JP2008168797A - 駆動車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外側継手部材に所望の軸力を負荷し、大きな捩れが生じてもスティックスリップ音の発生を防止した駆動車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】ハブ輪1に等速自在継手3がトルク伝達手段を介して結合され、このトルク伝達手段が、軸部20の外周に凸歯22aが形成された嵌合プロファイル22と、ハブ輪1の内周に凹溝24aが形成された嵌合プロファイル24で構成され、係合する凸歯22aと凹溝24aが負の圧力角を有する断面略台形に形成され、歯面に軸方向に傾斜角が形成されると共に、結合手段が鋼板製で断面略L字状に形成された結合環26で構成され、内周に複数の突起29が形成されて未焼入れの軸部20の端部に嵌着される円筒部26aと、この端部に鍔部26bと、径方向外方に傾斜して延びるフランジ部26cを有し、これが弾性変形してハブ輪1に当接し、軸部20に所定の軸力が付与されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両の駆動車輪を回転自在に支承する駆動車輪用軸受装置に関するもので、詳しくは、軸受部と等速自在継手とを着脱自在にユニット化すると共に、外側継手部材に所望の軸力を負荷し、大きな捩れが生じてもスティックスリップ音の発生を防止した駆動車輪用軸受装置に関する。
自動車等の車両のエンジン動力を車輪に伝達する動力伝達装置は、エンジンから車輪へ動力を伝達すると共に、悪路走行時における車両のバウンドや車両の旋回時に生じる車輪からの径方向や軸方向変位、およびモーメント変位を許容する必要があるため、エンジン側と駆動車輪側との間に介装されるドライブシャフトの一端を摺動型の等速自在継手を介してディファレンシャルに連結し、他端を固定型の等速自在継手を含む駆動車輪用軸受装置を介して車輪に連結している。
この駆動車輪用軸受装置として従来から種々の構造のものが提案されているが、例えば図10に示すようなものが知られている。この駆動車輪用軸受装置は、駆動輪(図示せず)を一端部に装着するハブ輪51と、このハブ輪51を回転自在に支承する複列の転がり軸受52、およびハブ輪51に連結され、ドライブシャフト(図示せず)の動力をハブ輪51に伝達する固定型の等速自在継手53を備えている。
ハブ輪51は、一端部に駆動輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ54を一体に有し、外周に内側転走面51aと、この内側転走面51aから軸方向に延びる円筒状の小径段部51bが形成されている。複列の転がり軸受52は、外周に懸架装置(図示せず)に固定される車体取付フランジ55bを一体に有し、内周に複列の外側転走面55a、55aが一体に形成された外方部材55と、この外方部材55に複列のボール56、56を介して内挿された内方部材57とからなる。
内方部材57は、ハブ輪51と、このハブ輪51の小径段部51bに圧入され、外周に内側転走面58aが形成された別体の内輪58とからなる。そして、ハブ輪51の小径段部51bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部51cにより、ハブ輪51に対して内輪58が軸方向に固定されている。
等速自在継手53は、カップ状のマウス部59と、このマウス部59の底部をなす肩部60と、この肩部60から軸方向に延びる軸部61とを一体に有する外側継手部材62を備えている。そして、ハブ輪51にこの外側継手部材62がトルク伝達可能に内嵌されている。すなわち、ハブ輪51の内周に雌スプライン63が形成されると共に、外側継手部材62の軸部61の外周に雄スプライン64が形成され、両スプライン63、64が噛合されている。
ハブ輪51の内周面の外端部には係止段部65が形成されると共に、この係止段部65に対応する軸部61の先端部には係止溝66が形成され、この係止溝66に予め止め輪67が装着されている。外側継手部材62の軸部61がハブ輪51に内嵌される際、止め輪67が縮径しながら雌スプライン63内を通過する。そして、ハブ輪51の加締部51cと肩部60との間に軸方向のすきまが残存する位置で止め輪67が係止段部65に整合し、この状態で、その直径が弾性的に復元して止め輪67が係止段部65と係止溝66との間に掛け渡し自在となり、ハブ輪51と外側継手部材62とが軸方向に分離可能に結合されている。また、外側継手部材62の肩部60にはシールリング68が外嵌され、このシールリング68のリップが加締部51cの内端面に当接して加締部51cと肩部60とのすきまを塞いでいる。
ここで、雄スプライン64は、内端側に向う程円周方向に関する幅が広くなるテーパスプライン歯とされている。一方、雌スプライン63は、外端側に向う程円周方向に関する幅が広くなるテーパスプライン歯とされている。そして、雄スプライン64が雌スプライン63に挿入されるに伴って歯面が密着して円周方向にガタツキなく係合される。
さらに、ハブ輪51の開口部に塞ぎ部材となるキャップ69が装着されている。このキャップ69の中心部には円形の通孔69aが形成されると共に、軸部61の外端面の中心部にねじ孔61aが形成されている。そして、通孔69aに挿通されたボルト70をこのねじ孔61aに螺合して緊締されている。これにより、ボルト70にはキャップ69の弾性変形に伴って軸力が付与されたままの状態となるため、ボルト70が不用意に緩むのを防止すると共に、両スプライン63、64の係合部の円周方向ガタツキを一層防止することができる。
こうした車両の駆動輪には、エンジン低速回転時、例えば車両発進時に、エンジンから摺動型の等速自在継手(図示せず)を介して大きなトルクが負荷され、ドライブシャフトに捩じれが生じることが知られている。その結果、このドライブシャフトを支持する複列の転がり軸受52の内方部材57にも捩じれが生じることになる。このようにドライブシャフトに大きな捩じれが発生しても、ここでは、ハブ輪51の雌スプライン63と、ハブ輪51に内嵌される軸部61の雄スプライン64との間の円周方向ガタツキを防止したので、耳障りな歯打ち音の発生を長期間に亘って防止することができる。
特開2002−120506号公報
こうした従来の駆動車輪用軸受装置は、両スプライン63、64をテーパスプライン歯として楔状に係合させることにより、係合部における円周方向ガタツキを防止し、耳障りな歯打ち音の発生を長期間に亘って防止することができる特徴を有している。然しながら、軸部61の雄スプライン64は、例えば、転造による仕上げ加工を前提としているため、大きなテーパ角を形成することは困難で、0.75〜1.25°程度の範囲が限界である。このテーパ角が小さいほど寸法精度のバラツキが雄スプライン64の軸方向の係合位置を変化させ、ひいては、車輪取付フランジ54と等速自在継手53のセンターとの距離を大きく変化させることになり、車両駆動系の特性上好ましくない。
また、両スプライン64、63の楔効果によるハブ輪51の膨張が軸受すきまに影響するため、ボルト70の締結によって軸方向に大きな軸力を与えることはできない。さらに、逆にテーパ角を大きくすると、トルク伝達時に両スプライン64、63の係合部に発生する軸方向の離反力が増加するため締結部の信頼性や強度に悪影響し、係合部から異音が発生する要因となって好ましくない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、外側継手部材に所望の軸力を負荷し、大きな捩れが生じてもスティックスリップ音の発生を防止した駆動車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にトルク伝達手段を介して内嵌された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が前記ハブ輪に結合手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、前記軸部の端部に小径部が形成され、この小径部が未焼入れのままとされると共に、前記結合手段が鋼板をプレス加工によって断面が略L字状に形成された結合環で構成され、この結合環が、内周に複数の突起が形成されて前記小径部に食い込んで嵌着される円筒部と、この円筒部の一端部に径方向外方に突出した鍔部と、他端部に径方向外方に傾斜して延びるフランジ部とを有し、このフランジ部が弾性変形して前記ハブ輪に当接し、前記軸部に所定の軸力が付与されている。
このように、一端部に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と複列の転がり軸受および等速自在継手が結合手段を介して着脱自在にユニット化され、ハブ輪に対して等速自在継手がトルク伝達手段を介して結合された駆動車輪用軸受装置において、軸部の端部に小径部が形成され、この小径部が未焼入れのままとされると共に、結合手段が鋼板をプレス加工によって断面が略L字状に形成された結合環で構成され、この結合環が、内周に複数の突起が形成されて小径部に食い込んで嵌着される円筒部と、この円筒部の一端部に径方向外方に突出した鍔部と、他端部に径方向外方に傾斜して延びるフランジ部とを有し、このフランジ部が弾性変形してハブ輪に当接し、軸部に所定の軸力が付与されているので、従来のような止め輪方式に比べ、位置精度や加工精度に影響されることなく外側継手部材の軸部に所望の軸力を負荷することができると共に、長期間に亘って結合環の移動を阻止してこの軸力を維持することができ、信頼性を向上させることができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記トルク伝達手段が、前記軸部の外周に凸歯が複数等配されて形成された嵌合プロファイルと、この嵌合プロファイルに対応し、前記ハブ輪の内周に、前記凸歯に係合する凹溝が複数等配されて形成された嵌合プロファイルとで構成され、前記凸歯と凹溝が所定の負の圧力角を有する断面略台形に形成されると共に、その歯面に、軸心に対し軸方向に所定の傾斜角が形成されていれば、過度の圧入力を必要とせず、容易に挿入の最終段階で周方向のガタがない強固な嵌合状態が得られると共に、トルク伝達時に凸歯および凹溝の係合部に発生する径方向外方の分力を抑制し、軸受すきまに悪影響を及ぼすことのないトルク伝達手段を提供することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記結合環がバネ鋼からなり、熱処理によって表面が所定の硬さに設定されると共に、軸方向にスリットが形成された有端環で構成され、前記スリットを挟んで前記鍔部の端部に径方向外方に突出した係止部がそれぞれ一体に形成され、これらの係止部に組立治具が係止される円孔が穿設されていれば、この円孔に組立治具を係止させて結合環の円筒部を容易に拡径することができ、小径部に結合環を自在に嵌挿することができて組立作業が簡便化できる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、所定の軸受予圧が付与された状態で前記ハブ輪に対して前記内輪が軸方向に固定されると共に、前記加締部の端面と前記外側継手部材の肩部との間に所定の軸方向すきまが介在するように前記ハブ輪と外側継手部材が結合されていれば、軸受予圧を長期間維持することができるセルフリテイン構造を提供することができると共に、外側継手部材に大きなトルクが負荷され捩じれが生じてもスティックスリップ音が発生することはない。
好ましくは、請求項5に記載の発明のように、前記加締部と肩部との間に形成される環状空間に弾性リングが介装されていれば、外部から雨水やダスト等が結合部に侵入するのを防止し、発錆による結合部の固着を防止して補修時の分解作業性を向上させることができる。
本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にトルク伝達手段を介して内嵌された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が前記ハブ輪に結合手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、前記軸部の端部に小径部が形成され、この小径部が未焼入れのままとされると共に、前記結合手段が鋼板をプレス加工によって断面が略L字状に形成された結合環で構成され、この結合環が、内周に複数の突起が形成されて前記小径部に食い込んで嵌着される円筒部と、この円筒部の一端部に径方向外方に突出した鍔部と、他端部に径方向外方に傾斜して延びるフランジ部とを有し、このフランジ部が弾性変形して前記ハブ輪に当接し、前記軸部に所定の軸力が付与されているので、従来のような止め輪方式に比べ、位置精度や加工精度に影響されることなく外側継手部材の軸部に所望の軸力を負荷することができると共に、長期間に亘って結合環の移動を阻止してこの軸力を維持することができ、信頼性を向上させることができる。
外周に懸架装置に取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列のボールと、等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にトルク伝達手段を介して内嵌された外側継手部材とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定されると共に、前記肩部と加締部の端面との間に所定の軸方向すきまが介在するように前記外側継手部材が前記ハブ輪に結合手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、前記トルク伝達手段が、前記軸部の外周に凸歯が複数等配されて形成された嵌合プロファイルと、この嵌合プロファイルに対応し、前記ハブ輪の内周に、前記凸歯に係合する凹溝が複数等配されて形成された嵌合プロファイルとで構成され、前記凸歯と凹溝が所定の負の圧力角を有する断面略台形に形成され、その歯面に、軸心に対し軸方向に所定の傾斜角が形成されると共に、前記結合手段が鋼板をプレス加工によって断面が略L字状に形成された結合環で構成され、この結合環が、内周に複数の突起が形成されて未焼入れの前記軸部の端部に食い込んで嵌着される円筒部と、この円筒部の一端部に径方向外方に突出した鍔部と、他端部に径方向外方に傾斜して延びるフランジ部とを有し、このフランジ部が弾性変形して前記ハブ輪に当接し、前記軸部に所定の軸力が付与されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、(b)は、(a)の要部拡大図、図2(a)は、図1(a)の外側継手部材における軸部の嵌合プロファイルを示す正面図、(b)は、(a)のII−II線に沿った横断面図、(c)は、嵌合プロファイルの圧力角が負の場合と正の場合の形状の違いを示す説明図、図3(a)は、軸部の嵌合プロファイルの製造方法を示す正面図、(b)は、III−III線に沿った横断面図、図4(a)は、ハブ輪の嵌合プロファイルの製造方法を示す正面図、(b)は、IV−IV線に沿った横断面図、図5は、圧力角に対するハブ輪の膨張量と係合部に発生する離反力を示すグラフ、図6は、傾斜角に対するハブ輪の膨張量と係合部に発生する離反力を示すグラフ、図7は、本発明に係る結合環の組立手順を示す説明図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この駆動車輪用軸受装置は、図1(a)に示すように、ハブ輪1と複列の転がり軸受2と等速自在継手3を着脱自在にユニット化した、所謂第3世代と称される構成を備えている。複列の転がり軸受2は、外方部材7と内方部材8と複列の転動体(ボール)9、9とを備えている。
外方部材7はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ7bを一体に有し、内周に複列の外側転走面7a、7aが一体に形成されている。この複列の外側転走面7a、7aは、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
一方、内方部材8はハブ輪1と、このハブ輪1に固定された内輪5とからなり、外周に前記した外方部材7の外側転走面7a、7aに対向する複列の内側転走面1a、5aが形成されている。これら複列の内側転走面1a、5aのうち一方(アウター側)の内側転走面1aがハブ輪1の外周に形成されると共に、他方(インナー側)の内側転走面5aが内輪5の外周にそれぞれ一体に形成されている。そして、複列の転動体9、9がこれら両転走面間にそれぞれ収容され、保持器10、10によって転動自在に保持されている。また、外方部材7と内方部材8との間に形成された環状空間の開口部にはシール11、12が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の周方向等配に車輪を固定するハブボルト4aが植設されている。そして、外周に車輪取付フランジ4の基部となるシールランド部13を介して内側転走面1aと、この内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成されている。内輪5は、この小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入され、小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部6により軸受予圧が付与された状態でハブ輪1に対して軸方向に固定されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、アウター側のシール11が摺接するシールランド部13から内側転走面1aおよび小径段部1bに亙る外周面に高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。なお、加締部6は鍛造加工後の表面硬さのままとされている。また、内輪5および転動体9はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。これにより、シールランド部13の耐摩耗性が向上するばかりでなく、車輪取付フランジ4に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪1の耐久性が一層向上する。また、小径段部1bと内輪5との間の嵌合面に発生するフレッティング摩耗を最小限に抑えることができる。なお、ここでは、ハブ輪1の外周に内側転走面1aが直接形成された第3世代構造を例示したが、これに限らず、図示はしないが、ハブ輪に一対の内輪が圧入された第1または第2世代構造であっても良い。また、転動体9にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受からなる構成を例示したが、転動体9に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受であっても良い。
等速自在継手3は、外側継手部材14と継手内輪15とケージ16およびトルク伝達ボール17からなる。外側継手部材14は、カップ状のマウス部18と、このマウス部18の底部をなす肩部19と、この肩部19から軸方向に延びる軸部20とを有している。また、マウス部18の内周および継手内輪15の外周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝18a、15aがそれぞれ形成されている。外側継手部材14はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、これらトラック溝18a、15aをはじめ、肩部19から軸部20に亙る外周面に高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
ここで、外側継手部材14の軸部20が短軸で構成され、アウター側の端部に小径部21が一体に形成されている。ここで、小径部21は、鍛造後の未焼入れのままとされている。そして、軸部20の外周に嵌合プロファイル22が形成されている。この嵌合プロファイル22は、図2に示すように、外周に凸歯22aが複数(3〜10)等配に形成されている。この凸歯22aは、図3に示すように、先端が所定の傾斜角(圧力角α)に成形されたエンドミル23を軸線(矢印)方向にトラバースさせることによって断面が所定の圧力角αを有する略台形に形成されると共に、その歯面には軸心に対し軸方向に所定の傾斜角βが形成されている。ここで、圧力角αは、図2(c)に示すように、凸歯22aが周方向外方に向うほど歯幅が増加する状態を負(α<0)とし、逆に歯幅が減少する状態を正(α>0)と定義する。
一方、ハブ輪1の内周には、この嵌合プロファイル22に対応した凹溝24aが複数等配された嵌合プロファイル24が形成されている。この凹溝24aは、予め、軸方向ストレ―トの角型スプライン状の下穴がブローチカッター等で形成され、図4に示すように、前記軸部20の嵌合プロファイル22と同様、先端が所定の傾斜角(圧力角α)に成形されたパンチ(雄型)25を軸線方向に加圧およびトラバースさせることによって断面が所定の圧力角αを有する略台形に形成されると共に、その歯面には軸心に対し軸方向に所定の傾斜角βが形成されている。
図5に示すグラフは、軸力およびトルクを一定として、トルク伝達時における圧力角αに対するハブ輪1の膨張量と係合部に発生する離反力を示しているが、これらの凸歯22aおよび凹溝24aの圧力角αは、膨張量と離反力が共に増大しない±30°の範囲に設定されている。好ましくは、圧力角αが負の領域、すなわち、0〜−30°の範囲に設定されていれば、ハブ輪1における凹溝24aの断面形状がアリ溝状になり、ハブ輪1の膨張を効果的に抑制することができる。
また、図6に示すグラフは、軸力およびトルクを一定として、トルク伝達時における傾斜角βに対するハブ輪1の膨張量と係合部に発生する離反力を示しているが、凸歯22aおよび凹溝24aの傾斜角βは、膨張量と離反力が共に増大しない2〜7°の範囲、好ましくは、3〜6°の範囲に設定されている。この傾斜角βは、小さくなるにしたがって凸歯22aおよび凹溝24aの組合せ公差幅が拡大するが、β=2〜7°に設定することにより、組合せ公差幅を±1mm以下に抑えることができ、後述する肩部19と加締部6の端面との軸方向すきまδを確保することができる。なお、ここでは、凸歯22aおよび凹溝24aの強度と経済面を考慮してモジュールmが3〜10に設定されている(概略歯数3〜10)。ここで、モジュールm=d/z(d:嵌合プロファイルの軸方向径方向共の平均径、z:歯数または溝数)。また、凸歯22aおよび凹溝24aのうち少なくとも凸歯22aは高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
そして、図1に示すように、肩部19と加締部6の端面との間に所定の軸方向すきまδが介在するように外側継手部材14の軸部20がこれら嵌合プロファイル22、24を介してハブ輪1に嵌合されると共に、軸部20の小径部21に後述する結合環26が装着され、ハブ輪1と外側継手部材14とが軸方向に分離可能に結合されている。なお、ここでは、軸方向すきまδは、ハブ輪1の加締部6と外側継手部材14の肩部19とが接触しないように、凸歯22aおよび凹溝24aの組合せ公差幅から1mm以上に設定されている。
このように、嵌合プロファイル22、24が所定の圧力角αを有し、軸心に対し軸方向に所定の傾斜角βが形成された凸歯22aおよび凹溝24aでそれぞれ構成されているため、過度の圧入力を必要とせず、また、容易に挿入の最終段階で周方向のガタがない強固な嵌合状態を得ることができると共に、トルク伝達時に凸歯22aおよび凹溝24aの係合部に発生する径方向外方の分力を抑制することができ、ハブ輪1の膨張によって軸受すきまに悪影響を及ぼすことはない。また、加締部6によって軸受予圧を長期間維持することができるセルフリテイン構造を提供することができると共に、肩部19と加締部6の端面との間に軸方向すきまδが形成されているので、外側継手部材14に大きなトルクが負荷され捩じれが生じても、スティックスリップ音が発生することはない。
なお、前述したように、外側継手部材14の肩部19とハブ輪1の加締部6の端面との間に所定の軸方向すきまδが形成されているが、ここでは、図1(b)に拡大して示すように、肩部19の外周に環状溝27が形成され、この環状溝27にOリング等からなる弾性リング28が装着されている。この弾性リング28は、加締部6に弾性接触し、加締部6と肩部19との間に形成される環状空間を液密的に閉塞する。これにより、肩部19と加締部6の端面との間に軸方向すきまδが形成されていても外部から雨水やダスト等が結合部に侵入するのを防止し、発錆による結合部の固着を防止して補修時の分解作業性を向上させることができる。さらに、図示はしないが、肩部19と加締部6の表面に塗膜あるいはゴム等のエラストマからなるシール層がコーティングされていれば、加締部6の発錆を防止して所定の強度を確保し、初期に設定された軸受予圧を長期間に亘って維持することができる。
ここで、図1(a)に示すように、軸部20の小径部21には結合環26が装着されているが、この結合環26は、耐食性を有する鋼板、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。結合環26は、図7(a)に示すように、軸部20の小径部21に嵌着される円筒部26aと、この円筒部26aの一端部に径方向外方に突出した鍔部26bと、他端部にハブ輪1に当接する径方向外方に傾斜して延びるフランジ部26cとを有している。なお、円筒部26aの内周には複数の突起29が形成されている。この突起29は、装着方向に所定の角度傾斜した断面が鋸刃状に形成されている。
次に、図7を用いて結合環26の組立手順を説明する。先ず、(a)に示すように、結合環26が、そのフランジ部26cをインナー側に向けた状態で軸部20の小径部21に嵌挿される。この嵌挿作業は、(b)に示すように、結合環26の鍔部26bを矢印の方向に押圧治具(図示せず)によって行われる。この時、鍔部26bを押圧することにより、円筒部26aが弾性変形して拡径するため容易に小径部21に嵌挿することができる。そして、フランジ部26cがハブ輪1に当接するまで結合環26をさらに押圧される。次に、(c)に示すように、フランジ部26cがハブ輪1に当接して僅かに弾性変形するまでさらに押圧され、結合環26がその緊迫力によって仮止めされる。最後に、(d)に示すように、その外径部を図示しない治具によって矢印方向に押圧して円筒部26aが縮径される。この時、未焼入れのままとされている小径部21に円筒部26aの突起29が食い込んで嵌着され、ハブ輪1と軸部20が一体化されて軸方向に固定される。
本実施形態では、こうした結合手段を採用することにより、従来のような止め輪方式に比べ、位置精度や加工精度に影響されることなく外側継手部材14の軸部20に所望の軸力を負荷することができると共に、簡単な構成で結合部の周方向ガタをなくして信頼性と操縦安定性を図ることができる。さらに、このような突起29の形状により長期間に亘って結合環26の移動を阻止してこの軸力を維持することができ、さらに信頼性を向上させることができる。
なお、分解作業は、前述した組立作業の逆手順にて行われる。すなわち、鍔部26bを押圧することにより円筒部26aが拡径し、小径部21に食い込んでいた突起29が開放される共に、鍔部26bに分解治具(図示せず)を係合させて小径部21から結合環26をアウター側に引抜くことによって行うことができる。
図8は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図9(a)は、図8の結合環を示す正面図、(b)は、(a)の縦断面図である。なお、前述した第1の実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪30と複列の転がり軸受31と等速自在継手32を着脱自在にユニット化した第3世代と称される構成を備えている。複列の転がり軸受31は、外方部材7と内方部材33と複列の転動体9、9とを備えている。この複列の転がり軸受31は、基本的には前述した第1の実施形態と結合部の構成のみが異なっている。すなわち、外側継手部材34の軸部35には軸方向にストレートなセレーション(またはスプライン)35aが形成されている。一方、ハブ輪30の内周には、このセレーション35aに噛合するセレーション(またはスプライン)30aが形成されている。
また、ハブ輪30の加締部6の端面と外側継手部材34の肩部19が後述する結合環36によって所定の軸力で当接されている。これにより、加締部6と肩部19との面圧を最適値に設定することができ、外側継手部材34に大きなトルクが負荷され捩じれが生じても、加締部6と肩部19との相対滑りによりそのエネルギーを吸収してスティックスリップ音の発生を防止することができる。
ここで、軸部35の小径部21には結合環36が装着されている。この結合環36は、例えば、バネ鋼(JIS規格のSUP系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、熱処理によって表面が所定の硬さに設定されている。なお、結合環36の材質としてはこれ以外にオーステナイト系ステンレス鋼鈑や防錆処理された冷間圧延鋼鈑等を例示することができる。結合環36は、図9(a)に示すように、軸方向にスリット37が形成された有端環で構成され、軸部35の小径部21に嵌着される円筒部36aと、この円筒部36aの一端部に径方向外方に突出した鍔部36bと、他端部にハブ輪30に当接する傾斜したフランジ部36cとを有している。なお、円筒部36aの内周には前述した結合環26と同様、複数の突起29が形成されると共に、スリット37を挟んで鍔部36bの端部には径方向外方に突出した係止部38がそれぞれ一体に形成されている。これらの係止部38には組立治具(図示せず)が係止される円孔38aが穿設されている。
本実施形態における結合環36は、前述した第1の実施形態の結合環26と異なり、硬化処理された有端環で構成されているため、係止部38の円孔38aに組立治具を係止させて結合環36の円筒部36aを容易に拡径することができる。したがって、小径部21に結合環36を自在に嵌挿することができ、組立作業が簡便化できる。
本実施形態では、こうした結合手段を採用することにより、前述した第1の実施形態と同様、位置精度や加工精度に影響されることなく外側継手部材34の軸部35に所望の軸力を負荷することができると共に、長期間に亘って結合環36の移動を阻止してこの軸力を維持することができ、信頼性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪を有する軸受部と等速自在継手とをトルク伝達可能に連結され、両者が着脱自在にユニット化された駆動車輪用軸受装置に適用することができる。
(a)は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 (b)は、(a)の要部拡大図である。 (a)は、図1(a)の外側継手部材における軸部の嵌合プロファイルを示す正面図である。 (b)は、(a)のII−II線に沿った横断面図である。 (c)は、嵌合プロファイルの圧力角が負の場合と正の場合の形状の違いを示す説明図である。 (a)は、軸部の嵌合プロファイルの製造方法を示す正面図である。 (b)は、(a)のIII−III線に沿った横断面図である。 (a)は、ハブ輪の嵌合プロファイルの製造方法を示す正面図である。 (b)は、(a)のIV−IV線に沿った横断面図である。 圧力角に対するハブ輪の膨張量と係合部に発生する離反力を示すグラフである。 傾斜角に対するハブ輪の膨張量と係合部に発生する離反力を示すグラフである。 (a)〜(d)は、本発明に係る結合環の組立手順を示す説明図である。 本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 (a)は、図8の結合環を示す正面図である。 (b)は、同上縦断面図である。 従来の駆動車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
符号の説明
1、30・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、5a・・・・・・・・・・・・内側転走面
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
2、31・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3、32・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
4・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
4a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
6・・・・・・・・・・・・・・・・加締部
7・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
7a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
7b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
8、33・・・・・・・・・・・・・内方部材
9・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
10・・・・・・・・・・・・・・・保持器
11、12・・・・・・・・・・・・シール
13・・・・・・・・・・・・・・・シールランド部
14、34・・・・・・・・・・・・外側継手部材
15・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
15a、18a・・・・・・・・・・トラック溝
16・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
17・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
18・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
19・・・・・・・・・・・・・・・肩部
20、35・・・・・・・・・・・・軸部
21・・・・・・・・・・・・・・・小径部
22、24・・・・・・・・・・・・嵌合プロファイル
23a・・・・・・・・・・・・・・凸歯
23・・・・・・・・・・・・・・・エンドミル
24a・・・・・・・・・・・・・・凹溝
25・・・・・・・・・・・・・・・パンチ
26、36・・・・・・・・・・・・結合環
26a、36a・・・・・・・・・・円筒部
26b、36b・・・・・・・・・・鍔部
26c、36c・・・・・・・・・・フランジ部
27・・・・・・・・・・・・・・・環状溝
28・・・・・・・・・・・・・・・弾性リング
29・・・・・・・・・・・・・・・突起
37・・・・・・・・・・・・・・・スリット
38・・・・・・・・・・・・・・・係止部
38a・・・・・・・・・・・・・・円孔
51・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51a、58a・・・・・・・・・・内側転走面
51b・・・・・・・・・・・・・・小径段部
51c・・・・・・・・・・・・・・加締部
52・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
53・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
54・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
55・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
55a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
55b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
56・・・・・・・・・・・・・・・ボール
57・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
58・・・・・・・・・・・・・・・内輪
59・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
60・・・・・・・・・・・・・・・肩部
61・・・・・・・・・・・・・・・軸部
61a・・・・・・・・・・・・・・ねじ孔
62・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
63・・・・・・・・・・・・・・・雌スプライン
64・・・・・・・・・・・・・・・雄スプライン
65・・・・・・・・・・・・・・・係止段差
66・・・・・・・・・・・・・・・係止溝
67・・・・・・・・・・・・・・・止め輪
68・・・・・・・・・・・・・・・シールリング
69・・・・・・・・・・・・・・・キャップ
69a・・・・・・・・・・・・・・通孔
70・・・・・・・・・・・・・・・ボルト
m・・・・・・・・・・・・・・・・モジュール
d・・・・・・・・・・・・・・・・嵌合プロファイルの平均径
z・・・・・・・・・・・・・・・・歯数または溝数
α・・・・・・・・・・・・・・・・圧力角
β・・・・・・・・・・・・・・・・傾斜角
δ・・・・・・・・・・・・・・・・軸方向すきま

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にトルク伝達手段を介して内嵌された外側継手部材とを備え、
    この外側継手部材が前記ハブ輪に結合手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、
    前記軸部の端部に小径部が形成され、この小径部が未焼入れのままとされると共に、
    前記結合手段が鋼板をプレス加工によって断面が略L字状に形成された結合環で構成され、この結合環が、内周に複数の突起が形成されて前記小径部に食い込んで嵌着される円筒部と、この円筒部の一端部に径方向外方に突出した鍔部と、他端部に径方向外方に傾斜して延びるフランジ部とを有し、このフランジ部が弾性変形して前記ハブ輪に当接し、前記軸部に所定の軸力が付与されていることを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  2. 前記トルク伝達手段が、前記軸部の外周に凸歯が複数等配されて形成された嵌合プロファイルと、この嵌合プロファイルに対応し、前記ハブ輪の内周に、前記凸歯に係合する凹溝が複数等配されて形成された嵌合プロファイルとで構成され、前記凸歯と凹溝が所定の負の圧力角を有する断面略台形に形成されると共に、その歯面に、軸心に対し軸方向に所定の傾斜角が形成されている請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置。
  3. 前記結合環がバネ鋼からなり、熱処理によって表面が所定の硬さに設定されると共に、軸方向にスリットが形成された有端環で構成され、前記スリットを挟んで前記鍔部の端部に径方向外方に突出した係止部がそれぞれ一体に形成され、これらの係止部に組立治具が係止される円孔が穿設されている請求項1または2に記載の駆動車輪用軸受装置。
  4. 前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、所定の軸受予圧が付与された状態で前記ハブ輪に対して前記内輪が軸方向に固定されると共に、前記加締部の端面と前記外側継手部材の肩部との間に所定の軸方向すきまが介在するように前記ハブ輪と外側継手部材が結合されている請求項1乃至3いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  5. 前記加締部と肩部との間に形成される環状空間に弾性リングが介装されている請求項4に記載の駆動車輪用軸受装置。
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