JP2000209989A - 両軸受リ―ル - Google Patents

両軸受リ―ル

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JP2000209989A
JP2000209989A JP11012536A JP1253699A JP2000209989A JP 2000209989 A JP2000209989 A JP 2000209989A JP 11012536 A JP11012536 A JP 11012536A JP 1253699 A JP1253699 A JP 1253699A JP 2000209989 A JP2000209989 A JP 2000209989A
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conductor
rotation
braked
weight
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Hideo Noda
英夫 野田
Toshihiko Hogaki
敏彦 穂垣
Yukihisa Sato
幸久 佐藤
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Ryobi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スプールや被制動部材又は制動部材を取外す
必要がなく、また高度の加工精度を要することなく、ス
プールと被制動部材の回転接続関係を調節可能として、
スプールの制動力を得ることが可能なバックラッシュ防
止装置を備えた両軸受リールの提供。 【解決手段】 導電体20は、切換部材34によりスプ
ール8に圧接されて、スプール8と一体となって回転可
能である。導電体20は、第1の磁性体31及び第2の
磁性体32による磁束によって制動力を受け、導電体2
0と一体回転するスプール8の回転は制動を受ける。ス
プール8が低速で回転する際には、スプール8の回転は
強い制動力を受けるが、スプール8が高速で回転する際
には、スプール8と導電体が一体に回転できず、スプー
ル8の回転は弱い制動力を受ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は両軸受リールに関し、特
にバックラッシュ防止装置を有する両軸受リールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】両軸受リールを用いてキャスティングを
行う際には、いわゆるバックラッシュと呼ばれる現象が
生ずる。これは、リールに支承されたスプールが自由回
転状態にされて、スプールから釣糸が繰出されている最
中に、釣糸の先端に設けられた仕掛けの飛行速度が落
ち、釣糸の繰出される速度よりもスプールの回転する周
速度の方が相対的に速くなってしまうことによって生ず
るものである。このバックラッシュを防止するために、
従来より両軸受リールには、バックラッシュ防止装置が
設けられている。
【0003】特開平9−322678号公報には、被制
動部材である導電体及び制動部材である磁石体によって
構成されるバックラッシュ防止装置を有する両軸受リー
ルが記載されている。このバックラッシュ防止装置の導
電体は、一方が有底の円筒形状をしており、スプールの
軸方向の一端からスプール側に向かって突出するよう
に、導電体の底部の中心がスプール軸の一端に固着され
ている。円筒の軸心はスプール軸と一致しており、スプ
ール軸と共に一体回転する。バックラッシュ防止装置の
磁石体は、一対の磁石体から構成される。一対の磁石体
は、導電体の開口端側から、これら磁石体が導電体の側
面を挟むように配置されている。
【0004】一対の磁石体による磁束密度は、一対の磁
石体間の導電体に作用し、常に導電体の回転を制動す
る。導電体に作用する磁束密度は、調整可能であり、一
対の磁石体の一方を、他方の磁石体或いは導電環体に対
して軸方向や径方向に移動或いは周方向に回動すること
によりこの調整が行われる。
【0005】このバックラッシュ防止装置は、常に磁石
体による制動力が導電体に作用し、スプールの回転が直
接制動されるので、ビギナーにとっては重宝されていた
が、いわゆるサミングを習熟したベテランの釣人にとっ
ては、バックラッシュ防止装置は不要であるばかりでな
く、特に、ルアーフイッシングにおいて軽量なルアーや
空気抵抗の大きいルアーを投擲する際には、投擲初期に
制動力がかかることにより初速がでないため、ルアーの
投擲距離が伸びず問題となっていた。
【0006】一方、これとは別のタイプのバックラッシ
ュ防止装置が設けられた魚釣用リールが知られている。
このリールに設けられたバックラッシュ防止装置は、ス
プールの回転遠心力によって移動する錘と、制動板との
間の摩擦力によって、スプールの回転を制動するもので
ある。錘は、スプール軸に半径方向外方に向かって放射
状に設けられたガイド体に対して、半径方向に摺動可能
に設けられている。リール側板には、ガイド体に対向す
る位置にスプール軸を中心として環状に形成された凹所
が設けられている。スプール軸が高速回転する際に、回
転遠心力によって錘がスプール軸の半径方向外方に移動
し、凹所に当接押圧する。この状態でスプールが回転す
るため、凹所と錘との間に摩擦力が働き、錘の凹所上の
移動が制動され、スプールの回転が制動される。
【0007】遠心力を利用したこのバックラッシュ防止
装置は、スプールの低速回転時には制動力がスプールに
全く作用せず、スプールの高速回転時にのみ制動力が作
用するため、ビギナーが使用した場合には、スプールの
低速回転時にバックラッシュを起こし易いという問題が
生じていた。また、最近のルアーフイッシングで用いら
れる重いルアーや空気抵抗の小さいルアーを投擲してい
るときに、投擲速度が上がりスプールの回転が上がった
時点でスプールの回転が制動されてしまい、釣糸の繰出
し速度が抑えられ、ルアーの投擲距離が伸びないという
問題も生じていた。
【0008】これらの問題を解消し、ビギナー、ベテラ
ンを問わず使用できる釣用リールが、特開平9−322
678号公報に記載されている。これは、バックラッシ
ュ防止装置における導電体への磁石体の制動力が全く作
用しない状態を得ることができるものである。このバッ
クラッシュ防止装置の導電体及び磁石体は、前述の同公
報の従来技術とほぼ同じ構成であるが、導電体はスプー
ルに着脱可能に設けられている点で異なっている。バッ
クラッシュ防止装置が不要であると判断したベテランの
釣人は、導電体をスプールから取外し、磁石体の制動力
が全く作用せずスプールが自由回転する状態で釣りを行
うことができ、バックラッシュ防止装置が必要であると
判断したビギナーの釣人は、導電体をスプールに取付
け、スプールの回転が制動される状態で釣を行うことが
できる。
【0009】一方、特開平10−262518号公報に
は、スプールの高速回転時に、磁石体の磁束密度によっ
て導電体の回転を制動するバックラッシュ防止装置が設
けられた魚釣用リールが記載されている。このバックラ
ッシュ防止装置には、前述の特開平9−322678号
公報に記載の導電体と類似の導電体及び一対の磁石体が
設けられている。但し、導電体は、スプールから着脱可
能とはなっておらず、スプール軸と一体に回転し、スプ
ール軸が嵌装されるように設けられた略筒状の長手方向
移動部材に固定され、スプール軸方向に摺動可能となっ
ている。また、導電体は摺動可能であるため、常に一対
の磁石体の間に導電体を挟むような位置関係とはなって
いない。長手方向移動部材には、半径方向外方に向かっ
て放射状に案内孔が形成され、案内孔には半径方向移動
部材が案内孔に対して摺動可能に設けられている。
【0010】スプールの回転の速度が低い場合には、導
電体が一対の磁石体間に位置しておらず、スプールと一
体回転する導電体には、磁石体の磁束密度による制動力
が作用しない。スプールの回転の速度がある程度まで高
くなると、スプールのスプール軸側のテーパ形状面に半
径方向移動部材が当接し、テーパ形状面に沿ってスプー
ル軸から離れる方向に半径方向移動部材が移動し、結果
的に、長手方向移動部材と一体である導電体を一対の磁
石体の間へと移動させる。一対の磁石体の間に導電体が
位置すると、磁石体による磁束密度によって導電体が制
動され、スプールの回転が制動される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平9
−322678号公報に記載された両軸受リールでは、
スプールが制動を全く受けずに回転できる状態とするた
めには、先ずリール本体からスプールを取出し、スプー
ルから導電体を取外し、更に導電体が取外されたスプー
ルをリール本体に組込まなければならならず、作業が面
倒であるという問題があった。また、取外した導電体を
紛失、損傷してしまうと、バックラッシュ防止装置が作
用する状態での釣ができなくなってしまうため、導電体
を慎重に扱い、又、導電体の管理に細心の注意を払う必
要があるという問題もあった。また、この両軸受リール
のバックラッシュ防止装置は、導電体を取付けた状態で
は、従来の磁石を利用したバックラッシュ防止装置と何
ら代わるものではなく、導電体を取外した状態ではバッ
クラッシュ防止装置を備えていないものと同様のものと
なるため、釣人の関心を捉えることができない問題があ
った。
【0012】また、上記特開平10−262518号公
報に記載された両軸受リールでは、一対の磁石体の間に
導電体を位置させた際に、安定した制動力を得るために
導電体を安定した状態で保持しなければならず、そのた
めには、スプールに対してスムーズ且つ確実に導電体を
スプールの軸方向に移動可能に支承する必要があり、高
い精度が要求されていた。また、筒状の導電体は、遠心
力に応じて軸方向に押圧移動されるものであるため、遠
心力に対する移動量が一定であり、スプールへの制動力
も一定の変化曲線しか具現化できないものである。従っ
て、ビギナーとベテランとのテクニックや癖の違いに応
じて、制動力の変化曲線を選定することができないとい
う問題がある。更に、重いルアーや空気抵抗の小さいル
アーを投擲する際には、ルアーの投擲距離をある程度は
伸ばすことはできるが、軽量なルアーや空気抵抗の大き
いルアーの投擲時には、スプールの回転が上がった時点
でスプールに制動力が作用するため、相変わらずルアー
の投擲距離を抑えてしまうという問題があった。
【0013】そこで本発明は、スプールや被制動部材又
は制動部材を取外す必要がなく、また高度の加工精度を
要することなく、スプールと被制動部材の回転接続関係
を調節可能として、スプールの制動力を得ることが可能
なバックラッシュ防止装置を備えた両軸受リールを提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】係る本発明の目的は、ス
プール8の回転により被制動部材20、49、49A、
50、51、52、53を回転させる接続位置と、被制
動部材20、49、49A、50、51、52、53を
スプール8の回転と無関係とする非接続位置との間を移
動可能な切換手段34,43、44、45、54、5
5、59、59A、60、61、71、74、75、7
6、80、81により構成されるバックラッシュ防止装
置を備えたことにより達成される。
【0015】即ち本発明は、リール本体1と、該リール
本体1の側板2間に支持されたスプール軸9と、該スプ
ール軸9の軸心を中心に回転するスプール8と、該スプ
ール8の回転に制動を与えるために該リール本体1に設
けられた制動部材31,32,46と、該スプール8の
一端であって該制動部材31,32,46に対向する位
置に設けられた被制動部材20、49、49A、50、
51、52、53とを有する両軸受リールにおいて、該
被制動部材20、49、49A、50、51、52、5
3は、該スプール8に対して回転自在に支承され、該制
動部材31,32,46によって選択的に回転制動を受
け、該スプール8の回転により該被制動部材20、4
9、49A、50、51、52、53を回転させる接続
位置と、該被制動部材20、49、49A、50、5
1、52、53を該スプール8の回転と無関係とする非
接続位置との間を移動可能な切換手段34,43、4
4、45、54、55、59、59A、60、61、7
1、74、75、76、80、81が設けられている両
軸受リールを提供している。
【0016】また、該スプール軸9には軸受部材40が
環装され、該軸受部材40を介して該被制動部材20が
スプール8に支承されていることが好ましい。
【0017】また、該制動部材31,32が一対の磁石
体からなり、該被制動部材20が該一対の磁石体間に配
置された導電体からなり、該切換手段43、44、4
5、54、55、59、59A、60、61、71、7
4、75、76、80、81は、該スプール8の回転に
伴う回転遠心力により該被制動部材20に当接すること
によって該接続位置に切換えられて、該スプール8の回
転を規制する遠心手段43、44、45、54、55、
59、59A、60、61、71、74、75、76か
らなることが好ましい。
【0018】また、該遠心手段54、55、59、59
A、60、61、71、74は該スプール8と一体に回
転すると共に該スプール8に対して移動可能な錘45、
54、60、71、75を有しており、該導電体には該
錘45、54、60、71、75と係合可能な係合部2
0a、20b、20cが形成され、該スプール8の回転
に伴って該錘45、54、60、71、75が該係合部
20a、20b、20cに係合した位置が接続位置をな
し、該錘45、54、60、71、75が該係合部20
a、20b、20cと離反した位置が非接続位置をなす
ことが好ましい。
【0019】また、該遠心手段は、該スプール軸9から
半径方向外側に向かって放射状に延びるシャフト80
と、該シャフト80に対して摺動可能に支持された磁石
体81とにより構成され、該スプール8の回転に伴って
該磁石体81が該スプール8の半径方向外方に移動して
該被制動部材20と対向した位置が接続位置をなし、該
磁石体が該スプール8の半径方向内方に移動して該被制
動部材20との対向が少なくとも一部解除される位置が
非接続位置をなすことが好ましい。
【0020】また、該制動部材31,32が一対の磁石
体からなり、該被制動部材20が該一対の磁石体間に配
置された導電体からなり、該切換手段34は、該被制動
部材20を該スプール8に圧接させる接続位置と、該ス
プール8に対する該被制動部材20の圧接を解除する非
接続位置との間で切換可能に設けられていることが好ま
しい。
【0021】また、該切換手段34には、該被制動部材
20の該スプール8に対する圧接力を調整可能な圧接力
調整手段が設けられていることが好ましい。
【0022】また、該制動部材31,32の一対の磁石
体の内の一方は、他方の磁石体或いは導電体に対して移
動可能に設けられ、該一方の磁石体には磁束密度調整手
段が接続され、該磁束密度調整手段の操作により該一方
の磁石体を移動させて、該導電体に作用する磁石体の磁
束密度を調整可能としたことが好ましい。
【0023】また、該切換手段59、59A、60、6
1は、該スプール8に対して起立・倒伏可能に接続され
る係止部材60により構成され、該導電体には、該係止
部材に係合可能な係合部が形成され、該接続位置では該
スプール8の回転に伴って該係止部材が起立して該係合
部に係合し、該非接続位置では該係止部材が倒伏して該
係合部から離反することが好ましい。
【0024】また、該制動部材46が環状制動板からな
り、該被制動部材49、49A、50、51、52、5
3は、該スプール8に圧接又は圧接解除方向に移動可能
な基部と、該基部に対し移動可能に設けられ、該スプー
ル8の回転に伴う回転遠心力により該環状制動板に当接
して制動力を発生する錘部を有することが好ましい。
【0025】また、該切換手段34は、該基部の該スプ
ール8に対する圧接力を調整可能な圧接力調整手段が設
けられていることが好ましい。
【0026】また、該環状制動板は、該スプール8の軸
方向に移動可能かつ位置固定可能に設けられ、該錘部の
当接位置を調整可能としていることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による
両軸受リールについて図1に基づき説明する。両軸受リ
ールのリール本体1は、枠板1a、側板2及びこれらに
対してリール本体のもう一方側に設けられた図示せぬ枠
板、側板とによって構成されている。枠板1aと図示せ
ぬ枠板とは、接続部材3、4によって接続され、リール
の骨格をなしている。リール本体1の側板2は、枠板1
aに着脱自在に設けられている。側板2にはスプール軸
受部材5が設けられており、スプール軸受部材5は枠板
1aに形成された穴部に嵌合している。スプール軸受部
材5には、軸受7が設けられており、スプール8と一体
でスプール軸9の軸方向の延長部分であるスプール軸延
長部10が軸受7を介して回転自在に枠板1aに支承さ
れている。スプール8の他端にも図示せぬスプール軸延
長部が設けられており、図示せぬ枠板に設けられた図示
せぬ軸受を介して図示せぬスプール軸延長部が回転自在
に支承されている。スプール8の両端のスプール軸延長
部が回転自在となっているため、スプール8自体も側板
2に対して回転自在となっている。スプール8は、図示
せぬ手動ハンドルと駆動連結されており、手動ハンドル
が回転されることによってスプール8も回転されるよう
に構成されている。
【0028】スプール軸9の一方の端部であってスプー
ル軸延長部10が接続されている部分には、スプール軸
9に対して摺動回転可能な筒状の導電体基部20Aが設
けられている。導電体基部20Aには、半径方向にフラ
ンジ状に形成された導電体底部20Bが一体形成され、
導電体底部20Bの半径方向の最外部にはスプール軸と
中心が一致する円筒形状の導電体筒状部20Cが一体形
成されている。導電体基部20Aと導電体底部20Bと
導電体筒状部20Cとを総称して導電体20と呼ぶ。
【0029】スプール軸受部材5には、複数の第1磁石
体31が固着されている。また、スプール軸受部材5の
軸受部5aには、軸受部5aの周囲を回動可能に環装す
る状態で略環状の磁石体受け部材6が設けられており、
磁石体受け部材6には、複数の第2磁石体32が固着さ
れている。第1磁石体31と第2磁石体32とは、図1
では相互に対向する位置にあり第1磁石体31と第2磁
石体32との間に導電体筒状部20Cが位置し、導電体
20が円周方向に回動可能な程度の隙間が確保されてい
る。第2磁石体32が固着されている磁石体受け部材6
は、軸受部5に対して回動可能に環装されている。磁石
体受け部材6の外周には歯車6Aが形成されており、側
板2に設けられた制動力調整摘み33の歯車33Aと噛
合している。制動力調整摘み33には、その一端に歯車
33Aが形成されており、他端にフランジ状摘み部33
Bが形成されており、これらは軸部33Cにより結合さ
れ一体となっている。軸部33Cは、側板2に形成され
た穴部を貫通した状態で側板2に対して回転可能に支承
されている。制動力調整摘み33を回転することによっ
て磁石体受け部材6が回転され、第1磁石体31と第2
磁石体32との対向位置関係を変化させることができ、
導電体20に作用する磁束密度を調整することができる
ように構成されている。
【0030】スプール軸延長部10のスプール軸9付近
の外周面には、雄ネジが螺刻されており、略環状をなす
切換手段をなす切換部材34の内周面に螺刻された雌ネ
ジが螺合し、切換部材34がスプール軸延長部10を環
装している。切換部材34は、側板2を取外すと外部に
露出し、釣人の手動操作によってスプール軸延長部10
の雄ネジと切換部材34の雌ネジとが螺合しながら回動
する。切換部材34には、スプール8の側から側板2の
側へ向かってスプール軸に平行に弾性手段保持凹部34
aが形成されており、弾性手段保持凹部34aにはコイ
ルスプリング35の一端が保持されている。コイルスプ
リング35の他端は、導電体底部20Bの側板2側の面
に接しスプール軸9を環装するワッシャ36に当接して
おり、コイルスプリング35はワッシャ36を介して導
電体20をスプール8へ押しつけるように付勢してい
る。釣人によって切換部材34が回転され、切換部材3
4が図1の右方向へ進むことによってコイルスプリング
35の導電体20に対する付勢力が高まり、付勢力が最
大となった時点では、導電体20はスプール8対して回
転不能の状態となり固定される。逆に、釣人によって切
換部材34が回転され、側板2方向に進んで行くと、コ
イルスプリング35の導電体20に対する付勢力は低く
なり、最終的に0となる。この時点では、導電体20は
スプール8に対して回動自在となるように構成されてい
る。
【0031】次に、第1の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。切換部材34が図1の左側
に位置し、コイルスプリング35の導電体20に対する
付勢力が0であるときには、導電体20はスプール8に
対して回動自在となっており、スプール8の回転に制動
力が全くかからない状態でリールを操作できる。
【0032】切換部材34が釣人の回動操作によって図
1の右側へ移動されると、導電体20はコイルスプリン
グ35から弱い付勢力を受ける。この状態でスプール8
から釣糸が繰出されスプール8が回転すると、導電体2
0はスプール8に押しつけられるようにコイルスプリン
グ35によって付勢されているため、スプール軸9と一
体となって回転しようとするが、導電体20は第1磁石
体31及び第2磁石体32の磁束密度により回転しない
ように制動力を受けており、コイルスプリング35の導
電体20に対する付勢力がそれほど強くないため導電体
20とスプール軸9とは一体回転できず、コイルスプリ
ング35とワッシャ36と導電体20とがそれぞれ摺動
しながら回転する。この状態では、スプール8の低速回
転時においてもある程度の弱い制動力が得られる。
【0033】さらに切換部材34が図1の右側へ移動さ
れ、コイルスプリング35の導電体20への付勢力が最
大となったときには、導電体20とスプール軸9とワッ
シャ36とは摺動せずこれら全て一体となって回転す
る。従って、第1、第2磁石体31,32による導電体
20への回転制動が、直接スプール9にも作用し、スプ
ール8の回転に対して強い制動力が得られることとな
る。そして、スプール8の回転速度がある一定の回転速
度よりも高い回転速度となったときに、導電体20とス
プール軸9とは一体となって回転することができなくな
り、コイルスプリング35と導電体20とワッシャ36
とがそれぞれ摺動回転する。
【0034】図2は、本実施の形態による両軸受リール
及び従来のバックラッシュ防止装置を有する両軸受リー
ルにおけるスプール回転数と制動力の関係を示すグラフ
である。このグラフ上で比較されている従来のバックラ
ッシュ防止装置は、前述の特開平9−322678号公
報に記載された両軸受リールに設けられている、導電体
及び磁石体によって構成されるオーソドックスなタイプ
である。
【0035】図2に示されるように、スプール8が低速
で回転しているときにも、制動力が作用しており、ある
程度スプール回転数が高くなると、制動力はほぼ一定と
なり、スプール8の回転数が高くなるにつれて制動力が
高まる従来の磁気制動装置とは大きく相違する。換言す
れば、本実施の形態によるバックラッシュ防止装置で
は、スプール回転数の上昇につれて制動力が比例的に上
昇しないため、従来のバックラッシュ防止装置と較べて
スプール8の回転数を高くすることができ、ルアー等の
仕掛けをより遠くへ飛ばすことができる。またスプール
8の低速回転時においても、スプール8に制動をかける
ことができる。
【0036】次に、本発明の第2の実施の形態による両
軸受リールについて、図3に基づき説明する。なお、第
1の実施の形態と同一の部材については、同一の符号を
用い、説明は省略する。第2の実施の形態では、第1の
実施の形態における切換部材34と同様の場所に配置さ
れた切換部材34の他に、スプール8の回転に伴う遠心
力を利用した遠心手段43、44、45が、切換手段の
一部を構成する部材として設けられている。
【0037】スプール軸9の一方の端部であってスプー
ル軸延長部10付近には、軸受部材40がスプール軸9
を環装しており、軸受部材40の周囲には、導電体20
の導電体基部20Aが環装されている。そのため導電体
20は、軸受部材40を介してスプール軸9に対して回
転可能であり、スプール軸9の軸方向には移動不可能に
設けられる。スプール軸9の側板2側には、フランジ状
の摩擦部材41が設けられている。摩擦部材41は、ス
プール軸9に対して軸方向に移動可能であると共に、ス
プール軸9と一体回転可能に設けられている。摩擦部材
41は摩擦部材付勢手段42によって導電体20から離
れる方向、即ち、図3の左方向へ付勢されている。第1
の実施の形態と同様に切換部材34はスプール軸9に対
して回転操作可能に設けられ、回転操作により摩擦部材
41を押圧して、導電体20に対する摩擦部材41の押
圧力を調整可能に設けられている。
【0038】スプール8がスプール軸9に固定されてい
る部分と導電体基部20Aとの間のスプール軸9の断面
小判状部分には、ブラケット44が、スプール軸9に対
して回転不能かつスプール軸9の軸方向に摺動可能に環
装されており、ブラケット44には、スプール軸9の半
径方向延びるシャフト43が植設されている。シャフト
43には、錘45がシャフト43に対して摺動可能に設
けられている。また、シャフト43の先端に対向するス
プール8の部分は、側板2に向かって次第に内径が拡径
する傾斜面8aが形成されている。また、錘45の先端
面は、傾斜面8aに倣った形状をなしている。第2の実
施の形態においては、切換部材34、シャフト43、ブ
ラケット44、錘45は切換手段を構成し、特にシャフ
ト43、ブラケット44、錘45はスプールの回転に伴
う回転遠心力により被制動部材である導電体20に当接
する遠心手段を構成し、切換部材34は、導電体20に
対する圧接力(換言すれば、摩擦部材21を介しての導
電体20のスプール8に対する圧接力)を調整可能な圧
接力調整手段として機能する。なお、図3の中心線Dの
上半分は、スプールの回転速度が高い状態を示し、下半
分は低い状態を示す。
【0039】次に、第2の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。切換部材34が図3に示さ
れる位置にあるときには、切換部材34と摩擦部材41
と導電体20とがそれぞれ当接しておらず、摩擦部材4
1は導電体20を圧接していない。釣糸がスプール8か
ら繰出され、スプール8が低速で回転し始めても、スプ
ール8の回転は、なんら制動力を受けず自由回転する。
スプール8の回転数が増加すると、錘45は遠心力によ
りシャフト43に沿ってスプール軸9の半径方向外方へ
摺動し、スプール8に形成された傾斜面8aに当接す
る。更に、スプール8の回転速度が高まると、錘45が
傾斜面8aに当接した状態のまま傾斜面8aに沿って図
3の左方向へ摺動し、導電体20に当接する。そして、
導電体20と錘45との間の摩擦力により、導電体20
とスプール軸9とは、錘45を介して回転する。導電体
20は第1の実施の形態と同様に、第1磁石体31と第
2磁石体32との間に位置して回転しているため、磁力
による制動力を受け、導電体20と一体となって回転し
ているスプール8の回転も制動を受ける。即ち、切換部
材34が図3に示される位置にあるときには、スプール
8が低速で回転しているうちは制動力を全く受けず、あ
る程度の高速の回転に達したときには、スプール8の回
転に制動力を作用させることができる。
【0040】釣人の回動操作によって、切換部材34を
図3の右側方向に移動すると、摩擦部材41はある程度
の力で導電体20を圧接する。このとき、スプール8が
低速で回転する際に、摩擦部材41はスプール8と共に
一体に回転するが、摩擦部材41と導電体20との間の
摩擦力によって導電体20もスプール8と一体となって
回転しようとする。しかし、導電体20は、第1磁石体
31及び第2磁石体32によって、回転が阻まれるよう
な制動力を受ける。このため、導電体20は自由には回
転できず、摩擦部材41との間で摩擦力を生じながらス
プール8は回転する。スプール8の回転速度がある程度
まで高くなると、前述したように、錘45が導電体20
に圧接して、スプール8と導電体2とが一体となって回
転する。即ち、スプール8が低速で回転し始めたときか
らスプール8は弱い制動力を受けることができ、更に、
スプール8が高速で回転しているときには、スプール8
は強い制動力を受けることができる。
【0041】制動部材34が更に図3の右側方向に移動
された場合には、導電体20はスプール軸9と一体に設
けられた摩擦部材41に固定されるため、スプール8の
低速回転時より導電体20はスプール8と一体に回転し
強い制動力を受けることができる。
【0042】第2の実施の形態のように、錘45等によ
り構成される遠心手段による切換と、切換部材34とに
よる微調整により、遠心力を利用した従来のバックラッ
シュ防止装置付のリールや、磁石を利用した従来のバッ
クラッシュ防止装置付のリールとして使用できる他に、
重いルアーや空気抵抗の小さなルアーの投擲に適したリ
ールや軽いルアーや空気抵抗の大きなルアーの投擲に適
したリールへも簡単に切換えることができる。
【0043】つまり、従来の遠心力を利用したバックラ
ッシュ防止装置付のリールとして使用するときには、切
換部材34による導電体20への押圧力を解除して、ス
プール8に対する導電体20の回転を自由にし、リール
本体1に対する導電体20の回転を規制するように制動
力調整摘み33を操作して、第1磁石体31、第2磁石
体32との相対的回転位置関係を調整して、導電体20
への回転制動力を最大にする。
【0044】又、従来の磁石を利用したバックラッシュ
防止装置付のリールとして使用するときには、スプール
8に対する導電体20の回転を規制するように切換部材
34による導電体20の押圧力を最大にすると共に、導
電体20が制動力を受けている状態で回転できるよう
に、第1磁石体31、第2磁石体32による導電体20
への回転制動力を適切に調整する。
【0045】又、重いルアーや空気抵抗の小さなルアー
を投擲するときには、スプール8に対する導電体20の
回転を自由にするように、切換部材34による導電体2
0の押圧力を解除すると共に、スプール8の高速回転時
において、導電体20が制動力を受けている状態でも回
転できるように、第1磁石体31、第2磁石体32によ
る導電体20への回転制動力を適切に調整する。
【0046】更に、軽いルアーや空気抵抗の大きなルア
ーを投擲する場合は、スプール8に対する導電体20の
回転に制動力を負荷するように切換部材34による導電
体20への押圧力を適切に調整すると共に、導電体20
が制動力を受けている状態で回転できるように第1磁石
体31、第2磁石体32による導電体20への回転制動
力を適切に調整する。以上のように様々に対応できるた
め、釣人の好みのリールの機能を活用して釣りを楽しむ
ことができる。
【0047】図4は、本実施の形態による両軸受リール
及び従来のバックラッシュ防止装置を有する両軸受けリ
ールにおけるスプール回転数と制動力の関係を示すグラ
フである。このグラフ上で比較されている従来のバック
ラッシュ防止装置は、前述の特開平9−322678号
公報に記載された両軸受リールに設けられている、導電
体及び磁石体によって構成されるオーソドックスなタイ
プである。
【0048】図4に示されるように、スプール8が高速
で回転しているときには、従来のバックラッシュ防止装
置による制動力とほぼ同等の強力な制動力がスプール8
の回転に対して作用しているが、時間が経過し、スプー
ル8の回転速度が低下したときには、制動力がスプール
8の回転に急に作用しなくなる。このため、さらに時間
が経過しても、従来のバックラッシュ防止装置付きのリ
ールと較べて、スプール8は回転をより長時間に渡り維
持し続けることができ、ルアー等の仕掛けをより遠くへ
飛ばすことができる。
【0049】次に、本発明の第3の実施の形態による両
軸受リールについて図5に基づき説明する。第1、第2
の実施の形態では、スプール軸9を制動するために第2
磁石体32及び磁石体受け部材6が設けられて、第2磁
石体3を回転位置調整可能に構成していたが、これらの
部材の代わりに、環状制動部材46が設けられているこ
とが異なる。また、第1磁石体31及び導電体20は設
けられておらず、スプール8の回転による遠心力によっ
て回転軸を中心として回転するフライングアーム51が
設けられていることが、第1、第2の実施の形態とは異
なる。なお、図5の中心線Dの上半分と下半分とは、説
明の都合上、後述する環状制動板46のスプール軸方向
位置やフライングアーム51の姿勢が互いに異なってい
る。
【0050】スプール軸受部材5の軸受部5aには、制
動部材として機能する略筒状の環状制動板46が軸受部
5aに対して回動可能に環装しており、スプール8に対
向する面には、摩擦係数の比較的高い摩擦板46Aが設
けられている。環状制動部材46には第1の実施の形態
の磁石体受け部材6と同様に、歯車46Bが形成され、
制動力調整摘み33の歯車33Aに噛合しており、フラ
ンジ状摘み部33Bを釣人が回動することによって環状
制動板46は軸受部5aに対して回動可能である。環状
制動板46は、更に、スプール軸受部材5に対してスプ
ール軸方向に摺働可能に設けられている。
【0051】環状制動板46には、その半径方向に放射
状に延びるシャフト部46Cが設けられている。そして
スプール軸受部材5の、シャフト部46Cと対向する位
置には、部分的にスプール8側に突出する突出部を備え
たカム板5Aが突設されており、カム板5Aはシャフト
部46Cに当接している。シャフト部46Cがカム板5
Aに当接するようにするため、軸受部5aのスプール側
の先端部には、バネ座47が固着され、バネ座47と環
状制動部材46のスプール側の端面との間には、スプリ
ング48が介装されている。
【0052】スプール軸9のスプール軸延長部10付近
には、略筒状の基部49が環装しており、基部49はス
プール軸9に対して回転可能、且つ軸方向移動可能に設
けられ、基部49の一端面は、スプール8の軸心側端面
に当接・離反可能である。基部49には、ピン49Aが
一体に設けられ、ピン49Aには、フライングアーム5
1が回動可能に取付けられている。即ち、フライングア
ーム51の基端側がピン49Aに回動可能に支持され、
自由端側には錘50が設けられている。基部49、フラ
イングアーム51、錘50は、被制動部材を構成する。
【0053】また、基部49のスプール8側と反対の側
端面には、フランジ状の支持板49Bが一体に設けられ
ている。錘50と摩擦板46Aとは、スプール8が回転
し、遠心力によって錘50がピン49Aの周りを回動し
た際に、錘50が摩擦板46Aに当接するような位置関
係である。錘50が摩擦板46Aに当接する位置は、シ
ャフト部46Cとカム板5Aとの当接状況によって異な
る。つまり、カム板5Aの突出した部分にシャフト部4
6Bが当接したときには、環状制動部材46は、最もス
プール側(図5の右側)に移動した位置にあり、カム板
5Aの突出していない部分にシャフト部46Bが当接し
ているときには、環状制動部材46はスプールから最も
遠ざかった位置にある。そして、それぞれの位置で、錘
50と当接可能である。
【0054】次に、第3の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。切換部材34が図5に示さ
れる位置にあるときには、コイルスプリング35がワッ
シャ36を介して基部49を押圧しておらず、基部49
は、スプール軸9に対して回転自在であり、スプール8
は基部49によって押圧されない。この状態では、基部
49とスプール軸9との一体回転は生じず、釣糸がスプ
ール8から繰出されスプール8が回転し始めても、フラ
イングアーム51は起立せず、万一起立して、その錘5
0が摩擦板46Aに当接しても、基部49とスプール軸
9とは接続されていないので、スプール8の回転はなん
ら制動力を受けない。
【0055】切換部材34が釣人の回動操作によって図
5の右側方向に移動されると、ワッシャ36を介してコ
イルスプリング35が基部49を僅かに押圧する。スプ
ール8が低速で回転しているときには、基部49もスプ
ールとともに一体に回転しているが、遠心力の不足によ
りフライングアーム51は起立しないので、制動力は作
用していない。スプール8がある程度高速回転となる
と、錘50は遠心力によりピン51を中心として左方向
に起立回動し、摩擦板46Aに当接する。錘50と摩擦
板46Aとの間の摩擦力により、錘50は制動力を受け
る。ここで、コイルスプリング35による基部49への
押圧力がそれ程高くないため、錘50と摩擦板46Aと
の間の摩擦力により、基部49はスプールの回転速度よ
りも遅い回転速度で回転する。このように、スプール8
が低速で回転しているときはスプール8は、全く制動力
を受けず、スプール8が高速で回転しているときには、
スプール8は弱い制動力を受けることができる。
【0056】切換部材34が更に図5の右側方向に移動
された場合には、基部49はスプール軸9に圧着され
る。このため、スプール8の低速回転時には、基部49
はスプール8と一体に回転するが、錘50は摩擦板46
Aに当接していないため、スプール8は制動力を全く受
けない。スプール8の回転速度がある程度高くなると、
錘50は摩擦板46Aに当接し、スプール8の回転速度
は制動力を受けるが、更にスプールの回転速度が高速に
なると、基部49の回転がスプール軸9の回転に追いつ
かなくなり、基部49とスプール軸9との間で摺動回転
するうようになり、スプール8への制動力は上昇しな
い。即ち、低速でスプールが回転しているときには、全
く制動力が作用せず、ある程度の高速回転時には、強力
な制動力が得られ、更に高速になっても制動力は上昇し
ないようにすることができる。
【0057】次に、本発明の第4の実施の形態による両
軸受リールについて図6に基づき説明する。第4の実施
の形態は、第3の実施の形態と類似しているが、第3の
実施の形態の錘50付きの回動可能なフライングアーム
51に代えて、スプール半径方向に摺働する錘52が用
いられている点が異なる。
【0058】スプール軸9のスプール軸延長部10付近
には、略筒状の基部53Aが環装しており、基部53A
はスプール軸9に対して回転可能、且つ軸方向移動可能
に設けられ、基部53Aの一端面は、スプール8の軸心
側端面に当接・離反可能である。基部53Aの外周に
は、スプール軸9の半径方向に放射状に延びた棒状の複
数の錘ガイドBが設けられている。錘ガイド53Bを半
径方向外方から覆うように略鐘状をした錘52が、錘ガ
イド53Bに対してスプール軸9の半径方向に摺動可能
に設けられている。錘52は図示せぬコイルスプリング
によってスプール軸9の軸心方向に向かって付勢されて
いる。
【0059】錘52の先端部52Aと対向する環状制動
板46の内周面には、摩擦係数が比較的高い摺動段部面
46a、46b、46cが形成されている。錘先端部5
2Aが摺動段部面46a〜46cのいずれに対向するか
は、シャフト部46Cとカム板5Aとの当接状況によっ
て異なる。即ち、カム板5Aの最も突出した部分にシャ
フト部46Cが当接したときには、環状制動板46は最
もスプール側に位置することになるので、錘先端部52
Aは、摺動面46aと対向する。カム板5Aの中程度に
突出した部分に、シャフト部46Cが当接したときに
は、錘先端部52Aは摺動面46bと対向する。カム板
5Aの突出していない部分にシャフト部46Cが当接し
ているときには、錘先端部52Aは摺動面46cと対向
する。制動力の強さは、錘52が46cに当接するとき
が一番大きく、46aに当接するときが一番小さくなる
ように構成されている。なお、図6において、中心線D
の上半分は、環状制動部材46が最もスプール方向に移
動した状態を示し、下半分は、環状制動部材46が最も
スプールから離れた位置に移動した状態を示している。
【0060】次に、第4の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。
【0061】切換部材34が図6に示される位置にある
ときには、コイルスプリング35がワッシャ36を介し
て基部49を押圧しておらず、基部49は、スプール軸
9に対して回転自在であり、スプール8は基部49によ
って押圧されない。この状態では、基部49とスプール
軸9との一体回転は生じず、釣糸がスプール8から繰出
されスプール8が回転し始めても、基部53Aは回転し
ないので、釣糸がスプール8から繰出されスプール8が
低速で回転し始めても、スプール8の回転はなんら制動
力を受けず自由回転する。
【0062】切換部材34が釣人の回動操作によって図
6の右側方向に移動されると、ワッシャ36を介してコ
イルスプリング35が基部53Aを押圧する。スプール
8が低速で回転しているときには、基部53Aもスプー
ル8とともに一体に回転しているが、遠心力の不足によ
り、錘52が段部46a乃至46cのいずれかを押圧し
ないので、制動力は作用していない。スプール8がある
程度高速回転となると、錘52は錘ガイド53Bに沿っ
て、遠心力によりスプール軸9の半径方向外方に移動
し、摺動面46aに当接する。錘52と摺動面46aと
の間の摩擦力により、錘52は制動力を受けるが、コイ
ルスプリング35による基部53Aへの押圧力がそれ程
高くないため、錘52と摺動面46aとの間の摩擦力に
より、基部53Aはスプールの回転速度よりも遅い回転
速度で回転する。即ち、スプール8が低速で回転してい
るときはスプール8は、全く制動力を受けず、スプール
8の回転の上昇につれて、スプール8は弱い制動力を受
けることができる。
【0063】切換部材34が更に図6の右側方向に移動
された場合には、基部53Aはスプール軸9に圧着され
る。スプール8の低速回転時には、基部53Aはスプー
ル8と一体に回転するが、遠心力の不足により、錘52
は摺動面46aに当接していないため、スプール8は制
動力を全く受けない。スプール8の回転速度がある程度
高くなると、錘52は摺動面46aに当接し、スプール
8の回転速度は制動力を受けるようになる。更にスプー
ル8の回転速度が高速になると、基部53Aの回転がス
プール軸9の回転に追いつかなくなり、基部53Aとス
プール軸9との間で回転のずれが生じスプール8への制
動力は上昇しない。即ち、低速でスプールが回転してい
るときには、全く制動力が作用せず、ある程度の高速回
転時には、強力な制動力が得られ、更に高速になっても
制動力は上昇しないようにすることができる。
【0064】次に、本発明の第5の実施の形態による両
軸受リールについて図7乃至図9に基づき説明する。第
5の実施の形態では、第1乃至第4の実施の形態におけ
る切換部材34やそれに関連した部材は設けられていな
い点で異なる。
【0065】導電体20の導電体底部20Bには、スプ
ール軸9に平行にスプール8の方向に向かって略円筒形
状に突出する導電体錘受部20Dが設けられている。導
電体錘受部20Dの内周面には、複数の係合凹部20a
(係合部)が形成されている。スプール軸9の軸心側端
面と導電体基部20Aとの間には、スプール軸9を直径
方向に貫通する錘ガイド55が設けられている。そして
錘ガイド55の両先端部には、略筒状の錘54が摺動可
能に支持されている。
【0066】錘54のスプール軸心側の内端面(錘の底
部の内端面)54Aと、錘ガイド55の先端フランジ部
55Aとの間には、コイルスプリング56が介装されて
おり、錘54をスプール軸心方向に付勢している。そし
て錘54と導電体錘受部20Dとは対向する位置関係と
なっている。錘54と錘ガイド55は、切換手段を構成
する。
【0067】次に、第5の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。スプール8が低速で回転し
ているときには、錘54はスプール軸心付近に位置して
おり、係合凹部20aには係合していない。従って、ス
プール軸9は回転しているが導電体20は回転せず、ス
プール8の回転に制動力は作用していない。スプール8
が高速で回転するに至ったときには、遠心力によって錘
54は係合凹部20aに係合し、スプール軸9と一体と
なって回転する導電体20は、第1磁石体31及び第2
磁石体32によって回転が停止するように制動力を受け
る。即ち、スプール8が低速で回転しているときはスプ
ール8は全く制動力を受けず、スプール8が高速で回転
しているときには、スプール8は強い制動力を受けるこ
とができる。
【0068】次に、本発明の第6の実施の形態による両
軸受リールについて図10に基づき説明する。第6の実
施の形態は、第5の実施の形態に類似するが、第5の実
施の形態では、スプール8の回転に伴う遠心力によって
錘ガイド55に摺働可能に設けられた錘54を係合凹部
20aに係合させるように構成したが、第6の実施の形
態による両軸受リールでは、これらの代わりにフライン
グアームが設けられている点で異なる。また、スプール
8がスプール軸9に対して回転可能に支持されている点
で、上述した第1乃至第5の実施の形態とは異なる。
【0069】スプール軸9は、それぞれ枠板1a及び図
示せぬ枠板に固設された左側スプール軸固定部材56及
び図示せぬ右側スプール軸固定部材によって、回動不能
に固定されている。スプール8の筒状部8Bが、スプー
ル軸9に直接固定されておらず、左側スプール軸固定部
材56及び図示せぬ右側スプール軸固定部材にそれぞれ
環装される軸受57に固着されており、その結果筒状部
8Bは、スプール軸9の軸心より離れた位置に位置固定
されている。
【0070】筒状部8B上には軸受58が環装されてお
り、更に軸受58には、導電体20が固着され、導電体
20は、筒状部8Bに対して回転可能に設けられる。導
電体20は、軸受58に環装される導電体基部20A
と、導電体基部20Aからスプール半径方向に突出する
導電体底部20Eと、導電体底部20Eからスプール軸
9方向に延びる導電体筒状部20Cとにより構成され
る。導電体底部20Eは、導電体基部20Aのスプール
8側の端部から半径方向に形成されており、係合凹部2
0b(係合部)が形成されている。
【0071】スプール8の筒状部8B上であって、導電
体底部20Eの内側には、ピン59Aを備えた支持部材
59が筒状部8Bに固定されており、支持部材59の外
側には、自由端に錘60が固着され基端がピン59Aの
周りに回動可能に支持されている略アーム状のフライン
グアーム61が設けられている。錘60は、スプール8
が回転し、遠心力によって錘60がピン59Aの周りを
回動して起立した際に、導電体底部20Eに形成された
係合凹部20bに当接するように構成されている。
【0072】次に、第6の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。スプール8が低速で回転し
ているときには、フライングアーム61は倒伏してお
り、錘60は、係合凹部20bには係合しない。従っ
て、スプール8と導電体20とは、接続されず、スプー
ル8の回転に対して、第1、第2磁石体31、32によ
る制動力は全く作用しない。スプール8が高速で回転す
るに至ったときには、遠心力によって錘60は係合凹部
20bに係合し、導電体20はスプール8と一体となっ
て回転する。スプール8と一体となって回転する導電体
20は、第1磁石体31及び第2磁石体32によって回
転が停止されるように制動力を受ける。即ち、スプール
8が低速で回転しているときはスプール8全く制動力を
受けず、スプール8が高速で回転しているときには、ス
プール8は強い制動力を受けることができる。
【0073】また、スプール8の筒状部8Bをスプール
軸9に直接固定せずスプール軸9より離れた位置に軸受
57を介して回転自在に支持したため、スプール8の回
転慣性力を向上することができる。
【0074】次に、本発明の第7の実施の形態による両
軸受リールについて図11に基づき説明する。第6の実
施の形態では、スプール8の回転に伴う遠心力によって
フライングアーム61を回動させ、錘60を係合凹部2
0bに係合させるようにしたが、第7の実施の形態によ
る両軸受リールでは、これらに代えてスプールに形成さ
れた長溝8Eを摺動する錘71が設けられている点で異
なる。
【0075】スプール8は、スプール軸9に直接固着さ
れており、スプール8のスプール軸9に対向する面は、
図示せぬ側板に向かって次第に内径が拡径する傾斜面8
bが形成されている。そして傾斜面8bには、スプール
支持部8Cからフランジ部8Dに向かって長溝8Eが形
成されている。スプール8には、錘71が長溝8Eに摺
動可能に支持されている。従って、スプール8と一体と
なって錘71は回転するように構成されている。
【0076】導電体20は、導電体筒状部20Cにより
構成されている。導電体筒状部20Cは、転がり型ベア
リングである軸受70を介してスプール8のフランジ部
8Dの半径方向内側に、スプール8に対して回動可能に
支承されている。導電体20のスプール支持部8C側の
一端には、錘71が係合する係合凹部20cが形成され
ている。軸受70と錘71との間の長溝8E内には、長
溝8Eに平行にコイルスプリング72が設けられてお
り、錘71をスプール支持部8C方向に付勢している。
なお、錘71や長溝8Eは、切換手段を構成する。
【0077】次に、第7の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。スプール8が低速で回転し
ているときには、錘71は、コイルスプリング72の付
勢力により、スプール支持部8C付近に位置し、係合凹
部20cには係合していない。従って、スプール8は回
転しているが導電体20は回転せず、スプール8の回転
に対して第1第2磁石体31、32による制動力は全く
作用しない。スプール8が高速で回転するに至ったとき
には、遠心力によって錘71は長溝8Eに沿ってスプー
ルのフランジ部8D方向に移動し、係合凹部20cに係
合する。よって、導電体20はスプール8と一体となっ
て回転する。スプール8と一体となって回転する導電体
20は、第1磁石体31及び第2磁石体32によって回
転が停止されるように制動力を受ける。即ち、スプール
8が低速で回転しているときはスプール8は全く制動力
を受けず、スプール8が高速で回転しているときには、
スプール8は強い制動力を受けることができる。
【0078】次に、本発明の第8の実施の形態による両
軸受リールについて図12に基づき説明する。第8の実
施の形態は、第6,第7の実施の形態と類似するが、導
電体の形状や、錘のガイド方法がこれらの実施の形態と
は異なる。
【0079】スプール8は、スプール軸9に直接固着さ
れており、スプール軸9は、側板2に設けられたスプー
ル軸受部材5に固着されている軸受7を介して回転自在
に支承されている。導電体20は導電体基部20A及び
導電体底部20Bのみから構成されており、略円板状を
なす。導電体基部20Aは、軸受73を介してスプール
軸9に対して回動自在に支承されている。第1磁石体3
1及び第2磁石体32は、導電体底部20Bの円周部を
挟むように、スプール軸9の軸方向に並んで配置され、
また第1磁石体31と第2磁石体32との間で、導電体
底部20Bが回転可能に隙間が確保されて配設されてい
る。
【0080】軸受73とスプール8との間には、スプー
ル8の壁部に対して略平行に延びる錘ガイド74が、ス
プール軸9に植設されており、錘ガイド74には錘75
が摺動可能に設けられている。第5の実施の形態と同様
に、錘ガイド74の先端部はフランジ部74Aが設けら
れ、錘75とフランジ部74Aの間には、コイルスプリ
ング76が設けられて、錘75をスプール軸9の方向に
付勢している。錘75の先端部分は、遠心力によって、
導電体底部20Bのスプール側の面と面一になるよう
に、錘75の摺動方向に対して斜めにカッティングが施
されている。なお、錘75、コイルスプリング76、錘
ガイド74は、切換手段を構成する。
【0081】次に、第8の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。スプール8が低速で回転し
ているときには、錘75は、導電体底部20Bに当接し
ていない。従って、スプール8は回転しているが導電体
20は回転せず、スプール8の回転に制動力は全く作用
しない。スプール8が高速で回転すると、遠心力によっ
て錘75は導電体底部20Bに当接し、錘75と導電体
底部20Bとの間の摩擦力によって導電体20は、スプ
ール8と一体になって回転する錘75に圧接されて回転
する。ここで導電体20は、第1磁石体31及び第2磁
石体32によって回転が停止されるように制動力を受け
るので、スプール8は制動を受けることとなる。このよ
うにスプール8が低速で回転しているときは、スプール
8全く制動力を受けず、スプール8が高速で回転してい
るときには、スプール8は制動力を受けることができ
る。
【0082】次に、本発明の第9の実施の形態による両
軸受リールについて図13に基づき説明する。
【0083】第5の実施の形態では、スプール8の回転
に伴う遠心力によってシャフト55に設けられた錘54
を係合凹部20aに係合させるように構成したが、第9
の実施の形態による両軸受リールでは、錘54の代わり
に磁石が設けられている点で異なる。
【0084】先ず、第9の実施の形態による両軸受リー
ルの構成について第5の実施の形態と異なる部分につい
て説明する。第9の実施の形態では、切換部材34相当
の部材が設けられていない点で第5乃至第8の実施の形
態と同様であるが、錘と導電体との係合が生じない点
で、これらの実施の形態とは異なる。
【0085】被制動部材である導電体20は、導電体基
部20A、導電体底部20B及び導電体筒状部20Cか
ら構成されており、また、第5の実施の形態のような導
電体錘受部20Dは形成されていない。また錘ガイド5
5(図7)と同様な位置に、磁石ガイド80がスプール
軸9に貫通して設けられ、磁石ガイド80には、磁石8
1が摺動可能に設けられている。そして導電体20は、
磁石81の磁気作用を受ける磁性体により構成される。
【0086】次に、第9の実施の形態による両軸受リー
ルの動作について説明する。スプール8が低速で回転し
ているときには、磁石81はコイルスプリング56の付
勢力によってスプール軸9と当接している。この場合、
導電体底部20Bと完全には対向していないため、磁石
81からの磁力が導電体20に強く作用しないので、導
電体20は磁石81の磁力によって、磁石81と共に回
転することはない。
【0087】スプール8が高速で回転すると、遠心力に
よって磁石81はスプール半径方向外方に移動して、導
電体底部20Bに完全に対向し、磁石81と導電体底部
20Bとの間の磁束密度によって生ずる強力な渦電流に
よって、導電体20は、スプール8と一体になって回転
する磁石81に吸着回転される。ここで導電体20は、
第1磁石体31及び第2磁石体32によって回転が停止
されるように制動力を受けるので、スプール8は制動力
を受けることができる。
【0088】本発明による両軸受リールは上述した実施
の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で
種々の変形や改良が可能である。例えば、第1、2、5
〜9の実施の形態においては、導電体への磁束量の調整
を行う際に、何れも一対の磁石体である第1磁石体31
及び第2磁石体32の内の一方の磁石体を他方の磁石体
に対して周方向に回動可能とし、磁極の位相を変えるこ
とによって行うようにしたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、一対の磁石体の間隔を変更するように
してもよい。また、その他の公知の調整手段を採用して
もよい。
【0089】また、第6の実施の形態においては、錘6
0を係合凹部20bに係合し易くするために、係合凹部
の形状を錘の形状に倣って球面状としたが、係合凹部や
錘の形状はこれらに限定されず、その他係合をし易くす
る形状であればよい。また、錘60又は導電体20の側
面の何れか一方或いは両方に、ゴムやウレタン等の摩擦
部材を設けて、当接・制動力を向上させるようにしても
よい。
【0090】また、第7の実施の形態においては、軸受
70は転がり型ベアリングを用いたが、自己潤滑性樹脂
等からなるカラー部材を介在させるようにしてもよい。
【0091】また、第1、2、5〜9の実施の形態にお
いては、一対の磁石体間の磁束量を最大にすることによ
って、導電体20のリール本体に対する回転を規制する
ようにしたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば、第3の実施の形態の基部49のフランジ状
支持板49Bの外周部に、側板2側に突出する係合突部
を設け、この係合突部に対向する軸受部5aの先端面
に、突出可能に設けられた係止爪を設け、係止爪と係合
突部とが互いに係合して、クリックによる制動を生じる
ようにしてもよい。
【0092】
【発明の効果】請求項1記載の両軸受リールによれば、
切換手段によって、スプールの回転で被制動部材が回転
しない非接続位置に切換られているときには、制動部材
にて付与される制動力がスプールに伝達されないので、
スプールの回転への制動力を零とすることができ、釣糸
の投擲距離を伸ばすことができる。また、切換手段によ
って接続位置と非接続位置との切換を行うようにしたの
で、被制動部材を移動させることなく、スプールの回転
へ制動力を付与したり零としたりすることができる。こ
のため、リール本体の小型化を図ることができ、リール
設計の自由度を増すことができる。
【0093】請求項2記載の両軸受リールによれば、被
制動部材が軸受部材を介してスプールに支承されるた
め、スプールの回転への制動力が零であるときに、被制
動部材によるスプールへの回転抵抗の減少を図ることが
でき、釣糸の投擲距離を伸ばすことができる。
【0094】請求項3記載の両軸受リールによれば、切
換手段がスプールの回転に伴う回転遠心力によって被制
動部材に当接し、切換手段が被制動部材に当接すること
によって被制動部材がスプールと共に回転するように構
成したため、スプールが低速で回転しているときには、
スプールは導電体である被制動部材と結合されず、導電
体に対して自由に回転することができる。また、スプー
ルが高速で回転しているときには、スプールは導電体と
結合され、導電体と共に回転されるので、スプールの回
転に対して一対の磁石体の磁束によってスプールの回転
速度に応じた制動力を付与することかできる。即ち、釣
糸の投擲開始時のスプールの低速回転時には、スプール
の回転に対して制動力を無負荷の状態にでき、その後ス
プールが高速で回転した際には、その回転速度に応じた
制動力をスプールの回転に対して負荷してバックラッシ
ュの発生を防止することができる。さらに、その後のス
プールの低速回転移行時には、再度スプールの回転への
制動力を無負荷の状態にできるので、重いルアーや空気
抵抗の小さいルアーを投擲する際における投擲距離を伸
ばすことができる。また、スプールの回転への制動力の
負荷・無負荷の切換を、スプールに回転自在に支承した
導電体への遠心手段によって行うものであるため、安定
且つ確実に制動力の負荷・無負荷の切換を行うことがで
きる。
【0095】請求項4記載の両軸受リールによれば、遠
心手段の錘が導電体に設けられた係合部に係脱し得るよ
うにしたため、スプールの高速回転時には、導電体の係
合部に錘が係合して、スプールと共に導電体を回転させ
ることができる。従って、スプールの回転速度に応じた
制動力をスプールの回転に付与することができる。ま
た、スプールの低速回転時には、導電体の係合部から錘
が離脱し、導電体に対してスプールが回転自在になるた
め、スプールへの制動力を確実に皆無に近い状態にする
ことができる。
【0096】請求項5記載の両軸受リールによれば、遠
心手段を、スプールの軸部に対して放射状に植設された
シャフト及びシャフトに摺動可能に支承された磁石体に
より構成して、導電体に対向可能としたため、請求項3
と同様の効果に加えて、スプールの回転への制動力の負
荷・無負荷の切換を無音の状態で行うことができる。
【0097】請求項6記載の両軸受リールによれば、切
換手段は、導電体である被制動部材をスプールに圧接さ
せる接続位置と、スプールに対する制動部材の圧接を解
除する非接続位置との間で切換可能に設けられているの
で、スプールが低速で回転しているときにも、スプール
を導電体と結合して導電体と共に回転させることがで
き、スプールの回転速度に応じた制動力をスプールの回
転に対して付与することができる。また、スプールが高
速回転しているときでも、スプールは導電体と結合して
導電体と共に回転されるが、一対の磁石体の磁束によっ
てスプールの回転速度に応じた制動力が導電体に付与さ
れ、一対の磁石体により付与される制動力が、被制動部
材とスプール間の圧接力を越えたときに、導電体とスプ
ールとの間に滑りを生じさせることができる。即ち、釣
糸の投擲関始時のスプール低速回転時には、磁石体によ
る導電体への制動力を、導電体に結合されたスプールに
そのまま負荷することができ、その後のスプールの高速
回転移行時には、導電体とスプールとの間の滑り量だけ
スプールへの制動力の負荷を低減することができる。こ
のため、軽いルアーや空気抵抗の大きいルアーを投擲時
におけるバックラッシュの発生を防止でき、釣糸の投擲
距離を伸ばすことはできる。その後のスプールの低速回
転移行時には再度スプールと導電体とが結合してスプー
ルに制動力を負荷できる。また、スプールへの制動力の
負荷量の切換を、切換手段によるスプールに回転自在に
支承した導電体への圧接又は圧接の解除によって行うも
のであるため、安定且つ確実に制動力の切換を行うこと
ができる。
【0098】請求項7記載の両軸受リールによれば、前
記被制動部材とスプールとの間の圧接力の調整は切換手
段の圧接力調整手段により行われるので、請求項6に於
ける被制動部材とスプールとの間の滑りの発生時期や、
最大制動力の調整が簡単にできる。
【0099】請求項8記載の両軸受リールによれば、制
動部材の一対の磁石体の内の一方を、他方の磁石体或い
は導電体に対して軸方向や径方向に摺動或いは周方向に
回動することによって、導電体に作用する磁束密度を調
整する磁束密度調整手段を設けたため、釣糸先端に取付
けたルアー、キャスティング法、投擲距離、等の釣人の
好みや条件に応じて、スプールの高速回転時に於けるス
プールへの制動力の強弱を調整することができる。ま
た、スプールの高速回転時に於ける被制動部材への制動
力の強弱を任意に調整することができるので、ビギナー
でもバックラッシュを生じるさせることなく、より遠方
にルアー等の仕掛けを投擲することができる。
【0100】請求項9記載の両軸受リールによれば、ス
プール軸に導電体と係止する係止部材を設けたため、係
止部材によって導電体をスプールに係止することがで
き、磁石を利用した従来のバックラッシュ装置を備えた
リールと同様にも使用できる。また、請求項7に規定さ
れた切換手段により設定した制動力をスプールに負荷し
た状態で、係止部材の起立・倒伏を生じせしめることが
可能であり、よりきめの細かい制動ができる。
【0101】請求項10記載の両軸受リールによれば、
制動部材が環状制動板からなり、被制動体がスプールの
回転に伴う回転遠心力にて制動部材に当接して被制動部
材のスプールに対する回転を規制する錘からなり、また
切換手段による切換動作と相まって、スプールが低速回
転時に、スプールを被制動部材と結合させて被制動部材
と共に回転させることができ、環状制動板とこれに当接
した錘との間の摩擦力によってスプールの回転速度に応
じた制動力をスプールの回転に付与することができる。
また、スプールが高速回転時にも、被制動部材はスプー
ルと結合してスプールと共に回転されるが、環状制動板
とこれに当接した錘との間の摩擦力によって被制動部材
に付与される制動力が、被制動部材とスプールとの結合
力を越えることによって、被制動部材とスプールとの間
に滑りを生じさせることができる。即ち、釣糸の投擲開
始後、スプールの回転速度がある程度高くなった時に
は、錘との摩擦力による被制動部材への制動力を被制動
部材に結合されたスプールにそのまま負荷することがで
き、その後のスプールの高速回転移行時には、被制動部
材とスプールとの間の滑り量だけスプールへの制動力を
低減させることができる。このため、軽いルアーや空気
抵抗の大きいルアーの投擲時におけるバックラッシュの
発生を防止でき、釣糸の投擲距離を伸ばすことができ
る。その後スプールの回転速度が低下した時には、再度
スプールと被制動部材とが結合して、スプールに制動力
を負荷することができる。
【0102】請求項11記載の両軸受リールによれば、
切換手段には前記被制動部材とスプールとの間の制動力
を調整する制動力調整手段が設けられているため、被制
動部材とスプールとの間の滑りの発生時期、即ち最大制
動力の調整ができる。
【0103】請求項12記載の両軸受リールによれば、
制動部材である環状制動板を移動させることによって、
錘の当接位置を調整することが可能であるため、スプー
ルの高速回転時に、釣糸先端に取付たルアー、キャステ
ィング法、投擲距離、等の釣人の好みや条件に応じて、
スプールの回転への制動力の強弱を調整することができ
る。また、スプールの高速回転時の被制動部材への制動
力の強弱を任意に調整することができるので、ビギナー
でもバックラッシュを生じるさせることなくより遠方に
ルアー等の仕掛けを投擲できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による両軸受リール
を示す要部断面平面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による両軸受リール
及び従来のバックラッシュ防止装置を有する両軸受リー
ルの、スプール回転数及びスプール回転へ作用する制動
力を、時間の経過毎に示したグラフ。
【図3】本発明の第2の実施の形態による両軸受リール
を示す要部断面平面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態による両軸受リール
及び従来のバックラッシュ防止装置を有する両軸受リー
ルの、スプール回転数及びスプール回転へ作用する制動
力を、時間の経過毎に示したグラフ。
【図5】本発明の第3の実施の形態による両軸受リール
を示す要部断面平面図。
【図6】本発明の第4の実施の形態による両軸受リール
を示す要部断面平面図。
【図7】本発明の第5の実施の形態による両軸受リール
を示す要部断面平面図。
【図8】図7の錘54付近を示す拡大図。
【図9】図7のIX−IXに沿った断面図。
【図10】本発明の第6の実施の形態による両軸受リー
ルを示す要部断面平面図。
【図11】本発明の第7の実施の形態による両軸受リー
ルを示す要部断面平面図。
【図12】本発明の第8の実施の形態による両軸受リー
ルを示す要部断面平面図。
【図13】本発明の第9の実施の形態による両軸受リー
ルを示す要部断面平面図。
【符号の説明】
1 リール本体 2 側板 8 スプール 9 スプール軸 20 導電体(被制動部材) 20a 係合凹部 20b 係合凹部 20c 係合凹部 31 第1磁石体(制動部材) 32 第2磁石体(制動部材) 33 制動力調整摘み 34 切換部材 40 軸受部材 43 シャフト 44 ブラケット 45 錘 46 環状制動板(制動部材) 49 基部 49B 支持板 50 錘 51 フライングアーム 52 錘 53A 基部 53B 錘ガイド 54 錘 55 錘ガイド 59 支持部材 60 錘 61 フライングアーム 71 錘 74 錘ガイド 75 錘 76 コイルスプリング 80 磁石ガイド 81 磁石
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 幸久 広島県府中市目崎町762番地 リョービ株 式会社内 Fターム(参考) 2B108 HE08 HE11 HE23

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リール本体と、 該リール本体の側板間に支持されたスプール軸と、 該スプール軸の軸心を中心に回転するスプールと、 該スプールの回転に制動を与えるために該リール本体に
    設けられた制動部材と、 該スプールの一端であって該制動部材に対向する位置に
    設けられた被制動部材とを有する両軸受リールにおい
    て、 該被制動部材は、該スプールに対して回転自在に支承さ
    れ、該制動部材によって選択的に回転制動を受け、 該スプールの回転により該被制動部材を回転させる接続
    位置と、該被制動部材を該スプールの回転と無関係とす
    る非接続位置との間を移動可能な切換手段が設けられて
    いることを特徴とする両軸受リール。
  2. 【請求項2】 該スプール軸には軸受部材が環装され、 該軸受部材を介して該被制動部材がスプールに支承され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の両軸受リー
    ル。
  3. 【請求項3】 該制動部材が一対の磁石体からなり、 該被制動部材が該一対の磁石体間に配置された導電体か
    らなり、 該切換手段は、該スプールの回転に伴う回転遠心力によ
    り該被制動部材に当接することによって該接続位置に切
    換えられて、該スプールの回転を規制する遠心手段から
    なることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記
    載の両軸受リール。
  4. 【請求項4】 該遠心手段は該スプールと一体に回転す
    ると共に該スプールに対して移動可能な錘を有してお
    り、 該導電体には該錘と係合可能な係合部が形成され、該ス
    プールの回転に伴って該錘が該係合部に係合した位置が
    接続位置をなし、該錘が該係合部と離反した位置が非接
    続位置をなすことを特徴とする請求項3に記載の両軸受
    リール。
  5. 【請求項5】 該遠心手段は、該スプール軸から半径方
    向外側に向かって放射状に延びるシャフトと、該シャフ
    トに対して摺動可能に支持された磁石体とにより構成さ
    れ、 該スプールの回転に伴って該磁石体が該スプールの半径
    方向外方に移動して該被制動部材と対向した位置が接続
    位置をなし、該磁石体が該スプールの半径方向内方に移
    動して該被制動部材との対向が少なくとも一部解除され
    る位置が非接続位置をなすことを特徴とする請求項3に
    記載の両軸受リール。
  6. 【請求項6】 該制動部材が一対の磁石体からなり、 該被制動部材が該一対の磁石体間に配置された導電体か
    らなり、 該切換手段は、該被制動部材を該スプールに圧接させる
    接続位置と、該スプールに対する該制動部材の圧接を解
    除する非接続位置との間で切換可能に設けられているこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の
    両軸受リール。
  7. 【請求項7】 該切換手段には、該被制動部材の該スプ
    ールに対する圧接力を調整可能な圧接力調整手段が設け
    られていることを特徴とする請求項6に記載の両軸受リ
    ール。
  8. 【請求項8】 該制動部材の一対の磁石体の内の一方
    は、他方の磁石体或いは導電体に対して移動可能に設け
    られ、 該一方の磁石体には磁束密度調整手段が接続され、該磁
    束密度調整手段の操作により該一方の磁石体を移動させ
    て、該導電体に作用する磁石体の磁束密度を調整可能と
    したことを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れかに
    記載の両軸受リール。
  9. 【請求項9】 該切換手段は、該スプールに対して起立
    ・倒伏可能に接続される係止部材により構成され、 該導電体には、該係止部材に係合可能な係合部が形成さ
    れ、 該接続位置では該スプールの回転に伴って該係止部材が
    起立して該係合部に係合し、該非接続位置では該係止部
    材が倒伏して該係合部から離反することを特徴とする請
    求項3乃至請求項8の何れかに記載の両軸受リール。
  10. 【請求項10】 該制動部材が環状制動板からなり、 該被制動部材は、該スプールに圧接又は圧接解除方向に
    移動可能な基部と、該基部に対し移動可能に設けられ、
    該スプールの回転に伴う回転遠心力により該環状制動板
    に当接して制動力を発生する錘部を有することを特徴と
    する請求項1又は請求項2の何れかに記載の両軸受リー
    ル。
  11. 【請求項11】 該切換手段は、該基部の該スプールに
    対する圧接力を調整可能な圧接力調整手段が設けられて
    いることを特徴とする請求項10に記載の両軸受リー
    ル。
  12. 【請求項12】 該環状制動板は、該スプールの軸方向
    に移動可能かつ位置固定可能に設けられ、該錘部の当接
    位置を調整可能としたことを特徴とする請求項10に記
    載の両軸受リール。
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