JP2000209988A - 釣り用リ―ルの糸長計測装置 - Google Patents

釣り用リ―ルの糸長計測装置

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JP2000209988A
JP2000209988A JP11011529A JP1152999A JP2000209988A JP 2000209988 A JP2000209988 A JP 2000209988A JP 11011529 A JP11011529 A JP 11011529A JP 1152999 A JP1152999 A JP 1152999A JP 2000209988 A JP2000209988 A JP 2000209988A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 釣り糸の巻き付け開始径に関わらず糸長検出
器を用いることなく簡単に糸長を計測できるようにす
る。 【解決手段】 この電動リールのリール制御装置30
は、単位回転当たりの糸長とスプールの回転数との相関
関係を一次直線に近似して記憶し、下巻糸を巻き付けて
から釣り糸を巻き付けるときには、下巻モードにおい
て、所定の操作により切片及び傾きのデータを算出し直
す学習を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸長計測装置、特
に、釣り用リールのスプールから繰り出されるあるいは
スプールに巻き取られる釣り糸の長さを計測するための
釣り用リールの糸長計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】両軸受リールや片軸受リール等の釣り用
リールにおいて、スプールから繰り出された釣り糸の長
さにより仕掛けの水深を表示する水深表示装置を備えた
ものが知られている(特開平2−107908号)。こ
の水深表示装置を設けることで仕掛けを正確に同じ棚位
置に下ろしたり、投げ釣り時に仕掛けの飛距離を表示で
きる。
【0003】この種の水深表示装置は、スプール回転時
のスプールから繰り出された糸長を計測する糸長計測部
と、糸長計測部で計測された糸長により水深を表示する
たとえば液晶ディスプレイからなる水深表示部とを有し
ている。糸長計測部は、スプールの回転数から糸長を算
出している。なお、スプールの糸巻径は、スプールへの
巻き初めからの回転数や糸の太さに応じて変化し、スプ
ール1回転あたりの糸長は糸巻径により変化する。した
がって、従来、スプール回転数や糸の太さを考慮してス
プール回転数から糸長を算出するようにしている。
【0004】具体的には、スプールの釣り糸巻取部分の
外周に接触する糸長検出器をリールに装着し、釣り糸を
スプールに巻き付けるときに、糸長検出器で計測された
実際の糸長とスプール回転数との関係を学習し、その関
係を装置内部のメモリに記憶している。そして、魚釣り
時には、糸長検出器を外し、スプール回転数と糸長との
関係をメモリから読み出しスプール回転数から糸長を算
出している。一方、スプールの径は、リールの大きさに
応じて設定されたサイズの釣り糸を販売される単位であ
る100m単位で巻き付け可能に設定されている。たと
えば、6号の釣り糸を300m巻き付けると、スプール
のフランジ部の縁まで釣り糸が巻き付けられる。しか
し、それより細い、たとえば4号の釣り糸を巻き付ける
と、スプールのフランジ部の縁まで巻き付けると420
mのように端数が出てしまうことがある。端数が出た場
合に、その分よけいに釣り糸を購入するのは不経済であ
る。そこで、このように設定されたスプールに端数が出
るような釣り糸を巻き付ける場合、予め下糸をスプール
に適当に巻き付けたり、エコノマイザと呼ばれる筒体を
スプールに装着した後、たとえば300mの釣り糸を巻
き付けることが通常行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
スプール回転数と糸長との関係を学習するための糸長検
出器を装着する必要がある。この糸長検出器は、スプー
ルへの巻き付け開始から巻き付け終了までスプールの糸
巻取り部分の外周に接触して糸長計測している。そし
て、学習が終了すると糸長検出器を外している。このた
め、糸長検出器を用いて学習する構成では、学習の際の
糸長検出器の着脱が煩わしい。
【0006】そこで、スプールの単位回転当たりの糸長
がスプール回転数の一次関数に近似できることに着目し
て、糸長検出器を用いずに糸長とスプール回転数との関
係を算出する技術がすでに提案されている。ここでは、
巻終わりの所定長での糸長とスプール回転数とを学習
し、巻終わりのスプール総回転数と所定長と巻き付け開
始径と所定長でのスプール回転数により一次関数の傾き
を求め、切片を巻き付け開始径(通常はスプールの糸巻
部分の外径)から求めて、求められた傾きと切片とから
一次関数を決定している。そして、この一次関数を巻き
初めから現在までのスプール回転数で積分処理すること
で糸長、つまり水深を算出できる。このような構成の糸
長計測装置では、糸長検出器を用いる必要がないので、
学習が容易である。また、下巻糸を巻き付ける場合に
は、予め設定された所定の径までスプールに下巻糸を巻
き付け、その所定径を記憶しておき、切片を切り替える
ようにしている。
【0007】しかし、前記構成では、任意の長さの下巻
糸を巻き付けたり任意の径のエコノマイザを装着してか
ら釣り糸を巻き付ける場合、釣り糸の巻き付け開始時の
糸巻径、つまり切片が分からないため一次直線を決定で
きない。このため、任意の長さの釣り糸を下巻したり任
意の径のエコノマイザを使用すると、糸長を正確に計測
できないことになり、仕掛けの水深を正確に表示できな
い。本発明の課題は、釣り糸の巻き付け開始径に関わら
ず糸長検出器を用いることなく簡単に糸長を計測できる
ようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明1に係る釣り用リー
ルの糸長計測装置は、釣り用リールのスプールから繰り
出されるあるいはスプールに巻き取られる釣り糸の長さ
を計測するための装置であって、回転位置データ検出手
段と、関数算出手段と、糸長算出手段と、切片算出手段
とを備えている。回転位置データ検出手段は、スプール
の回転位置データを検出する手段である。関数算出手段
は、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データ
との関係を巻き付け開始時の釣り糸の単位回転当たりの
糸長を切片とする関数で算出する手段である。糸長算出
手段は、回転位置データ検出手段により検出された回転
位置データと関数算出手段で算出された関数に基づき、
釣り糸の長さを求める手段である。切片算出手段は、関
数算出手段で使用される関数の切片を算出するための手
段である。
【0009】この糸長計測装置では、関数算出手段で関
数の形で算出されたスプールの単位回転当たりの糸長と
回転位置データとの関係に基づき、釣り糸の長さが算出
される。そして、下巻糸やエコノマイザを使用した後に
釣り糸を巻き付けたときには、切片をスプールの糸巻胴
径ではなく巻き付け開始時の糸巻径にするために切片の
算出を行う。そして、算出された切片により新たな関数
を算出する。ここでは、切片を算出できるように構成し
たので、巻き付け開始時の糸巻径が変化しても関数を新
たに決定でき、下巻糸やエコノマイザ等を使用しても、
釣り糸の巻き付け開始径に関わらず糸長検出器を用いる
ことなく簡単に糸長を計測できる。
【0010】発明2に係る釣り用リールの糸長計測装置
は、発明1に記載の装置において、関数は一次関数であ
る。この場合には、スプールの単位回転当たりの糸長と
回転位置データとの関係が簡単な一次関数であるので、
関数の算出が容易になる。発明3に係る釣り用リールの
糸長計測装置は、発明1又は2に記載の装置において、
関数算出手段は、スプールに釣り糸を巻き付ける際に略
最終巻き付け部分での釣り糸の第1所定長さと回転位置
データ検出手段の検出結果との測定関係を学習する関係
学習手段と、測定関係に基づき、スプールの単位回転当
たりの糸長と回転位置データとの関係を関数で求める関
係算出手段とを有する。
【0011】この場合には、スプールに釣り糸を巻き付
けたときに、略最終巻き付け部分での釣り糸の第1所定
長さと回転位置データ検出手段の検出結果との測定関
係、つまり最終巻き付け部分での糸巻径に対するスプー
ルの単位回転当たりの糸長を学習し、この測定関係と算
出された切片とに基づき、巻き初めから徐々に太くなる
糸巻径に対するスプールの単位回転当たりの糸長と回転
位置データとの関係を関数で求め、この関数をたとえば
積分処理することによりスプールの回転位置データから
糸長が算出される。ここでは、略最終巻き付け部分の短
い所定長さでの学習だけで糸巻径により変化するスプー
ルの回転位置データと糸長との関係を算出することがで
きるので、糸長検出器を装着することなく、糸長を計測
することができる。しかも、学習により糸長を算出して
いるので、釣り糸の種類に限定されることなく糸長を計
測できる。
【0012】発明4に係る釣り用リールの糸長計測装置
は、発明3に記載の装置において、関係学習手段は、巻
き付終了後第1所定長さ分前記釣り糸を繰り出したとき
又はさらに巻き取ったときに回転位置データ検出手段に
より検出されたスプールの第1回転位置データを受け付
ける第1回転位置データ受付手段を有し、関係算出手段
は、スプールへの釣り糸の巻き付け開始時から巻き付け
終了時までの回転位置データ検出手段により検出された
スプールの第2回転位置データを受け付ける第2回転位
置データ受付手段と、切片算出手段で算出された切片を
受け付ける切片受付手段と、第1及び第2回転位置デー
タと第1所定長さと切片とにより関係を一次関数に近似
する関数近似手段とを有する。
【0013】この場合には、スプールへの釣り糸の巻き
付けが終了した後所定長さ釣り糸を繰り出した又は巻き
取ったときの第1回転位置データにより最終巻き付け部
分近傍での糸巻径に対するスプールの単位回転当たりの
糸長を求める。そして、スプールの単位回転当たりの糸
長とスプール回転位置データとの関係が巻き付け開始時
の糸巻径による糸長を切片とする一次直線に回帰するこ
とに着目して、巻き付け開始から巻き付け終了までの第
2回転位置データ、つまりスプールの総回転数と、第1
回転位置データと、第1所定長さと、算出された切片と
により一次直線の傾きを算出して単位回転当たりの糸長
とスプール回転位置データとの相関関係を一次直線に近
似する。そして、この一次直線を巻き付け開始時から回
転位置データが示す部分まで積分することで回転位置デ
ータにより糸長を求める。ここでは、前記関係が一次直
線に回帰することに着目して演算処理により回転位置デ
ータから糸長を算出しているので、演算処理が容易であ
り回転位置データから瞬時に糸長を計測できる。
【0014】発明5に係る釣り用リールの糸長計測装置
は、発明4に記載の装置において、切片算出手段は、切
片算出を受け付けるための切片算出受付手段と、切片算
出が受け付けられるとその後第2所定長さ分釣り糸を巻
き取ったときに回転位置データ検出手段により検出され
たスプールの第3回転位置データを受け付ける第3回転
位置データ受付手段と、第1回転位置データと第2回転
位置データと第3回転位置データと第1所定長さと第2
所定長さとにより切片算出が受け付けられたときの糸巻
径を算出する糸巻径算出手段とを有し、関数近似手段
は、切片算出が受け付けられた後関係学習手段で得られ
た第1回転位置データと、第2回転位置データと、第1
所定長さと、糸巻径算出手段で算出された糸巻径に基づ
く切片とを用いて前記関係を前記一次関数に近似する。
この場合には、切片算出手段で算出された切片を用いて
一次関数が算出されるので、下巻き糸を巻き付けたりエ
コノマイザを装着してもそのときの糸巻径を算出でき
る。このため、下巻等により巻き付け開始時の糸巻径
(切片)が変動しても一次関数を精度よく決定できる。
【0015】発明6に係る釣り用リールの糸長計測装置
は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、関
数算出手段で算出された関係を記憶するための関係記憶
手段をさらに備える。この場合には、学習内容が保存さ
れるので、糸長を算出する際には、記憶手段の内容を読
み出して簡単に算出できる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に示す本発明の一実施形態を
採用した電動リールは、糸繰り出し長さ(又は糸巻取り
長さ)により水深を表示する水深表示部を有するリール
である。電動リールは、釣り竿Rに装着されるリール本
体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転
用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置
されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えてい
る。
【0017】リール本体1は、左右1対の側板7a,7
bとそれらを連結する複数の連結部材8とからなるフレ
ーム7と、フレーム7の左右を覆う左右の側カバー9
a,9bとを有している。ハンドル2側(図1の右側)
の側カバー9bには、ハンドル2の回転軸が回転自在に
支持され、ハンドル2と逆側(図1の左側)の側カバー
9aには、外部電源PS接続用の電源コード18を接続
するためのコネクタ19が設けられている。
【0018】リール本体1の内部には、ハンドル2に連
結されたスプール10が回転自在に支持されている。ス
プール10の内部には、スプール10を糸巻き上げ方向
に回転駆動する直流駆動のモータ12が配置されてい
る。また、リール本体1のハンドル側側面には、ハンド
ル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオン
オフするクラッチ(図示せず)の操作レバー11が配置
されている。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重
による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。
【0019】また、リール本体1の内部には、図2及び
図3に示すように、スプール10に連動して動作するレ
ベルワインド機構13やスプール10に連動して回転す
る磁石ホイール14やハンドル2の回転をスプール10
に伝達する伝達機構(図示せず)等が設けられている。
磁石ホイール14は、図3に示すように、リール本体1
の側板7aに回転自在に支持されている。磁石ホイール
14には、ギア部14aとギア部14aに隣接して磁石
部14bとが形成されている。この磁石部14bには1
80度間隔を隔てて2つの磁石14cが装着されてい
る。ギア部14aは、中間ギア(図示せず)を介してス
プール10に形成されたスプールギア(図示せず)に噛
み合っている。この結果、磁石ホイール14は、スプー
ル10に連動してスプール10と同方向に回転する。
【0020】リール本体1の上部には、図1及び図2に
示すようにカウンタケース4が固定されている。カウン
タケース4は、図3に示すように、リール本体1の上部
に配置され上面に表示窓20aが下面に第1開口20b
がそれぞれ形成されたケース本体20と、ケース本体2
0の第1開口20bを閉塞する底蓋部材21とを有して
いる。ケース本体20は、たとえば6ナイロンをガラス
繊維で補強した合成樹脂成型品であり、リール本体1の
上部に連続して湾曲した滑らかな外周面を有している。
表示窓20aは透明樹脂製の表示窓22により閉塞され
ている。ケース本体20の内部には箱状の空間を形成し
得る角筒状の壁部20cが形成されており、その底部が
第1開口20bとなっている。
【0021】底蓋部材21は、たとえばアルミニウム合
金等の導電金属を成型して得られた板状の部材であり、
ネジによりケース本体20に取り付けられている。底蓋
部材21は、左右に間隔を隔てて形成された第2及び第
3開口21a,21bを有している。底蓋部材21の両
開口21a,21bの間の領域には、下方に突出した突
出部21cが形成されている。第2開口21aは、図1
に示すように円形の開口であり、円形の蓋部材23で閉
塞されている。第3開口21bは、磁石ホイール14に
対向した位置に形成された矩形の開口であり、矩形の蓋
部材24により閉塞されている。これらの両蓋部材2
3,24は、いずれも合成樹脂製の部材であり、ネジに
より内側から底蓋部材21に取り付けられている。
【0022】底蓋部材21とケース本体20の第1開口
20bとの間には、両者の間からカウンタケース4内に
水が侵入するのを防止するためにたとえばゴム製のパッ
キン25が装着されている。また、第2開口21a及び
第3開口21bと両蓋部材23,24との間にも同様な
目的でパッキン26,27がそれぞれ装着されている。
これらのパッキン25〜27によりカウンタケース4の
内部は外部に対して水密に封止されている。
【0023】カウンタケース4の上面には、図4に示す
ように、表示窓22を介して仕掛けの水深や棚位置を水
面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶デ
ィスプレイからなる水深表示部5が臨んでおり、水深表
示部5の周囲には操作キー部6が設けられている。水深
表示部5は、中央に配置された4桁の7セグメント表示
の水深表示領域5aと、その下方に配置された3桁の底
水深表示領域5bと、水深表示領域5aの図4右側に配
置された変速段数表示領域5cとを有している。また、
水深表示部5には、「底から」、「学習」、「指定」、
「下巻」、「修正」、「入力」、「糸送止」、「0セッ
ト」の8つの文字を表示可能である。「底から」の文字
は、水深表示モードが底からモードの時に表示される。
底からモードとは、仕掛けの水深を底基準で表示するモ
ードである。なお、通常は、仕掛けの水深は水面基準
(上からモード)で表示される。また、「学習」〜「入
力」までの文字は、糸巻モードの種類を示しており、い
ずれかが択一的に選択されると選択された糸巻モードの
文字が表示される。
【0024】操作キー部6は、水深表示部5の図1右側
に上下に並べて配置された変速キーSK及びモータキー
PWと、右側に上下に並べて配置された底メモキーSM
及びモードキーMDとを有している。モータキーPW
は、モータ12をオンオフするとともに、オン時間によ
りモータ12を増速するためのトグルスイッチである。
変速キーSKは、駆動されたモータ12を増減速するた
めのキーであり、上下の2つのスイッチと中立位置とを
有するシーソー型のスイッチである。この変速キーSK
の上スイッチを押すと増速し下スイッチを押すと減速す
る。また、モータ12を駆動していないときに上スイッ
チを所定時間以上押すと表示モードを「上から」と「底
から」との間で切り替えできる。また、下スイッチを所
定時間以上押すと糸送りモード(繰り出し時にクラッチ
を切った状態でモータ12を駆動させて糸送り速度を速
くするモード)をオンオフできる。
【0025】底メモキーSMは、仕掛けが底に到達した
ときに押されるスイッチであり、そのときの水深が底と
して設定される。この底メモキーSMを所定時間以上押
すと、釣り糸が切れたときになどに水深表示の0点を新
たな位置にセットできる。モードキーMDは、5種の糸
巻モードを設定するためのスイッチであり、たとえばこ
れを1回押すと学習モードに設定され、2回連続して押
すと指定モード、3回連続して押すと下巻モード、4回
連続して押すと修正モード、5回連続して押すと入力モ
ードにそれぞれ糸巻モードが設定される。ここで、学習
モードは、糸径や長さが未知の釣り糸をスプールに10
に巻き付ける際に使用される糸巻モードであり、糸巻き
付け最終部分でのスプール回転数とスプール1回転当た
りの糸長との相関関係を学習して釣り糸全長にわたるス
プール回転数と1回転当たりの糸長との関係を求めるた
めに使用されるモードである。指定モードは、記憶部4
3内に用意された号数及び長さの釣り糸をスプールに巻
き付けるときに使用されるモードである。下巻モード
は、下巻糸やエコノマイザを使用したときに巻き付け開
始時の糸巻径が未知でかつ太さ及び長さが未知の釣り糸
を巻き付ける際に使用されるモードである。修正モード
は、テンションなどにより表示がずれたときにずれを補
正するために使用されるモードであり、学習モードで得
られた一次直線全体の傾きだけを再計算できるように構
成されたモードである。入力モードは、スプール総回転
数と所定距離繰り出し距離を任意に編集できるように構
成されたモードである。
【0026】カウンタケース4内の上部には、図2に示
すように、水深表示部5と、表示制御及びモータ制御を
行うリール制御部30とが配置されている。カウンタケ
ース4内の下部にはモータ12をPWM駆動するPWM
駆動回路31が配置されている。またカウンタケース4
内の下部には、ブザー40とスプールセンサ41とが配
置されている。リール制御部30は、カウンタケース4
内に配置されたCPU,RAM,ROM,I/Oインタ
ーフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでい
る。リール制御部30は、制御プログラムに従って水深
表示部5の表示制御やモータ駆動制御等の各種の制御動
作を実行する。リール制御部30には、図5に示すよう
に、操作キー部6の各種のキーとスプール10の回転方
向及び回転数(回転位置データ)を検出するためのスプ
ールセンサ41とスプールカウンタ42とが接続されて
いる。また、リール制御部30には、ブザー40とPW
M駆動回路31と水深表示部5と記憶部43と他の入出
力部とが接続されている。
【0027】PWM駆動回路31は、モータ12を駆動
するための駆動素子としてのFET32を含んでいる。
PWM駆動回路31は、リール制御部30によりデュー
ティ比が制御されてモータ12の速度を可変に駆動す
る。スプールセンサ41は、図1に示すように前後に並
べて配置された2つのリードスイッチ41a,41bか
ら構成されている。リードスイッチ41a,41bは、
図3に示すように蓋部材24に面して配置されている。
リードスイッチ41a,41bは、磁石ホイール14に
装着された2個の磁石14c,14cを検出する。この
検出パルスをスプールカウンタ42で計数することでリ
ールの回転数を検出できる。また、いずれのリードスイ
ッチ41a,41bが先に検出パルスを発したかにより
スプール10の回転方向を検出できる。
【0028】スプールカウンタ42は、スプールセンサ
41のオンオフ回数を計数するカウンタであり、この計
数値SPによりスプール回転数に関する回転位置データ
が得られる。スプールカウンタ42は、スプール10が
正転(糸繰り出し方向の回転)すると計数値が減少し、
逆転すると増加する。記憶部43はたとえばEEPRO
M等の不揮発メモリからなり、学習結果のデータや糸長
算出時に使用する各種のデータ等が記憶されている。
【0029】次に本実施形態における糸長算出方法の概
略を説明する。本発明では、スプール1回転当たりの糸
長Yとスプール回転数Xとの関係を一次直線に近似させ
ることができることを利用して糸長Lを算出している。
また、下糸を巻き付けたり、エコノマイザをスプールに
装着した場合には、巻き付け開始時の糸巻径を所定の操
作により算出するようにしている。ここで、たとえば太
さと全長とが不明な釣り糸を糸巻径Bmmからスプール
10に層状に巻き付けていくと、スプール回転数Xとス
プール1回転当たりの糸長Yとの関係は傾きA,切片B
πの下記(1)式の一次直線で定義できる。
【0030】 Y=AX+Bπ (1) そして、巻き付け開始時の糸巻径BからS1mm釣り糸
を巻き取ったとき、スプール10がe回転したとする
と、そのときのスプール1回転あたりの糸長をY(e)
とすると、下記(2)式のように表せる。 Y(e)=A・e+Bπ (2) いま、スプール回転数Xとスプール1回転あたりの糸長
Yとの関係を示すグラフは、図6に示すようになる。こ
のグラフで糸巻取長さS1は、巻き付け開始時の糸巻径
Bからスプール回転数eまでの台形の面積に等しいので
下記(3)式で表わされる。
【0031】 S1=e{Y(e)+Bπ}/2 (3) (3)式に(2)式を代入すると、 S1=e{A・e+Bπ+Bπ}/2 (4) (4)式をBπについて解くと下記(5)式になる。 Bπ=(2S1−A・e2 )/2e (5) そして、さらに釣り糸を巻き取り、スプールがc回転し
たときのスプール1回転あたりの糸長をY(c)とし、
そこから糸長Sを繰り出してスプール10がd回転した
ときのスプール1回転あたりの糸長をY(c−d)とす
ると、下記(6),(7)式のように各糸長Y(c),
Y(c−d)が表される。 Y(c)=A・c+Bπ (6) Y(c−d)=A・(c−d)+Bπ (7)
【0032】このときの繰り出し長さSは、スプール回
転数(c−d)からcまでの台形の面積に等しいので下
記(8)式で表わされる。 S=d・{Y(c)+Y(c−d)}/2 (8) (8)式に(6),(7)式を代入すると、 S=d・{A・c+Bπ+A・(c−d)+Bπ}/2 =d・{A・(2c−d)+2Bπ}/2 (9)
【0033】これを傾きAについて解くと下記(10)
式になる。 A=2(S−d・Bπ)/d(2c−d) (10) したがって、(10)式に(5)式を代入すると下記
(11)式が導かれる。 A=2{S−d(2S1−A・e2 )/2e}/d(2c−d)(11) これを整理すると、 A・d・e(2c−d−e)=2(e・S−d・S1) (12) いま、2c−d−eが0ではないとして(12)式をA
について解くと、 A=2(e・S−d・S1)/d・e(2c−d−e) (13) これにより、一次直線の傾きAが求められるとともに、
(13)式を(5)式に代入することにより、切片Bπ
が下記(14)式で求められる。 Bπ=S1/e−(e・S−d・S1)/d(2c−d−e) (14)
【0034】したがって、特定な操作を行うことによ
り、5つのデータS,S1,c,d,eを得て、その5
つのデータにより傾きAと切片Bπとを求めることがで
きることがわかる。このため、巻き付け開始時の糸巻径
が不明な場合でも、近似一次直線の切片Bπを求めるこ
とができる。また、巻き付け開始時の糸巻径Bが既知の
時、たとえば、糸巻胴径が分かっているスプールに釣り
糸を巻き付けるときには、(10)式により傾きAが算
出され、切片はBπになる。この切片Bπは、記憶部4
3に予め記憶されている。
【0035】そして、傾きA,切片Bπの近似の一次直
線が決定できれば、算出された傾きAと切片Bπと総回
転数cと現在回転数における糸長と0セットの回転数
(最初は総回転数と同じ)を記憶部43に記憶する。そ
して実釣り時にスプール10が回転すると、所定のタイ
ミング(たとえばスプール20回転毎に)に、記憶され
たデータを読み出し一次直線を積分処理(面積算出処
理)することでそのときの糸長LNを求めることができ
る。そして求めた糸長LNに基づいて仕掛けの水深(釣
り糸先端の水深)を水深表示部5に表示する。
【0036】たとえば、巻き付け開始径(スプール10
の糸巻胴径)が既知でスプール10が巻き初めから10
00回転(c)で巻終わり、そこから10m(S)繰り
出したときにスプールが40回転(d)した場合、スプ
ール10の糸巻胴径(巻き付け開始時の糸巻径)が60
mm(B)であったとすると、(10)式から一次直線
の傾きAは下記のようになる。 A=2(10000−40×188.4)/40(2×1000−40) =0.0629 また、下巻したために巻き付け開始径が不明でかつ太さ
も長さも不明な釣り糸を巻き付けたとき、巻き付けを開
始してから10m(S1)巻き付けたときのスプール回
転数が50回転(e)で、そこからさらに巻き付けて5
00回転(c)で巻終わったとする。そこからさらに1
0m(S)繰り出したときにスプールが40回転(d)
した場合、(13)式及び(14)式から一次直線の傾
きAと切片Bπとは下記のようになる。 A=2(50×10000−40×10000)/40・50(1000−40 −50) =0.110 Bπ=10000/50−(50・10000−40・10000)/40(1 000−40−50) =197.3 次に、リール制御部30によって行われる具体的な制御
処理を、図7以降の制御フローチャートに従って説明す
る。
【0037】電動リールが電源コード18を介して外部
電源PSに接続されると、ステップS1において初期設
定が行われる。この初期設定ではスプールカウンタ42
の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセ
ットしたり、水深表示モードを上からモードに設定す
る。次にステップS2では表示処理を行う。表示処理で
は、水深表示等の各種の表示処理を行う。ここで、上か
らモードのときには、水深表示領域5aに水面基準の水
深が表示される。また、底メモキーSMにより底位置が
セットされていると底位置が底水深表示領域5bに表示
される。
【0038】ステップS3では、操作キー部6のいずれ
かのキーが押されたか否かを判断する。またステップS
4ではスプール10が回転しているか否かを判断する。
この判断は、スプールセンサ41の出力により判断す
る。ステップS5ではその他の指令や入力がなされたか
否かを判断する。キー入力がなされた場合にはステップ
S3からステップS6に移行してキー入力処理を実行す
る。またスプール10の回転が検出された場合にはステ
ップS4からステップS7に移行する。ステップS7で
は各動作モード処理を実行する。
【0039】その他の指令あるいは入力がなされた場合
にはステップS5からステップS8に移行して他の処理
を実行する。ステップS6のキー入力処理では、図8の
ステップS11で糸巻モードが設定されたか否かを判断
する。この判断は、モードキーMDが押されたか否かに
より判断する。ステップS12では、モータキーPWが
押されているか否かを判断する。ステップS13では、
変速キーSKの上スイッチが押されているか否かを判断
する。ステップS14では、変速キーSKの下スイッチ
が押されているか否かを判断する。ステップS15で
は、他のキーが操作されたか否かを判断する。この他の
キーの操作には底メモキーSMの他に各キーの所定時間
以上の操作も含んでいる。
【0040】モードキーMDが押されるとステップS1
1からステップS16に移行する。ステップS16で
は、糸巻モードを実行する。この糸巻モードは、前述し
たように学習モード、指定モード、下巻モード、修正モ
ード、入力モードである。モータキーPWが押されると
ステップS12からステップS17に移行する。ステッ
プS17では、モータ制御処理を実行する。このモータ
制御処理では、モータ12が回転していないときには、
モータキーPWが押されるとモータ12をオンしそのモ
ータキーPWのオン時間だけデューティ比を徐々に大き
くしてモータ12の回転を増加させる。モータ12が回
転しているときにはモータ12をオフする。なお、モー
タキーPWは、モータ12回転中に手を離すとそのとき
の回転を維持する。このことは変速キーSKでも同様で
ある。
【0041】変速キーSKの上スイッチが押されると、
ステップS13からステップS18に移行する。ステッ
プS18では、そのオン時間だけデューティ比を徐々に
大きくしてモータ12の回転を増加させる。変速キーS
Kの下スイッチが押されると、ステップS14からステ
ップS19に移行する。ステップS19では、そのオン
時間だけデューティ比を徐々に小さくしてモータ12の
回転を減少させる。他のキー入力がなされると、ステッ
プS15からステップS20に移行し、たとえば、現在
の水深の底棚値にセットするなどの操作されたキー入力
に応じた他のキー処理を行う。
【0042】ステップS16の糸巻モード処理では、図
9のステップS21で学習モードか否かを判断する。ス
テップS22では修正モードか否かを判断する。ステッ
プS23では下巻モードか否かを判断する。ステップS
23での判断が「NO」の場合にはステップS24に移
行し、指定モードや入力モード等の他の糸巻モードを実
行する。学習モードと判断すると、ステップS21から
ステップS31に移行し、糸巻取りを開始したか否かを
判断する。この判断は、スプールセンサ41によりスプ
ール10が巻取方向に回転を開始したことを検出したこ
とにより判断する。ステップS32では、糸巻取りが終
了したか否かを判断する。この判断は、所定のキー操作
(たとえば底メモキーSMの所定時間以上の操作)がな
されたか否かにより判断する。糸巻取りが終了した後、
所定長さS(たとえば10m)釣り糸を繰り出してスプ
ール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を学
習するのであるが、ステップS33では、その10mの
繰り出しが終了したか否かを判断する。この判断も所定
のキー操作がなされたか否かにより判断する。なお、釣
り糸にたとえば10m毎に異なる色づけがなされている
場合には、上記繰り出し操作が行えるが、釣り糸によっ
ては色づけがなされていない場合がある。このような場
合には、10mの釣り糸を先端に結んでさらに10m釣
り糸を巻き取って学習処理してもよい。繰り出しが終了
していない場合には、キー入力ルーチンに戻る。
【0043】糸巻取りが開始されるとステップS31か
らステップS34に移行する。ステップS34では、ス
プール回転数Xをスプールカウンタ42の値に応じて増
加させる。たとえば、スプールセンサ41がスプール1
回転当たり10パルス出力し、スプールカウンタ42が
スプール1回転当たり10ずつ増加するときには、スプ
ールカウンタ42が10増加するとスプール回転数Xを
1増加する。糸巻取りが終了してスプール10の回転が
停止し所定のキー操作が行われると、ステップS32か
らステップS35に移行する。ステップS35では、そ
の後に釣り糸の繰り出しが開始されたか否かを判断す
る。この判断はスプールセンサ41によりスプール10
が糸繰り出し方向に回転を開始したことを検出したこと
により判断する。まだ繰り出されていない時には、ステ
ップS37に移行し、巻き取り完了したときのスプール
回転数Xを総回転数cにセットする。釣り糸の繰り出し
が開始されるとステップS36に移行し、釣り糸の繰り
出しに応じてスプール回転数Xを減じていく。この減算
もステップS34と同様にたとえばスプールカウンタ4
2が10ずつ減じていくとスプール回転数Xを1減少さ
せる。
【0044】所定のキー操作により糸繰り出しが終了し
たと判断するとステップS33からステップS38に移
行する。ステップS38では、スプール総回転数cから
繰り出しにより減少したスプール回転数Xを減算し、減
算値を繰り出し回転数dにセットする。この繰り出し回
転数dが巻取終了後に10m釣り糸を繰り出したときの
スプール10の回転数である。ステップS39では、記
憶部43から糸巻径Bπ及び繰り出し長さSを読み出
す。この2つのデータは、あらかじめ記憶部43に書き
込まれている。
【0045】ステップS40では、得られた4つのデー
タc,d,Bπ,Sにより上記(10)式により近似一
次直線の傾きAを求め、近似一次直線を算出する。これ
により、糸径及び長さが未知の釣り糸の全長にわたる、
スプール1回転長さYとスプール回転数Xとの相関関係
が決定される。ステップS41では、得られた一次直線
を総回転数cの時点で積分処理して巻き初めから巻終わ
りまでの糸長LNを算出する。そして、糸長LNを水深
0にセットする。ステップS42では、総回転数c,切
片Bπ,得られた傾きA及び糸長LNを記憶部43に記
憶する。これらの処理が終了するとキー入力ルーチンに
戻る。この学習モードでは、巻取開始時の糸巻径が既知
として記憶部43に記憶された値により近似一次直線を
算出する。
【0046】修正モードと判断されると、ステップS2
2からステップS37に移行し、そのときのスプール回
転数Xを総回転数cにセットし、ステップS37以降の
処理を実行する。これにより前述した処理が実行され、
張力の作用等により先に学習された相関関係がずれて
も、釣り糸全体にわたる学習を行うことなく最終部分の
みの学習で一次直線の傾きを補正できる。下巻モードと
判断されるとステップS23からステップS25に移行
する。ステップS25では、下巻処理、すなわち未知の
切片を算出して近似一次直線を得るための処理を行う。
この下巻処理を行う場合には、下巻きされた釣り糸又は
装着されたエコノマイザに糸長算出のための釣り糸を結
んだのち、所定長さS1(たとえば10m)の釣り糸を
巻き取ってそのときのスプール回転数eを求める。そし
て、さらに釣り糸を最後まで巻き取り、巻取終了時のス
プール回転数cを求め、最後に所定距離S(たとえば1
0m)釣り糸を繰り出してスプール回転数dを求める。
そして、得られた5つのデータS,S1,c,d,eを
上記(13),(14)式に代入して傾きAと切片Bπ
とを求める。
【0047】具体的には、モードキーMDにより下巻モ
ードがセットされると、図10のステップS51で、糸
巻取りを開始したか否かを判断する。この判断は、スプ
ールセンサ41によりスプール10が糸巻取方向に回転
を開始したことを検出したことにより判断する。ステッ
プS52では、所定長さS1(たとえば10m)の巻取
が終了したか否かを判断する。この判断は所定のキー操
作がなされたか否かにより判断する。ステップS53で
は、釣り糸がさらに最後までスプール10に巻き付けら
れたかか否かを判断する。この判断も所定のキー操作が
なされたか否かにより判断する。釣り糸をスプール10
に巻き付けた後たとえば10m釣り糸を繰り出してスプ
ール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を学
習するのであるが、ステップS54では、所定長さSの
釣り糸の繰り出しが終了したか否かを判断する。この判
断も所定のキー操作がなされたか否かにより判断する。
【0048】巻取が開始されたと判断するとステップS
55に移行する。ステップS55では、スプールの所定
長さS1巻き取る間スプール回転数Xをスプールカウン
タ42の値に応じて1ずつ増加させる。所定長さS1の
巻取が終了したと判断すると、ステップS52からステ
ップS56に移行する。ステップS56では、巻取終了
後再度釣り糸の巻取が開始されたか否かを判断する。こ
の判断もスプールセンサ41の状態により判断する。再
度巻取が行われていない場合には、ステップS57に移
行し、そのときのスプール回転数X、つまり巻き付け開
始から10m巻き取ったときの回転数を下巻径算出用の
巻取回転数eにセットする。再度巻取が開始されると、
スプール回転数Xをスプールカウンタ42の値に応じて
1ずつ増加させる。
【0049】釣り糸の全ての巻取が終了するとステップ
S53からステップS59に移行する。ステップS59
では、巻取終了後釣り糸の繰り出しが開始されたか否か
を判断する。この判断は、スプールセンサ41によりス
プール10が糸繰り出し方向に回転を開始したことを検
出したことにより判断する。釣り糸の繰り出しが行われ
ていない場合には、ステップS60に移行し、そのとき
のスプール回転数Xを総回転数cにセットする。繰り出
しが開始されると、ステップS59に移行しスプール回
転数Xをスプールカウンタ42の値に応じて1ずつ減少
させる。この減算もステップS36と同様にたとえばス
プールカウンタ42が10ずつ減じていくとスプール回
転数Xを1減少させる。
【0050】所定長さSの繰り出しが終了すると、ステ
ップS54からステップS61に移行する。ステップS
61では、スプール総回転数cから繰り出しにより減少
したスプール回転数Xを減算し、減算値を繰り出し回転
数dにセットする。この繰り出し回転数dが巻取終了後
に10m釣り糸を繰り出したときのスプール10の回転
数である。ステップS62では、記憶部43から巻き取
った所定長さS1及び繰り出した所定長さSを読み出
す。この2つのデータは、あらかじめ記憶部43に書き
込まれている。
【0051】ステップS63では、得られた5つのデー
タc,d,e,S,S1により上記(13),(14)
式により近似一次直線の傾きA及び切片Bπを求め、近
似一次直線を算出する。これにより、巻き付け開始時の
糸巻径、釣り糸の太さ及び長さが未知の釣り糸の全長に
わたる、スプール1回転長さYとスプール回転数Xとの
相関関係が決定される。ステップS64では、得られた
一次直線を総回転数cの時点で積分処理して巻き初めか
ら巻終わりまでの糸長LNを算出する。そして、糸長L
Nを水深0にセットする。ステップS64では、総回転
数c,切片Bπ,得られた傾きA及び糸長LNを記憶部
43に記憶する。これらの処理が終了するとキー入力ル
ーチンに戻る。
【0052】ここでは、未知の釣り糸のスプール回転数
と糸長との関係を補正するための学習を釣り糸の巻初め
部分と略最終糸巻部分の短い糸長でのみ行っているの
で、糸長検出器を装着することなく、糸長を計測するこ
とができる。しかも、釣り糸に張力が作用して表示と実
際の水深とがずれても簡単な演算で表示された水深を正
しい値に補正できる。また、下巻モードを使用すれば、
糸巻き付け開始時の糸巻径が不明な場合でも、糸径及び
糸長が不明な釣り糸をスプールの所定位置まで確実に計
測して巻き付けできる。
【0053】ステップS7の各動作モード処理では、図
11のステップS71でスプール10の回転方向が糸繰
り出し方向か否かを判断する。この判断は、スプールセ
ンサ41のいずれのリードスイッチ41a,41bが先
にパルスを発したか否かにより判断する。スプール10
の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS7
1からステップS72に移行する。ステップS72で
は、スプール回転数Xを1ずつ減少させる。このステッ
プは、図9のステップS36と同様である。ステップS
73では、減少する毎にスプール回転数Xから記憶部4
3に記憶されたデータを読み出し、水深LXを算出す
る。この水深がステップS2の表示処理で表示される。
ステップS74では、得られた水深LXが底位置に一致
したか、つまり、仕掛けが底に到達したか否かを判断す
る。底位置は、前述したように仕掛けが底に到達したと
きに底メモキーSMを押すことで記憶部43にセットさ
れる。ステップS75では、他のモードか否かを判断す
る。他のモードではない場合には、各動作モード処理を
終わりメインルーチンに戻る。
【0054】水深が底位置に一致するとステップS74
からステップS76に移行し、仕掛けが底に到達したこ
とを報知するためにブザー40を鳴らす。他のモードの
場合には、ステップS75からステップS77に移行
し、指定された他のモードを実行する。スプール10の
回転が糸巻取り方向と判断するとステップS71からス
テップS78に移行する。ステップS78では、スプー
ル回転数を1ずつ増加させる。ステップS79では、増
加する毎にスプール回転数Xから記憶部43に記憶され
たデータを読み出し、水深LXを算出する。この水深が
ステップS2の表示処理で表示される。ステップS80
では、水深が船縁停止位置に一致したか否かを判断す
る。船縁停止位置まで巻き取っていない場合にはメイン
ルーチンに戻る。船縁停止位置に到達するとステップS
80からステップS81に移行する。ステップS81で
は、仕掛けが船縁にあることを報知するためにブザー4
0を鳴らす。ステップS82では、モータ12をオフす
る。これにより魚が釣れたときに取り込みやすい位置に
魚が配置される。この船縁停止位置は、たとえば水深6
m以内で所定時間以上スプール10が停止しているとセ
ットされる。
【0055】ここでは、未知の釣り糸のスプール回転数
き糸長との関係を補正するための学習を釣り糸の略最終
糸巻部分の短い糸長でのみ行っているので、糸長検出器
を装着することなく、糸長を計測することができる。し
かも、釣り糸に張力が作用して表示と実際の水深とがず
れても簡単な演算で表示された水深を正しい値に補正で
きる。また、下巻モードを使用すれば、巻き付け開始径
が分からない位置からでも未知の釣り糸を水深表示可能
に確実に巻き付けできる。
【0056】〔他の実施例〕 (a) 電動リールに代えて、水深表示機構を有する手
巻きリールにも本発明を適用できる。 (b) 両軸受リールに代えて片軸受リールにも本発明
を適用できる。 (c) 前記実施形態では、学習された相関関係による
一次直線のデータが記憶部43に記憶されていたが、予
め設定された一次直線の傾き及び切片のデータを記憶部
43に記憶するようにしてもよい。そして、下巻すると
きにだけ学習により相関関係を変更するようにしてもよ
い。 (d) 前記実施形態では、巻き取り終了後に釣り糸を
繰り出していたが、前述したように巻き取り終了後にさ
らに所定距離の巻取を行って学習するようにしてもよ
い。 (e) スプールの単位回転数当たりの糸長とスプール
回転数との関係を近似する関数は、一次関数に限定され
ず、二次関数や他の関数でもよい。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る釣り用リールの糸長計測装
置では、切片を算出できるように構成したので、巻き付
け開始時の糸巻径が変化しても関数を新たに決定でき、
下巻糸やエコノマイザ等を使用しても、釣り糸の巻き付
け開始径に関わらず糸長検出器を用いることなく簡単に
糸長を計測できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した電動リールの平
面図。
【図2】その断面図。
【図3】そのカウンタケースの横断面図。
【図4】水深表示部の平面図。
【図5】制御系の構成を示すブロック図。
【図6】スプール回転数とスプール1回転当たりの糸長
との関係を示すグラフ。
【図7】メインルーチンを示すフローチャート。
【図8】キー入力サブルーチンを示すフローチャート。
【図9】糸巻モードサブルーチンを示すフローチャー
ト。
【図10】下巻処理サブルーチンを示すフローチャー
ト。
【図11】各動作モードサブルーチンを示すフローチャ
ート。
【符号の説明】
10 スプール 30 リール制御部 41 スプールセンサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】釣り用リールのスプールから繰り出される
    あるいは前記スプールに巻き取られる釣り糸の長さを計
    測するための釣り用リールの糸長計測装置であって、 前記スプールの回転位置データを検出する回転位置デー
    タ検出手段と、 前記スプールの単位回転当たりの糸長と前記回転位置デ
    ータとの関係を巻き付け開始時の釣り糸の単位回転当た
    りの糸長を切片とする関数で算出する関数算出手段と、 前記回転位置データ検出手段により検出された回転位置
    データと前記関数算出手段で算出された前記関数に基づ
    き、前記釣り糸の長さを求める糸長算出手段と、 前記関数算出手段で使用される前記関数の切片データを
    算出するための切片算出手段と、を備えた釣り用リール
    の糸長計測装置。
  2. 【請求項2】前記関数は一次関数である、請求項1に記
    載の釣り用リールの糸長計測装置。
  3. 【請求項3】前記関数算出手段は、前記スプールに釣り
    糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の第
    1所定長さと前記回転位置データ検出手段の検出結果と
    の測定関係を学習する関係学習手段と、前記測定関係に
    基づき、前記スプールの単位回転当たりの糸長と前記回
    転位置データとの前記関係を前記関数で求める関係算出
    手段とを有する、請求項1又は2に記載の釣り用リール
    の糸長計測装置。
  4. 【請求項4】前記関係学習手段は、巻き付終了後前記第
    1所定長さ分前記釣り糸を繰り出したとき又はさらに巻
    き取ったときに前記回転位置データ検出手段により検出
    された前記スプールの第1回転位置データを受け付ける
    第1回転位置データ受付手段を有し、 前記関係算出手段は、前記スプールへの釣り糸の巻き付
    け開始時から巻き付け終了時までの前記回転位置データ
    検出手段により検出された前記スプールの第2回転位置
    データを受け付ける第2回転位置データ受付手段と、 前記切片算出手段で算出された切片を受け付ける切片受
    付手段と、 前記第1及び第2回転位置データと前記第1所定長さと
    前記切片とにより前記関係を一次関数に近似する関数近
    似手段とを有する、請求項3に記載の釣り用リールの糸
    長計測装置。
  5. 【請求項5】前記切片算出手段は、 切片算出を受け付けるための切片算出受付手段と、 前記切片算出が受け付けられるとその後第2所定長さ分
    前記釣り糸を巻き取ったときに前記回転位置データ検出
    手段により検出された前記スプールの第3回転位置デー
    タを受け付ける第3回転位置データ受付手段と、 前記第1回転位置データと前記第2回転位置データと前
    記第3回転位置データと前記第1所定長さと前記第2所
    定長さとにより前記切片算出が受け付けられたときの糸
    巻径を算出する糸巻径算出手段とを有し、 前記関数近似手段は、前記切片算出が受け付けられた後
    前記関係学習手段で得られた第1回転位置データと、前
    記第2回転位置データと、前記第1所定長さと、前記糸
    巻径算出手段で算出された糸巻径に基づく切片とを用い
    て前記関係を前記一次関数に近似する、請求項4に記載
    の釣り用リールの糸長計測装置。
  6. 【請求項6】前記関数算出手段で算出された前記関係を
    記憶するための関係記憶手段をさらに備える、請求項1
    から5のいずれかに記載の釣り用リールの糸長計測装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006304650A (ja) * 2005-03-30 2006-11-09 Daiwa Seiko Inc 魚釣用リール
CN110012880A (zh) * 2017-11-09 2019-07-16 株式会社岛野 钓鱼用渔线轮

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