JP2000208231A - 嵌合型接続端子の製造方法 - Google Patents

嵌合型接続端子の製造方法

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JP2000208231A
JP2000208231A JP11011724A JP1172499A JP2000208231A JP 2000208231 A JP2000208231 A JP 2000208231A JP 11011724 A JP11011724 A JP 11011724A JP 1172499 A JP1172499 A JP 1172499A JP 2000208231 A JP2000208231 A JP 2000208231A
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thickness
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Atsushi Nakamura
篤 中村
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い挿入力と良好な圧着特性またははんだ付
け性を有する嵌合型接続端子を簡易かつ低コストに製造
することができる嵌合型接続端子の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 条材の両面に異なる厚さの錫めっきを施
し、その条材から型材5を打ち抜く。嵌合部分となるタ
ブ12については矢印A1にて示す向きに曲げ、電線と
の圧着部分となるワイヤバレル11については矢印A2
にて示す向きに曲げる。すなわち、タブ12およびワイ
ヤバレル11は相互に逆向きに曲げられることとなり、
タブ12については薄い錫めっき層を外側にして曲げ加
工を行い、ワイヤバレル11については厚い錫めっき層
を外側にして曲げ加工を行う。タブ12の表面には薄い
錫めっき層が形成され、挿入力が低減できる。一方、ワ
イヤバレル11の表面には厚い錫めっき層が形成され、
圧着性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、産業機器
などの電気配線等に用いられる嵌合型接続端子の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般に、自動車、産業機器な
どの電気配線において電線同士の接続に用いられる嵌合
型接続端子には、錫めっきが施されてきた。これは、端
子の接続時に、錫めっきの表面酸化皮膜を摩擦によって
破壊し、新鮮な錫を凝着させることにより、低い接触抵
抗を安定して得ることを目的としたものである。
【0003】また、自動車のABS(アンチロックブレ
ーキシステム)やエアバックなど、特に重要な信号回路
に用いられる電気配線には、接続端子に金めっきを施し
て使用していた。
【0004】上記錫めっきの凝着は、錫の硬度が低い
(ビッカース硬度40〜80)ことに起因するものであ
る。しかし、錫の硬度が低いことは、接続時の挿入力を
上昇させるという問題の原因ともなっている。すなわ
ち、端子の嵌合接続時には錫めっきの凝着磨耗が発生
し、錫の変形抵抗に逆らって嵌合させるため、挿入力が
上昇することとなる。
【0005】ところで、自動車などの電気配線では複数
の電線の束(以下、「ワイヤーハーネス」と称する)を
1つのコネクタで接続するのが一般的であり、コネクタ
の接続に必要な力は、端子1個当りの挿入力に電線の本
数(従来は、一般に10極〜20極)を乗じた値として
概算することができる。従って、端子1個当りの挿入力
が高いと、コネクタの接続に必要な力はワイヤーハーネ
スの電線数に応じた大きな値となる。
【0006】特に、近年のカーエレクトロニクスの著し
い進歩・発展は、自動車に搭載する電子機器やCPUの
数を飛躍的に増加させ、それに伴ってワイヤーハーネス
の電線本数を増加し、コネクタの多極化(30極〜40
極)を図りたいとの要望も強まっている。
【0007】しかしながら、上述の如く、コネクタを多
極化すると当該コネクタの接続に必要な力も電線本数に
比例して上昇し、ボルトやてこなどの補助機構なしで
は、コネクタの接続ができなくなる。このため、端子を
小型化しても、補助機構がコネクタの小型化・軽量化を
阻害することとなる。
【0008】端子の挿入力を低減するには、接点圧力
(嵌合部で接点に与える押しつけ力)を低下させること
が考えられるが、この場合は、安定した低い接触抵抗が
得られなくなる。換言すれば、安定した接触抵抗を維持
したまま端子の挿入力を低下させることが困難であるた
め、コネクタを多極化する際に補助機構が不可欠とな
り、コネクタの小型化・軽量化を阻害する要因となって
いる。
【0009】なお、接続端子に金めっきを使用すれば、
低い接点圧力でも低い接触抵抗が安定して得られるた
め、端子の挿入力を低くすることができ、コネクタを多
極化してもその接続に要する力が著しく上昇することは
ないが、金めっきは錫めっきに比較して数倍〜数十倍の
コストを要するため、特に多極化したコネクタには適し
ない。
【0010】上述のような問題に鑑みて、本願発明者等
は、接続端子の少なくとも一方の母材である銅又は銅合
金の表面に下地めっきとしてニッケルめっきを施し、そ
のさらに上に薄い錫めっきを施した嵌合型接続端子を提
案している(特願平9−110895)。
【0011】このように錫めっきを薄くすると、母材で
ある銅又は銅合金の硬度が端子の硬度に影響するように
なり、それらの見かけの硬度が高くなる。その結果、錫
めっきの凝着を抑制するとともに、端子挿入力を低減す
ることが可能となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、端子と電線と
の接続を圧着により行う場合、錫めっき層が薄いと圧着
金具と端子との摩擦が大きくなり、圧着金具の磨耗や圧
着金具への端子のかじり込みが発生し易い。このため、
本願発明者等は、端子のうち電線との圧着部分のみに厚
い錫めっき層を形成する技術を案出した(特願平9−2
85784)。当該技術においては、プレス用条材(端
子の型が1列に連続して打ち抜けるように、その幅を端
子の長さよりも若干大きくした帯状の板材)の一部分の
みに厚めっきを行うようにしている(いわゆるストライ
プめっき)。
【0013】また、端子の小型化の進展に伴い、コネク
タを回路基板に直接接続する必要が生じており、端子の
基板側端部にはんだ付け性が要求されている。はんだ付
け部分の錫めっき厚さを増大させることにより、はんだ
付け性の長期的信頼性を向上させることができるとされ
ており、この場合も上記同様、プレス用条材の一部分の
みに厚めっきを行うようにすれば良い。
【0014】プレス用条材の一部分のみに厚めっきを行
うためには、ストライプめっきに適した手法、例えば、
マスクめっきや液面制御めっきが採用される。ところ
が、これらの手法は、1回の工程によって端子1列分の
めっきしか行うことができないため、めっきコストが著
しく上昇することとなる。
【0015】めっき装置を工夫することにより、複数の
プレス用条材に一括してストライプめっきを行うことも
できるが、接続端子は量産されるものであることを考慮
すると、より簡単にかつ低コストにてめっきを行う方が
好ましい。
【0016】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、低い挿入力と良好な圧着特性またははんだ付け
性を有する嵌合型接続端子を簡易かつ低コストに製造す
ることができる嵌合型接続端子の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明は、雄部品と雌部品との嵌合によっ
て電気的接触を得る嵌合型接続端子の製造方法であっ
て、前記雄部品を作製するための板材の第1の面に所定
の厚さの錫めっき層を形成する第1めっき工程と、前記
板材の前記第1の面の裏側の第2の面に前記所定の厚さ
よりも薄い厚さの錫めっき層を形成する第2めっき工程
と、前記板材から前記雄部品の型材を打ち抜く打抜き工
程と、前記型材のうち前記嵌合による摺動部分について
は前記第2の面を外側にして曲げ加工を行い、電線との
圧着部分またははんだ付け部分については前記第1の面
を外側にして曲げ加工を行う曲げ加工工程と、を備えて
いる。
【0018】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
にかかる嵌合型接続端子の製造方法において、前記第1
めっき工程では、前記第1の面に0.5μm以上3.0
μm以下の錫めっき層を形成し、前記第2めっき工程で
は、前記第2の面に0μmよりも大きく0.5μm以下
の錫めっき層を形成している。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について詳細に説明する。
【0020】本発明にかかる嵌合型接続端子の製造方法
においては、概ね、 条材に錫めっきを行うめっき工程、 端子の型材を打ち抜く打抜き工程、 型材から端子を成形する曲げ加工工程、 という3段階の工程を経ることによって嵌合型接続端子
を製造している。以下、これらについて順に説明する。
【0021】<1.条材のめっき工程>図1は、嵌合型
接続端子の製造に使用される条材を示す図である。この
条材1は、銅または銅合金の板材である。条材1の内部
に図示する輪郭形状は、後の打抜き工程で雄端子の型材
5として打ち抜かれる部分を示している。図示の如く、
本発明にかかる嵌合型接続端子の製造方法においては、
端子を3列分打ち抜くことができる幅広の条材1を使用
している。なお、条材1の幅は、端子3列分に限定され
るものではない。
【0022】この条材1に錫めっきを行うのに先立っ
て、ニッケルの下地めっきを施している。ニッケルの下
地めっきを施すのは、銅が錫中を拡散して硬い銅錫合金
(金属間化合物)を形成するのを防止するためであり、
つまりニッケル下地めっきを銅の拡散障壁層として利用
するためである。なお、銅の拡散障壁層としては、ニッ
ケルめっきに限らず、錫中に拡散しない物質層であれば
よく、例えばチタンナイトライドなどであってもよい。
【0023】ニッケルの下地めっきの後に、錫めっきを
行うのであるが、本発明にかかる製造方法においては、
条材1の両面に異なる厚さの錫めっき層を形成するよう
にしている。図2は、錫めっき層が形成された条材1の
断面図である。
【0024】条材1の表面にはニッケルの下地めっき層
2が形成され、さらにその上に錫めっき層3が形成され
ている。ここで、条材1の一方の面には比較的厚い錫め
っき層3aが形成され、その裏側の面にはそれよりも薄
い錫めっき層3bが形成されている。錫めっき層3aの
厚さは0.5μm以上3.0μm以下であり、錫めっき
層3bの厚さは0μmよりも大きく0.5μm以下であ
る。このように、条材1の両面に異なる厚さの錫めっき
層を形成する意義についてはさらに後述する。
【0025】<2.打抜き工程>次に、条材1から雄端
子の型材5を打ち抜く。打ち抜きは、図1に示す輪郭線
に沿って行う。図3は、打ち抜かれた型材5を示す平面
図である。
【0026】条材1の両面には、異なる厚さに錫めっき
が施されているため、型材5の両面にも異なる厚さの錫
めっき層3a、3bが形成されていることとなる。な
お、図3においては、紙面表側に薄い錫めっき層3bが
形成され、紙面裏側に厚い錫めっき層3aが形成されて
いるものとする。
【0027】<3.曲げ加工工程>次に、打ち抜かれた
型材5の曲げ加工を行う。このときに、雌端子との嵌合
部分となるタブ12については矢印A1にて示す向きに
曲げ、電線との圧着部分となるワイヤバレル11につい
ては矢印A2にて示す向きに曲げる。すなわち、タブ1
2およびワイヤバレル11は相互に逆向きに曲げられる
こととなり、タブ12については薄い錫めっき層3bを
外側にして曲げ加工を行い、ワイヤバレル11について
は厚い錫めっき層3aを外側にして曲げ加工を行う。
【0028】図4は、型材5の曲げ加工によって成形さ
れた雄端子10を示す側面図である。曲げ加工により、
雄端子10には雌端子との嵌合部分であるタブ12およ
び電線との圧着部分であるワイヤバレル11が形成され
ている。
【0029】図5は、雄端子10のタブ12のV1−V
1線断面図である。また、図6は、雄端子10のワイヤ
バレル11のV2−V2線断面図である。図5に示すよ
うに、曲げ加工により、母材7の上に形成された薄い錫
めっき層3bがタブ12の表面となっている。そして、
厚い錫めっき層3aは母材7に包み込まれ、タブ12の
内側に位置している。なお、母材7とは、条材1の銅ま
たは銅合金およびニッケルの下地めっきにより構成され
る端子母材を意味する。
【0030】一方、図6に示すように、ワイヤバレル1
1の外側表面には母材7上の厚い錫めっき層3aが位置
し、内側表面には薄い錫めっき層3bが位置している。
【0031】<4.端子の接続>以上のようにして、雄
端子10が製造されるのであるが、嵌合型接続端子は雄
端子10および雌端子20の一対をもって構成されてい
る。図7は、そのような嵌合型接続端子を示す側面図で
ある。上述の如く、雄端子10は、電線との圧着部分で
あるワイヤバレル11と、雌端子20との嵌合部分であ
るタブ12とを形成している。
【0032】雌端子20は、電線との圧着部分であるワ
イヤバレル24と、雄端子10との嵌合部分である嵌合
部25とを形成している。嵌合部25は、中空の箱形状
であり、舌片21、エンボス22およびビード23をそ
の内部に備えている。
【0033】エンボス22は、舌片21の下部に設けら
れた凸状の部材であり、雄端子10との嵌合時には、タ
ブ12の摺動面と点接触する。舌片21は、接点圧力す
なわちエンボス22をタブ12に押しつける圧力を作用
させるバネとしての機能を有している。また、ビード2
3も凸状の部材であり、タブ12とエンボス22が接触
する面と反対側の摺動面で接触し、エンボス22がタブ
12に及ぼす接点圧力を受ける。
【0034】雄端子10を雌端子20に嵌合させる際に
は、タブ12をエンボス22とビード23との間隙に挿
入する。そして、このときにタブ12の上面はエンボス
22と、下面はビード23と摺動する。エンボス22は
タブ12と点接触しているため、エンボス22の摺動部
分は点であり、また、タブ12の摺動部分は線である。
また、ビード23についてはタブ12との接触部分がそ
のまま摺動部分となる。
【0035】なお、雌端子20の製造方法については従
来と同様の方法とすればよい。但し、雄端子10を本発
明にかかる製造方法により製造した場合には、タブ12
の折り合わせ面(型材5の端部が曲げ加工によって合わ
さる面であり、図5中の下側の面)が嵌合時にエンボス
22と接触しないようにする方が好ましい。従って、雌
端子20の構造を従来と異なるものとする必要がある。
具体的には、嵌合部25内の構造を上下反転させ、嵌合
時にタブ12の折り合わせ面と反対側の面(図5中の上
側の面)がエンボス22と接触するようにする。
【0036】次に、以上のようにして作製された嵌合型
接続端子の特性について説明する。図8は、雄端子10
の錫めっき厚さと端子挿入力との相関を示す図である。
同図に示す如く、雄端子10の錫めっき厚さが薄くなる
にしたがって、概ね挿入力が減少する傾向が認められ
る。特に錫めっき厚さが0.2μm以下になると、挿入
力が著しく低減している。これは以下のような理由によ
るものと考えられる。すなわち、錫めっき層が薄くなる
にしたがって、母材である銅または銅合金の硬度が雄端
子10の硬度に影響するようになり、雄端子10の見か
けの硬度が高くなる。そして、雄端子10の見かけの硬
度が高くなることに起因して、錫めっきの凝着が抑制さ
れ、挿入力が低くなったのである。
【0037】もっとも、錫めっきは摺動部分の潤滑剤と
しての機能も有しており、錫めっき厚さを0.05μm
よりも薄くした場合には、錫めっきの潤滑剤としての機
能を喪失し、母材の摩擦にともなって多少挿入力が高く
なっている。
【0038】雄端子10の錫めっきのうち、挿入力に影
響するのは嵌合による摺動部分、すなわちタブ12の表
面に形成された錫めっき層である。雄端子10を本発明
にかかる製造方法によって製造すれば、図5に示したよ
うに、タブ12の表面には薄い錫めっき層3bが形成さ
れているため、挿入力を低減することができるのであ
る。そして、このような効果を得るべく、条材1にめっ
きを施す際の錫めっき層3bの厚さを0μmよりも大き
く0.5μm以下としているのである。また、図8に示
したように、雄端子10の錫めっき厚さを0.05μm
以上0.2μm以下とすれば挿入力を著しく低減できる
ため、錫めっき層3bの厚さを0.05μm以上0.2
μm以下とする方がより好ましい。
【0039】一方、電線との圧着特性については、電線
との圧着部分、すなわち雄端子10のワイヤバレル11
の外側表面の錫めっき厚さが厚いほど良好である。これ
は、以下のような理由による。すなわち、圧着工程にお
いては、ワイヤバレル11は変形を受けつつその外面が
圧着用の金型に対して摺動することになる。このとき
に、摩擦にともなう金型の損傷を回避すべく、ワイヤバ
レル11の外側の面と金型との間に潤滑作用を有する物
質が必要となる。
【0040】一般に、潤滑作用を有する物質としては、
例えば潤滑油などが利用されているが、ワイヤバレル1
1は電線との間で電気的接触を得る部分であるため、油
を使用することは好ましくない。
【0041】本発明にかかる製造方法によって製造され
た雄端子10のように、ワイヤバレル11の外側表面に
厚い錫めっき層3aを形成していると、錫は軟らかいた
め、圧着工程において、錫めっき層3aがワイヤバレル
11の外面と金型との間に薄く延び、錫が金属の固体潤
滑剤としての役割を果たすこととなる。これにより、硬
い銅または銅合金によって金型が磨耗されることはなく
なり、その寿命を縮める懸念がなくなるのである。
【0042】また、ワイヤバレル11の曲げ加工にとも
なって、ワイヤバレル11の外面の錫めっき層に割れが
生じることもあるが、錫めっき層3aでは軟らかい錫層
が厚いため、き裂が伝播して、母材表面に達することは
ない。その結果、母材の露出にともなう耐食性の低下や
母材自身に割れが伝播するおそれもない。
【0043】このような錫の効果を得るためには、錫め
っき層3aの厚さを0.5μm以上にする必要がある
が、当該厚さを3.0μmより厚くすると製造コストの
上昇などを招くため、錫めっき層3aの厚さは0.5μ
m以上3.0μm以下にする必要がある。なお、良好な
圧着特性と製造コスト低減の両立を図る観点からは、錫
めっき層3aの厚さを1.0μm以上2.0μm以下と
するのがより好ましい。
【0044】ところで、ワイヤバレル11の内面には薄
い錫めっき層3bが形成されている。ワイヤバレル11
の内面は、電線との圧着による接触抵抗を低くできれば
よく、このためには薄い錫めっき層3bの厚さであって
も十分である。
【0045】以上の内容を総括すると、本発明にかかる
製造方法においては、雄端子10の条材1の両面に異な
る厚さの錫めっき層を形成し、嵌合による摺動部分につ
いては薄い錫めっき層を外側にして曲げ加工を行い、電
線との圧着部分については厚い錫めっき層を外側にして
曲げ加工を行うことにより、嵌合型接続端子に低い挿入
力および良好な圧着特性という2つの特性を兼ね備えさ
せているのである。条材1の両面のそれぞれについて
は、均一な厚さの錫めっき層を全面に形成するだけでよ
いので、ストライプめっきを行うときのような複雑なめ
っき手法を採用する必要はなく、めっき工程が極めて容
易になり、ひいては端子の製造コストを低減することが
できる。つまり、本発明にかかる製造方法によれば、低
い挿入力と良好な圧着特性を有する嵌合型接続端子を簡
易かつ低コストに製造することができるのである。
【0046】<5.はんだ付け用端子>以上の説明は、
電線との圧着を行う圧着端子についてであったが、本発
明にかかる嵌合型接続端子の製造方法は、回路基板に直
接接続するためのはんだ付け用嵌合型接続端子にも適用
することができる。その具体的な方法は、上記圧着端子
の製造方法と類似するものである。すなわち、まず、条
材の両面に異なる厚さの錫めっき層を形成する。その条
材から雄端子の型材を打抜き、曲げ加工を行う。この曲
げ加工を行うときに、嵌合による摺動部分については薄
い錫めっき層を外側にして曲げ加工を行い、はんだ付け
部分については厚い錫めっき層を外側にして曲げ加工を
行う。
【0047】図9は、曲げ加工により成形されたはんだ
付け用端子の雄端子30の平面図である。雄端子30
は、はんだ付けを行う部分であるはんだ付け部31と、
雌端子との嵌合部分であるタブ32とを形成している。
図10は、雄端子30のタブ32のV3−V3線断面図
である。また、図11は、雄端子30のはんだ付け部3
1のV4−V4線断面図である。
【0048】図10に示すように、曲げ加工により、母
材7の上に形成された薄い錫めっき層3bがタブ32の
表面となっている。そして、厚い錫めっき層3aは母材
7に包み込まれ、タブ32の内側に位置している。
【0049】一方、図11に示すように、はんだ付け部
31の表面には母材7上の厚い錫めっき層3aが位置し
ており、薄い錫めっき層3bは母材7に包み込まれ、は
んだ付け部31の内側に位置している。
【0050】このようにすれば、タブ32については母
材7の上に薄い錫めっき層3bが形成されているため、
上述の圧着端子と同様に、挿入力を低減することができ
る。
【0051】また、はんだ付け部31については、その
表面にはんだ濡れ性に優れた厚い錫めっき層3aが形成
されているため、回路基板との接続において、はんだ付
け性の長期的信頼性を向上させることができる。はんだ
付け性の長期的信頼性を向上させるためには、錫めっき
層3aの厚さを0.5μm以上にする必要があるが、当
該厚さを3.0μmより厚くすると製造コストの上昇な
どを招くため、錫めっき層3aの厚さは0.5μm以上
3.0μm以下にする必要がある。もっとも、良好なは
んだ付け性と製造コスト低減の両立を図る観点からは、
錫めっき層3aの厚さを1.0μm以上2.0μm以下
とするのがより好ましい。
【0052】なお、はんだ付け部31については、厚い
錫めっき層3aが露出していれば良好なはんだ濡れ性を
得ることができるため、必ずしも曲げ加工を必要としな
いが、曲げ加工によってはんだ付け部31の表面全体を
厚い錫めっき層3aとする方がはんだ付け性の長期的信
頼性をより向上できるのは勿論である。
【0053】このように、はんだ付け用端子に本発明に
かかる製造方法を適用すると、嵌合型接続端子に低い挿
入力および良好なはんだ付け性という2つの特性を兼ね
備えさせることができる。
【0054】さらに、上記と同様に、ストライプめっき
を行うときのような複雑なめっき手法を採用する必要は
なく、簡便なめっき手法で足りるため、めっき工程が極
めて容易になり、ひいては端子の製造コストを低減する
ことができる。つまり、本発明にかかる製造方法によれ
ば、低い挿入力と良好なはんだ付け性を有する嵌合型接
続端子を簡易かつ低コストに製造することができるので
ある。
【0055】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、この発明は上記の例に限定されるものではなく、
例えば、条材1の材質材として、銅または銅合金以外に
も、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄合金、ステン
レス鋼、ニッケル合金など錫めっきよりも硬度の大きい
金属材料を使用することができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
雄部品の型材のうち嵌合による摺動部分については所定
の厚さよりも薄い厚さの錫めっき層を形成した面を外側
にして曲げ加工を行い、電線との圧着部分またははんだ
付け部分については所定の厚さの錫めっき層を形成した
面を外側にして曲げ加工を行っているため、摺動部分の
表面は薄い錫めっき層が形成され挿入力が低下するとと
もに、電線との圧着部分またははんだ付け部分の表面は
厚い錫めっき層が形成され圧着性またははんだ付け性が
向上することとなり、低い挿入力と良好な圧着特性また
ははんだ付け性を有する嵌合型接続端子を簡易かつ低コ
ストに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】嵌合型接続端子の製造に使用される条材を示す
図である。
【図2】錫めっき層が形成された条材の断面図である。
【図3】図1の条材から打ち抜かれた型材を示す平面図
である。
【図4】図3の型材の曲げ加工によって成形された雄端
子を示す側面図である。
【図5】図4の雄端子のタブのV1−V1線断面図であ
る。
【図6】図4の雄端子のワイヤバレルのV2−V2線断
面図である。
【図7】嵌合型接続端子を示す側面図である。
【図8】雄端子の錫めっき厚さと端子挿入力との相関を
示す図である。
【図9】成形されたはんだ付け用端子の雄端子の平面図
である。
【図10】図9の雄端子のタブのV3−V3線断面図で
ある。
【図11】図9の雄端子のはんだ付け部のV4−V4線
断面図である。
【符号の説明】
1 条材 3a、3b 錫めっき層 5 型材 7 母材 10、30 雄端子 11、24 ワイヤバレル 12、32 タブ 20 雌端子 21 舌片 22 エンボス 23 ビード 25 嵌合部 31 はんだ付け部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雄部品と雌部品との嵌合によって電気的
    接触を得る嵌合型接続端子の製造方法であって、 前記雄部品を作製するための板材の第1の面に所定の厚
    さの錫めっき層を形成する第1めっき工程と、 前記板材の前記第1の面の裏側の第2の面に前記所定の
    厚さよりも薄い厚さの錫めっき層を形成する第2めっき
    工程と、 前記板材から前記雄部品の型材を打ち抜く打抜き工程
    と、 前記型材のうち前記嵌合による摺動部分については前記
    第2の面を外側にして曲げ加工を行い、電線との圧着部
    分またははんだ付け部分については前記第1の面を外側
    にして曲げ加工を行う曲げ加工工程と、を備えることを
    特徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の嵌合型接続端子の製造方
    法において、 前記第1めっき工程においては、前記第1の面に0.5
    μm以上3.0μm以下の錫めっき層を形成し、 前記第2めっき工程においては、前記第2の面に0.5
    μm以下の錫めっき層を形成することを特徴とする嵌合
    型接続端子の製造方法。
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