JP2000219822A - 金属板用水性塗料組成物、および表面処理方法 - Google Patents

金属板用水性塗料組成物、および表面処理方法

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JP2000219822A JP11095197A JP9519799A JP2000219822A JP 2000219822 A JP2000219822 A JP 2000219822A JP 11095197 A JP11095197 A JP 11095197A JP 9519799 A JP9519799 A JP 9519799A JP 2000219822 A JP2000219822 A JP 2000219822A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な耐食性、成形加工性、耐傷付き性に加
え、UV硬化型塗料、UV硬化型インキまたはUV硬化
型接着剤の良好な密着性を与える皮膜を形成することが
できる金属板用水性塗料組成物の提供。 【解決手段】 (A)乾燥フィルムの伸長度が100%
以上のポリウレタン樹脂(ただし下記(C)を除く)、
(B)少なくとも1つのエチレン性二重結合を有する合
成樹脂(ただし下記(C)を除く)、(C)少なくとも
1つのエチレン性二重結合を有する、乾燥フィルムの伸
長度が100%以上のポリウレタン樹脂において、
(C)単独、または(A)(B)および(C)から選ば
れる2種以上、および水を必須成分として含有し、光重
合開始剤を含有しない金属板用水性塗料組成物、および
それを用いる金属板表面処理方法。上記組成物は、さら
に(D)水分散性ワックスまたは(E)モース硬度が
2.5以上の水不溶性微粒子を特定量含有していても良
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板用水性塗料
組成物およびそれを用いた金属板の表面処理方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、金属板表面に塗布して
皮膜を形成させた際に、UV硬化型塗料、UV硬化型イ
ンキまたはUV硬化型接着剤の良好な密着性、耐食性、
成形加工性、耐傷付き性を与える皮膜を形成させること
ができる水性塗料組成物、およびそれを用いた金属板の
表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板、例えばアルミニウムまたはアル
ミニウム合金板を用いた加工品や成形物は従来から幅広
い分野で利用されており、またそれらの表面に成形加工
性、耐食性、耐傷付き性等を付与する目的で樹脂皮膜を
形成する技術が数多く存在する。例えば特開平8−12
7735号公報は、アルミニウム表面にクロメート皮膜
を設け、該クロメート皮膜上に水分散型ポリウレタン樹
脂、ケイ素化合物粒子および潤滑剤からなる潤滑皮膜を
形成してなる潤滑処理用アルミニウム板を開示してお
り、特開平7−228828号公報は、樹脂中にポリエ
チレンワックス粒子を分散させた組成物を用いて樹脂皮
膜を形成することによって作製した、潤滑性に優れ、強
加工のプレス成形を可能とした耐食性に優れる樹脂塗装
アルミニウム合金材を開示している。また、特開平7−
195031号公報は、優れた成形性と耐傷付き性を具
備させ得る表面処理アルミニウム板材料として、アルミ
ニウム合金板材に粒径0.1μm以下のSiO2を5〜
40%および潤滑剤を5〜60%含有する塗料が0.5
〜10μmの厚さで塗布されており、摩擦係数が0.1
5以下に制御された表面処理アルミニウム板材料を開示
している。
【0003】これらの従来技術による金属板は、いずれ
もワックス粒子等の潤滑剤を含有させた樹脂皮膜を形成
させることによって、良好な成形加工性や耐食性等を付
与させた材料であるが、成形後の塗装密着性について
は、例えば特開平7−228828号公報ではピンホー
ルによるアンカー効果、特開平8−127735号公報
では、特に潤滑処理剤中のケイ素化合物粒子の粒径、潤
滑剤の種類、配合量および樹脂系ワックスの粒径の組合
せを特定すること、特開平7−195031号公報で
は、表面に形成させる皮膜の量を制限することにより確
保されるとしている。
【0004】近年、溶剤排出規制への対応や、作業上の
利点から、上塗り塗料やインキにUV硬化型のものを使
用する例が増加している。しかしUV硬化型の上塗り
は、ラジカル重合を伴うため、硬化前後の体積収縮率が
大であり、その結果硬化塗膜には大きな内部応力が残留
することになる。そのため従来の溶剤系または水系の上
塗りと比較して、UV硬化型の上塗りは基材への密着性
は低く、UV硬化型上塗りを意識した基材設計が必要に
なる場合が多々ある。先に例示した従来技術によって処
理した板材表面もUV硬化型上塗りの密着性が劣る場合
が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた通り、金
属板の表面に成形加工性、耐食性、耐傷付き性等を付与
する目的で樹脂皮膜を形成する従来の表面処理方法で
は、UV硬化型上塗りの密着性を満足する皮膜が得られ
ていない。本発明はこの問題を解決することを目的とし
て、金属板、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合
金板の表面に適用可能な、塗膜が、上記諸特性に加え
て、良好なUV硬化型上塗り密着性を示す水性塗料組成
物、およびそれを用いた金属板の表面処理方法を提供し
ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明は、 (A)乾燥フィルムの伸長度が100%以上のウレタン
樹脂(ただし下記(C)を除く) (B)少なくとも1つのエチレン性二重結合を有する合
成樹脂(ただし下記(C)を除く) (C)少なくとも1つのエチレン性二重結合を有する、
乾燥フィルムの伸長度が100%以上のウレタン樹脂 において、(C)単独、または(A)(B)および
(C)から選ばれる2種以上、および水を含有し、光重
合開始剤を含有しない金属板用水性塗料組成物に関す
る。また、本発明は上記金属板用水性塗料組成物を効果
的に使用するための方法である、上記金属板用水性塗料
組成物を金属板表面に塗布後乾燥し、さらにその表面の
全部または一部にUV硬化型塗料、UV硬化型インキま
たはUV硬化型接着剤の皮膜を形成させることを特徴と
する金属板の表面処理方法に関する。上記組成物および
表面処理方法を用いる場合には、良好な成形加工性、良
好な耐食性および良好な耐傷付き性に加え、良好なUV
硬化型上塗り密着性が得られる。上記組成物および方法
において、該組成物が(D)水分散性ワックスを全固形
分中0.1〜20重量%の範囲内で含有する場合には、
上記諸特性に加え、強度の成形加工における良好な成形
加工性が得られ、また(E)モース硬度が2.5以上の
水不溶性微粒子を、全固形分中30重量%以下の範囲内
で含有する場合には、上記諸特性に加え、より良好な耐
傷付き性が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の内容を詳しく説
明する。本発明において、(A)乾燥フィルムの伸長度
が100%以上のポリウレタン樹脂とは、その水分散液
を支持板上に塗布し、24時間室温乾燥し、ついで12
0℃×10分追加乾燥して得られる乾燥フィルム(15
0μm厚×10mm幅)を300mm/minで引っ張
り、破断したときの伸長度が100%以上であるポリウ
レタン樹脂をいうものとする。該伸長度が100%を下
回る場合は、塗布乾燥後に金属板を加工する場合の変形
追従性が劣り、加工部に亀裂が入りやすくなることによ
り耐食性の低下を招くため好ましくない。また、該伸長
度の上限は特に制限されるものではないが、800%を
超える場合は一般に皮膜硬度が低すぎるものとなり、耐
傷付き性の点で実用範囲が狭くなるため、該伸長度は8
00%以下であることが好ましい。
【0008】上記でポリウレタン樹脂としては、上記伸
長度を満足する限り、一般のポリウレタン樹脂を使用す
ることができる。すなわち本発明の上記ポリウレタン樹
脂は、イソシアネート基を2個以上(通常2個)有する
ポリイソシアネートと水酸基を2個以上(通常2個)有
するポリオールとの重付加反応によって得られるポリウ
レタン樹脂であることができる。
【0009】上記でポリイソシアネートとしては、芳香
族、脂環式および脂肪族ポリイソシアネートが挙げら
れ、具体的には、芳香族ポリイソシアネートとしてはト
リレンジイソシアネート(TDI)(2,4−または
2,6−TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)(4,4´−または2,4´−MDI)、ポ
リメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XD
I)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)(通常
1,5−NDI)、パラフェニレンジイソシアネート
(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネー
ト(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TOD
I)、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフェニレン
ジイソシアネート等が、脂環式ポリイソシアネートとし
てはジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMD
I)(4,4´−または2,4´−HMDI)、イソホ
ロンジイソシアネート(IPDI)、イソプロピリデン
ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IP
C)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XD
I)、シクロヘキシレンジイソシアネート(CHPI)
(通常1,4−CHPI)、1,5−テトラヒドロナフ
タレンジイソシアネート等が、脂肪族ポリイソシアネー
トとしてはヘキサメチレンジイソシアネート(HD
I)、リジンジイソシアネート(LDI)、テトラメチ
レンジイソシアネート等が挙げられる。
【0010】上記でポリオールとしては、通常(ポリ)
アルキレングリコール、ポリエステルポリオール、C−
C結合を主鎖とするポリオールおよびその他のポリオー
ルが挙げられる。
【0011】ここで(ポリ)アルキレングリコールとし
ては、(ポリ)エチレングリコール(エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
等)、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピ
レングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,2−ブチレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレン
グリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。ポリエステ
ルポリオールとしては、上記のような(ポリ)アルキレ
ングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノール
A、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量
のポリオールと、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレ
ンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多
塩基酸との重縮合によって得られる末端に水酸基を有す
るポリエステルポリオールが挙げられる。
【0012】C−C結合を主鎖とするポリオールとして
は、例えば、メチル(メタ)アクリレート−ビニルアル
コール共重合体、両末端に水酸基を有するポリオレフィ
ン(両末端に水酸基を有するポリエチレン、ポリプロピ
レン等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分もしく
は完全加水分解物等が挙げられる。その他のポリオール
としては、例えば、ビスフェノールA、水添ビスフェノ
ールA、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げ
られる。
【0013】本発明で使用する(A)の乾燥フィルムの
伸長度が100%以上のポリウレタン樹脂の分子量は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場
合、500〜1,000,000程度であることが好ま
しい。
【0014】(A)の乾燥フィルムの伸長度が100%
以上のポリウレタン樹脂としては、市販品である、ハイ
ドランHW−340(ポリエステルポリオール系ポリウ
レタン樹脂の水分散液、伸長度280%、大日本インキ
化学工業株式会社製)、ハイドランHW−312B(ポ
リアルキレングリコール系ポリウレタン樹脂の水分散
液、伸長度700%、大日本インキ化学工業株式会社
製)、ハイドランHW−950(ポリエステルポリオー
ル系ポリウレタン樹脂の水分散液、伸長度120%、大
日本インキ化学工業株式会社製)、パーマリンUA−1
10(ポリアルキレングリコール系ポリウレタン樹脂の
水分散液、伸長度500%、三洋化成工業株式会社
製)、パーマリンUA−310(ポリエステルポリオー
ル系ポリウレタン樹脂の水分散液、伸長度420%、三
洋化成工業株式会社製)等を用いることも可能である。
【0015】本発明で使用する、(B)の少なくとも1
つのエチレン性二重結合を有する合成樹脂としては、少
なくとも1つの、好ましくは2つ以上のエチレン性二重
結合を有する、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリウレタン系樹脂等の合成樹脂やジアリルフタレート
系樹脂が挙げられる。
【0016】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するエポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA、ビス
フェノールFまたは水添ビスフェノールA、またはビス
フェノールA、ビスフェノールFおよび水添ビスフェノ
ールAの任意の組合せの混合物とエピクロルヒドリンと
の重縮合および重付加によって生成した両末端エポキシ
基のビスフェノール型エポキシ樹脂に、エチレン性二重
結合含有モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタア
クリル酸、クロトン酸等)がエポキシ基とカルボキシル
基との間の反応により付加した、ビスフェノール型エポ
キシ樹脂系エチレン性二重結合含有樹脂、代表的には上
記でビスフェノールAおよび(メタ)アクリル酸を使用
して得られる下記一般式で表されるビスフェノールA型
エポキシ樹脂系エチレン性二重結合含有樹脂が挙げられ
る。
【0017】
【化1】
【0018】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂系エチ
レン性二重結合含有樹脂の分子量は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーで測定した場合、600〜1,
000,000程度のものが好ましい。
【0019】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリエステル系樹脂としては、不飽和ジカルボン酸
もしくはその無水物(マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、無水マレイン酸、無水フマル酸等)とグリコール
(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3
−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジ
もしくはトリエチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、水添ビスフェノールA等)とを重縮合して得られ
る通常の不飽和ポリエステル樹脂を用いることができ
る。また不飽和ポリエステル樹脂としては、上記不飽和
ジカルボン酸の一部がフタル酸、イソフタル酸、コハク
酸等で代替された不飽和ポリエステル樹脂であっても良
い。
【0020】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリエステル系樹脂としては、また、グリシジル
(メタ)アクリレートとアルカン二酸(コハク酸、アジ
ピン酸等)もしくはその無水物またはアルケン二酸(マ
レイン酸、フマル酸等)もしくはその無水物とをグリシ
ジル基とカルボキシル基との間で重付加および重縮合さ
せるかもしくは単に重付加させて得られる樹脂を用いる
ことができる。少なくとも1つのエチレン性二重結合を
有するポリエステル系樹脂としては、また、下記一般式
で表されるメタクリル酸二量体−ポリオール共重合体を
用いることができる。
【0021】
【化2】
【0022】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリエステル系樹脂としては、また、下記一般式で
表されるプロキシル化ビスフェノールAフマラートポリ
エステル樹脂の2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン
変性体を用いることができる。
【0023】
【化3】
【0024】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリエステル系樹脂としては、また、フタル酸もし
くはイソフタル酸またはその無水物とグリコール(エチ
レングリコール、プロピレングリコール等)とを重縮
合、または重付加および重縮合させて得られる、両末端
がOH基の共重合体を(メタ)アクリル酸で少なくとも
片末端をエステル化して得られる樹脂を用いることがで
きる。
【0025】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリエステル系樹脂としては、また、前記不飽和ポ
リエステル樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを
該不飽和ポリエステル樹脂の末端OH基もしくは末端カ
ルボキシル基とグリシジル基との間で反応させて得られ
る樹脂を用いることができる。
【0026】上述したような、少なくとも1つのエチレ
ン性二重結合を有するポリエステル系樹脂の分子量は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場
合、1,000〜100,000程度であることが好ま
しい。
【0027】次に少なくとも1つのエチレン性二重結合
を有するポリウレタン系樹脂としては、一般にイソシア
ネート基を2個以上(通常2個)有するポリイソシアネ
ートと活性水素基を2個以上(通常2個)有するポリオ
ールとの重付加反応によって得られる、両末端がNCO
基のポリウレタン樹脂と1分子中にエチレン性二重結合
とOH基とを併有する化合物とをNCO基とOH基との
間で反応させて得られる樹脂を用いることができる。
【0028】かかるポリイソシアネートおよびポリオー
ルとしては、上記(A)の乾燥フィルムの伸長度が10
0%以上のウレタン樹脂の説明で述べたポリイソシアネ
ートおよびポリオールをそれぞれ用いることができる。
【0029】1分子中にエチレン性二重結合とOH基と
を併有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、
2−ヒドロキシエチル−o−キシリレン(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル−o−キシリレン(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエ
ーテル等が挙げられる。
【0030】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリウレタン系樹脂としては、また、下記一般式で
表されるヒドロキシエチルフタリルメタクリレートをキ
シリレンジイソシアネートでウレタン化したものを用い
ることができる。
【0031】
【化4】
【0032】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリウレタン系樹脂としては、また、下記一般式で
表されるトリメチロールプロパンジアリルエーテルをト
リレン−2,4−ジイソシアネートでウレタン化したも
のを用いることができる。
【0033】
【化5】
【0034】少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
するポリウレタン系樹脂の分子量は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーで測定した場合、600〜1,
000,000程度であることが好ましい。
【0035】(B)の少なくとも1つのエチレン性二重
結合を有する合成樹脂としては、さらに、少なくとも1
つのエチレン性二重結合を有する、ポリビニルアルコー
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸
系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合系
樹脂、シリコーン樹脂等も用いることができる。
【0036】(B)の少なくとも1つのエチレン性二重
結合を有する合成樹脂であるジアリルフタレート系樹脂
としては、ジアリルフタレートまたはジアリルイソフタ
レートの単独重合体もしくは両者の共重合体を用いるこ
とができる。ジアリルフタレート系樹脂の分子量は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場
合、2,000〜1,000,000程度であることが
好ましい。
【0037】(C)の少なくとも1つのエチレン性二重
結合を有する、乾燥フィルムの伸長度が100%以上の
ウレタン樹脂としては、上記(B)の説明で述べた、少
なくとも1つのエチレン性二重結合を有するウレタン系
樹脂中、乾燥フィルムの伸長度が100%以上のものを
用いることができる。(C)の市販品としては、R−5
000(ポリウレタンアクリレート水分散液、伸長度3
40%、第一工業製薬株式会社製)等を用いることがで
きる。
【0038】樹脂(A)、(B)および(C)の相互比
率については、樹脂(A)+(B)+(C)を基準とし
て、(A)+(C)が50〜100重量%で、かつ
(B)+(C)が0.1〜100重量%であることが必
要である。(A)+(C)が50重量%未満であると、
成形加工時に求められる皮膜表面の滑り性、耐磨耗性が
不十分となり、(B)+(C)が0.1重量%未満であ
ると、UV硬化型塗料、インキまたは接着剤の密着性が
不十分となる。(A)+(C)は好ましくは60〜10
0重量%であり、(B)+(C)は好ましくは5〜10
0重量%である。
【0039】本発明の金属板用水性塗料組成物中での樹
脂(A)、(B)および(C)の合計の濃度について
は、特に制限はないが、低すぎると塗布したときに必要
な塗膜を形成させることが困難になり、高すぎると組成
物を水分散液に維持することが困難になるので、組成物
全体に対し5〜70重量%程度、さらには10〜60重
量%程度が適当である。
【0040】本発明の金属板用水性塗料組成物は光重合
開始剤を含有しない。なお、本発明で光重合開始剤と
は、エチレン性二重結合を有するモノマーの重合や架橋
を開始するラジカル重合活性種またはイオン重合活性種
を露光、特に紫外線への暴露によって生成する物質をい
うものとする。UV硬化型塗料、インキまたは接着剤は
少なくとも使用時に光重合開始剤を含有しているが、そ
れによる連鎖重合時に、本発明組成物から形成される下
塗り塗膜中の二重結合を関与せしめて、塗膜間の密着性
を確保しようとするのが本発明の狙いである。
【0041】かかる樹脂(C)単独または樹脂(A)、
(B)および(C)の2種以上を含有し、光重合開始剤
を含有しない本発明の金属板用水性塗料組成物を金属板
に塗布することにより得られる塗膜は、良好な成形加工
性、良好な耐食性および良好な耐傷付き性に加え、良好
なUV硬化型上塗り密着性を示す。
【0042】樹脂(C)単独または樹脂(A)、(B)
および(C)の2種以上を含有する本発明の金属板用水
性塗料組成物がさらに(D)水分散性ワックスを全固形
分中0.1〜20重量%の範囲内で含有する場合には、
形成される塗膜は、良好な上記諸特性に加え、金属板の
屈曲曲げ、絞り、打ち抜きなどの強度の成形加工時にも
良好な潤滑性を示し、金属板に良好な成形加工性を与え
る。
【0043】水分散性ワックスの例としては、パラフィ
ンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタン
ワックス、カルナウバワックス、糠ロウ、木ロウ、ミツ
ロウ、鯨ロウ、ラノリン、脂肪酸アミドワックス、サゾ
ールワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレ
ンワックス等が挙げられる。これらの中で好ましいもの
はポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスで
ある。水分散性ワックスは粒子状のものを、物理的手
法、化学的手法またはそれらを併用した手法により水中
に分散して使用し、また水中に分散したものが市販され
ている。
【0044】この水分散性ワックスの含有量は、本発明
の金属板用水性塗料組成物中の、それ自身も含めた全固
形分中の0.1〜20重量%の範囲内であることが必要
である。水分散性ワックスの全固形分中の含有量が20
重量%を超える場合には、UV硬化型上塗り密着性の低
下や皮膜強度の不足が生じてくるため好ましくない。ま
た、該含有量が0.1重量%未満の場合には、強度の成
形加工の場合に、被処理金属板に不十分な成形加工性し
か与えられなくなる。なお、本発明において全固形分と
は樹脂(A)、(B)および(C)、水分散性ワックス
(D)およびモース硬度が2.5以上の水不溶性微粒子
(E)の合計をいうものとする。
【0045】樹脂(C)単独または樹脂(A)、(B)
および(C)の2種以上を含有する本発明の金属板用水
性塗料組成物がさらに(E)モース硬度が2.5以上の
水不溶性微粒子を、全固形分中5〜30重量%の範囲内
で含有する場合には、形成される塗膜は、良好な成形加
工性、良好な耐食性、良好な耐傷付き性および良好なU
V硬化型上塗り密着性を示すことに加え、金属板にさら
に良好な耐傷付き性を与える。
【0046】モース硬度が2.5を下回る場合、耐傷付
き性の向上効果は認められない。また、モース硬度が7
を超える場合には、耐傷付き性はさらに良好となるが、
表面処理後の成形加工に用いる金型の材質によってはそ
の表面を損傷する場合が出てくる恐れがあるため、モー
ス硬度は好ましくは2.5〜7の範囲内である。
【0047】かかる水不溶性微粒子は、上記モース硬度
条件を満たしている限り、特に制限されないが、具体例
としては、珪藻土、シリカ、アルミナ、石英、二酸化チ
タン、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、鉄、ニッケ
ル、ステンレス、酸化鉄、金属酸化物、アルミニウム等
が挙げられる。
【0048】また、この水不溶性微粒子含有量は、本発
明の金属板用水性塗料組成物中の、それ自身も含めた全
固形分中の30重量%以下であることが必要である。こ
の含有量が30重量%を超える場合には、該組成物をを
用いて皮膜形成した金属板の屈曲曲げ、絞り、打ち抜き
等の成形加工時の潤滑性や皮膜の強度が劣ってくるため
好ましくない。また、この含有量が5重量%未満の場合
は、外的要因により表面に傷が付くのを防ぐ効果が十分
でない場合が出てくる可能性があるため、水不溶性微粒
子の含有量は、5〜30重量%であることが好ましい。
【0049】本発明の金属板用水性塗料組成物には、さ
らに必要に応じて体質顔料、着色剤、導電剤、レベリン
グ剤、消泡剤、沈降防止剤、増粘剤等の公知の各種添加
剤を含有させることができる。
【0050】本発明の金属板用水性塗料組成物を調製す
るに際しては、上記各成分を水に分散させれば良い。水
としては脱イオン水等を用いることができる。本発明で
使用する樹脂(A)、(B)および(C)や水分散性ワ
ックスが水分散液として利用できる場合には、そのまま
用いることができる。
【0051】本発明の金属板用水性塗料組成物は、冷延
鋼板、熱延鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛系やアルミニウ
ム系の各種めっき鋼板、アルミニウムまたはアルミニウ
ム合金板等の各種金属板に適用される。これらの金属板
は、通常、溶剤系洗浄剤、アルカリまたは酸性の水系洗
浄剤によって清浄化し、ついで、必要に応じて、耐食
性、上塗り密着性、加工密着性等を付与する目的で、公
知のクロメート処理、リン酸鉄処理、リン酸亜鉛処理、
リン酸チタン処理、リン酸ジルコン処理、有機皮膜処理
等の下地処理を行う。
【0052】ついで本発明組成物を金属板表面に塗布す
るが、この塗布は、ロールコート、ディップコート、バ
ーコート、フローコート、スプレーコート、刷毛塗り等
によって行うことができる。塗布後、塗膜の乾燥を行う
が、この乾燥は自然乾燥もしくは加熱乾燥による溶媒の
揮発をもって完了すべきで、光重合開始剤を用いるUV
硬化を行ってはならない。光重合開始剤を用いるUV硬
化を行うと、本発明の水性塗料組成物が含有するエチレ
ン性二重結合部位が反応・結合に費やされてしまい、上
塗りUV硬化型塗料、インキまたは接着剤の密着性を向
上し得なくなるからである。
【0053】乾燥皮膜量は、最終用途により異なるが、
おおよそ0.3〜20g/m2が適切である。0.3g
/m2を下回る場合、本発明の目的とする良好な上塗り
密着性、良好な成形加工性、良好な耐食性および良好な
耐傷付き性のすべてを達成することができない。20g
/m2を上回る場合、加工性が不十分となりまた経済的
でない。
【0054】本発明の金属板用水性塗料組成物によって
形成された皮膜を有する表面には、さらにその表面の全
部または一部に、UV硬化型塗料、インキまたは接着剤
の皮膜を形成させることで、意匠性、識別性、耐食性、
接着性等の機能を付与することができる。UV硬化型塗
料、インキまたは接着剤としては、通常使用されるもの
を、特別の制限なく、用いることができる。なお、UV
硬化とは、紫外線の化学エネルギーを利用し、塗料やイ
ンキや接着剤等を光重合させ、短時間に硬化乾燥させる
方法であり、塗料やインキや接着剤に含まれる感光性分
子が光重合開始剤の存在下で紫外線を吸収し、重合・固
化する方法である。すなわち、UV硬化型塗料、インキ
または接着剤とは、該方法の適用を前提とした、感光性
高分子と光重合開始剤とを含有する塗料、インキまたは
接着剤である。
【0055】また、本発明の水性塗料組成物によって形
成された皮膜を有する金属板は、多くの場合、曲げ、深
絞り、押し出し、パンチング等の加工が施され、最終用
途の家電用、自動車用等の部品となる。
【0056】
【作用】本発明の金属板用水性塗料組成物が含有する乾
燥フィルムの伸長度が100%以上のポリウレタン樹脂
は、被塗物である金属板表面に塗布後、乾燥されること
によりポリウレタン樹脂皮膜を形成し、成形加工時に求
められる皮膜表面の滑り性、耐摩耗性等を付与する。そ
の際、本発明の水性塗料組成物が含有する、少なくとも
1つのエチレン性二重結合を有する合成樹脂はポリウレ
タン樹脂と絡み合っており、形成されたポリウレタン樹
脂皮膜中に固定されて含まれることとなる。また、少な
くとも1つのエチレン性二重結合を有する、乾燥フィル
ムの伸長度が100%以上のポリウレタン樹脂が使用さ
れる場合には上記固定状況がそのもの自体で生じてい
る。ここで、本発明の水性塗料組成物は光重合開始剤を
含有しないため、被塗物表面で皮膜となった時点でも、
依然エチレン性二重結合を有している。そのため皮膜表
面にも少なからずエチレン性二重結合が存在しており、
光重合開始剤と紫外線、および重合の相手となるエチレ
ン性二重結合が存在すれば、光反応を起こすことができ
るのである。このような表面に、やはりエチレン性二重
結合を有するモノマーもしくはオリゴマーを主成分とす
るUV硬化型インキや塗料を塗布し、紫外線を照射して
硬化すると、UV硬化型塗料、インキまたは接着剤が含
有する光重合開始剤の働きによりエチレン性二重結合が
重合を開始し、連鎖反応により、本発明の水性塗料組成
物による下地皮膜中のエチレン性二重結合との結合を交
えながら、UV硬化型塗料、インキまたは接着剤が高分
子化し、上塗り硬化が完了する。このようにして形成さ
れたUV硬化型上塗り皮膜は、層間に強力な化学結合を
有するものとなり、良好な密着性を発揮できるのであ
る。
【0057】また、本発明で使用する水分散性ワックス
は、本発明の金属板用水性塗料組成物の使用目的に応じ
て適宜含有させる。含有させることが必要なのは、例え
ば深絞り成形加工等の強度の加工に供される場合等であ
り、形成される皮膜表面あるいは内部にあって、低変形
抵抗、低表面エネルギーといった特性を与え、成形加工
性をより向上させる。一般に、表面にワックス類が存在
する場合、低い表面エネルギーとなる上、表面脆弱層的
に存在するため上塗りの密着性は劣る傾向となる。しか
しながら、本発明においては水分散性ワックスを用いて
いるため、形成された皮膜表面の二次元構造は、点在す
るワックス粒子の空隙から本発明の水性塗料組成物が含
有する、乾燥フィルムの伸長度が100%以上のポリウ
レタン樹脂と少なくとも1つのエチレン性二重結合を有
する合成樹脂とが絡み合って形成された皮膜表面、また
は少なくとも1つのエチレン性二重結合を有する、乾燥
フィルムの伸長度が100%以上のポリウレタン樹脂か
ら形成された皮膜表面が露出しており、露出面にはエチ
レン性二重結合が存在するため光反応を起こすことがで
き、水分散性ワックスの存在下であってもやはり上塗り
塗膜との間に強力な化学結合を形成することができ、良
好な密着性を発揮できるのである。
【0058】さらに、本発明の水性塗料組成物にモース
硬度が2.5以上の水不溶性微粒子を、全固形分中30
重量%以下の範囲内で含有させた場合、水分散性ワック
スの場合と同様に、形成された皮膜表面の二次元構造
は、点在する該水不溶性微粒子の空隙から本発明の水性
塗料組成物が含有する、乾燥フィルムの伸長度が100
%以上のポリウレタン樹脂と少なくとも1つのエチレン
性二重結合を有する合成樹脂とが絡み合って形成された
皮膜表面、または少なくとも1つのエチレン性二重結合
を有する、乾燥フィルムの伸長度が100%以上のポリ
ウレタン樹脂から形成された皮膜表面が露出しているも
のとなって良好な密着性を発揮できる上、鋭利な物体が
接触しても該水不溶性微粒子が接触して皮膜に傷が付く
のを防止できるのである。
【0059】
【実施例】以下実施例を比較例と共に挙げ、本発明の内
容をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実
施例により限定されるものではない。実施例、比較例に
おける試験法は次の通りである。
【0060】1.金属板用水性塗料組成物 表1に実施例および比較例に用いた金属板用水性塗料組
成物の内容を示す。これらの金属板用水性塗料組成物は
それぞれ、脱イオン水をマグネチックスターラーで発泡
しない程度に強撹拌しながら(A)→(B)→(C)→
(D)→(E)の順序で順次添加し、他方(A)+
(B)+(C)の濃度をいずれも25重量%とすること
により調製した。なお、光重合開始剤を添加した例で
は、これを塗布直前(すなわち(E)の後)に添加し
た。
【0061】
【表1】
【0062】<表1の説明> ポリウレタン樹脂(A) ハイドランHW−340 商品名、大日本インキ化学工業(株)製、ポリエステル
系ポリウレタン水分散体、伸長度280% ハイドランHW−312B 商品名、大日本インキ化学工業(株)製、ポリエーテル
系ポリウレタン水分散体、伸長度700% ハイドランHW−950 商品名、大日本インキ化学工業(株)製、ポリエステル
系ポリウレタン水分散体、伸長度120% パーマリンUA−110 商品名、三洋化成工業(株)製、ポリエーテル系ポリウ
レタン水分散体、伸長度500% パーマリンUA−310 商品名、三洋化成工業(株)製、ポリエステル系ポリウ
レタン水分散体、伸長度420% ハイドランHW−350 商品名、大日本インキ化学工業(株)製、ポリエステル
系ポリウレタン水分散体、伸長度10%
【0063】エチレン性二重結合含有合成樹脂(B) ラロマーLR8765 商品名、BASF Japan製、脂肪族エポキシ樹脂
系エチレン性二重結合含有樹脂 ニューフロンティアPET−3 商品名、第一工業製薬(株)製、ポリエステル系エチレ
ン性二重結合含有樹脂 エチレン性二重結合含有ポリウレタン樹脂(C) R−5000 商品名、第一工業製薬(株)製、ポリウレタン系エチレ
ン性二重結合含有樹脂、伸長度340%
【0064】水分散性ワックス(D) ワックスa ケミパールW−950、商品名、三井化学(株)製、ポ
リエチレン系ワックス水分散体 ワックスb ヘキストワックスPED522、商品名、ヘキストジャ
パン(株)製、酸化ポリエチレン系ワックス 水不溶性微粒子(E) 微粒子a シリチンZ−89、商品名、ホフマンミネラル社製、モ
ース硬度7.0の粒子と2.5の粒子との混合物 微粒子b デントールWK200、商品名、大塚化学(株)製、モ
ース硬度4.0〜5.0 微粒子c クラライトマイカ600−W、商品名、(株)クラレ
製、モース硬度2.5 光重合開始剤 開始剤a ESACURE KIP100F、商品名、Frate
lliLanberti s.p.a製、ヒドロキシケ
トンオリゴマー光重合開始剤
【0065】2.表面処理方法 1)試験体と下地処理 A)アルミニウム合金板 市販のA−5052アルミニウム板テストピース(板厚
1.0mm)を、以下に示す仕様で前処理したものを用
いた。 脱脂:日本パーカライジング(株)製「ファインクリ
ーナー4498SK」を用い、55℃で10秒間スプレ
ー脱脂を行った。 水洗:水道水を用い、15秒間スプレー水洗を行っ
た。 クロメート処理:日本パーカライジング(株)製「ア
ルクロム K−702」を用い、55℃で7秒間スプレ
ー処理し、表面Cr付着量15mg/m2のクロメート
処理を行った。 水切り乾燥:電気オーブンにて80℃で5分間水切り
乾燥を行った。
【0066】B)亜鉛めっき鋼板 市販の電気亜鉛めっき鋼板テストピース(目付20/2
0g/m2、板厚0.8mm)を、以下に示す仕様で前
処理したものを用いた。 脱脂:日本パーカライジング(株)製「ファインクリ
ーナー4336」を用い、60℃で20秒間スプレー脱
脂を行った。 水洗:水道水を用い、15秒間スプレー水洗を行っ
た。 クロメート処理:日本パーカライジング(株)製「ジ
ンクロム357」を用い、50℃で5秒間スプレー処理
し、表面Cr付着量15mg/m2のクロメート処理を
行った。 水切り乾燥:電気オーブンにて80℃で5分間水切り
乾燥を行った。
【0067】2)表面処理 表1に示した金属板用水性塗料組成物を用い、上記下地
処理を施された試験板に以下の方法により表面処理を行
った。 実施例1 水性塗料組成物aをエアスプレーコートにより、乾燥皮
膜重量が5.0g/m 2となるように塗布した後、電気
オーブンで120℃×2分の乾燥を行った。(試験板:
アルミニウム合金板) 実施例2 水性塗料組成物bをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が0.6g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで230℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板) 実施例3 水性塗料組成物cをバーコートにより、乾燥皮膜重量が
3.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブン
で120℃×2分の乾燥を行った。(試験板:アルミニ
ウム合金板) 実施例4 水性塗料組成物dをディップコートにより、乾燥皮膜重
量が1.0g/m2となるように塗布した後、電気オー
ブンで120℃×2分の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板)
【0068】実施例5 水性塗料組成物eをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで230℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板) 実施例6 水性塗料組成物fをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで120℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:亜鉛
めっき鋼板) 実施例7 水性塗料組成物gをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が1.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで180℃×2分の乾燥を行った。(試験板:アルミ
ニウム合金板) 実施例8 水性塗料組成物hをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで120℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板)
【0069】比較例1 水性塗料組成物iをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで230℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板) 比較例2 水性塗料組成物jをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで120℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板) 比較例3 水性塗料組成物kをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで230℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:亜鉛
めっき鋼板) 比較例4 水性塗料組成物lをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで120℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板) 比較例5 水性塗料組成物mをロールコートにより、乾燥皮膜重量
が2.0g/m2となるように塗布した後、電気オーブ
ンで230℃×20秒の乾燥を行った。(試験板:アル
ミニウム合金板) 比較例6 表面処理を行わなかった。(試験板:アルミニウム合金
板)
【0070】3.試験方法 1)UV硬化型上塗り印刷性 上塗り剤:「RIG BLACK No.10」(SE
IKOADVANCE(株)製 塗布方法:#240シルクスクリーン、ベタ印刷 硬化方法:UV(ランプ出力120W/cm)照射8秒
間 評価方法:上塗り印刷後の試験片表面にセロテープを貼
付・密着後、急激に剥離した後の印刷面を観察し、以下
の判定基準に基づいて判定、評価した。 ○…インキ剥離無し △…一部インキ剥離有り ×…全
面剥離 2)耐食性 評価方法:試験片に2tのハゼ折り加工を施し、沸騰水
道水中に30分間浸漬し、加工部の外観観察により以下
の判定基準に基づいて判定、評価した。 ○…黒変なし △…若干黒変有り ×…明らかに黒変 3)表面潤滑性 評価方法:バウデン式摩擦摩耗試験機を用いて表面動摩
擦係数(μ[−])を測定、評価した。 4)耐傷付き性 評価方法:JIS−K−5400で規定される鉛筆引っ
掻き試験を行い、目立つ傷が付いた時点での鉛筆硬度で
評価した。 以上の試験手順で評価を行った結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】表2の結果から明らかなように、本発明の
金属板用水性塗料組成物を用いた実施例1〜8は、UV
硬化型上塗りの密着性、耐食性共に優れ、表面潤滑性、
耐傷付き性も良好である。また、表面潤滑性のさらなる
向上のために水分散性ワックスを含有させた実施例6に
おいても、また耐傷付き性のさらなる向上のために水不
溶性微粒子を含有させた実施例7においても、さらには
表面潤滑性のさらなる向上のための水分散性ワックスと
耐傷付き性のさらなる向上のための水不溶性微粒子の双
方を含有させた実施例7においても、上塗り密着性、耐
食性への悪影響は認められず、良好な性能を示した。
【0073】これに対して、比較例1は、エチレン性二
重結合を有する樹脂((B)、(C))を使用していな
いため、上塗り密着性が十分でなかった。比較例2は、
光重合開始剤を添加したため、UV硬化性上塗りを塗布
する前に皮膜中のエチレン性二重結合が光重合起こした
か、またはUV硬化性上塗りの硬化時に自身が含有する
エチレン性二重結合同士の反応に多くが費やされたた
め、表面のエチレン性二重結合が十分でなく、その結果
上塗り密着性が劣ったものである。比較例3は、伸長度
が100%未満のポリウレタン樹脂を用いたため、耐食
性が劣るものとなった。比較例4は、水分散性ワックス
を固形分中20重量%を超えて含有させたため、上塗り
密着性、耐食性共に劣ったものである。比較例5は、水
不溶性微粒子を固形分中30重量%を超えて含有させた
ため、皮膜強度が失われ、性能が劣った例である。比較
例6は、本発明の表面処理を行わなかったため、表面潤
滑性が極端に劣り、いかなる軽加工でも塗油なしでは成
形できないレベルである。
【0074】
【発明の効果】本発明の金属板用水性塗料組成物を用い
て得られる金属板の処理表面は、ポリウレタン樹脂の特
性により、成形加工時に求められる皮膜表面の滑り性が
付与されており、さらにエチレン性二重結合を有する合
成樹脂がポリウレタン樹脂と絡み合い固定されて含まれ
るかポリウレタン樹脂自身がエチレン性二重結合を有
し、かつ該組成物が光重合開始剤を含有しないため、U
V硬化型塗料、インキまたは接着剤を塗布し紫外線を照
射して硬化したときに、皮膜の持つエチレン性二重結合
との結合を交えながらUV硬化型塗料、インキまたは接
着剤が高分子化し、良好な密着性を示す。また、使用目
的に応じて水分散性ワックスを適宜使用すれば、深絞り
成形加工等の強度の加工に供することが可能な表面潤滑
性を与えつつも、点在するワックス粒子の空隙で上塗り
と接触し、本発明の水性塗料組成物による下塗り皮膜が
有するエチレン性二重結合の働きにより、良好な密着性
を維持するという効果を併せ持つことができる。さらに
モース硬度が2.5以上の水不溶性微粒子を添加するこ
とにより、上記と同様に良好な密着性を維持しつつ、鋭
利な物体が接触しても該水不溶性微粒子が接触して皮膜
に傷が付くのを防止することが可能であるという優れた
特長を有する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)乾燥フィルムの伸長度が100%以
    上のポリウレタン樹脂(ただし下記(C)を除く) (B)少なくとも1つのエチレン性二重結合を有する合
    成樹脂(ただし下記(C)を除く) (C)少なくとも1つのエチレン性二重結合を有する、
    乾燥フィルムの伸長度が100%以上のポリウレタン樹
    脂 において、(C)単独、または(A)(B)および
    (C)から選ばれる2種以上、および水を必須成分とし
    て含有し、光重合開始剤を含有しない金属板用水性塗料
    組成物。
  2. 【請求項2】 (D)水分散性ワックスを全固形分中
    0.1〜20重量%の範囲内で含有する、請求項1記載
    の金属板用水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 (E)モース硬度が2.5以上の水不溶
    性微粒子を、全固形分中30重量%以下の範囲内で含有
    する、請求項1または2記載の金属板用水性塗料組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の金属板
    用水性塗料組成物を金属板表面に塗布後乾燥し、さらに
    その表面の全部または一部にUV硬化型塗料、UV硬化
    型インキまたはUV硬化型接着剤の皮膜を形成させるこ
    とを特徴とする金属板の表面処理方法。
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