JPH0677704A - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents

積層型誘電体フィルタ

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JPH0677704A
JPH0677704A JP22849792A JP22849792A JPH0677704A JP H0677704 A JPH0677704 A JP H0677704A JP 22849792 A JP22849792 A JP 22849792A JP 22849792 A JP22849792 A JP 22849792A JP H0677704 A JPH0677704 A JP H0677704A
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Takami Hirai
隆己 平井
Shinsuke Yano
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Abstract

(57)【要約】 【目的】占有面積を大きくすることなく減衰特性を改善
して狭帯域化させることができ、小型化に適した積層型
誘電体フィルタを提供する。 【構成】誘電体層12上に、入力端側の共振素子21の
一部と重なるとともに共振素子21とほぼ直交する入力
用電極41および出力端側の共振素子22の一部と重な
るとともに共振素子22とほぼ直交する出力用電極42
を形成する。入力用電極41は入力端側の共振素子21
を越えさらに出力端側の共振素子22に向かって延在さ
せ、出力用電極42は出力端側の共振素子22を越えさ
らに入力端側の共振素子21に向かって延在させ、入力
用電極41の先端部411および出力用電極42の先端
部421を容量結合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層型誘電体フィルタに
関し、特に携帯用電話器等の高周波回路無線機器に利用
する高周波回路フィルタやアンテナデュプレクサ等に使
用される積層型誘電体フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高周波回路用バンドパスフィルタ
の減衰特性を改善して狭帯域化させる構造としては図1
6に示すような構造が提案されていた(特公昭62−1
9081号公報参照)。すなわち、互いに誘電結合され
た1/2波長マイクロストリップライン共振素子321
および322の一端部に近接してこれらの1/2波長マ
イクロストリップライン共振素子321および322と
それぞれ容量結合する入力用マイクロストリップライン
電極341および出力用マイクロストリップライン電極
342を設けるとともに、入力用マイクロストリップラ
イン電極341および出力用マイクロストリップライン
電極342同士も近接させてこれらを容量結合させるこ
とにより通過帯域の両側に減衰ピークを形成して減衰特
性を改善することが提案されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては1/2波長マイクロストリップライン
共振素子321、322と入出力用マイクロストリップ
ライン電極341、342とは同一平面内に形成されて
いるから占有面積が大きくなり、小型化には適さないと
いう問題があった。
【0004】さらに、入出力用マイクロストリップライ
ン電極341、342間の容量は、平面上の電極間ギャ
ップのみによって形成されるから、大きい容量を得よう
とすれば入出力マイクロストリップライン電極341、
342の対向面積を大きくせざるを得ず、そして、これ
らの電極341、342が1/2波長マイクロストリッ
プライン共振素子321、322と同一平面内にあるか
ら、大きい容量を得ようとして入出力マイクロストリッ
プライン電極341、342の対向面積を大きくすれ
ば、占有面積もそれだけ大きくなってしまうという問題
もあった。
【0005】また、1/2波長マイクロストリップライ
ン共振素子321、322と入出力用マイクロストリッ
プライン電極341、342とは同一平面内に形成され
ているから、これらの間の容量も1/2波長マイクロス
トリップライン共振素子321、322と入出力用マイ
クロストリップライン電極341、342との間の平面
上のギャップのみによって形成されるから、大きい容量
を得ることが困難であり、回路設計を制限していた。
【0006】従って、本発明の一目的は、占有面積を大
きくすることなく減衰特性を改善させることができ小型
化に適した積層型誘電体フィルタを提供することにあ
る。
【0007】本発明の他の目的は、占有面積を大きくす
ることなく、入出力電極間の対向面積を大きくしてこれ
らの間の結合容量を大きくすることができる積層型誘電
体フィルタを提供することにある。
【0008】また、本発明のさらに他の目的は、共振素
子と入出力電極との間に大きい容量を得ることが容易で
あり回路設計の自由度が大きい積層型誘電体フィルタを
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第1の
アース電極と、前記第1のアース電極と対向して設けら
れた第2のアース電極と、前記第1のアース電極と前記
第2のアース電極との間に設けられた誘電体と、前記誘
電体中に設けられた入力端側共振素子と、前記誘電体中
に前記入力端側共振素子と誘導結合して設けられた出力
端側共振素子と、前記入力端側共振素子と前記第1のア
ース電極との間の前記誘電体中にその一部が前記入力端
側共振素子の一部に重なって設けられた入力用電極と、
前記出力端側共振素子と前記第1のアース電極との間の
前記誘電体中または前記出力端側共振素子と前記第2の
アース電極との間の前記誘電体中にその一部が前記出力
端側共振素子の一部に重なって設けられ前記入力用電極
と容量結合する出力用電極とを有することを特徴とする
積層型誘電体フィルタが得られる。
【0010】
【作用】本発明においては、入力端側共振素子と第1の
アース電極との間の誘電体中にその一部が入力端側共振
素子の一部と重なる入力用電極を設け、出力端側共振素
子と第1のアース電極との間の誘電体中または出力端側
共振素子と第2のアース電極との間の誘電体中にその一
部が出力端側共振素子の一部と重なる出力用電極を設け
ているから、入出力端側共振素子と入出力用電極とは同
一平面内にはなく、従って、誘電体フィルタの占有面積
も大きくなることはなく、小型化に適した積層型誘電体
フィルタが得られる。
【0011】さらに、このように本発明においては入出
力端側共振素子と入出力用電極とを同一平面内ではなく
重ねて設けているから、入出力用電極間の対向面積を大
きくして入出力用電極間の容量を大きくしても、誘電体
フィルタ自体の占有面積が大きくなることもない。特
に、入力用電極を入力端側共振素子と第1のアース電極
との間の誘電体中に設け、出力用電極を出力端側共振素
子と第2のアース電極との間の誘電体中に設けることに
より、入力用電極の一端部と出力用電極の一端部とを誘
電体層を挟んで重ねることができるから、この重なり部
分によって大きい入出力電極間容量を得ることができ
る。
【0012】また、入出力端側共振素子と入出力用電極
との間の容量も入出力端側共振素子と入出力用電極との
間の平面上のギャップによって形成されるのではなく、
入出力端側共振素子と入出力用電極と重なり部分で形成
されるから大きい容量を得ることができ、回路設計の自
由度を増すことができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付の図面を参照し
て説明する。
【0014】図1は、本発明の第1の実施例の模式展開
図であり、図2は本実施例の斜視図である。
【0015】後記するアース電極70に一端部がそれぞ
れ電気的に接続されて1/4波長型ストリップライン共
振器を構成する共振素子21および22を誘電体層11
上に形成し、さらに、一端部が後記するアース電極70
に電気的に接続され、かつ他端部が共振素子21および
22の開放端から所定の間隔離れて共振素子21および
22とそれぞれ対向する電極31および32を誘電体層
11上に形成して、共振素子21および22が分布結合
されることを利用してコムライン型のフィルタを構成す
る。共振素子21が入力端側の共振素子であり、共振素
子22が出力端側の共振素子である。なお、誘電体層1
1の裏面にもアース電極70が後に形成される。
【0016】誘電体層11上に積層される誘電体層12
上に、入力端側の共振素子21の一部と誘電体層12を
挟んで重なると共に、共振素子21とほぼ直交する入力
用電極41および出力端側の共振素子22の一部と誘電
体層12を挟んで重なると共に、共振素子22とほぼ直
交する出力用電極42を形成する。なお、入力用電極4
1は入力端側の共振素子21を超えさらに出力端側の共
振素子22に向かって延在し、その先端部411は出力
用電極42に対向する部分の長さを長くするために幅広
い構造となっている。同様に出力用電極42は出力端側
の共振素子22を超えさらに入力端側の共振素子21に
向かって延在し、その先端部421は出力用電極41に
対向する部分の長さを長くするために幅広い構造となっ
ている。
【0017】誘電体層12上に、表面にアース電極70
が形成される誘電体層13を積層して、誘電体層11、
12および13を一体に構成して積層体500を形成す
る。
【0018】誘電体層11、12および13を一体に構
成した積層体500の上下面および入力端子部61、出
力端子部62を除く側面に、図2に示すように、アース
電極70を形成する。さらに、積層体500の一方の側
面の入力端子部61内に、アース電極70と電気的に絶
縁され、かつ入力用電極41と電気的に接続される入力
端子51を形成し、さらに同様に、積層体500の他方
の側面の出力端子部62内に、アース電極70と電気的
に絶縁され、かつ出力用電極42と電気的に接続される
出力端子52を形成する。
【0019】以上のように構成した本実施例において、
共振素子21および22、電極31および32、入力用
電極41および出力用電極42の空間的な構成のみを平
面図およびそのX−X線断面図で示せば図3および図4
に示す如くである。共振素子21と入力用電極41との
間に誘電体層12を挟んで重なり部分があって、誘電体
層12を含む重なり部分において容量結合された状態と
なっている。この静電容量を静電容量111とする。ま
た、共振素子22と出力用電極42との間にも誘電体層
12を挟んで重なり部分があって、誘電体層12を含む
重なり部分において容量結合された状態となっている。
この静電容量を静電容量112とする。
【0020】また、共振素子21および22の開放端と
電極31および32との間にはそれぞれ静電容量121
および122が形成されている。そして、これらの静電
容量121および122が存在することによって、共振
素子長が1/4波長以下に短縮されるとともに、共振素
子間の結合長も1/4波長以下となり、誘導性の分布結
合を生じる。共振素子21および共振素子22はこの誘
導結合を等価変換したインダクタンス131で結合され
ている。
【0021】さらに、入力用電極41の先端部411お
よび出力用電極42の先端部421は互いに対向して設
けられており、対向部分において容量結合された状態と
なっている。この静電容量を静電容量141とする。
【0022】上記のように、共振素子21および22、
電極31および32、入力用電極41および出力用電極
42から構成されるフィルタの電気的な等価回路は図5
に示すようになり、バンドバス特性を呈する。なお、静
電容量211およびインダクタンス212はそれぞれ共
振素子21を等価交換したときの静電容量およびインダ
クタンスであり、静電容量221およびインダクタンス
222はそれぞれ共振素子22を等価交換したときの静
電容量およびインダクタンスである。
【0023】さらに、上記構成のフィルタは入力端子5
1および出力端子52間を直接静電容量141で接続し
ているから通過帯域の両側に減衰ピークが形成されて減
衰特性が改善され、狭帯域化されたバンドパスフィルタ
が得られる。
【0024】本実施例においては、入力用電極41を入
力端側の共振素子21上に重ねて設け、出力用電極42
を出力端側の共振素子22上に重ねて設けているから、
単に入力用電極41および出力用電極42を内側に延長
し、入力用電極41の先端部411および出力用電極4
2の先端部421を近づけるだけでこれらの間を容量結
合させることができ、その結果、通過帯域の両側に減衰
ピークが形成されて減衰特性が改善される。このよう
に、本実施例においては、入力用電極41の先端部41
1および出力用電極42の先端部421を近づけるだけ
で減衰特性を改善することができるから、誘電体フィル
タの占有面積が増大することもない。
【0025】さらに、より大きい容量を得るために入力
用電極41の先端部411および出力用電極42の先端
部421の対向部分の長さを長くして対向面積を大きく
しても誘電体フィルタ自体の長さは長くなることはな
く、その結果、誘電体フィルタの占有面積が増大するこ
ともない。
【0026】また、入力用電極41を入力端側の共振素
子21上に重ねて設け、出力用電極42を出力端側の共
振素子22上に重ねて設けているから、入力用電極41
と共振素子21との間および出力用電極42と共振素子
22との間にそれぞれ大きい容量の静電容量111およ
び静電容量112を容易に形成できる。
【0027】さらに、図6に示すように、入力端側の共
振素子21と重なる部分の入力用電極41に凸部412
を設け、出力端側の共振素子22と重なる部分の出力用
電極42に凸部422を設けることにより、入力用電極
41と共振素子21との間および出力用電極42と共振
素子22との間にそれぞれより大きい容量の静電容量1
11および静電容量112を形成でき、また図7に示す
ように、入力端側の共振素子21と重なる部分の入力用
電極41に凹部413を設け、出力端側の共振素子22
と重なる部分の出力用電極42に凹部423を設けるこ
とにより、入力用電極41と共振素子21との間および
出力用電極42と共振素子22との間にそれぞれより小
さい容量の静電容量111および静電容量112を形成
できる。
【0028】このように、入出力用電極41、42と共
振素子21、22とが重なる部分の形状を変化させるだ
けで容易にこれらの間に形成される静電容量111およ
び112の容量値を変化させることができるから、回路
設計の自由度が増加する。そして、このように入出力用
電極41、42と共振素子21、22とが重なる部分の
形状を変化させても誘電体フィルタ自体の長さは長くな
ることはなく、その結果、誘電体フィルタの占有面積が
増大することもない。
【0029】さらに、本実施例においては、入出力用電
極41、42を共振素子21、22と同一平面内には設
けないから、共振素子21、22の開放端に対向する電
極31、32と共振素子21、22とを同一平面内に設
けることができて、これらの電極31、32と共振素子
21、22との間に共振器を短縮させ、また共振器間の
結合を調整する静電容量121、122を形成すること
ができるが、上述した特公昭62−19081号公報に
記載の構造では、入出力用電極と共振素子とは同一平面
内にあり、しかも共振素子の開放端側に入出力用電極が
設けられているから、このような電極31、32を共振
素子の開放端と対向して設けることも不可能である。
【0030】次に、第1の実施例の積層型誘電体フィル
タの製造方法について説明する。
【0031】本積層型誘電体フィルタは共振素子21、
22、電極31、32、入力用電極41および出力用電
極42を完全に誘電体中に内蔵することから、共振素子
21、22、電極31、32、入力用電極41および出
力用電極42には損失の少ない比抵抗の低いものを用い
ることが望ましく、低抵抗のAg系、若しくはCu系の
導体を用いることが好ましい。
【0032】使用する誘電体としては、信頼性が高く比
誘電率εγが大きいために小型化が可能となるセラミッ
クス誘電体が好ましい。
【0033】また、製造方法としては、セラミックス粉
末の成形体に導体ペーストを塗布して電極パターンを形
成した後、各々の成形体を積層しさらに焼成して緻密化
し、導体がその内部に積層された状態でセラミックス誘
電体と一体化することが望ましい。
【0034】Ag系やCu系の導体を使用する場合に
は、それらの導体の融点が低く、通常の誘電体材料と同
時焼成することは困難であるところから、それらの融点
(1100℃以下)よりも低い温度で焼成され得る誘電
体材料を用いる必要がある。また、マイクロ波フィルタ
としてのデバイスの性格上、形成される並列共振回路の
共振周波数の温度特性(温度係数)が±50ppm/℃
以下になるような誘電体材料が好ましい。このような誘
電体材料としては、例えば、コージェライト系ガラス粉
末とTiO2 粉末およびNd2 Ti2 7 粉末との混合
物等のガラス系のものや、BAO−TiO2 −Re2
3 −Bi2 3 系組成(Re:レアアース成分)に若干
のガラス形成成分やガラス粉末を添加したもの、酸化バ
リウム−酸化チタン−酸化ネオジウム系誘電体磁気組成
物粉末に若干のガラス粉末を添加したものがある。
【0035】一例として、MgO:18wt%−Al2
3 :37wt%−SiO2 :37wt%−B2 3
5wt%−TiO2 :3wt%なる組成のガラス粉末の
73wt%と、市販のTiO2 粉末の17wt%と、N
2 Ti2 O7粉末の10wt%を十分に混合し、混合
粉末を得た。なお、Nd2 Ti2 O7粉末は、Nd2
3 粉末とTiO2 粉末を1200℃で仮焼した後、粉砕
して得たものを使用した。次いで、この混合粉末に、ア
クリル系有機バインダー、可塑剤、トルエンおよびアル
コール系の溶剤を加え、アルミナ玉石で十分に混合して
スラリーとした。そして、このスラリーを用いて、ドク
ターブレード法により、0.2mm〜0.5mmの厚み
のグリーンシートを作製した。
【0036】次に、上記第1の実施例の場合は、銀ペー
ストを導体ペーストとして図1に示した導体パターンを
それぞれ印刷し、次いで、これら導体パターンが印刷さ
れたグリーンシートの厚みを調整するため必要なグリー
ンシートを重ねて図1の構造となるように重ね、積層し
た後、900℃で焼成した。
【0037】上記のように構成した積層型誘電体フィル
タ本体の両主面、すなわち誘電体層11の全裏面対応面
および誘電体層13の全表面対応図、並びに入力端子部
61、出力端子部62を除く側面に、図2に示すように
銀電極からなるアース電極70を印刷し、さらにアース
電極70から電気的に絶縁し、かつ入力用電極41、出
力用電極42に各別に電気的に接続する銀電極を入力端
子部61、出力端子部62内に入力端子51、出力端子
52として印刷し、印刷した電極を850℃で焼きつけ
て本実施例の積層型誘電体フィルタを形成した。
【0038】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。
【0039】図8は本発明の第2の実施例の模式展開
図、図9は本実施例の主要部の構成を示す平面図、図1
0は図9のX−X線断面図である。
【0040】上記第1の実施例においては、入力用電極
41と出力用電極42とを共振素子21、22の上側の
誘電体層12上にともに設けているが、本実施例におい
ては、入力用電極41は共振素子21、22の上側の誘
電体層15上に設け、出力用電極42は共振素子21、
22の下側の誘電体層14上に設けて、入力用電極41
の先端部411と出力用電極42の先端部421とを上
下方向に重ねている点が第1の実施例と異なるが、他の
構成は上記第1の実施例と同様である。
【0041】本実施例においても、入力用電極41の先
端部411と出力用電極42の先端部421とはその重
なり部分において容量結合して静電容量141を形成し
ているから、入力端子51および出力端子52間はこの
静電容量141で直接接続される。その結果、通過帯域
の両側に減衰ピークが形成されて減衰特性が改善され
る。
【0042】さらに、本実施例においては、入力用電極
41の先端部411と出力用電極42の先端部421と
を上下方向に重ねているから、第1の実施例に比較して
より大きい容量値を得ることができる。
【0043】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。
【0044】図11は本発明の第3の実施例の模式展開
図、図12は本実施例の主要部の構成を示す平面図、図
13は図12のX−X線断面図、図14は図12のY−
Y線断面図である。
【0045】上記第2の実施例においては、共振素子2
1、22の上側の誘電体層15上には入力用電極41の
みを設け、共振素子21、22の下側の誘電体層14上
には出力用電極42のみを設けているが、本実施例にお
いては、共振素子21、22の上側の誘電体層15上に
は入力用電極41に加えて内部アース電極81を設け、
共振素子21、22の下側の誘電体層14上には出力用
電極42に加えて内部アース電極82を設けている点が
第2の実施例と異なるが、他の構成は上記第2の実施例
と同様である。
【0046】内部アース電極81は共振素子21、22
の開放端側の一部に誘電体層15を挟んで重なり、その
端部はアース電極70と電気的に接続される。内部アー
ス電極82は共振素子21、22の開放端側の一部に誘
電体層11を挟んで重なり、その端部はアース電極70
と電気的に接続される。
【0047】共振素子21と内部アース電極81、82
との間には静電容量181、182がそれぞれ形成さ
れ、共振素子22と内部アース電極81、82との間に
は静電容量183、184がそれぞれ形成されている。
【0048】また、共振素子21および22の開放端と
電極31、32との間にはそれぞれ静電容量121およ
び122が形成されている。
【0049】そして、これらの静電容量121、12
2、181〜184が存在することによって、共振素子
21、22はインダクタンス131で結合されてコムラ
イン型のフィルタが構成されている。
【0050】図15には上記のようにして構成された本
実施例の積層型誘電体フィルタの等価回路を示す。
【0051】本実施例のように、内部アース電極81、
82を共振素子21、22の開放端側に追加することに
より、共振素子21、22の開放端側であって、内部ア
ース電極81、82と重なった部分はよりアースに近く
なり、アースとの結合が強くなるから、内部アース電極
81、82と重なった部分の共振素子21、22同士の
結合が弱くなる。従って、共振素子21、22同士の結
合は内部アース電極81、82と重ならない部分で主と
して行われるようになる。このことは、共振素子21、
22の結合電気長θが、実質的には内部アース電極8
1、82と重ならない部分の長さと等しくなることを意
味する。このように共振素子21、22の結合電気長θ
が短くなれば、共振素子21、22同士を結合する分布
定数素子のリアクタンスも小さくなるから、共振素子2
1、22同士がより強く結合するようになり、フィルタ
特性の広帯域化が図られるようになる。
【0052】また、電極31、32を設けているから共
振素子21、22とアースとの間には静電容量121、
122がそれぞれ加わっているが、さらに、内部アース
電極81、82を設けることにより、共振素子21、2
2と内部アース電極81、82との間には静電容量18
1および182、183および184がそれぞれ形成さ
れ、これらの静電容量も共振素子21、22とアースと
の間に付加されることになる。従って、図15に示す並
列共振回路の静電容量は共振素子21、22を等価交換
したときの静電容量211および221と、これらの付
加された静電容量181、182、183、184との
和からなる合成静電容量となって、共振周波数を同一と
すれば、並列共振回路のインダクタンスはより小さくて
済むことになる。従って、共振素子21、22の長さも
より短くなり、積層型誘電体フィルタの全体の長さも短
くなる。
【0053】このように内部アース電極81、82は非
常に有効な働きをするが、上述した特公昭62−190
81号に記載の構造では、入出力用電極と共振素子とは
同一平面内にあり、しかも共振素子の開放端側に入出力
用電極が設けられているから、入出力用電極は内部アー
ス電極81、82に挟まれて形成されることになって入
出力用電極と内部アース電極81、82との間に大きな
容量が形成され、フィルタのリップルが大きくなってし
まう。これを避けるには、入出力用電極と共振素子の間
の容量を大きくする必要があるが、その場合、同一平面
内にあるため、フィルタの占有面積が大きくなってしま
う。
【0054】
【発明の効果】本発明においては、入力端側共振素子と
第1のアース電極との間の誘電体中にその一部が入力端
側共振素子の一部と重なる入力用電極を設け、出力端側
共振素子と第1のアース電極との間の誘電体中または出
力端側共振素子と第2のアース電極との間の誘電体中に
その一部が出力端側共振素子の一部と重なる出力用電極
を設けているから、入出力端側共振素子と入出力用電極
とは同一平面内にはなく、従って、誘電体フィルタの占
有面積も大きくなることはなく、小型化に適した積層型
誘電体フィルタが得られる。
【0055】さらに、このように本発明においては、入
出力端側共振素子と入出力用電極とを同一平面内ではな
く重ねて設けているから、入出力用電極間の対向面積を
大きくして入出力用電極間の容量を大きくしても、誘電
体フィルタ自体の占有面積が大きくなることもない。特
に、入力用電極を入力端側共振素子と第1のアース電極
との間の誘電体中に設け、出力用電極を出力端側共振素
子と第2のアース電極との間の誘電体中に設けることに
より、入力用電極の一端部と出力用電極の一端部とを誘
電体層を挟んで重ねることができるから、この重なり部
分により大きい入出力用電極間の容量を得ることができ
る。
【0056】また、入出力端側共振素子と入出力用電極
との間の容量も入出力端側共振素子と入出力用電極との
間の平面上のギャップによって形成されるのではなく、
入出力端側共振素子と入出力用電極と重なり部分で形成
されるから大きい容量を得ることができ、回路設計の自
由度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の模式展開図である。
【図2】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の主要部の構成を示す平面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図6】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の変形例の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施例の積層型誘電体フィルタ
の変形例の構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の積層型誘電体フィルタ
の模式展開図である。
【図9】本発明の第2の実施例の積層型誘電体フィルタ
の主要部の構成を示す平面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例の積層型誘電体フィル
タの模式展開図である。
【図12】本発明の第3の実施例の積層型誘電体フィル
タの主要部の構成を示す平面図である。
【図13】図12のX−X線断面図である。
【図14】図12のY−Y線断面図である。
【図15】本発明の第3の実施例の積層型誘電体フィル
タの等価回路図である。
【図16】従来の高周波回路用バンドパスフィルタの構
造を説明するための平面図である。
【符号の説明】
11〜15…誘電体層 21、22…共振素子 31、32…電極 41…入力用電極 42…出力用電極 81、82…内部アース電極
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】従来、高周波回路用バンドパスフィルタ
の減衰特性を改善して狭帯域化させる構造としては図1
に示すような構造が提案されていた(特公昭62−1
9081号公報参照)。すなわち、互いに誘電結合され
た1/2波長マイクロストリップライン共振素子321
および322の一端部に近接してこれらの1/2波長マ
イクロストリップライン共振素子321および322と
それぞれ容量結合する入力用マイクロストリップライン
電極341および出力用マイクロストリップライン電極
342を設けるとともに、入力用マイクロストリップラ
イン電極341および出力用マイクロストリップライン
電極342同士も近接させてこれらを容量結合させるこ
とにより通過帯域の両側に減衰ピークを形成して減衰特
性を改善することが提案されていた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】このように内部アース電極81、82は非
常に有効な働きをするが、上述した特公昭62−190
81号に記載の構造では、入出力用電極と共振素子とは
同一平面内にあり、しかも共振素子の開放端側に入出力
用電極が設けられているから、入出力用電極は内部アー
ス電極81、82に挟まれて形成されることになって入
出力用電極と内部アース電極81、82との間に大きな
容量が形成され、フィルタのリップルが大きくなってし
まう。これを避けるには、入出力用電極と共振素子の間
の容量を大きくする必要があるが、その場合、同一平面
内にあるため、フィルタの占有面積が大きくなってしま
う。次に、本発明の第4の実施例について説明する。図
16は本発明の第4の実施例の模式展開図、図17は図
16のX−X線断面図である。上記第1の実施例におい
ては、入力用電極41と出力用電極42とは、入力用電
極41の先端部411と出力用電極42の先端部421
との対向部分において形成される静電容量141によっ
て容量結合されているが、本実施例においては、入力用
電極41と出力用電極42とは、誘電体層12上に積層
される誘電体層16上に設けられた容量結合用電極91
を介して容量結合されている点が第1の実施例と異なる
が、他の構成は上記第1の実施例と同様である。本実施
例においては、入力用電極41と容量結合用電極91と
は、誘電体層16を挟んでこれらの間に容量141aを
形成し、出力用電極42と容量結合用電極91とは、誘
電体層16を挟んでこれらの間に容量141bを形成し
ている。そして、入力用電極41と出力用電極42と
は、これらの容量141aおよび容量141bの合成静
電容量141によって容量結合されている。従って、本
実施例においても、入力端子51および出力端子52間
はこの静電容量141で直接接続され、その結果、通過
帯域の両側に減衰ピークが形成されて減衰特性が改善さ
れる。なお、本実施例の等価回路は図5に示した第1の
実施例の等価回路と同一である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】本発明の第4の実施例の積層型誘電体フィル
タの模式展開図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図17
【補正方法】追加
【補正内容】
【図17】図16のX−X線断面図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図18
【補正方法】追加
【補正内容】
【図18】従来の高周波回路用バンドパスフィルタの構
造を説明するための平面図である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 11〜16…誘電体層 21、22…共振素子 31、32…電極 41…入力用電極 42…出力用電極 81、82…内部アース電極91…容量結合用電極
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図17
【補正方法】追加
【補正内容】
【図17】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】追加
【補正内容】
【図18】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1のアース電極と、前記第1のアース電
    極と対向して設けられた第2のアース電極と、前記第1
    のアース電極と前記第2のアース電極との間に設けられ
    た誘電体と、前記誘電体中に設けられた入力端側共振素
    子と、前記誘電体中に前記入力端側共振素子と誘導結合
    して設けられた出力端側共振素子と、前記入力端側共振
    素子と前記第1のアース電極との間の前記誘電体中にそ
    の一部が前記入力端側共振素子の一部に重なって設けら
    れた入力用電極と、前記出力端側共振素子と前記第1の
    アース電極との間の前記誘電体中または前記出力端側共
    振素子と前記第2のアース電極との間の前記誘電体中に
    その一部が前記出力端側共振素子の一部に重なって設け
    られ前記入力用電極と容量結合する出力用電極とを有す
    ることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
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