JP2000210616A - 透湿性塗膜の形成方法 - Google Patents

透湿性塗膜の形成方法

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JP2000210616A JP11013514A JP1351499A JP2000210616A JP 2000210616 A JP2000210616 A JP 2000210616A JP 11013514 A JP11013514 A JP 11013514A JP 1351499 A JP1351499 A JP 1351499A JP 2000210616 A JP2000210616 A JP 2000210616A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透湿性と防水性の相反する効果を有しなが
ら、塗膜表面の耐汚染性、とりわけ汚染物質の自然除去
効果が非常に優れるため、経時的な透湿効果の低下を生
じない透湿性塗膜の形成方法を得る。 【解決手段】 透湿性基材の表面に、合成樹脂エマルシ
ョンを結合材とする水性塗料に対し、アルコキシシラン
の変性縮合物を含有し、形成塗膜の水蒸気透過度が40
g/m ・24H以上、且つ透水量が0.5ml以下
の低汚染型水性上塗材を塗装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート、モ
ルタル、サイディングボード、ALC、押出成形板、木
質合板等の、透湿性を有する各種基材の表面仕上げに適
用される透湿塗膜形成方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、建築物、土木構築物等の躯体の保
護、意匠性の付与および、美観性の向上のため塗装仕上
げが行われている。このような塗装仕上げの中で、建築
物、土木構築物等の躯体の保護という観点では、躯体内
部への雨水の浸入を防止する防水性が重要な機能となっ
ている。近年このような防水性の塗膜を施すことによ
り、外部からの雨水の浸入は遮蔽することが可能となっ
た。しかしながら、反対に建築物内部や土木構築物内部
で発生する水蒸気は、躯体の保護を目的に塗装された防
水性塗膜の水分遮蔽性能によって躯体内部に留まり、冬
期には躯体内部での凍結による躯体の破壊を生じたり、
防水性塗膜の裏面への局在化による塗膜の膨れの原因に
なるという新たな問題を生じることになった。これに対
して、防水性塗膜の改良によって、従来の防水性能を維
持し、水蒸気の透過のみを許容する、透湿機能を有した
新たな塗料組成物が開発されるようになってきた。
【0003】一方、躯体の保護の効果も長期にわたって
持続することが求められてきた。このため、近年フッ素
樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料、アクリルウレタ
ン樹脂塗料等の高耐久性塗料の出現により、躯体の保護
効果を飛躍的に長期化させることが可能となった。しか
しながら、これらの高耐久性塗料はその耐久性により、
かえって塗膜表面の汚染の問題がクローズアップされる
結果となった。
【0004】すなわち、これらの高耐候性塗料以前の塗
料によって形成される塗膜は、太陽光の紫外線等によっ
て表面が劣化し、汚染物質の付着が生じたとしても、塗
膜表面の劣化部分とともに剥落除去されていたのである
が、塗膜の耐久性が向上したため、塗膜表面の劣化剥落
の機構が機能できなくなったのである。特に最近は、都
心や都市近郊において、自動車等からの排出ガスによ
り、大気中に油性の汚染物質が浮遊している状況で、そ
れら油性の汚染物質が、高耐久性塗料から形成された塗
膜表面に付着した場合には、著しいすす状あるいはすじ
状の汚染(以下、「雨筋汚れ」という)を生じ、都市景
観の向上のため施したはずの塗装仕上げが意味をなさな
い場合があった。防水性塗料においても、このような傾
向は否めず、塗膜表面の汚染により透湿効果の低下を招
く場合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、透湿性と防水性の相反する効
果を有しながら、塗膜表面の耐汚染性、とりわけ汚染物
質の自然除去効果が非常に優れるため、経時的な透湿効
果の低下を生じない透湿性塗膜の形成方法を得ることで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明者らは、鋭意検討の結果、形成される塗
膜がミクロな気孔を有し、なおかつ、その塗膜表面へ付
着した汚染物質が、自然に除去される機構を有するもの
が、長期にわたる防水性、透湿性の両機能を維持できる
のではないかと想到し本発明を完成した。
【0007】すなわち、 1.透湿性基材の表面に、合成樹脂エマルションを結合
材とする水性塗料に対し、アルコキシシランの変性縮合
物を含有し、形成塗膜のJISK 5400 8.17による水蒸気透
過度が40g/m ・24H以上、且つ JISA6909
6.13 による透水量が0.5ml以下の低汚染型水性上
塗材を塗装することを特徴とする透湿性塗膜の形成方
法。 2.透湿性基材の表面に、下塗材として形成塗膜のJISK
5400 8.17による水蒸気透過度が40g/m ・24
H以上の浸透性吸水防止材を塗装した後、1.に記載の
低汚染型水性上塗材を塗装することを特徴とする透湿性
塗膜の形成方法。 3.低汚染型水性上塗材におけるアルコキシシランの変
性縮合物が、少なくとも1つ以上のポリオキシアルキレ
ン基をもつことを特徴とする1.または2.に記載の透
湿性塗膜の形成方法。 4.低汚染型水性上塗材におけるアルコキシシランの変
性縮合物が、少なくとも1つ以上のポリオキシアルキレ
ン基およびアルコキシル基を有するアルコキシシランの
変性縮合物であり、前記ポリオキシアルキレン基の繰り
返し単位の炭素数が1〜4、前記アルコキシル基の炭素
数が1〜4であることを特徴とする1.または2.に記
載の透湿性塗膜の形成方法。 5.低汚染型水性上塗材におけるアルコキシシランの変
性縮合物が、少なくとも1つ以上のポリオキシアルキレ
ン基およびアルコキシル基を有するアルコキシシランの
変性縮合物であり、前記ポリオキシアルキレン基の繰り
返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン基、前記ア
ルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特
徴とする1.または2.に記載の透湿性塗膜の形成方
法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の透湿性基材は、コンクリ
ート、モルタル、ALC、石膏ボード、石綿スレート
板、合板、木材、発泡フォーム等の水分をその内部に含
有する気孔を有する基材であり、金属板、ガラス板、プ
ラスチック板等の通気性を全く有さないものは除外す
る。
【0009】本発明において形成塗膜の透湿性は、JIS
K 5400 8.17「水蒸気透過度」に基づいて測定するもの
である。水蒸気透過度が40g/m・24H未満の場
合、建築物内部や土木構造物内部で発生する水蒸気は塗
膜裏面に局在化し、その結果、塗膜の膨れの原因とな
り、一方、冬季には、躯体内部での凍結による躯体破壊
の恐れがある。
【0010】また、形成塗膜の透水量は、JIS A 6909
6.13「透水試験B法」に基づいて測定するものである。
透水量が、0.5mlを超える場合、建築物、土木構造
物等の躯体内部へ降雨による水分が浸透し、その結果、
例えば、コンクリート下地では、中性化による強度低下
や鉄筋の発錆の原因となり、さらに、過剰な水分の浸透
による塗膜の剥離等の異常が生じ、躯体の保護が機能し
えない。
【0011】本発明においては、上塗材として特定の成
分を含有し、且つ特定の物性値を持つものを塗装するこ
とによって、透湿性、防水性を発揮するものである。
【0012】本発明においては、(A)合成樹脂エマル
ションを結合材とする水性塗料に対し、(B)アルコキ
シシランの変性縮合物を含有する低汚染型水性上塗材が
使用される。(B)成分を含有する上塗塗膜は、塗膜中
において(B)成分中のシロキサン結合が、水蒸気を透
過し、水を透過させない適度な結合距離を有しているた
めに効果が発揮される。
【0013】(A)に用いる合成樹脂エマルションとし
ては、特に組成が限定されるものではないが、該合成樹
脂エマルションに(B)成分を含有させたときの形成塗
膜のJISK 5400 8.17による水蒸気透過度が40g/m
・24H以上、且つ JISA6909 6.13 による透水量が
0.5ml以下であることが必須である。
【0014】このような合成樹脂エマルションとして
は、アクリル樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素
樹脂系、ウレタン樹脂系、架橋反応型樹脂系等の何れの
合成樹脂エマルションでもよい。
【0015】〔アクリル樹脂系エマルションについて〕
アクリル樹脂系エマルションとしては、アクリル系単量
体、およびアクリル系単量体と共重合可能な他の単量体
とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0016】アクリル系単量体は、特に限定されない
が、例えば、メチル(メタ)アクリレート(メチルアク
リレートまたはメチルメタアクリレートのいずれかであ
ることを示す。以下において同じ。)、エチル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−
ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
トなどのアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基
含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸な
どのエチレン性不飽和カルボン酸;ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル
系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)ア
クリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系単量
体;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)ア
クリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなど
のエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体等を例示で
きる。
【0017】アクリル系単量体と共重合可能な他の単量
体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量
体;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、
シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスル
ホン酸含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸などの酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ク
ロロプレンなどの塩素含有単量体;ヒドロキシエチルビ
ニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなど
の水酸基含有アルキルビニルエーテル;エチレングリコ
ールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノア
リルエーテルジエチレングリコールモノアリルエーテル
などのアルキレングリコールモノアリルエーテル;エチ
レン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィ
ン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテルなど
のアリルエーテル等を例示できる。
【0018】合成樹脂エマルションとして、アクリル樹
脂系エマルションを用いた場合は、耐久性、コスト面、
樹脂設計の自由度の高さ、グロスペイントでの光沢の高
さなどが有利である。
【0019】〔アクリルシリコン樹脂系エマルションに
ついて〕アクリルシリコン樹脂系エマルションとして
は、珪素含有アクリル系単量体、および珪素含有アクリ
ル系単量体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重
合により得られるものが使用できる。
【0020】珪素含有アクリル系単量体としては、特に
限定されないが、たとえば、γ−(メタ)アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの加水
分解性シリル基含有ビニル系単量体等を例示できる。
【0021】珪素含有アクリル系単量体と共重合可能な
他の単量体としては、たとえば、前述のアクリル樹脂系
エマルションで使用される単量体等を、特に限定されず
使用できる。
【0022】合成樹脂エマルションとして、アクリルシ
リコン樹脂系エマルションを用いた場合は、耐候性、耐
黄変性、耐久性、耐薬品性、耐汚染性などが有利であ
る。
【0023】〔フッ素樹脂系エマルションについて〕フ
ッ素樹脂系エマルションとしては、フッ素含有単量体、
およびフッ素含有単量体と共重合可能な他の単量体とを
ラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0024】フッ素含有単量体としては、たとえば、フ
ッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオ
ロエチレン、ペンタフルオロエチレン、ヘキサフルオロ
プロピレンなどのフルオロオレフィン;トリフルオロエ
チル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル
(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリ
レート等が例示される。
【0025】フッ素含有単量体と共重合可能な他の単量
体としては、たとえば、前述のアクリル樹脂系エマルシ
ョンで使用される単量体等を、特に限定されず使用でき
る。
【0026】合成樹脂エマルションとして、フッ素樹脂
系エマルションを用いた場合は、耐候性、耐黄変性、耐
久性、耐薬品性、耐汚染性などが有利である。
【0027】〔ウレタン樹脂系エマルションについて〕
ウレタン樹脂系エマルションとは、塗膜形成後の塗膜中
にウレタン結合を持つようになるエマルションを総称す
る。即ち、塗膜形成前からウレタン結合を有するもので
もよいし、塗膜形成後の反応によりウレタン架橋を形成
するものでもよい。エマルションの形態としては、1液
型でもよいし、2液型であってもよい。1液型として
は、ウレタン結合を有する重合性単量体を他の共重合可
能な単量体と共重合する方法、ウレタン結合を有する水
性樹脂の存在下に重合性不飽和単量体を重合する方法、
反応基を有する水性ウレタン樹脂と、該反応基と反応す
ることのできる基を含むエマルションとを混合する方法
等が挙げられる。2液型としては、水分散性イソシアネ
ートと水酸基含有エマルションとの組み合わせ等が挙げ
られる。
【0028】合成樹脂エマルションとして、ウレタン樹
脂系エマルションを用いた場合は、耐久性、耐溶剤性、
耐薬品性、耐汚染性などが有利である。
【0029】〔その他の架橋反応型エマルションについ
て〕合成樹脂エマルションの中で、前記の水酸基とイソ
シアネート化合物による架橋反応以外に、カルボニル基
とヒドラジド基、カルボン酸と金属イオン、エポキシ基
とアミン、エポキシ基とカルボキシル基、カルボン酸と
アジリジン、カルボン酸とカルボジイミド、カルボン酸
とオキサゾリン、アセトアセテートとケチミンなどを利
用した架橋反応を形成するエマルションを使用すること
も可能である。架橋反応型エマルションは、1液タイプ
であっても、2成分以上の多成分タイプであってもよ
い。
【0030】合成樹脂エマルションとして、架橋反応型
エマルションを用いた場合は、耐久性、耐溶剤性、耐薬
品性、耐汚染性などが有利である。
【0031】(B)アルコキシシランの変性縮合物は、
低汚染化剤としてはたらくものであり、本発明における
上塗材に耐汚染性及び汚染物質の染み込み防止性を付与
するのに不可欠の成分である。また、変性されているこ
とにより、(A)水性塗料との相溶性が良好で、グロス
ペイントに用いた場合には高い光沢を有する塗膜を形成
できるという効果を発揮するものである。変性されてい
ないアルコキシシランを用いた場合は、合成樹脂エマル
ションとの相溶性が悪く、塗料に異物を生じたり、グロ
スペイントでの塗膜の光沢が低下するといった問題を発
生する。
【0032】(B)アルコキシシランの変性縮合物とし
ては、アルコキシシランのアルコキシル基を、ポリオキ
シアルキレン基含有化合物、アミノ基含有化合物、フッ
素含有化合物等によって変性されたものが使用される。
このうち、合成樹脂エマルションとの相溶性の面から、
ポリオキシアルキレン基含有化合物によって変性された
アルコキシシラン縮合物が好ましく用いられる。ポリオ
キシアルキレン基としては、その繰り返し単位の炭素数
が1〜4、さらには炭素数が2のポリオキシエチレン基
であるものを用いると、上塗塗膜表面における汚染物質
の降雨による除去効果が非常に高まるため、汚染物質付
着による透湿効果の低下を防止する点においてより望ま
しいものである。
【0033】(B)の製造方法としては、以下に記載す
る方法により製造することが可能であるが、これに限定
されるものではない。(B)の具体的な製造方法として
は、たとえばアルコキシシランの縮合物の1種以上を、
ポリオキシアルキレン基含有物1種以上でエステル交換
反応させる方法や、後述するカップリング剤を用いて付
加反応させる方法が挙げられる。
【0034】i)エステル交換反応 すなわち、一般式 (RO)4−a−SiR a (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
はアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシル基を示し、aは0〜2の整数を示す)
で表されるアルコキシシランの縮合物(以下「a成分」
という。また、その縮合前の原料を「a成分のモノマ
ー」という。)を、一般式 R−(OC2n−R (式中、Rは水素原子またはアルキル基、エポキシ
基、アシル基を示し、Rは水酸基、アルキル基、アル
コキシル基、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基を
示し、nは1〜4の整数、mは1〜20の整数を示す)
で表されるポリオキシアルキレン鎖含有化合物(以下
「b成分」という。)でエステル交換することにより製
造する。特に、エステル交換反応においては、末端に少
なくとも1つ以上の水酸基を有する必要がある(尚、後
述するカップリング剤による付加反応の場合はこの限り
ではない)ので、末端に水酸基を有するようなb成分を
使用することが大切である。
【0035】具体的には、a成分のモノマーとしては、
例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキ
シシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−
ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチ
ルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシ
シラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエ
トキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピ
ルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチ
ルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、
ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシ
シラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメチル
シラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポ
キシシラン、ジエチルジブトキシシランの縮合物などが
挙げられる。これらは単独もしくは複数の種類を混合し
て使用することが出来る。
【0036】a成分のアルコキシシリル基の炭素数は1
〜4が好ましい。炭素数が5を超えると、a成分のモノ
マーとb成分とのエステル交換反応において高温での加
温が必要となる。ところが、a成分の熱安定性が劣るた
め、エステル交換反応時に使用不可能なゲルになる傾向
となる。また、a成分の平均縮合度は1〜20が好まし
い。平均縮合度が20を超えると、取り扱いが不便にな
るので好ましくない。
【0037】b成分の具体例として、ポリオキシエチレ
ングリコール、ポリオキシエチレングリコールモノアル
キルエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレングリコ
ール、ポリオキシエチレン−テトラメチレングリコー
ル、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリオキシエチレ
ングリコールビニルエーテル、ポリオキシエチレングリ
コールアリルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
ジアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルアミンなどが挙げられる。これらの化合物は、
1種もしくは2種以上の組み合わせから選択することが
出来る。
【0038】b成分の平均分子量は150〜2000が
好ましい。平均分子量が150未満の場合は、a成分と
のエステル交換反応によって得られた低汚染化剤を塗料
に混合した際の安定性が劣ってくる傾向にあり、グロス
ペイントでは優れた光沢が得られなくなってくる。逆
に、b成分の平均分子量が2000を超えると、硬化塗
膜の耐水性や硬度が低下する傾向にある。
【0039】以上において、a成分のモノマーを縮合さ
せた後にエステル交換反応を行う例を記載したが、a成
分のモノマーを予めb成分でエステル交換した後に、縮
合させる製造方法も使用可能である。
【0040】エステル交換反応を行う際には、エステル
交換触媒(以下「c成分」という)を添加することがで
きる。
【0041】c成分としては、たとえば、ジブチル錫ジ
ラウレート、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ジラウ
レート、ジオクチル錫マレートなどの有機錫化合物;リ
ン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホフェー
ト、モノオクチルホスフェートなどのリン酸またはリン
酸エステル類;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサ
イド、グリシジルメタクリレート、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、エピコート828などのエ
ポキシ化合物とリン酸および/または酸性モノリン酸エ
ステルとの付加物;有機チタネート化合物;有機アルミ
ニウム化合物;有機ジルコニウム化合物;マレイン酸、
アジピン酸、アゼライン酸、これらの酸無水物、パラト
ルエンスルフォン酸などの酸性化合物;ヘキシルアミ
ン、N.N−ジメチルドデシルアミンなどのアミン類;
水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物等の硬化触媒
類が挙げられる。
【0042】このようなc成分は、単独あるいは2種類
以上を併用して使用することができる。c成分の使用量
は、a成分100重量部に対して、0.0001〜5重
量部が好ましい。c成分の使用量が0.0001重量部
以下では、エステル交換反応への寄与が小さく、逆に5
重量部以上ではa成分自体の縮合反応が速くなり低汚染
化剤の安定性が低下するので好ましくない。
【0043】ii)カップリング剤による付加反応 本発明における低汚染化剤は、b成分をエステル交換に
よりa成分に導入する製造方法以外に、一分子中にa成
分とb成分とを結合する反応性官能基と、1個以上のア
ルコキシシリル基を有するカップリング剤(以下「d成
分」という)を使用して付加反応により製造することも
できる。
【0044】d成分に反応性官能基としては、たとえ
ば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート
基、メルカプト基などが挙げられる。また、該官能基
は、アルコキシシリル基との間にウレタン結合、尿素結
合、シロキサン結合、アミド結合などを介して結合され
たものであってもよい。
【0045】d成分としては、具体的には、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルトリエトキシシラン、β−(3,4
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ
る。
【0046】本発明における(B)の低汚染化剤の混合
方法としては、直接的に(B)を(A)水性塗料へ添加
することも可能であるし、(B)をこれと混合可能な溶
剤、もしくは架橋剤等に混合した後に(A)へ添加する
ことも可能である。(B)の添加量としては、(A)の
合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対して、
SiO換算で1.0〜40.0重量部の添加が望まし
い。
【0047】ここで、SiO換算とは、アルコキシシ
ランやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物が完
全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ
(SiO)となって残る重量分にて表したものであ
る。
【0048】一般に、アルコキシシランやシリケート
は、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとな
り、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシに
より縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究
極まで行うと、シリカ(SiO )となる。これらの反
応は
【化1】 という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシ
リカ成分の量を換算したものである。
【0049】実際の計算は、
【数1】 の式により行った。
【0050】本発明における(A)と(B)との混合比
率が、上塗材の合成樹脂エマルションの固形分100重
量部に対して、1.0重量部未満の場合、低汚染化の効
果を発現させることができない。40.0重量部を超え
る場合、(A)と(B)の相溶性が低下してしまう傾向
にあり、グロスペイントでは光沢の低下を引き起こす。
【0051】本発明における上塗材には、先にa成分の
モノマーとして示したようなアルコキシシラン化合物、
あるいはd成分として示したようなカップリング剤を本
発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
【0052】本発明における上塗材には、硬化触媒を添
加するのが好ましい。硬化触媒の添加量は、上塗材10
0重量部に対して、硬化触媒0.1〜10重量部が好適
である。添加量が0.1重量部以下では、反応速度が鈍
ってくるので、結果として硬化塗膜の低汚染性の効果が
低下する傾向にある。また、10重量部以上では塗膜の
外観と耐久性が低下する傾向にある。
【0053】このような硬化触媒としては、たとえば、
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジオク
チル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレートなどの有機
錫化合物;リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチ
ルホフェート、モノオクチルホスフェートなどのリン酸
またはリン酸エステル類;プロピレンオキサイド、ブチ
レンオキサイド、グリシジルメタクリレート、γ−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、エピコート82
8などのエポキシ化合物とリン酸および/または酸性モ
ノリン酸エステルとの付加物;有機チタネート化合物;
有機アルミニウム化合物;有機ジルコニウム化合物;マ
レイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、これらの酸無水
物、パラトルエンスルフォン酸などの酸性化合物;ヘキ
シルアミン、N.N−ジメチルドデシルアミンなどのア
ミン類;水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物など
が例示できる。これらの硬化触媒は、単独あるいは2種
類以上併用して使用することができる。
【0054】これらの硬化触媒は、界面活性剤を用いて
乳化分散後添加することもできる。使用する界面活性剤
は特に限定されないが、ノニオン性、アニオン性、ノニ
オン−アニオン性のものが好適に使用できる。
【0055】本発明における上塗材には、必要に応じて
通常塗料に用いられる造膜助剤、無機系着色顔料、有機
系着色顔料、体質顔料などを配合することができる。ま
た、本発明に影響しない程度の可塑剤、防腐剤、防黴
剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、
たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など
の添加剤を単独あるいは併用して配合することができ
る。
【0056】本発明では、コンクリート、モルタル等の
透湿性を有する基材に対し、直接低汚染型水性上塗材を
塗装することができるが、各種下塗材を塗装した基材に
塗装することも可能である。この場合、下塗材として
は、形成塗膜のJISK 5400 8.17による水蒸気透過度が4
0g/m ・24H以上であることが必須である。本
発明では、下塗材として特に浸透性吸水防止材を用いる
ことが望ましい。
【0057】浸透性吸水防止材は、コンクリート、モル
タル等の基材の中に深く浸透して撥水層を形成し、外部
からの水や炭酸ガス等の浸入を遮断することで基材の中
性化による強度低下を防止し、さらに駆体内部に存在す
る鉄骨あるいは鉄筋の腐食を抑制する効果を発揮する。
また、基材内部のカルシウム成分の移行よる基材表層で
のエフロレッセンス発生を防止することもできる。
【0058】本発明では、浸透性吸水防止材とアルコキ
シシラン変性縮合物含有水性上塗材との積層により、耐
汚染性に優れ、長期的に透湿性を持続することができ、
さらには、耐久性に優れ、防水性、耐エフロレッセンス
性等の物性が向上した塗膜を形成できる。本発明では、
アルコキシシラン変性縮合物の作用により、撥水性を有
する浸透性吸水防止材に対しても上塗材が強固に密着す
ることができる。また、コンクリートやレンガ等の素材
の質感を維持しようとする場合は、クリヤー性を有する
浸透性吸水防止材および上塗材を塗装すればよい。本発
明の浸透性吸水防止材と上塗材との組み合わせにより、
塗装によるむらや濡れ色の発生を防止することもでき
る。
【0059】浸透性吸水防止材としては、水蒸気透過度
が40g/m・24H以上であれば、特に限定されず
に使用できるが、作業性や環境衛生性を考慮すると水性
であるものが好ましい。水性の浸透性吸水防止材を用い
ると、基材が水を含んだ状態であっても塗装が可能とな
る。このような浸透性吸水防止材としては、加水分解性
シラン化合物やシリコーン系樹脂を各種乳化剤で水性エ
マルション化したもの、あるいはこれらの水性エマルシ
ョンと、アクリル樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フ
ッ素樹脂系、ウレタン樹脂系、架橋反応型樹脂系等の合
成樹脂エマルションとを複合化したもの等が挙げられ
る。
【0060】加水分解シラン化合物としては、例えば、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブ
トキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピル
トリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、
プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラ
ン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシ
シラン、ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロ
ポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジ
メチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ
プロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ヘキシ
ルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、
ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシ
シラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプ
ロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシル
トリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シランなどが挙げられる。これらは単独もしくは複数の
種類を混合して使用することができる。
【0061】本発明における浸透性吸水防止材には、必
要に応じて通常塗料に用いられる造膜助剤、無機系着色
顔料、有機系着色顔料、体質顔料、可塑剤、防腐剤、防
黴剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止
剤、たれ防止剤、艶消し剤などの添加剤を単独あるいは
併用して配合することができる。
【0062】本発明の透湿性塗膜を形成するに際し、低
汚染型水性上塗材および浸透性吸水防止材の施工手段と
しては特に限定されず、刷毛塗り、スプレー塗装、ロー
ラー塗装、ロールコーター、フローコーター等、公知の
塗装方法を用いることができる。低汚染型水性上塗材を
塗装する際の塗付量は、水蒸気透過度および透水量が本
発明の範囲になるように適宜決定すればよい。この範囲
において、塗装する材料や基材の種類等により適宜設定
すればよいが、フラットペイント、グロスペイント、ク
リヤー塗料の場合、通常、0.1kg/m〜0.5k
g/m程度の塗付量で塗装を行う。浸透性吸水防止材
を用いる際の塗付量も、水蒸気透過度が本発明の範囲に
なるように適宜決定すればよい。この範囲において、塗
装する材料や基材の種類等により適宜設定すればよい
が、通常、0.05kg/m〜0.4kg/m程度
の塗付量で塗装を行い、その後に低汚染型水性上塗材を
前記塗付量にて塗装する。浸透性吸水防止材および低汚
染型水性上塗材をこのような塗付量で塗装することによ
り、透湿性や防水性等の物性バランスが良好な塗膜を得
ることができる。
【0063】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴をより明確にする。
【0064】(合成例1)アルコキシシラン変性縮合物
1合成例 テトラエトキシシランの縮合物である平均分子量750
のエチルシリケート縮合物(平均分子量750、シリカ
残量比率40重量%)100.0重量部と平均分子量2
00のポリオキシエチレングリコール#200(和光純
薬株式会社製)106.7重量部を混合し、さらに触媒
としてジブチル錫ジラウレート0.02重量部を添加
後、75℃で8時間脱エタノール反応を行い、アルコキ
シシラン変性縮合物1を合成した。このアルコキシシラ
ン変性縮合物1の900℃にて焼成して得られたシリカ
残量比率は20.9重量%であった。
【0065】(合成例2)アルコキシシラン変性縮合物
2の合成例 エチルシリケート縮合物を100重量部、平均分子量4
00のポリオキシエチレングリコールモノセチルエーテ
ル(東京化成株式会社製)81.7重量部を混合し、触
媒としてジブチル錫ジラウレート0.02重量部を添加
して、合成例1と同様にしてアルコキシシラン変性縮合
物2を合成した。このアルコキシシラン変性縮合物2の
シリカ残量比率は22.2重量%であった。
【0066】上塗材として表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にて各上塗材を作製した。下塗材
としてはヘキシルトリエトキシシランを主成分とする水
性エマルション型浸透性吸水防止材(以下、「下塗材
1」)を使用した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】1.透湿性試験 下塗材、および上塗材をそれぞれ0.20kg/m
0.30kg/mの塗付量でわ紙にスプレー塗装し、
標準状態で7日間乾燥させた後、直径約70mmの円形
に6枚切り取り試験体とした。3枚は初期値とし、JISK
5400 8.17「水蒸気透過度」に準じて透湿性試験を行っ
た。残りの3枚は、JISK 5400 8.10 耐汚染性試験に準
じ、塗膜全面に15重量%カーボンブラック水分散ペー
ストを均一に噴霧し、50℃の恒温室中に2時間放置し
た。その後、ソニケーターを用いて、10分間超音波洗
浄を行い標準状態で3日間放置後、前述同様に透湿性試
験を行い評価した。評価基準は以下の通りである。 水蒸気透過度 40g/m ・24h以上:○、20
g/m・24h以上40g/m ・24h未満:
△、20g/m・24h未満:×
【0070】2.透水性試験 300×300×6mmのスレート板に、下塗材、およ
び上塗材をそれぞれ0.20kg/m、0.30kg
/mの塗付量でスプレー塗装し、標準状態で7日間乾
燥させたものを試験体とした。その後、JISA6909 6.13
透水量に準じて試験を行った。
【0071】3.密着性 150×70×6mmのスレート板に、下塗材、および
上塗材をそれぞれ0.20kg/m、0.30kg/
の塗付量でスプレー塗装し、標準状態で7日間乾燥
させたものを試験体とした。作製した試験板について、
JISK5400 8.5.2 碁盤目テープ法に準じ、密着性を評価
した。評価は、○:欠損部面積が5%以内、△:欠損部
面積が5〜35%、×:欠損部面積が35%以上とし
た。
【0072】下塗材と上塗材との組み合わせ、および試
験結果を表3に示す。 (実施例1〜実施例5)透湿性試験では初期状態におい
ても透湿性が高く、その後汚染処理を行ったにも関わら
ず、超音波洗浄により汚染物質が剥離したため、透湿度
の値が低下しなかった。また、透湿性の高さに対して透
水性が低く、透湿・防水の両機能を兼ね備えていると言
える。
【0073】(比較例1〜2)アルコキシシラン変性縮
合物を含有しない上塗材を用いたところ、初期における
透湿性は充分であったが、汚染物質が除去されず、透湿
性が低下してしまった。 (比較例3)浸透性吸水防止材とアルコキシシラン変性
縮合物を含有しないクリヤー上塗材とを組み合わせたと
ころ、初期における透湿性がやや低く、耐汚染性試験後
の透湿性も低下してしまった。また、充分な密着性が得
られなかった。
【0074】
【表3】
【0075】
【発明の効果】本発明は、透湿性と防水性という相反す
る効果を有しながら、塗膜表面の耐汚染性、とりわけ汚
染物質の自然除去効果が非常に優れるため、経時的な透
湿効果の低下を生じない透湿性塗膜を得ることができ
る。さらに、浸透性吸水防止材とアルコキシシラン変性
縮合物含有水性上塗材との積層により、耐久性に優れ、
防水性、耐エフロレッセンス性等の物性が向上した塗膜
を形成することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透湿性基材の表面に、合成樹脂エマルショ
    ンを結合材とする水性塗料に対し、アルコキシシランの
    変性縮合物を含有し、形成塗膜のJISK 5400 8.17 によ
    る水蒸気透過度が40g/m ・24H以上、且つJIS
    A 6909 6.13による透水量が0.5ml以下の低汚染
    型水性上塗材を塗装することを特徴とする透湿性塗膜の
    形成方法。
  2. 【請求項2】透湿性基材の表面に、下塗材として形成塗
    膜のJIS K5400 8.17による水蒸気透過度が40g/m
    ・24H以上の浸透性吸水防止材を塗装した後、請求
    項1に記載の低汚染型水性上塗材を塗装することを特徴
    とする透湿性塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】低汚染型水性上塗材におけるアルコキシシ
    ランの変性縮合物が、少なくとも1つ以上のポリオキシ
    アルキレン基をもつことを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の透湿性塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】低汚染型水性上塗材におけるアルコキシシ
    ランの変性縮合物が、少なくとも1つ以上のポリオキシ
    アルキレン基およびアルコキシル基を有するアルコキシ
    シランの変性縮合物であり、前記ポリオキシアルキレン
    基の繰り返し単位の炭素数が1〜4、前記アルコキシル
    基の炭素数が1〜4であることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載の透湿性塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】低汚染型水性上塗材におけるアルコキシシ
    ランの変性縮合物が、少なくとも1つ以上のポリオキシ
    アルキレン基およびアルコキシル基を有するアルコキシ
    シランの変性縮合物であり、前記ポリオキシアルキレン
    基の繰り返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン
    基、前記アルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透
    湿性塗膜の形成方法。
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