JP2000219951A - ガス・ワイピング・ノズル - Google Patents

ガス・ワイピング・ノズル

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、付着した溶融金属めっきの取り除き
(ワイピング)能力が従来より優れ、スプラッシュが付
着せず、且つ寿命が長いばかりでなく、高速で薄目付け
が可能なガス・ワイピング・ノズルを提供することを目
的としている。 【解決手段】上下方向に走行する未凝固の溶融金属めっ
き層を付着した鋼帯の表面に対向して配置されるノズル
本体に、該溶融金属めっき層に吹き付け、その一部を吹
き払う加圧ガスを噴射するスリット状開口を有する先端
部と、前記スリット状開口へ加圧ガスを供給する水平な
ガス通路部とを備えたガス・ワイピング・ノズルにおい
て、ノズル縦断面でみて、前記先端部の肉厚を上下それ
ぞれ0〜1.0mmに、該先端部からノズル後方に向け
傾斜する上下の外壁面とガス噴射方向とのなす角を45
°以下に、前記ガス通路部の長さを前記スリット状開口
厚みの10〜40倍にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼帯表面上に付着
させた溶融金属めっきにガスを吹き付けてその一部を飛
散除去し、付着量を調整する所謂「ガス・ワイピング・
ノズル」に係わり、特に、溶融金属めっきを高速度で薄
目付けする際に有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶融金属めっき鋼板を製造する
には、図4に示すような装置が用いられる。それは、め
っき液である溶融金属(めっき浴5という)を保持する
めっき槽9と、鋼帯1を大気と遮断しつつ、該めっき浴
へ導くスナウト8と称する覆いと、めっき浴5中で鋼帯
1の進行方向を鉛直にするシンク・ロール4と、鉛直に
上昇する鋼帯1を挟み、支えるサポート・ロール2と、
めっき浴5から抜け出し、該サポート・ロール2を通過
した鋼帯表面に付着した未凝固のめっき層にガス(空
気)を吹き付け、その一部を落下させて落とし、めっき
付着厚み(量)を調整するガス・ワイパとで形成されて
いる。このガス・ワイパは、図7に示すようなガスを吹
き出すガス・ワイピング・ノズル3(以下、単にノズル
3ということが多い)に、該ノズル3から吹き出すガス
の供給手段(図示せず、ただし配管、加圧装置、ガス・
タンク等からなっている)を取り付けたものである。
【0003】ところで、かかる装置を用いて、高速で移
動している鋼帯の表面に溶融金属を薄くめっき(通常、
めっき付着量が35g/m2以下を薄目付けという)す
るには、前記ノズルの先端から鋼帯表面までの距離を短
くすると共に、ガスの圧力を高くしてその吐出速度をで
きるだけ大きくして操業している。しかし、上記したノ
ズルと鋼帯表面との間隔を短くしたり、ガス圧力を大き
くすると、付着めっき面へのガスの衝突圧も大きくな
り、スプラッシュが発生してめっき面の外観が劣化す
る。従って、前記鋼帯の移動速度は、あまり高速にでき
ず、150m/分程度に抑えられていた。そこで、もっ
と高速で薄目付が達成可能なノズル形状について以前よ
り研究開発が行なわれ、先端が鋭い形状のノズルも提案
されている。
【0004】例えば、実公昭63−39250号公報
は、図7に示すように、先端部の肉厚が3mm以下であ
り、該先端部から連続してノズル後方に傾斜する側壁面
bとノズル3からのガス噴射方向とのなす角度α(以
下、先端角度という)が30〜60°のノズルを開示し
ている。
【0005】しかしながら、このノズル3では、先端部
肉厚を1.0mm以下にした際、鋼帯面との位置合わせ
時にノズル先端が鋼帯1に衝突すると、強度がもたず、
ノズル先端部が破損する。そのため、ノズル3の上記先
端角度を小さくできないという制約があった。一方、先
端角度を単純に大きくすると、鋼帯面からめっきスプラ
ッシュが跳ね返り、ノズル先端に付着して、ノズルの開
口(通常、水平方向にスリット状になっている)を塞ぐ
という問題があり、結局のところ鋼帯1の移動速度(ラ
イン速度)を向上させることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑み、付着した溶融金属めっきの取り除き(ワイピン
グ)能力が従来より優れ、スプラッシュが付着せず、且
つ寿命が長いばかりでなく、高速で薄目付けが可能なガ
ス・ワイピング・ノズルを提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため鋭意研究し、その成果を本発明に具現化し
た。
【0008】すなわち、本発明は、上下方向に走行する
未凝固の溶融金属めっき層を付着した鋼帯の表面に対向
して配置されるノズル本体に、該溶融金属めっき層に吹
き付け、その一部を吹き払う加圧ガスを噴射するスリッ
ト状開口を有する先端部と、前記スリット状開口へ加圧
ガスを供給する水平なガス通路部とを備えたガス・ワイ
ピング・ノズルにおいて、ノズル縦断面でみて、前記先
端部の肉厚を上下それぞれ0〜1.0mmに、該先端部
からノズル後方に向け傾斜する上下の外壁面とガス噴射
方向とのなす角を45°以下に、前記ガス通路部の長さ
を前記スリット状開口厚みの10〜40倍にしてなるこ
とを特徴とするガス・ワイピング・ノズルである。
【0009】また、本発明は、前記先端部の肉厚を上下
それぞれ0mmに、該先端部からノズル後方に傾斜する
上下の外壁面先端を曲線形状としてなることを特徴とす
るガス・ワイピング・ノズルである。
【0010】さらに、本発明は、上下方向に走行する未
凝固の溶融金属めっき層を付着した鋼帯の表面に対向し
て配置されるノズル本体に、該溶融金属めっき層に吹き
付ける加圧ガスを噴射するスリット状開口を有する先端
部と、前記スリット状開口へ加圧ガスを供給する水平な
ガス通路部とを備えたガス・ワイピング・ノズルにおい
て、ノズル縦断面でみて、前記先端部の肉厚を上下それ
ぞれ0〜1.0mmに、該先端部からノズル後方に向け
傾斜する上下の外壁面とガス噴射方向とのなす角を、前
記ガス通路の長さが5mm分だけ30〜80°、残り分
を45°以下で先端側の角度が大きい段付きに、前記ガ
ス通路部の長さを前記スリット状開口厚みの10〜40
倍にしてなることを特徴とするガス・ワイピング・ノズ
ルでもある。
【0011】本発明によれば、付着した溶融金属めっき
の取り除き能力(以下、ワイピング力という)が従来よ
り優れ、スプラッシュが付着しなくなるので、ノズルの
寿命が長いばかりでなく、高速で薄目付けが可能にな
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯も
まじえ、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】まず、発明者は、種々の形状を有するノズ
ル3を多数試作し、他の条件をすべて同一として実際に
使用することで、前記ワイピング力に与えるノズル形状
の影響を調査した。その結果、図5に示すように、ワイ
ピング力に関しては、ノズル縦断面において先端部の上
下面厚みが薄い方が良いことがわかった。また、ノズル
先端の外面壁角度がワイピング力に及ぼす影響はほとん
どないこともわかった。しかし、その角度は、ノズル外
壁面へのスプラッシュ付着を抑制するには、小さい方が
良いようであった。
【0014】そこで、発明者は、先端部の肉厚をできる
だけ0mmに近ずけ、且つその先端部が鋼帯1との接触
で破壊しない程度の強度を保つようにするのが、ノズル
3の形状として理想的と考え、具体的な形状を模索し、
その成果を本発明としたのである。
【0015】その一例が、図1に示すように、ノズル縦
断面でみて、前記先端部の肉厚10を上下それぞれ0〜
1.0mmの範囲とし、該先端部からノズル後方に向け
傾斜する上下の外壁面とガス噴射方向とのなす角を45
°以下にすると共に、前記水平なガス通路部11の長さ
を前記スリット状開口厚み12の10〜40倍にしたも
のである。その理由は、先端部の肉厚10が1.0mm
未満で、且つ外壁面とガス噴射方向とのなす角が45°
超えでは、従来のノズル3のワイピング力と変らないか
らである。また、水平なガス通路部11の長さを前記ス
リット状開口厚み12の10〜40倍としたのは、図6
に示すように、スリット状開口厚み12の10〜40倍
の間では、長い方がワイピング力が強いためである。4
0倍を超えて長くなると、圧力損失が大きくなり、ガス
が円滑に供給できなくなる。そのため、本発明では、水
平なガス通路部11の長さは、該スリット状開口厚み1
2の15〜20倍程度が好ましい。
【0016】また、本発明は、図2に示すようなノズル
形状も含むことにした。つまり、先端を0〜1.0mm
とし、かつ先端の強度を保つために、先端部からノズル
後方に向け傾斜する上下の外壁面とガス噴射方向とのな
す角を、前記水平なガス通路部11の長さが5mm分だ
け30〜80°、残り分を45°以下で先端側の角度が
大きい段付きにしたものである。なお、この場合も、前
記ガス通路部11の長さを前記スリット状開口厚み12
の10〜40倍にすることが好ましい。なお、本発明
で、水平なガス通路部11長さの5mmのところで段付
きとしたのは、ノズルへのスプラッシュ付着防止のため
である。さらに、本発明は、図3に示すように、先端部
肉厚を0mmとし、ノズル後方に傾斜する上下の外壁面
先端を曲線形状としたものでも良い。かかる形状でも、
先端部の強度が維持でき、且つワイピング力が大きいか
らである。
【0017】
【実施例】連続溶融亜鉛めっき装置(ライン)に図1〜
3に示した本発明に係るガス・ワイピング・ノズルある
いは従来のノズルを配設して、溶融亜鉛めっき鋼板を製
造した。めっき浴の組成は、Zn;99.78%,A
l;0.140%,Fe;0.08%で、めっき浴の温
度は、450℃とした。各ノズルの仕様は、表1に示す
通りであり、これらのノズルから、めっき浴を通過して
きた幅1500mmの極低炭素鋼の鋼帯にN2 ガスを噴
射させ、めっき層の厚みを調整した。なお、めっき層厚
みの目標値は、30g/m2 で、所謂「薄目付」に相当
する。また、ノズル先端と鋼帯面までの距離は5mmと
した。
【0018】
【表1】
【0019】各ノズルでの操業成績を表2に一括して示
す。表2によれば、本発明に係るノズル3は、いずれも
従来のノズルに比べてワイピング力がほぼ10%向上し
ている。その結果、鋼帯1の移動速度(ライン速度)を
従来より20%高めて、薄目付製品が製造できるように
なった。また、ライン速度を高めても、ワイピング力の
向上でガス吐出圧を従来より10〜15%ほど低くする
ことができるようになったので、操業中のスプラッシュ
発生量が減少し、いずれのノズル3を使用した製品も、
外観がきれいになり、めっき品質欠陥に起因した歩留の
低下が解消できた。なお、本発明に係るノズル3は、先
端の肉厚10は薄いが、ある程度の強度が維持できる形
状としたので、鋼帯1との接触で損耗することがなく、
寿命の延長が期待できる。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、付着
した溶融金属めっきの取り除き能力(ワイピング力)が
従来より優れ、スプラッシュが付着しないガス・ワイピ
ング・ノズルが提供できるようになった。その結果、ノ
ズルの寿命が従来より長くなったばかりでなく、高速で
溶融金属めっきの鋼帯への薄目付けができるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス・ワイピング・ノズルの形状
を示す縦断面図である
【図2】図1とは別の本発明に係るガス・ワイピング・
ノズルの形状を示す縦断面図である。
【図3】図1及び図2とは別の本発明に係るガス・ワイ
ピング・ノズルの形状を示す縦断面図である。
【図4】一般的な連続溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置を
示す図である。
【図5】ワイピング力と先端肉厚との関係を示す図であ
る。
【図6】水平なガス通路部長さとワイピング力との関係
を示す図である。
【図7】従来のガス・ワイピング・ノズルの形状を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1 鋼帯 2 サポート・ロール 3 ガス・ワイピング・ノズル 4 シンク・ロール 5 溶融金属めっき浴(めっき浴) 6 ガス通路 7 上下面 8 スナウト 9 めっき槽 10 先端部の肉厚 11 水平なガス通路部 12 スリット状開口厚み
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢島 弘之 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4F042 AA22 DD33 DD34 4K027 AA02 AA22 AB42 AC52 AD21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向に走行する未凝固の溶融金属め
    っき層を付着した鋼帯の表面に対向して配置されるノズ
    ル本体に、該溶融金属めっき層に吹き付け、その一部を
    吹き払う加圧ガスを噴射するスリット状開口を有する先
    端部と、前記スリット状開口へ加圧ガスを供給する水平
    なガス通路部とを備えたガス・ワイピング・ノズルにお
    いて、 ノズル縦断面でみて、前記先端部の肉厚を上下それぞれ
    0〜1.0mmに、該先端部からノズル後方に向け傾斜
    する上下の外壁面とガス噴射方向とのなす角を45°以
    下に、前記ガス通路部の長さを前記スリット状開口厚み
    の10〜40倍にしてなることを特徴とするガス・ワイ
    ピング・ノズル。
  2. 【請求項2】 前記先端部の肉厚を上下それぞれ0mm
    に、該先端部からノズル後方に傾斜する上下の外壁面先
    端を曲線形状としてなることを特徴とする請求項1記載
    のガス・ワイピング・ノズル。
  3. 【請求項3】 上下方向に走行する未凝固の溶融金属め
    っき層を付着した鋼帯の表面に対向して配置されるノズ
    ル本体に、該溶融金属めっき層に吹き付ける加圧ガスを
    噴射するスリット状開口を有する先端部と、前記スリッ
    ト状開口へ加圧ガスを供給する水平なガス通路部とを備
    えたガス・ワイピング・ノズルにおいて、 ノズル縦断面でみて、前記先端部の肉厚を上下それぞれ
    0〜1.0mmに、該先端部からノズル後方に向け傾斜
    する上下の外壁面とガス噴射方向とのなす角を、前記ガ
    ス通路の長さが5mm分だけ30〜80°、残り分を4
    5°以下で先端側の角度が大きい段付きに、前記ガス通
    路部の長さを前記スリット状開口厚みの10〜40倍に
    してなることを特徴とするガス・ワイピング・ノズル。
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