JP2000223084A - ポリマー電池用外装体 - Google Patents
ポリマー電池用外装体Info
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Abstract
を有し、電解質による影響を受けることなく長期安定性
に優れ、かつ、成形性や夾雑物シール性にも優れたポリ
マー電池用外装体。 【解決手段】 外側から、保護層20、金属箔層12、
カルボキシル基含有プロピレン系樹脂からなる変性ポリ
プロピレン層14の少なくとも3層を有する。透過性
(透湿性)がなく、極めて高い耐薬品性、耐熱性を有
し、電解質による影響を受けることなく長期安定性に優
れたものである。さらに本発明の外装体であると、成形
性や夾雑物シール性にも優れていることから、製造容易
であり、深絞り部を有するような形状にも十分対応で
き、形状の自由度が高いというポリマー電池の特長を発
揮できる。
Description
がなく、長期安定性に優れるポリマー電池用外装体に関
するものである。
電話等の電子機器のポータブル化、小型化に応じて、そ
の駆動源である電池にも小型軽量化の要求が高まり、高
性能なリチウム二次電池が普及されるに至った。しかし
ながら、近年の急激な各種電子機器の小型化(薄型
化)、軽量化に伴い、その電池に対してもさらなる小型
化(薄型化)ないし軽量化および形状の自由度が求めら
れるようになり、次世代電池として、ポリマー電池が脚
光を浴びている。ポリマー電池は、電解質として固体高
分子を用いて、正極および負極等と共に外装体の中に収
容、一体化してなるもので、リチウム電池と比しても、
より薄型化、小型化、軽量化が可能で、また、形状の自
由度が高いばかりか、折曲も可能で、また、蓄電能力な
いし充電性能が高く、耐衝撃性に優れ、しかも、製造コ
ストが安い等の特長がある。
れる外装体としては、形状の高い自由度を保ちつつ、気
体ないし水分の透過を遮断するために、アルミニウム箔
が用いられ、また、外装体をヒートシールにより袋状に
成形する為に、かつ、電解質によるアルミニウム箔の酸
化を防止する為に、そのアルミニウム箔に、通常、ポリ
オレフィン、PET、ポリアミド(ナイロン)等のフィ
ルムをラミネートしたものが用いられている。一般に、
これらのフィルムをアルミニウム箔に直接、ラミネート
することは困難であるので、ウレタン系、エポキシ系、
アクリル系、ビニル系等の接着剤が使用される。しかし
ながら、ポリマー電池の電解質に含まれる溶剤が、これ
らのラミネートフィルムを透過して接着剤を侵し、層間
剥離してしまうという問題があった。そこで、このよう
な接着剤の劣化等による不具合を回避すべく、アイオノ
マーからなる樹脂フィルムを用いて、接着剤を用いずに
接着する手段も考えられる。しかし、ポリマー電池にお
いては、様々な環境下で利用され得るように、その外装
体にも高い耐熱性が要求されており、アイオノマーは概
して耐熱性が低いことから、ポリマー電池の外装体に用
いるには適していない。また、複雑な形状にも成形可能
であるというポリマー電池の利点を活かす為、その外装
体には、深絞りにも対応できる成形性が要求され、ま
た、製造を容易にするために、夾雑物シール性も要求さ
れる。本発明は前記課題を解決するためになされたもの
で、透過性がなく、極めて高い耐薬品性、耐熱性を有
し、電解質による影響を受けることなく長期安定性に優
れ、かつ、成形性や夾雑物シール性にも優れたポリマー
電池用外装体を目的とするものである。
外装体は、外側から、保護層、金属箔層、カルボキシル
基含有プロピレン系樹脂からなる変性ポリプロピレン層
の少なくとも3層を有することを特徴とするものであ
る。カルボキシル基含有プロピレン系樹脂には、金属化
合物が配合されていることが望ましい。また、変性ポリ
プロピレン層よりも内側には、シーラント層が設けられ
ていることが望ましい。そのシーラント層としては、ポ
リプロピレンまたはポリメチルペンテンからなるものが
望ましい。さらに、シーラント層と前記変性ポリプロピ
レン層の間には、ポリプロピレン樹脂を押し出して形成
した中間層が設けられていることが望ましい。
は、図1に示すように、少なくとも、保護層20と金属
箔層12と変性ポリプロピレン層(以下、変性PP層と
略記する)14とを有してなる。金属箔層12として
は、気体や水分等の透過性がなく、薄型化が可能で、ま
た、成形性(変形容易性)があれば特に制限されるもの
ではなく、アルミニウム、ステンレス、鉄、ニッケル等
が適用できるが、アルミニウムが最適である。その厚さ
は、通常、7〜150μmであり、10〜100μmが
好ましく、特に15〜70μmが好適である。
は、カルボキシル基含有プロピレン系樹脂からなるもの
で、例えば、グラフト変性したカルボキシル基含有プロ
ピレン系樹脂からなる。具体的には、ポリプロピレンま
たはエチレン−プロピレン共重合体等のプロピレン系樹
脂に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのα,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸の1種以上がグラフト共重合した
ものである。中でも、無水マレイン酸が好ましい。α,
β−エチレン性不飽和カルボン酸は、変性されるプロピ
レン系樹脂成分の100重量部に対して0.01〜10
重量部の量を反応させることが好ましい。0.05〜5
重量部がより好ましい。0.01重量部未満では接着性
が不十分で、また、10重量部よりも多くしてもそれ以
上の接着性向上効果が期待できないからである。
系樹脂においては、金属化合物を配合することにより、
接着性をより向上できる。金属化合物としては、例え
ば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、アル
ミニウム、銅、ニッケル等の炭酸塩、硫酸鉛、酢酸塩、
酸化物、水酸化物、有機化合物等が挙げられる。これら
の金属化合物は、カルボキシル基含有プロピレン系樹脂
の100重量部に対して、0.05〜10重量部となる
量を配合することが好ましい。0.05重量部未満で
は、さらなる接着力向上効果が小さく、10重量部以上
であると、加熱溶融した際に発泡のおそれがあるからで
ある。金属化合物の配合は、カルボキシル基含有プロピ
レン系樹脂に混合分散することの他、金属イオンが配位
して塩を形成させたり、金属イオン架橋させたりしても
良い。このような金属化合物が配合されたカルボキシル
基含有プロピレン系樹脂の調製は、特に制限されるもの
ではなく、例えば、ポリプロピレンとα,β−エチレン
性不飽和カルボン酸と金属化合物とを同時に混合、加熱
したり、ポリプロピレンとα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸の加熱混合物に、金属化合物を添加、配合した
り、ポリプロピレンと金属化合物の加熱混合物に、α,
β−エチレン性不飽和カルボン酸を添加、配合したり、
または、加熱したポリプロピレンに、α,β−エチレン
性不飽和カルボン酸と金属化合物の加熱混合物を配合し
たりする方法が挙げられる。これらは、溶融法または溶
液法のいずれをも適用できる。
mが好ましいが、後述するようにシーラント層及びまた
は中間層がある場合には、1〜20μmとすることがで
きる。上述したカルボキシル基含有プロピレン系樹脂か
らなる変性PP層、または、金属化合物が配合されたカ
ルボキシル基含有プロピレン系樹脂からなる変性PP層
は、耐薬品性が極めて高く、また、耐熱性も高いことか
ら、この変性PP層と金属箔層を有する外装体は、透過
性がなく、極めて高い耐薬品性、耐熱性を有したものと
なる。さらに、上記変性PP層は、接着性に極めて優れ
たものであり、金属箔層に直接貼り合わせることができ
る。従って、接着剤を介在させる必要がなく、接着剤の
劣化等の問題が生じることがない。
適宜設けることができ、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)等のポリエステルや、ポリアミド(特
に、延伸ナイロン(ONy))などからなる保護層20
等を設けることができる。
成の外装体10でも良いが、図2に示すように、内側
に、シーラント層16がさらに設けられていることが望
ましい。このシーラント層16があることにより、外装
体をヒートシールして製袋することが容易となり、ま
た、ヒートシール強度がより高くなる。シーラント層と
しては、ヒートシール性、耐熱性、耐薬品性を有したも
のであれば、種々のフィルムを用いることができ、ポリ
プロピレン、ポリメチルペンテン(ポリ−4−メチルペ
ンテン−1)、ポリアミド、ポリエステル等を適用でき
る。中でも、耐熱性および耐薬品性が高い上に、ヒート
シール性に優れているポリプロピレンまたはポリメチル
ペンテンが望ましい。ポリプロピレンにおいては、ホモ
ポリプロピレンの他、ランダム共重合体やブロック共重
合体等の他のα−オレフィンとの共重合体を適用でき、
また特に、ヒートシール性の点からTダイフィルムが望
ましい(以下、ポリプロピレンのTダイフィルムをCP
Pと略記する)。
14とシーラント層16の間には、さらにポリプロピレ
ン樹脂からなる中間層18を設けておくことが望まし
い。この中間層におけるポリプロピレン樹脂としては、
特に制限されるものではなく、ホモポリプロピレンの
他、ランダム共重合体やブロック共重合体等の他のα−
オレフィンとの共重合体でも良い。このような中間層を
設けることにより、上記変性PP層の厚さを薄くするこ
とができ、当該変性PP層とこの中間層の厚さの合計は
20μm以下で外装体として十分良好なものとなり、特
に15μm程度(変性PP層:2μm+中間層:13μ
m)が適当である。従って、変性PP層を薄くできるの
で、コスト増を殆ど伴わずに、外装体における樹脂部分
の厚みを増加することができ、電解質による金属箔層の
酸化等をより防止できるようになる。また、上記変性P
P層からのその含有成分の移行防止効果も発揮される。
ものではなく、例えば、上述した外装体17は、下記の
ようにして製造され得る。まず、図6に示すように、押
出機40から、上記変性PP層14となるカルボキシル
基含有プロピレン系樹脂と、中間層18となるポリプロ
ピレン樹脂とを共押出しすると共に、そのカルボキシル
基含有プロピレン系樹脂側に、金属箔層12を供給し、
かつ、他方のポリプロピレン樹脂側に、シーラント層1
6となるフィルムを供給してニップロール42,44間
に送給して4層構成の積層体19を成形する。続いて、
図7に示すように、この積層体19の金属箔層12と、
ウレタン系、エポキシ系、ビニル系やアクリル系等の接
着剤が片面に塗布されてオーブン46で加熱処理された
ポリエステルフィルム20とを貼り合わせ、170〜2
00℃の熱ロール48,50にて圧接した後、60℃前
後でエージングして5層構成の外装体17が製造され
る。この熱ロールによる加熱処理によって特に金属箔層
と変性PP層の間の接着強度がより高められる。
としては、外装体以外の他の構成については、周知一般
の種々の電池の構成を適用できる。例えば、図4に示す
二次電池であるポリマー電池22は、複数枚のセル2
4,24,・・・が積層されており、その積層体が外装体
10によって包装されて概略構成されている。この例の
ポリマー電池22では、2枚のシート状の外装体10の
周縁部36がヒートシールされて、内部が密封された袋
状とされている。各セル24は、例えば図5に示すよう
に、コバルト酸リチウムや硫黄系化合物樹脂等からなる
正極合剤26と、炭素や金属リチウム等からなる負極合
剤28とがポリマー電解質である隔膜34を介在して対
向して設けられており、正極合剤26にはアルミニウム
箔等からなる正極集電体30が、負極合剤28には銅箔
等からなる負極集電体32が形成されている。正極集電
体30及び負極集電体32は、その端部が外装体10の
外部に延出しており、端子とされている。ポリマー電解
質としては、例えば、イオン導電性を示すポリエチレン
オキシド等の他、ジメトキシエタン、ジエトキシエタ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレンカーボネ
ート、プロピレンカーボネート、メチルホルメート、ジ
メチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロラクト
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート、スルホラン、エチルメチルカーボ
ネート等の有機溶媒をアクリレート系ポリマー、ポリフ
ッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニ
ル等中に担持させた固体(ゲル)電解質等が使用でき
る。上述したように、本発明の外装体は、透過性(透湿
性)がなく、極めて高い耐薬品性、耐熱性を有している
ことから、ポリマー電池用外装体として好適なものであ
る。さらに本発明の外装体であると、成形性や夾雑物シ
ール性にも優れていることから、製造容易であり、例え
ば、図4に示すような、深絞り部38を有するような形
状にも十分対応でき、形状の自由度が高いというポリマ
ー電池の特長を発揮できる。
基含有プロピレン系樹脂(「アドテックスER300」
日本ポリオレフィン(株)製)からなる変性PP層の厚
さが15μmとなるように、アルミニウム箔(厚さ20
μm)とCPPフィルム(厚さ50μm)とを貼り合わ
すようにして押出ラミネート成形した。そして、得られ
た3層構成の積層体のアルミニウム箔に、PETフィル
ム(厚さ12μm)を図7に示すようにして、ウレタン
系接着剤を用いて貼り合わせ、190℃の熱ロール4
8,50で圧接した後、60℃で72時間エージングし
た。こうして得られた2枚のシートをPETフィルムが
外側に位置するように、CPP層同士をシール幅を10
mmとして、ヒートシール(180℃、2kg/cm2
×1秒)して袋(160×120mm)を作成した。 [実施例2]CPPとして厚さが60μmのものを用い
たこと以外は実施例1と同様にして製袋した。
m)の片面に、PETフィルム(厚さ12μm)とCP
Pフィルム(厚さ70μm)を順に、アルミニウム箔の
他方の面にPETフィルム(厚さ12μm)を、ウレタ
ン系接着剤を用いてドライラミネーションして、PET
/Al/PET/CPPの4層構成のシートを作成し
た。このシートを用いて実施例1と同様にして製袋し
た。 [比較例2]アルミニウム箔(厚さ9μm)の片面に、
CPPフィルム(厚さ70μm)を、アルミニウム箔の
他方の面にONyフィルム(厚さ15μm)を、ウレタ
ン系接着剤を用いてドライラミネーションして、ONy
/Al/CPPの3層構成のシートを作成した。このシ
ートを用いて実施例1と同様にして製袋した。 [比較例3]アルミニウム箔(厚さ7μm)の片面に、
ONyフィルム(厚さ15μm)とCPPフィルム(厚
さ70μm)を順に、アルミニウム箔の他方の面にPE
Tフィルム(厚さ12μm)を、ウレタン系接着剤を用
いてドライラミネーションして、PET/Al/ONy
/CPPの4層構成のシートを作成した。このシートを
用いて実施例1と同様にして製袋した。
に、4−ブチロラクトン(BL)またはジメチルカーボ
ネート(DMC)を60cc封入し、また同様に、比較
例1〜3の各袋の中に4−ブチロラクトンを封入して、
60℃で5日間放置した。各袋について、ヒートシール
強度を測定し、溶媒の封入前と比較したヒートシール強
度の変化(保持率(%))を求めた。ヒートシール強度
は、剥離速度を300mm/分としてT型剥離により行
った。
媒封入していないものにおいては、ヒートシールしたC
PP層とCPP層の間で凝集破壊されることで剥離し
た。しかし、溶媒封入後について、比較例1では、アル
ミニウム箔とPETフィルムの間にて接着剤が侵されて
層間剥離した。比較例2では、アルミニウム箔とCPP
層の間で接着剤が侵され一部層間剥離した。比較例3で
は、ONy層とCPP層の間で接着剤が侵されて層間剥
離した。これらの結果から、本実施例の外装体による袋
であると、薬品を封入しても劣化がほとんどないのに対
して、接着剤を用いたドライラミネーションによる積層
体では耐薬品性が劣ることがわかる。従って、接着剤を
用いない本実施例のシートないしその袋であると、溶媒
によって層間剥離することがなく、耐薬品性に極めて優
れ、ポリマー電池用外装体として好適である。
マー電池用外装体は、透過性(透湿性)がなく、極めて
高い耐薬品性、耐熱性を有し、電解質による影響を受け
ることなく長期安定性に優れたものである。さらに本発
明の外装体であると、成形性や夾雑物シール性にも優れ
ていることから、製造容易であり、深絞り部を有するよ
うな形状にも十分対応でき、形状の自由度が高いという
ポリマー電池の特長を発揮できる。特に、変性ポリプロ
ピレン層として、金属化合物が配合されたカルボキシル
基含有プロピレン系樹脂を用いることで、層間剥離をよ
り防止できる。また、シーラント層を有することで、ヒ
ートシール性が向上し、特に、そのシーラント層として
ポリプロピレンまたはポリメチルペンテンを用いたTダ
イフィルムを用いることで、耐熱性、耐薬品性、ヒート
シール性をより向上できる。シーラント層と変性ポリプ
ロピレン層の間に、中間層を設けることでコスト削減、
金属箔層の酸化等をより防止できるようになる。
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 外側から、保護層、金属箔層、カルボキ
シル基含有プロピレン系樹脂からなる変性ポリプロピレ
ン層の少なくとも3層を有することを特徴とするポリマ
ー電池用外装体。 - 【請求項2】 前記変性ポリプロピレン層よりも内側
に、シーラント層が設けられていることを特徴とする請
求項1記載のポリマー電池用外装体。 - 【請求項3】 前記カルボキシル基含有プロピレン系樹
脂に、金属化合物が配合されていることを特徴とする請
求項1記載のポリマー電池用外装体。 - 【請求項4】 前記シーラント層は、ポリプロピレンま
たはポリメチルペンテンからなることを特徴とする請求
項2記載のポリマー電池用外装体。 - 【請求項5】 前記シーラント層と前記変性ポリプロピ
レン層の間に、ポリプロピレン樹脂を押し出して形成し
た中間層が設けられていることを特徴とする請求項2記
載のポリマー電池用外装体。
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JP2000223084A5 JP2000223084A5 (ja) | 2006-11-09 |
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