JP4896905B2 - 液晶表示パネル - Google Patents
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Description
この液晶表示パネルは、図41に示すように、第1の基板1上に設けたm本のストライプ状の第1の電極2と第2の基板6上に設けたn本のストライプ状の第2の電極7を有し、第1の電極2と第2の電極7の交差部であるm×n個の画素部24からなる表示領域23を有するマトリクス型の液晶表示パネルである。第1の基板1と第2の基板6とは、図示しないスペーサにより所定の間隙を設けて対向させ、図42に示すようにシール材26により接着し、その間隙に液晶層25を封入して封孔材27により密閉し、気密性を確保する。
そして、第1の電極2と駆動IC36とを接続するための第1の電極2と連続する引出電極を、表示領域23からシール材26の外側に引き出しており、この上にポリイミド樹脂に導電粒を含有する異方性導電フィルムを介して駆動IC36を搭載し、加熱圧縮してフィルムを硬化させることにより、引出電極を介して第1の電極2と駆動IC36とを接続している。
このような従来の液晶表示パネルにおいて、図43に示すように、第1の基板1上の引出電極41を設けた部分には、近接する引出電極41間に電位差が発生したり、汚れや水分が付着したりすることを防止するために、絶縁性樹脂32を塗布している。この絶縁性樹脂32としては、水分の浸透性の少ないエポキシ樹脂あるいは水分吸着の少ないシリコン樹脂を使用している。
そのため、高温高湿度雰囲気で液晶表示パネルを使用した場合でも引出電極41に電蝕部47が発生しないようにすることは、液晶表示パネルの利用範囲を拡大し、表示品質を長期間良好に保つために非常に重要である。また、液晶表示パネルの小型化や低コスト化の要求が強いことから、従来の液晶表示パネルの厚さ、大きさから大きく逸脱することなく、さらに、コストアップ、重量アップを最低限に抑えて電蝕部47の発生を防止することも重要である。そして、引出電極と外部回路や駆動ICとの多様な接続方法に対応できる電蝕防止構造が必要である。
この平面表示パネルは薄膜EL(エレクトロルミネッセント)表示パネルであるが、ガラス基板91上に設けた引出電極94とFPC95とを半田96で接着して接続すると共に、ガラス基板91上のその接続部を含む領域に樹脂97を充填し、さらに樹脂97上に保護ガラス板98を配置している。
このように樹脂97上に保護ガラス板98を設けることにより、樹脂97が空気と接する面積を低減し、引出電極94への水分の侵入を防止し、引出電極94の腐蝕を防止することができる。
この発明は、このような問題を解決し、従来の液晶表示パネルの大きさ、重さをほぼ確保した状態で、液晶層の特性変化を簡便な手法で大きく低減することを目的とする。
さらに、上記絶縁性樹脂上に、上記絶縁被覆材と同材料か、または異なる材料の第2の絶縁被覆材を配置するとよい。
さらに、上記絶縁被覆材を、シリコンを含む膜または金属酸化物を含む膜とするとよい。
また、上記シール材のその側面から上記2枚の基板双方の側面に亘る領域を覆うように上記絶縁被覆材を配置するとよい。
さらに、上記絶縁被覆材を100nmから500nmの膜厚とするとよい。
ここで、上記被覆材を、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス、又は積層接着材を含むものとするとよい。
また、上記引出電極上に集積回路素子またはフレキシブル接続基板を搭載し、上記集積回路素子上または上記フレキシブル接続基板上にも上記絶縁被覆材を配置するとよい。
あるいは、上記絶縁被覆材の上に偏光板を配置するとよい。
〔第1の実施形態:図1乃至図3〕
まず、この発明の液晶表示パネルの第1の実施形態について説明する。図1はその液晶表示パネルの平面図、図2は図1に示す2−2線における断面図、図3は図1の円A内を拡大する部分拡大平面図である。
この第1の実施形態の液晶表示パネルは、携帯電話、小型情報機器、時計等に使用する反射型の液晶表示パネルであり、第1の実施形態の特徴は、第1の基板上に設けた引出電極上およびその周囲と、液晶表示パネルの駆動集積回路(IC)上とフレキシブルプリント基板(FPC)上と第2の基板上に、絶縁被覆材として薄膜絶縁層を設けている点である。
なお、図1において、偏光板11や位相差板12,反射板16,各カラーフィルタ,平坦化保護膜21,接続電極42は図示を省略している。また、引出電極41については、第1の電極2や第2の電極7との境界を示すのが困難であるため符号を付していないが、図示した電極のうち、少なくともシール材26より外側の部分は引出電極41である。以下の実施形態の説明に用いるこれと対応した平面図においても同様である。
そして、第1の電極2と駆動IC36とを接続するための第1の電極2と連続する引出電極を、表示領域23からシール材26の外側に引き出しており、この上にポリイミド樹脂に導電粒を含有する異方性導電フィルムを介して駆動IC36を搭載し、加熱圧縮してフィルムを硬化させることにより、引出電極を介して第1の電極2と駆動IC36とを接続している。このような実装法を、チップ・オン・ガラス(COG)法という。
なお、ここでは駆動IC35,36を液晶表示パネルの2辺側に分けて搭載したが、引出電極を引き回して全ての駆動ICを1辺側に搭載するようにしてもよい。
また、図1乃至図3に示すように、引出電極41上およびその周囲に、少なくとも引出電極41のシール材26よりも外側の部分を全て覆うように、絶縁被覆材として窒化シリコン(SiNx)からなる水分を通さない薄膜絶縁層22を250nm(ナノメートル)の厚さで形成し、さらに、駆動IC35,36上と、FPC31上の一部と、駆動IC35とFPC31との間の部分と、第2の基板6の液晶層25と反対側(図2で下面)の全面にも同じように薄膜絶縁層22を形成している。
また、薄膜絶縁層22の成膜は、150℃以下で行うとよい。これは、あまり高温にすると液晶層25が劣化するので、これを防止するためである。偏光板11やFPC31の劣化を防止するためにはさらに低温で成膜を行うことが好ましいが、150℃以下であれば許容範囲である。
なお、特に断面図は示していないが、駆動IC36を設けた側においても、駆動IC35を設けた側の場合と同様に、引出電極41や駆動IC36等の被覆を行っているものとする。これは以下の各実施形態でも同様である。
薄膜絶縁層22はスパッタやCVDによる成膜で形成するので、その膜厚は100nmから500nm程度とするのがよく、特に厚くする場合には1000nm程度まで厚くすることができるが、200nmから500nm程度の範囲の場合に良好な結果が得られた。
さらに、シール材26の外気と接する側にも薄膜絶縁層22を設けているため、シール材26を透過する水分量を低減できるので、液晶層25の特性変化を低減し、表示品質を向上させることができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第2の実施形態及びその変形例について説明する。図4はその液晶表示パネルの断面を示す図2と対応する断面図、図5は同じく引出電極付近を拡大して示す図3と対応する部分拡大平面図、図6はその変形例の構成を示す図4と対応する断面図である。これらの図において、第1の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第2の実施形態の特徴は、FPCの第2の基板側(図4で下側)には全面に絶縁被覆材として薄膜絶縁層を設けること及び、薄膜絶縁層上の一部には絶縁性樹脂を設けている点である。そして、第2の実施形態の液晶表示パネルは、これらの点及び反射板16が第2の基板6よりも小さい外形にパターン形成されている点以外は上述した第1の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このようにすることにより、FPC31側においても薄膜絶縁層22の端部から引出電極41までの距離を長くし、端部から引出電極41への水分の浸透をより効果的に排除することができる。
ここで、このような透明あるいは白色の絶縁性樹脂32を用いても、透水性の低減には効果を有し、電蝕防止効果は十分に得られる。しかし、黒色あるいは灰色の絶縁性樹脂をこの液晶表示パネルに採用すれば、駆動IC35,36を照射される光から遮蔽することができるため、駆動IC35,36の光誤動作を防止することができる。また、FPC31と第1の基板1のおもて面(図4で上側の面)側まで絶縁性樹脂を塗布し、第1の基板1のおもて面の駆動IC35,36と対応する部分に黒色あるいは灰色の絶縁性樹脂を塗布するようにすれば、駆動IC35,36の光誤動作をさらに確実に防止できると共に、第1の基板1とFPC31との界面からの水分の浸透を低減でき、電蝕をより効果的に防止することができる。
そして、第1の基板1よりも図で上側に薄膜絶縁層22を形成する場合には、第1の基板1上に直接形成することも可能であるし、偏光板11を接着後にその上に形成することも可能である。図6では後者の例を示している。液晶表示パネルの信頼性の面では、その後者の方がより良好であった。その理由は、紫外線カット機能を有する偏光板11により、薄膜絶縁層22の成膜時に発生する紫外線から液晶層25を護ることができるためである。
次に、この発明の液晶表示パネルの第3の実施形態について説明する。図7はその液晶表示パネルの断面を示す図2と対応する断面図である。この図において、第1及び第2の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第3の実施形態の特徴は、第2の基板上に第2の偏光板を設け、薄膜絶縁層をその偏光板上に設ける点である。そして、第3の実施形態の液晶表示パネルは、これらの点及び反射板16を設けない点以外は上述した第2の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
また、薄膜絶縁層22は、第2の実施形態同様に、引出電極41上及びその周囲、駆動集積回路35上とFPC31の裏側の面等に設けている。しかし、第2の基板6上には、直接ではなく、第2の偏光板14を介して薄膜絶縁層22を形成している。
このような液晶表示パネルによれば、薄膜絶縁層22により、上述した各実施形態の場合と同様に引出電極41の電蝕の防止を図ることができると共に、第2の偏光板14の劣化も防止することができる。さらに、第2の偏光板14により、薄膜絶縁層22の形成時における液晶層25の劣化の防止も可能である。
さらに、半透過反射板を第2の基板6と第2の偏光板14との間に設ける場合でも、工程の短縮のために第2の基板6上の全面に設けると、半透過反射板の断面が外気に接するので、この場合に、薄膜絶縁層22により断面部の腐蝕と粘着層への水分浸透を防止することは有効である。
次に、この発明の液晶表示パネルの第4の実施形態について説明する。図8はその液晶表示パネルの断面を示す図2と対応する断面図である。この図において、第1乃至第3の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
この第4の実施形態は、薄膜絶縁層を設ける場所以外については上述した第3の実施形態と同様であるから、この点以外については説明を省略するか簡単にする。
従って、このような構成を採用すれば、第2の偏光板14あるいはFPC31の有機材料との密着力や成膜時の均一性を重視することなく、引出電極41への透水性の低下に重点を置いて薄膜絶縁層22の材料を選定することが使用することが可能であるので、より透水性の低い薄膜絶縁層22を形成し、引出電極41への水分浸透を防止することができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第5の実施形態について説明する。図9はその液晶表示パネルの平面図、図10は図9に示す10−10線における断面図、図11は図9に示す11−11線における断面図である。これらの図において、第1及び第2の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第5の実施形態の特徴は、パネルの第2の基板側(図10,11で下側)の薄膜絶縁層に加えて、第1の基板側(同図で上側)に第2の絶縁被覆材として第2の薄膜絶縁層を設ける点である。
この液晶表示パネルのように、第2の基板6にも駆動ICを実装する場合、パネルの第2の基板6側に設けた薄膜絶縁層22のみでは第2の基板上の引出電極41を被覆することができないため、第1の基板1側にも第2の薄膜絶縁層122を設ける構成が重要である。このようにすることにより、第2の基板6に設けた接続電極についても、水分の浸透を防ぎ、電蝕を防止することができる。
また、ここでは、偏光板11上に第2の薄膜絶縁層122を設けてしまうと、偏光板11をリペアーする必要が生じた場合に第2の薄膜絶縁層122を除去しなければならなくなってしまうため、第2の薄膜絶縁層122は第1の基板1上に直接形成しているが、偏光板11上に第2の薄膜絶縁層122を設けることも当然可能である。
次に、この発明の液晶表示パネルの第6の実施形態について説明する。図12はその液晶表示パネルの断面を示す図2と対応する断面図である。この図において、第1及び第2の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第6の実施形態の特徴は、薄膜絶縁層上及び絶縁性樹脂上に、第2の絶縁被覆材として第2の薄膜絶縁層を設けた点である。そして、第6の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は図4及び図5を用いて説明した第2の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このようにすれば、引出電極41に対しては、薄膜絶縁層22,絶縁性樹脂32,第2の薄膜絶縁層122の3層によって水分の浸透を強力に防止できると共に、シール材26と外気が接する面にも第1の薄膜絶縁層22および第2の薄膜絶縁層122の2層の薄膜絶縁層を形成できるため、シール材26を覆う部分についても、ピンホールの発生確率や透水性の低減が可能である。また、第1の薄膜絶縁層22と第2の薄膜絶縁層122は共に、パネルの第2の基板6側の全面に形成するため、特にマスキングの必要がない。
また、FPC31と外部回路(図示せず)との接続について、外部回路側のコネクタ等の外力により簡単に破壊し、電気的導通を確保することが可能であることは、第2の実施形態の場合と同様である。
次に、この発明の液晶表示パネルの第7の実施形態について説明する。図13はその液晶表示パネルの断面を示す図2と対応する断面図である。この図において、第1及び第2の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第7の実施形態の特徴は、絶縁性樹脂上に第2の絶縁被覆材として被覆材を設ける点である。そして、第7の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は図4及び図5を用いて説明した第2の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
次に、この発明の液晶表示パネルの第8の実施形態について説明する。図14はその液晶表示パネルの平面図、図15は図14に示す15−15線における断面図、図16は図14の円B内を拡大する部分拡大平面図である。これらの図において、第1及び第2の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第8の実施形態の特徴は、第1の基板上に設けた引出電極上およびその周囲に絶縁性樹脂を設け、その上に絶縁被覆材として被覆材を設けている点である。この液晶表示パネルの基本的な構成は図4及び図5を用いて説明した第2の実施形態と同様であるので、相違点を中心に説明し、その他の点の説明は簡単にするか省略する。
被覆材51の厚さは、50μmから700μm程度とするとよいが、プラスチックフィルムの場合には、80μmから150μm程度が好適であった。
このようにすると、絶縁性樹脂33によって第1の基板1と被覆材51を接着することができる。また、図15には示していないが、被覆材51を硬化前の絶縁性樹脂33上に配置すると、絶縁性樹脂33の一部が第2の基板6と被覆材51との間に染み出すので、この染み出した絶縁性樹脂33によって、第2の基板6と被覆材51との接着も行うことができる。
また、被覆材51を設けることにより、絶縁性樹脂33を厚く盛ることが容易になり、それだけ透水性を低下させることができる。また、被覆材51は塗布によって形成する膜ではなく、厚さも厚いため、ピンホールの発生は極めて少なく、水分浸透防止の信頼性は高い。
次に、この発明の液晶表示パネルの第9の実施形態について説明する。図17はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第9の実施形態の特徴は、第2の基板上に第2の偏光板を設ける点である。そして、第9の実施形態の液晶表示パネルは、これらの点及び反射板16を設けない点以外は上述した第8の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
なお、第2の偏光板14としては、吸収型偏光板も反射型偏光板も用いることができる。また、第2の偏光板14と共に散乱層や反射板も設け、第2の基板6の裏側にこれらの複合層を形成するようにしてもよい。
次に、この発明の液晶表示パネルの第10の実施形態について説明する。図18はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。この図において、第8及び第9の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第10の実施形態の特徴は、第2の基板上に設けた第2の偏光板を絶縁被覆材としても用いている点である。そして、第10の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は上述した第9の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このようにすることにより、第2の偏光板14と被覆材51とが重なり合ってしまったり、被覆材51が表示領域まではみ出してしまったりといった相互位置干渉の問題が起こらないので、引出電極41の被覆を行う場合でも表示領域を第2の基板6の端部近くまで大きく取ることができる。また、第2の偏光板14と被覆材とを別々に接着する必要がないため、製造工程を短縮できる。
さらに、引出電極41と対応する部分では、第2の偏光板14にガスバリア層や水分遮断膜を形成することにより、引出電極41の電蝕の防止のためにより好ましい構造にできる。
また、第2の基板6の駆動IC35,36側の基板端面から表示領域が近い場合には、絶縁性樹脂33として、透明で光学的等方性を有する材料を使用することにより、万が一絶縁性樹脂33が表示領域側にはみ出した場合にも表示品質への影響を防止できる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第11の実施形態について説明する。図19はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。この図において、第8及び第9の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第11の実施形態は、上述した第10の実施形態の発展形であり、その特徴は、第2の基板上に設けた第2の偏光板を絶縁被覆材としても用いると共にさらに第2の偏光板上に第2の絶縁被覆材として被覆材を設けている点、および引出電極上に第2の絶縁性樹脂を設けた点である。そして、第11の実施形態の液晶表示パネルは、これらの点以外は上述した第10の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このように第2の偏光板14上に被覆材51を設ける場合、ほぼ平坦な面上に被覆材51を設けることになるため、粘着層を利用し、平坦かつ位置精度よく被覆材51を接着することができる。そしてもちろん、被覆材51を接着する際に絶縁性樹脂33が表示領域へ染み出すことはない。
駆動IC35,36とシール材26の間の部分、特に第1の基板1と第2の基板6との間隙のうちシール材26よりも外側の部分は狭く、絶縁性樹脂33をうまく塗布できないことも考えられるため、より粘度の低い第2の絶縁性樹脂34を用いることにより、狭い空間にも容易に確実に塗布を行うことができるようにしている。第2の絶縁性樹脂34の硬化は、絶縁性樹脂33を塗布する前に行っても、絶縁性樹脂33の硬化工程で同時に行ってもよい。
いずれの場合も、2層の被覆材と2層の絶縁性樹脂により、確実に引出電極41への水分浸透を防ぎ、電蝕を防止することができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第12の実施形態について説明する。図20はその液晶表示パネルの一部を示す図16と対応する部分拡大平面図、図21は図20に示す21−21線における断面の一部を上下を逆転させて示す部分断面図である。これらの図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第12の実施形態の特徴は、平板状の第1の被覆材とコの字型の断面の第2の被覆材とを絶縁被覆材として設けた点である。そして、第12の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は図14乃至図16を用いて説明した第8の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
そして、第2の被覆材30は絶縁性樹脂33によって第1の基板1と接着されている。また、絶縁性樹脂33は駆動IC35を設けた側と反対側にも少し回りこんでおり、第2の基板6についても同様な周り込みが起こっているので、第2の被覆材30は第2の基板6とも接着されている。
この液晶表示パネルでは、上述のような第2の被覆材30を設けることにより、第1の基板1の端部からの絶縁性樹脂33の垂れを防止できる。また、第1の被覆材29と第2の被覆材30とにより絶縁性樹脂33に対して加圧することができるため、シール材26近傍の第1の基板1と第2の基板6との狭いギャップ部53にも、効率よく絶縁性樹脂33を塗布することができる。このとき、この加圧によって押し出される余分な絶縁性樹脂33は、絶縁性樹脂隙間部67や、シール材26に沿う周り込み部52及びはみだし部55へ逃がすことができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第13の実施形態について説明する。図22はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第13の実施形態の特徴は、FPCの両面に絶縁性樹脂を設ける点である。そして、第13の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は図14乃至図16を用いて説明した第8の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このようにFPC絶縁性樹脂49を設けることにより、引出電極41だけでなく、FPC31と接続する接続電極42についても、パネルの外周側からの水分の浸入を防止し、電蝕を防止することができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第14の実施形態について説明する。図23はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図、図24はこの液晶表示パネルに設ける被覆材の形状を示す斜視図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第14の実施形態は、上述した第12の実施形態の発展形であり、その特徴は、図24に示す形状の被覆材を用いる点である。そして、第14の実施形態の液晶表示パネルは、これらの点以外は上述した第12の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。なお、図24においては、被覆材は図23の状態とは上下を反転して示している。
このような被覆材151は、絶縁性樹脂33を塗布する前に、図23に示すように、断面のコの字の内側に第1の基板1と第2の基板6を挟むように装着する。このとき、第1の基板1の側面が被覆材151に接するまで被覆材151を嵌めこむものとする。その後、導入孔58から絶縁性樹脂33を充填する。このとき、余分な絶縁性樹脂33は、FPC孔57から一部排出され、さらに、絶縁性樹脂33の導入に用いない導入孔58からも排出される。その後絶縁性樹脂33を硬化する際に発生する気泡も同様に排出できる。そして、絶縁性樹脂33は導入孔58から若干盛り上がった状態になる。
また、被覆材151が第1の基板1と垂直な面でも絶縁性樹脂33に接して外気を遮断するので、引出電極41における気密性は極めて堅牢なものとなる。そのため、電蝕防止に非常に有効な構造である。
次に、この発明の液晶表示パネルの第15の実施形態について説明する。図25はその液晶表示パネルの一部を示す図16と対応する部分拡大平面図、図26はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。これらの図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第15の実施形態の特徴は、基板の間隙が狭く、そこに絶縁性樹脂33を十分に塗布できない場合に、粘度の低い第2の絶縁性樹脂をその間隙に充填する点である。そして、第15の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は図14乃至図16を用いて説明した第8の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
なお、図25に示すように第2の絶縁性樹脂34を空間部39に完全に充填できなかった場合でも、第2の絶縁性樹脂34によって空間部39を密封して外気から遮断すれば、水分浸透防止の効果は得られる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第16の実施形態について説明する。図27はその液晶表示パネルの平面図、図28は図27に示す28−28線における断面図である。これらの図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第16の実施形態の特徴は、被覆材を黒色の部材とし、その被覆材を液晶表示パネルの見切りとして用いた点である。この液晶表示パネルは、第1の基板と第2の基板の上下関係を逆転させているため、第8の実施形態のものと大きく異なるように見えるが、基本的な構成には共通点が多いので、共通点については説明を省略するか簡単にする。
そして、この液晶表示パネルにおいても、第8の実施形態の場合と同様に、引出電極41上およびその周囲や、駆動IC35,36上、FPC31上の一部を含む領域に、エポキシ樹脂に黒色染料を有する黒色エポキシ樹脂による絶縁性樹脂33を設けている。
この被覆材101は、第8の実施形態の場合と同様に絶縁性樹脂33によって第1の基板1及び第2の基板6(実際にはその上の偏光板11)と接着されているが、駆動IC35,36を設けていない側にも第2の基板6上に少量の絶縁性樹脂33を設け、この部分でも被覆材101と第2の基板6とを接着するようにしている。
次に、この発明の液晶表示パネルの第17の実施形態について説明する。図29はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第17の実施形態の特徴は、FPCの一部を絶縁被覆材として用いる点である。そして、第17の実施形態の液晶表示パネルは、この点以外は図14乃至図16を用いて説明した第8の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このような構成であっても、引出電極41への透水性を低減し、電蝕の防止を図ることができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第18の実施形態について説明する。図30はその液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第18の実施形態の特徴は、被覆材の上にさらに第2の絶縁被覆材として薄膜絶縁層を設けた点である。そして、第18の実施形態の液晶表示パネルも、この点以外は上述した第8の実施形態と同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このようにすることにより、薄膜絶縁層22,被覆材51,絶縁性樹脂33の3つの部材で引出電極41への水分の浸透を防止でき、電蝕の発生を非常に強力に防ぐことができる。特に、被覆材51に間隙や開口部を設けた場合に、このような構成の効果が大きい。
次に、この発明の液晶表示パネルの第19の実施形態について説明する。図31はその液晶表示パネルの平面図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第19の実施形態の特徴は、被覆材の駆動ICと重なる部分を黒く着色した点である。そして、第19の実施形態の液晶表示パネルも、この点以外は上述した第8の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このように被覆材51に着色部71を設けることにより、駆動IC35,36を光から遮蔽でき、ICの光による誤動作を防止することができる。また、着色部71を目印として被覆材51のパネルに対する位置合わせも容易に行うことができる。
また、第1の基板1の駆動IC35,36を設けた側とは反対側の面の、駆動IC35,36と対応する部分にも、絶縁性樹脂33を塗布する等して遮光部を形成するとよい。このようにすれば、駆動IC35,36への光を両面から遮蔽でき、ICの誤動作防止により効果的である。
次に、この発明の液晶表示パネルの第20の実施形態について説明する。図32はその液晶表示パネルの平面図、図33は図32に示す33−33線における断面図である。これらの図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第20の実施形態の特徴は、絶縁性樹脂の流出を防止する外周壁を設けた点である。そして、第20の実施形態の液晶表示パネルも、この点以外は上述した第8の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このように外周壁73を設けることにより、絶縁性樹脂33を塗布する工程で樹脂が不要な部分に流出し、第1の基板1の外周から垂れたりはみ出したりすることを防止することができる。また、外周壁73を設けることにより、第2の基板6の外周部での樹脂の流れをよくすることもできる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第21の実施形態及びその変形例について説明する。図34はその液晶表示パネルの平面図、図35は図34に示す35−35線における断面図、図36はその変形例の構成を示す図35と対応する断面図である。これらの図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第21の実施形態の特徴は、被覆材に開口部を設けた点である。そして、第21の実施形態の液晶表示パネルも、この点以外は上述した第8の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
このように開口部79を設けることにより、気泡や余分な樹脂を排出し、絶縁性樹脂33と被覆材51との密着性を向上させたり、絶縁性樹脂33におけるピンホールの発生を防止したりして、引出電極41への水分の浸透を効果的に防止することができる。
また、開口部79は第1の基板1側から見て引出電極41や接続電極42とは重ならないような位置に設けるものとし、このようにすれば、開口部79の部分に被覆材がないことによる影響を最小限にすることができる。
そして、例えば絶縁性樹脂として透明な樹脂を用いる場合には、開口部79を駆動IC35,36の近傍に設け、その上に黒色のキャップ用被覆材77を設けて第19の実施形態の場合と同様に駆動IC35,36を光から遮蔽し、誤動作の防止を図ることができる。
次に、この発明の液晶表示パネルの第22の実施形態について説明する。図37はその液晶表示パネルの平面図である。この図において、第8の実施形態と対応する部分には同様な符号を付している。
第22の実施形態の特徴は、被覆材を駆動IC毎に分割して設けた点である。そして、第22の実施形態の液晶表示パネルも、この点以外は上述した第8の実施形態とほぼ同様であるから、相違点以外については説明を省略するか簡単にする。
この液晶表示パネルのように、基板の一方の辺側の被覆材を複数に分割して設けるようにすれば、被覆材51′と基板とで熱膨張率に差がある場合や、絶縁性樹脂33が熱収縮や熱膨張を起こす場合でも、絶縁性樹脂33に働く応力を低減し、破損したり第2の基板6から剥離したりすることを防止し、安定して透水性を低く保つことができる。また、絶縁性樹脂33に発生する気泡の排出や絶縁性樹脂33の塗布も容易になる。
この効果は、被覆材を細かく分割して設けるほど大きいが、あまり細かくし過ぎると水分透過防止の機能自体が低下してしまうので、引出電極41の引き回し方も考慮して、駆動IC毎に分割して設ける程度が好ましい。
次に、上述した各実施形態の第1の変形例について説明する。図38はその変形例の液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。
この第1の変形例は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型であって駆動ICをFPC上に設けた液晶表示パネルにこの発明を適用した例であり、第11の実施形態にその変形を適用した例について説明する。
この液晶表示パネルにおいては、TFTに接続する表示電極を兼用するドレイン電極85と第2の電極7との交差部が画素部となる。また、第1の基板1と第2の基板6上の液晶層25側の面には、液晶層25の液晶分子を所定の方向に配向するために配向膜(図示せず)を設ける。
そして、第1の基板1上に設けるゲート電極81あるいはソース電極84に接続する引出電極41を、第2の基板6より外形の大きい第1の基板1上に設け、シール材26の外側に引き出してFPC31と接続している。そして、FPC31上に駆動IC35を実装し、その実装部の周囲をテープ・オートキャリア・ボンディング(TAB)樹脂69で被覆している。
また、ここではこの変形例を第11の実施形態に適用した例について説明したが、他の実施形態にも同様に適用できることはもちろんである。これは、以下に説明する各変形例についても同様である。
次に、上述した各実施形態の第2の変形例について説明する。図39はその変形例の液晶表示パネルの断面を示す図2と対応する断面図である。
この第2の変形例は、FPCを直接引出電極と接続する構成の液晶表示パネルにこの発明を適用した例であり、図39は第2の実施形態にその変形を適用した例を示すものである。
この発明は、図39に示すように、駆動ICを第1の基板上に実装せず、FPC31を直接引出電極41に接続し、駆動ICはFPC31を介して別に設けた液晶表示パネルに適用することもできる。
次に、上述した各実施形態の第3の変形例について説明する。図40はその変形例の液晶表示パネルの断面を示す図15と対応する断面図である。
この第3の変形例の特徴は、引出電極を引き出した側において第2の基板の外形をシール材の外形と一致させている点であり、図40は第8の実施形態にその変形を適用した例を示すものである。
以上説明した実施形態に適用できるその他の変形例について説明する。
まず、この発明は、偏光板を利用することなしに表示が可能であるゲストホスト液晶、散乱型液晶、蛍光液晶を用いた液晶表示パネルにも適用が可能である。薄膜絶縁層の形成時に発生する紫外線の影響を防止する必要がある場合には、紫外線吸収材あるいは紫外線反射材を有する透明フィルムを利用するとよい。
また、ここでは駆動ICを基板上に実装するCOG法を使用した場合の例に関して説明したが、この発明は、TAB実装法、COB実装法、COF実装法を利用する場合の電蝕対策にも当然有効である。例えば、駆動ICをFPC上に実装するTAB法あるいはCOF実装法の場合には、薄膜絶縁層が駆動ICへの水分浸透を防止するため、駆動IC周辺の回路保護にも有効である。
また、偏光板上に薄膜絶縁層を設ける場合には、薄膜絶縁層の屈折率を制御することにより、表面反射率を低下することができ、液晶表示パネルの表示品質を向上させることができる。
また、上述した各実施形態の構成を適宜組み合わせ、それらの特徴を併せ持つような液晶表示パネルを構成してもよいことはもちろんである。
以上の液晶表示パネルは、上述したように、少なくとも第1の基板上に設ける引出電極を、液晶層を封入するシール材の内側から外側に引き出す構造の場合に、引出電極上に水分が付着し、近接する引出電極間に電圧がかかることにより発生する電流により、引出電極材料が電気分解(電気腐蝕:電蝕)することを防止するために、少なくとも引出電極のシール材よりも外側の部分を覆い、かつ第2の基板と一部重なるように薄膜絶縁層による絶縁被覆材を設ける構造を採用したものである。薄膜絶縁層としては、透水性がなく緻密であり、100から200℃で形成可能な膜を採用するとよい。
この薄膜絶縁層を、引出電極上だけでなく、集積回路素子上および側面にも形成し、さらに、引出電極と集積回路素子の境界にも形成すると、水分の浸透を一層よく防止することができる。
また、テープオートキャリアボンディング(TAB)を行ったり、フレキシブル接続基板(フレキシブルプリント基板:FPC)あるいはプラスチック基板上に回路を構成する回路基板と、第1の基板あるいは第2の基板との接続を行う場合には、第1の基板あるいは第2の基板上の電極上と、テープキャリアパッケージ、FPCあるいはプラスチック基板上にも薄膜絶縁層を設けると、透水性を極めて低くすることが可能となる。
さらに、薄膜絶縁層上にエポキシ樹脂あるいはシリコン樹脂からなる絶縁性樹脂を設けることにより、薄膜絶縁層への物理的破損を防止することが可能となり、電蝕の防止を強化できる。また薄膜絶縁層として、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、あるいは窒化酸化シリコン膜の単膜あるいは積層膜を採用することにより、緻密で透水性を低くすることが可能となる。
また酸化タンタル膜、酸化チタン膜等の金属酸化物からなる薄膜絶縁層を採用することにより、低温で緻密な膜を形成することができるため、耐熱温度の低い基板あるいは実装部材を使用することが可能となる。
このような膜を形成する場合には紫外線が発生してしまう場合があるが、紫外線カット層を有する偏光板を接着してから薄膜絶縁層を設けるようにすることにより、発生する紫外線が液晶層を守ることができるので、特に液晶層の保護を行わなくても、薄膜絶縁層を形成することが可能となる。また、このような手順で薄膜絶縁層を形成し、偏光板上にも薄膜絶縁層を設けることにより、偏光板への水分の浸透を防止することが可能となるため、偏光板の信頼性を向上させることができる。
さらに、薄膜絶縁層を真空スパッタやCVD法で形成すれば、液晶層を封止するシール材あるは封孔材の表面も薄膜絶縁層により被覆できるため、液晶層への水分の浸透を防止することが可能となり、液晶表示パネルの信頼性を向上させ、表示品質を一定に保つことが可能となる。
また、反射型液晶表示装置のように、基板の液晶層に面する側に紫外線を遮断する反射板や、カラーフィルタのように紫外線を吸収する部材を有する場合には、これらの部材によって液晶層への紫外線の照射を防止でき、特に薄膜絶縁層を形成する部分を限定する必要がないため、表示面にも薄膜絶縁層を設ける構成とすることにより、薄膜絶縁層の形成が簡単となる。
さらに、基板としてプラスチック基板(フィルム基板)を使用する場合には、薄膜絶縁層により基板の透水性を減少させて液晶層への水分の浸透を防止でき、より効果的である。さらに、第1の基板と第2の基板の両方に薄膜絶縁層を形成すれば、薄膜絶縁層によりプラスチック基板表面がほとんど被覆できるため、信頼性を向上することが可能となる。
さらに、薄膜絶縁層と絶縁性樹脂の2層、あるいは多層の薄膜絶縁層、または薄膜絶縁層と絶縁性樹脂と第2の薄膜絶縁層の3層構造とすれば、これら全てを貫通するピンホールの発生はほとんと起こらず、信頼性のバラツキを低減することが可能となる。さらに、薄膜絶縁層におけるピンホールを防止する場合には、薄膜絶縁層の成膜,表面クリーニング,成膜の工程を複数回繰り返すことによりピンホールを効果的に防止することが可能となる。
また、液晶表示パネルを過酷な状態で使用する場合には、薄膜絶縁層の傷つきを防止し、さらに引出電極における疎水性を向上させるために、ガラス基板、プラスチック基板あるいは、表面を絶縁処理した被覆材による第2の絶縁被覆材を、薄膜絶縁層を形成した引出電極と重なる部分に設ける。被覆材として薄膜絶縁層に比較して厚いものを用いれば、透水性を非常に低減でき、外力による傷等が発生しても簡単に貫通することはなく、透水性の低い状態を維持することが可能となる。
ここで、電蝕部の発生を抑えるための構造として、第1の基板1上に予め絶縁膜を形成しておく方法も考えられる。しかし、第2の基板と所定の間隙を設けシール材により接着して液晶層を封入するいわゆるセル化工程以前に絶縁膜を形成する場合には、駆動集積回路のバンプ電極と第1の基板1上の電極との電気的接続を行うために、絶縁膜を除去して所定の位置にコンタクト穴を形成する必要があるが、この工程は、位置精度を要求するため印刷法で行うことは難しい。そのため、フォトリソグラフィー工程とエッチング工程が必要となり、コストアップとなる。さらに、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程の精度は絶縁膜の材料に依存するため、電蝕の防止に適する材料では精度の高いエッチングは難しいという問題がある。これに対し、この発明で用いる薄膜絶縁層による絶縁被覆材は、このようなフォトリソグラフィー工程やエッチング工程が必要なく、容易に形成して電蝕を防止することができる。
また、以上の液晶表示パネルにおいては、上述した絶縁被覆材として、被覆材を設ける構成も採用している。この場合には、少なくとも引出電極のシール材よりも外側の部分を覆うように絶縁性樹脂を設け、その上に被覆材を設ける。
ここで使用する被覆材としては、所定の厚さを有するプラスチックの板,ガラス板,金属板,金属板に第2の絶縁被覆材として陽極酸化層を設けた基板,セラミックスの板,あるいは積層接着材を使用することができる。これらは透水性が極めて少なく、また、絶縁性樹脂のように塗布する膜ではないため、気泡の発生やピンホールの発生を極めて少なくすることができる。
また、プラスチック板の場合には、酸化シリコン膜,窒化シリコン膜,酸化アルミニウム膜等のガスバリア層や、水分バリア層による水分遮断膜を設けることにより、引出電極への水分の浸入を極めて少なくすることができる。
また、第1の基板上に設ける引出電極上に液晶表示パネルを駆動するための集積回路素子(IC)をチップ・オン・ガラス(COG)実装法により実装する場合には、第2の基板とICとを衝立として被覆材を設けるようにすれば、第1の基板と被覆材との間隙を一定にすることができる。また、ICの引出電極と接触する面とは反対の面や第2の基板に絶縁性樹脂を塗布し、被覆材を接着することにより、被覆材を堅牢に保持することが可能となる。
さらに、被覆材のICと接触する面と反対の面に、例えば透明導電膜等の導電性膜を設けることにより、引出電極への水分浸透の防止だけでなく、ICへの静電気衝撃の低減を同時に達成することができる。
また、第1の基板上にFPCを異方性導電フィルムにより加圧接着する場合には、引出電極上と異方性導電フィルム上とに被覆材を設けることにより、FPCと接触するFPC接続部の電気腐蝕も同時に防止できる。
また、第1の基板上に設ける引出電極上には第1の絶縁性樹脂を塗布し、被覆材と接着する面、すなわち第1の絶縁性樹脂と被覆材との間には、第1の絶縁性樹脂とは異なる特性の第2の絶縁性樹脂を塗布するようにすれば、第1の基板側の第1の絶縁性樹脂としては、応力が大きく厚塗りができない樹脂や、被覆材があるために硬化時間が非常に長くなってしまう絶縁性樹脂でも使用可能となる。さらに、第2の絶縁性樹脂としては、紫外線硬化型のように非常に短時間で硬化する絶縁性樹脂でも使用できる。
また第1の基板上に設ける引出電極の一部に液晶表示パネルの駆動集積回路を直接COG法にて実装する場合に、絶縁性樹脂に光吸収材を混入することにより、光によるICの消費電力の増加や誤動作を防止することができる。さらに、被覆材として光遮光性を有する材料を用いることにより、液晶表示パネルにおけるICへの光進入経路を非常に限定することができる。
また、絶縁性樹脂と被覆材とによる気密性をさらに強固にするため、シール材近傍で第1の基板と第2の基板とシール材とが形成する間隙に、第1の絶縁性樹脂よりも粘度の低い第2の絶縁性樹脂を設けるとよい。こうすれば、粘度の高い第1の絶縁性樹脂で周囲に土手を形成する一方、粘度の低い第2の絶縁性樹脂を間隙に確実に浸透させると共に被覆材との接着も行うことができる。
さらに、第1の基板の外周部に、被覆材と近接し、第1の基板と一部で重なり合い、第1の基板の断面側壁方向にも面を有する被覆保護材を設け、絶縁性樹脂の垂れを防止したり、第1の基板と第2の基板との間隙における絶縁性樹脂の未塗布を低減したりすることができる。
Claims (14)
- 2枚の基板を所定の間隙を設けて対向させてシール材によって貼り合わせ、前記間隙に液晶層を封入した液晶表示パネルであって、
前記シール材の外側面と、該外側面から、前記2枚の基板のうち少なくとも一方の基板の液晶層側と反対側の面の少なくとも一部に亘る領域とを覆うように、真空スパッタ又は化学蒸着法によって形成された絶縁被覆材を配置し、前記2枚の基板のうち前記液晶層に面する領域に、画素部を形成する画素電極を設け、前記2枚の基板のうち一方の基板上に、前記画素電極に電気信号を印加するための引出電極を設け、前記引出電極上にも前記絶縁被覆材を配置したことを特徴とする液晶表示パネル。 - 前記絶縁被覆材の上、あるいは、前記絶縁被覆材と、前記2枚の基板のうち少なくとも一方の基板との間に、絶縁性樹脂を配置したことを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁性樹脂上に、前記絶縁被覆材と同材料か、または異なる材料の第2の絶縁被覆材を配置したことを特徴とする、請求項2に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材は、シリコンを含む膜または金属酸化物を含む膜であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材を、前記少なくとも一方の基板の液晶層と反対側の面の全面を覆うように配置したことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記シール材の該側面から前記2枚の基板双方の側面に亘る領域を覆うように前記絶縁被覆材を配置したことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記シール材の外側面と、該外側面から、前記2枚の基板のうち少なくとも一方の基板の液晶層側と反対側の面の少なくとも一部に亘る領域とを覆うように、前記絶縁被覆材を含む2種類以上の絶縁膜が積層されて配置されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材が100nmから500nmの膜厚であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材の上、あるいは、前記絶縁被覆材と、前記2枚の基板のうち少なくとも一方の基板との間に、さらに被覆材を設けたことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記被覆材が、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス、又は積層接着材を含むことを特徴とする請求項9に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材が、予めプラズマ処理が施された箇所に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記引出電極上に集積回路素子またはフレキシブル接続基板を搭載し、前記集積回路素子上または前記フレキシブル接続基板上にも前記絶縁被覆材を配置したことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材と前記少なくとも一方の基板との間に偏光板を配置したことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
- 前記絶縁被覆材の上に偏光板を配置したことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶表示パネル。
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