JP2000219006A - 車輪軸受装置 - Google Patents

車輪軸受装置

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JP2000219006A JP11020499A JP2049999A JP2000219006A JP 2000219006 A JP2000219006 A JP 2000219006A JP 11020499 A JP11020499 A JP 11020499A JP 2049999 A JP2049999 A JP 2049999A JP 2000219006 A JP2000219006 A JP 2000219006A
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Hideji Tajima
英児 田島
Hisashi Otsuki
寿志 大槻
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホイール及びブレーキロータが固定される車
輪取付けフランジの面振れを最小限に抑制して、ブレー
キジャダや異音の発生しない高品質の自動車の車輪軸受
装置を提供すること。 【解決手段】 車輪軸受装置の内方部材2の外周面に直
接形成した車輪取付けフランジ側の転走面13aに、熱
処理によって焼き入れ加工を行う場合に、焼き入れ硬化
層20の熱影響層が、シールランド部12を越えて、車
輪取付けフランジ6に設けられるハブボルト9のボルト
孔10に達しないようにして、ハブボルト9の圧入によ
る車輪取付けフランジ6の変形を防止した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ホイール及びブ
レーキロータが固定される車輪取付けフランジの面振れ
が最小限に抑制された高品質の自動車等の車輪軸受装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の車輪軸受装置には、駆動輪用の
ものと、非駆動輪用のものとがあり、それぞれ種々の型
式のものがある。
【0003】図9に示す自動車の車輪軸受装置は、駆動
輪用のものの一例であり、内周に複列の転走面16a、
16bを有する外方部材4と、その各々の転走面16
a、16bに対向する転走面13a、13bを有する内
方部材2と、上記外方部材4と内方部材2との間に介在
する複列の転動体3a、3bとからなり、内方部材2に
車輪取付けフランジ6を設けている。
【0004】上記内方部材2の車輪取付けフランジ6に
は、ブレーキロータの固定面5が形成されている。ま
た、内方部材2には、内周に駆動軸を嵌合するスプライ
ン8が形成された軸部7を有する。
【0005】上記軸部7の外周面には、インナー側に向
かって、シール11aを装着するシールランド部12
と、内方部材2の複列の転走面13a、13bのうちの
アウター側の転走面13aと、インナー側の転走面13
bを形成した別体の内輪14を嵌める肩部15とが一体
に形成されている。
【0006】上記外方部材4は、内周に複列の転走面1
6a、16bを直接形成した外輪17によって構成され
ている。この外輪17は、車輌ボディから延びるナック
ルに取付けられている。内方部材2と外方部材4の間に
介在する複列の転動体3a、3bの両側には、シール1
1a、11bが設けられている。上記外輪17の外面に
は、ナックルに固定するボルト孔18を有するフランジ
19が直接形成されている。なお、車輪軸受装置におい
て、車輪取付けフランジ側をアウター側とし、その反対
側をインナー側とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に、アウター側の転走面13aを内方部材2に直接形成
する場合、転走面13aには焼き入れ硬化層20を形成
する必要があるため、内方部材2の外周面を熱処理によ
って焼き入れ加工している。
【0008】従来、この内方部材2の外周面の熱処理を
行った場合、上記転走面13aの焼き入れ硬化層20の
熱影響層がシールランド部12を超えて、車輪取付けフ
ランジ6に設けられるハブボルトのボルト孔10に達し
ている。
【0009】ところが、上記のように、車輪取付けフラ
ンジ6のボルト孔10に達する範囲で、焼き入れ硬化層
20の熱影響層がある場合、ボルト孔10にハブボルト
9を圧入すると、車輪取付けフランジ6に歪が加わり、
車輪取付けフランジ6の面振れが大きくなる。
【0010】車輪取付けフランジ6の面振れが大きい
と、固定面5にボルト24によってブレーキロータ1を
固定した場合に、ブレーキロータ1の面振れの原因とな
り、これがブレーキジャダや異音の発生につながるとい
う問題がある。
【0011】そこで、この発明は、車輪取付け用フラン
ジの面振れを最小限に抑制して、ブレーキジャダや異音
の発生しない高品質の車輪軸受装置を提供しようとする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、内周に複列
の転走面を有する外方部材と、その各々の転走面に対向
する転走面を有する内方部材と、上記外方部材と内方部
材の間に介在する複列の転動体と、上記内方部材に車輪
取付けフランジを設けた車輪軸受装置において、上記内
方部材の転走面のうち少なくとも車輪取付けフランジ側
の転走面を内方部材に直接形成し、該車輪取付けフラン
ジ側の転走面に施される焼き入れ硬化層の熱影響層を、
上記車輪取付けフランジに設けられるハブボルトのボル
ト孔に達しない範囲に止めたのである。
【0013】車輪取付けフランジのハブボルトのボルト
孔に焼き入れ硬化層の熱影響層が達していなければ、ハ
ブボルトを圧入しても、歪による上記車輪取付けフラン
ジの変形を極力防止でき、その結果、車輪取付けフラン
ジの面振れを最小限に抑制することができる。
【0014】上記内方部材の車輪取付けフランジ側の転
走面の焼き入れ硬化層の深さを、最深部で0.7〜4m
mの範囲とし、上記内方部材の車輪取付けフランジ側の
転走面と車輪取付けフランジ間に設けられたシールラン
ド部の焼き入れ硬化層の深さを最深部で0.3〜2mm
の範囲にすることにより、焼き入れ硬化層の熱影響層
を、車輪取付けフランジのボルト孔に達しない範囲に止
めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に示す自動車の車輪軸受装置
は、駆動輪用の車輪軸受装置であって、この発明の第1
の実施例である。
【0016】図1に示す車輪軸受装置は、ブレーキロー
タ1と共に、ホイールが装着される車輪取付けフランジ
6を有する内方部材2と、この内方部材2を複列の転動
体3a、3bを介して回転自在に支持する外方部材4と
によって構成されている。
【0017】上記内方部材2は、ブレーキロータ1の固
定面5を有する車輪取付けフランジ6と、内周に駆動軸
を嵌合するスプライン8が形成された軸部7とを有す
る。また、上記車輪取付けフランジ6には、ホイールを
固定するハブボルト9が圧入されるボルト孔10が形成
されている。なお、符号24は、ブレーキロータ1の固
定用のボルトを示している。
【0018】上記内方部材2の軸部7の外周面には、イ
ンナー面に向かって、シール11aを装着するシールラ
ンド部12と、アウター側の転動体3aの転走面13a
と、インナー側の転動体3bの転走面13bを形成した
別体の内輪14を嵌める肩部15とが一体に形成されて
いる。
【0019】上記外方部材4は、内周に複列の転走面1
6a、16bが直接形成された外輪17からなる。この
外輪17は、車輌ボディから延びるナックルに取付けら
れ、複列の転走面16a、16bの両側には、シール1
1a、11bが装着されるようになっている。上記外輪
17の外面には、ナックルに固定するボルト孔18を有
するフランジ19が直接形成されている。
【0020】上記内方部材2の軸部7の外周面に直接形
成された転走面13aには、熱処理によって、図2に示
すように焼き入れ硬化層20が形成されている。
【0021】熱処理は、高周波加熱によって行うことが
でき、焼き入れ硬化層20の熱影響層が、シールランド
部12を越えて、車輪取付けフランジ6に形成されたハ
ブボルト9のボルト孔10に達しないように、その深さ
が規制されている。
【0022】その深さは、転走面13aが最深部で0.
7〜4mmの範囲となり、シールランド部12が転走面
13aよりも浅く、最深部で0.3〜2mmの範囲にな
るように規制されている。
【0023】次に、図3に示す自動車の車輪軸受装置
は、駆動輪用の車輪軸受装置であって、この発明の第2
の実施例であり、上記第1の実施例において、別体の内
輪14に形成したインナー側の転走面13bを、アウタ
ー側の転走面13aと共に、内方部材2の外周に直接形
成した例である。この例では、図4に示すように、内方
部材2の外周に直接形成したアウター側とインナー側の
転走面13a、13bが熱処理によって焼き入れされ、
この焼き入れ硬化層20の熱影響層が、シールランド部
12を越えて、車輪取付けフランジ6に形成されたハブ
ボルト9のボルト孔10に達しないように止められてい
る。
【0024】また、図5に示す自動車の車輪軸受装置
は、内方部材2を等速自在継手25の外輪と一体に形成
した駆動輪用の車輪軸受装置であって、この発明の第3
の実施例であり、この実施例の場合も、インナー側の転
走面13bをアウター側の転走面13aと共に、内方部
材2の外周に直接形成している。この例では、図6に示
すように、等速自在継手25の外輪と一体に形成された
内方部材2の外周の転走面13a、13bを焼き入れす
る際に、その焼き入れ硬化層20の熱影響層が、シール
ランド部12を越えて、車輪取付けフランジ6に形成さ
れたハブボルト9のボルト孔10に達しないようにして
いる。
【0025】次に、図7に示す自動車の車輪軸受装置
は、非駆動輪用の車輪軸受装置であって、この発明の第
4の実施例である。
【0026】図7に示す車輪軸受装置は、ブレーキロー
タ1と共に、ホイールが装着される車輪取付け用フラン
ジを有する内方部材2と、この内方部材2を複列の転動
体3a、3bを介して回転自在に支持する外方部材4と
によって構成されている。
【0027】上記内方部材2は、ブレーキロータ1の固
定面5を有する車輪取付けフランジ6と、この車輪取付
けフランジ6から軸方向に沿ってインナー側に延びる軸
部7とが形成されている。
【0028】上記車輪取付けフランジ6には、ホイール
を固定するハブボルト9が圧入されるボルト孔10が形
成されている。なお、符号24は、ブレーキロータ1の
固定用のボルトを示している。
【0029】上記内方部材2の軸部7の外周面には、イ
ンナー側に向かって、シール11aを装着するシールラ
ンド部12と、アウター側の転動体3aの転走面13a
と、インナー側の転動体3bの転走面13bを形成した
別体の内輪14を嵌める肩部15とが一体に形成されて
いる。上記軸部7のインナー側の端部には、ねじ部21
が形成されており、ナット22で締結することにより、
内輪14を固定して、予圧によって軸受剛性を得てい
る。
【0030】上記外方部材4は複列の転走面16a、1
6bが直接形成された外輪17からなる。この外輪17
には、車輌ボディから延びるナックルに固定するボルト
孔18を有するフランジ19が直接形成されている。
【0031】上記外方部材4の複列の転走面16a、1
6bのアウター側には、シール11aが装着され、イン
ナー側はハブキャップ23を設けて封止している。
【0032】上記内方部材2の軸部7の外周面に形成さ
れた転走面13aには、熱処理によって、図8に示すよ
うに焼き入れ硬化層20が形成されている。
【0033】熱処理は、上記第1の実施例の場合と同様
に、高周波加熱によって行うことができ、焼き入れ硬化
層20の熱影響層が、シールランド部12を越えて、車
輪取付けフランジ6に形成されたハブボルト9のボルト
孔10に達しないように、その深さが規制されている。
【0034】その深さは、転走面13aが最深部で0.
7〜4mmの範囲となり、シールランド部12が転走面
13aよりも浅く、最深部で0.3〜2mmの範囲にな
るように規制されている。
【0035】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、車輪
取付けフランジのブレーキロータの固定面の面振れを抑
制することができるので、ブレーキジャダや異音の発生
がない高品質の自動車の車輪軸受装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る車輪軸受装置の第1の実施例を
示す断面図
【図2】上記第1の実施例の内方部材の断面図
【図3】この発明に係る車輪軸受装置の第2の実施例を
示す断面図
【図4】上記第2の実施例の内方部材の断面図
【図5】この発明に係る車輪軸受装置の第3の実施例を
示す断面図
【図6】上記第3の実施例の内方部材の断面図
【図7】この発明に係る車輪軸受装置の第4の実施例を
示す断面図
【図8】上記第4の実施例の内方部材の断面図
【図9】従来例の断面図
【符号の説明】
1 ブレーキロータ 2 内方部材 3a、3b 転動体 4 外方部材 5 ブレーキロータの固定面 6 車輪取付けフランジ 7 軸部 8 スプライン 9 ハブボルト 10 ボルト孔 11a シール 12 シールランド部 13a、13b 転走面 14 内輪 15 肩部 16a、16b 転走面 17 外輪 18 ボルト孔 19 フランジ 20 焼き入れ硬化層 21 ねじ部 22 ナット 23 ハブキャップ 24 ボルト 25 等速ジョイント

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周に複数の転走面を有する外方部材
    と、その各々の転走面に対向する転走面を有する内方部
    材と、上記外方部材と内方部材との間に介在する複列の
    転動体と、上記内方部材に車輪取付けフランジを設けた
    車輪軸受装置において、上記内方部材の転走面のうち少
    なくとも車輪取付けフランジ側の転走面を内方部材に直
    接形成し、該車輪取付けフランジ側の転走面に施される
    焼き入れ硬化層の熱影響層を、上記車輪取付けフランジ
    に設けられるハブボルトのボルト孔に達しない範囲に止
    めたことを特徴とする車輪軸受装置。
  2. 【請求項2】 上記車輪取付けフランジ側転走面の焼き
    入れ硬化層の深さを、最深部で0.7〜4mmの範囲と
    し、該転走面と車輪取付けフランジ間に設けられたシー
    ルランド部の焼き入れ硬化層の深さを0.3〜2mmの
    範囲としたことを特徴とする請求項1記載の車輪軸受装
    置。
  3. 【請求項3】 上記外方部材の内周に、転走面が直接形
    成されている請求項1又は2項に記載の車輪軸受装置。
  4. 【請求項4】 上記内方部材の外周に、車輪取付けフラ
    ンジと反対側の転走面が直接形成されている請求項1〜
    3のいずれかの項に記載の車輪軸受装置。
  5. 【請求項5】 上記内方部材に駆動軸を取付ける請求項
    1〜4のいずれかの項に記載の車輪軸受装置。
  6. 【請求項6】 上記内方部材が、等速ジョイントの外輪
    と一体に形成されている請求項1〜5のいずれかの項に
    記載の車輪軸受装置。
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