JP2000223261A - カラーエレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法 - Google Patents

カラーエレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法

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JP2000223261A JP11018951A JP1895199A JP2000223261A JP 2000223261 A JP2000223261 A JP 2000223261A JP 11018951 A JP11018951 A JP 11018951A JP 1895199 A JP1895199 A JP 1895199A JP 2000223261 A JP2000223261 A JP 2000223261A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性試験時の基板の破損を防止する。 【解決手段】 フィルタ方式のカラーEL表示装置1
は、パネル部材3とフィルタ側部材4とを含む。パネル
部材3は、主基板5の一方面31に複数のEL素子33
を形成し、素子形成後に該一方面31にシール部7を形
成し、シール部形成後に主基板5の他方面37に凹部3
7を形成して、完成する。フィルタ側部材4は、対向基
板9の一方面51にフィルタ部8を形成して、完成す
る。2つの部材3,4完成後、主基板5の凹部37内に
フィルタ側部材4を固定し、凹部37の内表面とフィル
タ側部材4の側面との間に間隙に、可撓性がある充填層
53を介在させる。この結果充填層53は、信頼性試験
時に発生する応力を分散吸収するので、主基板5の破損
が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、エレクトロルミネ
ッセンス素子とカラーフィルタとが組合わされて構成さ
れるフィルタ方式のカラーエレクトロルミネッセンス表
示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス(Electrolum
inescence:以後「EL」と略称する)表示装置は、マト
リクス表示が可能な薄形の表示装置である。前記EL表
示装置は、概略的には、基板上に複数のEL素子が並べ
られて構成される。前記各EL素子は、一対の電極間に
EL発光層を介在させてそれぞれ構成され、前記EL表
示装置の画素として働く。前記一対の電極間に交流電圧
が印加された場合、前記EL発光層が電界発光(Electr
oluminescence)を起こし、この結果前記EL発光層か
ら光が放射される。
【0003】モノクロ表示が可能な従来のEL表示装置
として、いわゆる黄色モノクローム薄膜ELパネルが実
用化されている。前記従来のモノクロEL表示装置は、
一対の電極のうちの基板に近いほうの電極、すなわちい
わゆる下部電極が、透明な導電体材料からなる薄膜片で
あり、一対の電極のうちの基板から遠いほうの電極、す
なわちいわゆる上部電極、が金属材料からなり光を反射
可能な薄膜片であり、かつ、前記発光層がいわゆるZn
S:Mnからなる薄膜片である。この結果前記EL発光
層から放射された光は、前記下部電極および前記基板を
通過した後に、前記EL表示装置の外に放射される。
【0004】近年いわゆる情報産業の発達に伴い、カラ
ー表示が可能な薄形の表示装置の需要が高まっている。
このためカラー表示が可能なEL表示装置として、並置
方式、積層方式、二重基板方式、およびフィルタ方式の
カラーEL表示装置が開発されている。並置方式のカラ
ーEL表示装置は、発光層から放射された光の波長が相
互に異なる複数種類のEL素子を、基板表面に平行に、
並べて構成される。積層方式のカラーEL表示素子は、
発光層から放射された光の波長が相互に異なる複数種類
のEL素子を、基板表面に対して垂直な方向に、相互に
積層して構成される。二重基板方式のカラーEL表示装
置は、発光層から放射された光の波長が相互に異なる複
数種類のEL素子を、複数枚の基板表面にそれぞれ配置
し、かつ配置後の基板を重ね合わせて構成される。
【0005】フィルタ方式のカラーEL表示装置は、発
光層から放射された光の波長が相互に等しい1種類の複
数個のEL素子を、基板表面に平行に配置し、かつ該配
置後の基板と予め定める色の波長の光だけをそれぞれ通
過可能な複数種類のカラーフィルタとを組合わせて構成
される。各EL素子から放射される単一色の光は、該各
EL素子に対応して配置される各カラーフィルタによっ
てそれぞれ分光されるので、カラーEL表示装置全体と
して、複数種類の色の光を得る。フィルタ方式のカラー
EL表示装置は、全てのEL素子の発光層から放射され
る光の波長を相互に等しくすることができるため、該全
てのEL素子の発光層を相互に同じ構成にすることがで
きる。この結果前記フィルタ方式のカラーEL表示装置
は、他の方式のカラーEL表示装置よりも、EL素子の
製造プロセスが簡単である。これによって前記フィルタ
方式のカラーEL表示装置は製造しやすく、かつ該装置
の製造コストが他の方式のカラーEL表示装置の製造コ
ストよりも低くなる。ゆえに近年、カラーEL表示装置
に、フィルタ方式が採用されることが多い。
【0006】このようなフィルタ方式のカラーEL表示
装置は、EL素子とカラーフィルタとの間の間隙に起因
する視角依存性、すなわちいわゆる色ずれの発生が問題
点になっている。前記視角依存性の解消のために、従来
技術のフィルタ方式のカラーEL表示装置は、EL素子
とカラーフィルタの間に何も介在させず、かつ、該EL
素子と該カラーフィルタとをできるだけ接近させてい
る。
【0007】上述の構成の前記カラーEL表示装置は、
製造工程中に前記EL素子と前記カラーフィルタとの位
置合わせを行う際に、該EL素子と該カラーフィルタと
が接触して傷を生じることがある。また前記EL素子は
交流電圧印加時に該EL素子の厚さ方向に伸縮を繰返す
性質があるため、前記カラーEL表示装置の使用中に、
前記EL素子と前記カラーフィルタとが部分的に接触す
ることがある。これによって前記カラーEL表示装置
は、いわゆる絶縁破壊に起因する画素欠け、および電極
の断線破壊に起因する線状欠陥を生じさせることがあ
る。上述の2つの問題点を解決するために、本件出願人
は以下の構造のフィルタ方式のカラーEL表示装置を提
案している。
【0008】前記カラーEL表示装置は、透光性を有す
る第1基板の一方面に複数のEL素子を配置し、透光性
を有する第2基板の一方面にカラーフィルタを配置し、
かつ、該第1基板の他方面に形成された凹部に前記カラ
ーフィルタを介して該第2基板を貼付けて、構成され
る。また前記第1基板の凹部は、EL素子製造時には形
成されておらず、EL素子製造後、前記第2基板の貼付
けに先立ち、形成される。この結果前記第1基板の厚さ
は、EL素子製造時には予め定める基準厚さよりも厚
く、EL素子製造後に、基準厚さになるまで掘込まれ
る。このような構造のカラーEL表示装置は、該装置内
の前記第1基板および前記EL素子を含む部材の構造
が、従来のモノクロームEL表示装置の構造とほぼ同一
であるため、該モノクロームEL表示装置が備えている
特徴、すなわち長寿命、高速応答および広い動作温度範
囲を備えているので、信頼性が高くなっている。
【0009】上述の構造のカラーEL表示装置におい
て、該装置内の第1および第2基板の貼合わせ時点にお
ける前記第1基板内の凹部の厚さは、該第1基板の凹部
以外の部分、たとえば第1基板の周辺部の厚さよりも薄
い。このため前記カラーEL表示装置内の、前記第1基
板の凹部と第2基板の端部とが接する部分(以後「近接
部分」と称することがある)の機械的強度が、該装置内
の他の部分よりも弱くなっている。このため、カラーE
L表示装置の製造工程内の前記カラーフィルタ取付け後
の工程の実行中に、またはカラーEL表示装置完成後に
該装置が取扱われている最中に、前記第1基板の前記近
接部分に比較的大きな応力が加わる場合、該第1基板が
前記近接部分から割れやすい。このため本件出願人は、
前記接する部分の破損を防止するために、第1基板の凹
部と第2基板との間の堀状の間隙に比較的硬い樹脂を充
填している。前記樹脂はたとえばエポキシ樹脂である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述の構造のカラーE
L表示装置が、前記堀状の間隙に比較的硬い樹脂から形
成される樹脂層が設けられている構造である場合、前記
第1基板と樹脂層の熱膨張係数に差があることがある。
前記場合、前記樹脂層の形成工程中において、前記樹脂
が硬化する際に、樹脂層に体積収縮が起こることがあ
る。これらのことに起因し、前記カラーEL表示装置の
信頼性試験を行ったならば、該装置内の前記近接部分か
ら前記第1基板に亀裂が生じている。前記信頼性試験
は、カラーEL表示装置の重要な特徴である信頼性の高
さを確保するために必要不可欠の試験であり、具体的に
は、冷熱サイクル試験、振動試験、衝撃試験を含む。
【0011】また前記カラーEL表示装置の製造工程に
おいて、前記堀状の間隙に充填された樹脂が硬化して樹
脂層になる過程で、該樹脂の体積収縮に起因して、前記
第1基板に前記近接部分から亀裂が入り、この結果該装
置が破壊されることがある。このように前記構造のカラ
ーEL表示装置は、歩留まりが低下しやすい。さらにま
た前記カラーEL表示装置の製造工程において、前記樹
脂層の具体的な製造工程は、以下のとおりである。カラ
ーフィルタ取付け後、前記第1および第2基板の間隙の
周辺部が、たとえばマスキングテープを用いてマスクさ
れ、マスク完成後に前記間隙に樹脂が流込まれ、流込み
後に、流込まれた樹脂の表面をへらなどの工具によって
均し、かつ該樹脂の余剰分を除去する。さらに樹脂加工
後、樹脂が半乾きの状態になるまで、該状態になった時
点で前記マスキングテープを剥がし、該樹脂が完全に硬
化するまで待つ。以上の工程で前記樹脂層が形成される
ので、該樹脂層の形成に極めて手間がかかる。この結
果、このような構造のカラーEL表示装置の製造コスト
が他の構造のカラーEL表示装置よりも増加し、かつ単
位期間当たりのカラーEL表示装置の製造量が他の構造
のカラーEL表示装置よりも減少しやすい。
【0012】本発明の目的は、カラーEL表示装置の強
度を補強しつつ信頼性試験時の装置破壊を防止すること
ができ、かつ製造時の歩留まりを従来よりも向上させる
ことが可能な構造のカラーEL表示装置およびその製造
方法を提供することである。また本発明の目的は、前記
樹脂層の製造工程を簡略化することができる構造のカラ
ーEL表示装置を提供することである。さらにまた本発
明の目的は、製造コストを従来のカラーEL表示装置よ
りも低下させ、かつ大量生産が可能な構造のカラーEL
表示装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、透光性を
有し、かつ一方面に凹部が形成された第1基板と、前記
第1基板の他方面に配置される複数のエレクトロルミネ
ッセンス素子と、透光性を有し、かつ前記第1基板の凹
部の第1基板の一方面と平行な断面の面積よりも一方面
の面積が小さい第2基板と、前記第2基板の一方面と前
記第1基板の凹部の底面との間に配置され、予め定める
波長の光がそれぞれ通過可能な複数のカラーフィルタ
と、前記第1基板の凹部と前記第2基板との間の間隙を
埋める充填層とを含み、前記充填層は、可撓性のある材
料で形成されることを特徴とするカラーエレクトロルミ
ネッセンス表示装置である。
【0014】第1の発明に従えば、カラーEL表示装置
は上述の構成を有する。すなわち前記充填層は、カラー
EL表示装置の補強のためのものであり、かつ可撓性を
有する。この結果前記充填層は、前記カラーEL表示装
置の製造時および信頼性試験時に、第1基板内の第2基
板端部と近接する部分(以後「近接部分」と称すること
がある)における歪みを分散吸収することができるの
で、該近接部分に生じる応力の一局集中が未然に防止さ
れる。したがって前記充填層は、カラーEL表示装置を
補強しつつ、製造時および信頼性試験時における該装置
の破損を未然に防止することができる。したがって上述
の構成のカラーEL表示装置は、該装置を含む製品使用
時の該製品の信頼性を、従来技術の構成のカラーEL表
示装置よりも向上させることができる。
【0015】第2の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層は、前記第1基板よりも柔軟な弾性体であること
を特徴とする。
【0016】第2の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層の硬度が上述の範囲内から選ばれ
ている。これは以下の理由からである。前記第2の発明
のカラーEL表示装置が人の手で押された状況下で、該
装置に0kg/cm2 より大きく2kg/cm2 以下の
範囲内の力が加わることが、実験的に判明している。前
記範囲内の力が前記カラーEL表示装置に加えられる場
合、充填層の硬度が5以上50以下の硬度範囲の値であ
るならば、前記第1基板が割れることが防止される。ゆ
えに前記場合、充填層の硬度が上述の硬度範囲内の値で
あるならば、人がカラーEL表示装置を押すことに起因
する該装置内の第1基板の割れが、未然に防止される。
【0017】第3の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層の硬度は、5以上50以下に選ばれることを特徴
とする。
【0018】第3の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層が上述の構成になっている。すな
わち前記充填層の材料の硬度は第1基板の硬度よりも小
さいことが好ましい。この結果第3の発明のカラーEL
表示装置の製造時、信頼性試験時、および製品化後の取
扱い時に、比較的大きな応力が該表示装置の前記間隙に
加えられたために前記充填層が変形した場合、該充填層
は変形前の形状に容易に戻ることができ、かつ第1基板
が前記近接部分から割れることが防止される。これによ
って前記カラーEL表示装置の歩留りが向上し、かつ該
装置の製品化後の信頼性が向上する。
【0019】第4の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層の材料は、遮光性をさらに有することを特徴とす
る。
【0020】第4の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層が可撓性の他に遮光性をさらに有
する構成になっている。この結果前記第4の発明のカラ
ーEL表示装置において、前記第2基板の端面が遮光性
のある充填層で覆われるので、該端面から該第2基板内
部に外光が入込むことが防止される。これによって第2
基板の他方面、すなわち前記カラーEL表示装置の表示
面から外光が射出することが防止される。したがって前
記カラーEL表示装置の視認性が外光に起因して悪化す
ることが防止されるので、外光に起因する該表示装置の
表示品位の低下が防止される。またこの結果前記第4の
発明のカラーEL表示装置において、第2基板の端面が
遮光性のある充填層で覆われるので、前記EL素子から
の光が前記第2基板の端面で反射した後に該第2基板の
他方面から射出することが防止される。したがって前記
カラーEL表示装置の視認性が前記端面における反射光
および散乱光に起因して悪化することが防止されるの
で、該反射光および散乱光に起因する該表示装置の表示
品位の低下が防止される。
【0021】第5の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層の材料の熱分解温度は、前記カラーエレクトロル
ミネッセンス素子が発光する場合の前記カラーエレクト
ロルミネッセンス装置全体の温度よりも高いことを特徴
とする。
【0022】第5の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層の材料の熱分解温度が上述の温度
になっている。この結果前記第5の発明のカラーEL表
示装置において、該表示装置の駆動に伴う装置温度の変
化、および該表示装置の周囲の温度変化に伴う装置温度
の変化に伴い、前記充填層が変質および変形することが
防止される。したがって前記カラーEL表示装置は、装
置温度の変化に伴う該装置全体の強度の低下を、未然に
防止することができる。
【0023】第6の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層の材料は、シリコーンゴム系の樹脂を主成分とす
ることを特徴とする。
【0024】第6の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層がシリコーンゴム系の樹脂を主成
分とする材料で形成される。なお本明細書において、
「樹脂」とは、いわゆるゴムおよびいわゆるプラスチッ
クを含む概念であるとする。シリコーンゴム系の樹脂を
主成分とする材料は、一般的に、比較的広い温度範囲内
において性質が安定しており、かつ耐熱性、耐候性、耐
寒性、および耐薬品性に優れ、さらに衛生面において安
全性がある。この結果前述の材料によって形成された充
填層は、他の成分を主成分とする材料によって形成され
た充填層よりも、信頼性を長期にわたって向上すること
ができるので、充填層の性質の経年変化に伴いカラーE
L表示装置の信頼性が容易に損なわれることを、防止す
ることができる。またシリコーンゴム系の樹脂を主成分
とする材料によって充填層が形成される場合、前記カラ
ーEL表示装置の製造工程の作業性が、他の材料を用い
る場合よりも向上される。
【0025】第7の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層は、磁性物質をさらに含むことを特徴とする。
【0026】第7の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層が磁性物質をさらに含む構成にな
っている。この結果第7の発明のカラーEL表示装置の
製造時に、該装置を金属製の治具に容易に固定すること
ができるので、作業性が向上される。また前記カラーE
L表示装置の製品化のために、該表示装置の表示面の周
囲の部分、すなわち第2基板の他方面の周囲の部分に金
属製のフレームが取付けられる場合、該表示装置と該フ
レームとを容易に密着して固定することができる。この
結果前記カラーEL表示装置を含む製品において、該表
示装置とフレームとの間に隙間が空くことに起因する不
良を防止することができるので、該製品の歩留りが防止
される。
【0027】第8の発明のカラーEL表示装置は、前記
充填層の材料は、前記間隙に充填される前の時点におい
て流動性を有し、前記間隙に充填された後に硬化するこ
とを特徴とする。
【0028】第8の発明に従えば、該発明のカラーEL
表示装置は、第1の発明のカラーEL表示装置と同じ構
成を有し、かつ充填層の材料が、硬化前の状態におい
て、流動性を有する構成になっている。この結果第8の
発明のカラーEL表示装置の製造時に、前記間隙内に充
填された材料内に気泡が入ることが防止されるので、充
填層内に混入した気泡に起因する充填層の部分的な強度
劣化、すなわちいわゆる補強むらの発生を防止すること
ができる。また前記間隙内に前記材料が充填された後、
該材料の硬化前に該材料表面をへらでならした場合、該
表面を滑らかにすることが容易にできるので、該間隙内
の該材料の充填むらを容易に無くすことができる。これ
らの理由に基づき前記充填層は、前記カラーEL表示装
置を均一に補強することができる。
【0029】第9の発明は、透光性を有する平板状の第
1基板の一方面に、複数のエレクトロルミネッセンス素
子を形成する工程と、エレクトロルミネッセンス素子形
成後の第1基板の他方面に、凹部を形成する工程と、透
光性を有する第2基板の一方面に、予め定める波長の光
が通過可能な複数のカラーフィルタを形成する工程と、
前記第1基板の凹部の底面と第2基板とを、少なくとも
前記カラーフィルタを挟んで対向させた状態で組合わせ
る工程と、前記第1基板の凹部と前記第2基板との間の
間隙に、可撓性のある材料を充填する工程とを含むこと
を特徴とするカラーエレクトロルミネッセンス表示装置
の製造方法である。
【0030】第9の発明に従えば、前記製造方法で製造
されるカラーEL表示装置の構成は、第1の発明のカラ
ーEL表示装置の構成と等しい。前記製造方法におい
て、第1基板の凹部は、EL素子の形成後に形成され
る。この結果EL素子の形成工程中に、第1基板にそり
が生じることが防止される。また前記凹部が形成される
ことによって、完成したカラーEL表示装置内のEL素
子およびカラーフィルタとの間隔が、凹部がない場合よ
りも狭くなるので、該場合よりも視野角が広がる。さら
に充填層に可撓性があるので、第1の発明と同じ理由に
基づき、製造時および信頼性試験時における該装置の破
損を未然に防止することができる。したがって上述の製
造方法は、カラーEL表示装置の歩留りを従来技術の製
造方法よりも向上させ、かつ該装置を含む製品使用時の
該製品の信頼性を、従来技術の製造方法で製造されたカ
ラーEL表示装置よりも向上させることができる。
【0031】第10の発明のカラーEL表示装置の製造
方法は、前記充填層の材料は、前記間隙に充填される前
の時点において流動性を有し、前記間隙内の予め定める
位置に予め定める量だけ滴下され、前記間隙に充填され
た後に硬化することを特徴とする。
【0032】第10の発明に従えば、前記製造方法にお
いて、充填層の材料は上述の手順で前記間隙内に充填さ
れる。これらの結果前記第10の発明の製造方法におけ
る充填層の形成工程は、前記間隙の周囲の部分をマスク
する工程および前記間隙内に充填された材料をへらで均
す工程を省略することができるので、従来技術の充填層
の形成工程よりも、工程数が少なくなり、かつマスキン
グテープ等の使用を取りやめることができる。また前記
第10の発明の充填層の形成工程における前記材料の利
用効率は、従来技術の充填層の形成工程の前記材料の利
用効率よりも向上する。これらの結果第10の発明の製
造工程が用いられる場合、カラーEL表示装置の製造コ
ストが、従来技術のカラーEL表示装置の製造コストよ
りも抑えられる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態であるカラーEL表示装置の製造方法によって製造さ
れたカラーEL表示装置1の断面図である。図2は、カ
ラーEL表示装置1の平面図である。図3は、カラーE
L表示装置1の底面図である。図1〜図3を合わせて説
明する。
【0034】カラーEL表示装置(以後、「表示装置」
と略称することがある)1は、パネル部材3と、フィル
タ側部材4とを含む。パネル部材3は、主基板5、素子
部6、およびシール部7を含む。フィルタ側部材4は、
フィルタ部8および対向基板9を含む。素子部6は、複
数の下部電極11、1枚の下部絶縁層12、単一の発光
層13、1枚の上部絶縁層14、および複数の上部電極
15を含む。シール部7は、シール用基板17と、保護
物質層18とを含む。フィルタ部8は、1または複数の
赤用フィルタ21R、1または複数の緑用フィルタ21
G、および遮光フィルタ23を含む。本明細書では、赤
および緑用フィルタ21R,21Gを「色フィルタ2
1」と総称することがある。
【0035】主基板5は、透光性を有する絶縁性材料の
略板状の部材である。素子部6は、主基板5の一方面3
1上に配置される。各下部電極11および各上部電極1
5は帯状の膜片である。全下部電極11、下部絶縁層1
2、発光層13、上部絶縁層14、および全上部電極1
5は、主基板5の一方面31上に、この順で該一方面3
1に近いほうから順に積層されている。全ての下部電極
11は、主基板5の一方面31上に相互に平行に並べら
れており、かつ、各下部電極11は、隣にある他の下部
電極11との間に、予め定める幅の間隙をそれぞれあけ
ている。全ての上部電極15は、上部絶縁層14の表面
上に相互に平行に並べられており、かつ、各上部電極1
5は、隣にある他の上部電極15との間に、予め定める
幅の間隙をそれぞれあけている。各下部電極11の長手
方向と各上部電極15の長手方向とは、主基板5の一方
面31の法線方向32から見て、直交している。すなわ
ち素子部6の構造は、いわゆる単純マトリクス構造であ
る。
【0036】素子部6内で、各下部電極11と各上部電
極15とが法線方向32から見て交差する部分が、それ
ぞれEL素子33になる。この結果全てのEL素子33
は、主基板5の一方面31上に、行列状に配置される。
各EL素子33は、いわゆる二重絶縁構造の薄膜EL素
子である。主基板5の法線方向32から見て、全てのE
L素子33が配置されている領域を、画素領域34と称
する。
【0037】主基板5の他方面36には、凹部37が形
成されている。凹部37の内部空間はたとえば略直方体
であり、該凹部37の底面38は画素領域34を含む。
主基板5の画素領域34に相当する部分(以後「画素部
分」と称することがある)の厚さ、すなわち凹部37の
底面38の少なくとも一部分と主基板5の一方面31と
の間の厚さは、予め定める基準厚さWCである。主基板
5の周縁部は、主基板113の初期の厚さWDを保ち、
基準厚さWCよりも厚い。基準厚さWCは、一般的なカ
ラーEL表示装置内のEL素子が形成される基板の厚さ
よりも薄い。主基板5の凹部37は、後述するように、
素子部6とシール部7とが形成される間は形成されてお
らず、素子部6とシール部7とが形成された後に形成さ
れる。
【0038】シール用基板17の一方面41と主基板5
の一方面31とは対向し、かつ両基板17,5の一方面
41,31の周辺部は、シール用接着層42を介して貼
合わされている。シール用基板17の一方面41には、
凹部43が設けられている。シール用基板17の凹部4
3の内周面はたとえば直方体である。さらにシール用基
板17には、凹部43の内部空間に連通する注入孔44
が、設けられている。少なくとも注入孔44のシール用
基板17の他方面45側の端部は、封止部材46によっ
て封止されている。
【0039】保護物質層18は、シール用基板17と主
基板5との間の間隙、すなわちシール用基板17の凹部
43とシール用接着層42と主基板5とからなるシール
用セルの内部空間に、保護物質が充填されて形成され
る。前記保護物質は、たとえば絶縁性の液体で実現され
る。素子部6は、前記シール用セルの内部空間内に収納
されている。したがって前記保護物質は素子部6の表面
を覆っている。各下部および各上部電極11,15の端
部は、各下部および上部電極11,15の端子として、
シール部7の外に露出している。前記保護物質は、湿気
に弱いEL素子を保護する役割を担っている。
【0040】フィルタ側部材4の少なくとも一部分は、
主基板5の凹部37内に配置される。フィルタ部8は、
主基板5の凹部37の底面38と、対向基板9の一方面
51との間に挟まれている。赤および緑用フィルタ21
R,21Gは、赤および緑の波長の光だけがそれぞれ通
過可能な帯状の膜片である。各下部および各上部電極1
1,15のうちのいずれか一方は、各色フィルタ21
に、1対1でそれぞれ対応する。前記各色フィルタ21
は、主基板5の凹部37の底面38の、該各色フィルタ
21に対応する前記いずれか一方電極と主基板5を介し
て向かい合う位置に、透明接着層52を介してそれぞれ
配置される。この結果全ての色フィルタ21は、該色フ
ィルタ21の長手方向中心軸線の配列が全ての前記いず
れか一方電極の長手方向中心軸線の配列と等しくなるよ
うに、主基板5の凹部37の底面38上に配置され、か
つ色フィルタ21の長手方向は、前記いずれか一方電極
の長手方向と平行である。本実施の形態では、色フィル
タ21が上部電極15と同じ配列でかつ平行に配置され
るものとする。
【0041】遮光フィルタ23は、いわゆるブラックマ
スクであり、隣合う任意の2つの色フィルタ21の間の
領域およびフィルタ部8の周縁部に配置される。遮光フ
ィルタ23が設けられることによって、表示装置1のコ
ントラストが遮光フィルタ23を設けないカラーEL表
示装置よりも改善されるので、表示装置1の視認性が向
上される。
【0042】対向基板9の一方面51の面積は、主基板
5の凹部37の底面38の面積よりも狭い。フィルタ側
部材4は、主基板5の凹部37の底面38とフィルタ部
8との間に介在される透明接着層52によって、凹部3
7内に固定される。透明接着層52の硬度は、EL素子
33と色フィルタ21と相対位置のずれが防止可能な程
度に、選ばれる。この結果EL素子33と色フィルタ2
1との相対位置のずれが防止されるので、該ずれに起因
する表示品位の低下が防止される。さらに充填層53
が、主基板5の凹部37の内表面とフィルタ側部材4と
の間の間隙を埋めている。充填層53は、柔軟性がある
材料、すなわち可撓性がある材料で形成されている。充
填層53の詳細は後述する。
【0043】表示装置1を構成する上述の部品のうち、
少なくとも、主基板5、対向基板9、下部電極11、下
部絶縁層12、および透明接着層52は、透光性を有す
る。すなわち下部電極11は、透光性を有する導電性材
料からなる薄膜片で実現される。また上部電極15は、
導電性材料から形成されかつ光を反射可能な薄膜片で実
現されることが好ましく、かつ該材料の光の反射率がで
きるだけ高いことがさらに好ましい。このために上部電
極15は、たとえば金属材料で形成される。上部電極1
5が光を反射可能な場合、上記の5つの部品5,9,1
1,12,52に加えて、さらに上部絶縁層14が透光
性を有する。
【0044】いずれかの下部電極11といずれかの上部
電極15との間に交流電界が印加される場合、発光層1
3内の該下部電極11と該上部電極15との間に挟まれ
た部分が、電界発光によって光を放射する。本実施の形
態では、発光層13は、マンガン(Mn)が添加された
ZnS(以後「ZnS:Mn」と称する)で形成され
て、電界発光によって黄橙色の光を放射するとする。各
EL素子33内の発光層13から放射される光のうち下
部電極11側に放射される光は、従来のいわゆるモノク
ローム薄膜ELパネルと同様に、主基板5の他方面36
側、すなわち主基板5の凹部37の底面38から、パネ
ル部材3の外部に射出される。射出後、前記光は、2種
類の色フィルタ21のうちのいずれか一方をそれぞれ通
過することによって、赤または緑の光に分光される。ま
た発光層13から放射される光のうちの上部電極15側
に放射される光は、上部電極15によって反射された
後、EL素子33を通過し、色フィルタ21によって分
光されて、前記底面38から射出する。この結果表示装
置1は、対向基板9の他方面56を表示面とし、各EL
素子33と各色フィルタ21とが重なる部分を表示素子
とし、赤および緑の色フィルタ21R,21Gをそれぞ
れ含み隣合う2つの表示素子が、1つの画素を構成す
る。このような構成によって表示装置1は、いわゆる多
色発光を呈する。
【0045】カラーEL表示装置1の充填層53につい
て、以下に説明する。充填層53は、基本的には、表示
装置1の補強のためおよび表示装置1の見栄えを良くす
るために、前述したように、主基板5の凹部37とフィ
ルタ側部材4との間の間隙61を埋めている。本実施の
形態では、主基板5の凹部37を主基板5の一方面31
と平行な仮想平面で切断した場合の該凹部37の断面の
面積は、画素領域34よりも広くなっている。具体的に
は、主基板5の凹部37の前記断面の端から画素領域3
4の端までの幅は、5mm以上10mm以下になってい
る。かつ本実施の形態では、フィルタ側部材4は、主基
板5の凹部37の中央部に配置されている。これらの結
果、主基板5の凹部37の内表面とフィルタ側部材4と
の間の間隙61は、フィルタ側部材4を取囲む枠状の溝
になっている。このために本実施の形態では、充填層5
3は、主基板5の凹部37の内周面54とフィルタ側部
材4の側面55との間に介在される。以後の説明では、
主基板5の凹部37の内表面とフィルタ側部材4との間
の枠状の間隙61を、「枠状溝61」と称することがあ
る。
【0046】充填層53は、概略的には、可撓性のある
材料で形成される。本明細書では、充填層53の可撓性
のパラメータの1つとして、充填層の弾性を規定するた
めの硬度を用いる。前記硬度はJIS Aで定義される
ものである。充填層53の硬度は、好ましくは、5以上
かつ50以下の硬度範囲内から選ばれることが好まし
い。充填層53が上述の材料で形成されるのは、以下の
理由からである。
【0047】従来技術で説明したカラーEL表示装置
(以後「従来構造のカラーEL表示装置」と称すること
がある)は、図1のカラーEL表示装置1と比較して、
充填層が比較的硬い材料、すなわち図1の充填層53よ
りも硬い材料で形成された点だけが異なり、他は等し
い。従来構造のカラーEL表示装置は、主基板内のフィ
ルタ側部材の端と接する部分(以後「近接部分」と称す
ることがある)に、亀裂が生じ易い。なお本明細書で
は、前記従来構造のカラーEL表示装置の説明におい
て、図1のカラーEL表示装置1内の部品と同じ構成の
部品には、図1の表示装置1と同じ名称を用いかつ同じ
参照符を付す。図1のカラーEL表示装置1の断面にお
いて、該表示装置1の主基板5の近接部分62およびそ
の近傍の部分を、2点破線の丸で囲んでいる。従来構造
のカラーEL表示装置において、前記亀裂の原因は、主
基板5と充填層との熱膨張係数の差に起因して該表示装
置の信頼性試験時に主基板5に生じる歪み、および、前
記充填層が該表示装置に加えられる外的要因に起因して
体積収縮するために主基板5に生じる歪みである。主基
板5の近接部分62は、表示装置の構造上、上述の歪み
に起因する応力が集中しやすく、かつ該部分62の厚み
が比較的薄いので、該歪みによって破損しやすい。
【0048】本実施の形態のカラーEL表示装置1は、
充填層53に可撓性があるので、主基板5の近接部分6
2における上述の歪みを、分散吸収することができる。
この結果前記歪みに起因する応力が主基板5の近接部分
62に一局集中することを防止することができるので、
該近接部分62に亀裂が入ることを未然に防止すること
ができる。この結果、上述の歪みに起因するカラーEL
表示装置1の破壊を防止することができるので、該表示
装置の信頼性を高めることができる。以上の理由に基づ
き充填層53に可撓性があることが好ましいのである。
【0049】充填層53は、好ましくは、主基板5より
も柔軟な弾性体で形成される。すなわち充填層53の硬
度は、理論的には、主基板5の硬度よりも小さく、かつ
充填層53として許容可能な最小の硬度以上であること
が好ましい。これは以下の理由からである。前記従来技
術のカラーEL表示装置の取扱い時に比較的大きな応力
が該表示装置の枠状溝61に加えられたために充填層が
変形した場合、充填層が主基板5よりも硬い弾性体であ
るならば、充填層の歪みに起因する応力が主基板5の近
接部分62に集中するので、近接部分62に割れ目が生
じる。本実施の形態のカラーEL表示装置1の取扱い時
に比較的大きな応力が該表示装置1の枠状溝61に加え
られたために充填層53が変形した場合、充填層53が
主基板5よりも柔軟な弾性体であるならば、該充填層5
3は変形前の形状に容易に戻ることができる。かつ前記
場合、充填層53が変形前の形状に戻る際に、充填層5
3が主基板5よりも柔軟な弾性体であるならば、主基板
5の近接部分62に応力が集中しないので、主基板5が
近接部分62から割れることが防止される。これらの結
果カラーEL表示装置の信頼性が向上される。ゆえに充
填層53は、上述の条件を満たすことが好ましいのであ
る。
【0050】また本実施の形態のカラーEL表示装置1
は、充填層53に可撓性があるので、表示装置1の製造
工程内の充填層53の形成工程におけるパネル部材3の
歩留りを、従来技術のカラーEL表示装置の製造工程内
の充填層の形成工程におけるパネル部材3の歩留りより
も、向上させることができる。これは以下の理由からで
ある。従来技術のカラーEL表示装置の製造工程内の充
填層の形成工程では、主基板5の近接部分62が破損す
る確率が高いので、歩留りが悪い。これは、充填層の厚
みが1mm程度であって該表示装置内の部品のうちでは
比較的厚く、かつ主基板5の近接部分62が該充填層に
比べて極めて薄いので、該充填層形成に起因して該近接
部分62へ外部から加わる応力が一局集中しやすいため
である。
【0051】本実施の形態のカラーEL表示装置1の製
造工程内の充填層53の製造工程では、充填層53に可
撓性があるので、上述の理由に基づき主基板5の近接部
分62に加わる応力が充填層53に分散吸収されるた
め、該近接部分62に破損が生じにくい。この結果、本
実施の形態のカラーEL表示装置1は、表示装置1の製
造工程内の充填層53の形成工程におけるパネル部材3
の歩留りを、従来技術のカラーEL表示装置の製造工程
内の充填層の形成工程におけるパネル部材3の歩留りよ
りも、向上させることができるのである。なお、前記製
造工程内の透明樹脂層52の製造工程では、透明樹脂層
52の厚みが0.02mm以上0.05mm以下である
のでカラーEL表示装置の部品のうちでは比較的薄く、
かつ該表示装置の部品のうちでは比較的厚い部品である
対向基板9とパネル部材3とが張り合わされるので、従
来技術および本実施の形態のどちらであっても、主基板
5の近接部分62は破損しにくい。
【0052】さらにまた充填層53が主基板5よりも柔
軟な弾性体である場合、本実施の形態のカラーEL表示
装置1は、表示装置1の製造工程内の充填層53の形成
工程におけるパネル部材3の歩留りをさらに向上させる
ことができる。これは以下の理由からである。充填層5
3が主基板5よりも硬い弾性体である場合、前記形成工
程において充填層53の材料となる充填剤が硬化する際
に、該充填剤の硬化に起因する応力が該近接部分62に
集中するので、主基板5が近接部分から破損することが
多い。充填層53が主基板5よりも柔軟な弾性体である
場合、前記形成工程において充填層53の材料となる充
填剤が硬化する際に、主基板5の近接部分62の亀裂の
原因となる応力が分散されるので、パネル部材3の破壊
が抑えられる。ゆえに本実施の形態のカラーEL表示装
置1は、充填層53の形成工程におけるパネル部材3の
歩留りをさらに向上させることができるのである。
【0053】充填層53の材料は、可撓性の他に、遮光
性をさらに有することが好ましい。これは以下の2つの
理由からである。対向基板9は透光性を有し、かつ対向
基板9の端面66は枠状溝61の内表面の一部分になっ
ている。充填層53が遮光性を有しない場合、外光が、
充填層53を通過して、対向基板9の端面66から対向
基板9の内部に入込み、対向基板9の他方面67、すな
わちカラーEL表示装置1の表示面から装置1外部に射
出することがある。前記外光は、EL素子33の発光層
13におけるEL発光以外の光である。このように外光
が表示装置1の表示面から射出するならば、該表示装置
1内の表示画素のうち、該表示画素内のEL素子33が
発光していない表示画素が、若干光って見える。この結
果、充填層53が遮光性を有しない場合、表示画素の実
際のコントラスト比が、設計上のコントラスト比よりも
低下しやすい。表示画素のコントラスト比は、該表示画
素内のEL素子33が発光している状態における該表示
画素の輝度と、該EL素子33が発光していない状態に
おける該表示画素の輝度との比率である。
【0054】充填層53が遮光性を有する場合、対向基
板9の端面から対向基板9内部に外光が入込むことが防
止される。この結果、外光が表示装置1の表示面から射
出することが防止されるので、表示装置1の実際のコン
トラスト比が外光に起因して低下することが防止され
る。ゆえに前記場合、前記外光に起因して、表示装置1
の表示面に表示される画像の視認性が悪化することが防
止される。これによって、外光に起因する表示装置1の
表示品位の低下が防止される。
【0055】また充填層53の材料は、可撓性の他に、
光吸収性をさらに有することが好ましい。これは以下の
理由からである。EL素子33からの光は、対向基板9
の一方面51から対向基板9内に入射した後、対向基板
9の他方面67からそのまま射出するだけでなく、対向
基板9の端面66で反射してから他方面67から射出す
ることがある。このようにEL素子33からの光の一部
は、対向基板9の端面66における反射光および散乱光
となる。充填層53が遮光性を有しない場合、端面66
における反射光および散乱光のために、表示装置1の表
示面の少なくとも一部分または全体が、ぼんやりと光
る。これによって、表示装置1の実際のコントラスト比
は、設計上のコントラスト比よりも低下する。
【0056】充填層53が遮光性を有する場合、充填層
53が対向基板9の端面66における反射光および散乱
光を吸収するので、EL素子33からの光が該端面66
で反射した後に対向基板90の他方面67から射出する
ことが防止される。この結果、表示装置1の実際のコン
トラスト比が前記反射光および散乱光に起因して低下す
ることが防止される。ゆえに前記場合、前記反射光およ
び散乱光に起因して、表示装置1の表示面に表示される
画像の視認性が悪化することが防止される。これによっ
て、前記反射光および散乱光起因する表示装置1の表示
品位の低下が防止される。以上の2つの理由に基づき、
充填層53は遮光性を有することが好ましいのである。
【0057】一般的に、製品化されるカラーEL表示装
置1は、コントラスト比を100:1と保証している。
このために表示装置1の充填層53の遮光率は最低限9
9%以上である必要がある。充填層53の遮光率が0%
以上99%未満の値である場合、EL素子33からの光
が表示装置1の周辺部、すなわち対向基板9の端面およ
びその近傍から漏れるので、表示装置1の使用が困難な
程度に該装置1のコントラストが悪化して、表示品位が
悪くなる。ゆえに充填層53の遮光率の最適値は100
%であり、100%に限りなく近いほど好ましい。
【0058】また充填層53の材料の熱分解温度は、カ
ラーEL表示装置1が駆動している時点の装置の温度よ
りも高いことが好ましい。すなわち充填層53の材料の
熱分解温度は、表示装置1の駆動時の装置温度よりも大
きく、かつ充填層の材料の熱分解温度として許容され得
る最大温度以下であることが好ましい。これは以下の理
由からである。
【0059】カラーEL表示装置1の駆動時において、
EL素子33は発光に伴い発熱することがあるので、該
駆動時に表示装置1の装置温度は休止時よりも高くな
る。また表示装置1の装置温度は、表示装置1の周辺の
温度に伴い上昇することがある。これらの理由に基づ
き、前記駆動時のカラーEL表示装置の装置温度は、休
止時のカラーEL表示装置の装置温度よりも高くなる。
充填層53の材料の熱分解温度が駆動時の表示装置1の
装置温度よりも高い場合、表示装置1の駆動時に充填層
53が熱分解および変質することが防止される。この結
果、前記駆動時に、充填層53を形成する材料が枠状溝
から画素領域34内に溶出すことが防止される。また前
記場合、表示装置1の駆動時に充填層53が変形するこ
とが防止されるので、該変形に伴い表示装置1の強度が
低下することが防止される。ゆえに充填層53の材料の
熱分解温度は上述の条件を満たすことが好ましいのであ
る。
【0060】カラーEL表示装置1は、EL素子33の
発熱に伴い、一般的に、該表示装置1の周辺温度よりも
約50℃高くなることが、知られている。またカラーE
L表示装置1の駆動保証温度は、おおよそ−20℃以上
70℃以下である。これらに基づき、表示装置1の駆動
時の装置温度の最大値は、120℃になる。ゆえに充填
層53の材料の熱分解温度は、たとえば120℃以上で
あることが好ましい。また充填層の材料の熱分解温度が
該材料の硬化条件温度と等しい場合、充填層の形成のた
めの装置を安価に入手することができることが知られて
いる。充填層53の材料の熱分解温度の上限値は、熱分
解温度が硬化条件温度と等しい充填層の材料の該温度の
最大値であることが好ましい。熱分解温度が硬化条件温
度と等しい充填層の材料の該温度の最大値は250℃で
ある。ゆえに充填層53の材料の熱分解温度は、120
℃以上250℃以下の温度であることが、より好まし
い。表示装置1の安全係数が1.5に選ばれる場合、充
填層53の材料の熱分解温度の最適値は、180℃であ
る。
【0061】また充填層53の材料となる充填剤は、シ
リコーンゴム系の樹脂を主成分とすることが好ましい。
これは以下の理由からである。なお本明細書において、
「樹脂」とは、いわゆるゴムおよびいわゆるプラスチッ
クを含む概念であるとする。シリコーンゴムは、一般的
に、比較的広い温度範囲内において安定であり、耐熱
性、耐候性、耐寒性、および耐薬品性に優れ、かつ衛生
面において安全性がある。ゆえにシリコーンゴム系の樹
脂を主成分とする充填剤から充填層53を形成した場
合、充填層53の長期信頼性を他の成分を主成分とする
充填剤が用いられた場合よりも向上させることができる
ので、表示装置1の信頼性の経年劣化を防止することが
できる。またカラーEL表示装置1の製造工程におい
て、充填剤充填後のカラーEL表示装置1が、化学薬
品、たとえば有機溶媒で洗浄されるならば、洗浄時に充
填層53が溶け出さない。ゆえに充填剤がシリコーンゴ
ム系の樹脂を主成分とするならば、該製造工程の作業性
を、他の充填剤を用いる場合よりも向上させることがで
きる。以上がカラーEL表示装置1の充填層53の具体
的構成の説明である。
【0062】主基板5の画素領域34に相当する部分の
厚さ、すなわち基準厚さWCは、概略的にはできるだけ
薄いことが好ましい。これは、表示装置1は、主基板5
が各EL素子33と各色フィルタ21との間に配置され
るため、主基板5の画素部分の厚さ、すなわち基準厚さ
WCが厚くなるほど、表示装置1の視野角が狭くなるか
らである。表示装置1の視野角を実用上充分な大きさに
するためには、基準厚さWCは0.05mm以上0.2
mm以下であればよいことが分かっている。基準厚さW
Cと視野角とが上述の関係になるのは、以下の理由から
である。
【0063】各EL素子33から放射される光は、該各
EL素子33に主基板5を介して対向する各色フィルタ
21によって、赤および緑の波長の光に分離される。こ
の際主基板5の前記画素部分の厚さWCが厚くなるほ
ど,各EL素子33と該EL素子に対向するべき色フィ
ルタ21との距離が広がる。観察者が表示装置1を主基
板5の法線方向32から傾いた方向から見た場合、前記
距離が広がるほど、各色フィルタ21と対向するべきE
L素子33とは異なるEL素子33が該各色フィルタ2
1と重なって見える現象が増える。これによって表示装
置1の全ての画素のうちの本来赤であるべき画素が緑に
見えること、および該全ての画素のうちの本来光るべき
画素が光らないことがおこるので、いわゆる色ずれが生
じる。この結果表示装置1の表示品位が悪化する。前記
色ずれは、前記距離が同じならば、観察者の視線と主基
板5の法線方向32のなす角度が大きいほど起こり易
い。以上のことによって、主基板5の前記画素部分の厚
さWCが厚くなるほど、表示装置1の視野角は狭くなる
のである。以上が視野角と主基板5の画素部分の厚さW
Cとの関係である。このような関係に基づき、前記視野
角をできるだけ広くする観点からすると、主基板5の画
素部分の厚さWCはできるだけ薄いことが好ましいので
ある。
【0064】カラーEL表示装置31の製造方法を以下
に説明する。以下の説明において、表示装置1を構成す
る部品の具体的な材質および寸法ならびに具体的な製造
手法は例示であり、以下に述べるものに限らず他のもの
でもよい。
【0065】本実施の形態では、主基板5は、たとえば
ガラス基板によって実現される。本実施の形態では、主
基板5は、日本電気硝子(株)製のOA−2(商品名)
であり、主基板5の初期厚さWDは1.1mmであると
する。主基板5が準備された時点で、主基板5に凹部3
7は形成されていない。
【0066】最初に透光性を有する導電性材料の薄膜
が、主基板5の一方面31に成膜され、該薄膜が予め定
める形状に加工される。この結果全ての下部電極11
が、主基板5の一方面31に形成される。本実施の形態
では、前記導電性材料はITO(Indium-tin-Oxide:イ
ンジウム−錫酸化物)であり、前記薄膜の膜厚は、50
nm以上500nm以下であり、前記薄膜の形成手法に
は、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、またはスプレー法
が用いられ、前記薄膜はいわゆるフォトエッチング加工
によって、ストライプ状に加工されるとする。
【0067】下部電極形成後、透光性を有する絶縁性材
料からなる薄膜が、下部絶縁層12として、全ての下部
電極11の表面上および主基板5の一方面31の露出し
た部分の表面上に成膜される。本実施の形態では、下部
絶縁層12は、第1および第2絶縁層が積層されて構成
されるとする。また本実施の形態では、第1および第2
絶縁層をそれぞれ形成する絶縁性材料はSiO2 および
Si34 であり、下部絶縁層12の膜厚は200nm
以上500nm以下であり、下部絶縁層12の形成手法
にはスパッタ法が用いられるとする。また、少なくとも
各下部電極11の端部は、下部絶縁層12に覆われず、
各下部電極11の端子になる。
【0068】下部絶縁層形成後、発光層13が下部絶縁
層12上に形成される。本実施の形態では、発光層形成
のために、下部絶縁層形成後の主基板5の温度が200
℃以上300℃以下の温度に保持された状態で、Zn
S:Mnペレットを蒸発源として、電子ビーム蒸着法を
用いた成膜が行われるとする。この結果発光層13が下
部絶縁層12の上に形成される。また本実施の形態で
は、ZnS:MnペレットはZnSに0.2wt%以上
0.6wt%以下のマンガン(Mn)を添加したもので
あり、発光層13の膜厚は400nm以上900nm以
下であるとする。
【0069】発光層形成後、絶縁性材料から成る薄膜
が、上部絶縁層14として、発光層13の上に成膜され
る。本実施の形態では、上部絶縁層14の構成、膜厚、
材質および形成手法は、たとえば下部絶縁層12と比較
して、第1および第2絶縁層の積層順が逆になっている
ことだけが異なり、他は等しいとする。上部絶縁層14
形成後、電子ビーム蒸着法を用いて形成された発光層1
3の結晶性を改善するために、上部絶縁層形成後の主基
板5全体に、真空中で熱処理が施される。本実施の形態
では、前記熱処理の加熱温度は、450℃以上650℃
以下であり、前記熱処理の加熱時間は、1時間以上6時
間以下であるとする。
【0070】熱処理後、導電性材料からなる薄膜が、上
部絶縁層14の表面と主基板5の一方面31の露出する
部分とを覆って成膜され、該薄膜が予め定める形状に加
工される。この結果全ての上部電極15が、上部絶縁層
14の上に、形成される。本実施の形態では、上部電極
15は、第1および第2導電層が積層されて構成される
とする。また本実施の形態では、第1および第2導電層
をそれぞれ形成する導電層材料はニッケル(Ni)およ
びアルミニウム(Al)である。また本実施の形態で
は、上部電極15の膜厚は100nm以上800nm以
下であり、かつ前記導電性材料の薄膜はいわゆるフォト
エッチング工程によってストライプ状に加工されるとす
る。さらにまた各上部電極15は、上部絶縁層14の端
を越えて基板5の一方面31上に伸びている。各上部電
極15の基板5上の部分が、各上部電極15の端子にな
る。下部電極11の形成から上部電極15の形成までの
工程によって、主基板5の一方面31上に、素子部6が
形成される。
【0071】上述の素子部6の形成工程と平行して、あ
るいは前記形成工程後または前に、シール用基板17の
一方面41に、凹部43が形成される。本実施の形態で
は、シール用基板17はガラスからなり、シール用基板
17の加工前の板厚WAは1.8mmであり、凹部43
の深さは0.7mmであり、前記凹部43の形成のため
にシール用基板17の一方面41に砥石を用いた掘込み
加工が施されるとする。シール用基板17の一方面41
の周縁部は、シール用基板17を主基板5に貼合わせる
際の貼合わせ用枠として、前記掘込み加工も枠状に残さ
れている。次いで、シール用基板17に、注入孔44が
設けられる。
【0072】凹部形成後、素子部形成後の主基板5の一
方面31とシール用基板17の一方面41とが対向させ
られ、主基板5およびシール用基板17の一方面31,
41の周縁部が、接着用のシール樹脂を用いて接着され
る。本実施の形態では、前記接着剤はエポキシ樹脂であ
るとする。前記シール樹脂は硬化後にシール用接着層4
2になる。この結果、主基板5とシール用基板17とシ
ール用接着層42とによって素子部6が囲まれた構成の
シール用セルが完成する。素子部6は、主基板5とシー
ル用基板17との間の間隙部分内、すなわち前記シール
用セルの内部空間内に配置される。各下部電極11の端
子および各上部電極15の端子は前記シール用セルの内
部空間外に露出している。注入孔44は前記シール用セ
ルの内部空間と連通している。
【0073】基板接着後、前記シール用セルの内部空間
内に保護物質が充填され、注入孔44が封止される。こ
の結果保護物質層18が完成する。本実施の形態では、
保護物質層18は以下の手順で形成されるとする。基板
接着後、前記シール用セルの内部空間内の空気が排気さ
れて、前記内部空間内が真空になる。次いで少なくとも
シール用セルの注入孔44が、チャンバ内に準備された
槽に蓄えられた保護物質液に浸され、さらに前記チャン
バ内が窒素(N2 )で満たされる。この結果前記保護物
質液が、前記シール用セルの内部空間内に充填される。
前記保護物質液が前記内部空間を満たした後、注入孔4
4が封止部材46によって密閉される。封止部材46
は、本実施の形態では、接着剤によってシール用基板に
接着され、該接着剤はたとえばエポキシ樹脂であるとす
る。以上が本実施の形態における保護物質層18の形成
工程である。また本実施の形態では、前記保護物質液は
シリカゲルとシリコンオイルとを混合したものであり、
保護物質液内のシリカゲルの重量比は25wt%であ
る。シール用基板17の加工から注入孔44の密閉まで
の工程によって、シール部7が完成する。
【0074】シール部完成後、主基板5の他方面に凹部
37が形成される。本実施の形態では、凹部37は以下
の手順で形成されるとする。シール部完成後、シール部
7の外側表面と、主基板5の一方面31内の各下部およ
び上部電極11,15の端子が形成された部分と、主基
板5の他方面36の周縁部とが、耐エッチング用のレジ
ストによって覆われる。レジスト膜形成後、主基板5の
他方面36がフッ酸を主成分としたエッチャントを用い
た湿式のエッチング法を用いて、エッチングされる。こ
の結果、主基板5の他方面36に、凹部37が形成され
る。以上が本実施の形態における凹部37の形成工程で
ある。
【0075】主基板5の凹部37の底面と主基板5の一
方面31との間の厚み、すなわち主基板5の画素部分の
厚みは、基準厚さWCである。主基板5の他方面36の
周縁部は、前記凹部形成後も、枠状に残されている。本
実施の形態では、基準厚さWCは0.1mmであるとす
る。すなわち凹部37の深さは1.0mである。以上の
処理によってパネル部材3が完成する。
【0076】上述のパネル部材3の形成工程と平行し
て、あるいは前記形成工程後または前に、対向基板9の
一方面51に、フィルタ部8が形成される。本実施の形
態では、色フィルタ21の材料は、概略的には、顔料が
分散された樹脂材料であるとする。具体的には、赤用フ
ィルタ21Rは、感光性を有しかつ赤色の顔料が分散さ
れた樹脂材料で形成され、緑用フィルタ21Gは、感光
性を有しかつ緑色の顔料が分散された樹脂材料で形成さ
れる。実際には、赤用フィルタ21Rは、富士フィルム
オーリン製のCR−7001(商品名)で実現され、緑
用フィルタ21Gは、富士フィルムオーリン製のCG−
7001(商品名)で実現される。
【0077】本実施の形態では、フィルタ部8は以下の
手順で形成されるとする。最初に、2種類の色フィルタ
21R,21Gのうちのいずれか一方を形成するべき上
述の顔料分散済の樹脂材料からなる薄膜が、対向基板9
の一方面51上に成膜される。成膜後、前記薄膜が、フ
ォトリソグラフィ技術を用いて、相互に平行なストライ
プ状の複数の第1の膜片が残るように、加工される。こ
の際、前記薄膜内の前記各第1膜片として残される部分
は、対向基板9の一方面51内の前記いずれか一方の複
数の各色フィルタ21が覆うべき領域上にある該薄膜の
一部分、および該一方面51内の遮光フィルタ23が覆
うべき領域の上にある部分である。
【0078】形成後、2種類の色フィルタ21R,21
Gのうちのいずれか他方を形成するべき顔料分散済の樹
脂材料からなる薄膜が、前記膜片形成後の対向基板9の
一方面51上に形成され、かつ該薄膜が、フォトリソグ
ラフィ技術を用いて、相互に平行なストライプ状の複数
の第2膜片が残るように加工される。この際、前記薄膜
内の前記各第2膜片として残される部分は、対向基板9
の一方面51内の前記いずれか他方の複数の各色フィル
タ21が覆うべき領域の上にある該薄膜の一部分、およ
び該一方面51内の遮光フィルタ23が覆うべき領域の
上にある該薄膜の一部分である。この結果前記第1およ
び第2膜片は、対向基板9の一方面51内の遮光フィル
タ23が覆うべき領域上で、相互に重なる。この結果前
記第1および第2膜片の重合わされた部分が、遮光フィ
ルタ23になる。以上が本実施の形態におけるフィルタ
部8の形成工程である。この結果フィルタ側部材4が完
成する。
【0079】上述の2つの部材3,4の完成後、パネル
部材3とフィルタ側部材4とが、対向基板9の一方面5
1がフィルタ部8を介して主基板5の凹部37の底面3
8と対向し、かつ各EL素子33と各色フィルタ21と
が主基板5の前記画素部分を介してそれぞれ対向するよ
うに、位置合わせされる。位置合わせ後、フィルタ側部
材44のフィルタ部8が、主基板5の凹部37の底面3
8に、上述の位置合わせ時点の位置関係を保ったまま、
透光性を有する接着剤を用いて接着される。前記接着剤
は硬化後に透明接着層52になる。接着剤硬化後、主基
板5の凹部37の内周面54とフィルタ側部材4の側面
55との間の空間が、枠状溝61として残る。ゆえに接
着剤硬化後、枠状溝61に予め定める充填剤が充填され
る。充填剤の充填手順は後述する。前記充填剤は硬化後
に充填層53になる。以上の工程によって表示装置1が
完成する。以上が表示装置1の製造工程の説明である。
【0080】本実施の形態では、前記充填剤として、東
芝シリコーン株式会社製のTSE389のブラックタイ
プ(商品名)が用いられる。TSE389のブラックタ
イプは、シリコーンゴム系の樹脂を主成分とする充填剤
のうちのいわゆる低粘度タイプのものであり、硬化後の
充填剤が柔軟な弾性体になる。またTSE389のブラ
ックタイプは、遮光性および光吸収性を備えている。具
体的には、TSE389のブラックタイプの硬化前の粘
度は、5500cPである。またTSE389のブラッ
クタイプで形成された充填層の遮光率は、100%未満
でかつ100%に極めて近い値である。
【0081】TSE389のブラックタイプで形成され
た充填層の遮光率は、以下の手順で計測された。前記遮
光率の計測のために、ガラス板が用意され、該ガラス板
上にTSE389が予め定める滴下量だけ滴下され、か
つ滴下後のTSE389が硬化された。前記ガラス板は
日本電気硝子株式会社製のOA−2(商品名)であり、
該ガラス板の厚さが1.1mmであり、該ガラス板は5
mm角、すなわち該板の表面積が5mm×5mmであ
る。TSE389の滴下量は、滴下後のTSE389の
厚みが1mmになるように定められ、本測定では0.2
5mlである。
【0082】TSE389硬化後、前記TSE389か
らなる薄膜が形成されたガラス板の透過率が計測され、
該透過率に基づき遮光率が求められた。上述の測定の結
果、遮光率は測定限界以下になっていたので、ほぼ10
0%であると考えられる。
【0083】充填層53の形成工程の詳細を、図4を参
照して以下に説明する。図4は、フィルタ側部材4が貼
合わされた時点のパネル部材3を示す断面図である。本
実施の形態では、充填層53の材料となる充填剤を枠状
溝61に充填するために、滴下装置が用いられる。前記
滴下装置は、充填剤を滴下するための滴下部71と、滴
下部71を主基板5の一方面31に略平行に移動させる
ための図示しない移動機構とを含む。滴下部71は、ノ
ズルと、充填剤を蓄える蓄積部と、蓄積部内部の充填剤
を該ノズルから単位時間あたりに予め定める滴下量ずつ
滴下するための滴下制御部とを有する。前記ノズルから
の単位時間当たりの充填剤の滴下量は、操作者が任意に
設定可能である。また前記滴下制御部は、任意のタイミ
ングにおいて、前記ノズルから充填剤を滴下するか否か
の制御が、可能である。前記移動機構は、たとえば、滴
下部71の少なくとも前記ノズルを、相互に交差する2
軸にそれぞれ平行に移動可能な機械的構成を有する。こ
の結果前記ノズルは予め定める範囲を走査可能である。
【0084】前記滴下装置を用いた充填剤の概略的な充
填手順は以下のとおりである。充填剤の単位時間あたり
の滴下量、充填剤の滴下開始タイミングおよび滴下終了
タイミング、ならびに充填工程実行中の滴下部71のノ
ズルの移動軌跡および移動速度は、枠状溝61の設計上
の形状に応じて、予め定められている。たとえば滴下部
71のノズルは、充填剤を滴下する間、該ノズルの軌跡
が、枠状溝61の長手方向中心軸線にほぼ沿うように、
移動する。またたとえば、充填剤の単位時間当たりの滴
下量および滴下開始および滴下終了タイミングは、該2
つのタイミングで規定される滴下期間内に滴下された充
填剤の総量が、枠状溝61の容積未満でありかつ該容積
とほぼ等しくなるように、設定される。前記充填剤の総
量は、枠状溝61の容積と等しいことが最も好ましい。
本実施の形態では、枠状溝の幅が5mmであり、枠状溝
61の深さが1.0mmであり、枠状溝61の容積が3
mlなので、前記充填剤の総量は3mlに選ばれる。
【0085】2枚の部材3,4の貼合わせ後、フィルタ
側基板4の貼合わせ済のパネル部材3が、該部材3内の
主基板5の一方面が前記滴下装置の滴下部71のノズル
移動方向、たとえば水平方向と略平行になるように、位
置合わせされる。位置合わせ後、滴下部71のノズル
が、前記予め定める移動軌跡にそって前記予め定める移
動速度で移動しつつ、前記滴下期間内だけ、前記単位時
間あたりの滴下量が前述の予め定める滴下量となるよう
に、枠状溝61内に充填剤を滴下する。この結果前記滴
下期間の終了後の時点において、枠状溝61内に、予め
定める量の充填剤が滴下される。充填剤滴下後、枠状溝
61内部の充填剤を硬化させるために、充填剤滴下後の
パネル部材3に何らかの処理を施しても良く、そのまま
放置されてもよい。この結果、枠状溝61内部に、硬化
した充填剤の層、すなわち充填層53が形成される。以
上が本実施の形態の概略的な充填層形成工程の説明であ
る。
【0086】前記滴下期間内に滴下された充填剤の総量
が枠状溝61の容積とほぼ等量に設定されるのは、以下
の理由からである。充填剤の総量が枠状溝61の容積を
微少量だけ越える場合、枠状溝61の表面が盛上がり、
かつ該表面が表面張力によって支えられるので、該溝6
1から充填剤は溢れない。しかしながら前記場合、充填
剤硬化後、充填層53の一部分が表示装置1の表示面を
含む仮想平面よりも飛び出すので、該表示装置1の製品
化時に該装置1にたとえばフレームを取り付ける際、充
填層の出張った部分がフレームに当たるので、製品が使
いにくくなる。充填剤の総量が枠状溝61の容積よりも
極めて多い場合、充填剤が枠状溝61から溢れてしまう
ので、表示装置1の表示面または該装置1の他の部分に
充填剤が付着して、該装置1の不良の原因となる。充填
剤の総量が枠状溝61の容積よりも微少量だけ少ない場
合、対向基板9の端が露出するので、表示装置1の利用
者が該端で手を切る可能性がある。また前記場合、枠状
溝61が微少量だけへこむので、見栄えが悪くなる。充
填剤の総量が枠状溝61の容積よりも極めて少ない場
合、充填層53の強度が小さくなるので、主基板5の近
接部分62の強度が弱くなるので、液晶パネルが破壊さ
れやすくなる。これらの結果、充填剤の総量は枠状溝の
容積とほぼ等量に設定される場合、表示装置1の見栄え
を良くし、かつ充分な強度をもつことができる。
【0087】本実施の形態では、具体的には、前記滴下
装置として、武蔵エンジニアリング株式会社製のSHO
TMASTER2(商品名)が用いられる。SHOTM
ASTER2の移動機構はステッピングモータを備え、
滴下部71のノズルを、水平領域内に定義される相互に
垂直な2方向、すなわち縦方向および横方向に、0.0
5mm単位で移動可能である。図5は、SHOTMAS
TER2の滴下部71の概略構成を示す図である。SH
OTMASTER2の滴下部71は、窒素ガスを利用し
て、蓄積部内の充填剤を、ノズルから滴下する。
【0088】図5は、SHOTMASTER2の滴下部
71の概略構成を示す図である。滴下部71は、ノズル
73と、シリンダ状の蓄積部74と、窒素ガス供給部7
5と、制御弁76と、シーケンス制御装置77と、管路
78とを含む。窒素ガス供給部75と、制御弁76と、
シーケンス制御装置77と、管路78とが、前述の滴下
制御部に相当する。蓄積部74はシリンダ状であり、鉛
直方向下方にノズル73が設けられる。管路78の一方
端79は蓄積部74内部に差込まれ、回路78の他方端
は窒素ガス供給部75に取付られる。制御弁76は管路
78内の両端の間に設けられ、シーケンス制御装置77
は、該装置に備えられるプログラムに応じて、制御弁7
6の開閉を制御する。窒素ガス供給部75は、窒素ガス
のガス圧を予め定める圧力、たとえば2kg/cm2
保ちつつ、該窒素ガスを管路78に供給する。制御弁7
6は、シーケンス制御装置77からの制御信号に応答し
て、開閉する。この結果制御弁76が開いている間だ
け、蓄積部74内の硬化前の充填剤80に、前記窒素ガ
スのガス圧力と同等の圧力がかかり、制御弁76が綴じ
ている間、充填剤80に圧力はかからない。ゆえに樹脂
80は、制御弁76が開いている間だけ、ノズル73の
先端から樹脂80が滴下される。
【0089】SHOTMASTER2において、ノズル
から滴下される1滴分の樹脂の平均体積、すなわち滴下
量は、たとえば、窒素ガス圧、滴下部71の移動速度、
ノズル73の直径、および充填剤の粘度によって規定さ
れる。図6〜図9は、滴下量と、窒素ガス圧、ノズル7
3の直径、充填剤80の粘度、滴下部71の移動速度と
の関係を示すグラフである。図6に示すように、窒素ガ
スのガス圧力が増大するほど、前記滴下量は増加する。
図7に示すように、ノズル73の直径が増加するほど、
前記滴下量は増加する。図8に示すように、充填剤80
の硬化前の粘度が増加するほど、前記滴下量は減少す
る。図9に示すように、ノズル73の移動速度が大きい
ほど、前記滴下量は減少する。ゆえにこれら4つのパラ
メータを適宜組み合わせることによって、滴下量および
滴下期間内に滴下される充填剤の総量が容易に設定され
る。本実施の形態において、上記4つのパラメータの具
体的な値は、窒素ガス圧力が2kg/cm2 であり、ノ
ズル73の直径が0.7mmであり、充填剤の粘度は5
500cPであり、ノズル73の移動速度が20mm/
sec.である。上記4つのパラメータの具体値は、充
填層53をできるだけ早く作成することができ、かつ枠
状溝全体に充填剤が滴下可能になるように、選ばれた。
なお本実施の形態において、枠状溝61の深さは1mm
であり、幅は5mmであり、全容積は3mlであるとし
ている。
【0090】上述のような滴下装置を用いた充填層53
の形成工程は、図1の構造を有するカラーEL表示装置
における従来技術の充填層の形成工程よりも好ましい。
なお従来技術の充填層の形成工程は、以下のとおりであ
る。充填剤の充填に先立ち、枠状溝61の周囲の部分が
マスキングテープを用いてマスクされる。マスク後、充
填剤が枠状溝61に流込まれ、流込まれた充填剤の全表
面が、へらなどの工具によって均される。この結果、流
込まれた充填剤内の対向基板9の他方面67よりも突出
している部分、すなわち該充填剤の表面の凸状の部分
が、取除かれる。均し後、充填剤が半乾きの状態になっ
た後に、前記周囲の部分からマスキングテープが除去さ
れ、さらに充填剤が硬化した後に、マスキングテープの
残りかすがアセトンを用いて除去される。以上が従来技
術の充填層の形成工程である。
【0091】本実施の形態の充填層53の形成工程が従
来技術の充填層の形成工程よりも好ましいのは、以下の
理由からである。前述した従来技術の充填層の形成工程
は、極めて作業数が多くかつ手間がかかるので、該形成
工程の単位時間当たりの処理枚数、すなわち単位時間あ
たりに充填層を形成することができるカラーEL表示装
置の数が極めて少ない。ゆえに単一のカラーEL表示装
置に拘わる作業時間が増加しやすく、かつ該表示装置の
生産性が著しく低い。たとえカラーEL表示装置の表示
面の対角線が9インチである場合、従来技術の充填層の
形成工程の1時間あたりの処理枚数は、2〜3枚であ
る。また従来技術の充填層の形成工程では、マスキング
テープを必要とし、かつ充填層の形成に不必要な余分な
充填剤を一旦枠状溝61に流し込んだ後に除去している
ので、カラーEL表示装置の製造コストが増加しやす
い。また単一のカラーEL表示装置に拘わる作業時間が
増加しやすいので、製造コストがさらに増加しやすい。
【0092】本実施の形態の充填層の形成工程は、充填
層53の形成に必要な分量だけ充填剤を枠状溝61に滴
下しているので、無駄な充填剤が枠状溝61に充填され
ることが防止される。すなわち本実施の形態の充填層の
形成工程における充填剤の利用効率は、従来技術の充填
層の形成工程における充填剤の利用効率よりも向上して
いる。また本実施の形態の充填層の形成工程では、充填
剤の滴下時にマスキングを行っていないので、マスキン
グテープの貼付けおよび除去に拘わる処理が省略され、
かつマスキングテープのコストが削減される。これらの
結果、本実施の形態の充填層53の形成工程が用いられ
る場合、従来技術の充填層の形成工程が用いられる場合
よりも、単位時間当たりの処理枚数が増加し、かつ単一
のカラーEL表示装置の製造コストを低下させることが
できる。たとえばたとえカラーEL表示装置の表示面の
対角線が9インチである場合、従来技術の充填層の形成
工程の1時間あたりの処理枚数は、20枚以上30枚以
下である。これらの理由に基づき、本実施の形態の充填
層53の形成工程が好ましいのである。以上が充填層5
3の形成工程の詳細説明である。
【0093】充填層53の硬度の許容範囲、すなわち硬
度が5以上でかつ50以下の範囲は、以下の実験に基づ
き、決定された。充填層53の材料として、硬化後の硬
度が2以上でかつ100以下の複数種類の充填剤が、用
意された。前記充填剤は、TORAY DOW CORNING SILICONE
社製のエレクトロニクス用シリコーンである。準備後、
前記複数の各充填剤をそれぞれ用い、図1と同じ構造の
複数のカラーEL表示装置1を製造した。表示装置1の
製造工程は、上述した製造工程と等しい。製造後、製造
された複数の各表示装置1は、対向基板9と同じサイズ
の2枚のガラス板を介して万力に挟まれた状態で、主基
板5の近接部分62が割れるまで、かつ主基板5の充填
層53よりも外側の部分が押される。図10は、各表示
装置1の充填層の硬度と、上述の状態で主基板5が割れ
た時点に該各表示装置1に加えられた力との関係をプロ
ットしたグラフである。
【0094】表示装置1が人の手で押される場合、該表
示装置1に加わる力は、0kg/cm2 以上でかつ2k
g/cm2 以下の力であることが、実験的に判明されて
いる。図10のグラフに基づき、2kg/cm2の力が
加えられた場合に主基板5が破壊されない表示装置の充
填層53の硬度は、5以上でかつ50以下であることが
分かる。すなわち充填層53の硬度が5以上でかつ50
以下であるならば、表示装置1および該装置を組み込ん
だ製品を利用者が押しても、主基板5が割れない。ゆえ
に充填層53の硬度は上述の許容範囲であることが好ま
しいのである。また充填層53の硬度の最適値は、充填
層53の硬度の許容範囲の上限値および下限値の中間の
値であることが好ましく、具体的には27.5である。
以上が充填層53の硬度に関する説明である。
【0095】上述のように、枠状溝61に充填剤を充填
して硬化させることによって充填層53を形成する場
合、充填剤、すなわち充填層53の材料として、硬化前
の状態において流動性がある材料が用いられることが好
ましく、充填層53の材料の硬化前の状態における粘度
は、できるだけ低いことがより好ましい。このように充
填剤の硬化前の粘度が低いほど、充填層の形成工程にお
いて充填層53内に気泡が入ることが防止されやすい。
また枠状溝61内に充填された充填剤に気泡が入った場
合、充填剤の硬化前の粘度が低いほど、該気泡が自然に
枠状溝61内の充填剤表面から大気中に出ていきやす
い。このように充填剤の硬化前の粘度が低いほど、硬化
後の充填層53内に気泡が残る可能性が低くなるので、
充填層53内部の気泡に起因する充填層53の強度むら
の発生が防止される。また充填剤を枠状溝61に充填し
た後、充填剤の硬化前に該充填剤の表面をへらで均す場
合、硬化前の充填剤の粘度が低いほど、枠状溝61内の
充填剤の表面が滑らかになり易いので、充填剤の充填む
らを容易に軽減することができる。これらの理由に基づ
き、前記気泡および充填むらにそれぞれ起因する充填層
53の補強むらを軽減することができるので、充填層5
3によって表示装置1が均一に補強される。
【0096】上述したように、気泡の混入を軽減するた
め、および充填後の充填剤表面を滑らかにするために、
充填剤の硬化前の粘度は0cPより大きくかつ1000
00cP以下であることが好ましい。充填剤の硬化前の
粘度の上述の許容範囲は、以下の実験に基づいて決定さ
れた。
【0097】前記実験のために、硬化前の粘度が10c
P以上でかつ100万cP以下の複数種類の充填剤が用
意され、かつ複数枚のガラス板が準備された。前記充填
剤は、TORAY DOW CORNING SILICONE社製のエレクトロニ
クス用シリコーンである。前記各ガラス板は日本電気硝
子株式会社製のOA−2(商品名)であり、該ガラス板
の厚さが1.1mmであり、該ガラス板の表面積が5m
m×5mmである。また前記各ガラス板は、予め、純水
を用いて10分間超音波洗浄され、かつ洗浄後、アセト
ンを用いてさらに10分間超音波洗浄された。洗浄後、
前記複数の各充填剤が予め定める量だけ量り取られ、か
つ該各充填剤が洗浄済の各ガラス板上に滴下された。滴
下後、各ガラス板は、該ガラス板上に滴下された充填剤
の硬化条件に合わせて加熱温度が定められているオーブ
ン内に、該充填剤の効果条件に合わせた時間内、入れら
れる。この結果前記各ガラス板上の充填剤が、硬化す
る。硬化後、複数の各ガラス板上の硬化後の充填剤、す
なわち樹脂層の最大の厚さを、ノギスを用いてそれぞれ
計測した。
【0098】図11は、複数の各充填剤の粘度と、該各
充填剤から形成された樹脂層の最大厚みとの関係をプロ
ットしたグラフである。充填剤の硬化前の粘度の増加に
伴い、樹脂層の最大厚さは指数関数的に増大している。
充填層53の厚みは0より大きくかつ0.5mm以下で
あることが好ましいことが分かっている。これは、樹脂
層の厚みが0.5mmより大きい場合、樹脂層の材料と
なった充填剤によって充填層53が形成される場合、該
充填層53が枠状溝61内で凹凸を形成してしまうから
である。ゆえに図11のグラフに基づき、樹脂層の厚み
が0より尾大きく0.5mm以下となる範囲における粘
度は、0cPより大きく10万cP以下である。ゆえに
充填層53の材料の硬化前の粘度は、0より大きくかつ
10万cP以上であることが好ましいのである。以上が
充填層53の材料に関する説明である。
【0099】透明接着層52は、主基板5の凹部37の
底面38とフィルタ部8全面との間の空間注の画素領域
34の直下の部分(以後「第1空間部分」と称すること
がある)全体に、少なくとも広がっていることが好まし
い。これは、以下の理由からである。前記第1空間部分
全体に透明接着層52が広がっていない場合、該第1空
間部分内の透明接着層52がある部分の屈折率と、該第
1空間部分内の透明接着層52がない部分の屈折率と
が、相互に異なる。これによって表示装置1の表示面内
の表示品位が部分的に異なることになるので、該表示装
置1全体の表示品位が悪化する。ゆえに透明接着層は、
表示任意の悪化を防止するために、前記第1空間部分全
体に広がっていることが好ましいのである。
【0100】このために透明接着層52の材料である前
記接着剤は、硬化前の状態において流動性のある材料が
用いられることが好ましく、該材料の粘度はできるだけ
低いことがより好ましい。これは、以下の理由からであ
る。透明接着層52は、EL素子33と色フィルタ21
との間に主基板5の画素部分と共に介在されるので、前
記画素部分の厚みと同様に、表示装置1の視野角に影響
を及ぼす。すなわち透明接着層52の層厚が厚いほど、
表示装置1の視野角が狭くなる。これらの結果、表示装
置1の視野角を大きくするために、透明接着層52の層
厚はできるだけ薄いことが好ましい。
【0101】前述のパネル部材3とフィルタ側部材4と
の貼合わせ工程は、パネル部材3の破損を防ぎかつ工程
を簡略化するために、具体的には、フィルタ側部材4を
硬化前の前記接着剤を介して主基板5の上に乗せ、接着
剤が硬化するまで放置する。このような工程では、パネ
ル部材3に加わる力が比較的小さいので、パネル部材3
が破損しにくい。この結果前記接着剤の硬化前の状態に
おける粘度が高いほど、透明接着層52の層厚が厚くな
り易い。上述の工程において、前記接着剤の硬化前の粘
度が高いほど、パネル部材3とフィルタ側部材4とを密
着させることは困難であり、かつ主基板5に歪みが生じ
易い。これは、主基板5の画素部分の厚さが0.1mm
程度になるように主基板5が加工されているので、前記
接着剤を用いて張り合わされる面が極めて柔らかくなっ
ているためである。これとは逆に、上述の工程において
前記接着剤の硬化前の粘度が低いほど、前記接着剤に表
面張力が働くので、パネル部材3とフィルタ側部材4と
を容易に密着させることができる。このように、フィル
タ側部材4を硬化前の前記接着剤を介して主基板5の上
に乗せ、接着剤を硬化するまで放置する場合、前記接着
材の硬化前の粘度が低いほど、透明接着層52の層厚を
薄くすることができる。ゆえに接着剤の硬化前の粘度
は、できるだけ低いことが好ましいのである。
【0102】このために本実施の形態では、透明接着層
52の材料である接着剤として、三井化学株式会社製の
X−9318(商品名)が用いられる。X−9318
は、硬化前の状態における流動性の粘度が比較的低い変
性エポキシ樹脂である。また前記接着剤として、上述の
変性エポキシ樹脂以外の他の材料、たとえば、いわゆる
紫外線硬化樹脂が用いられても良く、エポキシ樹脂と紫
外線硬化樹脂との混合物が用いられても良い。紫外線硬
化樹脂は、一般的に、硬化前の状態における粘度が他の
樹脂よりも低いので、前記接着剤として用いることが好
ましいのである。
【0103】また前記接着剤の硬化前の粘度は0cPよ
り大きくかつ2000cP以下であることが好ましい。
接着剤の硬化前の粘度の上述の許容範囲は、以下の実験
に基づいて決定された。前記実験のために、硬化前の粘
度が1000cP,2000cP,5000cP,10
000cPの粘度になるように調整されたエポキシ樹脂
が、前記接着剤として用意された。前記エポキシ樹脂
は、三井化学株式会社製のX−9318(商品名)であ
る。準備後、前記複数の各接着剤をそれぞれ用い、図1
と同じ構造の複数のカラーEL表示装置1をそれぞれ製
造した。表示装置1の製造工程は、上述した製造工程と
等しい。製造後、製造された複数の表示装置1におい
て、前記接着剤を用いたパネル部材3とフィルタ側部材
4との接着に起因する歪みがあるか否かを調べた。
【0104】この結果、硬化前の粘度が1000cP,
2000cPのエポキシ樹脂が用いられた表示装置1に
歪みは生じておらず、硬化前の粘度が5000cP,1
0000cPのエポキシ樹脂が用いられた表示装置1に
は多くの歪みが生じていた。これによって接着剤の硬化
前の粘度は0cPより大きくかつ2000cP以下であ
ることが好ましく、かつ該範囲において粘度が低いほど
さらに好ましい。本実施の形態では、表示装置1の製造
コスト、作成プロセスに起因する生産性、及び樹脂の量
産性に基づき、接着剤の硬化前の粘度は2000cPに
選ばれた。以上が透明接着層52に関する説明である。
【0105】前述したように、主基板5の凹部37を該
主基板5の一方面31に平行な仮想平面で切断した断面
は、画素領域34よりも広い。これは以下の理由からで
ある。凹部37の形成にエッチャントを用いるいわゆる
化学研磨法が用いられる場合、凹部37の底面38と凹
部37の内周面54との境界部分が直角になりにくく、
該底面38に対してなだらかな勾配を有する面になるこ
とが多い。ゆえに主基板5の前記境界部分の厚みが主基
板5の画素部分における予め定める基準厚さWCよりも
厚くなりやすい。ゆえに、主基板5の画素領域34に相
当する部分、すなわち主基板5の画素部分の厚みを予め
定める基準厚さWCに確実にするために、主基板5の凹
部37の前記断面を画素領域34よりも広くする。この
結果、主基板5の画素部分が、凹部37の境界部分を含
まなくなるので、凹部37の形成に化学研磨法を用いて
も、該画素部分の厚みが基準厚さWCに確実になるので
ある。このように凹部37の形成に化学研磨法を用いる
のは、該凹部37の形成に化学研磨法が用いられる場
合、凹部37の形成のために主基板5に加えられる力
が、他の形成手法が用いられる場合よりも小さくなるの
で、凹部37の形成工程において主基板5の破損を防止
しやすくなるからである。
【0106】第1の実施の形態のカラーEL表示装置1
内の各部品の構成は、各部品の特徴的な構成が保たれて
いれば、上述の具体的な構成に限らず、他の構成であっ
てもよい。前記部品の他の具体的な構成を、以下に述べ
る。主基板5の画素部分の厚さ、すなわち基準厚さWC
は、表示装置1の視野角を該装置の実用上充分な角度に
保つために、具体的には、50μm以上200μm以下
であることが好ましい。本実施の形態では、視野角を1
80度とするために、基準厚さWCが100μmになっ
ている。
【0107】EL素子33内の2つの電極11,15の
うちの色フィルタ21から遠いほうの電極、すなわち上
部電極15は、発光層13から放射される光を反射する
ための反射板を兼ねる。ゆえに前記遠いほうの電極15
を形成する材料の反射率は、表示装置1の表示面の輝度
を高めるために、できるだけ高いことが好ましい。また
EL素子33内の2つの電極11,15のうちの色フィ
ルタに近いほうの電極、すなわち下部電極11は、発光
層13から放射される光を透過可能であれば、ITOに
限らず、透光性を有する他の導電性材料で形成されてい
てもよい。
【0108】発光層13と表示装置1の表示面67との
間に介在される複数の部品の屈折率は、相互に等しいこ
とが好ましい。特に透明接着層52の屈折率は主基板5
の屈折率と等しいことが好ましい。これは以下の理由か
らである。一般に、屈折率が相互に異なる媒質でそれぞ
れ満たされた2つの空間内を光が順次通過する場合、前
記2つの空間の境界面で光の散乱および吸収がおこる。
第1の実施の形態の表示装置1において、少なくとも下
部電極11、下部絶縁層12、およびフィルタ部8は、
主基板5の前記画素部分および対向基板9よりもそれぞ
れ充分に薄い。ゆえに表示装置1内部において、発光層
13から放射された光は、下部電極11、下部絶縁層1
2およびフィルタ部8をほぼ直進し、主基板5の一方面
および凹部34の底面38、ならびに対向基板9の一方
面で屈折する。このため、前記光が発光層13から表示
装置1の表示面67までの間に前記境界面における屈折
に起因して減衰することを防止するために、少なくとも
透明接着層52の屈折率は主基板5の屈折率と等しいこ
とが好ましいのである。
【0109】発光層13は、発光スペクトルの改善のた
めに、マグネシウム(Mg)を含んでいていも良い。ま
た発光層13は、発光スペクトルを変化させるために、
すなわち発光層13,93から放射される光を黄色光以
外の波長の光にするために、ZnS:Mnに代わって、
Ceが添加されたSrS(以後「SrS:Ce」と記載
する)だけから形成されていてもよく、ZnS:Mnか
ら形成される第1の発光層とSrS:Ceから形成され
る第2の発光層とが積層されて構成されていてもよい。
後者の積層型の発光層から放射される光は白色光であ
る。
【0110】色フィルタ21を通過可能な光の波長は、
赤および緑の波長の光だけに限らず、発光層13から放
射される光の波長に合わせて、表示装置1が多色発光を
呈するように設定されればよい。たとえば発光層13が
白色光を放射する場合、すなわち発光層13がZnS:
MnおよびSrS:Ceからそれぞれ形成される2層の
発光層が積層されて構成されている場合、フィルタ部8
は、赤、緑および青の波長の光をそれぞれ通過させる3
種類の色フィルタを含めば良い。
【0111】図12は、本発明の第2の実施の形態であ
るカラーEL表示装置91の断面図である。第2の実施
の形態のカラーEL表示装置91は、第1の実施の形態
のカラーEL表示装置1と比較して、以下に説明する構
成だけが異なり、他は等しい。ゆえに第2の実施の形態
のカラー表示装置91の部品のうち、第1の実施の形態
のカラーEL表示装置1内の部品と同じ部品には同じ参
照符を付し、説明は省略する。
【0112】第2の実施の形態のカラーEL表示装置9
1は、パネル部材3とフィルタ側部材4とを含む。パネ
ル部材3とフィルタ側部材4との位置関係は、第1の実
施の形態のカラーEL表示装置1における両部材3,4
の位置関係と等しい。すなわちフィルタ側部材4は、主
基板5の凹部37の底面38とフィルタ部8との間に介
在される透明接着層52によって、凹部37内に固定さ
れる。さらに磁性充填層93が、主基板5の凹部37の
内表面とフィルタ側部材4との間の間隙、すなわち枠状
溝61を埋めている。なお図12では、色フィルタ21
および遮光フィルタ23の参照符の一部分が省略されて
いる。
【0113】磁性充填層93は、可撓性を有しかつ磁性
を示す。第2の実施の形態では、磁性充填層93は、磁
性層94と充填層95を組合わせて構成される。磁性層
94は磁性物質だけから構成される層である。充填層9
5は、可撓性のある材料から構成される層であり、枠状
溝61内の磁性層95以外の残余の領域を埋める。充填
層95の材料となる充填剤は、第1の実施の形態のカラ
ーEL表示装置1の充填層53の材料となる充填剤と同
じ条件を満たすもので実現される。
【0114】磁性層94は、たとえば、磁性物質だけで
構成されかつ磁化された枠状の板で実現される。前記磁
性物質は、磁性を示すものであればよく、たとえばニッ
ケル(Ni),鉄(Fe),またはコバルト(Co)で
実現される。本実施の形態では、磁性物質として、他の
磁性物質よりも加工性および耐候性が良いニッケルを用
いている。なお磁性充填層93の構成は、上述の2つの
層94,95の組合わせに限らず、可撓性がありかつ磁
性を示すものであれば、他の構成でもよい。たとえば磁
性充填層93は、充填層95の材料と同じ性質の充填剤
に粉末状の磁性物質を混入した材料で形成されてもよ
く、該材料と同じ性質を有しかつ磁性を示す充填剤で形
成されてもよい。
【0115】このように磁性充填層93が磁性を示す構
成になっているのは、以下の理由からである。カラーE
L表示装置91が製品化される状況下において、表示装
置91の表示面67の周辺部、すなわち磁性充填層94
および主基板5の端部を覆うためのフレームが、該周辺
部にさらに取付けられることが多い。前記フレームが金
属材料で形成されているならば、磁性充填層93が上述
の構成になっている場合、表示装置91が金属製フレー
ムに磁力によって容易に固定される。この結果表示装置
91の製品化が容易になる。また磁性充填層93が上述
の構成になっている場合、表示装置91を磁力によって
金属製の治具に容易に固定することができる。ゆえに表
示装置91の製品化工程中、および該表示装置91を表
示部として備える装置の製造工程中の作業性を、容易に
向上させることができる。
【0116】また磁性充填層93が磁性層94および充
填層95を組合わせて構成されている場合、充填層95
は可撓性を少なくとも有している。この結果第1の実施
の形態において説明した理由と同じ理由に基づき、充填
層95は、主基板5の近接部分62への応力集中を防止
するので、主基板5の近接部分62における亀裂の発生
を防止することができる。この結果表示装置91の信頼
性試験時に、主基板5が破損することが防止される。
【0117】また充填層95が可撓性を有する場合、表
示装置91の製造時および表示装置91の製品化時にお
いて、主基板5のそりおよび磁性層95の剥離が防止さ
れる。これは以下の理由からである。磁性層94と主基
板5とは、一般的に、たとえば熱膨張係数が相互に異な
る。ゆえに充填層95が可撓性を有さない場合、たとえ
ば充填層95が比較的固い樹脂、たとえばエポキシ樹脂
で形成される場合、表示装置91の製造時に主基板5に
そりが生じたり、表示装置91の製造時および表示装置
91の製品化時に磁性層95が表示装置91から剥離す
ることがある。充填層95が可撓性を有する場合、たと
えば前記熱膨張係数の差異に起因する歪みが充填層95
に吸収されるので、前述の主基板5のそりおよび磁性層
95の剥離が防止されるのである。
【0118】第2の実施の形態のカラーEL表示装置9
1の製造工程を、以下に説明する。以下の説明におい
て、表示装置91を構成する部品の具体的な材質および
寸法ならびに具体的な製造手法は例示であり、以下に述
べるものに限らず他のものでもよい。なお第2の実施の
形態のカラーEL表示装置91の製造工程内のパネル部
材3およびフィルタ側部材4の形成工程および2つの部
材3,4の貼合わせ工程は、第1の実施の形態のカラー
EL表示装置1の製造工程内の該形成工程および該貼合
わせ工程と等しいので、これらの部材3,4の形成から
両部材3,4の貼合わせまでの一連の工程の説明は省略
し、両部材3,4の貼合わせ後、透明接着層52の材料
である接着剤が硬化した後の工程だけを説明する。
【0119】前記接着剤硬化後、主基板5の凹部37の
内周面54とフィルタ側部材4の側面55との間の空間
が、枠状溝61として残る。ゆえに接着剤硬化後、枠状
溝61に、充填層95の材料となる充填剤が、予め定め
る量だけ導入される。前記充填剤は、たとえば、第1の
実施の形態で説明した滴下装置を用いて、枠状溝に滴下
される。前記充填剤の具体的な導入手順は、第1の実施
の形態の表示装置1の製造工程における充填剤の導入手
順と比較して、枠状溝61内に導入される充填剤の総量
だけが異なり、他は等しい。第2の実施の形態における
充填剤の導入総量は、たとえば、第1の実施の形態にお
ける充填剤の導入総量よりも、磁性層94の体積分だけ
少ない。具体的には、第2の実施の形態における充填剤
の導入総量は、枠状溝61の容積から磁性層94を除い
た残余の体積になっている。本実施の形態では、具体的
には、枠状溝61の容積は3mlであり、充填剤の導入
総量は、枠状溝61の容積の70%,すなわち2.1m
lになっている。
【0120】充填剤滴下に先立ち、または充填剤の滴下
と平行して、磁性物質だけから形成される板が、枠状溝
61の形状に合わせて枠状に切出され、かつ切出し後の
枠状の板が磁化される。充填剤滴下後、充填剤が固まる
前に、磁化済みの枠状の板が、磁性層94として、枠状
溝61内に配置される。前記板は、該板の少なくとも一
部分が対向基板9の他方面67よりも表示面側に飛出さ
ないように、枠状溝61内に押込まれている。板配置
後、充填剤が硬化される。この結果、前記充填剤が硬化
後に充填層95になるので、磁性充填層93が完成す
る。以上の工程によって表示装置91が完成する。以上
が表示装置91の製造工程の説明である。
【0121】磁性層94、すなわち前述の磁化済みの枠
状の板は、枠状溝61の内部空間と相似の形状であり、
かつ該内部空間よりも若干細目になっている。すなわち
磁性層94の厚さは枠状溝61の深さよりも薄く、かつ
磁性層94の幅W11は枠状溝61の幅W12よりも細
い。本実施の形態では、磁性層94の材料はニッケルで
あり、枠状溝61の深さが1.0mmであり、かつ磁性
層の厚さは該深さの半分、すなわち0.5mmであると
する。また枠状の板の中心を通る枠状の仮想線の形状は
枠状溝61内の内部空間の中心を通る仮想線の形状とひ
ぼ等しく、枠状の板の幅は、枠状溝61の幅よりも、幅
方向両側からそれぞれ1mmずつ細くなっている。すな
わち枠状溝61の幅が5mmである場合、枠状の板の幅
は3mmである。磁性層94を上述のように形成してい
るのは、対向基板9の他方面67を含む仮想平面、すな
わち表示装置91の表示面を含む仮想平面よりも枠状溝
61の底面38との間に、磁性層94が常に収まるよう
にするためである。これは以下の理由からである。
【0122】表示装置91を含む製品は、一般的に、表
示装置91に前述のフレームを取付けた構成になってい
る。磁性層94が前記仮想平面よりも枠状溝61の外側
に突出しているならば、表示装置91と前記フレームと
の間に隙間が空くので、表示装置91を含む製品が不良
品になることがある。磁性層94が前記仮想平面よりも
枠状溝61の内側にあるならば、表示装置91と前記フ
レームとが容易に密着するので、前記製品の前記隙間に
起因する不良の発生が未然に防止される。これによって
前記製品の歩留りが向上される。ゆえに磁性層91とな
る枠状の板は、前記仮想平面よりも枠状溝61の内側に
あることが好ましいのである。磁性層91が上述の形状
であれば、磁性層94と枠状溝61の内表面との間に充
填層95が介在されていても、該磁性層94が確実に前
記仮想平面よりも枠状溝61の内側に収まるので、前述
の隙間に起因する不良の発生を確実に防止することがで
きるので、好ましいのである。
【0123】以上説明したように、第1および第2の実
施の形態の表示装置1,71およびその製造方法は、本
発明のカラーEL表示装置およびその製造方法の例示で
ある。本発明のカラーEL表示装置およびその製造方法
は、主要な部分が第1および第2の実施の形態の表示装
置1,91およびその製造方法と等しければ、他の様々
な形で実施することができる。すなわち第1および第2
の実施の形態の表示装置1,91内の各部品の構成は、
各部品の特徴的な構成が保たれていれば、上述の具体的
な構成に限らず、他の構成で実現されてもよい。また第
1および第2の実施の形態の表示装置1,91の製造方
法の各工程の詳細な手法は、各工程の特徴が保たれてい
れば、上述の具体的な手法に限らず、他の手法で実現さ
れてもよい。
【0124】
【発明の効果】以上にように第1の発明によれば、カラ
ーEL表示装置は、一方面に凹部のありかつ他方面上に
EL素子が配置された第1基板と、該第1基板の凹部の
底面にカラーフィルタを介して固定される第2基板とを
含み、さらに凹部と第2基板との間の間隙が、可撓性の
ある充填層で埋められている。また第2の発明によれ
ば、前記充填層の硬度は、5以上50以下の範囲内から
選ばれる。これらの結果カラーEL表示装置は、第1基
板の破損を未然に防止するので、該装置を含む製品使用
時の該製品の信頼性を、従来技術の構成のカラーEL表
示装置よりも向上させることができる。
【0125】さらにまた第3の発明によれば、前記充填
層は前記第1基板よりも柔軟な男性体である。これによ
って前記カラーEL表示装置の歩留りが向上し、かつ該
装置の製品化後の信頼性が向上する。また第4の発明に
よれば、前記充填層が可撓性の他に遮光性をさらに有す
る。これによって前記カラーEL表示装置の表示品位の
低下が防止される。また第5の発明によれば、前記充填
層の材料の熱分解温度はカラーEL表示装置の駆動時に
装置温度よりも高い。この結果前記カラーEL表示装置
は、装置温度の変化に伴う該装置全体の強度の低下を、
未然に防止することができる。
【0126】また第6の発明によれば、前記充填層がシ
リコーンゴム系の樹脂を主成分とする材料で形成され
る。これによって、前記カラーEL表示装置の信頼性の
劣化を防止することができ、かつ前記カラーEL表示装
置の製造工程の作業性が向上される。さらにまた第7の
発明に従えば、前記充填層が磁性物質をさらに含む。こ
の結果前記カラーEL表示装置を組み込んだ製品の歩留
りの低下が防止される。また第8の発明に従えば、前記
充填層の材料は、硬化前の状態において、流動性を有す
る。この結果前記充填層は、前記カラーEL表示装置を
均一に補強することができる。
【0127】また以上のように第9の発明によれば、カ
ラーEL表示装置の製造方法において、充填層が可撓性
のある材料で形成される。この結果前記製造方法は、カ
ラーEL表示装置の歩留りを従来技術の製造方法よりも
向上させ、かつ該装置を含む製品使用時の該製品の信頼
性を、従来技術の製造方法で製造されたカラーEL表示
装置よりも向上させることができる。また第10の発明
によれば、前記製造方法において、充填層の材料は硬化
前の粘度が低く、前記間隙内に滴下される。この結果カ
ラーEL表示装置の製造コストが、従来技術のカラーE
L表示装置の製造コストよりも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるカラーEL表
示装置1の構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態のカラーEL表示装置1の平
面図である。
【図3】第1の実施の形態のカラーEL表示装置1の底
面図である。
【図4】第1の実施の形態のカラーEL表示装置1の製
造工程内の充填層53の形成工程を説明するための図で
ある。
【図5】充填層53の形成工程で用いられる充填剤の滴
下装置内の滴下部71の概略構成を示す図である。
【図6】図5の滴下部71において、充填剤の滴下量
と、滴下部71内部に供給される窒素ガス圧力との関係
を示すグラフである。
【図7】図5の滴下部71において、充填剤の滴下量
と、滴下部71内のノズル73の直径との関係を示すグ
ラフである。
【図8】図5の滴下部71において、充填剤の滴下量
と、充填剤の粘度との関係を示すグラフである。
【図9】図5の滴下部71において、充填剤の滴下量
と、滴下部71内のノズル73の移動速度との関係を示
すグラフである。
【図10】第1の実施の形態のカラーEL表示装置1の
充填層53の硬度と、該表示装置1内の主基板5を破損
させる力との関係を示すグラフである。
【図11】第1の実施の形態のカラーEL表示装置1の
充填層53の材料の粘度と、該材料によって形成される
薄膜の厚さとの関係を示すグラフである。
【図12】本発明の第2の実施の形態のカラーEL表示
装置91の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1,91 カラーEL表示装置 5 主基板 9 対向基板 21 色フィルタ 33 EL素子 52 透明接着層 53,95 充填層 93 磁性充填層 94 磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/12 H05B 33/12 E Fターム(参考) 2H048 BA45 BB02 BB08 BB14 BB41 3K007 AB04 AB18 BA06 BB00 BB01 BB06 CA01 CB01 DA02 DB02 DC02 FA01 FA02 FA03 5C094 AA31 AA42 AA43 AA44 AA60 BA29 CA19 CA24 EA05 EB02 ED02 5C096 AA21 AA24 AA27 AA29 BC06 BC15 CC07 CH01 EA06 EB03 EB13 FA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性を有し、かつ一方面に凹部が形成
    された第1基板と、 前記第1基板の他方面に配置される複数のエレクトロル
    ミネッセンス素子と、透光性を有し、かつ前記第1基板
    の凹部の第1基板の一方面と平行な断面の面積よりも一
    方面の面積が小さい第2基板と、 前記第2基板の一方面と前記第1基板の凹部の底面との
    間に配置され、予め定める波長の光がそれぞれ通過可能
    な複数のカラーフィルタと、 前記第1基板の凹部と前記第2基板との間の間隙を埋め
    る充填層とを含み、前記充填層は、可撓性のある材料で
    形成されることを特徴とするカラーエレクトロルミネッ
    センス表示装置。
  2. 【請求項2】 前記充填層は、前記第1基板よりも柔軟
    な弾性体であることを特徴とする請求項1記載のカラー
    エレクトロルミネッセンス表示装置。
  3. 【請求項3】 前記充填層の硬度は、5以上50以下に
    選ばれることを特徴とする請求項1記載のカラーエレク
    トロルミネッセンス装置。
  4. 【請求項4】 前記充填層の材料は、遮光性をさらに有
    することを特徴とする請求項1記載のカラーエレクトロ
    ルミネッセンス表示装置。
  5. 【請求項5】 前記充填層の材料の熱分解温度は、前記
    カラーエレクトロルミネッセンス素子が発光する場合の
    前記カラーエレクトロルミネッセンス装置全体の温度よ
    りも高いことを特徴とする請求項1記載のカラーエレク
    トロルミネッセンス表示装置。
  6. 【請求項6】 前記充填層の材料は、シリコーンゴム系
    の樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の
    カラーエレクトロルミネッセンス表示装置。
  7. 【請求項7】 前記充填層は、磁性物質をさらに含むこ
    とを特徴とする請求項1記載のカラーエレクトロルミネ
    ッセンス表示装置。
  8. 【請求項8】 前記充填層の材料は、前記間隙に充填さ
    れる前の時点において流動性を有し、前記間隙に充填さ
    れた後に硬化することを特徴とする請求項1記載のカラ
    ーエレクトロルミネッセンス表示装置。
  9. 【請求項9】 透光性を有する平板状の第1基板の一方
    面に、複数のエレクトロルミネッセンス素子を形成する
    工程と、 エレクトロルミネッセンス素子形成後の第1基板の他方
    面に、凹部を形成する工程と、 透光性を有する第2基板の一方面に、予め定める波長の
    光が通過可能な複数のカラーフィルタを形成する工程
    と、 前記第1基板の凹部の底面と第2基板とを、少なくとも
    前記カラーフィルタを挟んで対向させた状態で組合わせ
    る工程と、 前記第1基板の凹部と前記第2基板との間の間隙に、可
    撓性のある材料を充填する工程とを含むことを特徴とす
    るカラーエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記充填層の材料は、前記間隙に充填
    される前の時点において流動性を有し、前記間隙内の予
    め定める位置に予め定める量だけ滴下され、前記間隙に
    充填された後に硬化することを特徴とする請求項9記載
    のカラーエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方
    法。
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