JP2000212689A - 冷間圧延性に優れた熱延鋼板 - Google Patents

冷間圧延性に優れた熱延鋼板

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JP2000212689A
JP2000212689A JP1747999A JP1747999A JP2000212689A JP 2000212689 A JP2000212689 A JP 2000212689A JP 1747999 A JP1747999 A JP 1747999A JP 1747999 A JP1747999 A JP 1747999A JP 2000212689 A JP2000212689 A JP 2000212689A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間圧延した際の耳割れがなく、耳切りを不
要にすることができる冷間圧延性に優れた熱延鋼板を提
供する。 【解決手段】C:0.01〜0.05wt%、 Si:0.5 wt%以
下、Mn:0.05〜1.00wt%、 P:0.100 wt%以下、S:
0.03wt%以下、 Al:0.005 〜0.07wt%、N:0.0025〜
0.0100wt%、B:0.0015〜0.0070wt%、Ti:0.001 〜0.
04wt%を含み、かつ上記B、Ti、Nは、1n(Bwt%×N
wt%)>−12.2、Bwt%/Nwt%<1.2 および1n(Tiwt
%×Nwt%)>−11.2の関係を満たす範囲で含有し、残
部は鉄および不可避的不純物の成分組成として、幅端5
mm位置での硬さHRB5と幅中央位置での硬さ HRBc との
比HRB5/ HRBcを1.10以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱延ままでの加工
性のほか、冷間圧延性に優れ、とくに冷間圧延した後の
耳切りを不要とすることができる熱延鋼板(熱延鋼帯を
含む。以下同じ)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用鋼板に代表される加工用
鋼板の分野において、素材費削減の観点から、冷延鋼板
に代替しうる熱延鋼板を求められるようになり、伸びが
良好で降伏比が低い、高加工性の熱延鋼板の需要はます
ます増大しつつある。一方、より高度な加工性を必要と
されるときには、冷延鋼板が用いられるのが一般的であ
り、この冷延鋼板の製造に当たっては、通常、冷間圧延
後に両幅端それぞれ約8〜10mm程度が耳切り処理されて
いた。この耳切りは、熱延鋼板の幅端部での冷間圧延性
が劣るために、幅端部で割れが発生し、そのままで製品
に充当することができず、止むをえずこの不良部を切り
捨てていたものである。したがって、冷間圧延が施され
る熱延鋼板には、耳切りが不要で、良好な冷間圧延性を
具えることも要請される。このように、素材供給側に
は、優れた加工性が安定して得られる熱延鋼板を、より
安価に提供することが急務となってきた。ところで、良
好な加工性が要求される熱延鋼板の製造方法では、Ar3
変態点以上の温度で熱間圧延するのが一般的であった。
具体的な例として、特開平9−41041 号公報に、 810〜
850 ℃の温度範囲で熱間仕上げ圧延する方法が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術により、板厚2.0 mm以下の薄物の熱延鋼板を製
造する場合、圧延する鋼帯の板厚が薄くなるほど圧延中
の温度低下が大きくなるため、熱延仕上げ温度をAr3
態点以上に確保するためには加熱温度を上昇させなけれ
ばならなかった。この場合に、加熱温度の上昇は省エネ
ルギーの点で好ましくないので、熱延仕上げ温度をAr3
変態点以上でなるべくAr3変態点に近づけた温度に設定
して圧延を行おうとすると、現実には、鋼帯の全長・全
幅にわたって温度を一定に維持することはできなく、熱
延仕上げ温度がAr3変態点以下の温度になる部分が生じ
て、結晶粒径のばらつきが大きくなり、材質の均一性が
保たれなくなる。この現象は、一般に、鋼帯の全長・全
幅における熱延仕上げ温度の最大値と最小値との差が20
℃以上になることから、避けることは極めて困難であ
る。とくに鋼帯の幅端部においては、Ar3変態点以下で
の仕上げ圧延になるために、未再結晶組織となり、鋼帯
の硬さの上昇(YP、TSの上昇)、伸びの低下を招
き、冷間圧延時に耳割れを発生し、耳切りを避けること
ができなかった。また、Ar3変態点を挟まないように圧
延するために、熱延仕上げ温度をAr3変態点よりも低め
に設定すると、Ar3変態点と再結晶温度との温度幅が狭
いために、低温域で圧延された部分は未再結晶組織とな
りやすく、鋼帯中に加工組織が残存して、伸びが低下し
てしまうことになる。
【0004】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ていたこれらの現状に鑑み、低温加熱−低温仕上げ熱延
の工程でも安定して製造できる加工性に優れた熱延鋼板
を提供することにある。とくに本発明の目的は、冷間圧
延した際の耳割れがなく、耳切りを不要にすることがで
きる冷間圧延性に優れた熱延鋼板を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、低温加熱−
低温仕上げ熱延の工程でも、優れた加工性を有し、また
幅端部の冷間圧延性が高く、良好な耐耳割れ性を具えた
鋼板を製造するためには、再結晶終了温度を低下させる
こと、さらに、Ar3変態点と再結晶終了温度の間の温度
幅(=Ar3変態点−再結晶終了温度)を拡張することが
有望であるとの見通しのもとに、鋭意、研究、検討を重
ねた。その結果、B、Ti、Nなどの成分添加バランスを
適正に調整することにより、再結晶終了温度の低下が可
能となり、さらにAr3変態点を上昇させることも可能に
なるので、両者の温度幅を、従来の85℃以下から、95℃
以上までに拡げうること、適正量のBは伸びの向上にも
寄与することなどを知見した。これら成分の相乗効果に
よって、とくに熱延鋼板の幅方向硬さ変動を小さく、具
体的には、鋼板の幅端5mm位置での硬さHRB5と幅中央
位置での硬さ HRBc との比HRB5/ HRBc を1.10以下まで
低下させ得ることがわかった。そして、かかる熱延鋼板
では、その冷間圧延性が向上し、冷延後の耳割れも防止
できることがわかった。
【0006】以上の知見に基づいて完成した本発明の要
旨構成は以下のとおりである。 1) C:0.01〜0.05wt%、 Si:0.5 wt%以下、Mn:
0.05〜1.00wt%、 P:0.100 wt%以下、S:0.03wt%
以下、 Al:0.005 〜0.07wt%、N:0.0025〜0.0100wt
%、B:0.0015〜0.0070wt%、Ti:0.001 〜0.04wt%を
含み、かつ上記B、Ti、Nは、1n(Bwt%×Nwt%)>
−12.2、Bwt%/Nwt%<1.2 および1n(Tiwt%×Nwt
%)>−11.2の関係を満たす範囲で含有し、残部は鉄お
よび不可避的不純物からなり、幅端5mm位置での硬さ
HRB5と幅中央位置での硬さ HRBc との比HRB5/ HRBc
1.10以下であることを特徴とする冷間圧延性に優れた熱
延鋼板。 2) C:0.01〜0.05wt%、 Si:0.5 wt%以下、Mn:
0.05〜1.00wt%、 P:0.100 wt%以下、S:0.03wt%
以下、 Al:0.005 〜0.07wt%、N:0.0025〜0.0100wt
%、B:0.0015〜0.0070wt%、Ti:0.001 〜0.04wt%を
含み、かつ上記B、Ti、Nは、1n(Bwt%×Nwt%)>
−12.2、Bwt%/Nwt%<1.2 および1n(Tiwt%×Nwt
%)>−11.2の関係を満たす範囲で含有し、残部は鉄お
よび不可避的不純物からなり、熱間圧延後の耳切りが不
要であることを特徴とする冷間圧延性に優れた熱延鋼
板。
【0007】
【発明の実施の形態】再結晶終了温度の低下(再結晶性
の向上)に及ぼす鋼成分の影響については、以下のよう
に考えている。すなわち、TiとBを複合添加し、Ti系析
出物等の析出物のサイズを適正に制御したときに、結晶
粒径の整粒化作用と微細化作用、仕上げ圧延後の再結晶
温度の低下作用が有効に発揮される。析出物としては、
TiNをはじめ、TiNを核として析出するMnS,Fe23(C
B)6、BNなどであり、これらの析出物サイズが約50〜
200 nmのときに上記効果が発揮される。これら析出物
のサイズが約50nm以下の微細析出物は、結晶粒の成長
性を阻害し、再結晶性を低下させる。一方、析出物サイ
ズが200 nm以上になると、析出物数か減少し、微細化
に効果的に寄与しなくなる。
【0008】さらに、BがAr3変態点の上昇をもたらす
機構については、必ずしも明らかではないが、以下のよ
うに推測している。すなわち、0.0015wt%未満の微量の
B添加では、固溶Bがγ粒界に偏析するためにAr3変態
点が低下する。これに対して、B添加量を0.0015wt%以
上に増やすと、γ粒内にBNをはじめ、Fe23(CB)6
Fe2B等を含むB化合物が析出し、これがα変態を促進
させることでAr3変態点が上昇する。また、Bが伸びを
向上させる作用は次のように考えられる。Bを添加しな
いと粒界には多くのパーライトが存在するために低い伸
びしか得られない。一方、所定量のBを添加すると、こ
れにより生成したB化物が炭化物の形成を促進し、粒界
パーライト量を減少させ、結果的に伸びを増大させる効
果をもたらすと考えられる。
【0009】発明者らは、さらに、析出物サイズを50〜
200 nmの範囲に保つために必要な熱間圧延条件につい
て検討したところ、Ti、NおよびBを適正量添加すると
ともに、スラブ加熱温度を950 ℃以上1120℃未満とする
ことが有効であることも見いだした。
【0010】以下に、本発明における構成要件を上記範
囲に限定した理由について説明する。 C:0.01〜0.05wt% Cは、鋼板の強度を高めるために必須の元素であり、主
にフェライト相への固溶を通じて高強度化に寄与する。
しかし、含有量が0.01wt%未満では上記の効果を十分に
期待できず、一方、0.05wt%を超えて添加すると加工性
および溶接性の劣化が顕著となる。よって、C量は0.01
〜0.05wt%、好ましくは0.02〜0.04wt%の範囲とする。
【0011】Si:0.5 wt%以下 Siは、添加量の増加に伴い、鋼板の表面性状や伸びの劣
化を招く元素である。特に、0.5 wt%を超えるとその影
響が大になるので、0.5 wt%以下、好ましくは0.05wt%
以下とする。
【0012】Mn:0.05〜1.00wt% Mnは、MnSの析出物を通じてB化物の形成を促進する作
用を有する、必須の元素であり、少なくとも0.05wt%は
必要である。しかし、1.00wt%を超えると伸びの劣化を
招く。このため、Mn量は0.05〜1.00wt%、好ましくは、
0.10〜0.50wt%の範囲とする。
【0013】P:0.100 wt%以下 Pは、偏析しやすく、材質の均質性を阻害する元素であ
るため、0.100 wt%以下とする。ただし、Ar3変態点を
上昇させる効果も有しているので、0.005 〜0.05wt%の
範囲で含有するのが望ましい。
【0014】S:0.03wt%以下 Sは、熱間割れに有害な元素であるので、0.03wt%以下
に制限する。ただし、MnSとしてB化物の析出を促進さ
せる作用も有しているため、0.005 〜0.025 wt%の範囲
で含有するのが望ましい。
【0015】Al:0.005 〜0.070 wt% Alは、脱酸剤として、少なくとも0.005 wt%を添加する
ことが必要であるが、0.070 wt%を超えて添加すると、
BNの形成を抑えてしまう。このためAl量は、0.005 〜
0.070 wt%、好ましくは0.005 〜0.012 wt%とする。
【0016】N:0.0025〜0.0100wt% Nは、本発明における重要な元素の1つである。すなわ
ち、Nは、Bとの複合添加によってBNを形成し、Ar3
変態点を上昇させ、伸び特性を向上させる効果を有す
る。また、前述のTiN析出物や、これを核として生成し
た析出物により、結晶粒径の整粒化と微細化に寄与す
る。このような効果を発揮させるためには、少なくとも
0.0025wt%は必要であが、多すぎると時効性を高める。
よって、N量は、0.0025〜0.0100wt%、好ましくは0.00
30〜0.0060wt%の範囲とする。
【0017】B:0.0015〜0.0070wt% Bは、BN、 Fe2B、Fe23(CB)6 等のB化物を形成
して、Ar3変態点の上昇や炭化物形成促進の効果を有す
る、本発明における重要な元素の1つである。このよう
な効果を得るにためには、少なくとも0.0015wt%は添加
する必要があるが、0.0070wt%を超えて添加するとAr3
変態点を低下させてしまう。このため、B量は0.0015〜
0.0070wt%、好ましくは0.0025〜0.0060wt%の範囲とす
る。
【0018】Ti:0.001 〜0.04wt% Tiは、TiNとして,MnSとともにB化物あるいは炭化物
の析出を促進し、鋼板の再結晶性の向上や結晶粒径の整
粒化と微細化の作用を有する、本発明における重要な元
素の1 つである。0.001 wt%未満の添加ではその効果が
十分ではなく、0.04wt%を超えると加工性の劣化を招
く。このため、Ti量は、0.001 〜0.04wt%、好ましくは
0.003 〜0.03wt%とする。
【0019】BとNの関係 BとNは、それぞれ前述した個々の範囲で含有するとと
もに、ln(Bwt%×Nwt%)>一12.2、およびBwt%/
Nwt%<1.2 の関係を満たさなければならない。これら
の式を満たすことにより、BとNの溶解度積を高め、固
溶Bを低めて、Ar3変態点の上昇や伸びの改善に有効に
作用するBNを効果的に活用することが可能になる。上
記のBwt% /Nwt% <1.2 の関係を満たすことにより全
B量中のBNとして析出するB量を60%以上とすること
ができる。なお、好ましいln(Bwt%×Nwt%)の範囲
は、一11.8超えである。
【0020】TiとNの関係 TiとNは、それぞれ前述した個々の範囲で含有するとと
もに、ln(Tiwt%×Nwt%)>−11.2となるように添加
しなくてはならない。この式を満たすことにより、鋼板
の再結晶性と伸び特性の向上、また結晶粒径の整粒化と
微細化に有用な50nm以上の析出物を効果的に活用する
ことができる。なお、好ましくはln(Tiwt%×Nwt%)
は一11.0 超えの範囲である。
【0021】次に、本発明を実施するに好適な製造プロ
セスについて説明する。熱間圧延は、以下に述べる条件
で行えばよく、他の条件については特に定める必要はな
い。したがって、冷却スラブを再加熱後熱間圧延する工
程のほか、連続鋳造後、補助的加熱を行って直接圧延す
る工程などを採用してもよい。
【0022】加熱温度: 950℃以上1120℃未満 スラブの加熱温度は、本発明において特に重要な要件で
ある。というのは、スラブ加熱温度を1120℃以上にする
と、省エネルギーの観点から不利になるのは勿論のこ
と、鋼板の伸び特性が劣化するからである。これは、炭
化物の析出を促進する上で有効なB化物やTi系あるいは
Mn系の析出物の種類やサイズが変化するためと推察され
る。例えば、Tiは1120℃以上の高温では析出物の径が10
nm程度の炭化物として析出し、これが熱延後の再結晶
性を低下させる。加熱温度が1120℃未満では、析出物の
径が50nm超の窒化物として析出するため、再結晶粒を
安定して確保することができる。また、950 ℃を下回る
温度では、特に2.0 mm以下の薄物の熱延鋼板を製造す
る際に、仕上げ圧延温度 (FDT)を後述の範囲にする
ことが困難となる。このため、加熱温度は、 950℃以上
1120℃未満の範囲とするのがよい。
【0023】仕上圧延温度(FDT): 750℃〜Ar3
態点 仕上圧延温度は、鋼帯内で一様な再結晶粒を安定して確
保し、均質な鋼板とする上で極めて重要である。本発明
では、再結晶終了温度を740 ℃以下まで低下させている
ので、仕上げ圧延は740 ℃以上の温度で行えばよい。仕
上げ圧延温度の下限値は、鋼帯の長手方向および幅方向
の端部の温度低下を考慮して750 ℃とする。また、均一
な結晶粒を得るためにAr3変態点以下の温度で仕上げ圧
延する必要があるので、仕上げ圧延温度の上限値はAr3
変態点とする。ここで、仕上げ圧延の実操業を考慮する
と、仕上げ圧延温度の許容範囲が大きいほうがよく、A
r3変態点は835 ℃以上であることが好ましい。上記温度
範囲で仕上げ圧延することにより、実操業での温度変化
への許容範囲が広がる。そして、前述したような、鋼帯
の全長/全幅における温度変動のために起こる再結晶粒
径の不均一や、例えば 2.0mm以下といった薄物鋼帯に
おける急速な温度低下域で生じる未再結晶組織の形成な
どを抑制することが可能になる。
【0024】とくに、鋼板の幅端部に関して、従来技術
では、仕上げ圧延温度をAr3変態点以上として圧延する
と、幅端部では、温度降下が大きいためにAr3変態点以
下の圧延となって加工組織が残ってしまう。一方、幅端
部もAr3変態点以上で圧延しようとすると、仕上げ圧延
温度が全体に高くなりスケール性欠陥による表面不良が
発生する。このため従来の熱延鋼板の製造工程では、幅
端部が未再結晶組織となり、加工不良になることを考慮
して、圧延時には板幅を広めにして圧延し、下工程で耳
切りをして未再結晶部を切り捨てていた。しかし、本発
明によれば、幅端部まで再結晶組織を得ることができ、
硬さ、伸びの値が幅中央部のそれとほぼ同等の水準とな
る。その結果、冷間圧延時の耐耳割れ性が著しく改善さ
れ、耳切りが不要となる。
【0025】なお、熱間圧延時の圧下条件は、再結晶性
向上の観点から、仕上圧延工程の後段(5スタンド以
降)の圧下率を高めることが肝要である。熱延後の巻取
温度も特に定めないが、粒成長性向上によって高加工性
を確保することを考えると、550 ℃以上の巻取が望まし
い。また、上記加熱温度や仕上圧延温度が好ましいが、
この温度範囲を外れても、表2の如く若干性能は落ちる
ものの実用上は問題ない。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。表1に示す化学成分の低炭素鋼スラブを加熱後、
Ar3変態点以下の温度で板厚1.8mm に仕上げ圧延し、60
0 ℃で巻き取り熱延鋼板とした。次いで、熱延鋼板を圧
下率73%(板厚0.5mm)で冷間圧延した。このようにして
得た熱延鋼板の供試材からJIS5号試験片を採取し、
幅中央部の引張試験を行った。また、幅中央部と幅端5
mm位置でロックウェル硬さ(HRB)を測定した。さら
に、幅中央部と幅端5mm位置より組織観察用の試料を採
取し、光学顕微鏡により再結晶組織の有無を調査した。
そしてこれら熱延鋼板を冷間圧延したときの幅端部の耳
割れの有無を調査した。
【0027】得られた試験結果を熱延条件とともに表2
に示す。これらの表から明らかなように、本発明の成分
範囲を満たす鋼板は、幅中央部で伸びは50%以上の優れ
た特性を有しており、YS、TSの値は比較鋼よりも小
さくなっている。また、硬さ調査の結果、本発明の条件
を満たす鋼板は、幅端5mm位置でも幅中央部と比較して
も硬さ上昇はほとんど見られなかった。これらの発明例
は、組織観察から、幅端5mm位置でも再結晶組織を呈し
ており、上記硬さの傾向と一致していた。そして、発明
例では、冷間圧延した後の幅端部の耳割れは発生せず、
一部のもので耳荒れの発生はみられたものの、耳切りの
必要がなかった。これに対し、比較鋼は、幅端5mm位置
での硬さ上昇および未再結晶組織の残留が認められ、冷
間圧延後の耳割れが見られた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
伸びが大きく加工性に優れるとともに、鋼板幅端部まで
再結晶組織を有し、冷間圧延後も耳割れを発生すること
がない熱延鋼板を提供することが可能になる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01〜0.05wt%、 Si:0.5 wt%以下、 Mn:0.05〜1.00wt%、 P:0.100 wt%以下、 S:0.03wt%以下、 Al:0.005 〜0.07wt%、 N:0.0025〜0.0100wt%、 B:0.0015〜0.0070wt%および Ti:0.001 〜0.04wt% を含み、かつ上記B、Ti、Nは、 1n(Bwt%×Nwt%)>−12.2、 Bwt%/Nwt%<1.2 および 1n(Tiwt%×Nwt%)>−11.2 の関係を満たす範囲で含有し、残部は鉄および不可避的
    不純物からなり、幅端5mm位置での硬さHRB5と幅中央
    位置での硬さ HRBc との比HRB5/ HRBc が1.10以下であ
    ることを特徴とする冷間圧延性に優れた熱延鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.01〜0.05wt%、 Si:0.5 wt%以下、 Mn:0.05〜1.00wt%、 P:0.100 wt%以下、 S:0.03wt%以下、 Al:0.005 〜0.07wt%、 N:0.0025〜0.0100wt%、 B:0.0015〜0.0070wt%および Ti:0.001 〜0.04wt% を含み、かつ上記B、Ti、Nは、 1n(Bwt%×Nwt%)>−12.2、 Bwt%/Nwt%<1.2 および 1n(Tiwt%×Nwt%)>−11.2 の関係を満たす範囲で含有し、残部は鉄および不可避的
    不純物からなり、熱間圧延後の耳切りが不要であること
    を特徴とする冷間圧延性に優れた熱延鋼板。
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WO2011077708A1 (ja) * 2009-12-25 2011-06-30 Jfeスチール株式会社 熱延鋼板および冷延鋼板ならびにそれらの製造方法

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