JP2000220188A - 排水栓装置における操作力伝達部材の固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ワイヤレリーズによる遠隔操作式の排水栓装置
において、そのワイヤレリーズを浴槽の内面側に沿って
配置したときにそのワイヤレリーズがふらついた状態と
なって入浴に際し或いは浴槽掃除の際にこれを引っ掛け
てしまうのを防止する。 【解決手段】排水栓１８と操作部３６とを浴槽１０に固
定するとともにそれらを浴槽１０の内面側に沿って配線
したワイヤレリーズ４４にて連絡する。そのワイヤレリ
ーズ４４は、操作部３６と排水栓１８との間の中間部を
吸盤５６にて浴槽１０の内面に吸着固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は浴槽等の水槽の排
水口を開閉する排水栓装置における操作力伝達部材の固
定構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】浴槽等の排水口を開閉する排水栓装置と
して、排水口部分に設けられた排水栓に対し操作部を離
隔して設け、そしてそられ排水栓と操作部とを線状の操
作力伝達部材で結んで、操作部で加えられた操作力をそ
の操作力伝達部材により排水栓に伝達してこれを開閉す
るように成した排水栓装置が従来広く用いられている。

【０００３】ここで操作力伝達部材としては所謂ワイヤ
レリーズ（又はケーブルレリーズ）と称するもの、即ち
非伸縮性且つ可撓性のアウターチューブの内部に非伸縮
性且つ可撓性のインナーワイヤを摺動可能に挿通し、そ
のアウターチューブをガイドとしてインナーワイヤを摺
動させることにより操作力を伝達する形式のものが一般
的に用いられている。

【０００４】従来、この種排水栓装置にあってはワイヤ
レリーズを水槽の外側に配置しているが、この場合ワイ
ヤレリーズの配線作業に困難を伴う問題があり、そこで
例えば浴槽においてそのワイヤレリーズを浴槽の内面側
に沿って配設(配線)することが提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのワイ
ヤレリーズを用いた、従来提案されている排水栓装置の
場合、排水栓と操作部については水槽に固定されている
もののワイヤレリーズについては非固定の状態であり、
このことから以下のような問題を生じていた。即ちこの
ワイヤレリーズは、可撓性を有しているとはいっても操
作力を伝達する必要性があることから相当な剛性を有し
ており、このためワイヤレリーズを浴槽内面に沿わせよ
うとしても、特に浴槽内面側の急角度の曲面部において
ワイヤレリーズが浴槽内面に良好に追従できずに部分的
若しくは全体的に浴槽内面から浮き上がった状態、即ち
宙ぶらりんになった状態となってしまう。

【０００６】また操作部の取付位置は浴槽によって異な
っていることから、操作部が正しい位置に取り付けられ
なかったりするとワイヤレリーズが排水栓と操作部との
間隔に対して短すぎて直線状に伸びた状態となったり、
または逆に長すぎて遊びが多くなったりし、これによっ
てもワイヤレリーズが浴槽内面から浮き上がった状態，
宙ぶらりんの状態になったりする。

【０００７】而してこのようにワイヤレリーズが部分的
又は全体的に浴槽内面から浮き上がった状態にあると、
入浴時や浴槽の掃除の際に手や足などをワイヤレリーズ
に引っ掛けてしまう恐れがある。

【０００８】特にジェットバスにおいては浴槽内への気
泡流のジェット噴射によりワイヤレリーズが浴水内部で
踊る現象を生じ、しかも浴水内のワイヤレリーズは気泡
流によって見にくい状態にあるため、その際にもワイヤ
レリーズを引っ掛け易い問題が生ずる。

【０００９】そしてこのようにワイヤレリーズを引っ掛
けてしまうと、排水栓が意図せず開いてしまったり、ワ
イヤレリーズ自体或いは排水栓や操作部への接続部分が
破損したりする問題を生じる。

【００１０】以上線状の操作力伝達部材としてワイヤレ
リーズを用いた場合について説明したが、操作力伝達部
材として他の形態のものを用いることも可能であり、こ
の場合においても同様の問題が生じ得る。また上記の問
題は特に浴槽において大きな問題となるが、浴槽以外の
水槽においても大なり小なり同様の問題が生じ得る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものである。而して請求
項１の排水栓装置における操作力伝達部材の固定構造
は、水槽の排水口を開閉する排水栓と該排水栓より離隔
して配設された操作部とを該水槽に固定するとともに、
それら排水栓と操作部とを該水槽の内面側に沿って配設
した線状の操作力伝達部材にて結び、該操作部において
加えられた操作力を該操作力伝達部材により伝達して該
排水栓を開閉させる形式の排水栓装置における該操作力
伝達部材の固定構造であって、前記操作力伝達部材の前
記操作部と排水栓との間の中間部を吸盤にて前記水槽の
内面に吸着固定したことを特徴とする。

【００１２】請求項２の固定構造は、請求項１に記載の
固定構造において、前記線状の操作力伝達部材を前記吸
盤に対して長手方向にスライド可能となしてあることを
特徴とする。

【００１３】請求項３の固定構造は、請求項１，２の何
れかに記載の固定構造において、前記操作力伝達部材を
前記吸盤に対して長手方向と直角方向に挿脱可能となし
てあることを特徴とする。

【００１４】

【作用及び発明の効果】上記のように請求項１の固定構
造は、線状の操作力伝達部材の、上記操作部と排水栓と
の間の中間部を吸盤にて水槽内面に吸着固定したもの
で、この固定構造によれば、操作力伝達部材自体が水槽
内面に固定状態となるため、入浴時や浴槽掃除の際に線
状の操作力伝達部材を引っ掛けてしまうといったことを
防ぐことができる。またジェットバスに適用した場合に
おいて、気泡流により浴水内部で操作力伝達部材が揺れ
たり踊ったりする問題も解決することができる。

【００１５】更に万一入浴等の際に操作力伝達部材を強
い力で引っ掛けてしまうようなことがあった場合には、
吸盤が水槽内面から外れることができるため、操作力伝
達部材が断線したり或いは操作部や排水栓への接続部が
破損したりするのを防ぐことができる。

【００１６】ここで上記線状の操作力伝達部材はいわゆ
るワイヤレリーズ、即ち非伸縮性且つ可撓性のアウター
チューブの内部に非伸縮性且つ可撓性のインナーワイヤ
を摺動可能に挿通した形態のものとなすことができる。

【００１７】本発明においては、上記操作力伝達部材を
吸盤に対して長手方向にスライド可能となしておくこと
ができる(請求項２)。このようにしておけば、操作力伝
達部材に遊びがあったりしてこれを引っ掛けてしまうよ
うなことがあった場合にも、操作力伝達部材がこれを水
槽内面に固定している吸盤に対して長手方向にスライド
移動することで、操作力伝達部材自体或いは排水栓等と
の接続部に過大な負荷がかかるのを防止することができ
る。

【００１８】ここで操作力伝達部材は、上記吸盤に形成
した保持孔内に挿通することで吸盤に対し長手方向にス
ライド可能となすことができる。

【００１９】本発明においてはまた、操作力伝達部材を
吸盤に対し長手方向と直角方向に挿脱可能となしておく
ことができる(請求項３)。このようにしておけば、万一
操作力伝達部材を引っ掛けてしまった場合にも操作力伝
達部材が吸盤から外れることができるため、操作力伝達
部材自体又は上記接続部等に過大な負荷がかかるのを防
止できる。

【００２０】ここで操作力伝達部材は、吸盤の保持孔に
連通する形態の割れ目を設けておくことで、その割れ目
を通じて挿脱可能となすことができる。或いは吸盤から
少なくとも一対の脚を出しておいてそれらを絡ませるこ
とで前記保持孔を形成し、それら脚の絡まりを解くこと
で操作力伝達部材を挿脱できるようにすることができ
る。

【００２１】

【実施例】次に本発明を浴槽の排水栓装置に適用した場
合の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。図１にお
いて１０は浴槽で、１２はその周壁部，１４は底部，１
６は上縁の手摺部である。

【００２２】底部１４には排水栓１８が設けられてい
る。この排水栓１８は、底部１４に形成された排水口２
０にパッキン２２を介してナット２４により取り付けら
れたフランジ付且つ円筒形状の排水口金具２６と、上昇
及び下降運動して排水口２０を開閉する栓体２８と、栓
体２８を開閉駆動する駆動部３０とを有している。

【００２３】駆動部３０は、栓体２８に固定された円筒
形状のメカボックス３２と、その内部に突出し・引込可
能に収容されたピン３４と、ピン３４を突出位置にロッ
クし又はロック解除するスラストロック機構(図示せず)
を備えている。

【００２４】この駆動部３０は、ピン３４を突き出すこ
とによってその反作用でメカボックス３２及び栓体２８
を上昇動作、即ち開栓動作させ、そしてスラストロック
機構によりその開位置に保持する一方、ピン３４の引込
動作により栓体２８を自重で下降動作、即ち閉栓動作さ
せる。

【００２５】３６は排水栓１８とは離隔して設けられた
操作部であって操作部本体３８を有しており、その操作
部本体３８が浴槽１０の周壁部１２の上部内面に固定状
態とされている。４０はその操作部３６における入力部
としての押ボタンであって、この押ボタン４０からは軸
４２が下向きに延び出している。

【００２６】４４は操作部３６において加えられた操作
力を排水栓１８の駆動部３０に伝達する線状の操作力伝
達部材としてのワイヤレリーズであって、浴槽１０の内
面に沿って配線されており、その両端が操作部３６と排
水栓１８とにそれぞれ接続されている。即ちワイヤレリ
ーズ４４が、浴槽１０の内面側において操作部３６と排
水栓１８とを結んでいる。

【００２７】このワイヤレリーズ４４は、非伸縮性且つ
可撓性のアウターチューブ４６の内部に芯材としての非
伸縮性且つ可撓性のインナーワイヤ４８を摺動可能に挿
通した形態のもので、上端側においてそのアウターチュ
ーブ４６が接続部材５０により操作部本体３８に、また
インナーワイヤ４８が押ボタン４０から延び出した軸４
２に接続固定されている。

【００２８】一方他端側においてはアウターチューブ４
６が接続部材５２により栓体２８に接続固定され、また
インナーワイヤ４８が栓体２８に形成されたガイド孔５
４を挿通して上記駆動部３０におけるピン３４に接続固
定されている。

【００２９】この排水栓装置の場合、押ボタン４０を下
向きに押込み操作すると、その操作力がワイヤレリーズ
４４を介して排水栓１８の駆動部３０に伝えられる。詳
しくはワイヤレリーズ４４におけるインナーワイヤ４８
が、位置固定のアウターチューブ４６の内部を摺動して
駆動部３０のピン３４を下向きに突出し運動させる。そ
の反作用力で栓体２８が浮き上がって排水口２０を開放
する。

【００３０】そして押ボタン４０に加えていた操作力を
除くと、この時点で駆動部３０におけるスラストロック
機構によりピン３４が突出位置にロックされ、ここにお
いて栓体２８が開位置に保持される。更に再び押ボタン
４０を下向きに押込操作すると、上記スラストロック機
構によるロックが解除されて栓体２８が閉栓動作する。

【００３１】上記ワイヤレリーズ４４には、操作部３６
と排水栓１８との間の中間位置において吸盤５６が取り
付けられており、その吸盤５６が浴槽１０の周壁部１２
内面に吸着されている。即ちワイヤレリーズ４４が、上
記中間位置において吸盤５６により浴槽１０の周壁部１
２の内面に吸着固定されている。ここで吸盤５６は軸部
５８を有していて、その軸部５８に貫通の保持孔６０が
形成されており、その保持孔６０にワイヤレリーズ４４
が長手方向にスライド可能に挿通されている。

【００３２】本例の固定構造によれば、ワイヤレリーズ
４４自体が浴槽１０の周壁部１２に固定状態となるた
め、入浴時や浴槽掃除の際にワイヤレリーズ４４を引っ
掛けてしまうといったことを防ぐことができる。またジ
ェットバスに適用した場合において、気泡流により浴水
内部でワイヤレリーズ４４が揺れたり踊ったりする問題
も解決できる。

【００３３】また万一入浴等の際にワイヤレリーズ４４
を強い力で引っ掛けてしまうようなことがあった場合に
は、吸盤５６が周壁部１２から外れることができるた
め、ワイヤレリーズ４４を断線させてしまったり或いは
操作部３６や排水栓１８への接続部５０，５２を破損さ
せたりするといったことを防ぐことができる。

【００３４】またワイヤレリーズ４４を吸盤５６に対し
て長手方向にスライド可能としてあるため、ワイヤレリ
ーズ４４を引っ掛けてしまうようなことがあった場合に
も、ワイヤレリーズ４４がこれを周壁部１２に固定して
いる吸盤５６に対して長手方向にスライド移動すること
で、ワイヤレリーズ４４自体や排水栓１８への接続部等
に過大な負荷がかかるのを防止できる。

【００３５】図２は吸盤の他の形態例を示したものであ
る。このうち図２（Ａ）の例は、吸盤５６の軸部５８
に、保持孔６０に連通する形態の割目６２を形成したも
ので、この例の場合、ワイヤレリーズ４４が吸盤５６の
保持孔６０に対して長手方向にスライド可能であるとと
もに、その割目６２を通じて長手方向と直角方向に挿脱
可能とされている。

【００３６】一方図２（Ｂ）に示すものは、一対のばね
片６４によって保持孔６０を形成するとともに、それら
ばね片６４と６４との間に保持孔６０に連通する割目６
２を形成したもので、この例においてもワイヤレリーズ
４４は保持孔６０において長手方向にスライド可能であ
るとともに、割目６２を通じて保持孔６０に対し挿脱可
能となっている。

【００３７】一方図２（Ｃ）の例は、ばね力を有する一
対の脚６６を絡めて保持孔６０を形成し、その保持孔６
０において吸盤５６をワイヤレリーズ４４に取り付ける
ようになしたもので、この例においてもワイヤレリーズ
４４は保持孔６０において長手方向にスライド可能であ
り、且つ脚６６同士の絡みを解くことで保持孔６０に対
し挿脱可能とされている。

【００３８】これらの例においては、ワイヤレリーズ４
４を吸盤に対し長手方向と直角方向に挿脱可能としてあ
るため、万一ワイヤレリーズ４４を引っ掛けてしまった
場合にもワイヤレリーズ４４が吸盤５６から外れること
ができ、ワイヤレリーズ４４自体或いは上記接続部等に
過大な負荷がかかるのを防ぐことができる。

【００３９】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示である。例えば線状の操作力伝達部材は上
記のようなワイヤレリーズに限定されるものではなく、
空気圧を操作部から駆動部へと伝達して栓体を開閉させ
る形式のもの、即ち空気管から成る形態のものであって
も良いし或いはその他の形態のものであっても良い。ま
た操作力伝達部材に対する吸盤の取付構造についても上
例以外の様々な形態が可能である。

【００４０】また上例ではピン３４の突出しによる反作
用力でメカボックス３２及び栓体２８を持ち上げるよう
にしているが、場合によってメカボックス３２を位置固
定となし、そしてピン３４を上向きに突き出すことによ
ってそのピン３４の上昇運動とともに栓体２８を上昇運
動、即ち開栓するようになすといったことも可能である
し、また上例ではワイヤレリーズ４４の操作部３６と排
水栓１８との中間部の１箇所だけを吸盤５６にて浴槽１
０の内面に吸着固定するようにしているが、２箇所又は
それ以上の箇所でこれを浴槽１０に吸着固定するように
なすことも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱し
ない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例であるワイヤレリーズの固定
構造を含む排水栓装置を示す図である。

【図２】図１における吸盤の他の形態例を示す図であ
る。

【符号の説明】

１０ 浴槽 １２ 周壁部 １８ 排水栓 ２０ 排水口 ３６ 操作部 ４４ ワイヤレリーズ ４６ アウターチューブ ４８ インナーワイヤ ５６ 吸盤 ６０ 保持孔 ６２ 割目

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水槽の排水口を開閉する排水栓と該排水
   栓より離隔して配設された操作部とを該水槽に固定する
   とともに、それら排水栓と操作部とを該水槽の内面側に
   沿って配設した線状の操作力伝達部材にて結び、該操作
   部において加えられた操作力を該操作力伝達部材により
   伝達して該排水栓を開閉させる形式の排水栓装置におけ
   る該操作力伝達部材の固定構造であって、 前記操作力伝達部材の前記操作部と排水栓との間の中間
   部を吸盤にて前記水槽の内面に吸着固定したことを特徴
   とする排水栓装置における操作力伝達部材の固定構造。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の固定構造において、前
   記線状の操作力伝達部材を前記吸盤に対して長手方向に
   スライド可能となしてあることを特徴とする排水栓装置
   における操作力伝達部材の固定構造。
3. 【請求項３】 請求項１，２の何れかに記載の固定構造
   において、前記操作力伝達部材を前記吸盤に対して長手
   方向と直角方向に挿脱可能となしてあることを特徴とす
   る排水栓装置における操作力伝達部材の固定構造。