複数の共振素子のうち所定の最近接する一
    組の共振素子間であって前記所定の最近接する一組の共
    振素子が形成されている面以外に形成されアースに短絡
    された電極を少なくとも一つ有することを特徴とする積
    層型誘電体フィルタ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、前記アースに短絡された電極が、前記所定の最近
    接する一組の共振素子が形成されている面とは略垂直な
    方向に形成されたビアホールであることを特徴とする積
    層型誘電体フィルタ。
  3. 【請求項3】請求項2記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、前記ビアホールが、前記共振素子の主面と平行な
    方向の前記積層型誘電体フィルタの両主面においてアー
    スに短絡されていることを特徴とする積層型誘電体フィ
    ルタ。
  4. 【請求項4】請求項1記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、前記アースに短絡された電極が、前記所定の最近
    接する一組の共振素子が形成されている面に平行な所定
    の面内に形成された電極であることを特徴とする積層型
    誘電体フィルタ。
  5. 【請求項5】請求項4記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、前記アースに短絡された電極が、前記共振素子の
    主面と垂直な方向の前記積層型誘電体フィルタの互いに
    対向する両側面において前記アースに短絡された電極で
    あることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  6. 【請求項6】請求項4記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、前記アースに短絡された電極が、その一端が前記
    共振素子の主面と垂直な方向の前記誘電体フィルタの側
    面において短絡され、その他端が前記共振素子の主面と
    平行な方向の前記積層型誘電体フィルタの主面に繋がる
    ビアホールによって短絡されていることを特徴とする積
    層型誘電体フィルタ。
  7. 【請求項7】請求項1記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、前記アースに短絡された電極が、前記所定の最近
    接する一組の共振素子が形成されている面とは略垂直な
    方向に形成されたビアホールおよび前記所定の最近接す
    る一組の共振素子が形成されている面に平行な方向の所
    定の面内に形成された電極であることを特徴とする積層
    型誘電体フィルタ。
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